JP6799640B1 - 流体流れ検知装置及び流体流れ検知方法 - Google Patents

流体流れ検知装置及び流体流れ検知方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所定の空間に存在する粒子を検知可能な流体流れ検知装置及び流体流れ検知方法を提供する。【解決手段】上記課題は、トレーサ粒子59を含む流体の流れ場に、光源からの光照射による照射領域31を形成する照射手段と、前記照射領域31を流れる前記トレーサ粒子59が発する散乱光60の流れを撮像する撮像手段と、前記散乱光60の流れから流体流れを検知する検知手段とを備え、前記照射領域31は、(A)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、発散角の2分の1(ω1)が0°≦ω1≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、又は、(B)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω2≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、であることを特徴とする流体流れ検知装置、及び方法により解決される。【選択図】図1

Description

本発明は、流体流れを検知する流体流れ検知装置及び流体流れ検知方法に関するものである。
従来、気体や液体などの流体の流れを可視化(検知)したり、測定したりする際、次記の手法で行われる。シート状(光膜状ともいう)に拡げたレーザ光を、トレーサ粒子が分散された流体に照射する。トレーサ粒子はレーザ光の照射を受け、散乱光を発する。シート面に直交する方向に離れた位置からカメラで散乱光を撮像して、散乱光の流れ、すなわち流体の流れを検知、例えば、流れの流速を測定したりデータ処理等したりする。
この手法では、シート(光膜)上に流れるトレーサ粒子は散乱光を発するが、シートから外れたトレーサ粒子は散乱光を発しない。具体的に言うと、流体の流れ方向、すなわち、トレーサ粒子の流れ方向がシート面に沿う場合は、流体の流れを経時的に可視化できる。一方で、トレーサ粒子の流れ方向がシート面に沿わない場合は、流体の流れを経時的に可視化し難い。
流体の流れ場の流速分布を測定する技術に特許文献1がある。この技術の目的とするところは、PIVによって流れ場の流速分布を測定するにあたって、一定の場合に、トレーサ粒子のみの輝度を高くした粒子画像を作成することである。
しかしながら、この技術ではトレーサ粒子の流れ場にシート面が、沿うように配されており、沿わない場合については明記されていない。
特開2016−99195号公報
可視化情報,Vol.20,No.77,2000年4月,pp.1−6、pp.14−19 高橋幹ニ著「基礎エアロゾル工学」養賢堂,1982,pp.146−150
したがって、本発明の課題は、散乱光の立体的な流れを撮像して、流体の流れを経時的に検知する流体流れ検知装置及び流体流れ検知方法を提供することにある。
<第1の態様>
トレーサ粒子を含む流体の流れ場に、光源からの光照射による照射領域を形成する照射手段と、
前記照射領域を流れる前記トレーサ粒子が発する散乱光の流れを撮像する撮像手段と、
前記散乱光の流れから流体流れを検知する検知手段とを備え、
前記照射領域は、
(A)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、発散角の2分の1(ω1)が0°≦ω1≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、又は、
(B)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω2≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、
であることを特徴とする流体流れ検知装置。
照射領域は、光軸に対して垂直方向に所定の面積を有する。所定の面積とは、「一定の面積」という意味にとどまらず、光軸方向に沿って拡がったり狭まったりする面積や、光軸方向に沿って狭まり、その後拡がる面積も含まれる。照射領域内において、光軸方向だけでなく光軸に対して垂直方向にトレーサ粒子が流動しても、照射を受けたトレーサ粒子は散乱光を発し続ける。結果、照射領域内で受光軸に対して上下方向、左右方向、前後方向の少なくともいずれかの方向への散乱光の流れ、すなわち、散乱光の立体的な流れを撮像できる。
発散角の2分の1(ω1)が0°≦ω1≦30°の範囲、又は、集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω2≦30°の範囲で光照射されて形成された照射領域は、指向性に優れたものとなり、また、光軸方向に対して上記所定の面積の変化が小さく、光強度の変化も小さいものとなる。そのため、光源(光出射部)からの距離に関わらず、光軸方向に存在するトレーサ粒子の散乱光強度は、ばらつきが小さいものとなる。
<第2の態様>
第1の態様に加え、
前記光軸方向と前記撮像手段の受光軸方向とでなす角度θが、0°<θ<90°、又は120°≦θ≦180°である、
態様を挙げることができる。
前記角度の範囲とすると、相対的に大きい強度の散乱光を撮像できる。
<第3の態様>
第1の態様に加え、
前記所定の面積を形成する面形状は、三角形状〜八角形状のいずれかの多角形状、角丸三角形状〜角丸八角形状のいずれかの角丸多角形状、楕円形状、のうちのいずれか1つの形状である、
態様を挙げることができる。
面形状が上記のいずれか1つの形状であれば、光軸に対して垂直方向に所定の面積を有するので照射領域内で立体的に流動する散乱光を撮像できる、という効果を有する。
<第4の態様>
第1の態様に加え、
前記光源は、LED光源又はレーザ光源である、
