JP6797241B2 - 電極部材、全固体電池、電極部材用粉末、電極部材の製造方法及び全固体電池の製造方法 - Google Patents

電極部材、全固体電池、電極部材用粉末、電極部材の製造方法及び全固体電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極部材、全固体電池、電極部材用粉末、電極部材の製造方法及び全固体電池の製造方法に関する。
電気自動車や小型電子機器などの電源として全固体電池の利用が注目されている。全固体電池は、従来のリチウムイオン電池などのように可燃性の有機溶媒を含む液体電解質の代わりに固体電解質材料を採用し、電池の構成物品をすべて固体にすることによって、より安全性が高く、大容量で高出力且つ高寿命化が期待できる点で、種々の開発が進んでいる。
例えば、特許文献1(特開2013−149433号公報)には、電極活物質と固体電解質材料との界面に特定の元素を固溶させた全固体電池の例が記載されている。非特許文献1には、固体電解質材料と電極材料との界面に金の層を導入した全固体電池の例が記載されている。
特開2013−149433号公報
「固体電解質Li6.25Al0.25La3Zr2O12/Li負極の界面形成に及ぼす金属薄膜層の効果」、若杉淳吾ら、第57回電池討論会、平成28年11月、p.434
酸化物系固体電解質を用いた全固体電池の作製においては、固体電解質と正極活物質との界面が高抵抗となることが課題となっている。例えば正極活物質の形成のために薄膜プロセスを用いた場合は、薄膜の結晶化のために高温の熱処理プロセスや真空プロセスが必要となる。粉末を用いた場合においても高温の焼結処理が必要となる。
しかしながら、熱処理プロセスを実施することにより、固体電解質と正極活物質界面において物質間の反応や拡散現象が起こることから、意図しない高抵抗層が形成される場合がある。
特許文献1及び非特許文献1に記載された技術は、固体電解質と正極活物質との界面の低抵抗化の観点からは一定の対策が講じられているが、作製方法が複雑であり、作製に要する費用も高価であり未だ検討の余地がある。
そこで、本発明は、従来知られる高温の熱処理プロセスや真空プロセスを必ずしも用いることなく、安価且つ簡易な手法で、室温下で駆動させられる内部抵抗の低い全固体電池を作製することが可能な電極部材、全固体電池、電極部材用粉末、及び電極部材及び全固体電池の製造方法を提供する。
本発明の実施の形態に係る電極部材は一側面において、酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層と、固体電解質層上に配置され、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径が0.12μm以下の粒子の含有率が0.5体積%以上の酸化物系正極活物質からなる微粉末で形成された薄膜状の正極活物質層とを備える電極部材である。
本実施形態に係る正極活物質層においては、酸化物系正極活物質からなる微粉末のみで正極活物質層が形成されるだけでなく、正極活物質層として要求される所望の特性を発現させるために、当業者に周知の材料を微粉末に更に含有させてもよいことは勿論である。例えば、酸化物系正極活物質からなる微粉末に対し、更に電子伝導性を促進する炭素材粉末及び/又は金属粉末を混合する態様、更にリチウムイオン導電助剤として固体電解質粉末を混合する態様、或いは、更に電子伝導性を促進する炭素材粉末と金属粉末とリチウムイオン導電助剤とを混合する態様等が挙げられ、このような態様も本実施形態に含有し得ることは勿論である。また、粉末固化体は単一の正極活物質微粒子によって構成される態様に限られるものではなく、異なる種類の微粒子からなる粉末固化体を単層或いは複数層形成することも可能であることは勿論である。
本発明の実施の形態に係る電極部材は一実施態様において、固体電解質層が、Li1.5Al0.5Ge1.5312、Li0.33La0.55TiO3、Li7La3Zr212(リチウムサイトへのAl又はGa等の置換型、及びジルコニウムサイトへのNb又はTa等の置換型を含む)のいずれかを含み、正極活物質微粉末が、LiCoO2(コバルトサイトへのMg等の置換型を含む)、LiNi0.33Co0.33Mn0.332、LiNi0.5Co0.3Mn0.22、LiNi0.8Co0.1Mn0.12、LiNi0.5Mn1.54、LiNiO2、LiFePO4等のオリビン構造酸化物、Li2CoP27等のピロリン酸金属複合酸化物等、一般的に知られている既知の正極活物質材料の何れを用いてもよい。
本発明の実施の形態に係る電極部材は別の一側面において、酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層と、固体電解質層上に配置され、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径0.20μm以下の粒子の含有率が5質量%以上のLiNi0.5Mn1.54からなる微粉末で形成された薄膜状(バルク状)の正極活物質層とを備える電極部材である。
本発明の実施の形態に係る全固体電池は一側面において、上記電極部材を用いた全固体電池である。
