JP2022076584A - 防護柵の支柱構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】崩落土砂や落石等を捕捉する防護柵に用いられる支柱構造において、支柱を設置する際の作業性に優れながら、支柱が損傷した場合に、交換作業に掛かるコストや施工期間を低減できる支柱構造を提供する。【解決手段】防護ネット12を張設するために所定間隔をもって設置され、地中に埋設される埋設管22と、下部が前記埋設管内に所定長さ挿入されて上部が地上に露出する様に設置された支柱本体24と、前記埋設管と前記支柱本体との間に注入された充填材30と、を備えた防護柵の支柱構造1において、前記支柱本体の前記埋設管内への挿入設置は、該支柱本体と前記埋設管との間の固着力が、前記埋設管とその周辺地盤との間の固着力よりも弱くなる様に設定される。【選択図】図1

Description

本発明は、崩落土砂、落石等を捕獲して災害を防止する防護柵に用いられる支柱構造に関する。
従来、山の斜面には、土砂崩れ、落石、雪崩などの自然災害から隣接する道路、鉄道や住居を保護するために、防護柵が設置されている。特に、地震や豪雨の被害の多い日本では、斜面等に防護柵を設置して災害への対策を講じることが極めて重要となっている。
防護柵は、一般的に、斜面等に直接または構造物を介して立設された複数の支柱と、これら支柱に取り付けられて張設された防護ネットとを備えている。この防護柵が、例えば、斜面の下方領域の住居近くに設置される場合、防護柵によって受け止めた落石や土砂が住居構築物まで近づくことのないように、支柱の緩衝性やネットの伸長性などについての的確な対応が必要となる。
一般に、支柱は地中に埋め込まれた一本の鋼管で構成されるが、剛性が高く、全長の長い大重量の支柱を現場へ運搬、搬入する作業は煩雑な作業を伴うことから、支柱を上部と下部とに分離して、現場で一体化する技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、地面を削孔して形成された縦孔に埋設される埋設管と、下部が埋設管内に差し込まれ、地中から地上まで延在する支柱本体と、これらを一体化させるモルタル等の固化材と、で構成された支柱構造が開示されている。固化材は、埋設管の内部及び埋設管と縦孔の間の隙間を充填するように縦孔内に注入され、注入後、経時硬化することで、埋設管と支柱本体とが強固に一体化される。
特許文献1に記載の支柱構造では、支柱を構成する埋設管と支柱本体とを分離した状態で現場へ運搬、搬入することができるため、施工時の作業性を向上することができる。
国際公開2015/102032号
しかしながら、上記特許文献に係る防護柵は、崩落土砂や落石によって荷重を受けて、支柱が折れ曲がる等の損傷を受けると、支柱の交換作業が必要になる。
通常、支柱は地上に露出した部分に損傷を受けるが、特許文献1に記載の支柱構造では、支柱本体と埋設管とが強固に一体化されているため、これらを分離することができない。それ故、支柱の交換作業では、支柱本体及び埋設管の両方を撤去して、これらを新たに設置する必要があり、支柱交換時にも初期設置時と同様又はそれ以上のコストや施工期間が掛かっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、崩落土砂や落石等を捕捉する防護柵に用いられる支柱構造において、支柱を設置する際の作業性に優れながら、支柱が損傷した場合に、交換作業に掛かるコストや施工期間を低減できる支柱構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の防護柵の支柱構造は、
防護ネットを張設するために所定間隔をもって設置され、地中に埋設される埋設管と、下部が前記埋設管内に所定長さ挿入されて上部が地上に露出する様に設置された支柱本体と、前記埋設管と前記支柱本体との間に注入された充填材と、を備えた支柱構造において、
前記支柱本体の前記埋設管内への挿入設置は、該支柱本体と前記埋設管との間の固着力が、前記埋設管とその周辺地盤との間の固着力よりも小さくなるように設定されたことを特徴とする。
この構成によれば、支柱本体が、地中に埋め込まれる埋設管とその周辺地盤との間の固着力よりも小さい固着力で、埋設管に挿入設置されているので、本発明に係る支柱構造を設置した後、支柱本体に対して上方に所定の引抜き力を作用させることで、埋設管を地中に留めたまま、支柱本体を埋設管から引抜くことが可能になる。これにより、例えば、落石等により支柱本体が損傷した場合に、埋設管を残したまま支柱本体のみを交換することが可能になり、交換作業に掛かるコストや施工期間を低減することができる。また、防護柵の当初の施工時には、埋設管と支柱本体とを分離した状態、すなわち、支柱を短く分解した状態で運搬、搬入することができるので、施工作業が容易である。
請求項2に記載の支柱構造は、請求項1に記載の支柱構造において、
前記充填材と前記埋設管との間、及び/又は、前記充填材と前記支柱本体との間に設けられて、部材間の摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減層を備えたことを特徴する。
この構成によれば、支柱本体と埋設管との間の固着力を簡単な構成によって埋設管と周辺地盤との間の固着力よりも弱いものとすることが可能となる。すなわち、充填材と埋設管との間、及び/又は、充填材と支柱本体との間に摩擦抵抗低減層が設けられることにより、埋設管を地中に留めた状態で、摩擦抵抗低減層の内側に存在する支柱本体を充填材とともに又は単独で埋設管から引抜く際の抵抗力を小さくすることができ、これにより引抜き作業の容易化を図ることができる。