態様を挙げることができる。
LED光源又はレーザ光源を適宜選択することで所望の波長からなる照射領域を形成できる。例えば、発光波長が定まった光源を用いると、波長を変数とする散乱光の関係式(非特許文献2参照)から、散乱光を評価、検証する上で有用である。
<第5の態様>
第1の態様に加え、
前記照射領域における、光軸に対する垂直方向の面部の光強度が、この面部内でほぼ均一である、
態様を挙げることができる。
光軸方向では指向性の良い照射光の光強度はほぼ同等であり、かつ上記面部内でも光強度がほぼ均一なので、照射領域、特に光軸に対し垂直方向において、光強度のばらつきが抑制され、散乱光及び散乱光の流れを捉えやすくなる。
<第6の態様>
第1の態様に加え、
前記撮像手段は、前記照射領域における受光軸の前後方向5mm以上の範囲にある前記散乱光の流れを受光するものである、
態様を挙げることができる。
この態様とすることで、受光軸の前後方向5mm以上の範囲であっても散乱光の流れを立体的、かつ明瞭に撮像できる。また、受光軸の前後方向(奥行き方向)への散乱光の流れを確実に撮像することができる。
<第7の態様>
第1の態様に加え、
前記トレーサ粒子の径が0.l〜5μmである、
態様を挙げることができる。
流体の流れを検知するには、流体の流れに対するトレーサ粒子の流れの追従性が問題となる。流体の流れに追従して(沿って)トレーサ粒子が流れないと、トレーサ粒子の流れと流体の流れとの乖離が生じ、流体流れの検知を正しく行えない。粒子径が小さいものや密度が小さいものをトレーサ粒子とすることで、流体の流れに対するトレーサ粒子の流れの追従性がよくなる。
<第8の態様>
第1の態様に加え、
連続して又は所定の間隔を空けて前記光源が複数配置されて、光源群をなす、
態様を挙げることができる。
照射領域がより広く形成されるので、流体の流れをより広範囲に検知できる、という効果を有する。
<第9の態様>
トレーサ粒子を含む流体の流れ場に、光源からの光照射による照射領域を形成し、
前記照射領域を流れる前記トレーサ粒子が発する散乱光の流れを撮像し、
前記散乱光の流れから流体流れを検知し、
前記照射領域は、
(A)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、発散角の2分の1(ω1)が0°≦ω1≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、又は、
(B)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω2≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、
であることを特徴とする流体流れ検知方法。
第1の態様と同様の効果を奏する。
この発明によれば、散乱光の立体的な流れを撮像して、流体の流れを経時的に検知することができる。
流体流れ検知装置の説明図(斜視図)である。 流体流れ検知装置の説明図(正面図)である。 従来の流体流れ検知装置の説明図である。 光軸に対して垂直方向に切断されたと仮定した場合における、照射領域の切断面の態様である。 トレーサ粒子の散乱光強度の分布を示す図である。 LED光源の一例を示す図である。 レーザ光源の一例を示す図である。 被写界深度と検知可能な奥行きとの関係図である。 図1の照射領域における仮想円を拡大した図であり、実施例1を説明する図である。 実施例1の正面図である。 実施例1の撮像図である。 実施例1の撮像図である。 実施例1の撮像図である。 比較例2の撮像図である。 比較例2の撮像図である。 比較例2の撮像図である。 実施例におけるトレーサ粒子の流れを示す概念図である。 比較例2の平面図である。 実施例3の撮像図である。 比較例4の撮像図である。 照射領域と撮像する範囲とが重なる範囲を示す正面図である。 比較例2の説明図である。 別のトレーサ粒子の散乱光強度の分布を示す図である。 照射領域の別の形状を示す図である。 照射領域の別の形状を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳述する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の一実施形態を示したものにすぎない。
本実施形態に係る流体流れ検知装置は、光源20から発せられた照射光が照射されて形成された照射領域を流れるトレーサ粒子の流れを検知する装置である。流体流れ検知装置は、トレーサ粒子59を含む流体の流れ場に、光源からの光照射による照射領域を形成する照射手段と、照射領域を流れるトレーサ粒子59が発する散乱光60の流れを撮像する撮像手段51と、撮像手段51で撮像された散乱光60の流れから流体の流れを検知する検知手段50とを備える。また、照射領域は光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で光照射されて形成されるものである。
(照射手段)
照射手段は光源20を備える。そして、光源20には公知の光源を適宜使用できるが、例えば、LED光源、レーザ光源、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、エキシマランプ、カドミウムランプ、無電極放電ランプ、及び蛍光ランプ等その他の光源を用いることができる。光源の強度は、1W/m2以上とするとよい。この範囲より小さいと散乱光の輝度が小さく、散乱光の撮像が明瞭になされない。特に光源の波長域が限定されるLED光源やレーザ光源を用いると、光源の波長を含む、特定の波長域のみ透過する光学フィルタを撮像手段の受光部に設けることで、同波長域以外の光、すなわち環境光の影響を低減できる。
(LED光源)
