JP6801948B2 - 樹脂フィルム付光学部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着剤層を介して樹脂フィルムを光学部材に貼合してなる樹脂フィルム付光学部材の製造方法に関する。
偏光板などに代表される各種光学部材は、粘着剤層を介して他の部材に貼合して用いられることがある(例えば特許文献1)。このため、光学部材は、その一方の面に予め粘着剤層が設けられた粘着剤層付光学部材の形態で市場流通されることもある。この粘着剤層の外面には、当該面を保護するための剥離可能なセパレートフィルム(「剥離フィルム」とも呼ばれる。)を仮着しておくのが一般的である。
特開2008−275722号公報
光学部材を他の部材に貼合するために用いられる上記粘着剤層には、光学部材に対する良好な密着性が求められる。光学部材を他の部材に貼合するために用いられる粘着剤層の密着性が十分でない場合には、光学部材と他の部材とを粘着剤層を介して貼合してなる複合部材の耐久性及び信頼性が低下し得る。
本発明の目的は、例えば上記セパレートフィルムを備えた粘着剤層付光学部材のような、粘着剤層を介して樹脂フィルムを光学部材に貼合してなる樹脂フィルム付光学部材であって、粘着剤層と光学部材との密着性が良好な樹脂フィルム付光学部材を製造するための方法を提供することにある。
本発明は、以下に示す樹脂フィルム付光学部材の製造方法を提供する。
[1] 長尺状の樹脂フィルム上に粘着剤組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、
前記塗工工程後のフィルムを連続搬送しながら乾燥手段に導入して前記塗工層を乾燥させることにより、粘着剤層を有する樹脂フィルムを得る乾燥工程と、
前記粘着剤層を有する樹脂フィルムを連続搬送しながら、その粘着剤層の外面にエネルギー照射を行う第1表面活性化工程と、
前記第1表面活性化工程後のフィルムを引き続き連続搬送しながら、その粘着剤層の外面に長尺の光学部材を積層し、この積層体を上下から押圧する貼合工程と、
を含む、樹脂フィルム付光学部材の製造方法。
[2] 前記貼合工程によって得られる樹脂フィルム付光学部材をロール状に巻き取り、ロール状態で前記粘着剤層の養生を行う養生工程をさらに含む、[1]に記載の製造方法。
[3] 第1表面活性化工程において、前記エネルギー照射を複数回に分けて行う、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 前記貼合工程の前に、前記光学部材における前記粘着剤層との貼合面にエネルギー照射を行う第2表面活性化工程をさらに含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 前記光学部材における前記粘着剤層の外面に接する表面は、(メタ)アクリル系樹脂を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 前記光学部材が偏光板である、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7] 前記樹脂フィルムがセパレートフィルムである、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、粘着剤層と光学部材との密着性が良好な樹脂フィルム付光学部材を提供することができる。
本発明に係る樹脂フィルム付光学部材の製造方法及びそれに用いる製造装置の一例を示す概略図である。 塗工層(乾燥前)を有する樹脂フィルムの一例を示す概略断面図である。 粘着剤層(エネルギー照射前)を有する樹脂フィルムの一例を示す概略断面図である。 粘着剤層付樹脂フィルムの一例を示す概略断面図である。 樹脂フィルム付光学部材の一例を示す概略断面図である。
本発明に係る樹脂フィルム付光学部材の製造方法は、下記の工程:
長尺状の樹脂フィルム上に粘着剤組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程;
塗工工程後のフィルムを連続搬送しながら乾燥手段に導入して塗工層を乾燥させることにより、粘着剤層を有する樹脂フィルムを得る乾燥工程;
粘着剤層を有する樹脂フィルムを連続搬送しながら、その粘着剤層の外面にエネルギー照射を行う第1表面活性化工程;及び
第1表面活性化処理後のフィルムを引き続き連続搬送しながら、その粘着剤層の外面に長尺の光学部材を積層し、この積層体を上下から押圧する貼合工程;
を含む。本発明に係る樹脂フィルム付光学部材の製造方法は、上記以外の他の工程をさらに含むことができる。以下、図1〜図5を参照しながら各工程について説明する。また、以下では、光学部材に貼合されるフィルム中間体である粘着剤層を有する樹脂フィルムを「粘着剤層付樹脂フィルム」ともいう。
[塗工工程]
本工程は、樹脂フィルム10上に粘着剤組成物を塗工装置50により塗工することによって塗工層11を形成して、塗工層11を有する樹脂フィルム15を得る工程である(図1及び図2参照)。
(1)樹脂フィルム
樹脂フィルム10は通常、熱可塑性樹脂フィルムであり、好ましくは透光性を有する(より好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂フィルムである。熱可塑性樹脂の具体例は、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂等)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレンのようなフッ素化ポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂のようなポリエステル系樹脂;メタクリル酸メチル系樹脂のような(メタ)アクリル系樹脂;トリアセチルセルロース〔TAC〕、ジアセチルセルロースのような酢酸セルロース系樹脂のようなセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。なお本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、(メタ)アクリレート等というときの「(メタ)」も同様の趣旨である。
樹脂フィルム10の厚みは、例えば5〜200μm程度であり、好ましくは10〜150μm、より好ましくは15〜100μmである。
本発明の製造方法の中で製造されるフィルム中間体である粘着剤層付樹脂フィルムは、例えば、粘着剤層付セパレートフィルムであることができる。この場合、樹脂フィルム10は、粘着剤層が積層される側の表面に対して離型処理を施したセパレートフィルムであることができる。離型処理の例は、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等である。
また樹脂フィルム10は、セパレートフィルム以外の光学部材であってもよい。セパレートフィルム以外の光学部材である樹脂フィルム10は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。光学部材である樹脂フィルム10の具体例としては、偏光フィルム;光学補償フィルム(位相差フィルム等)、光拡散フィルム(シート)、反射フィルム(シート)などの光学機能性フィルム;偏光フィルム用保護フィルム;偏光板等を含む。
(2)粘着剤組成物
樹脂フィルム10に塗工される粘着剤組成物としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤組成物、ウレタン系粘着剤組成物、シリコーン系粘着剤組成物、ポリエステル系粘着剤組成物、ポリアミド系粘着剤組成物、ポリエーテル系粘着剤組成物、フッ素系粘着剤組成物、ゴム系粘着剤組成物等が挙げられる。中でも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性等の観点から、(メタ)アクリル系樹脂をベースポリマーとする(メタ)アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
