JP6804748B2 - 窒素源製造装置、養液供給装置、育成システム、植物栽培システム、及び窒素源を製造する方法 - Google Patents

窒素源製造装置、養液供給装置、育成システム、植物栽培システム、及び窒素源を製造する方法 Download PDF

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本発明は、窒素源製造装置、養液供給装置、育成システム、植物栽培システム、及び窒素源を製造する方法に関する。
従来、アンモニアの合成には、ハーバー・ボッシュ法が用いられてきた。この方法では、500℃・100気圧程度という高温・高圧の条件下で窒素と水素とからアンモニアを合成する。従って、高温・高圧に耐えうる装置材料、装置設計が必要である。そこで、常温・常圧で合成する方法として、真空プラズマ技術を用いて窒素と水素とをプラズマ化してアンモニアに変換する方法が提案されている。
しかしながら、水素は危険で高価であるばかりか、その製造のために天然ガス等の化石燃料を使うので、二酸化炭素の排出による環境負荷が問題となる。そこで、水素に代り水を原料として用いる装置として、大気圧プラズマを用いる装置が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4)。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、窒素ガスを含むガスの大気圧プラズマを水に作用させることによりアンモニアを合成する装置が記載されている。また、特許文献3には、窒素ガスを含む大気圧プラズマを有機溶媒に照射して水素原子を化学結合から解離させ、アンモニアを生成する装置が記載されている。また、特許文献4には、大気圧プラズマを作用させて尿素水を分解させることによりアンモニアを生成する装置が記載されている。
一方、水中に気泡を発生させ、気泡内部でプラズマを発生させる装置が提案されている。例えば、非特許文献1には、硝酸水溶液中において、電気分解により水素気泡を発生させ、その水中気泡内部でプラズマを発生させ、硝酸イオンを還元してアンモニアを生成する装置が記載されている。
特開2010−132469号公報 特開平4−130013号公報 特開2005−139052号公報 特開2006−144631号公報
倉橋正人、水野彰著、「水中気泡放電を用いたアンモニアの生成に関する基礎研究」、静電気学会講演論文集、1996年10月、p195−198
しかしながら、特許文献1〜4に記載されるように、大気圧プラズマを水に作用させる装置では、大気圧プラズマを水面に照射するので、反応場が水面に限定されてしまい、アンモニアの生成率が低いという問題がある。その上、大気圧プラズマは、それ自体プラズマ密度が低く反応性に乏しい。また、大気圧下でプラズマを発生させるために大量の窒素ガスを導入する必要があり、窒素の消費量が毎分30リットル程度と莫大である。尿素を分解する方法では、刺激臭のある尿素原料が必要であり、またアンモニアとともに炭酸ガスも発生するので、環境に負荷をかけるという問題もある。
一方、非特許文献1に記載されるように、水中において電気分解により発生させる気泡の内部で放電するプラズマ発生装置では、プラズマ発生領域が水で囲まれた、いわば閉鎖系の反応場となるため、大気プラズマよりも効率よく還元反応を進行させることができると考えられる。しかしながら、出発原料が容器内の硝酸水溶液のみであるので、生成できるアンモニア量としては十分であるとは言えなかった。
本発明は、従来技術における上記問題に鑑み、従来の大気プラズマ発生装置や水中プラズマ発生装置よりもプラズマの反応効率を高めることができる窒素源製造装置及び養液供給装置、並びに該装置を用いる育成システム、植物栽培システム、及び窒素源を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、水中におけるプラズマ発生が可能なプラズマ発生装置において、プラズマの反応効率を高めるためには窒素等の出発原料にプラズマを高い確率で照射することが有効であり、そのためにはプラズマ発生箇所に精度良く出発原料を供給することが有効であり、そのためには、電極に中空部を設ける、又は電極と絶縁材との間に空間を設けることにより、該中空部又は空間から出発原料を電極の端部においてプラズマ発生領域内に精度良く供給することできることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものである。
] 陰極と陽極とを含む窒素源製造装置であって、
前記陰極と前記陽極とは、両者の間に電圧を印加することによりプラズマが発生する間隙を空けて配されており、
前記陰極及び前記陽極は、電極と、前記電極を被覆する絶縁材とを含み、前記電極の前記間隙側の先端部は、前記絶縁材で被覆されずに露出しており、
前記陰極及び前記陽極の少なくとも何れかは、下記(a)又は下記(b)であり、
(a)前記電極が、前記間隙側に開口端がある中空部を有すること
(b)前記絶縁材が、前記電極の外周を、前記間隙側に開口端がある空間を介して囲むように設けられていること
前記(a)における前記中空部及び前記(b)における前記空間は、流体供給装置により供給される窒素分子含有流体の流路をなし、
前記窒素源は、アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する、窒素源製造装置。
] 前記(a)及び前記(b)における電極は、金属からなり、
前記金属は、タングステンであってもよい、[]記載の窒素源製造装置。
] 前記(a)及び前記(b)における電極は、中実の棒状体の長手方向の周縁部に囲まれた中味を前記中空部に代えた構造を有する、[]又は[]記載の窒素源製造装置。
] 更に、槽、前記流体供給装置及び制御部を含む[]〜[]の何れか1項に記載の窒素源製造装置であって、
前記槽内に前記(a)及び前記(b)における開口端が配され、
前記制御部は、前記流体供給装置により前記窒素分子含有流体を供給するとともに、前記陰極と前記陽極との間に直流パルス電圧を印加してプラズマを発生させることを制御する、
窒素源製造装置。
] 前記窒素分子含有流体は、窒素分子含有液体、窒素ガス又は大気である、[]〜[]の何れか1項に記載の窒素源製造装置。
] 前記窒素源は、養液であり、前記養液は、液体肥料であってもよい、[]〜[]の何れか1項に記載の窒素源製造装置。
] 養液を供給する養液供給装置であって、
前記養液の供給路に[]記載の窒素源製造装置が配されている、養液供給装置。
] 容器及び流路からなる群より選択される少なくとも1つの養液被供給部と、
]記載の窒素源製造装置と、
前記窒素源製造装置により製造された養液を前記養液被供給部に供給する養液供給手段と、
前記養液被供給部を通過した使用済養液を排出する排路、又は、前記養液被供給部を通過した使用済養液を前記養液製造装置に戻す循環路と、
を含む、養液供給装置。
] []又は[]記載の養液供給装置を含む、養液による育成システム。
10] []又は[]記載の養液供給装置を含む、植物栽培システム。
11] アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する窒素源を製造する方法であって、前記方法は、