光源の素子にLEDを使用した場合、光軸31aに対して垂直方向に所定の面積を有する照射光を光源20から照射させる手法の一例は、次記のとおりとなる。光源20は、ケーシングを備える。ケーシング内には、LED素子22とLED素子22を冷却するヒートシンク23と、LED素子22から出射された照射光を屈折させるための、レンズや光学素子を1つ以上備えてなる光学系21とが設けられている。ここで、光軸方向をz軸方向とし、光軸31aに対して垂直方向に拡がる面をxy面とすることもできる。
使用されるLED光源の一例として、新日本空調株式会社の製品「Parallel Eye D」、「Parallel Eye M」などを挙げることができる。
(レーザ光源)
光源にレーザを使用した場合、光軸31aに対して垂直方向に所定の面積を有する照射光を光源20から照射させる手法の一例は、次記のとおりとなる。光源20から出射された照射光は、例えば、凹レンズ25と凸レンズ24とを順に透過されて、光軸31aに対して垂直方向に所定の面積に拡げられる。
光源に使用されるレーザは、公知のレーザを使用することができる。例えば、アルゴンイオンレーザ、Nd:YAGレーザの第二高調波、半導体レーザ、ハイパワーレーザやパルスレーザ(非特許文献1参照)を挙げることができる。
なお、前述の所定の面積は、100mm2以上、好ましくは500mm2以上、より好ましくは1000mm2以上、さらに好ましくは3000mm2以上とするとよい。100mm2未満だと、照射領域が狭すぎ、流体の流れを経時的に検知し難い。
連続して又は所定の間隔を空けて前記光源が複数配置されて、光源群をなす形態は好ましい。光源群から照射された照射領域は、広範囲に亘って形成されることになる。光源群の一例に、水平方向に複数個、高さ方向に複数個、光源が配置されて、かつ、これら光源の光軸が平行になるようにする形態や、観察対象の形状に合わせて、連続して又は所定の間隔を空けて個々の光源が配置される形態等を挙げることができる。しかしながら、これらの形態に限られるものではない。
(照射領域)
照射手段により、光軸31aに対して垂直方向に所定の面積で照射光が照射されて照射領域31が形成される。照射光が光軸方向に進むに従い、照射領域31が光軸方向に対して垂直方向に拡げられてもよいし、狭められてもよい。例えば、照射領域31における側縁31hの照射方向31iと光軸31aと、のなす角度、すなわち、発散角の2分の1(ω1)や集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω1,ω2≦60°、好ましくは0°≦ω1,ω2≦30°、より好ましくは0°≦ω1,ω2≦10°、さらに好ましくは0°≦ω1,ω2≦5°、特に好ましくは0°≦ω1,ω2≦2°の範囲で照射領域31が拡げられ、又は狭められて照射される形態、一定の面積で照射される形態とするとよい。この範囲を逸脱すると、照射光の指向性がよくなく、散乱光の明瞭な撮像がなされないおそれがある。また、照射領域は、光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で光照射され、光軸方向に沿ってこの面積が狭められ、その後拡げられるように形成される(すなわち、光軸方向の前方で照射領域が括れるように形成される)、ものであってもよい。この場合、撮像手段を、照射領域のうちの、面積が最も狭められた領域を撮像するものとすることで、散乱光をより明瞭に撮像できる。ここで、照射領域31における側縁31hとは、照射領域31における、光軸を中心軸とした場合の外周部、ということもできる。
この照射光における所定面積を形成する面形状は、特に限定されない。例えば、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、七角形状、八角形状、九角形状、十角形状のいずれかの多角形状(これら多角形状には角が丸みを帯びた角丸三角形状、角丸四角形状、角丸五角形状、角丸六角形状、角丸七角形状、角丸八角形状、角丸九角形状、角丸十角形状が含まれる。)、楕円形状(円形状、扇形状を含む)、辺及び/又は曲線で囲まれた面形状とすることができる(これらの形状の一例を図4に図示する(32A、32B、・・・、32F、33A、33B、34A、・・・34D))。これら面形状は輪郭だけではなく、面内部の全てが照射光で構成されているとよい。上記面形状で、かつ、光軸31aに対して垂直方向に所定の面積を有する照射光が上記角度ω1,ω2で光照射されて、照射領域31が形成されると、照射領域31が指向性に優れたものとなる。そして、光源20とほぼ対向する位置に撮像手段を設置させると、相対的に輝度の大きい前方への散乱光を受光でき好ましい。
この点、指向性のよくない照射光で形成された照射領域では、例えば、照射光が、光軸前方に進むに従い、光軸に対して垂直方向に次第に拡がってしまうことがある。例えば、発散角ω1、集束角ω2が0°≦ω1,ω2≦60°の範囲外にまで、照射領域が拡がってしまうと、撮像手段を照射領域外に設置させる結果、相対的に輝度の大きい前方への散乱光が受光されず、明瞭な撮像を行えない場合がある。
光軸31aに対して垂直方向に所定の面積で照射される照射光、すなわち、指向性のよい照射光の光源に、レーザ光源やLED光源を好適に使用することができる。また、特にLED光源は、従来使用されるNd:YAGレーザの第二高調波よりも一般に安価であり、また効率よく照射領域を形成でき、コストの低減化を図ることができる。
また、指向性の良い照射領域における、光軸に対する垂直方向の面部の光強度が、この面部内でばらついてもよいし、ほぼ均一であってもよい。光強度が面部内でばらつく形態として、面部内の中心部の光強度が相対的に大きく、半径外方に向かうに従い相対的に小さくなる形態を挙げることができる。一方、ほぼ均一である場合、光軸に対して垂直方向ではトレーサ粒子が同程度の輝度の散乱光を発するので、散乱光及び散乱光の流れをより捉え易くなる。
