JP6799228B2 - 砂防堰堤 - Google Patents

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Description

本発明は、砂防堰堤、特に、土石流災害や土砂災害を防止するために渓流の川幅方向に延設される砂防堰堤に関する。
砂防堰堤は、土砂災害、特に土石流による被害を軽減するために、一般的には、重力式コンクリートダムの形状を模して設けられ、砂防ダムとも呼ばれる。そのため、砂防堰堤の川幅方向両端部の両袖部は、両渓岸に深く埋設された安定した設置構造となっており、川幅方向全長に及ぶ堰堤の上部にあって川幅方向中央部には、水通しと呼ばれる越流部を形成する。この形態の砂防堰堤は、土石流発生時、大きな速度で流れる巨礫や流木といった流下物に加えて流体圧も頑強に受け止める剛構造であるため、コンクリート構造体の基礎構造が大掛かりで施工にも期間を要し、地山を大きく改変する問題がある。
そこで、堰堤の所定箇所にスリットなどの中間領域部を設け、土石流の発生時には、この中間領域部を通じて水は下流に流し、巨礫や流木といった流下物を堰き止める透過型砂防堰堤が注目されている。このような透過型砂防堰堤としては、例えば、下記特許文献1に記載されるものがある。この透過型砂防堰堤は、堰堤の両袖部間に、比較的大きく開口する中間領域部を形成し、この中間領域部内に、立体構造体と平面構造体を交互に設ける。立体構造体は、例えば、上流側の上流側柱材と下流側の下流側柱材を梁材で連結すると共に、複数の上流側柱材同士も別の梁材で連結して構成される。
平面構造体は、例えば複数の柱材と複数の梁材を格子状に組んで構成され、柱材を立設するようにして梁材の端部が立体構造体に連結される。これら立体構造体や平面構造体は中間領域部内に固定され、土石流発生時の巨礫や流木といった流下物が各構造体によって堰き止められる。このような透過型砂防堰堤は、土石流発生時の流体圧の負荷が軽減される分だけ、コンクリート構造体の基礎構造が簡易となり、施工も容易になる。
特開2013−204272号公報
しかしながら、特許文献1に記載される砂防堰堤も、土石流発生時に巨礫や流木といった流下物を堰き止める各構造体の変形が許容されない剛構造であり、結果として、これらの構造体を支持するコンクリート構造体の基礎構造が大掛かりで、施工も大変である。これは、高速で流れる流下物の大きな動荷重をコンクリート構造体で受け止めなければならないためであり、そのため、コンクリート構造体には土石流の巨大な運動エネルギーを受けても破壊しない頑健性が求められるからである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流下物を的確に堰き止めることができ、且つ構造が簡潔で、コストを低廉化することができ、施工も容易で、さらに環境への負荷も可及的に抑えることのできる砂防堰堤を提供することにある。
上記目的を達成するための砂防堰堤は、両渓岸に安定設置された両袖部及び該両袖部間で水の流下を許容する中間領域部を有する砂防堰堤において、前記中間領域部の底部側から所定高さ位置までの領域に伸展するように前記両袖部に両端辺が固定されたネット体を有し、該ネット体は複数のリング状部材を互いに連結することにより構成されたリング式ネットであることを特徴とする。
この構成によれば、両袖部間にリング式ネットが固定設置されているので、土石流発生時には、リング式ネットを構成する複数のリング状部材によって巨礫や流木などの流下物が堰き止められる。その際、リング状部材の変形などによるリング式ネットの優れたネット変形性能により、土石流の持つ運動エネルギーが吸収され、リング式ネット全体で流下物を的確に堰き止めることができる。つまり、この砂防堰堤は、リング式ネットの変形で流下物を堰き止める柔構造であるため、リング式ネットを支持する両袖部などのコンクリート構造体の基礎構造が簡易になり、施工もしやすい。合わせて、中間領域部をカバーする部材がリング式ネットであることからその設置作業が簡単であり、その分だけ構造も簡潔なものとなり、コストを低廉化することもでき、また施工も容易である。さらに、渓流の中間領域部の自然の形態の変更も最小限に留めることができ、環境負荷の軽減にも繋がっている。また、リング式ネットを構成するリング状部材の大きさを調整することで、堰き止めようとする巨礫の大きさに容易に対応することができる。
また、前記リング式ネットには、前記両袖部の上流側面間又は下流側面間で架け渡されて固定され、前記リング式ネットを補強する補強ロープが挿通されていることを特徴とする。
この構成によれば、リング式ネットによる流下物の抑止とそのリング式ネットに挿通されている補強ロープによる流下物の抑止を調整することで、リング式ネットが変形して土石流の運動エネルギーを吸収する以前に補強ロープによって土石流の持つ運動エネルギーを受けることが可能となる。