本発明の実施の形態に係る電極部材用粉末は一側面において、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径0.12μm以下の粒子の含有率が0.5体積%以上の酸化物系正極活物質からなり、酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層上に正極活物質層を形成させるための電極部材用粉末である。
本発明の実施の形態に係る電極部材の製造方法は一側面において、酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層上に、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径0.12μm以下の粒子の含有率が0.5体積%以上の酸化物系正極活物質からなる微粉末を堆積させ、固体電解質層上の微粉末の表面に機械的外力を与え、微粉末を互いに密着させて固化させることにより、薄膜状の正極活物質層を固体電解質層上に形成させることを含む電極部材の製造方法である。
本発明の実施の形態に係る電極部材の製造方法は一実施態様において、微粉末の表面に沿って機械的外力を与えることが、微粉末同士または微粉末と固体電解質層との界面に摩擦を生じさせることを含む。
本発明の実施の形態に係る電極部材の製造方法は別の一実施態様において、微粉末の表面に沿って機械的外力を与えることが、微粉末の表面を摩擦部材で擦ることを含む。
本発明の実施の形態に係る全固体電池の製造方法は一側面において、上記固体電解質層の第1主面に形成された正極活物質層上に第1の金属層を成膜することと、固体電解質層の第1主面と対向する第2主面上に第2の金属層を成膜することと、を含む全固体電池の製造方法である。
本発明の実施の形態に係る電極部材は別の一側面において、酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層と、固体電解質層上に配置され、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径が0.12μm以下の粒子の含有率が0.5体積%以上の酸化物系正極活物質からなる微粉末と酸化物系固体電解質からなる粉末との混合物で形成されたバルク状の正極合材層とを備える電極部材である。
本発明の実施の形態に係る電極部材は一実施態様において、酸化物系固体電解質からなる粉末が、Li7La3Zr212(リチウムサイトへのAl又はGaの置換型、及びジルコニウムサイトへのNb又はTaの置換型を含む)、Li1.5Al0.5Ge1.5312、Li3BO3(Li3BO3にLi2SO4、Li2CO3、Li4SiO4なる材料群のうち1種類もしくは2種類以上混合した非晶質状または結晶化ガラスを含む)、Li1.3Al0.3Ti1.7312、Li0.33La0.55TiO3からなる群のいずれか1種以上から選択される。
本発明の実施の形態に係る電極部材は別の一実施態様において、酸化物系固体電解質からなる粉末は、体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)が10μm以下である。
本発明の実施の形態に係る電極部材は更に別の一実施態様において、混合物中に、酸化物系固体電解質からなる粉末が、質量比で25〜99%含有される。
本発明によれば、従来知られるバインダーや有機溶媒を用いた湿式プロセスや高温の熱処理プロセス、真空プロセスを必ずしも用いることなく、安価且つ簡易な手法で室温下における電池駆動を可能とする程の低い内部抵抗を実現した全固体電池を不活性雰囲気下に限定されず、大気雰囲気下に於いてさえも作製可能な電極部材、全固体電池、電極部材用粉末及び電極部材及び全固体電池の製造方法が提供できる。
本発明の実施の形態に係る電極部材の一例を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る固体電解質層の焼結体(LLZ焼結体)の破断面の一例を示す写真である。 本発明の実施の形態に係る電極部材の作製に好適な微粉末の粒度分布の一例を表すグラフである。 固体電解質層1上へ正極活物質層(正極合材層)2を形成させるための微粉末を堆積した状態を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る電極部材の一例を示す電子顕微鏡写真である。 実施例の正極活物質層の担持面をX線回折装置にて測定した場合の回折パターンを表すグラフである。 本発明の実施の形態に係る全固体電池の充放電特性の一例を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係る全固体電池の交流インピーダンス測定結果の一例を示すナイキストプロットグラフである。 本発明の実施の形態の変形例に係る電極部材の一例を示す電子顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態に係る全固体電池の交流インピーダンス測定結果の一例を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係る全固体電池の室温(25℃)における放電レート特性測定結果の一例を示すナイキストプロットグラフである。 実施例4の充放電特性(CV)を表すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置又は製造方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成要素の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態に係る電極部材は、図1に模式的に示すように、酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層1と、固体電解質層1の表面に配置された正極活物質層2とを備える。
