[第1実施形態の眼科装置の構成]
図1は、本発明の第1実施形態の眼科装置10の側面図である。この眼科装置10は、被検者の被検眼Eの各種の眼特性の測定、観察、及び撮影等の取得(以下、単に「測定」と略す)を行う。このような眼科装置10としては、眼底カメラ、OCT(optical coherence tomography)、SLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、眼軸長計、スリットランプ、レフラクトメータ、ケラトメータ、トノメータ、スペキュラマイクロスコープ、及びこれらの複合機等が例として挙げられる。
ここで、図中のX軸方向は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y軸方向は上下方向であり、Z軸方向は被検者に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。従って、Z軸方向及びX軸方向は水平方向に含まれる。
図1に示すように、眼科装置10は、本発明のベースに相当する本体ベース12(基台ともいう)と、顔支持部13と、本発明の駆動部に相当する電動駆動部14と、本発明の眼特性取得部に相当する測定ユニット15と、モニタ16と、本発明の操作部に相当する操作レバー17と、を備える。本体ベース12のZ軸方向前方側(被検者側)の端部には顔支持部13が設けられ、且つ本体ベース12の上面には電動駆動部14が設けられている。
顔支持部13は、Y軸方向に位置調整可能な不図示の顎受け及び額当てを有しており、眼科装置10による測定時に被検者の顔を支持する。
電動駆動部14は、本体ベース12上において後述の測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動自在に保持している。電動駆動部14は、後述の制御部65(図8参照)の制御の下、本体ベース12に対して測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動させることにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを行う。この測定ユニット15の移動には、例えば被検眼Eの前眼部像を取得可能な位置への測定ユニット15の移動、及び被検眼Eの左右切替の際の測定ユニット15の移動などを行う場合の粗動(高速移動)と、例えば狭い範囲での精密なアライメントを行う場合の微動(低速移動)と、が含まれる。
なお、本実施形態の眼科装置10では、アライメントを自動で行うオートアライメントと、アライメントを手動操作(マニュアル操作)で行う手動アライメントと、を選択することができる。
電動駆動部14は、Z軸ベース21と、Z軸駆動部22と、X軸ベース23と、X軸駆動部24と、Y軸駆動部25と、を備えている。
Z軸ベース21は、本体ベース12上に設けられている後述のZ軸駆動部22のさらに上方に設けられており、このZ軸駆動部22によりZ軸方向に移動自在に保持されている。このZ軸ベース21の下面には、Z軸方向に並べて配置された一対の軸受27が2組設けられている(図2参照)。2組の一対の軸受27は、X軸方向に間隔をあけて設けられている(図2参照)。また、2組の一対の軸受27には、それぞれZ軸方向に平行な不図示の貫通穴が形成されている。
また、Z軸ベース21の下面には、X軸方向において2組の一対の軸受27の間に位置するように、ハウジング28(本発明の第1係合部に相当)が設けられている(図2参照)。ハウジング28は、後述のナット32と係合してナット32と一体にZ軸方向に移動可能な形状、例えばナット32の上方からナット32をZ軸方向に挟み込む形状を有している。このハウジング28は、ナット32のZ軸方向の移動に伴い、Z軸ベース21、X軸駆動部24、X軸ベース23、及びY軸駆動部25を介して、測定ユニット15と一体にZ軸方向に移動する。
図2は、図1中の2−2線に沿う断面図(Z軸駆動部22の上面図)である。図1及び図2に示すように、Z軸駆動部22は、本体ベース12上に設けられている。このZ軸駆動部22は、Z軸方向に平行な2本のZガイド軸30と、2組の一対の軸固定部31と、ナット32(本発明の第2係合部に相当)と、送りねじ33と、Z軸モータ34と、を備える。
2本のZガイド軸30は、それぞれ2組の一対の軸受27の貫通穴に挿通されている。そして、各Zガイド軸30の両端部は、本体ベース12の上面に設けられた2組の一対の軸固定部31によりそれぞれ保持されている。これにより、Z軸ベース21は、一対の軸受27を介して、Zガイド軸30によりZ軸方向に移動自在に保持、すなわち本体ベース12上でZ軸方向に移動自在に保持される。
ナット32は、既述のハウジング28に係合、すなわちハウジング28により上方からZ軸方向に挟み込まれている。この際に、ナット32は、ハウジング28に対してZ軸周りに相対回転不能な状態でハウジング28に係合されている。
送りねじ33は、Z軸方向に平行な姿勢で既述のハウジング28をZ軸方向に貫通し、且つこのハウジング28に係合しているナット32に螺合している。この送りねじの一端部には、本体ベース12上に設けられたZ軸モータ34が接続されている。なお、送りねじ33は、後述のZ軸モータ34と共に本発明の駆動源を構成する。
Z軸モータ34は、後述の制御部65(図8参照)の制御の下、送りねじ33を回転駆動する。この送りねじ33の回転駆動によって、ナット32を介してハウジング28をZ軸方向に移動できると共に、さらにこのハウジング28を介してZ軸ベース21をZ軸方向に移動できる。その結果、Z軸ベース21上に設けられているX軸駆動部24、X軸ベース23、Y軸駆動部25、及び測定ユニット15を一体的にZ軸方向に移動できる。すなわち測定ユニット15等を本体ベース12に対してZ軸方向に相対移動できる。また、Z軸モータ34により送りねじ33の回転方向を制御することで測定ユニット15等のZ軸方向の移動方向を制御できると共に、送りねじ33の回転速度を制御することで測定ユニット15等のZ軸方向の移動速度を制御できる。