[1]〜[]の何れか1項に記載の窒素源製造装置を用いて水中においてプラズマを発生させること、及び、
窒素分子含有流体が前記何れかの装置により前記開口端から前記プラズマが発生する領域に供給されることにより、前記窒素分子が反応して前記アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つに変化すること
を含む、方法。
本発明によれば、従来の大気プラズマ発生装置や水中プラズマ発生装置よりもプラズマの反応効率を高めることができる窒素源製造装置及び養液供給装置、並びに育成システム、植物栽培システム、及び窒素源を製造する方法を提供することができる
本実施形態に係るプラズマ発生装置の一例を示す模式図である。 陰極の構成の一例を示す模式図である。 陰極の構成の一例を示す模式図である。 プラズマ発生装置の変形例を示す模式図である。 植物栽培システムの構成を示す模式図である。 実施例1における、プラズマ処理時間と、NO イオン及びNH のイオンの生成量との関係を示すグラフである。 図6の一部を拡大したグラフである。 実施例及び比較例のATP量の変化を示すグラフである。 実施例2の培地の様子を撮影した写真である。 比較例2の培地の様子を撮影した写真である。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において適宜変更を加えて実施することができる。
<プラズマ発生装置>
以下、本施形態に係るプラズマ発生装置について説明する。図1は、実施形態に係るプラズマ発生装置の構成を示す模式図である。図1に示すプラズマ発生装置10は、陰極1と陽極2とを含み、更に、被処理水3を収容する槽4、流体供給装置5、パルス電源6、及び制御部7を含む。陰極1と陽極2とは、両者の間に電圧を印加することによりプラズマが発生する間隙(以下、プラズマ発生領域Pということがある)を空けて配されている。制御部7は、流体供給装置5により流体Sを供給するとともに、パルス電源6により陰極1と陽極2との間に直流パルス電圧を印加してプラズマを発生させることを制御する。
本明細書において、「被処理水」は、水素源となる水溶液であればよい。例えば、被処理水は、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水等を用いて調製することができる。被処理水3の電気伝導度を高める点で、被処理水3は、後述する電解質を含有する水溶液であることが好ましい。また、被処理水3は、プラズマ発生装置10により製造される製造物の出発原料を含有する水溶液であってもよい。
本明細書において、「流体」は、気体であっても、液体(気体が溶解する液体を含む)であってもよく、プラズマ発生装置10により製造される製造物の出発原料自体であるか、又は該出発原料を含有する。出発原料は、水中プラズマにより還元又は酸化されて製造物となり得る。
本実施形態に係るプラズマ発生装置10は、被処理水3中のプラズマ発生領域Pにおいてプラズマを発生させる装置である。本明細書において、以下、プラズマ発生領域Pで発生したプラズマを単に「水中プラズマ」ということがある。この水中プラズマは、典型的には、被処理水3中に浸漬した陰極1及び陽極2に電圧を印加することにより、水中に生じる気体(気相)の中に、当該気体を構成する分子を部分的ないしは完全に電離させることで、ラジカルや電子及び正又は負の電位を有するイオン等の活性種を形成することができる。活性種としては、典型的には、水中の水分子が分解されて生成する、水素イオン、水酸化物イオン、酸素イオン、水素ラジカル、酸素ラジカル及びヒドロキシラジカル等が考えられる。
水中プラズマにおいては、プラズマ相を取り囲む気相は更に液相に取り囲まれており、プラズマを構成する上述のイオン、電子及びラジカル等の活性種は制限された気相中において自由に運動し得る状態である。そのため、解放された気相中に発生される気相プラズマ(典型的には、大気圧プラズマ、低圧プラズマ等)とは異なる物理的及び化学的性質を示す。
例えば、気相プラズマは、気体の温度を上げて行った際にこの気体を構成する中性分子が電離してプラズマ化することで発生する。このとき、固体・液体・気体間の相転移とは異なり気体からプラズマへの転移は徐々に起こるため、構成分子のごく一部が電離した電離度が非常に低い状態でも充分にプラズマであり得る。これに対し水中プラズマは、典型的には、まず被処理水中での放電により当該水がジュール加熱により気化されて気相を形成し、更にこの気相においてプラズマが発生することで形成される。すなわち、水中プラズマは、プラズマという高エネルギー状態が水中(すなわち凝縮相)に閉じ込められており、閉鎖系の場が実現するとともに、解放されない高密度なプラズマ反応場が形成されているといえる。
水中プラズマは、電極間にかかる電位差の違い等によって、雷のような火花放電、コロナ放電、グロー放電、アーク放電等に分類される。火花放電が継続的に流れるとグロー放電あるいはアーク放電となる。ここで、水中で発生されるグロー放電プラズマは、その他の水中プラズマに対して、更に異なる特徴を有している。例えば、アーク放電プラズマは粒子密度が高く、イオンや中性粒子の温度が電子温度とほぼ等しい局所熱平衡状態にある熱プラズマである。これに対し、グロー放電プラズマは、電子温度は高いがイオンや中性粒子の温度が低い非平衡状態にある低温プラズマである。また、コロナ放電では連続的なプラズマの発生は難しいことに加え、水の分解により水素ラジカルとともに酸化性のヒドロキシラジカルが比較的多く形成されるという特徴がある。これに対し、グロー放電プラズマではプラズマの持つエネルギーが高く、酸化性のヒドロキシラジカルが更に分解されて還元性の水素ラジカルが多く生成される。すなわち、グロー放電プラズマによると、出発原料の還元がより効率的に行われることとなる。このことから、本発明では、水中プラズマとしてグロー放電プラズマを発生させることを好ましい形態としている。
水中のグロー放電プラズマは、水中に配置した電極間に高周波数の電圧を印加することで発生させることができる。かかる構成によると、電極間に発生するジュール熱により液相中に発生される気相の内部に、グロー放電プラズマを定常的に発生させることができる。すなわち、液相/気相/プラズマ相の界面が安定に形成され、プラズマ相で発生された活性種が気相を介して気液界面に供給されるため、液相に含まれる出発原料の還元又は酸化を高効率で行うことが可能となる。また、非平衡である低温プラズマを発生させるため、より少ないエネルギーで安定的に製造物を得ることができる。
かかるグロー放電プラズマは、サブマイクロ秒のパルス幅の電圧を、高い繰り返し周波数で印加することにより、比較的安定して発生可能である。そのため、プラズマ相を囲む液体の膨張・圧縮運動とプラズマ相とは連動しつつ安定な状態が長時間(例えば、2時間以上)維持され得る。そのため、例えば、水中プラズマにおいては、電極間に発生される気相はその一部が浮力により電極間から浮上して液表面に到達することがあり得るものの、その大部分は電極間に一定の大きさの気相として定常的に維持される。従って、水中プラズマにおいてはプラズマの発生状態を定常的にコントロールすることができる。本発明のプラズマ発生装置10では、このような制御されたプラズマを利用することを好ましい形態としている。発生したプラズマがグロー放電プラズマであるかどうかは、例えば、プラズマ発光分光分析等により求められるタウンゼント第2係数が0.0005〜0.005の範囲にあることで確認することができる。
