JP2009054557A - 液体中プラズマ発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大容積中の液体を省エネルギーでプラズマ処理する液体中プラズマ発生装置の提供。
【解決手段】液体中プラズマ発生装置1内に、被電気分解溶液(電解質溶液)5を電気分解するための対向する直流電圧印加用電極3の一対と、その単電極の一つおよび電気分解によって発生した気泡6−1の双方に接着するように配置された誘電体で被覆された交流電圧印加用電極4が電解質溶液5中浸漬し、交流電圧印加用電極4からの交流電圧印加により直流電圧印加用電極3を固定電極として誘電体バリア放電が励起され、プラズマが気泡6−1内に生成される。
【選択図】図1

Description

本発明は常温常圧下にある液体中においてプラズマを発生させる装置に関するものである。液体を反応場とし、プラズマのエネルギー、プラズマの化学作用、プラズマの物理作用を必要とするあらゆる液体改質技術分野に利用される。例えば汚水処理技術分野であり、飲料水における滅菌処理や水質改善技術分野である。また、半導体、ガラス、プラスチック、セラミクス、高分子材料、金属、紙などの液体による表面処理技術分野にも利用される。
液体中でプラズマを発生させる要件は気泡の形成とその気泡内でのプラズマの励起である。気泡を創生する手段としては超音波やレーザによる液体の局所加熱分解、液体の電気分解や液体と空気等外部気体との高速攪拌混合などがある。一方液体中に形成された気泡をプラズマ化する方法としてはレーザ照射、電磁マイクロ波照射(特許文献1)や局所的直流放電(非特許文献1)が報告されている。
液体中でプラズマを発生させる事の実用的意義は液体中の汚染物質の除去、滅菌などに効果が得られることである。また特許文献1によれば液体構成原子、分子からなるプラズマにより薄膜の形成も可能であることが示されている。
特許3624238 Masato Kurahashi,Shinji Katsura and Akira Mizuno:Radical formation due to discharge inside bubble in liquid,Journal of Electronics 42(1997)93−105.
液体中にプラズマを得て液質を改善しようとする場合、日常的に使用される大量の液体を想定してプラズマ発生方法は大容積に対応できるものでなければならず、且つ環境改善の趣旨に沿って省エネルギーに配慮したものでなければならない。以上の観点に立って本発明はなされており、その解決しようとする課題は大容積中の液体を省エネルギーでプラズマ処理する方法を提供することである。
液体中に気泡を発生させる手段として電解質溶液の電気分解を用いた。大容量液体に対応するよう、電気分解用電極は大面積化することが可能であるしまた棒状の電極であれば複数個並列に配置することも可能である。気泡は電気分解用電極に直流電圧を印加することにより陽極および陰極表面に発生する。この気泡内にプラズマを誘起するために電気分解用電極を交流的な接地電極として交流電圧を印加するための電極を該電気分解用電極に接着して設ける。このとき交流印加電極は誘電体で被覆されており、また電気分解用電極と交流印加電極の双方に接して同一の気泡が発生配置されるよう両電極の接着配置の仕方に配慮がなされている。交流印加用電極が電気分解用電極表面を覆うことで大容量液体中でのプラズマ励起が可能となる。本発明で用いられるプラズマ励起の方法は誘電体バリア放電であり、得られるプラズマは低温非平衡プラズマである。また気泡を生成する手段である電気分解では液体を高温にする必要もない。従って本発明による液体中にプラズマを発生させる手段は大容量の液体処理に対応可能であると同時に同目的達成手段としては最も省エネルギーなものの一つとなる。
この発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1(a)において液体プラズマ発生装置(1)内に平面状の電気分解用電極(3)が対向して配置され、その陽極電極に接着して複数本の交流印加用棒状電極(4)が該陽極電極面全体に亘って設けられている。電極(3)はステンレス鋼や他の鉄合金やNiやNi合金などの金属で構成される。また電極(4)はテフロンなどの誘電体で被覆された銅合金などの金属棒である。テフロン皮膜厚としては100μmから200μmが望ましい。(2)は反応容器であり電極とともにNaOHやNaCOなどの電解質溶液(5)を収容する。(7)および(8)はそれぞれ電気分解用直流電源、プラズマ発生用交流電源である。
各交流印加用棒状電極(4)の間隔は気泡(6−1)が成長して電極(3)表面から脱出する臨界径より小さくしておくことが望ましく、このことにより隣接する電極(4)に挟持されて電極(3)面の垂直方向に気泡が成長することができる。電極(3)と電極(4)に接して成長した気泡(6−1)内では、電極(4)からの交流電圧印加により電極(3)を固定電極として誘電体バリア放電が励起され、プラズマが生成される。従って気泡内にプラズマが誘起されるためには気泡が(3)および(4)の両電極に接していることが要件であり、電極(3)にのみ接して在る気泡(6−2)内にはプラズマは生じない。図1(b)は気泡発生領域を図1(a)の断面方向から見たものである。
以上図(1)において示された形態は、交流印加用電極と接着する電気分解用電極が平面状であり、交流印加用誘電体被覆電極は線状である。この両電極の面状あるいは線状の形状変化の組み合わせによりさらに以下の形態が実現される。
まず図(2)は交流印加用電極と接着する電気分解用電極が線状であり交流印加用電極が面状である場合を示している。図(2)aは装置全体、図(2)bは気泡発生近辺における図(2)aの断面を示す。次に図(3)は両電極ともに線状の場合を示す。さらに図(4)は電気分解用電極が棒状であり、その一極に誘電体被覆交流印加用電極がヘリカル状に接着して巻かれている。この構造により、より自在に反応容器(2)内に複数個の電極を配置することができる。
このような形態を用いて実施された例を以下に示す。プラズマ発生用交流周波数は100KHzとした。低温非平衡プラズマを実現するためには、半周期ごとにプラズマ生成・消滅を繰り返して連続的なプラズマとならないことが必要であり、そのための液中プラズマに対する最大プラズマ発生用交流周波数は50MHz程度である。逆に、低周波数側の限定は無いが、周波数が高いほうがプラズマの単位時間当たりの生成量は多くなり、結果として生じる液質改善処理量も多くなるため、液質改善の目的のためには1kHz以上が実質的に有効である。
本実施例では、電気分解で生成した水素を主に利用して水中の二酸化炭素を還元した。液中の気泡内に水素プラズマが生成されることで、その中の電子と解離された水素原子が、周囲の水中に存在する物質に対して作用する。本実施例における水中の反応は以下のようなものである。
2CO+e→2CO+O+e
4CO+6H→2CO+3O
CO+H→HCOOH→CO+H
2CO+3HO→CO+2O
CO+4H→CH+2H
これは、例えば、火力発電所から出る排ガスに含まれる二酸化炭素を処理するのに有効であり、温室効果ガスである二酸化炭素の固定化に資する。
実際に生成した水素の気泡内の水素プラズマの発光スペクトルを分析したところ、656nmと486nmの水素原子の発光スペクトルが最も強く観測された。すなわち、気泡内に生成されたプラズマにおいては周囲の水の影響は少なく、気泡を構成する水素ガスが主として電離されていることがわかる。これにより、液質改善効果に働くのは、解離された水素原子とプラズマ中の電子であると結論される。
発明の効果
本発明は、大気圧下において大容量の電解質液体中でプラズマを任意の領域および場所に発生させ、該プラズマにより該電解質液体を改質することを可能にするものであり、大量の汚水処理や局所的な部材部位の表面処理など実用用途に柔軟に対応することができる。プラズマによる反応場が大気圧下の液体中に創生されることにより安全かつ簡便にプラズマ反応を利用することが可能となる。
(a)面状電気分解用電極と線状交流印加用電極で構成される本発明による液体中プラズマ発生装置である。(b)図の気泡発生近辺の断面図である。 (a)線状電気分解用電極と面状交流印加用電極で構成される本発明による液体中プラズマ発生装置である。(b)図の気泡発生近辺の断面図である。本発明による平面プラズマ照射装置である。 線状電気分解用電極と線状交流印加用電極で構成される本発明による液体中プラズマ発生装置である。 棒状電気分解用電極と線状交流印加用電極で構成される本発明による液体中プラズマ発生装置である。
符号の説明
1…プラズマ発生装置
2…容器
3…電気分解用電極
4…交流印加電極
5…被電気分解溶液
6−1…プラズマ励起気泡
6−2…無プラズマ気泡
7…電気分解用直流電源
8…プラズマ発生用交流電源