X軸ベース23は、Z軸ベース21上に設けられている後述のX軸駆動部24のさらに上方に設けられており、このX軸駆動部24によりX軸方向に移動自在に保持されている。このX軸ベース23の下面には、2組の一対の軸受37と、ハウジング38(本発明の第1係合部に相当)とが設けられている。これら一対の軸受37及びハウジング38は、既述の一対の軸受27及びハウジング28をそれぞれY軸周りに90度回転させた構造(配置)である。なお、ハウジング38は、後述のナット42に係合し、このナット42のX軸方向の移動に伴い、X軸ベース23及びY軸駆動部25を介して、測定ユニット15と一体にX軸方向に移動する。
X軸駆動部24は、Z軸ベース21上に設けられている。このX軸駆動部24は、X軸方向に平行な2本のXガイド軸40と、2組の一対の軸固定部41と、ナット42と、送りねじ43と、X軸モータ44と、を備える。なお、ナット42は本発明の第2係合部に相当し、送りねじ43及びX軸モータ44は本発明の駆動源に相当する。
これらX軸駆動部24の各部は、既述のZ軸駆動部22の各部をそれぞれY軸周りに90度回転させた構造(配置)である。従って、X軸モータ44が後述の制御部65(図8参照)の制御の下で送りねじ33を回転駆動することにより、ナット42を介して、ハウジング38及びX軸ベース23を本体ベース12に対してX軸方向に相対移動できる。その結果、X軸ベース23上に設けられているY軸駆動部25及び測定ユニット15を一体的にX軸方向に移動できる。また、X軸モータ44によって、送りねじ43の回転方向を制御することで測定ユニット15等のX軸方向の移動方向を制御し、且つ送りねじ43の回転速度を制御することで測定ユニット15等のX軸方向の移動速度を制御できる。
Y軸駆動部25は、円筒ハウジング50と、支柱51と、ナット52と、送りねじ53と、Y軸モータ54とを備える。円筒ハウジング50は、Y軸方向に平行な円筒形状を有しており、X軸ベース23の上面に固定されている。この円筒ハウジング50内には、その上端側の開口から内部に挿入された支柱51が嵌合している。
また、円筒ハウジング50内には送りねじ53及びY軸モータ54が収納される。具体的に、Y軸モータ54は円筒ハウジング50内においてX軸ベース23上に固定されている。また、送りねじ53は、その下端側がY軸モータ54に接続されており、円筒ハウジング50内においてY軸方向に平行な姿勢でY軸モータ54に保持されている。
支柱51は、Y軸方向に平行な円筒形状を有しており、その下端側から円筒ハウジング50内に嵌合している。また、支柱51の上端部には測定ユニット15が固定されている。そして、支柱51の下端側の内周面には、その周方向に沿ってナット52が係合する環状の係合溝51aが形成されている。ナット52は、支柱51内の係合溝51aに対してY軸周りに相対回転不能な状態で係合しており、支柱51と一体にY軸方向に移動する。
送りねじ53は、既述の支柱51内にその下方から嵌合している。また、送りねじ53は、支柱51内の係合溝51aに係合しているナット52に螺合している。
Y軸モータ54は、後述の制御部65(図8参照)の制御の下、送りねじ53を回転駆動することにより、ナット52を介して支柱51をY軸方向に移動させる。その結果、測定ユニット15をY軸方向に移動できる。また、Y軸モータ54によって、送りねじ53の回転方向を制御することで測定ユニット15のY軸方向の移動方向を制御すると共に、送りねじ53の回転速度を制御することで測定ユニット15のY軸方向の移動速度を制御できる。
このようにZ軸モータ34、X軸モータ44、及びY軸モータ54をそれぞれ駆動することにより、測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動(粗動又は微動)させることができる。
測定ユニット15は、眼科装置10が測定する眼特性の種類に対応した測定光学系15a(撮像素子及び各種光源を含む)を有している。この測定ユニット15は、アライメント検出時にはアライメント検出用の検出信号(被検眼Eの前眼部の観察像等)を後述の制御部65(図8参照)へ出力し、被検眼Eの眼特性の測定時には測定用の測定信号を制御部65へ出力する。なお、測定ユニット15及びその測定光学系15aの構成について周知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
モニタ16は、測定ユニット15のZ軸方向後方側(操作者側)の端部に取り付けられている。モニタ16としては、例えばタッチパネル式の液晶表示装置が用いられる。このモニタ16は、測定ユニット15により得られた被検眼Eの眼特性の測定結果、測定ユニット15のアライメント等に利用される被検眼Eの前眼部の観察像、及び眼特性の測定に係る操作(測定ユニット15の位置調整を含む)を行うための操作画面等を表示する。
操作レバー17は、例えばX軸ベース23上のZ軸方向後方側の端部に取り付けられている。なお、操作レバー17の頂部には測定ボタンが設けられており、この測定ボタンを押下することで被検眼Eの眼特性の測定を開始することができる。
操作レバー17は、測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向に手動で移動操作するための操作部である。例えば、操作レバー17をその長手軸周りに回転(時計回り又は反時計回りに回転)することで、既述のY軸モータ54が駆動され、測定ユニット15がY軸方向(上下方向)に移動する。この際に、操作レバー17の回転方向を切り替えることで、Y軸モータ54による送りねじ53の回転方向が切り替えられるため、既述のように測定ユニット15をY軸方向に移動させることができる。また、操作レバー17の回転角度を調整することで、測定ユニット15のY軸方向の粗動と微動とが切り替えられる。なお、操作レバー17の回転角度は、例えばロータリーポテンショメータであるYポテンショメータ56Y(図8参照)により検出される。