また、前記補強ロープは、前記両袖部間にて上下に所定間隔をおいて複数設けられており、前記補強ロープへのリング式ネットの取付けは、前記補強ロープが前記リング式ネットのリング内に挿通されることでなされていることを特徴とする。
この構成によれば、リング状部材のリング内に補強ロープを挿通させることでリング式ネットの動きと補強ロープの動きをリンクさせることができ、補強ロープの弛みとリング式ネットの撓みを調整することで、補強ロープによる流下物の抑止とリング式ネットによる流下物の抑止を調整することができる。
また、前記補強ロープには、該補強ロープに所定値以上の負荷が加えられたときに所定の制動力を伴いながら前記補強ロープの両固定部間の長さの伸びが許容される補強ロープ用ブレーキ装置が設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、補強ロープに大きな負荷が加わったときに所定の制動力を伴いながら補強ロープの伸びが許容されるので、補強ロープの伸びに伴ってブレーキング作用、つまり運動エネルギーの吸収力を確保することが可能となる。これにより、土石流等の流下物の持つ運動エネルギーをより一層的確に吸収することが可能となり、補強ロープを含めたリング式ネット全体での堰き止め作用がより良好なものとなる。
また、前記補強ロープ用ブレーキ装置は、前記リング式ネットの変形限界と同時かそれ以前に前記補強ロープの両固定部間の長さの伸びが限界となるように当該補強ロープの伸び量を許容することを特徴とする。
この構成によれば、補強ロープの両固定部間の長さの伸び限界と同時かそれ以後にリング式ネットの変形限界となるため、制動力を伴う補強ロープの伸びによる土石流の運動エネルギー吸収量を超える土石流の運動エネルギーをリング式ネットの変形によって吸収することが可能となる。
また、前記補強ロープ用ブレーキ装置は、少なくとも最上部の補強ロープを含む複数の補強ロープにそれぞれ設けられ、前記最上部の補強ロープの補強ロープ用ブレーキ装置は、他の補強ロープの補強ロープ用ブレーキ装置が許容する伸び量よりも小さな伸び量のみ許容する構成を有することを特徴とする。
この構成によれば、上記補強ロープのブレーキング作用は、最上部の補強ロープ以外の補強ロープの方が大きくなるが、最上部の補強ロープの伸び量が小さいことで、リング式ネットの最上部が弛み、特に下方に弛んで低くなってしまうのを抑制することができ、これにより受け止められる流下物を的確に堰き止めることが可能となっている。
また、前記リング式ネットが伸展する領域の下流側の前記両袖部間に、架け渡し固定された第2補強ロープが設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、土石流等の発生時には、リング式ネットの優れた変形性により、土石流等の流下物の持つ運動エネルギーでリング状部材が変形するが、下流側に設けられた第2補強ロープによって、下流側に膨出するリング式ネット全体を支えることが可能となる。これにより第2補強ロープを含めたリング式ネット全体での流下物の受け止め機能はより大きなものとなる。
また、前記第2補強ロープには、該第2補強ロープに所定値以上の負荷が加えられたときに所定の制動力を伴いながら前記第2補強ロープの両固定部間の長さの伸びを許容する第2補強ロープ用ブレーキ装置が設けられたことを特徴とする。

この構成によれば、第2補強ロープ用ブレーキ装置の設置によって、第2補強ロープにもブレーキング作用が付加され、リング式ネットが第2補強ロープに当接して負荷が加えられたときに第2補強ロープが伸びることによるブレーキング作用により、土石流の持つ運動エネルギーをより一層吸収することが可能となり、第2補強ロープを含めたリング式ネット全体での流下物の堰き止め機能が向上する。
以上説明したように、本発明によれば、土石流発生時、水はリング式ネットを構成する複数のリング状部材の隙間を通って中間領域部下流に流すことができ、巨礫や流木などの流下物はリング式ネットによって的確に堰き止められる。その際、リング式ネットの優れた変形性によって流下物の運動エネルギーを吸収する柔構造としたため、両袖部などのコンクリート構造体の基礎構造が簡易になり、施工しやすい。また、簡単な作業での堰堤の設置が可能となり、さらに可及的に渓流の中央部の形態の改変を抑制することが可能であり、コストの低廉化や環境負荷の軽減に貢献することができる。また、リング式ネットを構成するリング状部材の大きさを調整することで、堰き止めようとする巨礫の大きさに容易に対応することができる。