(2−1)ベースポリマー
(メタ)アクリル系粘着剤組成物のベースポリマーとして好適に用いることができる(メタ)アクリル系樹脂の具体例は、下記式(I):
Figure 0006801948
で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とする(50重量%以上含有する)重合体である(メタ)アクリル系樹脂(A−1)である。
上記式(I)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜14のアルキル基、又は炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数7〜21のアラルキル基を表す。R2は、炭素数1〜10のアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜14のアルキル基であることが好ましい。
式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリルのような直鎖状のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチルのような分枝状のアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリルのような直鎖状のメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソオクチルのような分枝状のメタクリル酸アルキルエステル等を含む。
2がアルコキシ基で置換されたアルキル基である場合、すなわち、R2がアルコキシアルキル基である場合における式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル等を含む。R2が炭素数7〜21のアラルキル基である場合における式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル等を含む。
式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸n−ブチルを含むことが好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、これを構成する全単量体中、アクリル酸n−ブチルを50重量%以上含むことが好ましい。勿論、アクリル酸n−ブチルに加えて、それ以外の式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを併用することもできる。
(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は通常、上記式(I)の(メタ)アクリル酸エステルと、極性官能基を有する単量体に代表される少なくとも1つの他の単量体との共重合体である。極性官能基を有する単量体は、極性官能基を有する(メタ)アクリル酸系化合物であることが好ましい。極性官能基としては、遊離カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エポキシ基をはじめとする複素環基等を挙げることができる。
極性官能基を有する単量体の具体例は、(メタ)アクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレートのような遊離カルボキシル基を有する単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−又は3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのような水酸基を有する単量体;アクリロイルモルホリン、ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルピリジン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,5−ジヒドロフランのような複素環基を有する単量体;アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートのような複素環とは異なるアミノ基を有する単量体等を含む。極性官能基を有する単量体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、(メタ)アクリル系樹脂(A−1)の反応性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A−1)を構成する極性官能基含有単量体の1つとして、水酸基を有する単量体を用いることが好ましい。水酸基を有する単量体に加えて、他の極性官能基を有する単量体、例えば、遊離カルボキシル基を有する単量体を併用することも有効である。
(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環とを有する単量体(ただし、上記式(I)で表される単量体及び上記極性官能基を有する単量体に該当するものは除く。)に由来する構造単位をさらに含んでいてもよい。好適な例として芳香環を有する(メタ)アクリル酸系化合物を挙げることができる。芳香環を有する(メタ)アクリル酸系化合物の好適な例は、下記式(II):
Figure 0006801948
で表されるフェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルのようなアリールオキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
上記式(II)において、R3は水素原子又はメチル基を表し、nは1〜8の整数を表し、R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表す。R4がアルキル基である場合、その炭素数は1〜9程度であることができ、アラルキル基である場合、その炭素数は7〜11程度、またアリール基である場合、その炭素数は6〜10程度であることができる。
式(II)中のR4を構成する炭素数1〜9のアルキル基としては、メチル、ブチル、ノニル等が、炭素数7〜11のアラルキル基としては、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が、炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル、トリル、ナフチル等が、それぞれ挙げられる。
式(II)で表されるフェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−フェノキシエトキシ)エチル、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールの(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸2−(o−フェニルフェノキシ)エチル等を含む。フェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、フェノキシエチル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸2−フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(o−フェニルフェノキシ)エチル及び/又は(メタ)アクリル酸2−(2―フェノキシエトキシ)エチルを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、その固形分全体量を基準に、上記式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を、好ましくは60〜99.9重量%、より好ましくは80〜99.6重量%の割合で含有し、極性官能基を有する単量体に由来する構造単位を、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.4〜10重量%の割合で含有し、分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環とを有する単量体に由来する構造単位を、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは6〜12重量%の割合で含有することができる。
