JP6801536B2 - 発泡フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン系発泡フィルムに関し、更に詳しくは、和紙調の風合いを有するなど意匠性に優れ、更に、成形性に優れるポリプロピレン系発泡フィルムに関する。
従来から、ポリプロピレン系樹脂は、引張強度、剛性などに優れ、かつ無毒性、無臭性などの食品衛生性に優れるため、特に食品包装分野で広く利用されている。通常、ポリプロピレン系樹脂を包装分野に使用する際、フィルム状にして使用されることが多い。
ところで、菓子等の食品や雑誌等の各種包装において、様々な意匠を有する包装材料が使われている。例えば、高級感を醸し出すことから、和紙調の包装材は高級菓子や土産物、高級食材等の包装材としてしばしば使用される。また、各種容器、壁材、家具、雑貨などにも和紙調の意匠が施されることがある。一方で、和紙そのものは比較的高価であり、また大量生産には向かないため、和紙調の風合いを醸し出すための種々の工夫がなされてきた。
例えば、和紙を貼り合わせたシュリンクラベルが開示されている(特許文献1)。しかしながら、和紙そのものを用いるため、比較的高価なものにならざるを得ず、大量生産にも向かないものであった。
また、印刷により和紙の風合いを出す試みもなされている(特許文献2、特許文献3)。しかしながら、印刷によるものは自然な和紙の風合いを醸し出すことが困難であるばかりでなく、印刷工程が必要となり、コスト面でも改善の余地があった。
また、透明プラスチックシートの表面に意図的に傷をつける加工し、毛羽立ちを持たせることにより和紙の風合いを持たせる容器の提案もなされている(特許文献4)。しかしながら工程が煩雑になり、更には毛羽立ちの破片が付着しやすく成形加工面で難があるばかりでなく、フィルム用途には転用できない技術であった。
また、化繊紙をラミネートして和紙の風合いを持たせた積層体の開示もある(特許文献5)。しかしながら、化繊紙自体が一旦樹脂組成物から繊維を成形し、その後接着剤などと共に紙同様に抄く工程を経るものであるため、押出成形によるフィルムに比べ高価にならざるを得ず、さらにはラミネート工程が必要であるため、コスト面で改善の余地があった。
また、非相容なプロピレン系樹脂と、エチレン系樹脂とを含有する樹脂層(A)と、着色顔料を含有するポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂層(B)とが積層された和紙調の風合いを有する積層フィルムが開示されている(特許文献6)。しかしながら、この方法ではマット感を有するものの、和紙特有の繊維が醸し出す風合いを表現することが極めて困難であった。
また、フィルム内部に空洞を含有し、少なくともフィルム厚み方向の片面の表層部の平均空洞径が5μm未満であり、フィルム厚み方向中央部の平均空洞径が15μm以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムが開示されている(特許文献7)。しかしながら、開示されている平均空洞径の最大値が30μmであることから和紙特有の繊維が醸し出す風合いを表現することが極めて困難であった。加えて延伸により空洞を生じせしめているため、テンター炉など延伸設備が必要となり、設備面での制約も大きかった。
また、光沢度が10以下であり、且つ水の接触角が85度以上である紙(和紙調)の風合いを有するポリエチレン系樹脂発泡シートも開示されている(特許文献8)。しかしながら、表面の光沢度を特定の範囲とすることでつや消し感を出すことを特徴としているが、和紙の繊維感を醸し出す風合いを表現することが極めて困難であった。さらに、実施例、比較例として開示されているものは厚みが0.51〜0.76mmと非常に厚いため、包装用フィルム用途として用いることができないものであった。加えて気泡の状態調整をガス注入により行っていることから、高圧ガス対応の製造設備が必要となり、設備面での制約も大きかった。
一方で、高圧ガス対応設備を必要としないポリプロピレン系発泡フィルムの開示がある(特許文献9)。この方法によれば、汎用の空冷インフレーションフィルム成形機を用い、均一微細な発泡セルを有する外観、成形性に優れるポリプロピレン系発泡フィルムが得られるが、実施例、比較例にて開示されている発泡セルの長径が130〜450μmであることからマット感を醸し出すことはできても和紙特有の繊維が醸し出す風合いを表現することが出来なかった。
特開2006−215245号公報 特開平4−138279号公報 特開2005−055777号公報 特開2011−098739号公報 特開平10−119223号公報 特開2016−068417号公報 特開2003−305771号公報 特開2010−121024号公報 特開2009−299012号公報
本発明の目的は、従来技術の現状に鑑み、設備面での制約が少なく、安価に製造可能であり、成形性に優れる、和紙調の風合いを有するポリプロピレン系発泡フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定範囲のMFRを示し、かつ、MFRとMT(溶融張力)とが特定の関係を示すポリプロピレン系樹脂(A)を含むポリプロピレン系樹脂組成物(X)と、発泡剤(Y)とを組み合わせて溶融押出成形をおこない、特定の厚み、気泡形態、発泡倍率に調整することにより、驚くべきことに和紙調のフィルムを簡便な設備で、良好な成形性をもって得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレン系発泡フィルムであって、下記特性(I)〜(II)を満たすポリプロピレン系樹脂(A)を含む、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が1.0〜20g/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物(X)と、発泡剤(Y)とを必須成分として溶融押出してなる発泡層を少なくとも一層以上含み、下記特性(i)〜(iv)を示す発泡フィルムが提供される。