本発明の砂防堰堤の一実施形態を上流側から見た全体構成斜視図である。 図1のリング式ネットの配設状態を示す断面図である。 図1の砂防堰堤に用いられるブレーキ装置の一例を示す斜視図である。 図1の砂防堰堤に用いられるブレーキ装置の他の例を示す斜視図である。 図1の砂防堰堤に用いられるブレーキ装置の更に他の例を示す正面図である。 図1の砂防堰堤の変形例を下流側から見た全体構成斜視図である。 図6のリング式ネットの配設状態を示す断面図である。 図1のリング式ネットに用いられるリング状部材の一例を示す斜視図である。 互いに連結されたリング状部材の変形の一例を示す正面図である。 図1の砂防堰堤に設けられた第2補強ロープを示す平面図である。 図1の砂防堰堤による土石流抑止状態を下流側から見た全体構成斜視図である。
以下、本発明の砂防堰堤の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施形態の砂防堰堤を上流側から見た全体構成の斜視図である。この実施形態に係る砂防堰堤は、既存の砂防堰堤と同様に、土砂災害、特に、土石流による被害を防止すること等を目的に渓流Rの川幅方向に延設されるものである。この実施形態では、渓流Rの川幅方向に延設される堰堤10は、図示しない躯体の周囲に例えばコンクリートを打設して構築される。
この堰堤10のうち、両渓岸に配置される両袖部12は、従来の両袖部と同様に、両渓岸の地盤に深く埋設され、安定した設置状態を確保しており、土石流等の運動エネルギーに対する強度を確保している。この堰堤10の両袖部12の高さは、例えば3〜30m程度である。なお、本発明に係る堰堤10は、新設してもよいし、既存の設備を利用して構築することも可能である。
この実施形態の堰堤10では、両袖部12間の中央部14に大きく水の流下を許容する中間領域部16が確保されている。この中間領域部16は、堰堤10の両袖部12間に存在し、この中間領域部16で堰堤10の上流側及び下流側が連通され、水が流下する。この中間領域部16の川幅方向の幅は、例えば3〜30m程度であり、底部の高さは、例えば河床から0.5〜2m程度である。
この中間領域部16の規模や形状は、図示した形態に限定されるものではなく、渓流の形状や水量など種々の要素を勘案して決定される。この実施形態における中間領域部16は、従来の重力式コンクリートダム型の越流部よりも遥かに大きく開口している。このように中間領域部16の開口容積を大きく設定することで、両袖部12などのコンクリート構造体を減らすことが可能となる。なお、できるだけコンクリート構造体を減らすことは、砂防堰堤が、一般的に、交通の便や作業環境のあまりよくない場所に設けられるため、大きなメリットとなる。
また、中間領域部16の開口を大きくすることは、後述するリング式ネット18や補強ロープ26などによる土石流の運動エネルギー吸収効果を高めることにつながるから、その分だけ、中間領域部16の底部を含め、両袖部12などのコンクリート構造体の基礎構造が簡易になる。ちなみに、既存の砂防堰堤設備を利用する際、中間領域部16が十分な開口容積を有している場合には、そのまま利用すればよいし、開口容積が不足している場合には、コンクリート構造体を切除して広げればよい。特に、中間領域部16の底部の高さを低くすることで、土石流発生時の流体圧を効果的に逃がすことができる。
また、中間領域部16には、その上流側に、土石流発生時の流下物を受け止めるためのネット体としてリング式ネット18が配設されている。このリング式ネット18は、後述するように、複数のリング状部材20を連結して構成されており、図示のように、川幅方向両端部のリング状部材20を固定具36によって両袖部12の上流側面12aに固定している。
このリング式ネット18は、リング状部材20の変形によって土石流の運動エネルギーを吸収しながら、巨礫や流木などの流下物を受け止めるものである。そのため、少なくとも中間領域部16の底部からその上部の所定高さ位置までをカバーするように張架される。なお、中間領域部16の底部は構造体がない場合は、川底であり、構造体が存在する場合にはその上面である。
図2は、図1のリング式ネット18の配設状態の変形例を示す模式的断面図である。このリング式ネット18は、流下物を受け止めてリング状部材20が変形すると、リング式ネット18全体が下流側に膨出する。例えばリング式ネット18が川底まで配設される場合、下流に膨出するリング式ネット18の下側から流下物が下流側に流れ出てしまわないために、図2に示すように、リング式ネット18の下端部を上流側に向けて川底に這わせ、その上流側端部を固定部材38によって川底に固定する。
このリング式ネット18には、図1に示すように、補強ロープ26が挿通されている。補強ロープ26は、両袖部12の上流側面12aに両端が固定されて架け渡されている。補強ロープ26の両端部は、両袖部12の上流側面12aに固定された係止具28の穴部に堅固に連結されている。また、係止具28は、図示しないアンカーによって両袖部12の躯体に堅固に連結されている。この補強ロープ26には、例えば高強度のワイヤロープなどが適用される。補強ロープ26の線径は、例えば12〜30mm程度である。