図3は、操作レバー17を用いた測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向(水平方向)の移動操作を説明するための説明図である。なお、本実施形態ではZ軸方向及びX軸方向が本発明の予め定められた軸方向に相当する。また、本実施形態では、操作レバー17をX軸ベース23上に設けているが、眼科装置10内の他の部位に設けてもよい。
図3に示すように、操作レバー17を用いた測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の移動操作には、測定ユニット15をZ軸方向及びX軸方向に微動させる場合の傾倒操作(微動操作ともいう)と、測定ユニット15をZ軸方向及びX軸方向に微動させる場合の押し引き操作(粗動操作ともいう)と、を含む2種類の操作がある。
図3の上段に示すように、操作レバー17をZ軸方向又はX軸方向に傾倒する傾倒操作を行うことで、既述のZ軸モータ34又はX軸モータ44が駆動され、測定ユニット15がZ軸方向又はX軸方向に移動(微動)する。この際に、Z軸モータ34又はX軸モータ44は後述の押し引き操作時よりも低速駆動されるため、測定ユニット15は押し引き操作時よりも低速でZ軸方向又はX軸方向に移動、すなわち微動する。
なお、操作レバー17を傾倒操作する際の傾倒角度を調整することで、測定ユニット15の移動速度を調整することができる。なお、操作レバー17の傾倒方向及び傾倒角度は、例えば直動型ポテンショメータであるZポテンショメータ56Z及びXポテンショメータ56X(図8参照)によりそれぞれ検出される。
図3の下段に示すように、操作レバー17を傾倒させることなくこの操作レバー17をZ軸方向又はX軸方向に押し操作又は引き操作する押し引き操作(水平移動操作)を行うと、操作レバー17を介してX軸ベース23がZ軸方向又はX軸方向に押圧される。
例えばX軸ベース23がZ軸方向に押圧された場合、Z軸方向に可動する部材であるナット32と、このナット32に係合してZ軸方向に従動移動する部材であるハウジング28との間でのZ軸方向の圧力が変化する。また、例えばX軸ベース23がX軸方向に押圧された場合、X軸方向に可動する部材であるナット42と、このナット42に係合してX軸方向に従動移動する部材であるハウジング38との間でのX軸方向の圧力が変化する。
そこで本実施形態では、Z軸方向の圧力の変化又はX軸方向の圧力の変化に基づき、既述のZ軸モータ34又はX軸モータ44を駆動して、測定ユニット15をZ軸方向又はX軸方向に移動(粗動)させる。この際に、Z軸モータ34又はX軸モータ44は既述の傾倒操作時よりも高速駆動されるため、測定ユニット15は傾倒操作時よりも高速でZ軸方向又はX軸方向に移動、すなわち粗動する。
このようなZ軸方向及びX軸方向の圧力の変化を発生させる押し引き操作は、操作レバー17に対するZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作に限定されるものではない。
図4はZ軸方向の押し引き操作の種類を説明するための説明図である。また、図5は、X軸方向の押し引き操作の種類を説明するための説明図である。なお、図4及び図5では、図面の煩雑化を防止するため、Z軸駆動部22及びX軸駆動部24は簡略化している。
図4に示すように、Z軸方向の押し引き操作には、既述の操作レバー17に対するZ軸方向の押し引き操作(矢印PZ1参照)の他に、測定ユニット15(モニタ16を含む)に対するZ軸方向の押し引き操作(矢印PZ2参照)、Z軸ベース21及びX軸ベース23の少なくとも一方に対するZ軸方向の押し引き操作(矢印PZ3参照)、及びY軸駆動部25に対するZ軸方向の押し引き操作(矢印PZ4参照)等が含まれる。また、これら各押し引き操作を複数組み合わせてもよい。このような電動駆動部14、測定ユニット15、及び操作レバー17の少なくともいずれかに対するZ軸方向の押し引き操作により、既述のZ軸方向の圧力の変化が発生する。
図5に示すように、X軸方向の押し引き操作としては、既述の操作レバー17に対するX軸方向の押し引き操作(矢印PX1参照)の他に、測定ユニット15等に対するX軸方向の押し引き操作(矢印PX2参照)、X軸ベース23に対するX軸方向の押し引き操作(矢印PX3参照)、及びY軸駆動部25に対するX軸方向の押し引き操作(矢印PX4参照)等が含まれる。また、これら各押し引き操作を複数組み合わせてもよい。このような電動駆動部14、測定ユニット15、及び操作レバー17の少なくともいずれかに対するX軸方向の押し引き操作によって、既述のX軸方向の圧力の変化が発生する。
図6は、Z軸方向の押し引き操作に伴うZ軸方向の圧力の変化を検出するZ軸圧力センサ60の側面図である。図6に示すように、既述のハウジング28及びナット32の双方のZ軸方向において互いに対向する対向面28a,32aの間には、本発明の押し引き操作検出部に相当するZ軸圧力センサ60が設けられている。
Z軸圧力センサ60は各対向面28a,32aにそれぞれ接続されている。このため、Z軸圧力センサ60は、Z軸方向の押し引き操作が行われた場合、この押し引き操作に伴うZ軸方向の圧力(圧力の変化)を検出する。
図7は、Z軸方向の押し引き操作が行われた場合のZ軸圧力センサ60によるZ軸方向の圧力の検出を説明するための説明図である。図7の上段に示すように、Z(+)で示すZ軸方向前方側に向けて押し引き操作(矢印PZ1〜PZ4参照)が行われると、矢印A1及び矢印H1に示すように、Z軸ベース21及びハウジング28に対してZ軸方向前方側に向かう圧力が加えられる。この際に、ナット32は送りねじ33によってZ軸方向への移動が規制されているので、矢印F1に示すようにハウジング28の対向面28aがZ軸圧力センサ60をナット32の対向面32aに向けて押圧する。これにより、ハウジング28及びナット32の双方の対向面28a,32aの間でZ軸圧力センサ60が圧縮されて、Z軸圧力センサ60により正(+)の圧力が検出される。