(I)MFR1.0〜20g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
(II)MFRとMT(溶融張力 単位g 230℃)の関係が式(a)を満たすこと。
Log(MT)≧−0.9×Log(MFR)+0.7 又は MT≧15 式(a)
(i)厚みが10μm以上500μm未満であること。
(ii)気泡の平均長径と平均短径の比(長径/短径)が4.0以上50以下であること。
(iii)気泡の平均長径が0.5mm以上、10mm以下であること。
(iv)発泡層の発泡倍率が1.1倍以上、10倍以下であること。
本発明の第2の発明によれば、第1の発明の発泡フィルムの少なくとも一方の表面に、発泡剤を含まない層を積層してなる発泡フィルムが提供される。
本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、発泡フィルムが意匠性フィルムである発泡フィルムが提供される。
本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、意匠性フィルムが和紙調フィルムである発泡フィルムが提供される。
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、特定のポリプロピレン系樹脂(A)を含むポリプロピレン系樹脂組成物(X)と発泡剤(Y)とを必須成分として溶融押出して、特定の厚み、気泡形態、発泡倍率に調整して得られるものであり、和紙調の意匠性フィルムを簡便な設備で、良好な成形性をもって得られることから、従来に無い安価な方法で和紙調の意匠性フィルムを提供することが出来る。また、得られたフィルムは、意匠性、特に和紙調の風合いを持ち、さらに容易に手で引裂き易いため、意匠性を要求される包装用途、例えば食品、衣料、医薬、医療器具、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いることが出来る。更には、容器や雑貨等の成形体や、壁材、家具などに意匠性を持たせることを目的に加飾フィルムとして使用することもでき、産業上非常に有用である。
本発明の実施例1のフィルム表面のデジタルマイクロスコープ画像である。 本発明以外の比較例1のフィルム表面のデジタルマイクロスコープ画像である。
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、下記特性(I)〜(II)を満たすポリプロピレン系樹脂(A)を含む、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が1.0〜20g/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物(X)と、発泡剤(Y)とを必須成分として溶融押出してなる発泡層を少なくとも一層以上含み、下記特性(i)〜(iv)を示す発泡フィルムである。
(I)MFR1.0〜20g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
(II)MFRとMT(溶融張力 単位g 230℃)の関係が式(a)を満たすこと。
Log(MT)≧−0.9×Log(MFR)+0.7 又は MT≧15 式(a)
(i)厚みが10μm以上500μm未満であること。
(ii)気泡の平均長径と平均短径の比(長径/短径)が4.0以上50以下であること。
(iii)気泡の平均長径が0.5mm以上、10mm以下であること。
(iv)発泡層の発泡倍率が1.1倍以上、10倍以下であること。
以下、本発明のポリプロピレン系発泡フィルムに使用される、ポリプロピレン系樹脂(A)、プロプロピレン系樹脂組成物(X)、発泡剤(Y)等について詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂(A)
本発明で使用されるポリプロピレン系樹脂(A)は、以下で説明する(I)および(II)の特性を有する。
(1−1)特性(I):MFR
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A)のメルトフローレート(MFR)は、1.0〜20g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは1.0〜15g/10分、さらに好ましくは1.5〜15g/10分、特に好ましくは2.0〜10g/10分である。当該MFRが1.0g/10分以上であると、流動性が良好となり、フィルム成形時の押出機の負荷が低減でき、一方、当該MFRが20g/10分以下であると、フィルム成形時の成形安定性が向上する。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂(A)のMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され、単位はg/10分である。
(1−2)特性(II):溶融張力(MT)
さらに、本発明で使用するポリプロピレン系樹脂(X)は、以下の溶融張力(MT)とMFRの関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7
又は
MT≧15
のうちのいずれかを満たすことを必要とする。