本実施の形態では、上下に間隔を開けて複数(本実施の形態では5本)の補強ロープ26が張架されている。本実施の形態ではリング式ネット18の上辺部に最上部の補強ロープ26−1が配置され、下辺部に最下部の補強ロープ26−5が配置されている。これらの補強ロープ26は、リング式ネット18を構成する複数のリング状部材20のリング内、すなわち内周側を交互に縫うようにして挿通されている。なお、補強ロープ26の挿通部分では、リング状部材20と補強ロープ26を堅固に連結することが望ましい。
なお、実際の補強ロープ26は、自重やリング式ネット18の重みによって下方に弛んでいる。また、この弛み量によって、リング式ネット18による流下物の抑止とそれに挿通されている補強ロープ26による流下物の抑止を調整することが可能となる。即ち、補強ロープ26はリング式ネット18のリング状部材20のリング内に挿通され、場合によって挿通部分ではリング状部材20と補強ロープ26が連結されているため、土石流発生時の補強ロープ26の動きとリング式ネット18の動きは互いにリンクしている。
後段に詳述するリング式ネット18の変形による土石流の運動エネルギー吸収効果は、ネットの撓みがなくなってリング状部材20が変形することで発揮される。一方、補強ロープ26は、リング式ネット18に流下物が受け止められ、リング式ネット18が下流側に膨出することでロープの弛みがなくなり、補強ロープ26に張力が発生したときから流下物を支持することができる。このとき、補強ロープ26の伸びを許容しながらその伸びに制動力が付与されれば、制動力を伴う補強ロープ26の伸びによって土石流の持つ運動エネルギーを吸収することができる。そのため、この補強ロープ26の両端部には、所定の制動力を伴ってロープの両固定部間の長さの伸びを許容する補強ロープ用ブレーキ装置30が設けられている。
図3は、補強ロープ26の両端部に設けられた補強ロープ用ブレーキ装置30の斜視図である。この補強ロープ用ブレーキ装置30では、金属製の緊締部材46に形成され且つ補強ロープ26が2本平行に挿通可能な穴部46aに補強ロープ26をまず挿通し、その補強ロープ26を環状に一巻きした後、同じ方向から補強ロープ26を穴部46aに挿通し、緊締部材46を加締めて補強ロープ26に固定している。この状態で、補強ロープ26と緊締部材46は、補強ロープ26同士の摩擦力及び補強ロープ26と緊締部材46の摩擦力によって固定している。
従って、土石流発生時、リング式ネット18が流下物を受け止め、下流側に膨出して補強ロープ26の弛みがなくなると、補強ロープ26の張力が大きくなる。この張力が、補強ロープ26と緊締部材46を固定している摩擦力より大きくなると、補強ロープ26が緊締部材46の穴部46a内で滑り、補強ロープ26の環状部分が縮径する。このとき生じる摩擦抵抗が制動力となり、この制動力によって土石流の運動エネルギーが吸収される。
また、補強ロープ用ブレーキ装置30の環状部分の縮径に伴って補強ロープ26が伸びながらリング式ネット18内の流下物を支持する。これらが相まって、リング式ネット18全体で巨礫や流木などの流下物を確実に堰き止める効果が得られる。なお、補強ロープ用ブレーキ装置30の環状部分を縮径する力、つまり吸収しようとする土石流の運動エネルギーは、緊締部材46による補強ロープ26の加締め力だけでなく、補強ロープ26の巻回長を変更することで調整可能である。
重要なことは、緊締部材46による補強ロープ26の摩擦抵抗に抗して補強ロープ26が引っ張られて動くことによってブレーキング作用が生じることである。したがって、衝撃などによる引っ張り力の付加において、ブレーキング作用の量は、補強ロープ26の両固定部間の長さの伸びしろ(伸びの許容範囲)によって変化し、これは、本実施の形態では上記緊締部材46の加締め力や補強ロープ26の巻回長によって変えることが可能となっている。
本実施形態では、上下方向に計5本の補強ロープ26を中間領域部16の川幅方向に架け渡しており、上述の伸びの許容範囲は、最上部の補強ロープ26で最も小さく、上から2番目、3番目、4番目の順に、次第に大きくした。最下部の補強ロープ26の伸びの許容範囲は、上から4番目の補強ロープ26のものと同等とした。各現場での予想される流下物の種類状況などに応じてこれらの伸びの許容範囲は種々設定することが可能である。
なお、各補強ロープ26の上下間隔についても状況に応じて調整することが可能である。土石流の大きな運動エネルギー吸収効果が望まれる部分では狭い間隔にすることが好適である。本実施の形態では、比較的伸びの許容範囲の小さい最上部の補強ロープ26−1から3本目まではやや狭い間隔としている。