ここで、光強度がほぼ均一とは、例えば、次記に示すように評価することができる。しかしながら、これに限るものではない。まず、照射領域と、光源から任意の距離だけ光軸方向(すなわち、z方向)に離れた位置におけるxy面とが交差する面(交差面)に着目する。この交差面内における最大の光強度をImaxとし、この交差面内でImaxに対して1/(e2)倍以上の光強度を有する領域を有効照射領域、Imaxに対して0.5倍以上の光強度を有する領域を0.5Imax以上領域、Imaxに対して0.7倍以上の光強度を有する領域を0.7Imax以上領域とする。そして、次式(D)で求まる面積率が35%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、好適には80%以上である場合を、光強度がほぼ均一と評価できる。
(面積率(%))=(0.5Imax以上領域の面積)÷(有効照射領域の面積)×100・・・式(D)
また、次式(E)で求まる面積率が、35%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上、好適には80%以上である場合を、光強度がほぼ均一と評価することもできる。
(面積率(%))=(0.7Imax以上領域の面積)÷(有効照射領域の面積)×100・・・式(E)
(トレーサ粒子)
本実施形態はnmオーダー〜μmオーダー、あるいはそれ以上の径に至る粒子を可視化する装置及び方法に関するものである。例えば、径50〜100μmのトレーサ粒子の検知(可視化)はもちろんのこと、径0.1〜0.5μmや径0.1〜1μm、径0.1〜5μmの検知も可能である。一方、従来、散乱光を撮像するために使用されるトレーサ粒子としては、ラスキンノズルによる径1μm程度のオイル粒子が用いられることが多かった。
本発明で使用するトレーサ粒子の形態については、特に限定されず公知の形態を用いることができる。粉体,スプレ,エアロゾル,サスペンション,乳液及び液体中の気泡等を一例に挙げることができる。
液体中で使用されるトレーサ粒子は特に限定されず、公知のトレーサ粒子を適宜使用できる。トレーサ粒子の一例を挙げると、アルミ粉末、高分子系粒子、気泡、ガラスバルーン、牛乳、水性ペイント、石松子などがある。
気体中で使用されるトレーサ粒子は特に限定されず、公知のトレーサ粒子を適宜使用できる。トレーサ粒子の一例として、水やグリセリンなどの噴霧、塩化アンモニウムの化学反応、煙(チップなど)や酸化マグネシウムなどの燃焼・加熱、アルミナやシリカなどの固体(流動化)、シリカ(SiO2)やチタニア(TiO2)などの粉末、PSL粒子等を挙げることができる。特に、シリカ(SiO2)やチタニア(TiO2)などの粉末は、粒子径が0.5〜5μm程度であり、PSL粒子には、粒子径が0.1μm程度のものもあり、本実施形態に好適に用いることができる。トレーサ粒子が相対的に小さいものであれば、重力による沈降、例えば、次式(F)に示す終末沈降速度VTSが小さく、流体流れに対して、トレーサ粒子の追従性がよくなる(参考文献:ウィリアム C.ハインズ著,早川一也訳「エアロゾルテクノロジー」井上書院,1985,pp.41−69 )。
TS=(ρp2gCc)÷(18η)・・・式(F)
ここで、ρpはトレーサ粒子の密度、dはトレーサ粒子の直径、gは重力加速度、CcはCunninghamのすべり補正係数、ηは粘性係数である。
(散乱光)
散乱光とは光をトレーサ粒子に入射させた際、このトレーサ粒子により様々な方向に放出される光をいう。
図5を参照しつつ説明すると、図示例の矢印方向へ入射光を受けたトレーサ粒子59は、散乱光51v、51hを周囲に発する。ここで、散乱光51vの偏光方向と散乱光51hの偏光方向とは直交する関係にある。紙面左にある上下方向に延在する対数目盛りは、散乱光の相対強度を表し、D1は相対強度が1である位置、D10は相対強度が10である位置、D100は相対強度が100である位置、・・・を表す。図示例では入射光の波長は532nm、粒径は0.5μm、粒子の屈折率は1.59である。例えば、散乱光51vを見ると、前方散乱光の分布が、後方散乱光の分布より大きいことがわかる。散乱光51hの散乱光分布についても同様のことがわかる。
この図を考慮すると、光軸方向と撮像手段51の受光軸方向51aとでなす角度θを0°<θ<90°、好ましくは0°<θ≦45°、より好ましくは0°<θ≦30°、さらに好ましくは0°<θ≦20°、さらに好ましくは0°<θ≦10°、好適には0°<θ≦5°とすると、光強度が相対的に大きくない光源を使用しても前方散乱光を捉えることができるため、散乱光の流れを容易に撮像できることを発明者は知見している。しかしながら、同角度θを0°にすると、撮像手段51が照射光を受光して、撮像される背景が明るく飽和してしまい、散乱光60と背景とが区別し難くなる。
図23は、別のトレーサ粒子の散乱光分布を示している。図示例では入射光の波長は532nm、粒径は1.016μm、粒子の屈折率は1.59である。この図示例のトレーサ粒子では、散乱光51v及び散乱光51hともに前方散乱光の分布が大きい。また、後方散乱光の分布も前方散乱光の分布ほどではないが、ある程度の大きさを有する。このことは、後方散乱光を撮像できる位置、例えば、120°≦θ≦180°、好ましくは135°≦θ≦180°、より好ましくは150°≦θ≦180°、特に好ましくは170°≦θ≦180°に撮像手段を設置しても散乱光の流れを撮像することができることを示している。なお、もちろん前方散乱光を撮像できる位置に撮像手段を設置しても散乱光の流れを撮像することができるのは言うまでもないし、場合により、前方散乱光及び後方散乱光以外の散乱光であっても撮像可能である。