ここで、MTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを用いて、キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm、シリンダー径:9.55mm、シリンダー押出速度:20mm/分、引き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で、測定したときの溶融張力を表し、単位はグラムである。ただし、ポリプロピレン系樹脂(A)のMTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。また、MFRの測定条件、単位は、前述の通りである。
この規定は、ポリプロピレン系樹脂(A)を含んでなる上記発泡フィルムの特性(i)〜(iv)を発現させ、かつ成形安定性を得るために充分な溶融張力を有するための指標であり、一般に、MTは、MFRと相関を有していることから、MFRとの関係式によって記述している。
このように溶融張力MTをMFRとの関係式で規定する手法は、当業者にとって通常の手法であって、例えば、特開2003−25425号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
log(MS)>−0.61×log(MFR)+0.82
(ここで、MSは、MTと同義である。)
また、特開2003−64193号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
11.32×MFR−0.7854≦MT
さらに、特開2003−94504号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
MT≧7.52×MFR−0.576
本発明においては、ポリプロピレン系樹脂(A)が、関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 又は MT≧15
のいずれかを満たせば、充分に溶融張力の高い樹脂といえ、所望の厚みを持ち、均質な気泡性状を示し、所望の発泡倍率を示すといった、和紙調を有する発泡フィルムの成形に好適である。
また、ポリプロピレン系樹脂(X)は、以下の関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.9 又は MT≧15
を満たすことがより好ましく、以下の関係式を満たすことが更に好ましい。
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+1.1 又は MT≧15
MTの上限値については、これを特に設ける必要はないが、MTが40g以下であると、上記測定手法における測定に適した引き取り速度を示し、このような場合は、樹脂の延展性にも優れていると考えられる。そのため、MTは好ましくは40g以下、さらに好ましくは35g以下、最も好ましくは30g以下である。
(1−3)ポリプロピレン系樹脂(A)のその他の特性
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A)の融点は、110〜170℃であることが好ましく、より好ましくは115℃以上、さらには120℃以上であり、また、より好ましくは165℃以下、更には160℃以下である。融点が110℃以上の場合には、気泡形成時に冷却固化が遅くなり過ぎることがなく、気泡形態が安定性に悪影響を及ぼすのを回避することができる。また融点が170℃を超えるものは、実質的に製造が困難である。
なお、融点は、示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。尚、測定試料は通常5mg〜10mg程度が使用され、この範囲であると熱の追随性がよい。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、上記特性(I)および(II)を満たせばよく、プロピレンを主体とする重合体から得られるものであればよい。プロピレンを主体とする重合体とは、重合体を構成する単量体の50モル%以上がプロピレンであるものを言い、例えばプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体もしくはそれらの混合物が例示される。
また、本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(A)は、上述の通り、溶融張力が高いという特徴を有している。そのような特徴を有するポリプロピレン系樹脂としては、分岐構造を有するものが知られている。分岐構造を有するものとして、重合工程で分岐を生じさせるものや、重合工程の後に電子線や有機過酸化物を用いた架橋により分岐を生じさせるものが知られており、いずれも特に制限なく使用することが出来る。しかし、架橋タイプのものはフィルム成形時にゲルが発生しやすいという問題があるため、重合工程で分岐を生じさせるものがより好ましい。重合工程で分岐させるものとしては、例えば特開2014−132068号公報に開示されたものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物(X)
ポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、上記ポリプロピレン系樹脂(A)を含む樹脂組成物である。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂(X)のメルトフローレート(MFR)は、1.0〜20g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは1.0〜15g/10分、さらに好ましくは1.5〜15g/10分、特に好ましくは2.0〜10g/10分である。当該MFRが1.0g/10分以上であると、流動性が良好となり、フィルム成形時の押出機の負荷が低減でき、一方、当該MFRが20g/10分以下であると、フィルム成形時の成形安定性が向上する。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)のMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され、単位はg/10分である。
ポリプロピレン系樹脂組成物(X)は、ポリプロピレン系樹脂(A)を含めばよいが、好ましくは、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)における樹脂成分100重量部中のポリプロピレン系樹脂(A)は30重量部以上100重量部以下であり、より好ましくは50重量部以上100重量部以下である。ポリプロピレン系樹脂組成物(X)中にポリプロピレン系樹脂(A)を含むことにより、気泡を均質に形成でき、また、フィルム成形時の成形安定性も良好となる。
ポリプロピレン系樹脂組成物(X)中のポリプロピレン系樹脂(A)以外の樹脂成分としては、特に限定されないが、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、オレフィン系エラストマー、プロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの2元ランダム共重合体樹脂、プロピレンとエチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの三元ランダム共重合体樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、並びにそれらの水素添加誘導体等に代表される脂環式炭化水素樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン−ブタジエンランダム共重合体やその水素添加物などを所望の性状に応じて単独もしくは複数種組み合わせて配合することが出来る。中でもプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の中から選ぶと均質な発泡特性を得やすくなる。α−オレフィンはエチレンおよび/または1−ブテンが好ましい。例として、日本ポリプロ(株)製商標名ノバテックPP、ウィンテック、ウェルネクス、ニューコンが挙げられる。
その他、本発明に用いるポリプロピレン系樹脂組成物(X)には、本発明の効果を妨げない限り、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤、光安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン社製商品名「IRGANOX 1010」)やn−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(BASFジャパン社製商品名「IRGANOX 1076」)で代表されるフェノール系安定剤、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトやトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどで代表されるホスファイト系安定剤、高級脂肪酸アミドや高級脂肪酸エステルで代表される滑剤、炭素原子数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、ポリエチレングリコールエステルなどの帯電防止剤、ソルビトール系造核剤(例えば、新日本理化社製商品名「ゲルオールMD」)、芳香族燐酸エステル類(例えば、ADEKA社製商品名「NA−21」)、ミリケン社製商標名「Millad」シリーズ、ミリケン社製商標名「Hyperform」シリーズ、タルク、高密度ポリエチレンなどで代表される造核剤等が挙げられるが、これらに限定されるものでなく、例えば特開2011−42780号公報に例示されているものが挙げられる。
本発明に用いるポリプロピレン系樹脂組成物(X)の融点は、110〜170℃であることが好ましく、より好ましくは115℃以上、さらには120℃以上であり、また、より好ましくは165℃以下、更には160℃以下である。融点が110℃以上の場合には、気泡形成時に冷却固化が遅くなり過ぎることがなく、気泡形態が安定性に悪影響を及ぼすことがない。また融点が170℃を超えるものは、実質的に製造が困難である。
なお、融点は、示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。尚、測定試料は通常5mg〜10mg程度が使用され、この範囲であると熱の追随性がよい。
3.発泡剤(Y)
本発明で用いる発泡剤(Y)は、熱分解型化学発泡剤であり、公知のものの中から適宜選定することでき、無機化合物、有機化合物の何れの熱分解型化学発泡剤でもよい。
熱分解型化学発泡剤の具体例としては、重炭酸ソーダとクエン酸などの有機酸の混合物、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジンなどが挙げられる。
これらは、発泡フィルム成形時にポリプロピレン系樹脂組成物(X)に直接添加してもよいが、作業性の面からあらかじめ熱可塑性樹脂に練りこまれたマスターバッチを発泡フィルム成形時にポリプロピレン系樹脂組成物(X)とブレンドして用いることが好ましい。