また、水中プラズマでは、上述したように、ヒドロキシラジカル(OH)や過酸化水素水(H)も生成される。そのため、被処理水3の殺菌を簡便に行うことができるという効果も得られる。よって、被処理水3の殺菌が必要であっても、別途殺菌装置の設置が不要である。
陰極1と陽極2との間隔は、陰極1・陽極2の形状・素材及び被処理水3の種類等の条件により異なるが、水中プラズマを効率的に発生させる点から、0.1mm〜10mmが好ましく、0.25mm〜1mmがより好ましい。
ところで、本実施形態に係るプラズマ発生装置10は、上述したプラズマ反応場に効率的に流体Sを提供するべく、陰極1及び陽極2は、電極と、電極を被覆する絶縁材とを含み、陰極1及び陽極2の少なくとも何れかは、下記(a)又は下記(b)である。図1には、一例として、陰極1は、下記(a)又は下記(b)であり、陽極2は、下記(a)又は下記(b)である態様を示す。
(a)電極が、上述の間隙(プラズマ発生領域P)側に開口端がある中空部を有すること
(b)絶縁材が、電極の外周を、該間隙側に開口端がある空間を介して囲むように設けられていること
以下、例えば、陰極1が(a)である場合について説明する。図2に示す陰極1は、棒状の電極1aと電極1aを被覆する絶縁材1bとを含む。かかる電極1aは、間隙側に開口端がある中空部Xを有する。
電極1aは、水中プラズマを効率よく発生させるために、外径が好ましくは3mm〜15mm、より好ましくは5mm〜10mm、内径(中空部の径)が好ましくは0.5mm〜10mm、より好ましくは1mm〜5mmの大きさで形成される。また、電極1aは、電界集中を妨げる余分な電流を抑えるために、好適にはプラズマ発生領域P側の先端部(例えば、0.1〜2mm程度)のみが絶縁材1bから突出(露出)していることが好ましい。
ここで、(a)及び(b)における電極は、中実の棒状体の長手方向の周縁部に囲まれた中味を上述の中空部に代えた構造を有することが好ましい。かかる構造において、電極は、当初の棒状体の周縁部から構成されることとなる。かかる構造であれば、後述のコイル状の電極と異なり、陰極1及び陽極2は、(a)の中空部の開口端及び/又は(b)の空間の開口端(本明細書において、該両開口端を総じて単に「開口端」と省略することがある。)のみから流体を供給することができる。
電極1aが中空部を有するように形成する手段としては、特に制限はないが、タングステンのように硬い金属を用いる場合には、線状の金属をコイル状に巻くことにより、全体として中空状のタングステン電極を形成する方法も考えられる。しかしながら、コイル状に巻いて隣接する金属線同士の間に空隙を生じやすく、開口端以外の中空部Xからの流体の漏出を抑制する観点からは、中実棒状のタングステン等の金属に中空部を形成することが好ましい。かかる中空部を形成する方法としては、例えば、エッチング等が挙げられる。
このように構成される陰極1及び陽極2において、中空部Xは流体供給装置5から供給される流体Sの流路をなすことができ、流体(出発原料)Sは、電極1aの端部に位置する、中空部の開口端からプラズマ発生領域に供給される。該電極1aの端部からは、プラズマ発生に関わる電子が発せられる。従って、流体(出発原料)Sにプラズマを高い確率で照射することが可能になる。流体(出発原料)Sは、電極1aの端部に接触した状態で、プラズマ相を取り囲む気相となることも可能である。その結果、プラズマ反応場で効率的に還元又は酸化されやすくなると考えられる。つまり、このように構成される陰極1及び陽極2を備えるプラズマ発生装置10では、陰極1及び陽極2の端部における、中空部の開口端以外から流体Sをプラズマ発生領域Pに供給する場合に比べ、流体Sがプラズマ反応場で効率的に還元又は酸化しやすくなる。
該中空部の開口端以外から流体を供給する場合とは、例えば、電極の端部の下に設けたマイクロバブル発生機等により被処理水3中に流体(出発原料)Sを導入したり、プラズマ発生領域Pに向けて開口する流体導入管を別途設置して該導入管から流体(出発原料)Sを供給する場合等である。このような場合は、水中プラズマの衝撃もあり、プラズマに照射されない流体Sが多く生じてしまい、特に流体が気体(気泡)であるときはプラズマと接触(照射)する確率が低くなってしまい、また、プラズマ相から離れてしまいやすいと考えられる。
次に、例えば、陰極1が(b)である場合について説明する。図3に示す陰極1’は、中実棒状の電極1cと、絶縁材であるニオブ管1d及び絶縁管1eとを含み、電極1cの長手方向の外周を、陰極と陽極との間の間隙側(陽極側)に開口端がある空間X’を介してニオブ管1d及び絶縁管1eが囲んでいる。
水中プラズマを効率よく発生させるために、電極1cの外径は、好ましくは0.5mm〜5mm、より好ましくは1mm〜3mmで形成されることが好ましく、空間X’の径方向の幅(即ち、空間X’の外径と電極1cの外径との差の半分の値)は、好ましくは0.05mm〜0.5mm、より好ましくは0.1mm〜0.3mmで形成されることが好ましい。また、電極1cは、電界集中を妨げる余分な電流を抑えるために、好適にはプラズマ発生領域P側の先端部(例えば、0.1〜2mm程度)のみが絶縁材1bから突出(露出)していることが好ましい。
このように構成される陰極1及び陽極2において、空間X’は、流体供給装置5から供給される流体Sの流路をなすことができ、流体(出発原料)Sは、電極1cの端部に位置する、空間X’の開口端からプラズマ発生領域に供給される。該電極1cの端部からは、プラズマ発生に関わる電子が発せられる。従って、流体(出発原料)Sにプラズマを高い確率で照射することが可能になる。流体(出発原料)Sは、電極1cの端部に接触した状態でプラズマ相を取り囲む気相となることも可能である。その結果、プラズマ反応場で効率的に還元又は酸化されやすくなると考えられる。つまり、このように構成される陰極1及び陽極2を備えるプラズマ発生装置10では、陰極1及び陽極2の端部又はその近傍における、空間X’の開口端以外から流体Sをプラズマ発生領域Pに供給する場合に比べ、流体Sがプラズマ反応場で効率的に還元又は酸化しやすくなる。
陰極1及び陽極2の構成が(b)である場合、電極を中空状にする工程が不要であり、(a)に比べ電極の加工工程が少ないことから、製造の容易性の点で好ましい。一方、(b)における空間を流体Sの経路とする場合には、流体(特に、気体)Sが浮力により経路(空間X’)内の上方に多く存在することがあり、プラズマ発生領域Pの上方部分にしか流体Sが供給されない場合がある。これに対し、(a)における中空部を流体Sの流路とする場合には、流体Sが経路(中空部X)全体を占めやすく、流体Sをプラズマ発生領域Pに全域に亘って供給できることから、流体(出発原料)Sにプラズマを高い確率で照射することができ、効率の点で好ましい。