この実施形態では、上述のように、最上部の補強ロープ26−1の伸びの許容範囲を小さくしていることから、補強ロープ用ブレーキ装置30は、最上部の補強ロープ26−1に対し、他の補強ロープ26の伸び量より小さい伸び量のみ許容する。したがって、最上部の補強ロープ26−1の伸びが他の補強ロープ26よりも制限されることで、リング式ネット18の上辺部が下流側下方へ弛んで下がることを有効に防止することができる。これにより、リング式ネット18による土石流の受け止め高さが小さくなることを防止することができる。
なお、補強ロープ26の配設本数は、前記に限定されるものではないが、少なくともリング式ネット18のネット面の上辺部及び下辺部には補強ロープ26を配設することが望ましい。また、補強ロープ26の架け渡しは、必ずしも水平方向でなくてもよい。
図4は、補強ロープ用ブレーキ装置30の他の例を示す斜視図である。この補強ロープ用ブレーキ装置30は、ループ管32と緊締部材とよりなっており、ループ管32には補強ロープ26の中途部分が挿通されている。ループ管32の両端部は並列して重ね合わされており、この重畳部は緊締部材、例えば圧縮スリーブ34によって締固され、圧縮スリーブ34によって締固されている部分でループ管32の重畳部は相互に摩擦接触し、またループ管32と圧縮スリーブ34の間においても摩擦接触がもたらされている。ループ管32は鋼製管であることが好ましいが、他の金属材料やプラスチック材料で製作することもできる。
この補強ロープ用ブレーキ装置30では、補強ロープ26に大きな張力が発生すると、ループ管32の径を縮小しようとする力が働き、ループ管32の両端部はロープに沿って互いに反対方向へ向かう力を受ける。ロープに加わっている張力が、圧縮スリーブ34による締固箇所におけるループ管32同士及びループ管32と圧縮スリーブ34との間の摩擦力を越えると、摩擦抵抗に抗して、相互間に滑りが生じ、この滑りによって、補強ロープ26の両固定部間の伸びを伴いながら土石流の運動エネルギーが吸収される。その際、ループ管32の変形によっても運動エネルギーは吸収される。ループ管32の直径、壁厚、材料を選択することにより、エネルギー吸収能力を種々に変更可能であり、様々な要求に対応することができる。なお、図では、ループ管32が一巻きである場合が示されているが、二重巻き又はそれ以上の巻き数であってもよい。
図5には、補強ロープ用ブレーキ装置30の更に他の例を示す。この補強ロープ用ブレーキ装置30は、紙面垂直方向に幅を有する金属帯52を中実円柱部材54に巻き掛けて構成され、その金属帯52の長手方向の一方の端部、この場合は円柱部材54から短い方の端部に補強ロープ26の端部を連結している。また、この金属帯52の他方の端部には、ストッパ58が設けられると共に、そのストッパ58の手前には、金属帯52の両表面に対をなして突出する緩衝用突起60が2か所に設けられている。また、この補強ロープ用ブレーキ装置30では、円柱部材54に巻き掛けられている金属帯52の外側に、その金属帯52を比較的緊密に抑える抑え部材56が取付けられており、この抑え部材56が、係止具28を介して両袖部12の上流側面12aに固定されている。
この補強ロープ用ブレーキ装置30では、補強ロープ26に張力が係り、図の矢印方向に引っ張られると、金属帯52も同方向に引っ張られる。このとき、金属帯52は円柱部材54と抑え部材56で形成される狭い通路内を通過しなければならず、その際、円柱部材54に巻き掛かっている部分が移動する。この金属帯52の円柱部材54への巻き掛け部分では、その巻き掛け部分の移動に伴って塑性変形が連続して発生する。この金属帯52の円柱部材54への巻き掛け部分の移動に伴う連続した塑性変形は変形抵抗であるから、この変形抵抗に抗して補強ロープ26の両固定部間の長さが伸びる際、ブレーキング作用、つまり制動力が生じ、補強ロープ26に作用する土石流の運動エネルギーが大きく吸収される。なお、補強ロープ26の伸び量は、ストッパ58の位置で規制される。
この実施形態では、これらの補強ロープ用ブレーキ装置30による補強ロープ26の伸び量を、後述するリング式ネット18の変形限界と同時かそれ以前に補強ロープ26の両固定部間の長さの伸びが限界となるように設定した。このように構成すると、補強ロープ26の両固定部間の長さの伸び限界と同時かそれ以後にリング式ネット18の変形限界となるため、制動力を伴う補強ロープ26の伸びによる土石流の運動エネルギー吸収量を超える土石流の運動エネルギーをリング式ネット18の変形によって吸収することが可能となる。