(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、式(I)で表される(メタ)アクリル酸エステル、極性官能基を有する単量体、及び分子内に1個のオレフィン性二重結合と少なくとも1個の芳香環とを有する単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」ともいう。)に由来する構造単位を含んでいてもよい。その他の単量体の具体例は、分子内に脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位、スチレン系単量体に由来する構造単位、ビニル系単量体に由来する構造単位、分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構造単位、(メタ)アクリルアミドモノマーに由来する構造単位等を含む。その他の単量体は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
脂環式構造は、炭素数が通常5以上、好ましくは5〜7程度である。脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルフェニル、α−エトキシアクリル酸シクロヘキシル等を含む。
スチレン系単量体の具体例は、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチルスチレンのようなアルキルスチレン;フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレンのようなハロゲン化スチレン;ニトロスチレン、アセチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼン等を含む。
ビニル系単量体の具体例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニルのような脂肪酸ビニルエステル;塩化ビニル、臭化ビニルのようなハロゲン化ビニル;塩化ビニリデンのようなハロゲン化ビニリデン;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールのような含窒素芳香族ビニル;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンのような共役ジエン単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を含む。
分子内に複数の(メタ)アクリロイル基を有する単量体の具体例は、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのような分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのような分子内に3個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体等を含む。
(メタ)アクリルアミド化合物の具体例は、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(5−ヒドロキシペンチル)(メタ)アクリルアミド、N−(6−ヒドロキシヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−オキソ−1−イミダゾリジニル)エチル〕(メタ)アクリルアミド、2−アクリロイルアミノ−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、N−(メトキシメチル)アクリルアミド、N−(エトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(プロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルエトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−メチルプロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド〔別名:N−(イソブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド〕、N−(ブトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチルエトキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−エトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−プロポキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルエトキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1−メチルプロポキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(2−メチルプロポキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド〔別名:N−(2−イソブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド〕、N−(2−ブトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−〔2−(1,1−ジメチルエトキシ)エチル〕(メタ)アクリルアミド等を含む。
(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、その固形分全体の量を基準に、その他の単量体を、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%の割合で含有する。
粘着剤層と光学部材との密着性の観点から、(メタ)アクリル系樹脂(A−1)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50万以上であることが好ましく、60万以上であることがより好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(A−1)のMwは、通常170万以下である。
(メタ)アクリル系粘着剤組成物のベースポリマーは、(メタ)アクリル系樹脂(A−1)を2種以上含んでいてもよい。また当該ベースポリマーは、(メタ)アクリル系樹脂(A−1)に加えて、これとは異なる(メタ)アクリル系樹脂、例えば、式(I)の(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を有し、かつ極性官能基を有さない(メタ)アクリル系樹脂(A−2)や、上記式(I)で示される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分とし、Mwが0.5万〜12万の範囲にある(メタ)アクリル系樹脂(A−3)等を含むことができる。