なお、プラズマ発生装置10は、陰極1及び陽極2が、槽4の側面に水密を保持する栓8、9等を介して水平方向に且つ同一直線上に保持されている。栓8、9は、例えばシリコンゴム製栓等が挙げられる。陰極1及び陽極2のプラズマ発生領域P側の端部を槽4内に配し、被処理水3に浸漬する点では、陰極1及び陽極2を水平方向に且つ上下に並行に配置する構成、又は、陰極1及び陽極2を鉛直方向且つ左右に並行に配置する構成も考えられるが、その場合、プラズマ発生領域Pにおける電子移動方向と、流体Sの流出方向とが直交する構成となる。よって、陰極1及び陽極2の端部からプラズマ発生領域Pに効率的に流体Sを供給する点からは、陰極1及び陽極2は水平方向に且つ同一直線上に配置し、プラズマ発生領域Pにおける電子移動方向と、流体Sの流出方向とが同方向ないし略同方向となることが好ましい。
本実施形態に係るプラズマ発生装置10は、陰極1又は陽極2の何れか一方の構成が(a)であって、陰極1又は陽極2の何れか一方の構成が(b)であってもよい。また、図1に示すプラズマ発生装置10は、陰極1及び陽極2の両方に開口端を有し、中空部X又は空間X‘を有する構成であるが、陰極1又は陽極2の何れか一方が開口端を有し、中空部X又は空間X‘を有する構成であってもよい。例えば、陰極1が開口端を有し、陽極2が開口端を有さない(例えば、中実棒状の電極に絶縁材が直接被覆されている)構成であってもよい。
更に、図1に示すプラズマ発生装置10は、一対の陰極1及び陽極2を有する構成であるが、複数対の陰極及び陽極を有する構成であってもよい。例えば、図4に示すプラズマ発生装置10’のように、二対の陰極1及び陽極2’を有する構成であってもよい。ここで、陰極2’は、中実棒状のタングステン電極に絶縁材が直接被覆されている構成である。二箇所のプラズマ発生領域Pがある場合には、流体Sが十分に供給されるため、陽極2’からの流体Sの供給は必ずしも必要ない。なお、図4中、図1に示すプラズマ発生装置10と同一構成部材に同一符号を付し、説明を省略する。
陰極1及び陽極2の電極の材質については特に制限はないが、タングステン(W)、白金(Pt)、カーボン(C)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mb)、又はこれらの合金等が挙げられる。プラズマによる物理的変化及び化学的変化を抑制する点からは、電極はタングステンが好ましい。絶縁材は、絶縁性を有すれば、形状、材質については特に制限はないが、例えば、ガラス、アルミナやジルコニア等のセラミックスが挙げられる。
被処理水3に含有させる電解質としては、水の電気伝導度を高くすることができる化合物であれば特に限定されず、典型的には陽イオンと陰イオンとに解離し得る化合物等が挙げられる。陽イオンとしては、特に限定されず、例えば、硫酸イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等の遷移金属;亜鉛等の第12族元素;アルミニウム等の第13族元素;等の金属元素の陽イオン等が挙げられる。陰イオンとしては、特に限定されず、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等のハロゲン化物イオン;リン酸イオン、リン酸一水素イオン、リン酸二水素イオン等のリン酸系イオン;炭酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオン、ホウ酸イオン等が挙げられる。電解質は上述した陽イオンと陰イオンとの化合物単体であってもよいし、それらの二種以上の混合物であってもよい。
流体供給装置5による流体供給量、すなわち、被処理水3中の1つのプラズマ発生領域Pに対して系外から導入する流体Sの供給量は特に限定されないが、例えば、流体S中の出発原料の供給量は、0.1〜100000mL/分であり、好ましくは1〜10000mL/分であり、より好ましくは10〜1000mL/分である。
パルス電源6によるパルス電圧の印加条件は、被処理水3及び流体Sの種類や量等の条件、更には装置10の構成条件等によるものの、例えば、パルス幅が約0.05〜10μs程度のパルス電流を、繰り返し周波数約10〜10Hz程度となる範囲印加することが例示される。
また、プラズマ発生装置10において、水中プラズマを安定的に発生させるためには、被処理水3を5℃以上30℃以下の温度に保持するのが好ましい。かかる温度範囲であると、プラズマ発生に伴う水の温度上昇、延いては水の蒸発及び沸騰を抑えることができ、安定した状態の水中プラズマを発生させることができる。従って、より効率よく安定した条件で出発原料の還元化又は酸化を図ることができる。また、プラズマの発生による電極の消耗や、プラズマの不安定状態を招きにくい傾向にある。例えば、水の温度を25℃以下(例えば、20℃以下、好ましくは15℃以下)に保つことで、プラズマ反応場が安定した状態となり得、出発原料の還元化又は酸化を好適に行うことがきる。ここで、水を例えば15℃以下に保つ手段としては特に制限はなく、各種の冷却機構を利用することができる。かかる冷却機構としては、スターラー、フィン等の撹拌手段、恒温水槽等の恒温器、冷却ガス、冷却水等を環流させる循環(還流)冷却手段等が例示される。これらの冷却機構は、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。また、被処理水の温度保持と、水中プラズマによる連続的な処理とを両立させるために、当該水は循環(還流)させておくのもよい。例えば、図1に示すように、プラズマ発生装置10は、槽4に液送ポンプ11及び冷却器12を有する循環路13を有していてもよい。これら液送ポンプ11や冷却器12は、制御部7によって制御されてもよいし、別の制御部によって制御されていてもよい。
上述したように、プラズマ発生装置10は、陰極1及び陽極2の開口端からプラズマ発生領域Pに流体(出発原料)Sを直接供給することができるため、流体(出発原料)Sは、プラズマ反応場で効率的に還元又は酸化されやすくなる。よって、従来の大気プラズマや水中プラズマに比べて出発原料も少なくてすむ。また、水中プラズマの発生によるヒドロキシラジカル(OH)や過酸化水素水(H)の生成によって、被処理水の殺菌を簡便に行うことができるという効果も得られる。よって、被処理水3の殺菌が必要であっても、別途殺菌装置の設置が不要である。
<窒素源製造装置>
以下、本実施形態に係る窒素源製造装置について説明する。本実施形態に係る窒素源製造装置は、上述したプラズマ発生装置10を窒素源製造装置に適用したものであり、流体Sとして、出発原料である窒素分子を含有する窒素分子含有流体を用い、アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する窒素源を製造することを特徴とする。なお、本明細書中「アンモニア」は、アンモニア水の電離によって生成するアンモニウムイオンであってもよい。
具体的には、図1に示すように、本実施形態に係る窒素源製造装置は、陰極1と陽極2とを含み、更に、被処理水3を収容する槽4、流体供給装置5、パルス電源6、及び制御部7を含む。陰極1と陽極2とは、両者の間に電圧を印加することによりプラズマが発生する間隙を空けて配されている。制御部7は、流体供給装置5により流体Sを供給するとともに、パルス電源6により陰極1と陽極2との間に直流パルス電圧を印加してプラズマを発生させることを制御する。本実施形態に係る窒素源製造装置は、被処理水3中にてプラズマ発生領域Pを発生させ、窒素源を製造する装置である。