これらの市販品の例としては、クラリアントジャパン(株)製ハイドロセロールシリーズや、永和化成工業(株)製ポリスレンシリーズが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
発泡剤の配合量は、所望の気泡形態を形成させる観点から、ポリプロピレン系樹脂組成物(X)中の樹脂成分100重量部に対し、好ましくは0.05〜10重量部の範囲であり、より好ましくは0.05〜6.0重量部、さらに好ましくは0.5〜4.0重量部、特に好ましくは1.0〜4.0重量部である。
さらに、以下では、本発明のポリプロピレン系発泡フィルムの特性、その成形および用途について詳述する。
4.ポリプロピレン系発泡フィルム
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、以下に示す(i)〜(iv)の特性を有する。
(4−1)特性(i):厚み
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、厚みが10μm以上500μm未満であり、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは20μm以上200μm以下、更に好ましくは20μm以上150μm以下、特に好ましくは30μm以上100μm以下である。厚みがこの範囲であれば、うっすらと透き通る感触の和紙感を醸し出しやすい。厚みが10μm以上であると、透明感が強すぎることなく、和紙調の風合いが付与され、また、破泡などが起きにくく、フィルム成形性が向上する。厚みが500μm未満であると、透き通る感触が無くなることを回避し、和紙調の風合いを損なうことがない。
厚みの調整は、フィルム成形時の吐出量、引取速度、更にインフレ成形においてはブローアップレシオを適宜調整することで行うことが出来る。
(4−2)特性(ii):気泡の平均長径と平均短径の比(長径/短径)
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムの気泡の平均長径と平均短径の比(長径/短径)は、4.0〜50、好ましくは4.5〜40、より好ましくは5.0〜20、特に好ましくは5.5〜10である。当該比がこの範囲ならば、和紙が有する独特の繊維の感触を醸し出しやすい。当該比が4.0以上であると、繊維の感触が表現され、和紙調の風合いが付与される。当該比が、50以下であると、繊維の感触が細くなり過ぎることがなく、和紙調の風合いを損なうことがない。
気泡の平均長径と平均短径の比は、フィルム成形時の吐出量、引取速度、ダイのリップ幅、押出機温度、ダイ温度、更にインフレ成形時においてはブローアップレシオ、発泡剤(Y)の種類、発泡剤(Y)の量を適宜調整することで行うことが出来る。
ここで、気泡の平均長径と平均短径の測定方法は特に限定されないが、例えばフィルムの上面から(厚み方向と平行な方向から)光学顕微鏡、デジタルマイクロスコープ、実態顕微鏡等で観察し計測する方法が挙げられる。平均長径と平均短径は無作為に10個以上の気泡を選択し、気泡の長径と短径を測定した各々の平均値とする。また、観察倍率は気泡のサイズに応じて適宜選択すればよい。
(4−3)特性(iii):気泡の平均長径
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムの気泡の平均長径は、0.5〜10mm、好ましくは0.5〜8.0mm、より好ましくは0.7〜8.0mmである。気泡の平均長径がこの範囲ならば、和紙が有する独特の繊維の感触を醸し出しやすい。平均長径が0.5mm以上であると、繊維の感触が短くなり過ぎることがなく、和紙調の風合いを付与することができる。平均長径が10mm以下であると、繊維の感触が粗くなり過ぎるのを抑え、和紙調の風合いを損なうことがない。
気泡の平均長径は、フィルム成形時の吐出量、引取速度、ダイのリップ幅、押出機温度、ダイ温度、更にインフレ成形時においてはブローアップレシオ、発泡剤(Y)の種類、発泡剤(Y)の量を適宜調整することで行うことが出来る。特に気泡の長径方向がフィルムの流れ方向(MD方向)である場合、フィルム成形時の引取速度の影響が大きく、平均長径を大きくしたい場合は引取速度を大きくし、平均長径を小さくしたい場合は引取速度を小さくするとよい。
(4−4)特性(iv):発泡層の発泡倍率
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムの発泡層の発泡倍率は、1.1〜10倍、好ましくは1.1〜5倍、より好ましくは1.5〜5倍、更に好ましくは1.5〜4倍である。当該発泡倍率がこの範囲であれば、フィルムに占める気泡の割合が和紙感を醸し出すのに適したものとなる。当該発泡倍率が、1.1倍以上であると、フィルム中に占める気泡の割合が小さくなり過ぎることがなく、和紙調の風合いを付与することができる。当該発泡倍率が10倍以下であると、気泡が大きくなり過ぎることがなく、和紙調の風合いが損なわれることがない。
発泡層の発泡倍率は、フィルム成形時の吐出量、引取速度、ダイのリップ幅、押出機温度、ダイ温度、更にインフレ成形時においてはブローアップレシオ、発泡剤(Y)の種類、発泡剤(Y)の量を適宜調整することで行うことが出来る。発泡倍率を大きくしたい場合は、発泡剤の量を増加させたり、引取速度を大きくしたり、ダイ温度を高くするとよく、発泡倍率を小さくしたい場合はその逆を行うとよい。
ここで、発泡倍率は、未発泡品と発泡品の密度比較等の公知の方法や、後述の方法により測定することが出来る。
(4−5)その他の特性