(2−2)架橋剤
粘着剤組成物は、架橋剤(B)をさらに含有していてもよい。架橋剤は、(メタ)アクリル系樹脂のようなベースポリマー中の特に極性官能基含有単量体に由来する構造単位と反応し、ベースポリマーを架橋させる化合物である。具体的には、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、金属キレート系化合物等が例示される。これらのうち、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物及びアジリジン系化合物は、ベースポリマー中の極性官能基と反応し得る官能基を分子内に少なくとも2個有する。架橋剤(B)は、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系化合物は、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有する化合物である。イソシアネート系化合物の具体例は、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等を含む。また、これらのイソシアネート化合物に、グリセロールやトリメチロールプロパンのようなポリオールを反応させたアダクト体や、イソシアネート化合物を二量体、三量体等にしたものも架橋剤(B)となり得る。
エポキシ系化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有する化合物である。エポキシ系化合物の具体例は、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を含む。
アジリジン系化合物は、エチレンイミンとも呼ばれる1個の窒素原子と2個の炭素原子とからなる3員環の骨格を分子内に少なくとも2個有する化合物である。アジリジン系化合物の具体例は、ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、イソフタロイルビス−1−(2−メチルアジリジン)、トリス−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン−トリス−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリス−β−アジリジニルプロピオネート等を含む。
金属キレート化合物の具体例は、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム及びジルコニウム等の多価金属に、アセチルアセトンやアセト酢酸エチルが配位した化合物等を含む。
架橋剤(B)は、ベースポリマー(2種以上用いる場合はそれらの合計)の固形分100重量部に対して、通常0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で含有される。架橋剤(B)の含有量が0.05重量部以上であると、粘着剤層の耐久性が向上する傾向にある。
(2−3)イオン性化合物
粘着剤組成物は、帯電防止剤としてイオン性化合物(C)をさらに含有することができる。イオン性化合物(C)は、例えば、無機カチオン又は有機カチオンと、無機アニオン又は有機アニオンとを有する化合物である。
無機カチオンとしては、例えば、リチウムカチオン〔Li+〕、ナトリウムカチオン〔Na+〕、カリウムカチオン〔K+〕のようなアルカリ金属イオンや、ベリリウムカチオン〔Be2+〕、マグネシウムカチオン〔Mg2+〕、カルシウムカチオン〔Ca2+〕のようなアルカリ土類金属イオン等が挙げられる。
有機カチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等が挙げられる。
上記したカチオン成分のうち、有機カチオン成分は、粘着剤組成物中の相溶性に優れる。有機カチオン成分の中でも、ピリジニウムカチオン及びイミダゾリウムカチオンは、帯電防止性の点で有利である。
無機アニオンとしては、例えば、クロライドアニオン〔Cl-〕、ブロマイドアニオン〔Br-〕、ヨーダイドアニオン〔I-〕、テトラクロロアルミネートアニオン〔AlCl4 -〕、ヘプタクロロジアルミネートアニオン〔Al2Cl7 -〕、テトラフルオロボレートアニオン〔BF4 -〕、ヘキサフルオロホスフェートアニオン〔PF6 -〕、パークロレートアニオン〔ClO4 -〕、ナイトレートアニオン〔NO3 -〕、ヘキサフルオロアーセネートアニオン〔AsF6 -〕、ヘキサフルオロアンチモネートアニオン〔SbF6 -〕、ヘキサフルオロニオベートアニオン〔NbF6 -〕、ヘキサフルオロタンタレートアニオン〔TaF6 -〕、ジシアナミドアニオン〔(CN)2-〕等が挙げられる。
有機アニオンとしては、例えば、アセテートアニオン〔CH3COO-〕、トリフルオロアセテートアニオン〔CF3COO-〕、メタンスルホネートアニオン〔CH3SO3 -〕、トリフルオロメタンスルホネートアニオン〔CF3SO3 -〕、p−トルエンスルホネートアニオン〔p−CH364SO3 -〕、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン〔(FSO22-〕、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン〔(CF3SO22-〕、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニドアニオン〔(CF3SO23-〕、ジメチルホスフィネートアニオン〔(CH32POO-〕、(ポリ)ハイドロフルオロフルオライドアニオン〔F(HF)n -〕(nは1〜3程度)、チオシアンアニオン〔SCN-〕、パーフルオロブタンスルホネートアニオン〔C49SO3 -〕、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン〔(C25SO22-〕、パーフルオロブタノエートアニオン〔C37COO-〕、(トリフルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンカルボニル)イミドアニオン〔(CF3SO2)(CF3CO)N-〕、パーフルオロプロパン−1,3−ジスルホネートアニオン〔-3S(CF23SO3 -〕、カーボネートアニオン〔CO3 2-〕等が挙げられる。上記したアニオン成分の中でも、フッ素原子を含むアニオン成分は、帯電防止性の点で有利である。
イオン性化合物(C)の具体例は、上記カチオン成分とアニオン成分の組み合わせから適宜選択することができる。有機カチオンを有するイオン性化合物(C)の例を有機カチオンの構造ごとに分類して掲げると、次のようなものが挙げられる。
ピリジニウム塩:
N−ヘキシルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、
N−オクチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、
N−オクチル−4−メチルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、
N−ブチル−4−メチルルピリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、
テトラブチルアンモニウム ヘキサフルオロホスフェート、
N−デシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−ドデシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−テトラデシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−ヘキサデシルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−ドデシル−4−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−テトラデシル−4−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−ベンジル−2−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