請求項3に記載の支柱構造は、請求項1又は2に記載の支柱構造において、
前記充填材は、経時硬化性を有し、硬化状態で多数の気泡を含有することを特徴とする。
この構成によれば、硬化した充填材が多数の気泡を含有しているため、例えば、支柱本体に振動を与えることで、充填材を簡易に破壊することができる。これにより、埋設管と支柱本体との間の引抜き抵抗を低減して、支柱本体を容易に引抜くことができる。
請求項4に記載の支柱構造は、請求項1~3のいずれか1項に記載の支柱構造において、
前記充填材は、経時硬化性を有し、硬化時の支柱軸方向の圧縮強度が0.1N/mm~3.0N/mmの範囲に設定されたことを特徴とする。
この構成によれば、埋設管と支柱本体の間に充填される充填材の圧縮強度が0.1N/mm~3.0N/mmの範囲と通常のコンクリートの圧縮強度(20N/mm以上)よりも十分に小さく設定されているため、支柱本体に引抜き力を作用させた場合に充填材を比較的小さな力で破壊することができ、これにより、支柱本体を埋設管から容易に引抜くことができる。
請求項5に記載の支柱構造は、請求項1又は2に記載の支柱構造において、
前記充填材は、経時硬化性を有し、硬化状態で弾性を有することを特徴とする。
この構成によれば、支柱本体が落石等によって荷重を受けた場合に、弾性を有する充填材によって支柱に作用する荷重を吸収することができるので、支柱本体の引抜き容易性を確保しつつ、落石等を受けた際の支柱の耐荷重性能も併せて向上させることができる。
請求項6に記載の支柱構造は、請求項1~5のいずれか1項に記載の支柱構造において、
前記埋設管と前記周辺地盤との間に注入され、前記充填材以上の圧縮強度を有する経時硬化性の外部充填材を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、充填材は、一般に圧縮強度が高いほど高密度で単位面積当たりの付着性が高くなり、接触面積が大きいほど付着力が高くるため、支柱本体とその周囲の充填材との接触部に生じる付着力は、単位面積当たりで、埋設管とその周囲の外部充填材との接触部に生じる付着力以下になる。また、支柱本体は埋設管よりも直径が小さいため、支柱本体の外周面と充填材との接触面積は、埋設管の外周面と外部充填材との接触面積よりも小さくなり、これにより、支柱本体と埋設管との間の固着力を埋設管と周辺地盤との間の固着力よりも小さいものとすることができる。
請求項7に記載の支柱構造は、請求項1~6のいずれか1項に記載の支柱構造において、
前記支柱本体の前記埋設管への挿入長さが、前記埋設管の全長よりも短いことを特徴とすることを特徴とする。
この構成によれば、支柱本体の埋設管への挿入長さを埋設管の全長よりも短くすることで、支柱本体と埋設管との間の固着力を埋設管と周辺地盤との間の固着力よりも十分に小さくして、支柱本体をより引抜きやすくすることができる。
請求項8に記載の支柱構造は、請求項1~7のいずれか1項に記載の支柱構造において、
前記埋設管に対して前記支柱本体を着脱可能に固定する固定部材を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、固定部材を用いて埋設管に支柱本体を固定することができるとともに、固定部材による固定を解放することで、埋設管に対して支柱本体をフリーな状態にすることができ、これによって支柱本体と埋設管との間の固着力を埋設管と周辺地盤との間の固着力よりも小さくして、支柱本体を容易に引抜くことができる。
本発明に係る防護柵の支柱構造によれば、埋設管と周辺地盤との間の固着力よりも弱い固着力で支柱本体が埋設管に挿入設置されているため、支柱本体が損傷した場合などに、埋設管を地中に留めたまま、支柱本体を埋設管から引抜く作業を行うことが可能となっている。これにより、交換作業に掛かるコストや施工期間を大幅に低減することができる。また、支柱を構成する埋設管と支柱本体とを分離した状態で運搬、搬入することができる。
本発明の第1の実施形態の支柱構造を有する支柱を用いた防護柵の一部断面正面図である。 支柱構造の要部を示す断面図である。 ブレーキ装置の正面図である。 図2に示す支柱構造のA-A線の断面図である。 図2に示す支柱構造のB-B線の断面図である。 埋設管から支柱本体を取外した状態を示す断面図である。 第2の実施形態の支柱構造の要部を示す図2と同様の断面図である。 埋設管から支柱本体を取外した状態を示す断面図である。 支柱構造の変形例を示す図2と同様の断面図である。 第3の実施形態の支柱構造の要部を示す図2と同様の断面図である。 埋設管から支柱本体を取外した状態を示す断面図である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の支柱構造1を有する支柱20を用いた防護柵10の一部断面正面図である。なお、本発明の説明に用いる各図面は模式図であって、各構成部材の寸法等を厳密に示したものではない。防護柵10は、複数の支柱20と、支柱20の間に張設された防護ネット12(以下、単に「ネット12」と称する)とを備える。なお、図示例では4本の支柱20-1~20-4を記載しているが、支柱20の数はこれに限られず、2本以上であればよい。