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、所望の透き通り感、光沢を選択することが出来る。透き通り感については、例えばJIS K7136に準拠して測定される全光線透過率やヘイズを所望の値に調整することが出来、光沢については、例えばJIS Z8741に準拠して、入射角20°または45°または60°にて測定するグロス値を所望の値に調整することが出来る。その手法としては、例えば発泡剤の量、種類を適宜選定する方法、後述の多層フィルムの構成を適宜選定する方法、それらの組み合わせ等で行うことが出来る。
5.発泡フィルムの成形
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムの成形には、公知のフィルム成形法を制限なく利用することが出来る。例えばTダイ法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法が挙げられる。また、延伸してもよいが、未延伸の方が工程が少なくコスト面で有利である。
フィルム成形法の中では、フィルムの幅方向の発泡状態の均質性の観点から環状ダイを用いるインフレーション法が好ましい。中でも空冷インフレーション法が、複雑な設備を要せず、また、フィルムの幅の調整をブロー比の調整のみで行うことが出来るため好ましい。
フィルムを製造する装置は、公知のいかなるタイプのものでも用いることが出来る。
例えば押出機として、公知の単軸押出機や二軸押出機などの各種押出機を用いることが出来るが、発泡剤(Y)を確実に分解させ、尚且つダイから出るときの樹脂温度を所望の温度に制御させる観点から、スクリュー長さLとスクリュー径Dの比(L/D)が大きいものを選択することが好ましい。具体的には、L/Dが20以上、好ましくは24以上、より好ましくは28以上、更に好ましくは32以上である。もしくは、タンデム式、具体的には2台の押出機を直列につないだものを用いることも出来る。
また、ダイに関しても公知の各種形状のダイを制限なく用いることが出来るが、ダイ内での発泡を防ぎ、均質な気泡を形成させる観点から、ダイ出口の隙間の幅(リップ幅)は狭い方が好ましい。具体的には2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下、特に好ましくは0.8mm以下である。また、リップ幅が狭すぎると押出時の過負荷や、メルトフラクチャーといった外観の悪化や、コルゲートと呼ばれる厚みムラが発生しやすくなるため、リップ幅は0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.3mm以上、特に好ましくは0.4mm以上である。
ダイのリップ幅は、Tダイ成形機においては調整ボルトを用いて適宜調整することができ、環状ダイを有するインフレーション成形機においては、マンドレルを選定することで適宜調整することが出来る。
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、単層だけでなく、共押出法などによる積層フィルムとすることもできる。積層フィルムの場合、本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、少なくとも一層含まれていればよい。例えば、2層フィルムのうちの1層、3層フィルムのうちの中間層としての使用などが挙げられる。
具体的な例として、本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、その少なくとも片面に、好ましくは両表面に、無発泡層からなる外層を積層することができ、発泡多層フィルムとすることができる。すなわち、本発明のポリプロピレン系発泡フィルム(発泡層)からなる層の両表面に、無発泡層からなる外層を積層し、発泡多層フィルムにすることが好ましい。
発泡多層フィルムは、表面に使用する樹脂を適宜選定することで発泡フィルムの意匠性を種々調整しやすくなる。例えば表面の光沢を抑制し、より強い和紙感を醸し出す目的でプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を用いる手法や、プロピレン単独重合体またはプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体やプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体またはそれらの混合物に、更に高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン等を混合したものを用いる手法などが挙げられる。逆に表面の光沢性を上げ、和紙感を変調させたい場合はプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体などの光沢性を発現しやすい樹脂を配することも考えられる。α−オレフィンは、エチレンおよび/または1−ブテンが好ましい。
また、多層発泡フィルムが3層以上の場合、発泡層以外の層に用いる樹脂は、全て同じでもよいし、異なっても良い。例えばプロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、発泡層に用いられる樹脂組成物(X)、又はそれらの混合物を発泡層以外の全ての層に用いてもよいし、層毎に使い分けてもよい。例えば多層発泡フィルムにヒートシール性を持たせたい場合は、一方の表面層にプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を主体とする層を配することが挙げられ、表面に柔らかい質感を持たせたい場合は、前述のオレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマーを配合することなどが挙げられるが、層構成はこの限りではない。
