JP6800323B2 - Spmモータ回転子およびその製造方法 - Google Patents

Spmモータ回転子およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁石を保持する保持部材を有するSPMモータ回転子、およびその製造方法に関するものである。
近年、NC加工機用主軸モータにおいては、高速化および高出力化に有利であるため、永久磁石を主軸の外周面に配置するSPM(Surface Parmanent Magnet)モータ回転子が用いられている。このSPMモータ回転子においては、回転子の回転数を増大させると、磁石が、遠心力によって回転子から脱離しようとする。この脱離を防止するためには、磁石を回転子に保持する保持強度を十分に付与する必要がある。
特許文献1に記載された従来の回転子では、回転子の外周に、周方向に配列された複数の磁石が設けられている。磁石の外周側には、繊維強化プラスチック製の繊維束が、回転子の軸方向において、一端側から他端側まで、連続的に巻き付けられている。繊維束の巻き終わり部は、反応硬化性樹脂で終端処理されている。
特開2016−82773号公報
しかしながら、特許文献1に記載された従来の回転子では、繊維束の巻き終わり部は、表面に露出しており、反応硬化性樹脂で接着固定されているのみである。そのため、回転子を高速で回転させた場合、遠心力によって、巻き終わり部は、接着箇所から剥離する。これにより、磁石が回転子から脱離するという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、回転子を高速で回転させた場合においても、磁石が脱離しないSPMモータ回転子を提供することを目的とするものである。
この発明によるSPMモータ回転子は、回転子本体の外周面に沿って複数の磁石が配置され、保持部材および覆い部材を有する。保持部材は、樹脂が含浸された繊維束によって形成される。保持部材は、回転子本体の軸方向における一端部から他端部に至る区間にわたって連続して、複数回螺旋状に周回しつつ、複数の磁石の径方向外側に巻かれる。覆い部材は、他端部に設けられる。保持部材の巻き始め部は、複数回螺旋状に周回しつつ巻かれる保持部材の巻き始め部より外側の層に覆われる。保持部材の巻き終わり部は、回転子本体の軸方向について磁石より外側に位置する。回転子本体の他端部の外径は、磁石の外径から徐々に小さくなるテーパー形状であるとともに、他端部に巻かれた巻き終わり部の外径も他端部に沿って徐々に小さくなるテーパー形状であり、巻き終わり部は、回転子本体と内テーパー部とで挟まれている。
この発明のSPMモータ回転子によれば、磁石をSPMモータ回転子に対して保持する保持部材の巻き始め部は、保持部材の巻き始め部より外側の層によって覆われている。また、保持部材の巻き終わり部は、覆い部材によって覆われている。したがって、保持部材の端部である巻き始め部および巻き終わり部は、ともに、表面に露出していない。そのため、高速回転時において、保持部材の巻き始め部および巻き終わり部に、保持部材の剥離が発生しない。
これにより、回転子を高速で回転させた場合においても、磁石が脱離しないSPMモータ回転子を提供することができる。
本発明の実施の形態1によるSPMモータ回転子を備えたモータの概略断面図である。 図1におけるA部の拡大図である。 実施の形態1のSPMモータ回転子の製造方法を示す図である。 実施の形態1のSPMモータ回転子の製造方法を示す図である。 実施の形態1のSPMモータ回転子の製造方法を示す図である。 実施の形態1のSPMモータ回転子の製造方法を示す図である。 実施の形態1のSPMモータ回転子の製造方法を示す図である。 実施の形態1のSPMモータ回転子および比較のためのSPMモータ回転子における高速運転評価の結果を示す表である。
以下、本発明におけるSPMモータ回転子の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、同一または相当部分については同一符号で示し、重複する説明は省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるSPMモータ回転子を備えたモータの概略断面図である。このモータは、例えば、NC加工機に用いられる。