防護柵10は、ネット12で落石や崩落土砂等を補足することで被害を防止するものである。支柱20の斜面Sからの高さは、例えば2m~5m、支柱20の地中の深さは、例えば2m~4m、支柱20の間の間隔は、例えば3m~5m、場合によっては5m~10m程度であり、それらは、斜面Sの規模や状況に応じて適宜選択される。
複数の支柱20は、山の斜面Sに所定の間隔をおいて立設されて、1つの支柱列を構成している。支柱列は、山のほぼ同じ高さに設置されてもよいが、各支柱20が高低差をもって設置されていてもよい。図1に示す例では、支柱列の中央領域の斜面Sが沢になっており、中央領域に位置する支柱20-2,20-3が、両端に位置する支柱20-1,20-4よりも低い位置に設置されている。
図1及び図2に示すように、各支柱20は、地中に埋設される埋設管22と、下部が埋設管22に挿入されて、地中から地上まで延びる支柱本体24と、を備える。支柱本体24の埋設管22内への挿入設置は、支柱本体24と埋設管22との間の固着力が、埋設管22とその周辺地盤との間の固着力よりも小さくなるように設定されている。本実施形態では、支柱本体24の埋設管24内への設置構造が、埋設管22と支柱本体24との間に注入された経時硬化性の充填材30と、充填材30と埋設管22との間に設けられ、埋設管22に対する支柱本体24の引抜き抵抗を低減する引抜き抵抗低減部と、を備える。本実施形態において、引抜き抵抗低減部は、部材間の摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減層42で構成されており、この摩擦抵抗低減層42により、支柱本体24と埋設管22との間の固着力を小さくしている。以下、防護柵10を構成する各部材について詳説する。
ネット12は、図1に示すように、網目が菱形の金属線材13からなる金網を用いることができる。この金網は、例えば、特快2016-37773号公報に記載されているように、金属線材13を曲げ加工した複数の三角波状ワイヤを並列状に配置し、これらを編んで形成される菱形金網とすることができる。金属線材13には、軟鋼、硬鋼、 ばね鋼、ステンレス鋼等を用いることができる。金属線材13には必要に応じて被覆処理がなされていてもよく、これにより三角波状ワイヤの接触部分の摩耗や、腐食等を防止することができる。被覆処理としては、例えば、亜鉛メッキ処理やポリエステル被覆処理が挙げられる。
ネット12は、最大変形量を小さくするために、変形量の小さい金属線材13で形成されることが好ましい。このような金属線材13としては、例えば、硬鋼製のワイヤ(単線)、特に、JIS G 3506に規定される硬鋼線材から作製されたワイヤ、硬鋼線(JIS G 3521)、亜鉛めっき鋼線(JIS G 3548)等を用いることができる。ワイヤの引張強度は、例えば800~2500N/mm、好ましくは1000~2000N/mm、特に1500~2000N/mmであることが有利である。ネット12に、このような硬鋼線を用いることにより、剛性が大きく且つ重量の小さいネット12を得ることができる。金属線材13としては、弾性変形性に優れる硬鋼製のワイヤを用いることも好適である。この種の単線金属線材13の太さは、例えば、2mm~10mm、好ましくは2.6mm~4mmである。また、金属線材13は、例えば特開2014-66054号公報に記載されるように、複数の素線を撚ることによって構成された撚線であってもよい。
従来の防護柵のネットに用いられる線材は、軟鋼線、つまり鉄線であり、比較的容易に塑性変形し、ネットのエネルギー吸収量は小さく、ネットの最大変形量は大きい。これに対し、硬鋼線材で構成されるネット12は、軽量ながら剛性が大きいので、ネット12の変形に伴うエネルギー吸収量が大きい。また、硬鋼線材からなるネット12は、落石捕捉時の最大変形量が小さく、支柱20に対する設定張設位置からの変位量も小さい。
なお、ネット12の網目の形状は、菱形に限られず、適宜多角形とすることができる。また、これに代えて、ネット12には、例えば、特開2014-1584号公報に記載されているリング式ネットを用いることもできる。また、ネット12の下端部は、斜面Sにできるだけ接近させ、両者の間の隙間を可及的に小さくするのが望ましい。
本実施形態では、図1に示すように、隣り合う支柱20の上端部の間に横部材14が配置されている。横部材14は、所謂突っ張り棒として作用し、両端の支柱20が互いに接近することを規制する。横部材14の端部と支柱20の上端部とは、図示しない連結構造によって堅固に連結されている。この横部材14は、支柱本体24と同程度の剛性を有することが好ましい。
また、本実施形態では、斜面横方向両端部の支柱20の間に補強ロープ16が架け渡されている。補強ロープ16は、少なくともネット12の上辺部及び下辺部に配設されることが好ましく、本実施形態では上辺部及び下辺部を含む4本の補強ロープ16-1~16-4が配設されている。補強ロープ16としては、例えば高強度のワイヤロープを用いることができる。補強ロープ16の線径は、例えば12mm~30mm程度である。この補強ロープ16は、ネット12に挿通又は連結されてネット12を補強する。また、補強ロープ16は、落石等を捕捉したネット12を支持することで間接的に落石等を支持し、合わせて衝突エネルギーを吸収する。
本実施形態において、補強ロープ16の一方の端部は、係止具17を介して支柱列の一方の端部の支柱20-1に固定され、補強ロープ16の他方の端部は、ブレーキ装置50を介して支柱列の他方の端部の支柱20-4に固定されている。本実施形態では、上下方向に間隔を開けて複数の補強ロープ16が張架されており、これらの補強ロープ16は、ネット12の網目を縫うようにして挿通されている。補強ロープ16の一方の端部には、所定の制動力を伴って補強ロープ16の両固定部間の長さの伸びを許容するブレーキ装置50が設けられている。