固体電解質層1としては、酸化系固体電解質材料からなる固体電解質層1が利用できる。酸化系固体電解質材料としては、例えば、NASICON型結晶構造のLi1.5Al0.5Ge1.5312やペロブスカイト型結晶構造のLi0.33La0.55TiO3、ガーネット型結晶構造のLi7La3Zr212等が用いられる。具体的には、Li1.5Al0.5Ge1.5312、Li0.33La0.55TiO3、Li7La3Zr212(リチウムサイトへのAl又はGa等の置換型、及びジルコニウムサイトへのNb又はTa等の置換型を含む)のいずれかが用いられることが好ましい。
中でも特に、ガーネット型結晶構造のLi7La3Zr212で表される立方晶リチウムランタンジルコニウム酸化物(通称「LLZ」)(リチウムサイトへのAl又はGa等の置換型、及びジルコニウムサイトへのNb又はTa等の置換型を含む)が、リチウムイオンの高い伝導性に加え、他の酸化物系固体電解質と比較すると金属リチウムとの反応性が極めて低くリチウムイオンによるデンドライト形成を回避することができる点、或いは酸化物系固体電解質からなる焼結体基板の表面に直接、リチウム金属層を形成できる点などにおいて固体電解質層1の酸化系固体電解質材料として特に好適に用いられる。
固体電解質層1の破断面の写真を図2に示す。図2に示すように、固体電解質層1は、電子顕微鏡観察に基づく粒径が概ね2〜10μmの結晶粒からなる焼結体であり、結晶粒同士の結び付きにより、より大きな結晶粒へと成長し、結晶粒界界面が不明瞭となっている。本実施形態に係る固体電解質層1の焼結体は、図2に示す通り、緻密な焼結体であり気孔が少ない。以下に限定されるものではないが、固体電解質層1の気孔率は例えば0.1〜5.0%程度である。固体電解質層1の気孔率は、例えば、JIS R1634(1998)に基づいて測定することができる。
本実施形態に係る固体電解質層1、例えばLLZ焼結体を、交流インピーダンス測定した結果、固体電解質層1は、5.0E−4〜2.0E−03(S/cm)程度のイオン電導率を示す。このような固体電解質層1を電極部材の材料として採用することにより、固体電解質層1の粒界抵抗を低くすることができ、イオン電導率を向上させることができる。こうした酸化物系固体電解質基板と以下に述べる正極活物質を組み合わせることで、従来の高温プロセス等を用いることなく、より安価な室温プロセスで電池駆動が可能な全固体電池が得られる。
正極活物質層2に用いられる微粉末としては、具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNi0.33Co0.33Mn0.332、LiNi0.5Co0.3Mn0.22、LiNi0.8Co0.1Mn0.12)、ニッケルマンガン酸リチウム(LiNi0.5Mn1.54)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、鉄リン酸リチウム(LiFePO4)、コバルトリン酸リチウム(Li2CoP27)などが利用可能である。中でも、コバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウムを正極活物質層2の材料として用いることが好ましい。
正極活物質層2は、酸化物系正極活物質からなる微粉末、または、酸化物系正極活物質と酸化物系固体電解質粉末との混合物(以下「正極合材」ともいう)からなる粉末を含む粉体が互いに密着して固化し、薄膜状又はバルク状を有する粉末固化体で構成されている。この粉末固化体は、酸化物系正極活物質または正極合材からなる微粉末を含む粉体の表面上に与えられた機械的外力によって密着して固化し、あたかも焼結体のように、粉末間で粒界の結び付きにより固化し、バルク質となった層を意味するものである。作製にあたっては、固体電解質層1との界面において高温条件(少なくとも500℃以上)を必ずしも必要とするものでなく、例えば室温程度(具体的には約1〜30℃、より具体的には15〜25℃)の低温条件によっても容易に作製することができる。粉末固化体からなる正極活物質層(正極合材層)2の形成方法は後述する。
固体電解質層1上に粉末固化体からなる正極活物質層(正極合材層)2を適切に形成するためには、原料となる微粉末の性状を適切に選択することが特に重要である。本実施形態に係る電極部材では、微粉末が持つ可塑性(微細結晶粒超塑性)と微粉末−固体電解質層界面における力学的接着力(アンカー効果を含む)、化学的接着力、或いは拡散接着力をより適切に得る必要がある。本実施形態に係る粉末固化体を形成させるためにはナノ粒子と呼ばれる100nm未満の超微粉末の比率が高ければ高いほど望ましく、特に、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmである酸化物系正極活物質を原料として用いることがより好ましい。