モータ300は、ハウジング10内に、互いに同心円状に配置された回転子100および固定子11を備えている。固定子11は、ハウジング10の内面に固定されている。回転子100は、SPMモータ回転子を構成する。
回転子100には、円柱状の回転軸13の周囲に、回転子本体としての、円筒形のスリーブ3が設けられている。スリーブ3の外周側には、複数の磁石2が配置されている。磁石2の外周側には、磁石2を保持するように、保持部材1が設けられている。保持部材1において、スリーブ3の軸方向Lの一端部3aにおける外径は、中央側の外径と等しい。一方、保持部材1において、スリーブ3の軸方向Lの他端部3bには、スリーブ3の内周側に向かって、傾斜部1tが設けられている。スリーブ3の他端部3bには、覆い部材としてのテーパーリング4が嵌め込まれている。テーパーリング4は、円柱から円錐台が抜かれた形状をしている。これにより、テーパーリング4の内周面のうち、保持部材1を覆う部分の形状は、テーパー形状である。テーパーリング4の外径は、複数の磁石2に巻かれている保持部材1の外径と等しく形成されている。保持部材1の傾斜部1tは、テーパーリング4によって覆われており、回転子100の表面に露出していない。テーパーリング4の軸方向Lの外側には、円盤型の回転子カバー12が設けられている。保持部材1には、比強度が高く、比較的安価な炭素繊維に、エポキシ樹脂が浸漬されて形成された繊維強化プラスチック(FRP)が用いられている。
図2は、図1におけるA部の拡大図である。
スリーブ3において、磁石2とテーパーリング4との間の部位には、回転子100の半径方向外側に向かって、段状に突出するフランジ部5が形成されている。フランジ部5は、スリーブ3の他端部3bに形成されている。これにより、フランジ部5のテーパーリング4と接する側の端面5bは、スリーブ3の他端部3bの端面になっている。フランジ部5の磁石2と接する側5aは、磁石2の外周と同じ高さである。フランジ部5のテーパーリング4と接する側の端面5bは、磁石2の外周より少し低くなる、すなわち、フランジ部5の外側は、磁石2に接する側5aからテーパーリング4に接する側の端面5bに向かって、肉厚が薄くなるテーパー形状となっている。保持部材1の傾斜部1tは、フランジ部5のテーパー形状に沿って設けられている。テーパーリング4は、保持部材1の傾斜部1tを覆っている。
テーパーリング4は、内テーパー部4aとディスク部4bとを有している。内テーパー部4aおよびディスク部4bは、一体に形成されている。ディスク部4bは、他端部3bの端面5bを覆っている。ディスク部4bには、ディスク部4bの軸方向Lに貫通している穴部4hが設けられている。穴部4hの径は、スリーブ3の内径と等しい。内テーパー部4aの形状は、環形状である。内テーパー部4aの内周面の形状は、テーパー形状である。これにより、内テーパー部4aの内径は、ディスク部4b側から離れる方向へ連続的に拡大している。内テーパー部4aは、保持部材1の巻き終わり部1eを覆っている。テーパーリング4は、金属材料によって形成されている。テーパーリング4には、例えば、ステンレスまたはハイテンション鋼を用いることができる。
保持部材1の傾斜部1tは、テーパーリング4によって覆われており、テーパーリング4の表面4sに露出していない。したがって、高速回転時の遠心力によって、保持部材1の傾斜部1tにおいては、剥離が発生しない。そのため、回転子100は高速回転が可能となる。
次に、実施の形態1におけるSPMモータ回転子の製造方法について、図3から図7を用いて説明する。
まず、図3に示すように、回転子100の芯となるスリーブ3を準備する。
次に、図4に示すように、円筒形を軸方向Lに分割線を入れて分割した形状の、複数の磁石2を、スリーブ3の外周面3sに位置決めし、動かないように接着剤などで仮固定する。ここで、磁石2は、スリーブ3のフランジ部5にかからないようにしておく。
次に、図5に示すように、スリーブ3の軸方向Lの両端部を、スリーブ3より外径が大きいプレート20で挟み、プレート20に芯棒21を貫通させる。プレート20は、芯棒21に対して、プレート20の外側で固定する。このようにして、保持部材成形用治具30は準備される。プレート20および芯棒21には、金属材料、例えば、アルミ合金またはSUSが用いられる。