図3は、ブレーキ装置50の一例を示しており、ブレーキ装置50を斜面山側から見た正面図である。このブレーキ装置50は、紙面垂直方向に幅を有する金属帯52を中実円柱部材54に巻き掛けて構成され、金属帯52の長手方向の一方の端部、この場合は円柱部材54から短い方の端部に補強ロープ16の端部を連結している。この金属帯52の他方の端部には、ストッパ58が設けられると共に、ストッパ58の手前には、金属帯52の両表面に対をなして突出する緩衝用突起59が2か所に設けられている。また、このブレーキ装置50では、円柱部材54に巻き掛けられている金属帯52の外側に、その金属帯52を比較的緊密に抑える抑え部材56が取付けられており、この抑え部材56が、係止具51を介して、図1の支柱20-4の斜面山側面に固定されている。
このブレーキ装置50では、補強ロープ16に張力が係り、図3の矢印方向に引っ張られると、金属帯52も同方向に引っ張られる。このとき、金属帯52は円柱部材54と抑え部材56で形成される狭い通路内を通過し、その際、円柱部材54に巻き掛かっている部分が移動する。この金属帯52の円柱部材54への巻き掛け部分では、その移動に伴って塑性変形が連続して発生する。この金属帯52の塑性変形は変形抵抗であるから、この変形抵抗に抗して補強ロープ16の両固定部間の長さが伸びる際、ブレーキング作用、つまり制動力が生じ、補強ロープ16に作用する落石の運動エネルギーが大きく吸収される。なお、補強ロープ16の伸び量は、ストッパ58の位置で規制される。ブレーキ装置50は、1本の補強ロープ16に対して複数設けてもよく、かかる場合、各ブレーキ装置50の制動力の大きさを異なる大きさ設定してもよい。
次に、支柱20について説明する。支柱20は、ネット12を張設するために所定間隔をもって設置される。図2は支柱構造1の要部を示す模式的断面図であり、図4は図2のA-A線の断面図、図5は図2のB-B線の断面図である。なお、図5では充填材30の存在領域にドットを付している。支柱20は、埋設管22と、支柱本体24と、経時硬化性の充填材30と、摩擦抵抗低減層42とを備えた支柱構造1を有する。
埋設管22は、地盤となる山の地中に埋設される筒状の管であって、例えば、金属製や樹脂製の管を用いることができる。埋設管22の先端には環状のケーシングトップ23が取付けられている。ここで地盤とは、支柱20を立設可能な土台となるものをいい、山を形成している自然のままの地盤(地山)だけではなく、擁壁等の構造物も含む概念である。埋設管22は、地盤に形成した削孔11内に挿入設置される。本実施形態では、埋設管22として断面円形の鋼管を用いている。埋設管22は、地盤の表面側に位置する表層から、その下に存在する安定地盤である安定地層(深層)まで延びている。図示例の埋設管22は、全体が地中に埋め込まれているが、上端部が地上に突出していてもよい。本実施形態の埋設管22には、周壁に複数の貫通孔21が形成されており、この貫通孔21を介して埋設管22内に注入した充填材30を埋設管22の外部まで注入し、削孔と埋設管22との間を充填材30で充填させることができる。なお、貫通孔21の数は1つ以上であればよい。貫通孔21の断面形状は、例えば円形、四角形等、適宜設定することができる。
支柱本体24は、棒状の部材であって、下部が埋設管22内に所定長さ挿入されて上部が地上に露出する様に設置される。支柱本体24は、落石等の衝撃に耐え得るように剛性の高い材料で構成され、図4に示すように、本実施形態では、断面円形の鋼管25と、鋼管25の内部に挿入されたH形鋼26とにより構成されている。H形鋼26は、板状のウェブ部26Aと、ウェブ部26Aの両端に設けられた一対のフランジ部26B,26Cとを有し、各フランジ部26B,26Cの両側辺が溶接38により鋼管25の内面に結合されている。本実施形態では、鋼管25とH形鋼26とがほぼ同じ長さに設定され、H形鋼26の長さ方向の全部が鋼管25内に挿入された状態となっているが、H形鋼26は、鋼管25よりも長く、H形鋼26の下部が鋼管25よりも下方に延出していてもよい。なお、支柱本体24はこれに限られず、例えば、樹脂製又は金属製の中空管の内部に、コンクリートやゴム等の充填材を充填したものであってもよい。
鋼管25の地上側の外周面には1つ以上の孔29が形成されている。この孔29は、支柱本体24の地上側の領域(以下、支柱本体24の「上部領域」とも称する)であって斜面S近傍に設けられる。本実施形態の支柱構造1では、この孔29を通して支柱本体24の内部に経時硬化性の充填材30を注入することができる。埋設管22の外径D1は、例えば200mm~400mmとすることができる。また、本実施形態では、埋設管22の内径D1と、支柱本体24の外径D2との差が20mm~40mmの範囲となるように設定している。また、埋設管22及び鋼管24の厚みは、それぞれ、例えば5mm~12mmの範囲とすることができる。
図2に示すように、支柱本体24の外周面には、埋設管22の上端縁に当接する一対の突起27が設けられている。突起27は、支柱本体24を設置する際に埋設管22の上端縁に当接して、埋設管22に対する支柱本体24の上下方向の位置を規定するものであり、突起27の数や形状は図示例のものに限られず、適宜設定することが可能である。突起27は、例えば鋼鉄や繊維強化樹脂など、剛性の高い材料で形成されることが好ましく、本実施形態では、突起27を鋼管25に溶接された鋼板で形成している。
