JP5980874B2 - 回転電機に使用される磁石保持部材、回転子、回転電機および工作機械 - Google Patents

回転電機に使用される磁石保持部材、回転子、回転電機および工作機械 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機に使用される磁石保持部材、該磁石保持部材を備えた回転子、該回転子を備えた回転電機、および該回転電機を備えた工作機械に関する。
回転子の表面に周方向に配列された複数の磁石を備えた回転子を有する同期電動機が公知である。このタイプの電動機において、回転子の回転数を増加させる場合は、遠心力によって磁石が回転子から脱離するのを防止するために、磁石を保持する保持強度を十分に大きくする必要がある。
これに関連する従来技術として、例えば特許文献1には、回転軸と、該回転軸の外周に設けられたスリーブと、該スリーブの外周に設けられた円筒形状の永久磁石と、該永久磁石を覆うように該永久磁石の外周に設けられたカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)製の保持部材と、を備えた電動機の回転子が開示されている。
特開平11−089142号公報
回転子を高速で回転動作させるためには、磁石を保持する保持部材は高い強度を有する必要がある。例えば特許文献1に記載されたCFRP製の保持部材を使用する場合、保持部材に与える周方向の張力を増大することによって保持強度を高められる。しかしながら、実際には、保持部材の製造時に繊維がバラけたり、繊維層が剥れたりするなどのリスクがあるため、張力を上げることによる保持強度の増大は容易ではない。
繊維のバラけや繊維層の剥れは、例えばシート状の材料を筒状の治具に巻きつけて成形されるFRPを、保持部材として利用する場合に発生しうる。具体的には、巻きつけられたシート材の巻きつけの終端部とその近傍が、付与された張力に対して十分に伸長できずに、上下層間の剥れが生じる虞があり、回転子の信頼性の低下につながる。この問題は、特にシート材の巻きつけの終端部において発生しやすい。さらに、保持部材の締め代を大きくした結果として強大な復元力が保持部材に発生する場合、外周側の繊維が内周側の繊維の間に入り込んで緩み、必要な保持強度が損なわれる虞もある。
よって、より高い保持強度を得る場合にも、シートの巻き始めと巻き終わりの剥れの虞がなく、また、外周側の繊維が内周側の繊維間に陥没する虞もない、信頼性の高い保持部材が求められる。
そこで本発明は、上記課題を解決し、回転電機の回転数の増加と信頼性の維持・向上を両立可能な磁石保持部材、該磁石保持部材を備えた回転子、該回転子を備えた回転電機、および該回転電機を備えた工作機械を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本願第1の発明は、回転子と、前記回転子の外周面に配列された複数の磁石とを有する回転電機において、前記磁石の径方向外側において前記磁石を径方向内側に向って圧縮保持する保持部材であって、前記保持部材は、前記回転子の軸線方向についての一端側から他端側に至る区間のうち、少なくとも前記磁石が配置されている区間を包含する1区間を1トラバースと呼ぶとき、前記磁石の外周において、少なくとも1トラバースにわたって連続した一続きの繊維束が、前記回転子の外周において螺旋状に周回しつつ前記一端側から他端側まで巻かれてなる筒状形状を有し、前記保持部材は、樹脂をマトリクスとする繊維強化樹脂からなり、前記繊維束のうち少なくとも、巻き始め端部および巻き終わり端部が、反応性硬化樹脂である第1の樹脂によって終端処理されている、保持部材を提供する。
第2の発明は、第1の発明において、前記保持部材は、前記繊維束の1トラバース分の巻回操作を複数回繰り返すことによって形成される、保持部材を提供する。
第3の発明は、第2の発明において、前記回転子の軸線方向についての同一端側に、前記一続きの繊維束の巻き始め端部と巻き終わり端部が配置され、両端部同士を互いに前記第1の樹脂によって接着することによって前記巻き始め端部および前記巻き終わり端部が終端処理されている、保持部材を提供する。
第4の発明は、第1〜第3の何れか一つの発明において、前記繊維束は扁平なテープ状である、保持部材を提供する。
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、前記第1の樹脂はエポキシ樹脂である、保持部材を提供する。
第6の発明は、第1〜第5の何れか一つの発明において、前記巻き始め端部の終端処理部と、前記巻き終わり端部の終端処理部との間の区間では、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂がマトリクス樹脂として使用されている、保持部材を提供する。
第7の発明は、第6の発明において、前記第2の樹脂のガラス転移温度は、前記第1の樹脂のガラス転移温度よりも低い、保持部材を提供する。
