以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図4等に示すように、折畳み容器1は、上方に開口する箱状に組立可能な容器本体2と、発泡ポリプロピレンにより構成され、容器本体2に装着される側壁断熱部材51、及び、底壁断熱部材52とを備えている。
容器本体2は、略矩形板状をなす底壁部4と、底壁部4の各長辺部に沿って底壁部4からそれぞれ上方に突出する長辺側土台部5と、底壁部4の各短辺部に沿って底壁部4からそれぞれ上方に突出する短辺側土台部6とを具備する底壁構成部3(図18参照)と、各長辺側土台部5に対してそれぞれ回動可能に設けられた長辺側側壁部7と、各短辺側土台部6に対してそれぞれ回動可能に設けられた短辺側側壁部8とを備えている。底壁構成部3、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8は、非発泡(ソリッド)のポリプロピレンにより構成されている。
また、側壁断熱部材51は、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側に装着され、底壁断熱部材52は、底壁構成部3の上面側に装着されている。尚、本実施形態では、長辺側土台部5が第1土台部を構成し、短辺側土台部6が第2土台部を構成し、長辺側側壁部7が第1側壁部を構成し、短辺側側壁部8が第2側壁部を構成する。
図1〜図3に示すように、長辺側側壁部7及び短辺側側壁部8は、それぞれ長辺側土台部5及び短辺側土台部6の上方に立設される起立位置と、底壁部4の上方に畳まれて、当該底壁部4とほぼ平行して延在する寝かせ位置との間を回動変位可能に構成されている。また、図18等に示すように、長辺側土台部5の底壁部4からの突出長は、短辺側土台部6の底壁部4からの突出長よりも長くなっており、長辺側側壁部7を回動可能に支持するための長辺側軸受部9の形成位置も、短辺側側壁部8を回動可能に支持するための短辺側軸受部10の形成位置よりも上方に位置している。さらに、各短辺側土台部6は、相対する一対の長辺側土台部5の内面同士を連結するようにして設けられている。加えて、図1、図3に示すように、長辺側側壁部7の横幅は、長辺側土台部5の長手方向の長さと同じに構成され、短辺側側壁部8の横幅は、短辺側土台部6の長手方向の長さと同じに構成されている。
このため、本実施形態では、全ての長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8が起立位置とされた組立状態にある折畳み容器1を、全ての長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8が寝かせ位置とされた折畳み状態とする場合に、一対の短辺側側壁部8を先に寝かせ位置へと変位させない限り、長辺側側壁部7を寝かせ位置側に変位させることが不可能になっている(図3参照)。そして、図2に示すように、折畳み容器1が折畳み状態とされた場合には、寝かせ位置とされた短辺側側壁部8が底壁部4の上方に重なる(対面する)とともに、寝かせ位置とされた長辺側側壁部7が短辺側側壁部8の上方に重なるようになっている。尚、図3では、便宜上、紙面手前側の長辺側側壁部7の図示を省略している。
図6、図7等に示すように、各長辺側側壁部7は、組立状態における折畳み容器1の外面(外周面の一部)を構成する略平板状の長辺側ベース板11と、長辺側ベース板11の上辺部に沿って、長辺側ベース板11から内方(組立状態にある折畳み容器1の内周側)に突出して設けられる長辺側上枠部12と、長辺側ベース板11の下辺部から内方に突出する長辺側下辺リブ13と、長辺側下辺リブ13の下面から下方に突出し、長辺側軸受部9に軸支される略T字状の軸部としての長辺側ヒンジ部14と、長辺側ベース板11の側辺部から内方に突出する左右一対の長辺側側辺リブ15と、長辺側側辺リブ15の先端から側方に突出する長辺側サイドリブ16とを備えている。
図7に示すように、長辺側上枠部12は、長辺側ベース板11の上辺部から内方に突出する長辺側上辺リブ17と、長辺側上辺リブ17から下方に所定距離を隔てて設けられた長辺側上枠下段リブ18とを備えている。長辺側上辺リブ17には、長辺側側壁部7の横幅方向の一端部近傍から他端部近傍にかけて、長辺側上辺リブ17のうち内方側の部位が切欠かれるようにして形成された切欠き部19が設けられている。当該切欠き部19が設けられていることにより、長辺側上枠下段リブ18の大部分が上方に露出している。さらに、長辺側上辺リブ17の下面と、長辺側上枠下段リブ18の上面との間を連結する長辺側上枠補強リブ20が設けられている。本実施形態では、長辺側上枠下段リブ18、長辺側下辺リブ13、及び、長辺側側辺リブ15の長辺側ベース板11からの突出長は同じとなっている。