また、図5に示すように、本実施形態では、支柱本体24の下部領域において、支柱本体24と埋設管22の間に形成される隙間に、間詰め材28を配置している。間詰め材28は、円弧板状であって、少なくとも斜面山側及び斜面谷側に位置するように、支柱本体24の周方向に間隔をあけて複数配置される。なお、図2では間詰め材28の記載を一部省略している。図5に示す例では、上面視で扇形状の間詰め材28を周方向に間隔をあけて4つ設けているが、数はこれに限られず、同一の高さ位置に周方向に間隔を開けて2つ以上設ける構成であればよい。間詰め材28は、中心角の角度が約60~90度の扇形状に形成されることが好ましい。
この間詰め材28は、例えば、繊維強化樹脂、ポリエチレン、硬質ウレタン樹脂などの樹脂材料で形成することができる。本実施形態において、間詰め部材28は、支柱本体24を構成している鋼材よりも強度が低く、充填材30よりも圧縮強度が高い材料で形成されている。間詰め部材28は、埋設管22の上部開口22aから10cm~20cmの深さの範囲に配置されている。各間詰め材28は、支柱本体24の下部領域を埋設管22に差し込んだ状態で、埋設管22の上部開口22aから挿入することができる。この間詰め材28は、隙間に対して抜き差しが可能となるように、図2に示す上下方向の断面が、下方側に向かって断面積が小さくなる楔状に形成されていることが好ましい。このような間詰め材28を設けることで、埋設管22と支柱本体24との間の隙間を埋めることができ、支柱本体24が埋設管22内で径方向に動くことを抑制することができる。また、埋設管22から支柱本体24を引抜く際には、間詰め材28を上部開口22aから引抜いて隙間を設けることで、支柱本体24を埋設管22から引抜きやすくすることができる。
支柱本体24は、埋設管22に挿入される下部領域の長さが、埋設管22の全長よりも短く設定されており、この下部領域の長さは、埋設管22の全長の2分の1以下であることが好ましく、4分の1以下であることがより好ましい。
充填材30は、経時硬化性を有する材料で構成されており、本実施形態では、支柱本体24と埋設管22との間、及び、埋設管22と周辺地盤との間の隙間をそれぞれ埋めるように、削孔11内を充填している。充填材30は、削孔11内に注入される際に流動性を有し、その後、固体物となる。充填材30としては、例えば、セメントミルク、モルタル等のセメント系グラウト材や、エポキシ樹脂等の樹脂系グラウト材を用いることができる。充填材30は、硬化状態で支柱本体24や間詰め材28よりも軟質の材料で構成することが好ましく、例えば、強度が低くなるように貧配合されたコンクリートや、ベントナイトを主材としたグラウト材等とすることができる。本実施形態では充填材30としてベントナイトを用いている。硬化後の充填材30の圧縮強度は、通常のコンクリートの圧縮強度である20N/mmよりも小さくなるように設定されることが好ましい。
摩擦抵抗低減層42は、部材間の摩擦抵抗を低減するものであり、埋設管22の内周面22bに隣接して設置され、埋設管22の上部開口22aから、少なくとも支柱本体24の下端縁24aの深さまで延びている。摩擦抵抗低減層42は、例えば、埋設管22の内周面22bに非接合状態で接触して配置された、樹脂製又は金属製のシート部材あるいは不織布等で形成することができる。摩擦抵抗低減層42を形成するシート部材は、少なくとも埋設管22と接触する表面が滑面に形成されていることが好ましい。また、摩擦抵抗低減層42を形成するシート部材は、発泡樹脂シートやゴム製シート等、弾性及び/又はクッション性を有する部材であることが好ましい。本実施形態では、摩擦抵抗低減層42として、埋設管22との接触面に平滑なプラスチックフィルムが積層された発泡樹脂シートを用いている。摩擦抵抗低減層42と埋設管22との間に、さらにグリスなどの潤滑剤が塗布されていてもよい。グリスは、摩擦抵抗低減層42の外周面の全面に塗布されることが好ましい。グリスを塗布することで、摩擦抵抗低減層42と埋設管22との間の摩擦抵抗をより低減することができる。
なお、摩擦抵抗低減層42の設置場所は、充填材30と埋設管22との間に限られない。例えば、充填材30と埋設管22との間に加えて、又は、これに代えて、充填材30と支柱本体24との間に、すなわち支柱本体24の外周面に隣接して、摩擦抵抗低減層42を設置してもよい。かかる場合、摩擦抵抗低減層42と支柱本体24との間にグリスを塗布する構成とすることができる。また、かかる場合、間詰め材28は、摩擦抵抗低減層42と埋設管22との間に挿入することができる。
埋設管22と支柱本体24との間に充填材30を注入した場合、充填材30が硬化すると、これに接触した支柱本体24や埋設管22との間に付着力が生じる。本実施形態では、摩擦抵抗低減層42を介在させることで、充填材30と埋設管22の内面とが非付着状態になり、支柱本体24と埋設管22との間の固着力が低くなる。
次に、支柱20を設置する手順について説明する。まず、地盤斜面Sを削孔し、この削孔11内に埋設管22を設置するとともに、埋設管22の内周面22a側に摩擦抵抗低減層42を形成する。なお、摩擦抵抗低減層42は、埋設管22を削孔11内に挿入する前に、地上にて埋設管22の内周面22aに取付けてもよい。この摩擦抵抗低減層42は、例えば埋設管22の上部開口部において粘着テープを用いて埋設管22に貼り付けて位置を固定することができる。使用した粘着テープは、充填材30が注入されて摩擦抵抗低減層42が埋設管22に押付けられた後に取外すことができる。