第8の発明は、第6の発明において、前記第2の樹脂は、前記繊維束同士を前記樹脂で接合した際の引張り剪断方向の接着強さが、前記第1の樹脂よりも低い、保持部材を提供する。
第9の発明は、第6の発明において、前記第2の樹脂のアイゾット衝撃値は、前記第1の樹脂のアイゾット衝撃値よりも高いか、または、前記第2の樹脂がアイゾット衝撃試験において破断しないために測定不可能である、保持部材を提供する。
第10の発明は、第6の発明において、前記第2の樹脂はアクリル系樹脂である、保持部材を提供する。
第11の発明は、第1〜第10の何れか一つの発明において、前記繊維束は炭素繊維を含む、保持部材を提供する。
第12の発明は、第1〜第11の何れか一つの発明に係る保持部材を有する回転子であって、前記保持部材には周方向に張力が付与され、前記張力に起因する半径方向内側の弾性圧縮力が前記磁石に作用している、回転子を提供する。
第13の発明は、第12の発明において、前記保持部材の外周に、予め筒状に整形された別部材が、前記保持部材と同心状に重ねて配置され、前記筒状の別部材にも周方向に張力が付与され、前記張力に起因する半径方向内側の弾性圧縮力が前記保持部材に作用している、回転子を提供する。
第14の発明は、第12または第13の発明に係る回転子を有する回転電機を提供する。
第15の発明は、第14の発明に係る回転電機を有する工作機械を提供する。
本発明によれば、保持部材が回転中に剥れたり緩んだりすることがなく、長期的な信頼性・強度を高めることができる。回転子の磁石を径方向軸心方向に向って圧縮保持する保持強度を高めることができるので、回転子の信頼性を損ねることなく回転子の最高回転数を増大させられるようになる。また、その結果として回転電機の出力を増大させることもできるようになる。出力が増大すれば、この回転電機を搭載した工作機械の性能向上に繋がり、加工能力や生産能力をさらに高めることができる。
本願発明の一実施形態に係る電動機の概略構成を示す図である。 図1の電動機が有するスリーブとは異なる形状のスリーブを示す図である。 図2のスリーブを用いて永久磁石を回転子の所定位置に配置する操作を説明する図である。 本願発明に係る磁石保持部材の一構成例を示す図である。 本願発明に係る磁石保持部材の他の構成例を示す図である。 磁石保持部材を構成する繊維束の巻き始め端部の終端処理の一例を説明する図である。 磁石保持部材を構成する繊維束の巻き始め端部の終端処理の他の例を説明する図である。 磁石保持部材を構成する繊維束の巻き終わり端部の終端処理の一例を説明する図である。 本願発明の一実施形態に係る回転子の組み立て完了後の径方向断面の概略図である。 本願発明の他の実施形態に係る回転子の組み立て完了後の径方向断面の概略図である。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。図示される実施形態の構成要素の縮尺は、本発明の理解を助けるために適宜変更されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る永久磁石電動機(回転電機)100を示す概略縦断面図である。電動機100は、例えば永久磁石が回転子の表面に取付けられる表面磁石型電動機(SPM型電動機)である。電動機100は、互いに同心状に配置された回転子10および固定子50を備えている。電動機100は、それら回転子10および固定子50の磁気的相互作用によって回転動力を発生するように形成される。
固定子50は、軸線方向に対して平行に延在するスロット(図示せず)が形成された円筒状の鉄心52と、該スロットを通って鉄心52に巻回されるコイル54と、を備えている。固定子50は、固定子50を包囲するように設けられる電動機100のハウジング102に固定される。電動機100の動作時には、例えばコイル54に三相交流の電流が供給され、回転子10の周りに回転磁界が生成される。
回転子10は、例えば工作機械の主軸に連結される円筒状の回転軸12の外周に、例えば締り嵌めによって嵌合するスリーブ14と、スリーブ14の外周面に周方向に配列され、円筒形状を周方向に分割してなる部分円筒形状を各々が有する複数の永久磁石16と、磁石16を保持するように磁石16の外周に取付けられる磁石保持部材20と、を備えている。回転軸12は、図示されない軸受によって、電動機100の動作時に回転軸線X回りに回転可能に支持されている。回転子10のスリーブ14、磁石16および保持部材20は、いずれも回転軸12と一体的に回転運動するように形成される。
図1の例では、スリーブ14の一方の端部(図示例では右端)には、半径方向外側に向かって段状に突出するフランジ14aが形成されている。フランジ14aには、回転子10の外部空間22と、スリーブ14の内周面と回転軸12の外周面との間の境界面24と、の間を流体的に連通する流体通路18が形成されている。流体通路18には、外部空間22に向けて開口するネジ穴18aが形成されている。また、スリーブ14の軸線方向の両端には、環状溝が形成されており、Oリングなどの封止部材26が環状溝に設けられている。