N−ベンジル−4−メチルピリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド
N−ヘキシルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
N−オクチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
N−オクチル−4−メチルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
N−ブチル−4−メチルルピリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド。
イミダゾリウム塩:
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム p−トルエンスルホネート、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド
1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム メタンスルホネート、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド。
ピロリジニウム塩:
N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ヘキサフルオロホスフェート、
N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド
N−ブチル−N−メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド。
4級アンモニウム塩:
テトラブチルアンモニウム p−トルエンスルホネート、
(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム ジメチルホスフィネート。
また、無機カチオンを有するイオン性化合物(C)の例を挙げると、次のものがある。
リチウム ブロマイド、
リチウム ヨーダイド、
リチウム テトラフルオロボレート、
リチウム ヘキサフルオロホスフェート、
リチウム チオシアネート、
リチウム パークロレート、
リチウム トリフルオロメタンスルホネート、
リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド
リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
リチウム ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド、
リチウム トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド、
リチウム p−トルエンスルホネート、
ナトリウム ヘキサフルオロホスフェート、
ナトリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
ナトリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
ナトリウム p−トルエンスルホネート、
カリウム ヘキサフルオロホスフェート、
カリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、
カリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、
カリウム p−トルエンスルホネート。
イオン性化合物(C)は、帯電防止性の持続性の観点から、30℃以上、さらには35℃以上の融点を有することが好ましい。一方、イオン性化合物(C)は、ベースポリマーとの相溶性の観点から、好ましくは90℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは50℃未満の融点を有する。
イオン性化合物(C)は、ベースポリマー(2種以上用いる場合はそれらの合計)の固形分100重量部に対して、好ましくは0.2〜8重量部、より好ましくは0.2〜5重量部の割合で配合される。イオン性化合物(C)の含有量が0.2重量部以上であることは、帯電防止性の向上に有利であり、8重量部以下であることは、粘着剤層の耐久性向上に有利である。
(2−4)シラン化合物
粘着剤組成物は、粘着剤層付樹脂フィルムの粘着剤層がガラスで構成される光学部材に貼り合わされる場合、粘着剤層とガラスとの密着性を向上させるためにシラン化合物(D)をさらに含有することができる。
シラン化合物(D)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルエトキシジメチルシラン等が挙げられる。2種以上のシラン化合物を使用してもよい。
シラン化合物(D)は、シリコーンオリゴマータイプのものであってもよい。シリコーンオリゴマーとしては、例えば、次のものを挙げることができる。
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のメルカプトプロピル基含有のコポリマー;
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のメルカプトメチル基含有のコポリマー;
3−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−グリジドキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等の3−グリジドキシプロピル基含有のコポリマー;
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−メタクリロキシイルオプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のメタクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のアクリロイルオキシプロピル基含有のコポリマー;
ビニルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
ビニルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のビニル基含有のコポリマー;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコポリマー、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコポリマー
等のアミノ基含有のコポリマーなど。
シラン化合物(D)は、ベースポリマー(2種以上用いる場合はそれらの合計)の固形分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で含有される。シラン化合物(D)の含有量が0.01重量部以上であると、粘着剤層とガラスとの密着性向上効果が得られやすい。また含有量が10重量部以下であると、粘着剤層からのシラン化合物(D)のブリードアウトを抑制することができる。
(2−5)その他の成分
粘着剤組成物は、架橋触媒、耐候安定剤、タッキファイヤー、可塑剤、軟化剤、染料、顔料、無機フィラー、光散乱性微粒子、粘着付与剤等の添加剤を含有することができる。そのほか、粘着剤組成物に紫外線硬化性化合物を配合し、粘着剤層を形成した後に紫外線を照射して硬化させ、より硬い粘着剤層とすることもできる。