その後、埋設管22内に支柱本体24の下部領域を挿入する。支柱本体24は、外周に設けられた突起27が埋設管22の上端縁に当接することで、下方への移動が規制される。これにより、支柱本体24の下端は、埋設管22の下端よりも上方に浮いた状態となる。
次に、埋設管22と支柱本体24との間、及び、埋設管22と削孔11との間に液状の充填材30を注入する。本実施形態では、支柱本体24の孔29から支柱本体24内に充填材30を注入する。孔29から支柱本体24を介して埋設管22内に注入された充填材30は、さらに、埋設管22に形成された貫通孔21から埋設管22の外部へ流出し、埋設管22と周辺地盤との間の隙間に注入される。なお、充填材30は、支柱本体24と埋設管22との間の隙間や、埋設管22と削孔11との間の隙間などから、注入することも可能である。充填材30は、削孔11の上端まで充填される。その後、時間の経過によって充填材30が硬化することで、埋設管22と支柱本体24とが固定され、支柱20が完成する。
このように、本実施形態の支柱構造1では、埋設管22と支柱本体24とを現場で一体化させて1本の支柱20にすることができ、防護柵10を施工する際、設置現場までは、埋設管22と支柱本体24とを分離した状態、すなわち、支柱20を短く分解した状態で運搬、搬入することができるため、施工時の作業性に優れている。
また、設置後の支柱20は、埋設管22と支柱本体24との間が硬化物である充填材30によって充填されているので、防護柵10に落石などの衝突が有った際に、支柱20に対して加わる衝撃に対しては防護柵10の倒れる方向へ対抗する強度を備えることができる。
また、間詰め材28により支柱本体24と埋設管22との間の隙間を埋めているので、落石等により支柱本体24に荷重が作用し、充填材30が破壊された場合であっても、支柱本体24が傾くことを抑制することができる。さらに、本実施形態では、摩擦抵抗低減層42が弾性を有する材料で構成されているため、支柱本体24が落石等によって荷重を受けた場合に、摩擦抵抗低減層42によって支柱に作用する荷重を吸収することができ、これにより、落石等を受けた際の支柱20の耐荷重性能を向上することができる。
次に、上述した支柱20において、支柱本体24を取外す方法を説明する。図6に示すように、支柱本体24に対し、図示していない支柱引抜機を用いて、軸方向上方に引抜き力を作用させると、摩擦抵抗低減層42により、埋設管22と摩擦抵抗低減層42との間の摩擦抵抗が低減されているため、埋設管22を地中に留めた状態で、支柱本体24、その周囲の充填材30及び摩擦抵抗低減層42を比較的小さな力で上方へ容易に引抜くことができる。
このように、支柱本体24が、地中に埋め込まれる埋設管22とその周辺地盤との間の固着力よりも小さい固着力で、埋設管22に挿入設置されているので、支柱本体24に対して上方に所定の引抜き力を作用させることで、埋設管22を地中に留めたまま、支柱本体24を埋設管22から引抜くことが可能になる。そのため、落石や崩落土砂等により支柱本体24が折れ曲がる等の損傷を受けた場合に、埋設管22及び支柱本体24のうち、支柱本体24のみを交換することが可能になる。地中に残された埋設管22は、支柱本体24を交換した後も継続して利用することが可能である。これにより、支柱20の交換作業に掛かるコストや施工期間を大幅に低減することができる。
特に、本実施形態では、支柱本体24の外周面と埋設管22との間に摩擦抵抗低減層42を設ける簡易な構成によって、支柱本体24と埋設管22との間の固着力を小さくすることができ、これにより、埋設管22を地中に留めたまま、摩擦抵抗低減層42の内側に存在する支柱本体24及び充填材30を埋設管22から引抜くことができるので、引抜き作業の容易化を図ることができる。
さらに、摩擦抵抗低減層42が、弾性を有する材料で形成されているため、支柱20の設置状態において、支柱本体24が落石等によって荷重を受けた場合に、摩擦抵抗低減層42によって支柱20に作用する荷重を吸収することができ、支柱本体24の引抜き容易性を確保しながら、落石等を受けた際の支柱20の耐荷重性能も併せて向上させることが可能である。
(第2の実施形態)
図7は、支柱構造1の第2の実施形態を示す図2と同様の断面図である。図7において、第1の実施形態と対応する部位には同一符号を付している。以下に説明する第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については詳細な説明を省略する。
本実施形態の支柱構造1では、破擦抵抗低減層42を有しておらず、埋設管22と支柱本体24の間が充填材31(以下、「第1の充填材31」とも称する)で充填されている。この充填材31は、硬化状態で単位面積当たりの圧縮強度の低い低強度充填材であり、その圧縮強度は、例えば、0.1N/mm~3.0N/mmの範囲に設定することができ、より好ましくは0.5N/mm~1.5N/mmの範囲に設定することができる。
支柱本体24の埋設管22への挿入長さは、埋設管の全長よりも短く設定され、本実施形態では、全長の2分の1以下に設定されている。また、埋設管22と周辺地盤との間に注入される外部充填材32(以下、「第2の充填材32」とも称する)は、第1の充填材31以上の圧縮強度を有するように設定され、本実施形態では、圧縮強度が等しくなるように、同一の材料を用いている。