図7の下段に示すように、Z(−)で示すZ軸方向後方側に向けて押し引き操作(矢印PZ1〜PZ4参照)が行われると、矢印A2及び矢印H2に示すように、Z軸ベース21及びハウジング28に対してZ軸方向後方側に向かう圧力が加えられる。この場合においてもナット32は送りねじ33によってZ軸方向への移動が規制されているので、矢印F2に示すように、ハウジング28の対向面28aがZ軸圧力センサ60をナット32の対向面32aから遠ざかる方向に引っ張る。これにより、ハウジング28及びナット32の双方の対向面28a,32aの間でZ軸圧力センサ60が伸長されて、Z軸圧力センサ60により負(−)の圧力が検出される。従って、Z軸圧力センサ60によって、押し引き操作のZ軸方向の操作方向(Z軸方向の前方側又は後方側)と、押し引き操作の圧力の大きさとを検出することができる。
具体的には、Z軸圧力センサ60で検出される圧力の正負に応じて押し引き操作のZ軸方向の操作方向を検出できると共に、Z軸圧力センサ60で検出される圧力の絶対値に基づきZ軸方向の押し引き操作の圧力の大きさを検出できる。
そこで、Z軸圧力センサ60で正の圧力が検出された場合には、図中の矢印R1に示すようにZ軸モータ34により送りねじ33を一方向に回転駆動することより、測定ユニット15をZ軸方向前方側に向けて、この正の圧力の絶対値に応じた速度で移動(粗動)させる。また、Z軸圧力センサ60で負の圧力が検出された場合には、図中の矢印R2に示すようにZ軸モータ34により送りねじ33を他方向に回転駆動することより、測定ユニット15をZ軸方向後方側に向けて、この負の圧力の絶対値に応じた速度で移動させる。
また、図示は省略するが、既述の図1に示したハウジング38及びナット42のX軸方向において互いに対向する対向面(不図示)の間にも、本発明の押し引き操作検出部に相当するX軸圧力センサ61(図8参照)が設けられている。これにより、X軸圧力センサ61で検出される圧力の正負に応じて押し引き操作のX軸方向の操作方向(X軸方向の左側又は右側)を検出できる。また、X軸圧力センサ61で検出される圧力の絶対値に基づき、X軸方向の押し引き操作の圧力の大きさを検出できる。
そこで、X軸圧力センサ61(図8参照)で正の圧力が検出された場合には、X軸モータ44により送りねじ43を一方向に回転駆動することより、測定ユニット15をX軸方向(左右)の一方側に向けて、この正の圧力の絶対値に応じた速度で移動(粗動)させる。また、X軸圧力センサ61で負の圧力が検出された場合には、X軸モータ44により送りねじ43を他方向に回転駆動することより、測定ユニット15をX軸方向の他方側に向けて、この負の圧力の絶対値に応じた速度で移動させる。
なお、既述の図6及び図7では、ハウジング28とナット32との間に形成される隙間の中で、対向面28a,32aにより形成されるZ軸方向後方側の隙間にZ軸圧力センサ60を設けているが、Z軸方向前方側の隙間、或いはZ軸方向前方側及び後方側の双方の隙間にZ軸圧力センサ60を設けてもよい。すなわち、Z軸方向の押し引き操作を検出可能な位置(押し引き操作により圧縮又は伸長される位置)であれば、Z軸圧力センサ60の位置は特に限定はされない。また、X軸圧力センサ61(図8参照)の位置についても同様に、X軸方向の押し引き操作を検出可能な位置であれば特に限定はされない。
図8は、眼科装置10内に設けられている制御部65の電気的構成を示すブロック図である。図8に示すように、制御部65は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(field-programmable gate array)等を含む各種の演算部及びメモリ等から構成された演算回路であり、眼科装置10の各部の動作を統括制御する。例えば制御部65は、モニタ16のタッチ操作又は操作レバー17の操作等に応じて、既述のアライメント検出用の検出信号の取得及び出力と、被検眼Eの眼特性の測定信号の取得及び出力とを測定ユニット15に実行させる。
また、制御部65は、記憶部66から読み出した制御プログラム(不図示)を実行することにより、演算処理部67及び移動制御部68として機能する。
演算処理部67は、アライメント検出部70及び解析部71として機能する。アライメント検出部70は、後述のオートアライメントモード時において、測定ユニット15から入力されるアライメント検出用の検出信号に基づき、被検眼Eに対する測定ユニット15のXYZ軸の各軸方向のアライメント検出を行う。そして、アライメント検出部70は、アライメント検出結果を移動制御部68へ出力する。
解析部71は、測定ユニット15から入力される被検眼Eの眼特性の測定信号を解析して、眼特性の測定結果を得る。そして、解析部71は、被検眼Eの眼特性の測定結果をモニタ16及び記憶部66に出力する。これにより、被検眼Eの眼特性の測定結果がモニタ16に表示されると共に記憶部66に記憶される。
移動制御部68は、Z軸モータ34、X軸モータ44、及びY軸モータ54の駆動を制御して、測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向にそれぞれ移動させることにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを行う。この移動制御部68には、既述の各モータ34,44,54、各ポテンショメータ56X,56Y,56Z、及び各圧力センサ60,61の他に、測定ユニット15のX軸方向の位置を検出するX軸位置検出センサ73とY軸方向の位置を検出するY軸位置検出センサ74とZ軸方向の位置を検出するZ軸位置検出センサ75とが接続されている。