そして、陰極1は、電極と、該電極を被覆する絶縁材とを含み、図2及び図3で示したように、下記(a)又は下記(b)である。
(a)電極が、上述の間隙(プラズマ発生領域P)側に開口端がある中空部を有すること
(b)絶縁材が、電極の外周を、該間隙側に開口端がある空間を介して囲むように設けられていること
また、(a)及び(b)における電極は、上述したように、金属からなり、金属はタングステンであってもよい。
ここで、(a)及び(b)における陰極1は、中実の棒状体の長手方向の周縁部に囲まれた中味を上述の中空部に代えた構造を有することが好ましい。上述したように、例えば、電極1aは、コイル状に成形するよりも、中実棒状のタングステンを中空状に成形することが好ましい。
窒素源製造装置で用いられる被処理水3は、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水等を用いて調製することができ、窒素源を含んだ水であってもよい。例えば、被処理水3は、電解質として窒素源を含む化合物を溶解させて調製された水であってもよい。また、窒素源製造装置で用いられる被処理水3は、予め窒素源が含まれている地下水、雨水、湖沼水、河川水を利用してもよい。但し、被処理物に固形物が含まれていると、プラズマが発生しにくくなるため、その場合には、濾過装置により固形物を取り除かれた被処理水3とすることが好ましい。被処理水3に含まれる窒素源は、プラズマ照射の出発原料になる場合もある。
窒素源製造装置で用いられる窒素分子含有流体Sは、ボンベや産業用窒素発生装置等から供給される窒素ガスであってもよいし、大気をそのまま用いてもよく、窒素が高濃度に溶解する水溶液であってもよい。
流体供給装置5による流体供給量、すなわち、被処理水3中の1つのプラズマ発生領域Pに対して系外から導入する流体Sの供給量は特に限定されないが、例えば、窒素ガスである場合、1〜10000mL/分であり、好ましくは5〜1000mL/分であり、より好ましくは10〜500mL/分である。本発明においては、窒素含有ガスを効率的に水中プラズマと反応させることによりアンモニアを高収率で製造することができるので、従来の大気圧プラズマを用いるアンモニア製造方法に比べ、アンモニア製造量の割に上記のように有意に少量の窒素含有ガスを供給することで足りる。
パルス電源6によるパルス電圧の印加条件は、被処理水3及び流体Sの種類や量等の条件、更には装置10の構成条件等によるものの、例えば、パルス幅が約0.1〜5μs程度のパルス電流を、繰り返し周波数約10〜10Hz程度となる範囲で印加することが例示される。
窒素源製造装置においては、窒素源として、アンモニア水を回収することができる。生成したアンモニア水は、系内の条件によっては気体として回収することもでき、例えば、槽4内の被処理水3の水面の上の空間に開口を有する管等(図示せず)により、アンモニアガスとして系外に取り出し回収することができる。アンモニア水又はアンモニアガスの回収方法としては特に限定されず、例えば、既存の方法を用いることができる。
このように構成される窒素源製造装置において、上述したように、陰極1及び陽極2における中空部X又は空間X’は、流体供給装置5から供給される窒素分子含有流体の流路をなしており、陰極1及び陽極2の開口端からプラズマ発生領域Pに向けて窒素分子含有流体Sが効率的に供給される構成である。よって、このように構成される陰極1及び陽極2を備える窒素源製造装置では、上述したように、陰極1及び陽極2の開口端以外から窒素分子含有流体Sをプラズマ発生領域Pに供給する場合に比べ、窒素分子含有流体Sを効率的に還元又は酸化することができ、アンモニアや硝酸イオン等の窒素源を高収率で得ることができる。また、水中プラズマの発生によるヒドロキシラジカル(OH)や過酸化水素水(H)の生成によって、被処理水の殺菌を簡便に行うことができることから、被処理水3の殺菌にあたって、別途殺菌装置の設置が不要である。なお、アンモニアや硝酸イオン等の窒素源、ヒドロキシラジカル、過酸化水素水の生成量、及びこれらの組成比は、電極、該電極への印加電圧、被処理水等を変化させることで、調整することが可能である。
<養液供給装置>
以下、本実施形態に係る養液供給装置について説明する。本実施形態に係る養液供給装置は、養液供給路に上述した窒素源製造装置が配されている。
本実施形態に係る養液供給装置は、上述した養液供給装置を含むことから、水を水素源として、常温・常圧下において従来法よりも高い反応効率でアンモニウム態窒素や硝酸態窒素を生成して窒素固定が可能である。よって、かかる養液供給装置で供給される被処理水3は、魚類、動物プランクトン、植物等の生物の成長に必要な養液や、植物の栽培に使用される液体肥料として利用できる。また、水中プラズマによって生成された活性種は、窒素固定を促すだけではなく、菌類の分解等の殺菌作用にも効果を示すことから衛生面においても活用できる技術となり得、殺菌装置の設置が不要となることからコスト面においても有意である。
養液供給装置で用いられる被処理水3は、上述したように、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水等を用いて調製することができ、窒素源を含んだ水であってもよい。例えば、被処理水3は、電解質として窒素源を含む化合物を溶解させて調製された水であってもよい。また、養液供給装置で用いられる被処理水3は、予め窒素源が含まれている地下水、雨水、湖沼水、河川水を利用してもよい。但し、被処理物に固形物が含まれていると、プラズマが発生しにくくなるため、その場合には、濾過装置により固形物を取り除かれた被処理水3とすることが好ましい。また、養液供給装置が設置される屋内では、湿度が高く空調機等から大量のドレン水が排出されることから、このようなドレン水等の再利用水を利用してもよい。また、養液としては液体肥料が好適である。養液を得るという点から、窒素以外に、植物の3大栄養素である、リン、カリウムや、肥料保証成分である鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mb)の微量金属元素等を溶解する水溶液であってもよく、これら栄養素は電解質として溶解していてもよい。
電解質には、上述した化合物であれば制限されるものではないが、養液(液体肥料)を得るという点から、電解質には、リン酸三カリウム、リン酸水素一カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素一ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウムが好ましい。リン酸三カリウムを電解質として含有する被処理水3は、水中プラズマ処理後のpHが栽培に最適なpH6〜8に調整しやすいことから、特に好ましい。
本実施形態に係る養液供給装置で用いる電極の材質については、特に制限はないが、上述したようにプラズマによる物理的変化及び化学的変化を抑制する点からは、タングステンが好ましい。養液(液体肥料)を得る点からは、3大栄養素以外に、肥料保証成分となる微量金属元素、例えば、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mb)等を含む金属であってもよい。