さらに、本発明の(多層)発泡フィルムは、フィルム表面に、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等の表面処理をしても何ら差支えなく、印刷等を施してもよい。
6.発泡フィルムの用途
本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、意匠性、特に和紙調の風合いを持ち、さらに、場合によっては容易に手で引裂き易いものもできるため、意匠性を要求される包装用途、例えば食品、衣料、医薬、医療器具、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いることが出来る。
また、本発明のポリプロピレン系発泡フィルムは、単層フィルムや積層フィルムとして、又は種々の基材を更に積層(ラミネート)してなる複合フィルム、複合シート、複合成形体として用いてもよい。積層する基材としては、例えば延伸、無延伸を問わずナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アルミ箔などのフィルム、シート、成形体が挙げられるがこれらに限定されるものではない。基材に発泡フィルムを積層する方法としては、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、ノンソルラミネート法、押出ラミネート法、インサート射出成形法等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
また、包装用途に限らず例えば、容器や雑貨等の成形体や、壁材、家具等に意匠性を持たせることを目的に加飾フィルムとして前記複合化を行ってもよい。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例および比較例において使用したポリプロピレン系樹脂、発泡剤、フィルム成形安定性やフィルムの諸物性は、下記の評価方法に従って、測定、評価した。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分):
JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)溶融張力MT(単位:グラム):
(株)東洋精機製作所製キャピログラフを用いて、以下の条件で測定した。
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
MTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。
(3)発泡フィルムの平均長径および平均短径
デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−900型)を用いて、成形して得られたフィルムの上面から(厚み方向と平行な方向から)透過光モードにて対物レンズの倍率30倍で撮影し、無作為に10個の気泡を選択し、気泡の長径と短径を測定し、各々の平均値を求めた。
(4)発泡倍率
発泡フィルムの厚さ(d1)と、別途成形した発泡剤(Y)を配合しないこと以外は同一組成、同一層構成、同一吐出量、同一引取速度、同一フィルム幅の無発泡のフィルムの厚さ(d0)との比(d1/d0)を、発泡倍率とした。多層フィルムの場合は発泡層以外の層の厚さをあらかじめ測定しておき、発泡層の厚みのみを計算により算出して発泡層の発泡倍率を求めた。尚、多層フィルムの場合、発泡剤(Y)を配合しないフィルムの各層の層比は、吐出量と密度から求めることが出来、本発明の実施例においては、全層にポリプロピレン系樹脂を使用したので、各層樹脂の密度としてポリプロピレン系樹脂の代表値である0.9g/cmを用いた。また、発泡フィルム成形時に引取速度を変更した場合は、d0および発泡層以外の厚みを引取速度に応じて計算により求めた。例えば、引取速度を4分の1にした場合は、d0および発泡層以外の厚みを4倍とした。
(5)厚み測定
フィルムの幅方向に16カ所の測定位置を定め、ミツトヨ社製Model ID−S112で厚み測定を行った。フィルム厚みは16カ所の平均値とした。
(6)外観
下記基準にて、目視で外観を判断した。
○:大きな発泡セルが無く、均質である。
×:大きな発泡セルが目立ち不良。
(7)和紙感
下記基準にて、目視で和紙感を判断した。
◎:和紙の風合いが強くある。
○:和紙の風合いがある。
△:和紙の風合いが弱く、やや普通紙に近い
×:和紙の風合いが無い。又は、普通紙に近い。又は大きな発泡セルが目立ち外観不良。
(8)手切れ性
下記基準にて、手切れ性を判断した。
○:フィルムの流れ方向又は流れ方向に直角の方向に容易に手で裂ける
△:やや抵抗感がある。
×:引裂く際に抵抗感を感じる。
(9)ヘイズ(単位:%)、全光線透過率(単位:%)
日本電色工業(株)製ヘーズメーターNDH7000SP型を用い、JIS K7136に準拠して測定した。
(10)光沢度(グロス)(単位:%)
日本電色工業(株)製光沢計VG7000型を用い、JIS Z8741に準拠して入射角60°で空冷インフレーションフィルムのチューブ外面の光沢度を測定した。尚、入射光をフィルムの流れ方向と同じ方向にした測定(MD)と直行方向にした測定(TD)の両方を行った。
実施例および比較例で使用したポリプロピレン系樹脂とその特性を、表1にまとめた。
Figure 0006801536
ポリプロピレン系樹脂(A)
PP−1:日本ポリプロ(株)製 商品名:ウェイマックスEX4000 MFR6g/10分 MT4g
ポリプロピレン系樹脂(A)以外のポリプロピレン系樹脂
PP−2:日本ポリプロ(株)製 商品名:ノバテックPP FY6H プロピレン単独重合体 MFR1.9g/10分 MT2.1g