移動制御部68は、被検眼Eに対する測定ユニット15のアライメントを行う動作モードとして、オートアライメントモードと手動アライメントモードとを有している。オートアライメントモードと手動アライメントモードとの切り替えは、例えばモニタ16に表示される操作画面上でのタッチ操作により行う。手動アライメントモードは、例えば、被検眼Eの角膜又は虹彩に異常があったり或いは眼振が大きかったりするなどの特にオートアライメントが実行できない場合を考慮したモードである。
移動制御部68は、オートアライメントモードが設定されている場合、既述のアライメント検出部70から入力されるアライメント検出結果と、各位置検出センサ73,74,75の検出結果とに基づき、各モータ34,44,54の駆動を制御して、測定ユニット15のXYZ軸の各軸方向の位置調整を行う。これにより、被検眼Eに対する測定ユニット15のオートアライメントが実行される。
一方、移動制御部68は、手動アライメントモードが選択されている場合において、操作レバー17の傾倒操作及び回転操作が行われると、各ポテンショメータ56X,56Y,56Zのいずれかより入力される信号に基づき、各モータ34,44,54のいずれかの駆動を制御する微動制御を行う。これにより、測定ユニット15が傾倒操作又は回転操作に対応した方向及び速度に従って微動(低速で移動)する。
また、移動制御部68は、手動アライメントモードが選択されている場合において、既述の図4及び図5に示したようなZ軸方向又はX軸方向の押し引き操作が行われると、各圧力センサ60,61のいずれかで検出される圧力の正負及び絶対値に基づき、各モータ34,44のいずれかの駆動を制御する粗動制御を開始する。
図9は、移動制御部68による測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動制御を説明するための説明図である。図9に示すように、移動制御部68は、各圧力センサ60,61のいずれかで検出される圧力の絶対値の大きさが予め定めた閾値±VLの絶対値未満(本発明の第1閾値未満に相当)である場合、各モータ34,44の駆動を停止する。すなわち、各圧力センサ60,61で検出される圧力の絶対値の大きさが閾値±VLの絶対値未満となる圧力範囲は、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動を行わない不感帯となる。
一方、移動制御部68は、各圧力センサ60,61のいずれかで検出される圧力の絶対値の大きさが閾値±VLの絶対値以上となる場合、この圧力の正負に応じて押し引き操作のZ軸方向又はX軸方向の操作方向を決定する。また、移動制御部68は、検出された圧力の絶対値の大きさに応じて測定ユニット15の移動速度の大きさ(以下、単に移動速度という)を決定する。この際に移動制御部68は、圧力の絶対値の大きさが予め定めた閾値±VUの絶対値よりも大きくなる場合には、移動速度の更なる増加は行わずに一定速度とする。そして、移動制御部68は、決定した操作方向及び移動速度に従って、各モータ34,44のいずれかを駆動する。これにより、測定ユニット15が押し引き操作に対応した方向及び速度に従って粗動する。
ここで、上述の不感帯の範囲は、操作レバー17の傾倒操作を行っている際に、各圧力センサ60,61で検出される圧力(絶対値)が含まれる範囲に設定されている。これにより、操作レバー17の傾倒操作を行っている際に、移動制御部68による測定ユニット15の粗動制御が停止されるため、測定ユニット15の粗動が誤って実行されることが防止される。また逆に、各圧力センサ60,61で検出される圧力の絶対値が閾値±VLの絶対値以上となる場合には、移動制御部68による測定ユニット15の微動制御が停止されるため、測定ユニット15の傾倒操作に応じた各モータ34,44の駆動は停止する。
このように移動制御部68は、押し引き操作に従った測定ユニット15の移動(粗動)と、操作レバー17の傾倒操作に従った測定ユニット15の移動(微動)とのいずれか一方の移動が行われている間、他方の移動を停止する。
[第1実施形態の眼科装置の作用]
図10は、上記構成の第1実施形態の眼科装置10による眼特性の測定の流れ(眼科装置10の作動方法)を示すフローチャートである。なお、ここでは手動アライメントモードが設定されている場合について説明を行う。
図10に示すように、眼科装置10で被検者の被検眼Eの眼特性を行う場合であって、且つ手動アライメントモードが設定されている場合(ステップS1)、操作者は最初に顔支持部13の顎受け及び額当てのY軸方向の高さ位置の調整、或いは操作レバー17の回転操作による測定ユニット15のY軸方向の移動(粗動、微動)を行って、測定ユニット15と被検者の顔とのY軸方向の高さ位置を調整する。
次いで、操作者はZ軸方向及びX軸方向(水平方向)の押し引き操作を開始する(ステップS2)。測定ユニット15をZ軸方向又はX軸方向に粗動させる場合、操作者は、既述の図4及び図5に示したように、Z軸方向又はX軸方向の押し引き操作を行う(ステップS2)。
この際に各圧力センサ60,61は圧力を常時検出し、圧力検出結果を移動制御部68へ出力している。そして、Z軸方向又はX軸方向の押し引き操作が実行されると、各圧力センサ60,61のいずれかで検出される圧力が変化し、この圧力検出結果が移動制御部68へ出力される(ステップS3、本発明の検出工程に相当)。
移動制御部68は、各圧力センサ60,61のいずれかにより検出された圧力の絶対値の大きさが既述の図9に示した閾値±VL未満の場合、測定ユニット15のZ軸方向及びX軸方向の粗動制御を停止する(ステップS4でNO)。そして、移動制御部68は、各圧力センサ60,61のいずれかにより検出された圧力の絶対値の大きさが閾値±VL以上になった場合、Z軸方向又はX軸方向の測定ユニット15の粗動制御を開始する(ステップS4でYES)。この際に移動制御部68は、測定ユニット15の微動制御は停止するので、操作者が誤って操作レバー17を傾倒操作した場合であっても測定ユニット15が微動することはない。