粘着剤組成物は通常、有機溶剤を含有させることによって配合成分を溶解又は分散させた粘着剤液として調製される。有機溶剤は、ベースポリマーの種類に応じて選択されることが好ましい。有機溶剤の具体例は、トルエン、キシレンのような芳香族系炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、ペンタンのような脂肪族系炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類を含む。粘着剤液中のベースポリマーの濃度は、通常3〜20重量%である。
(3)粘着剤組成物の塗工
塗工装置50を用いた樹脂フィルム10への粘着剤組成物の塗工方法は特に制限されず、例えば、スロットダイ法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法、ディップ法、ロールコート法、フレキソ印刷法等を用いることができる。粘着剤組成物からなる塗工層11の厚みは、粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13の厚みが後述する範囲となるように調整される。
図1に示されるように、塗工工程は、より具体的には、第1繰出しロール1から連続的に巻き出される長尺の樹脂フィルム10の一方の面に粘着剤組成物を連続塗工する工程であることができる。この際、図1に示されるように、樹脂フィルム10を塗工用ロール60に巻き掛けながら粘着剤組成物を塗工してもよい。
樹脂フィルム10と粘着剤層と密着性を向上させる目的で、樹脂フィルム10の塗工面にコロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理、プライマー層形成処理のような表面処理を施してもよい。
[乾燥工程]
本工程は、塗工層11を有する樹脂フィルム15の塗工層11を乾燥(溶剤揮発)させて、粘着剤層12を有する樹脂フィルム20を得る工程である(図1及び図3参照)。乾燥工程は、図1を参照して、塗工工程によって得られた塗工層11を有する長尺の樹脂フィルム15を引き続き連続搬送して、乾燥手段70に通す(導入)ことによって実施できる。
乾燥手段70は溶剤を揮発できる手段であれば特に制限されず、例えば乾燥炉(加熱炉)である。乾燥炉は、加熱手段に加えて減圧手段をさらに含み得る。乾燥炉内に供給される熱風の風量、乾燥炉内の温度及び圧力等の乾燥条件は、塗工層11に含まれる溶剤の種類や、平滑性、結露等の乾燥後の面状態を考慮して適切に設定される。第1表面活性化工程におけるエネルギー照射処理時の着火を抑制する観点から、粘着剤層中の残留溶剤ができるだけ少なくなる乾燥条件を選択することが好ましい。乾燥温度(例えば乾燥炉内の温度)は、通常50〜120℃、好ましくは60〜110℃である。
[第1表面活性化工程]
本工程は、粘着剤層12を有する樹脂フィルム20の粘着剤層12の外面にエネルギー照射を行うことによって当該面を活性化させる工程である(図1及び図4参照)。本工程を経て、樹脂フィルム付光学部材の中間体である粘着剤層13(エネルギー照射後)を有する粘着剤層付樹脂フィルム25が連続製造される。このエネルギー照射処理により、光学部材に対する粘着剤層13の密着性を改善することができる。本発明の特徴の1つは、塗工層11を乾燥して得られる粘着剤層12を養生する工程に供することなく(粘着剤の硬化反応を十分に進行させることなく)エネルギー照射処理に供する点にある。これによって、より特筆した密着性向上効果を得ることができる。
上記エネルギー照射処理は、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理などであることができる。中でもコロナ処理は、密着性の向上効果及び設備の簡便性から好ましく用いられる。エネルギー照射処理は、乾燥工程を経て得られる塗工層12を有する長尺の樹脂フィルム20を引き続き連続搬送して、エネルギー照射装置80を通過させることによって実施できる。
エネルギー照射処理は、複数回に分けて行ってもよい。エネルギー照射処理を複数回に分け、1回あたりに照射されるエネルギー量を、1回のみエネルギー照射処理を行う場合のエネルギー量よりも小さくすることにより、粘着剤層13外面の荒れや異物の発生、残留溶剤への着火を抑制することができる。荒れの抑制は、粘着剤層13と光学部材との密着性向上に有利となり得る。
第1表面活性化工程を経て得られる粘着剤層付樹脂フィルム25が有する粘着剤層13の厚みは、例えば10〜45μmであり、好ましくは10〜35μmである。粘着剤層13の厚みが45μm以下であることは、光学部材との密着性に有利である。またその厚みが10μm以上であると、光学部材の寸法変化に対する粘着剤層13の追随性が良好となる。
[貼合工程]
本工程は、粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13の外面に光学部材30を貼合して、樹脂フィルム付光学部材40を得る工程である(図1及び図5参照)。図5に示されるように、樹脂フィルム付光学部材40は、粘着剤層付樹脂フィルム25をその粘着剤層13を介して光学部材30の表面に積層貼合したものである。本発明によれば、粘着剤層13と光学部材30との密着性が良好な樹脂フィルム付光学部材40を製造することができる。
貼合工程は、具体的には次のようにして実施することができる。第1表面活性化工程を経て得られた長尺の粘着剤層付樹脂フィルム25を引き続き連続搬送するとともに、第2繰出しロール2から長尺の光学部材30を巻き出しつつ連続搬送し、粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13の外面(活性化処理面)に光学部材30を積層して積層体とする。この積層体を一対の貼合ロール90等を用いて上下から押圧することによって、樹脂フィルム付光学部材40を連続製造する。粘着剤層13と光学部材30との密着性の観点から、第1表面活性化工程を経て得られた粘着剤層付樹脂フィルム25は、一旦ロール状に巻き取ったり、他の処理を施すことなく、そのまま光学部材30との貼合工程に供給することが好ましい。
第1表面活性化工程にてエネルギー照射を行ってから、貼合工程にて上記積層体を一対の貼合ロール90等を用いて押圧するまでの時間は、好ましくは5秒以下である。当該時間を5秒以下とすることは、粘着剤層13と光学部材30との密着性向上に有利となり得る。
図1は、光学部材30の片面に粘着剤層付樹脂フィルム25を貼合する例を示しているが、光学部材30の両面に粘着剤層付樹脂フィルム25を貼合してもよい。光学部材30の両面に粘着剤層付樹脂フィルム25を貼合する場合、両面の粘着剤層付樹脂フィルム25は同時に貼合してもよいし、段階的に貼合してもよい。
光学部材30は、単層又は多層構造の光学フィルム等であることができる。光学フィルムの具体例は、偏光フィルム;光学補償フィルム(位相差フィルム等)、光拡散フィルム(シート)、反射フィルム(シート)などの光学機能性フィルム;偏光フィルム用保護フィルム;偏光板;ガラスフィルム(ガラスシートやガラス基板を含む。);セパレートフィルム;プロテクトフィルム用の基材フィルム等を含む。光学部材30は、好ましくは偏光板である。なお、粘着剤層付樹脂フィルム25が粘着剤層付セパレートフィルムであり、光学部材30がセパレートフィルムである場合、樹脂フィルム付光学部材40として、両面セパレートフィルム付の粘着剤層(粘着剤シート)が得られる。また、粘着剤層付樹脂フィルム25が粘着剤層付セパレートフィルムであり、光学部材30がプロテクトフィルム用の基材フィルムである場合、樹脂フィルム付光学部材40として、セパレートフィルム付のプロテクトフィルムが得られる。