なお、本明細書において、「半径方向外側」とは、横断面において回転軸線Xから離間する方向を表す。また、「半径方向内側」とは、横断面において回転軸線Xに接近する方向を表す。また、「軸線方向」または「軸方向」とは、回転軸線Xに対して平行な方向を表す。
本実施形態において、回転子10は、油圧嵌めによって回転軸12に取付けられる。すなわち、スリーブ14の周方向に所定の間隔を空けて複数設けられた流体通路18を介してスリーブ14と回転軸12との間の境界面24に供給される油圧によって回転子10の直径が増大するようになる。このとき、流体通路18内に油を供給する供給ノズル(図示せず)がネジ穴18aにねじ込まれる。少なくとも1つの流体通路18が空気の抜け穴として利用されうる。
境界面24に導入された油は、スリーブ14の両端に設けられた封止部材26によって封止されていて、回転子10の外部空間22への漏出が防止されている。油は、スリーブ14の内周面と回転軸12の外周面との間の接触面同士を潤滑する作用も有している。それにより、スリーブ14を回転軸12に対して所定の位置まで軸線方向に容易に摺動させられるようになる。
図2は、図1のスリーブ14とは異なる形状を有するスリーブ14bを示す図である。スリーブ14bの内周面は、複線方向の一端から他端に向かって直径が徐々に小さくなるように形成されたテーパ面になっている。また、スリーブ14bを受容する回転軸12の外周面のうち、少なくとも回転子部材10aが固定される区間は、スリーブ14bの内周面と同一方向に傾斜したテーパ面になっている。この場合、図3の上段に示すように、回転軸12に対してその小径側から大径側(図示例では右側から左側)に向かってスリーブ14bを移動させ、スリーブ14bが所定の位置に達したとき(図3の下段)に所定の締め代が得られるように、スリーブ14bおよび回転軸12の寸法が定められる。この場合、流体通路18は設けなくてもよく、また、回転軸12とスリーブ14bとの間の境界面24がテーパ面になっている。
つまり、図3の上段に示す位置では締め代がゼロであり、この状態からさらにスリーブ14bを軸方向左側(軸径が拡大する方向)に移動(圧入)させるにつれて、スリーブ14bは径方向外側に向って拡径される。そしてスリーブ14bの圧入完了時(図3の下段)は、スリーブ14bが拡径され、その結果、保持部材20に周方向の張力が発生し、保持部材20の弾性復元力によって磁石16が径方向内側に向かう力によって、スリーブ14bの外周面に強固に押し付けられて保持される。つまり図3の例では、保持部材20を油圧で拡径する必要がなく、保持部材20はテーパ面に沿って摺動されることによって拡径される。
スリーブ14bの外周面において周方向に配列される複数の永久磁石は、図1の永久磁石16と同様に、スリーブ14の外周面に周方向に配列され、各々が部分円筒形状を有するようにしてもよく、さらに例えば図2に示す永久磁石16a、16bおよび16cのように、永久磁石16を軸線方向に分割して連ねて配列するようにしてもよい。
保持部材20は、後述するように、ある一定の幅を有する繊維束を周回させて筒状に成形された部材から形成される。保持部材20は、磁石の外周面に直接巻きつけられて成形されてもよいし、予め別途筒状に成形された後、磁石の外周に取り付けられてもよい。
保持部材20は、永久磁石16との嵌合に関して所定の締め代を有するように拡径されている。それにより、保持部材20には、周方向に復元力である張力が内在し、この張力によって、回転子10が回転する際に発生する遠心力に対抗して磁石16を保持できるのに十分な力が半径方向内側に向かって作用するようになっている。回転子の回転数が高くなるほど大きな保持力が必要であり、即ち大きな張力が必要である。保持部材20の締め代が大きいほど、張力は一般的に大きくなる。したがって、保持部材20は、回転子の回転数に応じて要求される保持力に応じた張力を生じさせることが必要であり、その張力を発生するために必要な所定の締め代が設定される。
次に、保持部材20の構造の詳細について説明する。保持部材20は、繊維の束(繊維束)を、マトリクス樹脂で一体化した繊維強化樹脂(以下、「FRP」と称する)により形成される。また繊維束とマトリクス樹脂との一体化は、保持部材20が張力を生じさせる前であれば、保持部材20を磁石の外周に形成する工程のうち、どの段階で行われてもよい。
例えば、予め繊維束にマトリクス樹脂を含浸させたプリプレグ状の繊維束を用意してもよい。このプリプレグ状繊維材料を成形治具に巻きつけて、樹脂の硬化後に治具を除去する(抜き取る)ことによって筒状部材を形成し、該筒状部材を磁石の外周に嵌めることで保持部材20の形成が完了する。あるいは、上記プリプレグ状繊維材料を磁石の外周に直接巻きつけて硬化させ、保持部材20を形成してもよい。