次いで、移動制御部68は、各圧力センサ60,61のいずれかにより検出された圧力の正負に応じて押し引き操作のZ軸方向又はX軸方向の操作方向を決定すると共に、この圧力の絶対値の大きさに応じて測定ユニット15の移動速度を決定する(ステップS7)。そして、移動制御部68は、決定した操作方向及び移動速度に従って、各モータ34,44のいずれかを駆動することにより、測定ユニット15を押し引き操作に対応した方向及び速度に従って粗動させる(ステップS8、本発明の移動工程に相当)。
アライメント完了前において測定ユニット15を目標位置、例えば測定ユニット15による被検眼Eの前眼部像の取得が可能な位置(前眼部像のモニタ16への表示が可能な位置)まで移動させると、操作者は操作レバー17の傾倒操作又は回転操作を行って、測定ユニット15のXYZ軸方向の各軸方向の微動を開始する(ステップS8でNO、ステップS2)。
この際には、既述の押し引き操作が行われていないので、各圧力センサ60,61で検出される圧力の絶対値の大きさは閾値±VLの絶対値未満となる(ステップS3、ステップS4でYES)。このため、既述の図9に示したように、移動制御部68は測定ユニット15の粗動制御を停止する(ステップS9)。これにより、操作者が操作レバー17の傾倒操作又は回転操作を行っている最中に誤って測定ユニット15の粗動が実行されることが防止される。すなわち、操作者の意図に反した操作が誤って実行されることが防止される。
次いで、移動制御部68は、操作者による操作レバー17の傾倒操作又は回転操作に応じて各ポテンショメータ56X,56Y,56Zのいずれかより入力される信号に基づき、各モータ34,44,54のいずれかを駆動することにより、測定ユニット15を傾倒操作等に対応した方向及び速度に従って微動させる(ステップS10)。これにより、被検眼Eと測定ユニット15との精密なアライメントを実行することができる。
被検眼Eと測定ユニット15とのアライメントが完了すると(ステップS8でYES)、測定ユニット15による被検眼Eの眼特性の測定が実行され、測定ユニット15から解析部71に被検眼Eの眼特性の測定信号が入力される。解析部71は、測定ユニット15からの眼特性の測定信号を解析して、眼特性の測定結果を得る(ステップS11)。この被検眼Eの眼特性の測定結果は、モニタ16に表示されると共に記憶部66に記憶される。
なお、眼特性を測定する被検眼Eの左右切替を行う場合、或いは別の被検者の被検眼Eの眼特性を測定する場合には、上記の各ステップS1〜S11の処理が繰り返し実行される。
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態の眼科装置10では、水平方向の押し引き操作、すなわち従来の操作レバー17の水平移動操作と同等の操作により測定ユニット15を粗動させることができる。また、電動駆動部14により測定ユニット15を電動移動させることができるので、測定ユニット15が重量物であったとしても操作者の負担になることが防止される。さらに、この際には、電動駆動部14にZ軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61を設けるだけでよいので、簡単な構成で実現できる。その結果、操作者に違和感を与えない測定ユニット15の粗動に係る操作を簡単な構成で実現することができる。
[第2実施形態の眼科装置]
次に、第2実施形態の眼科装置10について説明を行う。第2実施形態の眼科装置10では、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61により検出される圧力(圧力変化)に基づき、オートアライメントモードから手動アライメントモードへの切り替え、及びオートアライメントモードの緊急停止を行う。なお、第2実施形態の眼科装置10は、上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成であるため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
<オートアライメントモードから手動アライメントモードへの切り替え>
図11は、オートアライメントモードの実行中において、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61により検出される圧力と測定ユニット15の移動速度との関係を示した説明図である。
第2実施形態の移動制御部68は、オートアライメントモードの実行中に各圧力センサ60,61でそれぞれ検出される圧力を監視する。このオートアライメントモードの実行中には、移動制御部68が各モータ34,44の駆動を制御、すなわち測定ユニット15の移動速度を制御している。このため、移動制御部68は、オートアライメント中に各圧力センサ60,61でそれぞれ検出される圧力の予測は可能である。
例えば図11の下段に示すように測定ユニット15が等加速状態である場合、図11の上段に示すように各圧力センサ60,61でそれぞれ検出される圧力は一定である。このため、移動制御部68は、時間t以降も図11の下段に破線で示したように等加速状態が継続されることが予測されるため、図11の上段に破線で示したように各圧力センサ60,61でそれぞれ検出される圧力も一定となることを予測している。
この際に、操作者が操作レバー17の押し引き操作、例えばZ軸方向の引き操作を行うと、Z軸圧力センサ60で検出される圧力が、実線で示すように時間t以降で急激に変化する。そこで、移動制御部68は、各圧力センサ60,61でそれぞれ検出される圧力に想定外の変化が生じた場合であって、且つこの圧力変化が予め定めた閾値PL1(本発明の第2閾値に相当)よりも大きくなる場合、オートアライメントモードを停止して手動アライメントモードに切り替える。