微粉末の10%粒径(D10)が0.5μmより大きいと、微粉末同士が固体電解質層1上に上手く密着せず、粉末固化体を形成させることができない場合がある。全固体電池の正極活物質層(正極合材層)2としてより適切な粉末固化体を形成するためには、微粉末の平均粒径(D50)は小さければ小さいほど好ましく、0.15μm以下が好ましく、更に好ましくは0.12μm以下、より更に好ましくは0.1μm以下である。微粉末の10%粒径(D10)は以下に限定されるものではないが、取り扱い性等の観点から例えば0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上であるのが好ましい。
微粉末として例えばコバルト酸リチウムを使用する場合には、10%粒径(D10)が0.01〜0.3μm、更には0.01〜0.2μm、更には0.01〜0.17μmの微粉末を用いることが好ましい。微粉末として例えばニッケルマンガン酸リチウムを使用する場合には、10%粒径(D10)が0.01〜0.4μm、更には0.01〜0.35μm、更には0.01〜0.3μmの微粉末を用いることが好ましい。微粉末としてニッケルコバルトマンガン酸リチウムを使用する場合には、10%粒径(D10)が0.01〜0.5μm、更に好ましくは0.01〜0.3μmの微粉末を用いることができる。
微粉末の50%粒径(D50)が1.0μmより大きいと、微粉末同士が上手く密着せず、粉末固化体からなる正極活物質層(正極合材層)2を必要な厚さに形成できない場合がある。微粉末の50%粒径(D50)は小さいほど好ましく、0.8μm以下が好ましく、更に好ましくは0.5μm以下、より更に好ましくは0.3μm以下である。一方、微粉末の50%粒径(D50)の粒径の下限値は以下に限定されるものではないが、例えば0.01μm以上、更には0.05μm以上とすることができ、作業容易性の観点からより好ましくは0.1μm以上である。
図3に正極活物質層(正極合材層)2に用いられる微粉末として好適な微粉末の累積粒度分布の例を示す。図3に示すように、0.01〜1.4μmの範囲において累積粒度分布の50%粒径(D50)が0.01〜1.0μm、更には0.1μm〜1.0μmの範囲にある微粉末を用いることが、作業容易性の観点から特に好ましい。
また、体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)の10%粒径(D10)に対する比(D50/D10)が3以下、より好ましくは2以下である微粉末を用いることが好ましく、90%粒径(D90)の10%粒径(D10)に対する比(D90/D10)が10以下、より好ましくは6以下である微粉末を用いることが好ましい。
このような特性を有する微粉末は本実施形態に係る粉末固化体の形成に大きく寄与すると考えられる粒径約0.12μm又は0.08μm以下の微粉末を所定の割合で含むものであり、本実施形態に係る粉末固化体を適切な厚さに容易に堆積させることができるため特に好適である。
例えば微粉末として好適な例えばコバルト酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウムを使用する場合には、原料中、粒径0.12μm以下の粒子を例えば0.5体積%以上、好ましくは2体積%以上、更に好ましくは5体積%以上含有し、原料中、粒径0.08μm以下の粒子を例えば0.1体積%以上、好ましくは0.5体積%以上、更に好ましくは2体積%以上含有する微粉末を用いることが、粉末固化体を適切且つ容易に形成できる点で好ましい。粒径0.12μm以下の粒子の原料中における組成比の上限は特に限定されず、多いほど好ましい。
一方で、10%粒径(D10)及び50%粒径(D50)が適切な範囲に調整されていたとしても、粒径0.12μm以下の粒子が例えば0.5体積%未満であると、正極活物質層2を少量は形成できるものの、全固体電池の正極活物質層として機能させることができる程度の厚さにまでは堆積できない場合がある。以下に限定されるものではないが、原料中、粒径0.12μm以下の粒子の含有率を好ましくは0.5〜15体積%とすることができ、更には2〜4体積%とすることが好ましい。
ニッケルコバルトマンガン酸リチウムを微粉末として用いた場合には、粒径0.20μm以下の粒子を5体積%以上、好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上含有する材料であってもよい。微粉末に使用する材料の種類によって粉末固化体の形成に好適な粒径範囲は種々異なるが、正極活物質層(正極合材層)2の材料として上記に示した酸化物系正極活物質においては、少なくとも粒径0.12μm以下の粒子を0.5体積%以上含む微粉末であれば好適に利用可能であるといえる。なお、所定の粒径以下の粒子の含有率は上記に限定されるものではなく、その含有率が多くなるほど正極活物質層(正極合材層)2の形成がより効率的に行える。