また例えば、繊維束を成形治具に巻きつける際に同時にマトリクス樹脂を塗布しながら巻くことにより、マトリクス樹脂と一体化させてもよい。樹脂の硬化後に治具を除去することによって筒状部材を形成し、該筒状部材を磁石の外周に嵌めてもよい。あるいは、上記繊維束を磁石の外周に直接巻きつけつつ、同時にマトリクス樹脂を塗布しながら巻くことにより、マトリクス樹脂と一体化させてもよい。この場合は、磁石の外周上で硬化することで直接、磁石の外周に保持部材20が形成される。
また例えば、繊維束を成形治具に巻きつけた後、マトリクス樹脂を真空含浸などによって繊維に含浸することにより、繊維束とマトリクス樹脂とを一体化させてもよい。硬化後に治具を除去することによって筒状部材を形成し、該筒状部材を磁石の外周に嵌めてもよい。あるいは、上記繊維束を回転子の磁石の外周に直接巻きつけた後、マトリクス樹脂を真空含浸などによって繊維に含浸することにより、繊維束とマトリクス樹脂とを一体化させてもよい。この場合は、磁石の外周上で硬化することで直接、磁石の外周に保持部材20が形成される。
なお図3の下段において参照符号23で示すように、回転軸12の外周面には、スリーブ14bの位置決めを容易にするための段差部(突き当て部23)を形成してもよい。また参照符号25で示す回転軸12の領域は、段差部23よりも回転軸12のテーパ面区間LT以上離れた領域であり、該領域25の軸径は、緩やかな段差部(テーパ)27を経て、スリーブ側の最小径部分と干渉しないように(すなわち該最小径部分よりも小径に)なっている。
保持部材20の形成に使用されるFRPの繊維としては、例えば炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ボロン繊維、チタン合金繊維、超高分子量ポリエチレンおよびポリブチレンテレフタレート繊維など、比強度(単位密度当りの引張強度)に優れた材料が好ましく、特に、繊維表面の分子構造に、−CO−、C=O、COOHなどの官能基が付与された繊維が好ましい。
次に、保持部材20を形成する際の、繊維束の巻き方の好適例を具体的に説明する。回転子の軸線方向の一端側から他端側に至る区間のうち、少なくとも永久磁石が配置されている区間(以降、磁石区間とも称する。図2の区間L16を参照)を包含する1区間を1トラバース(図4の区間L20を参照)と呼ぶとき、保持部材20の形成には、少なくとも1トラバース(L20)の間は連続した一続きの繊維束が用いられる。つまり当該繊維束は、回転子または成形治具の外周を螺旋状に周回しつつ、軸線方向の一端側から他端側に亘って連続的に巻かれる。
ところで保持部材20は、磁石の外周に設けられた後、回転軸に固定される際に前述の通り、磁石を保持するための張力を生じさせるように構成される。よって保持部材20(の繊維束)は、この張力によって緩まないことが必要であり、特に巻き始めと巻き終わりは、繊維束が緩まないように確実に処理する必要がある。逆に、巻き始めと巻き終わりを確実に拘束すれば、その間の区間も緩むことはない。よって、巻き始めと巻き終わりを拘束する処理が重要である。
図4は、円筒状または円柱状の成形治具21の外周に繊維束30を巻きつけて、保持部材20を成形する方法の一例を示す図である。なお同様の方法を、磁石16の外周に直接行うことによって、回転子部材10a上に直接、保持部材20を成形してもよい。繊維束30は、トラバース区間L20の一方の端部側に巻き始め端部30aを有し、他方の端部側に巻き終わり端部30bを有する。内周側からスタートしている巻き始め端部30aは、外周側に引き出され、同一周上(軸方向の同一箇所)に1周以上巻かれ、繊維束30の1周前の部分と巻き始め端部30aとを重ね合わせた重ね部を形成し、その重ね部を反応性硬化樹脂である第1の樹脂(以降、樹脂Aとも称する)で接着固定する(より具体的には、樹脂Aを塗布して硬化させる)ことにより、巻き始め端部30aについての固定処理(端部処理)が完了する。なお樹脂Aは、反応硬化性樹脂であって、例えば加熱によって硬化する樹脂である。
一方、トラバース区間L20の一端側から他端側まで螺旋状に周回してきた繊維束30の巻き終わり端部30bは、外周上で同一周上(軸方向の同一箇所)に1周以上巻かれ、繊維束30の1周前の部分と巻き終わり端部30bとを重ね合わせた重ね部を形成しその重ね部を樹脂Aで接着固定する(より具体的には、樹脂Aを塗布して硬化させる)ことにより、巻き終わり端部30bについての固定処理(端部処理)が完了する。なおトラバース区間L20は、磁石区間長L16(図2)と同じか、L16より長い。また巻き始め端部30aおよび巻き終わり端部30bについての重ね部は、軸方向の同一箇所に繊維束を1周以上重ねて形成されることが好ましく、接着範囲も1周以上にわたることが好ましい。