Claims (10)

  1. 電解質溶液中に誘電体で被覆された交流印加用電極が電気分解用電極と接着して配置され、且つ電気分解によって交流電極と電気分解用電極の双方に接して気泡が発生することを特徴とする液体中プラズマ発生装置。
  2. プラズマ発生用交流周波数が1kHz以上、50MHz以下であることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  3. 電気分解用電極の一極が平板状であり、該電極に接着して線状の誘電体被覆交流電極が複数本間隔を置いて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  4. 電気分解用電極の一極が間隔を置いた複数本の線状電極群であり、該電極群に接着して誘電体で被覆された平板状交流電極が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  5. 電気分解用電極の一極が間隔を置いた複数本の線状電極群であり、該電極群に接着して複数本の誘電体で被覆された線状交流用電極群が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  6. 電気分解用電極の一極が間隔を置いた複数本の棒状電極群であり、該各棒状電極に誘電体で被覆された線状交流用電極が接着して螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  7. 交流電極を被覆する誘電体がテフロンでありその被覆厚が50μmから300μmであることを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  8. 電気分解用電極がステンレス鋼あるいはNi基合金で構成される請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  9. 液体の電気分解により水素からなる気泡を発生させ、その気泡内のプラズマにより該液体に還元作用をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
  10. 液体の電気分解により酸素からなる気泡を発生させ、その気泡内のプラズマにより該液体に酸化作用をもたらすことを特徴とする請求項1に記載の液体中プラズマ発生装置。
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