なお、プロテクトフィルム(「表面保護フィルム」とも呼ばれる。)は、光学部材の表面を傷や汚れから保護する目的で光学部材に仮着される剥離可能なフィルムであり、通常、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムとその上に積層される粘着剤層とから構成される。
光学部材30における粘着剤層13の外面に接する表面の材質は特に制限されないが、通常実施される当該表面へのコロナ処理等のエネルギー照射処理を行ってもなお、粘着剤層13と光学部材30との間で十分な密着性が得られないような表面材質である場合に、本発明に係る製造方法はとりわけ有効である。エネルギー照射なしでは粘着剤層13との十分な密着性が得られにくい光学部材30の表面としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂を含む(典型的には当該樹脂からなる)表面などが挙げられる。光学部材30が偏光板である場合、このような表面は、偏光フィルムに貼合される保護フィルムや、光学補償フィルム(位相差フィルム等)などによって形成されることが多い。
偏光板は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を介して保護フィルムを貼合したものであることができる。この保護フィルムは、位相差フィルムのような光学補償フィルムとしての機能を兼ねていてもよい。偏光板は、偏光フィルムの少なくとも一方の面に硬化性樹脂から形成された硬化樹脂層を積層したものであってもよい。また、偏光フィルム上又は保護フィルム若しくは硬化樹脂層上に接着剤層や粘着剤層を介して、例えば、位相差フィルム、輝度向上フィルムのような他の光学機能性フィルムが積層されていてもよい。
偏光フィルムは、入射する自然光から直線偏光を取り出す機能を有するフィルムであり、好適な例は、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性色素が吸着配向しているものである。偏光フィルムの厚みは特に制限されないが、通常2〜35μmである。
保護フィルムは、透光性を有する(好ましくは光学的に透明な)熱可塑性樹脂フィルムであることができる。熱可塑性樹脂の具体例は、鎖状ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂等)、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂など)のようなポリオレフィン系樹脂;ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート系樹脂等);(メタ)アクリル系樹脂(メタクリル酸メチル系樹脂等);セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような酢酸セルロース系樹脂等);ポリカーボネート系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ酢酸ビニル系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物、共重合物を含む。保護フィルムの厚みは、例えば5〜200μm程度であり、好ましくは10〜150μm、より好ましくは15〜100μmである。
硬化樹脂層は、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂などの硬化性樹脂から形成される。硬化性樹脂は、熱重合性化合物を含むものであってもよいし、カチオン重合性化合物を含むものであってもよいし、ラジカル重合性化合物を含むものであってもよく、これら複数の種類を含むものであってもよい。硬化樹脂層の厚みは、例えば0.1〜10μm程度であり、好ましくは1〜5μmである。
偏光フィルムの両面に保護フィルムが貼合される場合において、これらの保護フィルムは、同種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよいし、異種の熱可塑性樹脂で構成されていてもよい。また、厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。偏光フィルムの両面に硬化樹脂層が積層される場合において、これらの硬化樹脂層は、同種の硬化性樹脂から形成されていてもよいし、異種の硬化性樹脂から形成されていてもよい。また、厚みが同じであってもよいし、異なっていてもよい。保護フィルムや硬化樹脂層は、ハードコート層、防眩層、反射防止層、光拡散層、帯電防止層、防汚層、導電層のような表面処理層(コーティング層)を有していてもよい。偏光フィルムの片面に保護フィルムが貼合される場合や硬化樹脂層が積層される場合は、粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13は、偏光フィルム面に直接貼合されてもよい。
位相差フィルムは、光学異方性を示す光学フィルムであり、上記保護フィルムに用いることができる樹脂等から構成される熱可塑性樹脂フィルムの一軸又は二軸延伸フィルムや、熱可塑性樹脂フィルムへの液晶性化合物の塗布・配向によって光学異方性を発現させたフィルム、熱可塑性樹脂フィルムへの無機層状化合物の塗布によって光学異方性を発現させたフィルムなどであることができる。
保護フィルム(又は位相差フィルム等)は、接着剤層を介して偏光フィルムに貼合することができる。接着剤層を形成する接着剤としては、水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤又は熱硬化性接着剤を用いることができ、好ましくは水系接着剤、活性エネルギー線硬化性接着剤である。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等が挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体等を用いることができる。水系接着剤は、アルデヒド化合物(グリオキザール等)、エポキシ化合物、メラミン系化合物、メチロール化合物、イソシアネート化合物、アミン化合物、多価金属塩等の架橋剤を含むことができる。
水系接着剤を使用する場合は、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、水系接着剤中に含まれる水を除去するための乾燥工程を実施することが好ましい。乾燥工程後、例えば20〜45℃程度の温度で養生する養生工程を設けてもよい。
上記活性エネルギー線硬化性接着剤とは、紫外線、可視光線、X線、電子線のような活性エネルギー線を照射することで硬化する接着剤をいい、例えば、重合性化合物及び光重合開始剤を含む硬化性組成物、光反応性樹脂を含む硬化性組成物、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含む硬化性組成物等を挙げることができる。好ましくは紫外線硬化性接着剤である。重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマーのような光重合性モノマーや、光重合性モノマーに由来するオリゴマーを挙げることができる。光重合開始剤としては、活性エネルギー線の照射により中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルのような活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。重合性化合物及び光重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性接着剤として、光硬化性エポキシ系モノマー及び光カチオン重合開始剤を含む硬化性組成物や、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー及び光ラジカル重合開始剤を含む硬化性組成物、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光カチオン重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤を含む硬化性組成物を好ましく用いることができる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いる場合は、偏光フィルムと保護フィルムとを貼合した後、必要に応じて乾燥工程を行い(ただし、活性エネルギー線硬化性接着剤は、実質的に溶剤成分を含まない無溶剤型接着剤であり得る。)、次いで活性エネルギー線を照射することによって活性エネルギー線硬化性接着剤を硬化させる硬化工程を実施する。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する紫外線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等を用いることができる。