例えば、補強ロープ用ブレーキ装置30の制動力を伴う補強ロープ26の伸びの限界を土石流の運動エネルギー吸収上限値に設定した場合、万が一、これを超える運動エネルギーを土石流が有していた場合、補強ロープ26が伸びきった後からリング式ネット18の変形によって、その上限値を超える運動エネルギーを吸収することができ、これにより流下物を抑止することができる。また、土石流発生の際、リング式ネット18が変形限界になっていなければ、補強ロープ26を張り替え、リング式ネット18は、そのまま再利用することも可能となるので、堰堤10の再生工事が簡易になる。
なお、例えば図1のように、1本の補強ロープ26に対し、複数の補強ロープ用ブレーキ装置30を設ける場合、それらの補強ロープ用ブレーキ装置30の制動力の大きさを互いに異なる大きさに設定してもよい。このような制動力配分にすると、例えば1本の補強ロープ26に2個の補強ロープ用ブレーキ装置30を設けた場合、何れか一方の補強ロープ用ブレーキ装置30が先に作動して制動力を発揮し、その後から、他方の補強ロープ用ブレーキ装置30が作動して制動力を発揮する。こうすることで、流下物を支持する補強ロープ26が伸び続ける間、継続的或いは断続的に制動力を発揮する、つまり運動エネルギーを吸収し続けることが可能となる。
図6は、図1の砂防堰堤の変形例を下流側から見た全体構成斜視図である。この変形例では、図1の砂防堰堤に設けられたリング式ネット18や補強ロープ26が、全て中間領域部16の下流側に配設されている。また、リング式ネット18及び補強ロープ26の川幅方向両端部は、両袖部12の下流側面12cに固定されている。これらの固定構造は、図1の砂防堰堤と同様である。
図7は、図6のリング式ネットの配設状態を示す断面図である。この変形例では、リング式ネット18が中間領域部16の下流側に配設されているので、下流に膨出するリング式ネット18の下側から流下物が下流側に流れ出てしまわないために、図7に示すように、リング式ネット18の下端部を上流側に向けて中間流域部16の底部に這わせ、その上流側端部を固定部材38によって底部に固定する。
次に、本実施の形態に用いられているリング式ネット18について説明する。このリング式ネット18は、例えば特開2014−1584号公報(以下、先行技術文献とも記す)に記載されるものと同様であり、複数のリング状部材を互いに連結して構成される。この実施形態では、例えば、図1から理解されるように、1つのリング状部材20の周囲に4つのリング状部材20が均等に配置されるようにして、それらのリング状部材20の内周側同士が接触するように連結する。リング状部材20の連結構造は、先行技術文献に記載されるように、様々な形態がある。
図8は、図1のリング式ネット18に用いられるリング状部材20の一例を示す斜視図である。このリング状部材20は、例えば鋼線からなる線材22を複数回(5〜20回)巻回し、周方向の数か所を締結具24によって締め付けて構成されている。締結具24は、例えば側面形状がC字状の略筒状の金具であり、巻回により重合された線材22の外側に被せてから加締めることにより固定されている。このリング状部材20も、前述の先行技術文献に記載されているものと同様であり、例えば、線材22の材料、線材22の線径、線材22の巻回数、締結具24による加締め力などを調整することで、後述する変形時の強度やエネルギー吸収力を調整することができる。
リング状部材20を構成する線材22には、例えば硬鋼線材から製造される鋼線が好ましいが、例えば軟鋼線材から製造される鉄線でもよい。鋼線の場合、引張強度800N/mm2以上のものが好ましい。また、これらの線材22にメッキや被覆を施したものも用いることができる。線材22の線径は2.5〜5mm程度で、リング状部材20の直径は300〜1500mm程度である。リング式ネット18は、リング状部材20の直径を変更することで、堰き止めたい流下物(巨礫)の大きさに容易に対応することができる。例えば、上流の巨礫の大きさを調査し、その大きさに合わせてリング状部材20の直径を設定すれば、土石流発生時の流下物を効果的に堰き止めることができる。
リング状部材20を連結して構成されるリング式ネット18は、例えばネット面に垂直な力(負荷)が加わると、リング状部材20が互いに引っ張られるので、例えば図9に示すように、リング状部材20の形状そのものが変形すると共に、リング状部材20を構成する線材22の巻回が緩むように変形する。これらの変形は、土石流の運動エネルギー、具体的には巨礫や流木が衝突してネット面に負荷が作用するときに生じ、リング式ネット18に負荷が加わるとリング状部材20が変形することで、土石流の運動エネルギーが吸収され、結果としてリング式ネット18全体で巨礫や流木を堰き止める効果が得られる。
従って、リング状部材20の変形に必要な力、換言すればリング状部材20の変形によって吸収可能な土石流の運動エネルギーは、例えばリング状部材20を構成する線材22の材料や線径、巻回数、或いは締結具24による線材22の加締め力で調整することができる。なお、土石流は渓流の上流側から下流側に向けて生じるので、土石流の運動エネルギーでリング状部材20が変形するリング式ネット18は、前述したように、土石流を受けると下流側に膨出する。