次に、図6に示すように、保持部材成形用治具30の外周に、高強度炭素繊維の繊維束22を巻回させる。例えば、フィラメントワインディング成形装置を用いて、繊維束22に、マトリックス樹脂としての熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させながら、巻回させる。この場合、繊維束22には、張力を与えながら、スリーブ3の一端部3aである巻き始め部1sから、スリーブ3の他端部3bである巻き終わり部1eまでを連続的に、複数回螺旋状に巻回する。巻き始め部1sにおいては、テーパーを有しないフランジ部から、繊維束22を巻回する。巻き始め部1sは、巻き始め部1sより外側に巻回される繊維束22によって覆われる。巻き終わり部1eにおいては、テーパーを有するフランジ部5にいたるまで繊維束22を巻回し、傾斜部1tを形成する。これにより、巻き終わり部1eは、スリーブ3の軸方向Lについて磁石2より外側に位置する。
保持部材1は、繊維束22が一体化されることによって形成される。保持部材1の厚さは、スリーブ3の外側に配置される磁石2の質量、磁石2の回転半径、および回転子100の回転数から算出される遠心力に対して、保持部材1が破断しない耐荷重を有するよう算出される。したがって、繊維束22は、算出された厚さとなるまで、巻き始め部1sから巻き終わり部1eまでの間を、連続的に往復しながら巻回される。
次に、図7に示すように、フランジ部5側のプレート20を一旦外し、テーパーリング4をセットする。再度、プレート20を芯棒21にセットし、プレート20を介して、テーパーリング4をスリーブ3に押しつける。これによって、テーパーリング4はスリーブ3に嵌合される。すなわち、テーパーリング4を巻き終わり部1eに嵌合する。
次に、繊維束22の外側表面に、離型テープをオーバーラップさせながら、全面に巻き付けて、繊維束22の外側表面を覆い固定する。
次に、オーブンを用いて加熱し、エポキシ樹脂を硬化させる。これにより、テーパーリング4は、スリーブ3に接着固定される。また、テーパーリング4は、繊維束22、すなわち、保持部材1と一体化される。
次に、スリーブ3の両端のプレート20を外し、離型テープを剥がす。これに、回転子カバー12および回転軸13を取り付けることによって、回転子100が完成する。
保持部材1は、張力が発生した状態で巻き付けられ、硬化され、スリーブ3に固定されている。そのため、保持部材1には、内側にある磁石2を押しつける力が発生している。これにより、高速回転時に、遠心力によって、磁石2がスリーブ3から遊離しない。巻回する際に、張力を与えない場合には、繊維束22にたるみが生じ、回転子100が完成した際に、磁石2の動きに遊びが生じる。その場合には、磁石2は固定されず、磁石2が破損することもある。
保持部材1は、連続的に巻回され、一続きとなっている。また、保持部材1は、成形および硬化後に表面加工が実施されていない。そのため、保持部材1には、切れ目、すなわち、繊維が不連続である部分がない。したがって、保持部材1は、不連続部分がある部材と比べて、高強度である。高強度の保持部材1を用いることによって、保持部材1を必要最小限の厚さで構成することができる。これにより、回転子100の磁石2と固定子11とのギャップを小さくすることができるため、トルクロスを低減することができる。
さらに、保持部材1は、複数回にわたり、巻き始め部1sから巻き終わり部1eまで往復し、螺旋状に巻回されている。そのため、繊維束22は、上下に重なる。また、繊維束22の巻き付け角度は、巻かれる方向によって、正負反転する。そのため、繊維束22の上下の層は交差する。その結果、回転軸と平行方向に対する繊維配向角が2方向となるため、繊維配向角が1方向の場合と比べて、保持部材1の強度が高くなる。
次に、この回転子100における効果を、評価結果を用いて説明する。評価には、実施形態1における回転子100、および、比較のために作製した2つの回転子を用いた。