充填材31は、多数の気泡を含有する硬化物で構成されている。このような充填材31としては、例えば、エアモルタルやエアミルク等の気泡を内包したグラウト材、気泡コンクリート等を用いることができる。本実施形態では、充填材31として、多数の独立気泡を含有するエアモルタルを用いている。この充填材31は、セメント、骨材、起泡剤、水等の設計配合を変えることで、単位質量当たりエア量や、圧縮強度を適宜変更することができ、例えば、第2の充填材32の圧縮強度を第1の充填材31よりも大きくする場合、第2の充填材32を第1の充填材31よりも富配合にすればよい。また、充填材31は、多数の気泡を含有したグラウト材に限られず、例えば、ベントナイトを主材としたグラウト材であってもよい。
本実施形態の支柱構造1では、充填材31,32は、圧縮強度が高いほど高密度で単位面積当たりの付着性が高くなり、接触面積が大きいほど付着力が高くるため、支柱本体24と第1の充填材31との接触部に生じる付着力は、単位面積当たりで、埋設管22と第2の充填材32との接触部に生じる付着力以下になる。また、支柱本体24の埋設管24への挿入長さを埋設管22の全長よりも短くすることで、支柱本体24の外周面と第1の充填材31との接触面積を埋設管22の外周面と第2の充填材32との接触面積よりも十分に小さくすることができる。これにより、支柱本体24と埋設管22との間の固着力を埋設管22と周辺地盤との間の固着力よりも小さいものとすることができる。
また、埋設管22と支柱本体24の間に充填される第1の充填材31の圧縮強度が0.1~3N/mmと通常のコンクリートの圧縮強度(20N/mm以上)よりも十分に小さく設定されているため、支柱本体24に引抜き力を作用させた場合に第1の充填材31を比較的小さな力で破壊して付着状態を解消することができ、これにより、支柱本体を埋設管から容易に引抜くことができる。
また、第1の充填材31は、硬化状態で多数の気泡を含有しているため、例えば振動を付与する加振装置によって支柱本体24や第1の充填材31に強制的に継続的な振動を与えることにより、第1の充填材31を簡易に破壊することができる。これにより、埋設管22と支柱本体24との間の引抜き抵抗をより低減し、図8に示すように、支柱本体24を埋設管22と分離させて、埋設管22から容易に引抜くことができる。
なお、第2の実施形態の充填材31を第1の実施形態の充填材30に適用することも可能である。かかる場合には、第1の実施形態において、埋設管22に対する支柱本体24の引抜き力をより小さくして支柱本体24の交換作業をより簡易化することができる。
(変形例)
図9は、支柱構造1の変形例を示す図2と同様の断面図である。この支柱構造1では、支柱本体24の外周面と埋設管22の内周面との間に注入される第1の充填材31と、埋設管22と周辺地盤との間に注入される第2の充填材32とが、設計配合の異なるエアモルタルで形成されており、第1の充填材31は、第2の充填材32よりも圧縮強度が低くなるように設定された低強度充填材となっている。また、埋設管22内において、支柱本体24よりも下方に注入された充填材32は、第2の充填材32と同一の設計配合のエアモルタルで形成されている。以下の説明では、第1の充填材31を低強度充填材31、第2の充填材32を高強度充填材32とも称する。
本変形例において、低強度充填材31及び高強度充填材32は、以下の手順で注入することができる。まず、支柱本体24の下端部の外周に、環状の仕切部材49を取付ける。この仕切部材49は、例えばOリングなど、シール性を有する材料で形成することができる。また、これに代えて、仕切部材49は、支柱本体24と一体化された金属製の環状の突起部であってもよい。仕切部材49は、予め支柱本体24に接着剤等を用いて接合されていてもよいし、支柱本体24の下部領域に非接着状態で装着し、埋設管22に支柱本体24を挿入した後に、支柱本体24の下端部まで押し下げてもよい。
図9に示すように、支柱本体24の下端部に仕切部材49が取付けられた状態で、支柱本体24の孔29から高強度充填材32を注入する。高強度充填材32は、支柱本体24よりも下方側の埋設管22の内部、支柱本体24の内部、及び埋設管22と周辺地盤との間の隙間に充填される。一方、支柱本体24の外周面と埋設管22の内周面との間の隙間には、仕切部材49によって高強度充填材32の充填が阻止され、この領域には、埋設管22の上部開口から低強度充填材31が充填される。
本変形例のように、支柱本体24に仕切部材49を取付けて、埋設管22の内部の上下方向において、支柱本体24の下端より下方側の領域を高強度充填材32で充填し、その上方側の領域(上下方向において支柱本体24が存在する領域)を低強度充填材31で充填することで、埋設管32の固着力を高めながら、支柱本体24を引抜きやすくすることができる。なお、図9に示す変形例において、低強度充填材31は、例えばグリスなど、液状又はゲル状の潤滑剤であってもよい。低強度充填材31として潤滑剤を用いることで支柱本体24の引抜き容易性をより向上させることができる。
なお、図9に示す例では、埋設管22内において、支柱本体24の外周面と埋設管22の内周面との間に形成される隙間にのみ低強度充填材31を充填しているが、これに代えて、埋設管22内を全て低強度充填材31で充填し、埋設管22と周辺地盤との間を高強度充填材32で充填してもよい。このような構造にする場合、埋設管22に貫通孔21を設けずに、埋設管22の内部及び外部のそれぞれに、低強度充填材31及び高強度充填材32のそれぞれを注入すればよい。
(第3の実施形態)