なお、本実施形態において「粒径」とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径分布の体積基準による累積粒度曲線に基づく粒径をいう。「D10」、「D50」および「D90」とは、累積粒度分布における体積基準のそれぞれ、10%粒径、50%粒径、および90%粒径を示し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒径分布の累積粒度曲線において、その積算量が体積基準でそれぞれ、10%、50%、および90%を占めるときの粒径を示す。
微粉末の粒径は、例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「Microtrac MT−3000」を用いて測定することができ、その測定結果から付属のソフトを利用して体積基準による累積粒度分布を評価することができる。
このような分布を有する微粉末を用いることにより、表面に僅かな機械的外力を与えることによって微粉末同士の力学的接着及び拡散接着が生じ、これにより正極活物質微粉末同士、或いは後述する正極活物質微粉末と酸化物固体電解質粉末とを密着して固着させることができる。このようにして得られた電極部材は固体電解質層1と正極活物質層(正極合材層)2との接着性も良好で、低抵抗な界面を形成できるため、電極部材を用いた全固体電池は室温下で十分に駆動させることが可能である。粒度分布測定は当業者に公知の測定方法を用いることができる。なお、このようにして得られた電極部材に対し、大気雰囲気、不活性雰囲気または酸素雰囲気下で100〜500℃、10秒〜1時間熱処理を行うことで、さらに固体電解質層1と正極活物質層(正極合材層)2との界面を低抵抗化することができる場合がある。
図4の模式図に示すように、本発明の実施の形態に係る電極部材は、固体電解質層1の焼結体の微小な凹凸を有する表面上に上記の微粉末を堆積させ、固体電解質層1の上方から固体電解質層1の内側へ向けて機械的外力を与えることにより、図1に示すように、薄膜状の正極活物質層2が形成される。これは、ナノ粒子(粒径0.1μm以下)及びナノ粒子に近い粒径を持つ粒径0.1μm程度の微粉末の可塑性により、微粉末の表面に圧力を加えただけで、焼結したかのように微粉末が一体化してバルク化する現象を利用したものである。
下記の推察によって本実施形態が限定されることを意図するものではないが、微粉末の持つ膨大な表面エネルギーの解放と、微粉末よりも硬度が高い固体電解質層1に対して、固体電解質層1よりも硬度が低い微粉末を押しつけることによって正極活物質粉末の結合により緻密化が進行し粉末固化体が形成されるとともに、固体電解質層との間にアンカー効果等の接着力により均一かつ強固な界面が形成されて外観上は一定の光沢を有する薄膜状の層(粉末固化体)が形成されるものと推察される。
粉末またはその焼結体に機械的またはその他の外力を加えて薄膜を形成する技術自体は従来から種々知られている。例えば、従来のスパッタ法やPLD(パルスレーザー堆積法)等の真空プロセスやエアロゾルデポジション法とよばれる粉末を高速で噴射し、その運動エネルギーにより基板上に粉末材料からなる薄膜を形成する手法がある。近年はこれら真空プロセスやエアロゾルデポジション法などにより基板上に薄膜を形成して電池駆動を実現させている例もあるが、試験レベルの極小さい面積に対する薄膜形成技術にとどまり、汎用的なリチウムイオン二次電池製品の製造プロセスとしては設備導入及びランニングコストを考えると極めて高コストなプロセスといえる。
一方、本発明の実施の形態に係る電極部材及びこれを用いた全固体電池によれば、固体電解質層1として酸化物系固体電解質の焼結体を使用し、この上に、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μmであり、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μm、粒径0.12μm以下の粒子を0.5体積%以上、更には5体積%以上含む酸化物系正極活物質からなる微粉末が互いに密着して固化した薄膜状の粉末固化体を備えた正極活物質層2が配置される。かかる構成を具備することにより、固体電解質層1と正極活物質層2との接合を、真空プロセスなどによらずに室温下で安価且つ簡易に行うことができる。更に、得られた電極部材に対し、例えば以下に示す手法により全固体電池を作製することによって、得られた全固体電池を室温において電池として駆動させることも可能である。
例えば、上記の電極部材の固体電解質層1の一方の表面である第1主面上に形成された正極活物質層2上に、第1の集電極層として例えば金(Au)などの金属層を成膜する。更に、固体電解質層1の他方の表面であり、第1主面と対向する第2主面上に例えば金属リチウム(Li)などの第2の負極電極層を成膜し、全固体電池を得る。本実施形態によれば、得られた全固体電池の内部抵抗は1000〜5000Ω・cm2(固体電解質層の厚みは0.5mm〜1mm程度の場合)程度と小さくなり、より簡易且つ安価な手法により室温下(25℃)で電池駆動が可能な電極部材、全固体電池及びこれらの製造方法が提供できる。