まず、上記において説明した製造プロセスにより保持部材を成形した回転子100を回転子Xとする。成形後の回転子100のサイズは、外径135mm、長さ150mmであり、保持部材1の厚さが1.7mmとなるように、スリーブ3および磁石2の寸法を設定した。繊維束22には、東レ株式会社の炭素繊維T700SC-12000を用い、バインダ樹脂には、エポキシ樹脂#2592を用いた。この回転子Xでは、巻き終わり部1eが巻き始め部1sとスリーブ3の軸方向Lについて同じ側にある。繊維束22の巻回には、フィラメントワインディング成形機を用い、繊維束22にエポキシ樹脂を含浸させながら、テンションを掛けながら、繊維束を3mmピッチで連続的に巻き付け、5往復させ、10層を巻きつけた。巻き終わり部1eには、SUS製のテーパーリング4を嵌合させた。樹脂の硬化には、オーブンを用い、温度を130℃まで昇温し、3時間保持し、繊維束22をテーパーリング4と一体化させた。このようにして、回転子Xを得た。
比較のため、まず、回転子Yを成形した。回転子Yは、回転子Xにおける巻き終わり部1eにおいて、テーパーリング4を嵌合しないタイプである。使用した材料および条件は、回転子Xの場合と同じである。テーパーリング4を使用していない点のみが、回転子Xと回転子Yとの違いである。
さらに、比較のため、回転子Zを成形した。回転子Zは、回転子Xにおけるスリーブ3のフランジ部5が、テーパー形状となっていないものである。したがって、保持部材1の巻き終わり部1eは、磁石2の外周表面に露出している。すなわち、回転子Zも、巻き終わり部1eにおいて、テーパーリング4が嵌合されていない。成形後の回転子Zのサイズは、回転子Xの場合と同じである。繊維束には、東レ株式会社のプリプレグP3252S-17を用いた。プリプレグP3252S-17は、回転子Xに用いた繊維と同じである。プリプレグP3252S-17では、繊維には、炭素繊維であるトレカT700SCが使用されており、バインダ樹脂には、熱硬化性のエポキシ樹脂が使用されている。
このように準備した3つの回転子X、回転子Yおよび回転子Zを、それぞれモータに組み込み、高速運転評価を実施した。試験条件は、回転速度を毎分10,000回転とし、正転、逆転運転をそれぞれ10分間行った。その後、回転子を取りだし、保持部材の外観検査を実施した。外観検査は、保持部材の終端部である巻き終わり部における、保持部材の剥離の有無が主である。1つの外観検査が終わった後、3つの回転子X、YおよびZをそれぞれ再度モータに組み込み、回転速度を増加し、同様の高速運転評価を行った。
図8は、3つの回転子X、回転子Yおよび回転子Zにおける高速運転評価の結果を示す表である。回転子Xでは、毎分30,000回転まで評価を実施したが、外観に変化は見られなかった。
回転子Yでは、毎分22,000回転までは、異常は見られなかった。毎分24,000回転での評価において、保持部材の終端部に剥離が発生しているのが確認された。毎分26,000回転で試験を行ったところ、剥離している長さが拡大したため、それ以降の評価を中止した。
回転子Zでは、毎分18,000回転までは、異常は見られなかった。毎分20,000回転の評価において、保持部材の終端部の一部に剥離の発生が確認された。毎分22,000回転での評価において、剥離エリアが拡大しているのが確認された。毎分24,000回転で評価を行ったところ、試験中に、保持部材が破損した。
このように、同じ繊維および樹脂を組合せた材料を用いた場合においても、繊維束の終端部の処理方法を変更することで、繊維束の終端部に剥離が生じる場合がある。すなわち、繊維束の終端部が表面に多く露出している場合には、高速回転時の遠心力によって終端部に働く剥離力が、繊維束を固定している樹脂の接着強度を超えると、繊維束の終端部は剥離する。
一方で、保持部材1に用いた繊維強化プラスチックにおいては、強化繊維の連続繊維方向は、非常に強度が高く、大きな荷重を付加することが可能である。しかしながら、強化繊維の不連続な、例えば積層層間における強度は、樹脂と繊維との接着強度に依存し、連続繊維方向と比べて非常に低い。機械加工で外径の仕上げ加工を行った場合、または、繊維束の終端部が表面に露出している場合には、繊維の不連続部が表面に存在する。そのため、そのような加工部分または露出部分は、非常に弱く、破壊の起点となる。その結果、繊維強化プラスチックであっても、高速運転による遠心力に耐えられず、繊維不連続部から破壊が発生する。