図10は、支柱構造1の第3の実施形態を示す図2と同様の断面図である。図10において、第1の実施形態と対応する部位には同一符号を付している。以下に説明する第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成については詳細な説明を省略する。
本実施形態の支柱構造1は、埋設管22の上部開口部と支柱本体24との間に、埋設管22に対して支柱本体を着脱可能に固定する固定部材44を備えている。また、第2の実施形態の同様に、埋設管22の内部及び埋設管22と周辺地盤との間には、充填材31が充填されている。この充填材31は、第2の実施形態と同様のものを用いることができる。
本実施形態において、固定部材44は、結合管46と、ボルト47と、ナット48とを備える。結合管46は、埋設管22よりも外径の大きい管であり、支柱本体24の地上側下端部と、埋設管22の上端部とを覆うように設置される。この結合管46は、結合管46とともに、その内部の埋設管22及び支柱本体24を貫通するボルト47と、ボルト47に螺合されるナット48とにより、支柱本体24及び埋設管22に固定され、これにより、支柱本体24と埋設管22とが固定・一体化される。
このように、固定部材44で埋設管22と支柱本体24を固定することで、使用時における支柱本体24の強度を高めて、落石等による衝突荷重により支柱本体24が傾倒することを防止することができる。
また、支柱本体24を交換する場合には、ボルト47及びナット48を取外すことにより、固定部材44による埋設管22と支柱本体24の固定状態を簡単に解除することができる。
なお、本実施形態において、支柱本体24と埋設管22との間は、液状又はゲル状である非硬化性の充填材で充填する構成とすることができる。このような非硬化性の充填材としては、例えば、防食作用を有するオイル等を用いることができる。かかる場合、埋設管22と周辺地盤との間は、第1又は第2の実施形態で用いた経時硬化性の充填材30,31を使用することができる。
このように、支柱本体24と埋設管22とを固定部材44のみで固定することで、固定部材44を取外した際に、埋設管22に対して支柱本体24をフリーな状態にすることができる。これによって支柱本体24と埋設管22との間の固着力を埋設管22と周辺地盤との間の固着力よりも小さくして、支柱本体24を容易に引抜くことが可能である。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、各実施形態において、埋設管22と支柱本体24との間に注入される経時硬化性の充填材は、弾性材料で形成されていてもよい。このような充填材としては、例えば、ウレタン樹脂やシリコン樹脂等を用いることができる。このような充填材を用いることで、支柱本体24が衝撃荷重を受けた際に、充填材によって衝撃エネルギーを吸収することができる。かかる場合、埋設管22と周辺地盤との間に注入される充填材(外部充填材)は、硬化状態で非弾性の充填材(例えばモルタル等)であることが好ましい。
10 防護柵
12 ネット
20 支柱
22 埋設管
24 支柱本体
25 鋼管
26 H形鋼
30,31 充填材
42 摩擦抵抗低減層
44 固定部材

Claims (8)

  1. 防護ネットを張設するために所定間隔をもって設置され、地中に埋設される埋設管と、下部が前記埋設管内に所定長さ挿入されて上部が地上に露出する様に設置された支柱本体と、前記埋設管と前記支柱本体との間に注入された充填材と、を備えた支柱構造において、
    前記支柱本体の前記埋設管内への挿入設置は、該支柱本体と前記埋設管との間の固着力が、前記埋設管とその周辺地盤との間の固着力よりも小さくなるように設定されたことを特徴とする防護柵の支柱構造。
  2. 前記充填材と前記埋設管との間、及び/又は、前記充填材と前記支柱本体との間に設けられて、部材間の摩擦抵抗を低減する摩擦抵抗低減層を備えたことを特徴する請求項1に記載の支柱構造。
  3. 前記充填材は、経時硬化性を有し、硬化状態で多数の気泡を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の支柱構造。
  4. 前記充填材は、経時硬化性を有し、硬化時の支柱軸方向の圧縮強度が0.1N/mm~3.0N/mmの範囲に設定されたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の支柱構造。
  5. 前記充填材は、経時硬化性を有し、硬化状態で弾性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の支柱構造。
  6. 前記埋設管と前記周辺地盤との間に注入され、前記充填材以上の圧縮強度を有する経時硬化性の外部充填材を備えたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の支柱構造。
  7. 前記支柱本体の前記埋設管への挿入長さが、前記埋設管の全長よりも短いことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の支柱構造。
  8. 前記埋設管に対して前記支柱本体を着脱可能に固定する固定部材を備えたことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の支柱構造。
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