発泡層以外に使用したポリプロピレン系樹脂
PP−3:日本ポリプロ(株)製 商品名:ノバテックPP BC3HF プロピレン−エチレン−ブロック共重合体 MFR8.5g/10分
発泡剤(Y)
Y−1:クラリアントジャパン(株)製 商品名:ハイドロセロールCF40E−J
Y−2:永和化成工業(株)製 商品名:ポリスレンEE275F
参考例1
フィルム成形機として、外層用としてスクリュー口径40mm、L/D24の単軸押出機(以下、Ex1)、内層用としてスクリュー口径40mm、L/D24の単軸押出機(以下、Ex2)、中間層用としてスクリュー口径50mm、L/D28の単軸押出機(以下、Ex3)、(株)プラコー社製HA300型エアリング、直径200mm、リップ幅0.7mmのスパイラル型3層ダイを備えた、三層空冷インフレーション成形機を用いた。
内層用及び外層用の単軸押出機(Ex1およびEx2)の温度を以下の通り設定した。
温度設定:C1/C2/J=170/220/180℃
中間層用の単軸押出機(Ex3)の温度を以下の通り設定した。
温度設定:C1/C2/C3/A/J1/J2=160/230/200/200/185/185℃
ダイの温度を以下の通り設定した。
温度設定:D1/D2=185/185℃
ここでC1、C2、C3は押出機のシリンダー温度を、Aは押出機とジョイントを繋ぐアダプタの温度を、J、J1、J2は押出機又はアダプタとダイを繋ぐジョイントの温度を指す。D1はダイの押出機側約半分、D2はダイの出口側約半分の温度を指す。
Ex1およびEx2にPP−3を投入し、Ex3にポリプロピレン系樹脂組成物(X)としてPP−1を投入し、外層5kg/h、内層5kg/h、中間層20kg/hの吐出量となる条件で押出し、フィルム折り幅500mm(ブロー比1.6)、引取速度18m/分の条件で2種3層のフィルムを成形した。尚、ブロワーメモリは、16Hzであった(値が大きいほどエアリングから供給される冷却空気の量が多い)。バブルは非常に安定しており、成形性は良好であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
Figure 0006801536
実施例1
参考例1の中間層用樹脂を、PP−1樹脂100重量部に対し、発泡剤Y−1を2重量部ペレットブレンダーでドライブレンドしたものに代えた以外は参考例1と同様の構成、条件で2種3層のフィルムを成形した。バブルは非常に安定しており、成形性は良好であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
実施例2
実施例1のダイ温度をD1/D2=200/200℃に変更した以外は実施例1と同様に2種3層フィルムを成形した。バブルは非常に安定しており、成形性は良好であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
実施例3
実施例1の中間層用押出機(Ex3)の設定温度を、C1/C2/C3/A/J1/J2=230/230/220/180/180/180℃に、ダイ温度をD1/D2=180/180℃に変更し、発泡剤Y−1から発泡剤Y−2に変更し、発泡剤の配合量をPP−1樹脂100重量部に対し、5重量部に変更した以外は実施例1と同様に2種3層フィルムを成形した。バブルは非常に安定しており、成形性は良好であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
実施例4
実施例3の引取速度を9m/分に変更したこと以外は実施例3と同様の構成、条件で2種3層のフィルムを成形した。バブルは非常に安定しており、成形性は良好であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
比較例1
実施例1の引取速度を4.5m/分に変更したこと以外は実施例1と同様の構成、条件で2種3層のフィルムを成形した。バブルは非常に安定しており、成形性は良好であった。得られたフィルムの評価結果を表2にまとめた。
比較例2
比較例1の中間層用樹脂を、PP−1に代えてPP−2とした以外は比較例1と同様の構成、条件で2種3層のフィルムを成形した。フィルムに穴が開き、成形することが出来なかった。

Claims (3)

  1. ポリプロピレン系発泡フィルムであって、下記特性(I)〜(II)を満たすポリプロピレン系樹脂(A)を含む、MFR(温度230℃、荷重2.16kg)が1.0〜20kg/10分であるポリプロピレン系樹脂組成物(X)と、発泡剤(Y)とを必須成分として溶融押出してなる発泡層を少なくとも一層以上含み、前記発泡フィルムの少なくとも一方の表面に、発泡剤を含まない層を積層してなり、下記特性(i)〜(iv)を示す発泡フィルム。
    (I)MFR1.0〜20g/10分(230℃、2.16kg荷重)。
    (II)MFRとMT(溶融張力 単位g 230℃)の関係が式(a)を満たすこと。
    Log(MT)≧−0.9×Log(MFR)+0.7 又は MT≧15 式(a)
    (i)厚みが10μm以上500μm未満であること。
    (ii)気泡の平均長径と平均短径の比(長径/短径)が4.0以上50以下であること。
    (iii)気泡の平均長径が0.5mm以上、10mm以下であること。
    (iv)発泡層の発泡倍率が1.1倍以上、10倍以下であること。
  2. 発泡フィルムが意匠性フィルムである請求項に記載の発泡フィルム。
  3. 意匠性フィルムが和紙調フィルムである請求項に記載の発泡フィルム。
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