したがって、回転子Xのように、繊維束の終端部を表面に露出させない構成とすることで、終端部の剥離は解消される。その結果、回転子の破壊モードを、比較的低速回転でも生じる繊維束の剥離のモードから、比較的高速回転で生じる繊維強化プラスチックの引張り破断のモードへと移すことができる。そのため、限界使用回転数を大幅に向上させることが可能となる。
このように、実施の形態1における回転子100は、スリーブ3の外周面3sに沿って複数の磁石2が配置され、保持部材1およびテーパーリング4を有している。保持部材1は、樹脂が含浸された繊維束22によって形成され、保持部材1は、スリーブ3の軸方向Lにおける一端部3aから他端部3bに至る区間にわたって連続して、複数回螺旋状に周回しつつ、複数の磁石2の径方向外側に巻かれている。テーパーリング4は、他端部3bに設けられている。保持部材1の巻き始め部1sは、複数回螺旋状に周回しつつ巻かれる保持部材1の巻き始め部1sより外側の層に覆われている。保持部材1の巻き終わり部1eは、スリーブ3の軸方向Lについて磁石2より外側に位置し、巻き終わり部1eにおいて、保持部材1の外周は、テーパーリング4によって覆われている。
この実施の形態1の回転子100によれば、保持部材1の巻き始め部1sは、保持部材1の巻き始め部1sより外側の層に覆われており、保持部材1の表面に露出していない。また、保持部材1の巻き終わり部1eは、テーパーリング4で覆われており、テーパーリング4の表面4sに露出していない。そのため、高速回転時において、保持部材1の巻き始め部1sおよび巻き終わり部1eに、保持部材1の剥離は発生しない。
これにより、回転子を高速で回転させた場合においても、磁石が脱離しないSPMモータ回転子を提供することができる。
テーパーリング4の外径は、複数の磁石2に巻かれている保持部材1の外径と等しい。そのため、磁石2と固定子11とのギャップを、回転子100の軸方向Lについて一定で、かつ最小限の間隔で構成することができる。これにより、回転子100のトルクロスを低減することができる。
テーパーリング4の内周面のうち、保持部材1を覆う部分の形状は、テーパー形状である。そのため、テーパーリング4は、保持部材1と接する部分に段差を有していない。したがって、テーパーリング4は、保持部材1を傷つけることなく保持部材1を覆うことができる。これにより、回転子100のさらなる高速回転が可能となる。
覆い部材は、内テーパー部4aとディスク部4bとを一体構造として有し、金属によって形成されるテーパーリング4である。内テーパー部4aは、保持部材1の巻き終わり部1eを覆い、ディスク部4bは、他端部3bの端面5bを覆っている。ディスク部4bには、スリーブ3の内径と等しい径の穴部4hが設けられている。そのため、保持部材1の巻き終わり部1eは、テーパーリング4で覆われており、表面4sに露出していない。また、巻き終わり部1eの端面5b側の面もディスク部4bによって覆われている。そのため、巻き終わり部1eは、端面5b側にも露出していない。これにより、回転子を高速で回転させた場合においても、磁石が脱離しないSPMモータ回転子を提供することができる。
保持部材1の繊維束22は、高強度炭素繊維によって形成されている。高強度炭素繊維は、強度が高いため、保持部材1を薄くすることができる。そのため、回転子100の磁石2と固定子11とのギャップを小さく設定できる。これにより、トルクロスの低減が可能となり、高出力化が可能となる。
保持部材1に含浸される樹脂は、熱硬化性樹脂である。保持部材1に熱硬化性樹脂が含浸されることで、強度が高くなる。これにより、保持部材1を薄くすることができる。そのため、回転子100の磁石2と固定子11とのギャップを小さく設定できる。これにより、トルクロスの低減が可能となり、高出力化が可能となる。
実施の形態1における回転子100の製造方法において、スリーブ3の外周面3sに複数の磁石2を位置決めする工程と、位置決めされた複数の磁石2の径方向外側に、エポキシ樹脂が含浸された繊維束22を、巻き始め部1sから、スリーブ3の軸方向Lについて磁石2より外側に位置する巻き終わり部1eまで、張力を与えながら、螺旋状に連続して複数回巻回する工程と、テーパーリング4を、巻き終わり部1eに嵌合する工程と、エポキシ樹脂を硬化させる工程とを含む。