本発明の実施の形態に係る電極部材及び全固体電池の製造方法について説明する。まず、固体電解質層1を用意し、この固体電解質層1上に体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μmであり、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μm、粒径0.12μm以下の粒子を0.5体積%以上含む酸化物系正極活物質からなる微粉末を堆積させる。微粉末は、固体電解質層1上の表面全体に堆積させる。例えば、固体電解質層1の表面(表面積100mm2)に対して総量で0.05〜10mg程度、好ましくは0.1〜10mg程度、堆積させることが好ましい。
次いで、固体電解質層1上の微粉末の表面に沿って機械的外力を与えることにより、固体電解質層の表面に、微粉末が互いに密着した一定の膜厚を有する粉末固化体を形成させる。
固体電解質層1上の微粉末の表面に沿って機械的外力を与える方法としては、例えば、微粉末の表面全体に所定の圧力を加えることが挙げられる。例えば、微粉末の表面上から10kPa〜500kPa、好ましくは20kPa〜300kPa、更には50kPa〜200kPa程度の圧力を印加することで、微粉末同士を密着させて固化して粉末固化体を形成させるとともに、固体電解質層1と粉末固化体との間の低抵抗な界面を形成することができる。
具体的には、固体電解質層1上の微粉末に摩擦を生じさせるように機械的外力を与えることが好ましい。例えば、微粉末の表面を布又は紙等の摩擦部材で所定の方向に擦る方法がある。摩擦部材としては、紙ウエス、布ウエス、樹脂繊維など様々な材料を用いることができる。微粉末の表面を、布、紙或いは樹脂等からなる摩擦部材で擦る場合において、その擦る方向は特に限定されず、特定の一方向に擦っても、多方向に擦ってもよい。
本発明の実施の形態に係る電極部材及び全固体電池の製造方法によれば、正極化活物質層の作製は高温の熱処理を必ずしも必要としないため、固体電解質層1と正極活物質層2の界面において物質間の反応や拡散現象を抑制でき、意図しない高抵抗層の形成を抑制することができる。その結果、より低抵抗な電極部材を作製することができる。
また、特定の微粉末を使用して微粉末に圧力を加えて固化することで、公知のエアロゾルデポジション(AD)装置などを用いたプロセスに比べてより簡単且つ低コストで、固体電池として駆動できるレベルの電極部材を作製することができる。
(第2の実施の形態)
本発明の別の実施の形態に係る電極部材は、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径が0.12μm以下の粒子を0.5体積%以上含む酸化物系正極活物質からなる微粉末と酸化物系固体電解質からなる粉末との混合物(正極合材)を準備し、この正極合材を固体電解質層1上へ配置して正極合材の表面全体に上述と同様の所定の圧力を加えることで、粉末同士が密着した粉末固化体からなる正極合材層2を形成させることを含む。
酸化物系固体電解質からなる粉末としては、上述のLLZの他に、Li1.5Al0.5Ge1.5312(LAGP)、Li3BO3(LBO)(Li3BO3にLi2SO4、Li2CO3、Li4SiO4なる材料群のうち1種類もしくは2種類以上混合した非晶質状または結晶化ガラスを含む)、Li1.3Al0.3Ti1.7312(LATP)、Li0.33La0.55TiO3(LLTO)からなる群のいずれか1種以上から選択される材料を使用することができ、好ましくは、これら固体電解質材料を1種又は2種利用する。
添加される酸化物系固体電解質からなる粉末の粒度は、体積基準による累積粒度分布における50%粒径(D50)が10μm以下、更には5μm以下であることが好ましい。
混合物中の酸化物系正極活物質からなる微粉末と、酸化物系固体電解質からなる粉末との最適な組成比は、材料の組み合わせによって調整できるが、具体的には、混合物中に酸化物系固体電解質からなる粉末が体積比で25〜99%含有されることが好ましい。
例えば、酸化物系正極活物質からなる微粉末として、LCO(コバルト酸リチウム(LCO))微粉末(株式会社豊島製作所製、10%粒径(D10)0.097μm、50%粒径(D50)0.208μm、90%粒径(D90)0.534μm)を使用し、酸化物系固体電解質からなる粉末として平均粒径(D50)が1.5μmのLAGPを混合して混合物を作製し、この混合物を固体電解質層1上へ配置して正極合材層2を形成させた場合の固体電解質−正極合材層間の界面抵抗は、表1に示すような傾向を示す。
表1に示すように、LCO、LAGPを混合した場合には、混合物中に酸化物系固体電解質からなる粉末であるLAGPが質量比で30〜50%、更には35〜40%混合させることにより、固体電解質との界面抵抗をより小さくすることができる。
混合物を固体電解質層1上へ担持させて正極合材層2を形成するに先立ち、混合物を熱処理することにより、固体電解質層1との界面抵抗が一層低下する場合がある。例えば、LCO:LAGPを75:25質量%の比率で混合した原料を酸素雰囲気下で典型的には300〜400℃、1〜10時間加熱処理することで、固体電解質層1と正極合材層2との界面抵抗を大幅に低減できる場合がある。最適な熱処理条件は、材料の組み合わせにより異なるが、少なくとも熱処理温度は混合した材料がそれぞれ反応を起こす温度以下にする必要がある。例えば、LCC+LLZの場合は、約500℃付近、LCO+LAGPの場合は約400℃付近が材料間での化学反応(分解)を起こさない限界温度であるため、この限界温度以下で熱処理を行う必要がある。