加えて、長辺側側壁部7には、長辺側サイドリブ16の内面の側部から突出する係止壁21が設けられている。各係止壁21には、長辺側側壁部7の横幅方向中央部側に開口する挿入穴部22が、上下に所定間隔を隔てて4つ設けられている。尚、図6に示すように、長辺側側壁部7の両側部を補強するべく、長辺側サイドリブ16の外面と、長辺側側辺リブ15との間を連結するリブ等が設けられている。
また、図7、図11に示すように、各長辺側側辺リブ15と、長辺側上枠下段リブ18との境界部の内角側には、長辺側上枠下段リブ18の先端部から下方に突出する内壁部23が設けられている。各内壁部23は、長辺側ベース板11と略平行して延び、長辺側サイドリブ16と面一となるようにして連結されている。
さらに、本実施形態では、各内壁部23から隣接する長辺側サイドリブ16にかけての範囲において、内壁部23及び長辺側サイドリブ16に対して略コ字状のスリットを形成することによって、当該スリットで囲まれた部位により構成された係止片24と、係止片24の先端部から内方に突出する係止突起25とが設けられている。各係止片24は、長辺側側壁部7の横幅方向中央部側が内壁部23と連結されている。また、図10に示すように、係止片24と、長辺側ベース板11との間においては、長辺側側辺リブ15が省略されている。このため、係止片24は、長辺側側壁部7の厚み方向において弾性変形可能に構成されている。加えて、図11に示すように、係止突起25は、係止片24の先端縁から内方に向けて略直交して突出する係止板26と、係止板26と、係止片24との間を連結する三角板状の係止補強部27とを備えている。
尚、図10に示すように、係止片24と、長辺側ベース板11との間の空間は、側方に開口するように構成されている。その一方で、内壁部23のうち、長辺側側壁部7の横幅方向中央部側の側辺部、及び、下辺部と、長辺側ベース板11との間に関しては、壁部が設けられて閉塞されている。本実施形態では、長辺側ベース板11が外壁部を構成する。
図13、図14等に示すように、各短辺側側壁部8は、組立状態における折畳み容器1の外面(外周面の一部)を構成する略平板状の短辺側ベース板31と、短辺側ベース板31の上辺部に沿って、短辺側ベース板31から内方に突出して設けられる短辺側上枠部32と、短辺側ベース板31の下辺部から内方に突出する短辺側下辺リブ33と、短辺側下辺リブ33の下面から下方に突出し、短辺側軸受部10に軸支される略T字状の軸部としての短辺側ヒンジ部34と、短辺側ベース板31の側辺部から内方に突出する左右一対の短辺側側辺リブ35と、短辺側側辺リブ35の先端から側方に突出する短辺側サイドリブ36と、短辺側サイドリブ36の先端から外方に突出する返しリブ37とを備えている。
図14に示すように、短辺側上枠部32は、短辺側ベース板31の上辺部から内方に突出する短辺側上辺リブ38と、短辺側上辺リブ38から下方に所定距離を隔てて設けられた短辺側上枠下段リブ39とを備えている。また、短辺側上辺リブ38の下面と、長辺側上枠下段リブ18の上面との間を連結する短辺側上枠補強リブ40が設けられている。本実施形態では、短辺側上枠下段リブ39、短辺側下辺リブ33、及び、短辺側側辺リブ35の短辺側ベース板31からの突出長は同じとなっている。加えて、図13に示すように、返しリブ37の短辺側サイドリブ36からの突出長は、短辺側側辺リブ35の短辺側ベース板31からの突出長よりも短くなっている。
また、図13に示すように、短辺側側壁部8には、前記長辺側側壁部7の係止壁21に設けられた挿入穴部22(図3等参照)に対応して、短辺側側壁部8の外面の両側部から突出する挿入突起41が設けられている。各挿入突起41は、返しリブ37の一部を外方に延長させるようにして設けられた挿入基部42と、前記返しリブ37に隣接して短辺側サイドリブ36から外方に延び、挿入基部42のうち短辺側側壁部8の横幅方向中央部側の面に連結される挿入補助部43とを備え、断面略コ字状をなしている。尚、短辺側側壁部8の両側部の強度の向上を図るべく、各挿入補助部43と、短辺側側辺リブ35、及び、短辺側サイドリブ36との間を連結するリブ(短辺側サイドリブ36からの突出長が返しリブ37の突出長と同じ)が設けられている。