重ね部では、繊維束の端部を前の周の部分に重ねてもよいし、1周前の繊維束の下をくぐらせつつ重ねてもよい。後者の場合、端部の表面および裏面の双方を繊維束の他の部分に接着できるため、端部をより強固に接着できる。また、樹脂Aとしては、硬化の過程で繊維表面の官能基と反応して化学的結合を作りうる樹脂が特に好ましく、エポキシ樹脂(より具体的には、エポキシ基を有する樹脂)がその具体例として挙げられる。
また保持部材20の軸線方向の保持強度を極力均一にするために、この接着処理は、通常、トラバース区間L20の始点および終点、またはそれらの近傍で行われることが好ましい。
図5は、成形治具21の外周に繊維束30を巻きつけて、保持部材20を成形する方法の他の例を示す図である。なお同様の方法を、磁石16の外周に直接行うことによって、回転子部材10a上に直接、保持部材20を成形してもよい。図5の例では、繊維束30をトラバース区間L20の一方の端部側(図示例では左側)から他端側(図示例では右側)に向って、1トラバースに相当する軸線方向長さにわたって繊維束30を巻回した後、続いて他端側から一端側に向けて繊維束30の巻回を行う(つまり1トラバース分の巻回操作を複数回繰り返す)。これにより、保持部材20の径方向厚さを大きくすることができ、磁石に対する保持力を増大させることができる。
繊維束30の巻き始めと巻き終わりの端部処理は、1トラバースごとに行われてもよいが、一続きの繊維束を、1トラバース分の巻回操作を複数回繰り返す間、切ることなく連続して使用し、端部処理の箇所の個数を最小限に抑えることが好ましい。その理由は、作業効率の観点と、端部処理の箇所は外径寸法が不安定になりがちなため、仕上がりの寸法精度の観点とからである。また、作業の信頼性の観点からも、端部処理の箇所は少ないことが好ましい。
図5の例では、巻き始め端部30aおよび巻き終わり端部30bは同じ側(図示例では左側)にあり、繊維束30が緩まないための端部処理(終端処理)が施してある。具体的には、巻き始め端部30aおよび巻き終わり端部30bは、同一周上に巻きつけられて重ね部(区間L30)を形成し、該重ね部において両端部が互いに樹脂Aで接着されている。なお両端は、軸線方向の同一箇所において互いに1周以上重ねられることが好ましく、1周以上に亘って互いに接着固定されることが好ましい。
なお図5の例では、複数回のトラバースの後、同一端側で終端処理がなされているが、図4のように、巻き始め端部30aおよび巻き終わり端部30bをそれぞれ別の端部に配置し、別々に終端処理を施してもよい。なお巻き始め端部30aは、繊維束30の最内層に位置するため、予め端部から引き出しておき、端面を這うようにして外周側に引きまわすことが好ましい。
図6は、繊維束30の巻き始め端部の終端処理の一例をより詳細に説明する図である。繊維束30の巻き始め端部は、巻回操作が進むに従い最内層に埋もれてしまうので、そこで先ず図6(a)に示すように、予め、冶具21に巻回されない所定長さの部分30aを引き出しておく。
次に、図6(b)に示すように、引き出した繊維束の部分30aを、既に巻回された繊維束30の軸線方向の縁部30cに沿うように折り返し、縁部30c上に重ねる。そして、引き出し部分30aを縁部30cに軸線方向について同一箇所に1周以上巻回して重ね部を形成し、該重ね部を樹脂Aで接着する。なお同様の方法で、回転子部材10a上に直接、保持部材20を成形してもよい。
図7は、繊維束30の巻き始め端部の終端処理の他の例をより詳細に説明する図であり、図6の例よりも巻き始め端部を強固に固定する例を表している。先ず、図7(a)に示すように、冶具21に巻回されない所定長さの部分30aを引き出しておき、次に図7(b)に示すように、引き出した繊維束の部分30aを、既に巻回され繊維束30の軸線方向の縁部30cに沿うように折り返し、縁部30c上に重ねる。
次に、引き出し部分30aを縁部30cに軸線方向について同一箇所に1周以上(好ましくは1周)巻回した後、図7(c)に示すように、引き出し部分30aを1周手前の繊維束の下をくぐらせ、さらにその縁部30cに沿って折り返して、くぐらせた1周手前の繊維束の上に重ね、重ね部を形成する。
最後に、引き出し部分をくぐらせた箇所から終端部に至る重ね部を、樹脂Aで接着する。なお樹脂Aは、引き出し部分をくぐらせる操作や重ね部を形成する操作の途中で塗布してもよいし、重ね部を形成した後にその上から塗布しまたは含浸させてもよい。なお実際には、意図する接合箇所以外も樹脂Aで一緒に硬化されてしまうことがあるが、これは程度にもよるが構わない。なお同様の方法で、回転子部材10a上に直接、保持部材20を成形してもよい。
図8は、繊維束30の巻き終わり端部30bの終端処理の一例をより詳細に説明する図である。先ず図8(a)に示すように、繊維束30の巻き終わり端部30bを、その1周前の繊維束の下をくぐらせる。次に、図8(b)に示すように、巻き終わり端部30bを繊維束30の縁部30dに沿って折り返し、1周前の繊維束の上に重ね、重ね部を形成する。そして端部30bをくぐらせた箇所から終端部に至る重ね部を、樹脂Aで接着する。