このように、張力を掛けながら磁石2の外周に、直接、繊維束22を巻回することで、エポキシ樹脂を硬化させた後の保持部材1には、内側の磁石2をスリーブ3に押さえつける力が発生する。そのため、高速回転時に、磁石2がスリーブ3から遊離しない。これにより、磁石2の滑りが発生せず、トルクロスを防止することが可能である。また、巻き始め部1sは、保持部材1の外側の層に覆われており、巻き終わり部1eは、テーパーリング4で覆われており、ともに、表面に露出していない。そのため、高速運転時に、巻き始め部1sおよび巻き終わり部1eには剥離が発生しない。これにより、高速運転が可能となる。
保持部材1は、巻き付け時に樹脂を含浸した繊維束22を用いたが、あらかじめ繊維に樹脂を含浸したプリプレグテープを用いてもよい。
また、繊維束22は、炭素繊維を用いたが、例えば、ガラス繊維、炭化ケイ素繊維のような比強度に優れた連続な繊維材料を用いてもよい。
また、繊維束22に含浸させる樹脂は、エポキシ樹脂を用いたが、他の熱硬化性樹脂である、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネート樹脂、またはアクリル樹脂を用いても良い。また、熱硬化性樹脂以外にも、反応開始剤を加えて硬化させることが可能な常温硬化性樹脂を用いても良い。
また、繊維束22の巻き始め部1sおよび巻き終わり部1eは、スリーブ3の片側の端部に同時に設けられてもよい。
また、繊維束22を巻回させる回数は、1回に限定する必要はない。すなわち、繊維束22の厚さおよび保持部材1に必要な厚さによって、繊維束22を、複数回に分けて巻回しても良い。ただし、繊維束22の巻き始め部1sは巻き始め部1sより外側の層によって覆われ、巻き終わり部1eは、例えば、テーパーリング4によって覆われており、表面に露出していないことが重要である。
1 保持部材、1e 巻き終わり部、1s 巻き始め部、2 磁石、3 スリーブ(回転子本体)、3a 一端部、3b 他端部、3s 外周面、4 テーパーリング(覆い部材)、4a 内テーパー部、4b ディスク部、4h 穴部、5b 端面、22 繊維束、100 回転子(SPMモータ回転子)。

Claims (6)

  1. 回転子本体の外周面に沿って複数の磁石が配置されたSPMモータ回転子であって、
    保持部材および覆い部材を有し、
    前記保持部材は、樹脂が含浸された繊維束によって形成され、
    前記保持部材は、前記回転子本体の軸方向における一端部から他端部に至る区間にわたって連続して、複数回螺旋状に周回しつつ、前記複数の磁石の径方向外側に巻かれ、
    前記覆い部材は、内テーパー部を有するとともに、前記他端部に設けられ、
    前記保持部材の巻き始め部は、前記複数回螺旋状に周回しつつ巻かれる前記保持部材の前記巻き始め部より外側の層に覆われ、
    前記保持部材の巻き終わり部は、前記回転子本体の軸方向について前記磁石より外側に位置し、前記回転子本体の前記他端部の外径は、前記磁石の外径から徐々に小さくなるテーパー形状であるとともに、前記他端部に巻かれた巻き終わり部の外径も前記他端部に沿って徐々に小さくなるテーパー形状であり、前記巻き終わり部は、前記回転子本体と前記内テーパー部とで挟まれているSPMモータ回転子。
  2. 前記覆い部材の外径は、前記複数の磁石に巻かれている前記保持部材の外径と等しい請求項1に記載のSPMモータ回転子。
  3. 前記覆い部材の内周面のうち、前記保持部材を覆う部分の形状は、テーパー形状である請求項1または2に記載のSPMモータ回転子。
  4. 前記覆い部材は、金属材料で形成され、
    前記覆い部材は、ディスク部を有するテーパーリングであり、
    前記内テーパー部および前記ディスク部は、一体に形成され、
    前記内テーパー部は、前記保持部材の前記巻き終わり部を覆い、
    前記ディスク部は、前記他端部の端面を覆い、
    前記ディスク部には、前記回転子本体の内径と等しい径の穴部が設けられている
    請求項1から3のいずれか1項に記載のSPMモータ回転子。
  5. 前記保持部材の前記繊維束は、高強度炭素繊維によって形成される請求項1から4のいずれか1項に記載のSPMモータ回転子。
  6. 前記保持部材に含浸される前記樹脂は、熱硬化性樹脂である請求項1から5のいずれか1項に記載のSPMモータ回転子。
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