ここで、図5及び図23の散乱光分布において、トレーサ粒子59を中心に位置させ、紙面右方向を角度φ=0°とし、0°から反時計回りに90°回転させた角度φを90°、さらに反時計回りに90°回転させた角度φを180°、さらにまた反時計回りに90°回転させた角度φを270°、さらにまた反時計回りに90°回転させた角度φを360°(=0°)とする。そして、トレーサ粒子から発せされる散乱光分布のうち、およそ角度φが270°<φ≦360°及び0°≦φ<90°の範囲の散乱光分布を特に、前方散乱光とする。また、およそ角度がφ120°≦φ≦240°の範囲の散乱光分布を特に、後方散乱光とする。
(撮像手段)
撮像手段51は、照射光の光照射を受けたトレーサ粒子59が発する散乱光60を受光して、散乱光60の流れを撮像するものである。撮像手段51に、公知のカメラを適宜用いることができる。また、高電界下のアモルファスセレン光電膜内で起きる電荷のアバランシェ増倍現象を利用した撮像素子を備えた撮像管カメラや、撮像管カメラによる撮影画像信号をアナログ微分処理するアナログ微分処理装置を備え、このアナログ微分装置による微分処理画像に基づいて粒子を検知するように構成された撮像手段51も好ましい。さらにはAPImagerカメラ(浜松ホトニクス)や近年高精細化が進むCCDカメラ、CMOSカメラ、写真機を撮像手段51としてもよい。
これらのカメラを用いて、散乱光60のうちの、撮像手段51で撮像される範囲と照射領域31とが重なる領域54で発した散乱光60を受光する撮像手段51は、受光軸の前後方向(奥行き方向)に流れる散乱光を撮像でき好ましい。この場合、撮像手段を光源20の出射部とほぼ対向する位置に設置させると、上記前後方向(奥行き方向)の範囲が長くなり、散乱光が同前後方向(奥行き方向)に流れても、撮像できる。また、受光軸51aに対して上下方向、左右方向、前後方向(奥行き方向)の少なくともいずれかの方向に流れる散乱光60を受光する撮像手段とすることもできる。このようにすると散乱光60の立体的な流れを確実に撮像することができる。なお、従来、照射領域がシート状に形成されていたことから、撮像手段51は、散乱光におけるこのシートに沿った流れを撮像するものであった。
撮像手段51は、照射領域31における受光軸の前後方向5mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは30mm以上の範囲にある散乱光の流れを受光するものとするとよい。受光軸の前後方向が5mm以上であると、立体的に流れる(特に前後方向に流れる)散乱光を明瞭に撮像できる。なお、従来より使用されるシート状の照射領域では、シートの厚みがおよそ2mm程度であり、5mmよりも薄いので、立体的に流れる散乱光を明瞭に撮像することが困難であった。
(検知手段)
検知手段50は、散乱光の流れから流体流れを検知するものである。換言すると、散乱光の流れのうちの、撮像する範囲と照射領域とが重なる領域54(図21に示すハッチング部)で発した散乱光の流れから流体流れを検知する手段を検知手段とすることもできる。検知手段は、公知の手段を適宜適用するとよい。例えば、流体流れに対して追従性のよいトレーサ粒子59を使用する場合は、散乱光の流れを流体流れとして検知する検知手段50を用いることができる。また、流体流れに対してそれほどよい追従性を示さないトレーサ粒子59を使用する場合は、散乱光の流れと流体流れのズレを補正する手段を備えた検知手段50を用いるとよい。さらに、被写界深度の範囲内に流れるトレーサ粒子59が発する散乱光の流れを流体流れとする検知手段としてもよい。加えて、撮像された散乱光のうちの、所定の輝度値以上の散乱光を選択的に検知する手段や演算装置を備える形態も好ましい。
被写界深度の範囲内に流れるトレーサ粒子が発する散乱光の流れを流体流れとする場合、被写界深度は次記のとおり決定することができる。被写界深度Zは、次式(1)で表される。
[数1]
Z=Tf+Tr ・・・式(1)
ここで、Tfは前方被写界深度、Trは後方被写界深度であり、TfとTrは、次式(2)、(3)で表される。
[数2]
f=σFL2/(f2+σFL) ・・・式(2)
[数3]
r=σFL2/(f2−σFL) ・・・式(3)
ここで、σは許容錯乱円径、Fは絞り値、Lは被写体距離(レンズから被写体までの距離)、fはレンズの焦点距離である。また、許容錯乱円径σは画素ピッチ及びエアリーディスク径DAiryのいずれか大きい方の数値である。画素ピッチ及びエアリーディスク径DAiryのどちらが大きいかはF値に依存する。また、エアリーディスク径DAiryは次式(4)で表される。
[数4]
Airy=2.44λFe ・・・式(4)
ここで、λは波長(μm)、Feは、Fe=(1+M)・Fで表される実効F値であり、Mは倍率である。
散乱光をより明瞭に撮像できるように被写界深度Zを調整すると、この被写界深度Zの方向(奥行き方向)の範囲を限定でき、この範囲内で発する散乱光の流れをより明瞭に撮像できる。
図8を参照しつつ説明すると、被写界深度Zは、被写体(散乱光)がピンボケせずに撮像される範囲を前述の式(1)〜(4)により理論的に導出した値である。しかしながら、トレーサ粒子の流れを実地で検知する上では、同被写界深度Zよりも、長い奥行き(検知可能な奥行きQ(mm)ともいう)であっても十分な精度で検知できることを発明者は知見している。なお、図8において、横軸はF値を示し、縦軸は被写界深度Z又は検知可能な奥行きQを示している。
レンズの焦点距離fを50とした場合の検知可能な奥行き範囲Qは、例えば、次記のとおりとなる。第1に絞り値Fが1.4であるときは、被写界深度Zが1.1mmであり、検知可能な奥行きQが約21mmである。第2に絞り値Fが4であるときは、被写界深度Zが5.3mであり、検知可能な奥行きQが約32mmである。第3に絞り値Fが8であるときは、被写界深度Zが21.2mmであり、検知可能な奥行きQが約57mmである。
また従来、速度の大きいトレーサ粒子の散乱光を撮像する場合、高速度カメラを使用するなどしてフレームレートを大きくすることになる。フレームレートを大きくすると露光時間が短くなり、撮像された散乱像の輝度値が低下する。そのため、撮像するには光源の光強度を大きくしたり、トレーサ粒子を大きくしたりすることになる。光強度を大きくするとより電力を消費し非経済であるし、トレーサ粒子を大きくすると流体への追従性が悪くなる。