なお樹脂Aは、巻き終わり端部30bをくぐらせる操作や重ね部を形成する操作の途中で塗布してもよいし、重ね部を形成した後にその上から塗布しまたは含浸させてもよい。なお実際には、意図する接合箇所以外も樹脂Aで一緒に硬化されてしまうことがあるが、これは程度にもよるが基本的には構わない。なお同様の方法で、回転子部材10a上に直接、保持部材20を成形してもよい。
上述の繊維束30は、扁平なテープ状であることが好ましく、1周前の部分と幅方向について部分的に重ねられながら、螺旋状に軸線方向の一端側から他端側に巻回されてもよい。繊維束30が炭素繊維からなる場合、繊維束30は例えば、厚さが約0.1mmであり、幅が3mm〜10mmのテープ状部材として供給可能である。
以上、繊維束30の両端部の端部処理(終端処理)についていくつかの好適例を説明したが、両端部における接着による終端処理(拘束処理)を行う部分以外の繊維束の部分(区間)については、樹脂Aとは異なり、割れにくく、伸びに対して許容量の大きな、柔軟性のある第2の樹脂(以降、樹脂Bとも称する)を、マトリクス樹脂として使用することが好ましい。理由は以下の通りである。
前述の通り、保持部材には、最終的に磁石を保持するための保持力を発生させるために張力が付与される。これは、スリーブ14または14bと回転軸12との間に設けられる締め代によって与えられる。この締め代によってスリーブが拡径され、それに伴ってスリーブ上に配置された磁石16が径方向外側に移動することによって、保持部材20が径方向外側に押し拡げられる。この結果、保持部材20に周方向の張力が付与されるとともに、その弾性復元力として、磁石16を保持する力が発生することになる。即ち、より強固に磁石16を保持するための一手法は、保持部材20により大きな伸びを与えて、より大きな張力を発生させることである。より強固に磁石16を保持することができれば、より高速回転が可能な回転子が得られる。
ところで、樹脂Aのように、接着力を重視した樹脂は、一般に、硬くて脆い傾向がある。このような樹脂は一般に、ある引張り力を受けたときに、破壊するまでの伸びが小さい。このような樹脂を保持部材20のマトリクス樹脂として使用すると、保持部材20の拡径時の変形に対して樹脂の伸びが追従できず、樹脂が割れてしまうことがある。また特に、硬化の過程で繊維表面の官能基と反応して該繊維と化学的結合を形成する樹脂の場合、樹脂の割れに伴って、繊維まで破断することもあり、これは保持部材20としての致命的な破壊に至る場合がある。
そこで例えば、マトリックス樹脂として使用される樹脂Bは、そのガラス転移温度Tg(B)が、樹脂Aのガラス転移温度Tg(A)より低い(Tg(A)>Tg(B))ことが好ましい。一般に、ガラス転移温度が高い樹脂ほど、接着強度は常温から高温域まで高くなる反面、硬く脆なる傾向がある。
或いは、繊維束同士をそれらの繊維方向(長手方向)を揃えて樹脂で接合した際の引張り剪断方向の接着強さ(引張り剪断強さ)を考えた場合、樹脂Bの引張り剪断強さTSS(B)は、樹脂Aの引張り剪断強さTSS(A)よりも小さい(TSS(A)>TSS(B))ことが好ましい。繊維方向の伸びに対して樹脂が割れないためには、樹脂が割れるよりも、繊維との間で樹脂が繊維方向に多少ずれる方が、樹脂とともに破断するよりも好ましいからである。
或いは、樹脂Bは、アイゾット衝撃試験によって得られるアイゾット衝撃値(II(B))が、アイゾット衝撃試験において破断しないために測定不可能であるか、または、樹脂Aのアイゾット衝撃値(II(A))よりも大きい(II(A)<II(B))ことが好ましい。アイゾット衝撃値が大きい樹脂ほど、割れにくい(延性が高い)からである。
上述の樹脂のうち、少なくとも何れか一つに該当し得る一般的な樹脂として、アクリル系樹脂が好適である。特に好ましくは、分子内に、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルを有する主成分を主体とした樹脂が、繊維に含浸する際の繊維への浸透性、また硬化後の柔軟性や高温強度の観点から、好適である。特に、樹脂Aをエポキシ樹脂、樹脂Bをアクリル系樹脂とする組み合わせは好ましい。
また、樹脂Aおよび樹脂Bをいずれもエポキシ樹脂としてもよく、その場合、樹脂Aおよび樹脂Bとして使用されるそれぞれのエポキシ樹脂を、上述したようなガラス転移温度、引張り剪断強さ、またはアイゾット衝撃値に関する何れかの条件を満たすように選定することにより、好ましい効果が得られる。