正極活物質微粉末と固体電解質粉末との混合物を用いた正極合材層2を備える電極部材及び全固体電池の作製方法は、上述の酸化物系正極活物質からなる微粉末を単独で用いた場合の作製方法と同様である。
このように、本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。即ち、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
−実施例1−
(電極部材の作製)
アルゴンガス雰囲気のグローブボックス内にてLi7La3Zr212焼結体基板(以降「LLZ基板」という)(サイズ10mm×10mm×0.5mmt)をサンドペーパー(三共理化学(株)製)で両面研磨したのち、焼結体基板の表面にコバルト酸リチウム(LCO)微粉末(株式会社豊島製作所製、10%粒径(D10)0.097μm、50%粒径(D50)0.208μm、90%粒径(D90)0.534μm、粒径0.12μm以下の粒子を11.87体積%含む図3の単峰性分布を有する粒子)50mgをまぶし、その上から紙製ウエス(日本製紙クレシア(株)製)を使ってLLZ基板にこすりつけるように、10kPa〜500kPaの機械的外力を加えることにより正極活物質層を担持させた。マイクロ天秤により形成された正極活物質層の担持重量を計測したところ、予め計測済のLLZ基板重量との差から0.25mgと確認できた。
試料の正極活物質担持面をX線回折装置にて測定したところ、LLZ基板の回折パターンとともにLiCoO2由来の回折パターンが確認された(図6)。また、当該試料の断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、基板上に一定の厚みの膜が形成されていることが観察された(図5)。これらの分析結果よりコバルト酸リチウム微粉末による粉末固化体からなる正極活物質層がLLZ基板上に間違いなく担持されていることが確認された。
(全固体電池の作製)
全固体リチウムイオン二次電池を作製するため以下の操作を行った。上記の正極活物質を担持させた電極部材の正極活物質層側の表面に集電極としてAuをスパッタ装置(サンユー電子製)により成膜した(膜厚0.5μm)。一方、本電極部材のAuを成膜した反対面に対し負極として金属Li膜を抵抗加熱蒸着機により成膜した(膜厚5μm)。
上記リチウムイオン二次電池をビーカーセルに設置しAu集電極面を陽極端子とつなぎ、Li負極面を陰極端子とつないだ上で、ポテンショガルバノスタット装置により各種電気化学測定を行った。CC−CV充電(1C→CV4.2V、2h充電)並びに1C、0.5C、0.2C、0.1C、再度1Cの順番で放電レートを変えながら充放電試験を行った結果、良好な電池駆動が確認された(図7)。充電終了後、インピーダンス測定(上記ポテンショガルバノスタット装置付属の交流インピーダンス測定機器)を行ったところ、全固体電池の内部抵抗は約2kΩであった(図8)。
(微粉末の違いによる電極部材作製への影響)
固体電解質層の材質とその上に担持させる正極活物質層を構成する微粉末の粒径を表2〜表4に示すように変化させて、上述の電極部材の作製方法及び全固体電池の作製方法に従って本実施形態に係る電極部材が作製できるか否かを評価した。表2〜表4中の「含有率」は、マイクロトラック・ベル株式会社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置「Microtrac MT−3000」を用いた体積基準による累積粒度分布の測定結果から求めた。
表2に示すように、10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径0.12μm以下の粒子を0.5体積%以上含む酸化物系正極活物質からなる微粉末を用いた場合は、固体電解質層上に適切に正極活物質層を形成することができた。10%粒径(D10)及び50%粒径(D50)が適切な範囲外で且つ粒径0.12μm以下の粒子を含まない場合(最右欄)は正極活物質層を形成させることができなかった。
表3に示すように、ニッケルマンガン酸微粉末を用いた場合は、10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μm、粒径0.20μm以下の粒子を5体積%以上含む微粉末を用いた場合(左欄)は適切に正極活物質層を形成することができた。微粉末の性状が適切な範囲外である材料(右欄)は正極活物質層を形成することができなかった。
表4に示すように、10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径0.12μm以下の粒子を0.5体積%以上含む酸化物系正極活物質からなる微粉末を用いた場合(左欄)は、固体電解質層上に適切に正極活物質層を形成することができた。微粉末の性状が適切な範囲内に無い場合(右欄)は正極活物質層を形成させることができなかった。