しかしながら、本実施形態によれば、照射領域が上下、左右、前後(奥行き)方向に所定の体積を有する立体形状に形成されており、トレーサ粒子が発する前方散乱光を撮像できる。前方散乱光は相対強度が大きく、フレームレートを大きくしたままであっても散乱光の動きを撮像することができる。
本実施形態を用いて、流体流れの検知試験を行った。実施例と比較例との共通条件は、以下のとおりである。
トレーサ粒子には平均径が0.5μmであるPSL粒子を用いた。この粒子を流速0.1m/sで流れる流体に一様に分散させた。
光源20からの照射光によって、一様に分散されたトレーサ粒子が含まれる流体の流れ場を照射した。
撮像手段にズームレンズを備えたCMOSカメラを用いた。撮像手段の受光部と、撮像手段で撮像される範囲と照射領域とが重なる領域の中心と、の距離を920mmとした。また、撮像手段のフレームレートを30FPS(コマ/秒)に設定した。
検知手段に、CMOSカメラが撮像した散乱光の流れからトレーサ粒子の流れを検知する検知装置を用いた。
トレーサ粒子が含まれる流体の直進的な流れを遮るための遮り板70を、同流体の流れ場のうちの、照射光が照射される領域に設けた。遮り板70は面状の無孔板であり、トレーサ粒子及び流体が透過されないものである。遮り板70は、光軸と受光軸とを有する平面上に設けられ、かつ、トレーサ粒子が分散された流体の射出方向に交差して設けられた。
<実施例1>
(設定条件)
光源にグリーンLED光源(Parallel Eye M/新日本空調株式会社)を用いた。
光源の出力強度を0.5Wとした。
光源波長は、後述する比較例で使用するレーザ光の波長に近い530nm程度とした。
LED素子から出射された出射光が、レンズや光学素子を1つ以上備えてなる光学系を透過し、光源20から出射され、光軸に対して垂直方向に所定の面積を有する四角形状で直進して、照射領域が形成された。照射領域の形状は四角錐台形状とした。この四角錐台形状は、例えば、光源の光照射面を底面とすると、4つの側面のうちの隣接する側面相互が接する辺(照射領域における側縁ともいう。)31g、31f、31d、31eをそれぞれ有することになる(図1参照)。
また、観察箇所における同四角形状の長辺が135mm(光強度約49W/m2)になるように調節した。
撮像手段の受光軸方向と照射光における光軸方向とでなす角度θを15°とした。
トレーサ粒子が分散された流体を、照射光の光軸と受光軸とが有する平面(光軸に平行で、かつ、受光軸に平行である平面ということもできる。すなわち、yz平面)に交差させて射出させた。
図9、図10、図17を参照しつつ説明すると、遮り板70の下端縁は、照射領域内に位置させるとよく、換言すると四角錐台形状の照射領域の辺31fと辺31dとを有する側面よりも下方に延出させないものとするとよい。例えば、観察箇所に射出された流体に分散されたトレーサ粒子59のうち、遮り板70の下端縁よりも上方で、かつx軸方向に遮り板70に向かって進むトレーサ粒子59は、射出方向にある遮り板70を迂回して、x軸方向(61)に進むことになる。一方で遮り板70の下端縁よりも下方でx軸方向(61)に射出される流体に分散されたトレーサ粒子59は、この流体の射出方向に遮り板70がないので遮り板70を迂回せずに、遮り板70の下方を通過する。
(結果)
実施例1の結果を図11〜図13を参照しつつ説明する。図11〜図13の各図は、露光時間10m秒、カメラゲイン20dBの条件で、照射領域31のうちの遮り板70付近を撮像したものである。なお、図示例に遮り板70の輪郭を白破線70で表している。撮像時の時間は、図11、図12、図13の順に経過した。図11〜図13の各図には、散乱光が撮像されているが、そのうち散乱光60a、60b、60cを例示して説明する。散乱光60a、60b、60cの全てが、図11〜図13の各図に撮像された。散乱光60aの動きを示すと、平面視で散乱光60aが、図11では基準線63の上方に位置し、図12では基準線63上に位置し、図13では基準線63の下方に位置している。このことから図11〜図13にかけて、散乱光60aが下方に向かって流れていることがわかる。散乱光60b、60cも同様に下方に向かって流れていることがわかる。
<比較例2>
(設定条件)
光源にレーザ光源(Parallel Eye H/新日本空調株式会社)を用いた。
光源の出力強度を0.5Wとした。
光源波長は、532nmとした。
レーザ光源から出射された出射光131が、レーザラインジェネレータレンズ(5°)を透過し、光源120から出射され直進するに従い、光軸131aに対して垂直方向に次第に拡がり、照射領域が形成された。斜視図で見ると図22に示すように、照射領域の形状は、このレーザラインジェネレータレンズを頂点、光軸を高さとした三角形状とした。同三角形状の照射領域はx軸(−x軸)方向にわずかな厚みを有し、yz平面に平行になるように配置された。
同三角形状をこの三角形状の底辺に平行な線で切断したと仮定した場合に、仮定切断線の長さが135mmになるときの、この仮定切断線を含む領域を撮像手段151で撮像して、検知手段150でトレーサ粒子159の流れを検知した。
撮像手段の受光軸方向は、三角形状の照射領域の面に対して直交する方向とした。
図3、図18、図22を参照しつつ説明すると、遮り板70は、照射領域に直交方向に交差させて配置した。撮像手段151の受光軸151aが遮り板面に平行になるように、撮像手段151を配置した。
トレーサ粒子159が分散された流体を、照射光の光軸と受光軸とが有する平面(光軸に平行で、かつ、受光軸151aに平行である平面ということもできる。すなわち、zx平面)に交差させて射出させた。換言するとトレーサ粒子159が分散された流体を−y方向へ射出させた。