また、上述の繊維束30としては、特に炭素繊維が好適である。炭素繊維は比強度(自身の密度に対する強さ)が高いため、高速回転時に発生する遠心力を抑えつつ、高い保持強度を得るのに好適である。また、炭素繊維の表面には、一般に、反応性硬化樹脂との結合性を高めるために、繊維表面の分子構造に、−CO−、C=O、COOHなどの官能基が付与されている。これにより、特に、繊維束の巻き始め端部および巻き終わり端部の接着処理に於いて、樹脂Aとの分子レベルでの接着効果が高められるため、好ましい。
図9は、一実施形態に係る回転子10の組み立て完了後の径方向断面を示す図である。上述のように、保持部材20には張力が付与され、その弾性復元力によって磁石16は径方向内側に向かって保持されている。また磁石16は、保持部材20によって、スリーブ14の外周面に強固に押し付けられ、固定されている。
図10は、他の実施形態に係る回転子10′の組み立て完了後の径方向断面を示す図である。回転子10′が図9の回転子10と異なる点は、磁石保持部材20′が同心状に重ねられた2つの部材を有する二重構造を有していることであり、他は回転子10と同様でよい。具体的には、回転子10′の保持部材20′は、内側保持部材20aと、外側保持部材20bとを有する。
内側保持部材20aは、上述の保持部材20と同様、繊維束を巻回させることによって形成される。一方、外側保持部材20bは、保持部材20と同様、繊維束を巻回させることによって形成してもよいが、他の材料や製法によって形成してもよい。例えば、外側保持部材20bの材料としては、非磁性金属、または周方向に必要な強度を有するFRPが好ましい。或いは、回転体に使用するため、比強度が高いものが好適であり、CFRPなどのFRP類、または金属の場合はチタン合金などの軽量な非磁性金属が好ましい。外側保持部材20bの材料としてFRPを使用する場合は、上述のように繊維束を巻回して形成してもよいし、或いは、プリプレグシートを治具に巻きつけて加熱硬化によって形成してもよい。
また、チタン合金のような非磁性金属を外側保持部材20bの材料に使用する場合、管状に予め成形された薄肉管を使用すると好都合である。外側保持部材20bに非磁性金属を使用した場合、一般的に、FRPを使用するよりも、より強力な、内側保持部材20aの保護効果が得られる。
内側保持部材20aおよび外側保持部材20bに設定される締め代については、内側保持部材20aの方が外側保持部材20bより大きい。締め代をこのような大小関係とすることにより、単位繊維あたりに掛かる張力は内側保持部材20aの方が大きくなり、その結果、外側保持部材20bについては、過大な張力による破壊、破損、接合の剥れなどのリスクが下がり、耐久性が向上する。一方、内側保持部材20aの外周面には、外側保持部材20bによる径方向内側に向う圧縮力がかかるため、内側保持部材20aを構成する繊維束が緩みにくくなり、特に、終端処理(拘束処理)がされた巻き始め端部や巻き終わり端部も外側保持部材20bによって径方向外側から押さえられるため、巻き始め端部や巻き終わり端部が回転時の風圧などによって剥れたり緩んだりするリスクが低減される。
その結果、図10の構成によれば、保持部材20′が長期的にも緩みにくい、即ち、磁石の保持強度が長期的にも低下しない、信頼性の高い回転子が提供される。また、内側保持部材20aの締め代をより高めることができるので、磁石の保持強度が上がり、回転子の更なる高速回転が可能となる。さらに、磁石保持強度が上がる結果、より重い磁石を保持できるようになるので、磁石厚さを厚くすることが可能となり、これは、回転電機の性能(トルクや出力)の向上につながる。なお前述の通り、外側保持部材20bは内側保持部材20aより締め代を小さくできるので、構造の自由度としては内側保持部材20aよりも広い。
保持部材20または20′の製造工程は、2回以上または2箇所以上の樹脂の硬化工程を有することが好ましい。ここで「2回」とは、樹脂Aの硬化工程および樹脂Bの硬化工程を指すが、各樹脂の硬化工程を複数の工程に分けることもできる。また「2箇所」は、例えば、同じまたは異なる樹脂を、それぞれ異なる箇所に塗布して硬化させる(加熱する)工程を指すが、これらの工程は同時に行ってもよい(この場合、硬化工程の回数は1回になる)し、逐次的に行ってもよい。
回転子の高速回転時のように、磁石をより強固に保持する必要がある場合には、保持部材20または20′が発生する圧縮保持力を高めるのが、一つの方法である。それには例えば以下の方法が有効である。
(1)保持部材の径方向厚さを厚くする。
(2)より弾性係数の高い繊維を保持部材の材料に用いる。
(3)スリーブと回転軸との間の締め代をより大きくして、保持部材の拡径量を大きくする。
上記(1)〜(3)のうち、特に(2)および(3)の方法は、保持部材の、単位繊維あたりの張力を増大させて圧縮保持力を増大させるため、繊維の緩みを防止する本願発明は、特に有効である。また(1)の方法に対しても、長期的な信頼性、製品寿命を高めるという意味で、本願発明は有効である。
上述の磁石保持部材の成形工程をまとめると、以下のようになる。先ず、治具に繊維束を巻きつけることによって予め磁石保持部材を筒状に形成した後に磁石の外周に被せる場合は以下の(i)〜(iv)となる。