そして、図3のように長辺側側壁部7を起立させた後、図1のように短辺側側壁部8を起立させることで、挿入突起41が挿入穴部22に挿入されるとともに、挿入突起41の周辺部(返しリブ37や、挿入補助部43と、短辺側側辺リブ35との間を連結するリブ)が、挿入穴部22の開口周縁部に支持されるようになっている。
さらに、短辺側側壁部8が起立位置とされる直前に、短辺側側壁部8の外面の側辺部(返しリブ37;図13参照)が長辺側側壁部7の係止突起25の係止補強部27(図4、図5参照)と接触するが、係止片24が弾性変形することにより、短辺側側壁部8をそのまま起立位置へと変位させることができる。そして、短辺側側壁部8が係止突起25を越えて起立位置へと変位することで、係止片24が自身の弾性力で元の姿勢に復帰し、係止突起25(係止板26)が短辺側側壁部8(短辺側サイドリブ36)の内面に略当接して、短辺側側壁部8を支持する(短辺側側壁部8の内倒れを防止する)ようになっている。
尚、一対の短辺側土台部6間の距離は、短辺側側壁部8(短辺側ベース板31)の高さ(上下幅)の2倍の長さよりも長くなっている。このため、図3に示すように、一対の短辺側側壁部8の寝かせ位置の高さが揃うようになっている。さらに、一対の長辺側土台部5間の距離は、長辺側側壁部7(長辺側ベース板11)の高さ(上下幅)の2倍の長さよりも若干長くなっている。このため、図2に示すように、一対の長辺側側壁部7の寝かせ位置の高さが揃うようになっている。また、長辺側土台部5の上辺部は、寝かせ位置にある長辺側側壁部7の上面よりも上方に位置している。
さて、本実施形態の長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側には、側壁断熱部材51を収容する側壁断熱収容部53が設けられている。図7に示すように、長辺側側壁部7に関しては、長辺側ベース板11の内面側であって、長辺側上枠部12の長辺側上枠下段リブ18と、長辺側下辺リブ13と、左右一対の長辺側側辺リブ15とで囲まれる領域が、側壁断熱収容部53として構成されている。以下、長辺側側壁部7の側壁断熱収容部53を「長辺側側壁断熱収容部54」とも称し、長辺側側壁断熱収容部54の外周を画定する長辺側上枠下段リブ18、長辺側下辺リブ13、及び、左右一対の長辺側側辺リブ15を「長辺側囲繞リブ55」とも称する。尚、内壁部23と長辺側ベース板11との間の空間と、長辺側側壁断熱収容部54との間は、壁部(長辺側囲繞リブ55の一部を構成する)によって仕切られており、図8に示すように、長辺側側壁部7に装着される側壁断熱部材51(以下、「長辺側側壁断熱部材56」とも称する)は、内壁部23に対応する部位が切欠かれたような形状を成している。
また、図14に示すように、短辺側側壁部8に関しては、短辺側ベース板31の内面側であって、短辺側上枠部32の短辺側上枠下段リブ39と、短辺側下辺リブ33と、左右一対の短辺側側辺リブ35とで囲まれる領域が、側壁断熱収容部53として構成されている。以下、短辺側側壁部8の側壁断熱収容部53を「短辺側側壁断熱収容部57」とも称し、短辺側側壁断熱収容部57の外周を画定する短辺側上枠下段リブ39、短辺側下辺リブ33、及び、左右一対の短辺側側辺リブ35を「短辺側囲繞リブ58」とも称する。さらに、短辺側側壁部8に装着される側壁断熱部材51を「短辺側側壁断熱部材59」とも称する。
加えて、図6、図13に示すように、長辺側ベース板11、及び、短辺側ベース板31は、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の厚み方向に貫通する孔部のない無孔板状に構成されている。つまり、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側に設けられた長辺側側壁断熱収容部54、及び、短辺側側壁断熱収容部57と、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の外面側とが連通するような孔部は形成されないように構成されている。