<養液による育成システム>
本実施形態に係る養液による育成システムは、上述した養液供給装置を含む。
本実施形態に係る養液による育成システムは、上述した養液供給装置を含むことから、水を水素源として、常温・常圧下において従来法よりも高い反応効率でアンモニウム態窒素や硝酸態窒素を生成して窒素固定が可能である。更に、かかる育成システムは、制御部7の制御によって、被処理水3中のアンモニウムイオンや硝酸イオンの濃度を制御しやすいので、人為的に栄養素を加えることに比べ、濃度の平準化や自動制御が容易であることから、オンサイトで養液を製造して、育成システムのオートメーション化に寄与することができる。また、水中プラズマによって生成された活性種は、窒素固定を促すだけではなく、菌類の分解等の殺菌作用にも効果を示すことから衛生面においても活用できる技術となり得、殺菌装置の設置が不要となることからコスト面においても有意である。
<植物栽培システム>
本実施形態に係る植物栽培システムは、上述した養液供給装置を含む。この植物栽培システムは、いわゆる施設園芸(例えばビニールハウス)や、閉鎖環境で人工光を用いて植物を栽培する植物工場で使用することができる。
以下、植物栽培システムの構成例を図5を用いて説明する。図5の模式図は、本発明の植物栽培システムを構成する一単位を示すものともいえるが、一実施態様を示すにすぎず、本発明の植物栽培システムはこれらに限定されるものではない。
図5に示すように、植物栽培システム30は、養液被供給部となる栽培槽31及び流路14と、プラズマ発生装置(養液供給装置)10と、養液供給手段たる液相ポンプ11と、循環路15とを備える。栽培槽31は、養液32を所定量溜めることができ、例えば、植物34が植え付けられた培地33が養液32に満たされるように固定することができる。流路14は、プラズマ発生装置10で処理された被処理水である養液32を栽培槽31に供給すべく、プラズマ発生装置10と栽培槽31とを接続する。流路14内に設置された液相ポンプ11は、プラズマ発生装置10で処理された養液32を、栽培槽31に向けて送り出す。循環路15は、栽培槽31を通過した使用済溶液を必要に応じプラズマ発生装置10に戻すべく、栽培槽31とプラズマ発生装置10とを接続する。
上記構成の植物栽培システム30において、液相ポンプ11が稼働されると、プラズマ発生装置10から養液32が流路14を介して栽培槽31に送られ、栽培槽31では植物が必要に応じ栄養素を吸収する。植物に吸収されなかった養液32は、栽培槽31から循環路15を介して再びプラズマ発生装置10に供給されるか、排路(図示せず)によって外部に排出される。養液32の循環は、連続して行うようにしてもよいし、適当な時間間隔を空けて行うようにしてもよい。また、養液32の組成を検出する検出器を設け、該検出器の検出結果に基づき、養液32の循環の有無を制御する制御手段を設けてもよい。
植物栽培システム30は、上述したプラズマ発生装置(養液供給装置)10を含むことから、水を水素源として、常温・常圧下において従来法よりも高い反応効率でアンモニウム態窒素や硝酸態窒素を生成して窒素固定が可能である。更に、かかる植物栽培システム30は、制御部7の制御によって、被処理水3中のアンモニウムイオンや硝酸イオンの濃度を制御しやすいので、人為的に栄養素を加えることに比べ、濃度の平準化や自動制御が容易であることから、オンサイトで養液を製造して、植物栽培システム30のオートメーション化に寄与することができる。また、水中プラズマによって生成された活性種は、窒素固定を促すだけではなく、菌類の分解等の殺菌作用にも効果を示すことから衛生面においても活用できる技術となり得、殺菌装置の設置が不要となることからコスト面においても有意である。
なお、植物栽培システム30は、流路14内に、養液32に足りない栄養素を補充する栄養素補充装置や、養液32のpHを調整するpH調整装置や、栽培槽31内の溶液の温度を栽培に適正な温度に調整する温度調整装置を備えていてもよい。また、植物栽培システム30は、必要に応じて、循環路15内に養液32内の不純物を除去する濾過装置や、槽4内に流入する養液32の温度を、水中プラズマが発生しやすい適正な温度に調整する冷却装置12を備えていてもよい。更に、上記植物栽培システム30は、必要に応じて、栽培槽31を通過した使用済溶液を排出する排路を有していてもよい。
上述した植物栽培システム30は、プラズマ発生装置10で得られた養液32を栽培槽31に供給し、養液32を植物の根に供給する形態であったが、この形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、栽培槽31には、水生植物を植え付け、養液32を植物全体に供給する形態であってもよい。また、プラズマ発生装置10で得られた被処理水3は殺菌効果を有することから、植物栽培システム30は、被処理水3を栽培槽31の上方から植物に向けて散布する形態であってもよい。これにより、植物の葉に付着した菌を除菌又は殺菌することができる。
<窒素源を製造する方法>
本実施形態に係るアンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する窒素源を製造する方法は、上述したプラズマ発生装置(窒素源製造装置)を用いて水中においてプラズマを発生させること、及び、窒素分子含有流体が上記何れかの装置により、陰極及び陽極の開口端からプラズマ発生領域Pに供給されることにより、窒素分子が反応してアンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つに変化することを含む方法である。
上述したように、本実施形態に係るアンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する窒素源を製造する方法は、陰極及び陽極の開口端以外から窒素分子含有流体をプラズマ発生領域に供給する場合に比べ、窒素分子含有流体を効率的に還元又は酸化することができ、アンモニアや硝酸イオン等の窒素源を高収率で得ることができる。また、水中プラズマの発生によるヒドロキシラジカル(OH)や過酸化水素水(H)の生成によって、被処理水の殺菌を簡便に行うことができることから、被処理水の殺菌にあたって、別途殺菌装置の設置が不要である。
<二酸化炭素を還元する方法>
本実施形態に係る二酸化炭素を還元する方法は、上述したプラズマ発生装置を用いて水中においてプラズマを発生させること、及び、二酸化炭素分子含有流体が陰極及び陽極の開口端からプラズマ発生領域Pに供給されることにより、二酸化炭素分子が反応して一酸化炭素及びその他の二酸化炭素還元物からなる群より選択される少なくとも1つに変化することを含む方法である。二酸化炭素分子含有流体としては、例えば、二酸化炭素ガス等の気体のほか、二酸化炭素ガスが高濃度に溶解した水溶液等の液体等が挙げられる。
上述したように、本実施形態に係る一酸化炭素及びその他の二酸化炭素還元物からなる群より選択される少なくとも1つを含有する二酸化炭素を還元する方法は、陰極及び陽極の開口端以外から窒素分子含有流体をプラズマ発生領域に供給する場合に比べ、窒素分子含有流体を効率的に還元又は酸化することができる。