流体の射出先に遮り板70があると、トレーサ粒子159は遮り板70を避け、迂回して−y方向(161)に進むことになる。一方で、流体の射出先に遮り板70がなければ、トレーサ粒子159は直進することになる。
(結果)
比較例2の結果を図14〜図16を参照しつつ説明する。図14〜図16の各図は、露光時間10m秒、カメラゲイン32dBの条件で、照射領域31のうちの遮り板70付近を撮像したものである。なお、図示例に遮り板70の輪郭を白破線70で表している。撮像時の時間は、図14、図15、図16の順に経過した。図14〜図16の各図には、散乱光が撮像されているが、そのうち散乱光62a、62b、62c、62d、62eを例示して説明する。散乱光62aは、図14及び図15には明瞭に撮像されているが、図16には明瞭に撮像されているとは言い難い。散乱光62bは、図15にのみ明瞭に撮像されている。散乱光62c、62d、62eは図14には明瞭に撮像されているとは言い難いが、図15及び図16には明瞭に撮像されている。
この現象は次記のように推測される。照射領域31を流れるトレーサ粒子159が照射光131を受けて、散乱光が発せられる。散乱光62aを発するトレーサ粒子は、図14及び図15を撮像した時(タイミング)には照射領域内に存在していたが、図16を撮像した時(タイミング)には照射領域内に存在していなかった。例えば、図14及び図15を撮像した時に照射領域内に存在していたトレーサ粒子が、時間経過に伴い、図22でいうところのx軸方向に流れ、結果として、図16を撮像した時に照射領域外へ流れ出たと考えられる。よって、散乱光62aは図14及び図15には明瞭に撮像されたが、図16には明瞭に撮像されなかった。他の散乱光62b、62c、62d、62eについても、撮像時に照射領域内にトレーサ粒子が存在していれば散乱光が撮像されるが、撮像時に照射領域内にトレーサ粒子が存在していなければ散乱光が明瞭に撮像されない。
比較例2に対して実施例1では、代表例で説明した散乱光60a、60b、60cの全てが図11〜図13全てに撮像されている。また、これら散乱光60a、60b、60cに限らず、多数の散乱光のそれぞれが、図11〜図13全てに撮像されている。
実施例1の照射領域は、光軸31aに対して垂直方向に面状となる照射光を光源から直進させて形成されており、立体形状を成す。すなわち、撮像手段の受光軸方向に照射領域が厚みを有したものとなる。照射領域内であればトレーサ粒子がどの方向に流れても、このトレーサ粒子が発する散乱光を撮像することができる。
なお、図11に撮像された散乱光60aと、図12に撮像された散乱光60aと、図13に撮像された散乱光60aと、が同一のトレーサ粒子から発せられたものであるか否かは、図11〜図13それぞれに撮像された散乱光群中における個々の散乱光相互の位置関係で推定される。
また、流体の流速(特に、流速のうちの受光軸方向の流速成分)を大きくした場合、実施例1では散乱光を「数フレーム」にわたり撮像でき、散乱光の流れを検知できる。一方、比較例2では散乱光を同「数フレーム」にわたり撮像できない場合があり、流体の流れを検知できないことがある。流体の流速を大きくすると、比較例2ではトレーサ粒子が短時間で照射領域内から外れてしまう。一方、実施例1では照射領域が立体的に形成されており、トレーサ粒子が照射領域に入ってから出るまで所定時間要するので、散乱光を数フレームにわたり撮像できる。
<実施例3>
(設定条件)
実施例3は実施例1と次の相違点を除き同様の設定条件にした。相違点は実施例1では遮り板70を設けたが、実施例3では設けていない点である。
(結果)
照射領域31を撮像した結果を図19を参照しつつ説明する。図19には散乱光60が無数に撮像された。代表的な散乱光を2点鎖線の円内に示した。
<比較例4>
比較例4は比較例2と次の2つの相違点を除き同様の設定条件にした。1つ目の相違点は、比較例2では遮り板70を設けたが、比較例4では設けていない点である。2つ目の相違点は、カメラゲインが比較例2では32dB、比較例4では20dBであった点である。なお、比較例4のカメラゲインは実施例3のカメラゲインと同じ20dBとした。
(結果)
照射領域31を撮像した結果を図20を参照しつつ説明する。比較例4のカメラゲインが比較例2と比較して低かったため、図20には散乱光60が撮像されなかった。
実施例3の結果と比較例4の結果とを比較すると、どちらもカメラゲインが20dBであり、実施例3の結果には散乱光が撮像されているが、比較例4の結果には散乱光がほとんど撮像されていない。これは、実施例3では前方散乱光が撮像されているが、比較例4では散乱光強度の分布の小さいθ=90°の方向から、散乱光を撮像しているからと考えられる。比較例4の照射領域の光強度が1235W/m2であり、実施例3よりも非常に大きいものでありながら、比較例4では照射領域の形成面に対して受光軸が直交となる位置、すなわち散乱光強度が相対的に小さい角度に撮像手段を設置しているため、散乱光が小さく明瞭な像として撮像されなかったと考えられる。
なお、比較例4のカメラゲインを26dBまで高めると、散乱光を撮像できることを発明者は知見している。
(用語の定義等)
・「光軸」とは、光源から照射された照射光が直進する際の中心軸をいう。「光軸方向」とは、光軸上において照射光が直進する方向をいう。「受光軸方向」とは、受光軸上における、撮像手段に光が入射する方向をいう。受光軸に対して上下方向とは、受光軸上のある点(第1点)から受光軸上の別の点(第2点)を見た場合における上下の方向をいう。受光軸に対して左右方向とは、受光軸上の同第1点から受光軸上の同第2点を見た場合における左右の方向をいい、同上下方向に直交する方向をいう。受光軸に対して前後方向とは、同第1点から受光軸上の同第2点を見た場合における前方及び後方の方向をいう。