これらのことから、リング式ネット18を用いる砂防堰堤は、リング状部材20の変形によって土石流の運動エネルギーを受け止める「柔構造」であるといえ、従来のコンクリートダム型の砂防堰堤や中間流域部だけを設けた透過型砂防堰堤の「剛構造」と異なり、両袖部12などの堰堤10のコンクリート構造体が受け止めるべき負荷が大幅に小さい。つまり、前述の補強ロープ26や補強ロープ用ブレーキ装置30を含めて、リング式ネット18によって流下物の動きを抑止することができれば、その後、両袖部12などのコンクリート構造体が受け止める負荷は流下物の静荷重である。周知のように、同じ物体でも、動荷重に比べて静荷重は遥かに小さい。そのため、例えば堰堤10の基礎構造が簡易になり、施工も大幅に容易になる。この施工の容易さは、堰堤が構築される場所、つまり山間において多大なメリットをもたらす。
図10はさらに他の実施の形態を示しており、上記実施の形態で説明した部材と同様の部材には同一の符合を付し、その説明を省略する。図示のように、リング式ネット18が配設されている部位よりも下流側において、第2補強ロープ40が川幅方向に架け渡して設けられている。この第2補強ロープ40には、補強ロープ26と同様に、高強度のワイヤロープなどが適用される。この第2補強ロープ40は、前述のように、土石流の運動エネルギーで下流側に膨出するリング式ネット18を下流側で受け止めて支持する作用を担う。なお、第2補強ロープ40の本数は1本でも複数でも良く、現場の状況に応じて設定することが可能である。
そのため、この第2補強ロープ40は、リング式ネット18がカバーしている領域の下流側において、両袖部12の川幅方向両端部間に架け渡されて固定設置されている。具体的には、この第2補強ロープ40の川幅方向両端部が、両袖部12の相対向する面12b間に取付けられた固定部材42で固定されている。
この第2補強ロープ40の両端部には、前述のように下流側に膨出するリング式ネット18が当接して負荷が加えられたときに制動力を伴いながら第2補強ロープ40の伸びを許容する第2補強ロープ用ブレーキ装置44が設けられている。この第2補強ロープ用ブレーキ装置44には、前述した補強ロープ用ブレーキ装置30と同じものを用いることができる。
従って、土石流発生時、下流側に膨出するリング式ネット18が当接して第2補強ロープ40に負荷が加えられると、第2補強ロープ40の張力が大きくなる。この張力が、第2補強ロープ用ブレーキ装置44の制動力より大きくなると、第2補強ロープ用ブレーキ装置44による制動力、つまりブレーキング作用を伴いながら第2補強ロープ40の両固定部間の長さが伸びる。このとき、第2補強ロープ用ブレーキ装置44のブレーキング作用によって土石流の運動エネルギーが吸収され、同時に第2補強ロープ40が伸びながらリング式ネット18を支持する。これらが相まって、リング式ネット18全体で巨礫や流木を確実に堰き止める効果が得られる。
なお、第2補強ロープ用ブレーキ装置44は、補強ロープ用ブレーキ装置30と同様に、リング式ネット18の変形限界と同時かそれ以前に第2補強ロープ40の両固定部間の長さの伸びが限界となるように当該第2補強ロープ40の伸び量を設定してもよい。そして、そのようにすれば、第2補強ロープ40の両固定部間の長さの伸び限界と同時かそれ以後にリング式ネット18の変形限界となるため、制動力を伴う第2補強ロープ40の伸びによる土石流の運動エネルギー吸収量を超える土石流の運動エネルギーをリング式ネット18の変形によって吸収することが可能となる。そして、土石流発生の際、リング式ネット18が変形限界になっていなければ、第2補強ロープ40を張り替え、リング式ネット18は、そのまま再利用することも可能となるので、堰堤10の再生工事が簡易になる。
図11は、土石流が発生し、巨礫や流木などの流下物を堰き止めた後の状態を示す下流側から見た砂防堰堤の斜視図である。図から明らかなように、巨礫や流木を堰き止める際、土石流の運動エネルギーを吸収したリング式ネット18は下流側に大きく膨出し、それに伴って、補強ロープ26や第2補強ロープ40も下流側に撓んでいる。これらの変形により土石流の運動エネルギーが吸収され、リング式ネット18全体で巨礫や流木を堰き止めている。また、最上部の補強ロープ26の伸び量(弛み量)が小さいので、リング式ネット18が下方に弛むのを抑制できており、その結果、巨礫や流木がリング式ネット18からあふれるのを抑制できている。
また、最下部の補強ロープ26の伸び量も押さえられていることから、流下物が覆い被さっており、図面上は見えない状態である。