本実施形態に係る二酸化炭素を還元する方法は、上述した窒素固定化に限らず、このように二酸化炭素など多様な物質に応用して、該多様な物質を還元ないし変換する方法をも提供することができる。
次に、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[実施例1]
図1で示す構成のプラズマ発生装置10に、図2に示す(a)陰極1及び陽極2を用いて、水中プラズマ処理を行った。
陰極1及び陽極2には、セラミックス製の絶縁管(外径5mm、内径3mm)に被覆されたタングステン電極(外径3mm、内径1mm)であり、直径が1mmとなる中空部Xが形成されるものを用意した。この陰極1及び陽極2を、0.5mmの間隔を空けて対向するように、ガラス製の槽4に栓8,9を介して水平方向に取付け、流体供給装置5により中空部X内に窒素ガスを導入できるようにした。そして、被処理水3として、導電率(電気伝導度)が300μS/cmとなるように調製したリン酸三カリウム水溶液を350mL入れ、陰極1及び陽極2から送り出す窒素ガスの流量を各々100mL/minに設定した。そして、液中プラズマ発生用電源(MPP−HV04、栗田製作所)を用いて水中プラズマ処理を行った。パルス電源6の条件は、周波数100kHz、パルス幅0.18μs、電圧4kVとした。
[実施例2]
図1で示す構成のプラズマ発生装置10に、図3に示す(b)陰極1及び陽極2を用いて、水中プラズマ処理を行った。
陰極1及び陽極2には、セラミックス製の絶縁管(外径5mm、内径3mm)に被覆されたニオブ管(外径3mm、内径2.4mm)の中に、電極としてタングステン電極(直径2mm)を挿入し、径方向の幅が0.4mmとなる空間X’が形成されるものを用意した。この陰極1及び陽極2を、0.5mmの間隔を空けて対向するように、ガラス製の槽4に栓8,9を介して水平方向に取付け、流体供給装置5により空間X’内に窒素ガスを導入できるようにした。そして、被処理水3として、導電率(電気伝導度)が300μS/cmとなるように調製したリン酸三カリウム水溶液を350mL入れ、陰極1及び陽極2から送り出す窒素ガスの流量を各々100mL/minに設定した。そして、液中プラズマ発生用電源(MPP−HV04、栗田製作所)を用いて水中プラズマ処理を行った。パルス電源6の条件は、周波数100kHz、パルス幅0.18μs、電圧4kVとした。
[実施例3]
図4で示す構成のプラズマ発生装置10に、図2に示す(a)陰極1及び陽極2を2対用いて、水中プラズマ処理を行った。
二対の陰極1には、セラミックス製の絶縁管(外径5mm、内径3mm)に被覆されたタングステン電極(外径3mm、内径1mm)であり、直径が1mmとなる中空部Xが形成されるものを用意した。2対の陽極2には、セラミックス製の絶縁管(直径2mm、内径1mm)に被覆された直径1mmのタングステン電極を差し込んだものを用意した。これらの二対の陰極1及び陽極2を、0.5mmの間隔を空けて対向するように、ガラス製の槽4に栓8,9を介して水平方向に取付け、流体供給装置5により中空部X内に窒素ガスを導入できるようにした。そして、被処理水3として、導電率(電気伝導度)が300μS/cmとなるように調製したリン酸三カリウム水溶液を350mL入れ、陰極1及び陽極2から送り出す窒素ガスの流量を各々100mL/minに設定した。そして、液中プラズマ発生用電源(MPP−HV04、栗田製作所)を用いて水中プラズマ処理を行った。パルス電源6の条件は、周波数100kHz、パルス幅0.18μs、電圧4kVとした。
[実施例4]
図4で示す構成のプラズマ発生装置10に、図2に示す(b)陰極1及び陽極2を2対用いて、水中プラズマ処理を行った。
二対の陰極1には、セラミックス製の絶縁管(外径5mm、内径3mm)に被覆されたニオブ管(外径3mm、内径2.4mm)の中に、電極としてタングステン電極(直径2mm)を挿入し、径方向の幅が0.4mmとなる空間X’が形成されるものを用意した。2対の陽極2には、セラミックス製の絶縁管(直径2mm、内径1mm)に被覆された直径1mmのタングステン電極を差し込んだものを用意した。これらの二対の陰極1及び陽極2を、0.5mmの間隔を空けて対向するように、ガラス製の槽4に栓8,9を介して水平方向に取付け、流体供給装置5により空間X’内に窒素ガスを導入できるようにした。そして、被処理水3として、導電率(電気伝導度)が300μS/cmとなるように調製したリン酸三カリウム水溶液を350mL入れ、陰極1及び陽極2から送り出す窒素ガスの流量を各々100mL/minに設定した。そして、液中プラズマ発生用電源(MPP−HV04、栗田製作所)を用いて水中プラズマ処理を行った。パルス電源6の条件は、周波数100kHz、パルス幅0.18μs、電圧4kVとした。
[被処理水の評価]
各実施例の被処理水のサンプルを、処理時間0(水中プラズマ処理なし)、30分、1時間、3時間、及び6時間において採取し、被処理液に含まれるアンモニウムイオン(NH )、硝酸イオン(NO )、カリウムイオン(K)、リン酸イオン(PO )の測定を行い、単位時間当たりの生成量を算出した。また、1時間処理後のpHの測定を行った。
アンモニウムイオンの測定は、インドフェノール法を用いた。インドフェノール法とはアンモニアからインドフェノール青色素を合成し、紫外可視分光光度計にて635nmの吸光度を測定する方法である。このインドフェノール青を用いてアンモニウムイオン濃度の異なる試料から検量線を作成し、アンモニウムイオンの濃度を算出した。
アンモニウムイオン以外の窒素化合物、カリウムイオン、リン酸イオンの測定は、イオンクロマトグラフィーによって測定した。
その結果、実施例の何れにおいても、プラズマ処理時間に応じてアンモニウムイオン、硝酸イオン、カリウムイオン、硫酸イオンの生成量が増すことが確認できた。なお、亜硝酸イオンは検出されなかった。
市販の液体肥料が、アンモニウムイオン2mg/L、硝酸イオン93mg/L、カリウムイオン38mg/L、リン酸イオン9mg/Lであるのに対し、実施例1の養液は、1時間で市販の液体肥料に匹敵するアンモニウムイオン、硝酸イオンを得ることができ、カリウムイオンは55ppm、リン酸イオンは45ppmであった。同様に、実施例2の養液は、30分〜1時間で市販の液体肥料に匹敵するアンモニウムイオン、硝酸イオンを得ることができ、カリウムイオンは55ppm、リン酸イオンは45ppmであった。実施例2のアンモニウムイオン及び硝酸イオンについての結果を、図6及び図7に示す。図7は、図6に示す結果における、処理時間0〜0.5時間の結果を拡大した図である。また、実施例1、2の溶液のpHは7.6と、植物栽培に適切なpH範囲に収まった。実施例1、2の被処理水は、市販の液体肥料と同様に、バジルの種を発芽させ、本葉まで順調に生長させることができることが確認された。
各実施例の単位時間当たりのアンモニウムイオン及び硝酸イオンの生成量と、市販の液体肥料の濃度を表1に示す。上述したように、陰極1の構成が(a)である方が、(b)である場合よりも窒素ガスをより効率的にプラズマ発生領域に供給できるため、特に、実施例1、3の被処理水は、実施例2、4の養液に比べ、アンモニウムイオン及び硝酸イオンの単位時間当たりの生成量が多くなると考えられる。