・光源20から出射された出射光が光軸31aに沿って直進する方向をz方向、その反対方向を−z方向という。−zからz方向に見て、水平方向のうち左方向をx方向、右方向を−x方向という。また、−zからz方向に見て、垂直方向のうち上方向をy方向、下方向を−y方向という。
<その他>
本実施形態のトレーサ粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)やDMA(微分型電気移動度測定装置)、JIS Z8825:2013で測定されるものである。TEM法の基準器はEdmund Scientific社の回折格子が使用され、このトレーサ粒子径はAIST((独)産業技術総合研究所)、NIST(米国立標準技術研究所)に対して、トレーサビリティーを有している(参考文献1:日方他,ポリスチレン系標準粒子の製造とその応用,エアロゾル研究,Vоl.22,No.4,(2007年),pp.282−288、参考文献2:http://www.jsrlifesciences.co.jp/pd/ivd_lsr/ssp/jsr_size_std_ptcl/pdf/pd_ivd_StaDyno_Jp.pdf )。
実施例で使用されたトレーサ粒子は、JSR株式会社により製造されたPSL粒子(品番SC−051−S、粒径平均値0.506μm)である。
集束角とは、集束光(集束光線束)で照射領域の側縁を通る光線と、光軸とがなす角度の2倍、をいう。また、発散角とは、発散光(発散光線束)で照射領域の側縁を通る光線と、光軸とがなす角度の2倍、をいう。
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本発明が、ここに記載された実施形態に描かれ、実施形態はかなり詳細に記載されているが、出願人は、この記載によって添付する特許請求の範囲をいかようにも制限、限定する意図はない。追加の利点や修正は、当業者に理解され、一つの実施形態に記載された要素は、他の実施形態にも採用可能である。本発明は、いかなる場合においても特定の詳細事項に限定されず、各々の機器と実施例が示され、記載されている。したがって、出願人の一般的発明概念の精神と範囲から乖離しないで、これらの詳細に記載された事項から離れることもあり得る。
本発明は、屋外、屋内を問わず利用できるものであり、流体の流れの可視化及び粒子画像流速測定法に適用可能なものである。半導体、液晶、医薬品、食品、医療、自動車、フィルム、金属加工等の、気体の流れや液体の流れが関心の対象となる全ての分野に適用可能なものである。
20 光源
31 照射領域
50 検知手段
51a 受光軸
59 トレーサ粒子
60 散乱光

Claims (7)

  1. トレーサ粒子を含む流体の流れ場に、光源からの光照射による照射領域を形成する照射手段と、
    前記照射領域を流れる前記トレーサ粒子が発する散乱光の流れを撮像する撮像手段と、
    前記散乱光の流れから流体流れを検知する検知手段とを備え、
    前記照射領域は、
    (A)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、発散角の2分の1(ω1)が0°≦ω1≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、又は、
    (B)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω2≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、であり、
    光軸方向と前記撮像手段の受光軸方向とでなす角度θが、0°<θ≦45°、又は135°≦θ≦180°であり、
    前記照射領域における、光軸に対する垂直方向の面部の光強度が、この面部内でほぼ均一である、
    ことを特徴とする流体流れ検知装置。
  2. 前記所定の面積を形成する面形状は、三角形状〜八角形状のいずれかの多角形状、角丸三角形状〜角丸八角形状のいずれかの角丸多角形状、楕円形状、のうちのいずれか1つの形状である、
    請求項1に記載の流体流れ検知装置。
  3. 前記光源は、LED光源又はレーザ光源である、
    請求項1に記載の流体流れ検知装置。
  4. 前記撮像手段は、前記照射領域における受光軸の前後方向5mm以上の範囲にある前記散乱光の流れを受光するものである、
    請求項1に記載の流体流れ検知装置。
  5. 前記トレーサ粒子の径が0.l〜5μmである、
    請求項1に記載の流体流れ検知装置。
  6. 連続して又は所定の間隔を空けて前記光源が複数配置されて、光源群をなす、
    請求項1に記載の流体流れ検知装置。
  7. トレーサ粒子を含む流体の流れ場に、光源からの光照射による照射領域を形成し、
    前記照射領域を流れる前記トレーサ粒子が発する散乱光の流れを撮像手段で撮像し、
    前記散乱光の流れから流体流れを検知し、
    前記照射領域は、
    (A)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、発散角の2分の1(ω1)が0°≦ω1≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、又は、
    (B)前記光源の光軸に対して垂直方向に所定の面積で、かつ、集束角の2分の1(ω2)が0°≦ω2≦30°の範囲で、光照射されて形成されるもの、であり、
    光軸方向と前記撮像手段の受光軸方向とでなす角度θが、0°<θ≦45°、又は135°≦θ≦180°であり、
    前記照射領域における、光軸に対する垂直方向の面部の光強度が、この面部内でほぼ均一である、
    ることを特徴とする流体流れ検知方法。
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