このように、この実施形態の砂防堰堤によれば、通常の状況で流れる水や土砂はリング式ネット18を構成する複数のリング状部材20の隙間を通って中間領域部16から下流に流れ、土石流発生時には、リング式ネット18を構成する複数のリング状部材20によって巨礫や流木が留められる。その際、リング式ネット18の高強度性と優れた変形性により土石流の持つ運動エネルギーが吸収され、リング式ネット18全体で巨礫や流木を堰き止めることができる。また、補強ロープ26や第2補強ロープ40、さらに補強ロープ用ブレーキ装置30や第2補強ロープ用ブレーキ装置44のブレーキング作用により、さらに安定した土石流堰き止め機能が発揮される。
そして、補強ロープ26や第2補強ロープ40、補強ロープ用ブレーキ装置30や第2補強ロープ用ブレーキ装置44を含めて、リング式ネット18の変形によって土石流の運動エネルギーを吸収する柔構造であるため、両袖部12などのコンクリート構造体が受け止める負荷が小さくなり、これによりコンクリート構造体の基礎構造が簡易になり、施工が容易になる。この施工の容易性は、砂防堰堤が構築される山間において大きなメリットとなる。
また、この砂防堰堤は、堰堤10に形成された中間領域部16にリング式ネット18を配置し、両袖部12に支持させることだけで構成されるので、構造が簡潔であり、コストを低廉化することもでき、また施工も容易である。このことは、渓流そのものの形態をできるだけ保護することにもつながり、環境負荷を可及的に軽減することにも繋がるものである。
以上、実施の形態について説明したが、本発明の構成はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。例えば、上述した補強ロープ26や第2補強ロープ40の本数や材質については現場の状況に応じて適宜選択されるものであり、また、それらのブレーキ装置は、上述の構成に限定されるものではなく、制動力を伴いながら補強ロープ26や第2補強ロープ40の伸びを許容するものであれば如何なるものを用いてもよい。
また、前述の実施の形態では、リング式ネット18を1張だけ、両袖部12間に張架したが、リング式ネット18を複数張、両袖部12間に張架してもよい。
また、本発明の適用は、新たに渓流に構築する場合だけでなく、既設の堰堤に対して水の流下領域にリング式ネットを本発明の構造によって設置することも可能である。
10 堰堤
12 袖部
16 中間領域部
18 リング式ネット
20 リング状部材
26 補強ロープ
30 補強ロープ用ブレーキ装置
40 第2補強ロープ
44 第2補強ロープ用ブレーキ装置
R 渓流

Claims (5)

  1. 両渓岸に安定設置された両袖部及び該両袖部間で水の流下を許容する中間領域部を有する砂防堰堤において、
    前記中間領域部の底部側から所定高さ位置までの領域に伸展するように前記両袖部に両端辺が固定されたネット体を有し、
    該ネット体は、複数のリング状部材を互いに連結することにより構成されたリング式ネットであり、
    前記リング式ネットには、前記両袖部間に架け渡されて固定された補強ロープが挿通され、
    前記補強ロープには、該補強ロープに所定値以上の負荷が加えられたときに所定の制動力を伴いながら前記補強ロープの両固定部間の長さの伸びを許容する補強ロープ用ブレーキ装置が設けられ、
    前記補強ロープ用ブレーキ装置は、少なくとも最上部の補強ロープを含む複数の補強ロープにそれぞれ設けられ、前記最上部の補強ロープの補強ロープ用ブレーキ装置は、他の補強ロープの補強ロープ用ブレーキ装置が許容する伸び量よりも小さな伸び量のみ許容する構成を有することを特徴とする砂防堰堤。
  2. 前記補強ロープは、前記両袖部間にて上下に所定間隔をおいて複数設けられており、
    前記補強ロープへのリング式ネットの取付けは、前記補強ロープが前記リング式ネットのリング内に挿通されることでなされていることを特徴とする請求項に記載の砂防堰堤。
  3. 前記補強ロープ用ブレーキ装置は、前記リング式ネットの変形限界と同時かそれ以前に前記補強ロープの両固定部間の長さの伸びが限界となるように当該補強ロープの伸び量を許容することを特徴とする請求項1又は2に記載の砂防堰堤。
  4. 前記リング式ネットが伸展する領域の下流側の前記両袖部間に、架け渡し固定された第2補強ロープが設けられたことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の砂防堰堤。
  5. 前記第2補強ロープには、該第2補強ロープに所定値以上の負荷が加えられたときに所定の制動力を伴いながら前記第2補強ロープの両固定部間の長さの伸びを許容する第2補強ロープ用ブレーキ装置が設けられたことを特徴とする請求項に記載の砂防堰堤。
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