一方で、上述の酸化物系正極活物質の焼結体からなる正極活物質層上に、酸化物固体電解質の微粉末を上述の手順で堆積して摩擦力を加えることにより酸化物固体電解質の固化層を形成しようと試みたところ、正極活物質層上に固体電解質層を作製することができなかった。
−実施例2−
(正極合材の作製)
大気中室温下(25℃)で実施例1と同様のLCO微粉末と、固相合成法により作製したLAGP固体電解質粉末を、LCO:LAGPが質量比で75:25となるように混合し、メノウ乳鉢を用いて10分間攪拌・混合処理を行って混合粉末を得た。得られた混合粉末を大気雰囲気、350℃にて3時間加熱処理を行って、LCOとLAGPの混合物からなる正極合材を得た。
(電極部材の作製)
固体電解質層として、固相合成法にて作製し、相対密度95%以上、10mm角で厚さ1mmのGaドープLLZ(以下「LLZ基板」という)を用意し、このLLZ基板の片面をサンドペーパー(#400)で研磨処理した。不織布に上述の正極合材を適量含ませ、LLZ基板の研磨面に10kPa〜500kPa程度の外圧をかけて約0.3mg担持させた。この正極合材を担持させたLLZ基板を大気雰囲気で350℃、30分間加熱処理を行い、電極部材を作製した。この電極部材の断面を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、基板上に一定の厚みの膜が形成されていることが観察された(図9)。これらの分析結果よりLCO、LAGP混合微粉末で形成された正極合材層がLLZ基板上に間違いなく担持されていることが確認された。
(全固体電池の作製)
加熱処理後、室温まで空冷したLLZ基板の正極活物質層上にスパッタ蒸着によりAuを0.5μm成膜し、LLZ基板のAu蒸着面と反対側の面をサンドペーパー(#1000)で研磨処理した。研磨処理面に金属インジウムシートを圧着させて負極とし、全固体電池を作製した。
−実施例3−
正極合材の組成比率をLCO:LAGP=50:50とした以外は実施例2と同様の方法により全固体電池を作製した。
−実施例4−
正極合材の組成比率をLCO:LAGP=65:35とした以外は実施例2と同様の方法により全固体電池を作製した。
−実施例5−
正極合材の組成比率をLCO:LAGP=55:45とした以外は実施例2と同様の方法により全固体電池を作製した。
(電池特性評価)
実施例2〜5で作製した全固体電池に対し、電気化学測定装置(BioLogic社製VSP−300)にて交流インピーダンス測定を行い、室温下(25℃)での全固体電池の内部抵抗を測定した。結果を図10に示す。図10に示すように、実施例2〜5のいずれも室温下における電池駆動を可能とする程の低い内部抵抗を実現でき、特に、実施例4が最も低い電池内部抵抗を実現することができた。
実施例4で作製した全固体電池に対し、電気化学測定装置(BioLogic社製VSP−300)にて、室温下(25℃)での充放電特性(定電流−定電圧充放電試験、及びサイクリックボルタンメトリー)を測定した。全固体電池の室温(25℃)における放電レート特性測定結果を図11に示し、充放電特性(CV)を図12に示す。放電レート測定においては、一定の充電電流(定電流(50μA/cm2)−定電圧(3.58V 2時間)を組み合わせたCCCV放電)にて異なる放電レートにおける電池容量の変化を調べた。放電は図11中に示す1〜7の順番に行った。
放電時の電流密度を上げるに従って放電容量は減少したが、最大で0.5mA/cm2の放電電流を得た(図11の「4」参照)。同じ25μA/cm2で放電を行った「1」、「4」、「7」において、「4」では「1」とほぼ同等の放電容量を得た。しかしながら「7」では放電容量がやや減少している。これは0.25mA/cm2(「5」)〜0.5mA/cm2(「6」)という比較的大きな電流を経たことで固体電解質層中または正極合材層中、もしくは固体電解質層−正極合材層の界面のいずれか又は複数箇所において何らかの抵抗成分が発生したことが起因していると考察できる。
1 固体電解質層
2 正極活物質層

Claims (3)

  1. 酸化物系固体電解質の焼結体からなる固体電解質層上に、体積基準による累積粒度分布における10%粒径(D10)が0.01μm〜0.5μm、50%粒径(D50)が0.01μm〜1.0μmであり、粒径0.12μm以下の粒子の含有率が0.5〜15体積%の酸化物系正極活物質からなる微粉末を堆積させ、前記微粉末同士または前記微粉末と前記固体電解質層との界面に摩擦を生じさせることにより前記固体電解質層上の前記微粉末の表面に機械的外力を与え、前記微粉末を互いに密着させて固化させることにより、薄膜状の正極活物質層を前記固体電解質層上に形成させることを含む電極部材の製造方法。
  2. 前記微粉末の表面に沿って機械的外力を与えることが、前記微粉末の表面を摩擦部材で擦ることを含む請求項に記載の電極部材の製造方法。
  3. 請求項又はのいずれか1項に記載の固体電解質層の第1主面に形成された正極活物質層上に第1の金属層を成膜することと、
    前記固体電解質層の第1主面と対向する第2主面上に第2の金属層を成膜することとを含む全固体電池の製造方法。
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