<オートアライメントモードの緊急停止>
図12は、オートアライメントモードの実行中に測定ユニット15が定速度移動されている場合における、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61により検出される圧力の圧力変化と、測定ユニット15の移動速度との関係を示した説明図である。図13は、図12に対応した測定ユニット15の移動状態を示した説明図である。なお、図12及び図13では、測定ユニット15が被検者に向かってZ軸方向前方側に等速移動している場合を示している。
図12の下段及び図13の上段に示すように、測定ユニット15が被検者(Z軸方向前方)に向かって等速移動している場合には、図12の上段に示すように、各圧力センサ60,61の双方の圧力変化はゼロである。そして、図13の中段に示すように、測定ユニット15が何らかの物体78に接触して更なるZ軸方向前方(被検者側)への移動が制限されると、図12の上段に示すようにZ軸圧力センサ60で検出される圧力が急激に上昇する。
そこで、移動制御部68は、各圧力センサ60,61でそれぞれ検出される圧力変化の大きさが予め定めた閾値PL2(本発明の第2閾値に相当)よりも大きくなる場合、オートアライメントモードを停止して測定ユニット15のZ軸方向前方側への移動を停止させる。次いで、移動制御部68は、図12の下段及び図13の下段に示すように、Z軸モータ34を駆動して測定ユニット15をZ軸方向後方側へ移動(後退)させる。そして、移動制御部68は、測定ユニット15を所定距離だけ後退させた後、測定ユニット15の移動を停止すると共に、手動アライメントモードに切り替える。
なお、測定ユニット15がZ軸方向前方側、すなわち被検者に向かう方向とは異なる方向に等速移動している途中において、各圧力センサ60,61で検出される圧力変化の大きさが閾値PL2よりも大きくなった場合には、オートアライメントモードを停止して測定ユニット15の移動を停止させた後、手動アライメントモードに切り替える。
[第2実施形態の眼科装置の作用]
図14は、第2実施形態の眼科装置10による眼特性の測定の流れを示すフローチャートである。なお、ここではオートアライメントモードが設定されている場合について説明を行う。
図14に示すように、眼科装置10で被検者の被検眼Eの眼特性を行う場合であって、且つオートアライメントモードが設定されている場合(ステップS21)、操作者は既述の第1実施形態と同様に測定ユニット15と被検者の顔とのY軸方向の高さ位置を調整する。
次いで、操作者は、第1実施形態で説明した押し引き操作等を行って、測定ユニット15を被検眼Eの前眼部像の取得が可能な位置までZ軸方向及びX軸方向に移動させる。これにより、アライメント検出前の測定ユニット15の位置調整が完了する(ステップS22)。
この位置調整後、測定ユニット15からアライメント検出部70にアライメント検出用の検出信号が入力される。この検出信号の入力を受けてアライメント検出部70は、被検眼Eに対する測定ユニット15のXYZ軸の3軸方向のアライメント検出を行い、そのアライメント検出結果を移動制御部68へ出力する(ステップS23)。
アライメント検出結果の入力を受けた移動制御部68は、このアライメント検出結果に基づき、各モータ34,44,54を駆動してオートアライメントを開始する(ステップS24)。また同時に、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61による圧力の検出が開始され、各圧力センサ60,61の圧力検出結果が移動制御部68へ出力される(ステップS25)。そして、移動制御部68は、各圧力センサ60,61で検出される圧力を監視する。
移動制御部68は、既述の図11に示したような等加速度状態での圧力変化が閾値PL1以下である場合、或いは図12に示したような等速度状態での圧力変化が閾値PL2以下である場合、オートアライメントを継続する(ステップS27でNO)。以下、アライメントが完了するまで(ステップS26でYES)、或いは上述のステップS27でYESと判定されるまでオートアライメントが継続する。
一方、移動制御部68は、操作レバー17に対する押し引き操作、或いは測定ユニット15と物体78との接触等に起因して、等加速度状態での圧力変化が閾値PL1よりも大きくなったり、或いは等速度状態での圧力変化が閾値PL2よりも大きくなったりした場合(ステップS27でYES)、オートアライメントモードを停止する(ステップS28)。
この際に、移動制御部68は、測定ユニット15が被検者側(Z軸方向前方側)に向かって移動中であった場合(ステップS29でYES)、Z軸モータ34を駆動制御して、測定ユニット15のZ軸方向前方側への移動停止と、測定ユニット15の後退と(ステップS30)、測定ユニット15の移動停止(ステップS31)とを行う。
なお、移動制御部68は、測定ユニット15が被検者に向かう方向とは異なる方向に移動している場合(ステップS29でNO)、各モータ34,44を駆動制御して測定ユニット15の移動を停止させる(ステップS31)。
次いで、移動制御部68は、手動アライメントモードへの切り替えを行う(ステップS32)。以下、既述の第1実施形態の図10で説明した手動アライメントモードでの測定ユニット15のアライメントが実行される(ステップS33)。
既述のオートアライメントモードでのアライメント(ステップS26でYES)又は手動アライメントモードでのアライメント(ステップS33)が完了すると、既述の第1実施形態と同様に、測定ユニット15による被検眼Eの眼特性の測定と、解析部71による眼特性の測定信号の解析とが実行されて、眼特性の測定結果が得られる(ステップS34)。