(i)治具に、少なくとも1トラバース分の繊維束を巻きつける。
(ii)繊維束の巻き始め端部および巻き終わり端部の終端処理を行う。即ち、樹脂Aを用いて端部を接着し、樹脂Aを硬化させる。
(iii)繊維束の、巻き始め端部と巻き終わり端部との間の区間を、樹脂Bで含浸し、硬化させる。
(iv)樹脂Bの硬化後、形成された磁石保持部材を治具から取外す。
一方、治具を使用せず、永久磁石の外周に直接、磁石保持部材を形成する場合の成形工程は、以下の(v)〜(vii)となる。
(v)スリーブ上に配置された永久磁石に、少なくとも1トラバース分の繊維束を巻きつける。
(vi)繊維束の巻き始め端部および巻き終わり端部の終端処理を行う。即ち、樹脂Aを用いて端部を接着し、樹脂Aを硬化させる。
(vii)繊維束の、巻き始め端部と巻き終わり端部との間の区間を、樹脂Bで含浸し、硬化させる。
本願発明に係る磁石保持部材20を備えた回転子10は、より高速な回転が可能となり、このような回転子10を構成すると、コンパクトで且つ高出力の回転電機100を得ることができる。このような回転電機100を工作機械の主軸に適用すれば、極めて高性能の工作機械が得られる。またこの傾向は、磁力が高いネオジム磁石を磁石16として使用した場合、特に顕著となる。
10、10′ 回転子
12 回転軸
14、14b スリーブ
16 磁石
20、20′ 磁石保持部材
20a 内側保持部材
20b 外側保持部材
21 成形冶具
30 繊維束
30a 巻き始め端部
30b 巻き終わり端部
100 回転電機

Claims (12)

  1. 回転軸と、前記回転軸の外周に、テーパ面同士の締り嵌めによって嵌合するスリーブと、前記スリーブの外周面に配列された複数の磁石とを有する回転子を備えた回転電機において、前記磁石の径方向外側において前記磁石を径方向内側に向って圧縮保持する保持部材であって、
    前記保持部材は、前記回転子の軸線方向についての一端側から他端側に至る区間のうち、少なくとも前記磁石が配置されている区間を包含する1区間を1トラバースと呼ぶとき、前記磁石の外周において、少なくとも1トラバースにわたって連続した一続きの繊維束が、前記回転子の外周において螺旋状に周回しつつ前記一端側から他端側まで巻かれてなる筒状形状を有し、
    前記保持部材は、樹脂をマトリクスとする繊維強化樹脂からなり、前記繊維束のうち少なくとも、巻き始め端部および巻き終わり端部における繊維同士が、反応性硬化樹脂である第1の樹脂によって終端処理され
    前記巻き始め端部の終端処理部と、前記巻き終わり端部の終端処理部との間の区間では、前記第1の樹脂とは異なる第2の樹脂がマトリクス樹脂として使用されている、保持部材。
  2. 前記第2の樹脂のガラス転移温度は、前記第1の樹脂のガラス転移温度よりも低い、請求項に記載の保持部材。
  3. 前記第2の樹脂は、前記繊維束同士を前記樹脂で接合した際の引張り剪断方向の接着強さが、前記第1の樹脂よりも低い、請求項に記載の保持部材。
  4. 前記第2の樹脂のアイゾット衝撃値は、前記第1の樹脂のアイゾット衝撃値よりも高いか、または、前記第2の樹脂がアイゾット衝撃試験において破断しないために測定不可能である、請求項に記載の保持部材。
  5. 前記保持部材は、前記繊維束の1トラバース分の巻回操作を複数回繰り返すことによって形成される、請求項1〜4の何れか一つに記載の保持部材。
  6. 前記回転子の軸線方向についての同一端側に、前記一続きの繊維束の巻き始め端部と巻き終わり端部が配置され、両端部同士を互いに前記第1の樹脂によって接着することによって前記巻き始め端部および前記巻き終わり端部が終端処理されている、請求項に記載の保持部材。
  7. 前記繊維束は扁平なテープ状である、請求項1〜の何れか一つに記載の保持部材。
  8. 前記第1の樹脂はエポキシ樹脂であり、前記第2の樹脂はアクリル系樹脂であり、前記繊維束は炭素繊維を含む、請求項1〜7の何れか一つに記載の保持部材。
  9. 請求項1〜の何れか一つに記載の保持部材を有する回転子であって、
    前記保持部材には周方向に張力が付与され、前記張力に起因する半径方向内側の弾性圧縮力が前記磁石に作用している、回転子。
  10. 前記保持部材の外周に、予め筒状に整形された別部材が、前記保持部材と同心状に重ねて配置され、
    前記筒状の別部材にも周方向に張力が付与され、前記張力に起因する半径方向内側の弾性圧縮力が前記保持部材に作用し、前記保持部材の締め代の方が、前記別部材の締め代よりも大きい、請求項に記載の回転子。
  11. 請求項9または10に記載の回転子を有する回転電機。
  12. 請求項11に記載の回転電機を有する工作機械。
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