なお、各実施例について、アンモニウムイオンや硝酸イオンが窒素ガス由来であることを確認するべく、リン酸三カリウム水溶液をアルゴンガスで脱気した後、導入したガスを窒素からアルゴンに変えて水中プラズマ処理を行ったところ、1時間処理した溶液からはアンモニアの窒素化合物は検出されなかった。
[被処理水の殺菌性の評価]
実施例2で得られた養液と、比較例1としてリン酸三カリウム水溶液、比較例2として市販の液体肥料(アンモニウムイオン2mg/L、硝酸イオン93mg/L、カリウムイオン38mg/L、リン酸イオン9mg/L)を用意した。これら実施例2、比較例1、比較例2の養液をそれぞれビーカー内に投入し、これにバジルの種が植え付けられたウレタン培地を固定した。
植え付け初日と4日後に、洗浄チェッカー(装置名:ルミテスターPD−30、キッコーマンバイオケミファ株式会社製)を用いた拭き取り検査により、養液(水溶液)内のATP(アデノシン三リン酸)量を測定した。その結果を図8に示す。なお、ATP(アデノシン三リン酸)は、生物がもつエネルギー代謝に必要な物質であり、菌の発生数と相関性をもつ指標である。
また、4日後の実施例2及び比較例2(市販の液体肥料)のウレタン培地の様子を観察した。実施例1のウレタン培地を撮影した写真を図9、比較例2のウレタン培地を撮影した写真を図10に示す。
図8の結果から、実施例2の養液は、4日経過後も清浄性に優れ、養液の殺菌効果が高いことが確認された。これに対し、比較例1のリン酸三カリウム水溶液は、生物の栄養源となる窒素源をほとんど含まないにもかかわらず、4日後にはわずかに含まれる雑菌が繁殖してしまったものと考えられる。また、比較例2の市販の液体肥料は、生物の栄養源となる窒素源等が多く含まれているため、4日後にはわずかに含まれる雑菌が大幅に繁殖してしまった。これは、植物の病気を招く原因となってしまう。
また、図9及び図10の結果から、実施例2のウレタン培地では藻の発生を抑制できたものの、比較例2(市販の液体肥料)のウレタン培地には、藻が発生していることが確認された。このことからも、実施例2の養液には、藻の繁殖を抑える殺菌効果があることが確認された。
[二酸化炭素の還元]
図1で示す構成のプラズマ発生装置10に、図2に示す(a)陰極1及び陽極2を用いて、水中プラズマ処理を行った。
陰極1及び陽極2には、セラミックス製の絶縁管(外径5mm、内径3mm)に被覆されたタングステン電極(外径3mm、内径1mm)であり、直径が1mmとなる中空部Xが形成されるものを用意した。この陰極1及び陽極2を、0.5mmの間隔を空けて対向するように、ガラス製の槽4に栓8,9を介して水平方向に取付け、流体供給装置5により中空部X内に二酸化炭素ガス等の二酸化炭素分子含有流体を導入できるようにした。そして、被処理水3として、超純水を350mL入れ、陰極1及び陽極2から送り出す二酸化炭素ガスの流量を各々100mL/minに設定した。そして、液中プラズマ発生用電源(MPP−HV04、栗田製作所)を用いて水中プラズマ処理を行った。パルス電源6の条件は、周波数100kHz、パルス幅0.18μs、電圧4kVとした。
発生したガスをテドラーバッグにて捕集し、ガスクロマトグラフィーにて測定したところ、二酸化炭素の他に一酸化炭素及び水素を検出した。一酸化炭素濃度は30分処理後で0.3mmol/L、1時間処理後で3mmol/Lと見積もられた。
1 陰極
2 陽極
3 被処理水
4 槽
5 流体供給装置
6 パルス電源
7 制御部
8、9 栓
10 プラズマ発生装置
11 冷却装置
12 液送ポンプ
13 循環路
14 流路
15 循環路
30 植物栽培システム
31 栽培槽
32 養液
33 培地
34 植物

Claims (11)

  1. 陰極と陽極とを含む窒素源製造装置であって、
    前記陰極と前記陽極とは、両者の間に電圧を印加することによりプラズマが発生する間隙を空けて配されており、
    前記陰極及び前記陽極は、電極と、前記電極を被覆する絶縁材とを含み、前記電極の前記間隙側の先端部は、前記絶縁材で被覆されずに露出しており、
    前記陰極及び前記陽極の少なくとも何れかは、下記(a)又は下記(b)であり、
    (a)前記電極が、前記間隙側に開口端がある中空部を有すること
    (b)前記絶縁材が、前記電極の外周を、前記間隙側に開口端がある空間を介して囲むように設けられていること
    前記(a)における前記中空部及び前記(b)における前記空間は、流体供給装置により供給される窒素分子含有流体の流路をなし、
    前記窒素源は、アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する、窒素源製造装置。
  2. 前記(a)及び前記(b)における電極は、金属からなり、
    前記金属は、タングステンであってもよい、請求項記載の窒素源製造装置。
  3. 前記(a)及び前記(b)における電極は、中実の棒状体の長手方向の周縁部に囲まれた中味を前記中空部に代えた構造を有する、請求項又は記載の窒素源製造装置。
  4. 更に、槽、前記流体供給装置及び制御部を含む請求項の何れか1項記載の窒素源製造装置であって、
    前記槽内に前記(a)及び前記(b)における開口端が配され、
    前記制御部は、前記流体供給装置により前記窒素分子含有流体を供給するとともに、前記陰極と前記陽極との間に直流パルス電圧を印加してプラズマを発生させることを制御する、
    窒素源製造装置。
  5. 前記窒素分子含有流体は、窒素分子含有液体、窒素ガス又は大気である、請求項の何れか1項記載の窒素源製造装置。
  6. 前記窒素源は、養液であり、前記養液は、液体肥料であってもよい、請求項の何れか1項記載の窒素源製造装置。
  7. 養液を供給する養液供給装置であって、
    前記養液の供給路に請求項記載の窒素源製造装置が配されている、養液供給装置。
  8. 容器及び流路からなる群より選択される少なくとも1つの養液被供給部と、
    請求項記載の窒素源製造装置と、
    前記窒素源製造装置により製造された養液を前記養液被供給部に供給する養液供給手段と、
    前記養液被供給部を通過した使用済養液を排出する排路、又は、前記養液被供給部を通過した使用済養液を前記窒素源製造装置に戻す循環路と、
    を含む、養液供給装置。
  9. 請求項又は記載の養液供給装置を含む、養液による育成システム。
  10. 請求項又は記載の養液供給装置を含む、植物栽培システム。
  11. アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つを含有する窒素源を製造する方法であって、前記方法は、
    求項の何れか1項記載の窒素源製造装置を用いて水中においてプラズマを発生させること、及び、
    窒素分子含有流体が前記何れかの装置により前記開口端から前記プラズマが発生する領域に供給されることにより、前記窒素分子が反応して前記アンモニア及び硝酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つに変化すること
    を含む、方法。
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