[第2実施形態の効果]
以上のように第2実施形態の眼科装置10では、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61により検出される圧力(圧力変化)を利用することにより、オートアライメントモードから手動アライメントモードへの切り替え、及びオートアライメントモードの緊急停止を簡単な構成で実現することができる。
[その他]
上記第1実施形態では、測定ユニット15の粗動操作として、電動駆動部14、測定ユニット15(モニタ16を含む)、及び操作レバー17の少なくともいずれかに対して押し引き操作を行っているが、押し引き操作を行う対象はこれらに限定されるものではない。例えば、眼科装置10において電動駆動部14及び測定ユニット15の少なくとも一方が筐体(カバー)内に収納されている場合、この筐体に対して押し引き操作を行ってもよい。この場合においても、筐体を介して電動駆動部14及び測定ユニット15の少なくとも一方が間接的に押し引き操作されるため、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61は、押し引き操作に伴う既述の圧力の変化を検出することができる。
上記第1実施形態では、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61を用いて、測定ユニット15に対するZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作を検出しているが、この押し引き操作を他の方法を用いて検出してもよい。
図15は、他の構成によるZ軸方向及びX軸方向の押し引き操作の検出を説明するための説明図である。図15に示すように、Z軸圧力センサ60を設ける代わりに、ハウジング28及びナット32の双方の対向面28a,32aの一方又は双方に、両対向面28a,32aの間の距離Dを測距する測距センサ80(本発明の押し引き操作検出部)を設けてもよい。
測距センサ80は、Z軸方向の押し引き操作(既述の図4の矢印PZ1〜PZ4参照)が行われた場合、この押し引き操作に伴う両対向面28a,32aの間の距離Dの変化を検出する。例えば、Z軸方向前方側に向けて押し引き操作が行われた場合、両対向面28a,32aの間の距離Dの減少が測距センサ80により検出される。また逆に、Z軸方向後方側に向けて押し引き操作が行われた場合、両対向面28a,32aの間の距離Dの増加が測距センサ80により検出される。従って、測距センサ80によって、Z軸方向の押し引き操作の操作方向と、押し引き操作の圧力の大きさとを検出できる。
具体的には、測距センサ80で検出される距離Dの増減に応じて押し引き操作のZ軸方向の操作方向を検出できると共に、測距センサ80で検出される距離Dの増減量の絶対値に基づき押し引き操作の圧力の大きさを検出できる。このため、制御部65(移動制御部68)は、測距センサ80から入力される距離検出信号に基づき、上記第1実施形態と同様にZ軸方向の押し引き操作の操作方向及び測定ユニット15の移動速度をそれぞれ決定し、決定した操作方向及び移動速度に従ってZ軸モータ34を駆動する。
また、ハウジング38及びナット42の双方のX軸方向において互いに対向する対向面(不図示)の間にも測距センサ80を設けることで、X軸方向の押し引き操作の操作方向と、押し引き操作の圧力の大きさとを検出できる。このため、制御部65は、測距センサ80から入力される距離検出信号に基づき、X軸方向の押し引き操作の操作方向及び測定ユニット15の移動速度を決定し、決定した操作方向及び移動速度に従ってX軸モータ44を駆動する。
このように、Z軸圧力センサ60及びX軸圧力センサ61の代わりに測距センサ80を設けた場合であっても、上記第1実施形態と同様に、測定ユニット15の押し引き操作を検出して測定ユニット15をZ軸方向及びX軸方向に粗動させることができる。また、上記第2実施形態と同様に、オートアライメントモードから手動アライメントモードへの切り替え、及びオートアライメントモードの緊急停止を行うこともできる。
なお、上述のZ軸圧力センサ60、X軸圧力センサ61、及び測距センサ80の代わりに、本発明の押し引き操作検出部として、例えば押し引き操作に伴う眼科装置10の筐体等の歪みを検出する歪み検出センサ等を用いてよい。すなわち、本発明の押し引き操作検出部は、押し引き操作に伴う眼科装置10内の圧力の変化、歪み、及び変位等を検出可能であれば特に限定はされない。
上記第1実施形態では、測定ユニット15のZ軸方向の粗動及びX軸方向の粗動を、既述の押し引き操作により実行しているが、例えば測定ユニット15のY軸方向の粗動についてもY軸方向の押し引き操作により実行可能にしてもよい。またこの場合には、上記第2実施形態と同様の構成を用いて、オートアライメント中にY軸方向に移動している測定ユニット15の移動停止を可能にしてもよい。
上記各実施形態では、測定ユニット15を微動させる場合に操作レバー17の傾倒操作又は回転操作を行っているが、操作レバー17以外の操作部、例えば不図示の操作ボタン及びモニタ16の画面上に表示されるタッチ操作画面等を操作して測定ユニット15の微動を行ってもよい。
上記各実施形態では、Y軸方向の下方から上方に向かって、Z軸駆動部22及びZ軸ベース21と、X軸駆動部24及びX軸ベース23と、Y軸駆動部25とが設けられているが、これらの順番は適宜変更してもよい。また、電動駆動部14が測定ユニット15をXYZ軸の各軸方向に移動させる構成は、図1等に示した構成に限定されるものではなく、任意に変更してもよい。
上記各実施形態では、電動駆動部14により測定ユニット15が本体ベース12に対してXYZ軸の各軸方向に移動自在に保持されている場合について説明したが、これら各軸方向の少なくともいずれか一方向に移動自在に保持されている場合についても本発明を適用することができる。