保護フィルムの貼合に先立ち、接着性向上のために、偏光フィルム及び保護フィルムの少なくともいずれか一方の貼合面にコロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理、プライマー層形成処理のような表面活性化処理を施してもよい。
偏光フィルムの両面に保護フィルムが貼合される場合において、これらの保護フィルムを貼合するための接着剤は、同種の接着剤であってもよいし、異種の接着剤であってもよい。
[その他の工程]
本発明の製造方法は、光学部材30における粘着剤層13との貼合面にエネルギー照射を行う第2表面活性化工程をさらに含むことができる。この第2表面活性化工程は、貼合工程の前に実施され、粘着剤層13と光学部材30との密着性の観点から、好ましくは、第1表面活性化工程後の樹脂フィルム25が貼合工程に到達するまでの時間と、第2表面活性化工程後の光学部材30が貼合工程に到達するまでの時間とが同じか、又はおよそ同じとなるようなタイミングで実施される。また、粘着剤層13と光学部材30との密着性の観点から、第2表面活性化工程にてエネルギー照射を行ってから、貼合工程にて上記積層体を一対の貼合ロール90等を用いて押圧するまでの時間は、好ましくは5秒以下である。第1表面活性化工程で使用するエネルギー種と第2表面活性化工程で使用するエネルギー種とは同じであってもよいし異なっていてもよいが、粘着剤層13と光学部材30との密着性の観点から、これらは同じであることが好ましい。
本発明の製造方法は、貼合工程を経て得られた長尺の樹脂フィルム付光学部材40を巻き取りロール3に巻き掛けることによりロール状に巻き取ってフィルムロールとする巻き取り工程を含むことができる(図1参照)。また本発明の製造方法は、巻き取り工程後のロール状態で粘着剤層13の養生(熟成)を行う養生工程を含むこともできる。養生工程を実施することにより粘着剤層13の硬化反応が促進され、粘着剤層13の粘着力を高めることができる。また、粘着剤層13を光学部材30に密着させた状態で養生(粘着剤の硬化反応)を行うことにより、光学部材30との相互作用(化学反応を含む。)や光学部材30に対する粘着剤の濡れ性が改善されるため、粘着剤層13と光学部材30との密着性をさらに高めることが可能となる。養生温度は、例えば20〜45℃である。
また、本発明の製造方法は、貼合工程にて粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13に貼合した光学部材30(この光学部材を「第1光学部材」ともいう。)を、別の光学部材(この光学部材を「第2光学部材」ともいう。)で置換する置換工程を含むことができる。
具体的には、例えば粘着剤層付樹脂フィルム25が粘着剤層付セパレートフィルムであり、第1光学部材がセパレートフィルムである場合、置換工程は、第1光学部材であるセパレートフィルムを剥離除去する剥離工程と、引き続いて、粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13に、例えば偏光板等の第2光学部材を貼合する貼合工程(第2貼合工程)とを含むことができる。剥離工程後、第2貼合工程前に、粘着剤層13及び第2光学部材の貼合面の少なくともいずれか一方に、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理、プライマー層形成処理のような表面処理を施してもよい。
上述してきたように、本発明によれば、粘着剤層付樹脂フィルム25の粘着剤層13と光学部材30(第1光学部材)との密着性を高めることができるところ、乾燥工程後の粘着剤層12の硬化反応が十分に進行していない状態で第1表面活性化工程を実施することに起因して、第1光学部材を置換する第2光学部材と粘着剤層13との密着性をも高め得る。
また、本発明の製造方法は、樹脂フィルム10がセパレートフィルムである場合のように、貼合工程を経て得られた樹脂フィルム付光学部材40の樹脂フィルム10を剥離除去し、露出した粘着剤層13の外面に光学部材30とは別の光学部材を貼合する工程を含むことができる。例えば、粘着剤層付樹脂フィルム25が粘着剤層付セパレートフィルムであり、光学部材30がプロテクトフィルム用の基材フィルムである場合、樹脂フィルム付光学部材40として、セパレートフィルム付のプロテクトフィルムが得られるが、そこからセパレートフィルムを剥離除去し、露出した粘着剤層13の外面に偏光板を貼合することにより、プロテクトフィルム付偏光板を得ることができる。
1 第1繰出しロール、2 第2繰出しロール、3 巻き取りロール、10 樹脂フィルム、11 塗工層、12 粘着剤層(エネルギー照射前)、13 粘着剤層(エネルギー照射後)、15 塗工層を有する樹脂フィルム、20 粘着剤層(エネルギー照射前)を有する樹脂フィルム、25 粘着剤層付樹脂フィルム、30 光学部材、40 樹脂フィルム付光学部材、50 塗工装置、60 塗工用ロール、70 乾燥手段、80 エネルギー照射装置、90 貼合ロール。

Claims (5)

  1. 長尺状の樹脂フィルム上に粘着剤組成物を塗工して塗工層を形成する塗工工程と、
    前記塗工工程後のフィルムを連続搬送しながら乾燥手段に導入して前記塗工層を乾燥させることにより、粘着剤層を有する樹脂フィルムを得る乾燥工程と、
    前記粘着剤層を有する樹脂フィルムを連続搬送しながら、その粘着剤層の外面にエネルギー照射を行う第1表面活性化工程と、
    前記第1表面活性化工程後のフィルムを引き続き連続搬送しながら、その粘着剤層の外面に長尺の光学部材を積層し、この積層体を上下から押圧する貼合工程と、
    を含み、
    前記粘着剤組成物は(メタ)アクリル系粘着剤組成物であり、
    前記光学部材は、前記粘着剤層の外面に接する表面に環状ポリオレフィン系樹脂フィルムを保護フィルムとして有する偏光板である、樹脂フィルム付光学部材の製造方法。
  2. 前記貼合工程によって得られる樹脂フィルム付光学部材をロール状に巻き取り、ロール状態で前記粘着剤層の養生を行う養生工程をさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 第1表面活性化工程において、前記エネルギー照射を複数回に分けて行う、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記貼合工程の前に、前記光学部材における前記粘着剤層との貼合面にエネルギー照射を行う第2表面活性化工程をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記樹脂フィルムがセパレートフィルムである、請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法。
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