また、図5、図12、図25、図26に示すように、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の厚み方向における長辺側側壁断熱収容部54、及び、短辺側側壁断熱収容部57の深さ(長辺側囲繞リブ55、及び、短辺側囲繞リブ58の長辺側ベース板11、及び、短辺側ベース板31からの突出長)は、それぞれ長辺側側壁断熱部材56、及び、短辺側側壁断熱部材59の厚みとほぼ同じ、又は、それよりも若干深く(長く)構成されている。つまり、長辺側側壁断熱部材56、及び、短辺側側壁断熱部材59は、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の厚みの範囲に収まるように構成されている。本実施形態では、長辺側側壁断熱部材56、及び、短辺側側壁断熱部材59を長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8に装着した状態のまま、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8を起立位置と寝かせ位置とに変位可能に構成されている。
また、図7、図14に示すように、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側には、長辺側囲繞リブ55、及び、短辺側囲繞リブ58よりも突出長の短い補助リブ60が設けられている。これに対し、図9、図16に示すように、長辺側側壁断熱部材56、及び、短辺側側壁断熱部材59には、補助リブ60が相対的に挿入される補助溝部61が設けられている。
図7、図14に示すように、補助リブ60としては、左右方向に延びるもの、及び、上下方向に延びるものが複数本ずつ存在する。本実施形態では、補助リブ60は、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の上辺部(長辺側上枠部12、及び、短辺側上枠部32)、及び、左右の側辺部(長辺側側辺リブ15、及び、短辺側側辺リブ35)の近傍において、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の中央部や下辺部近傍よりも密に設けられている。
また、上下に延びる補助リブ60には、長辺側下辺リブ13、及び、短辺側下辺リブ33において下面側に長辺側ヒンジ部14、及び、短辺側ヒンジ部34が設けられている部位の上面と連結されているものもある。さらに、長辺側下辺リブ13、及び、短辺側下辺リブ33において下面側に長辺側ヒンジ部14、及び、短辺側ヒンジ部34が設けられている部位のうち、上面側に2本の補助リブ60が連結されていない部位に関しては、補助リブ60の代わりに、長辺側下辺リブ13、及び、短辺側下辺リブ33と、長辺側ベース板11、及び、短辺側ベース板31との間を斜めに連結する補強片62が設けられている。これに対し、図9、図16に示すように、長辺側側壁断熱部材56、及び、短辺側側壁断熱部材59には、補強片62を挿入可能とする挿入溝部63が設けられている。
長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側には、凸状の係止部64が設けられている。図7に示すように、長辺側側壁部7に関しては、係止部64は、長辺側上枠部12に沿って設けられた左右に延びる複数の補助リブ60のうち一番下側の補助リブ60と、上下に延びる複数の補助リブ60のうち長辺側側壁部7の横幅方向中央部に近い左右一対の補助リブ60と、長辺側下辺リブ13と、内壁部23とにそれぞれ設けられている。図14に示すように、短辺側側壁部8に関しては、係止部64は、短辺側上枠部32に沿って設けられた左右に延びる複数の補助リブ60のうち一番下側の補助リブ60と、上下に延びる複数の補助リブ60のうち短辺側側壁部8の横幅方向中央部に近い左右一対の補助リブ60と、短辺側下辺リブ33とにそれぞれ設けられている。
長辺側下辺リブ13、及び、短辺側下辺リブ33の係止部64は、長辺側下辺リブ13、及び、短辺側下辺リブ33の上面のうち先端部(内側端部)から上方に突出し、内壁部23の係止部64は、内壁部23の下辺部から下方に突出している。これに対し、補助リブ60は、上記のように、長辺側囲繞リブ55、及び、短辺側囲繞リブ58よりも突出長が短い。このため、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の厚み方向において、補助リブ60の係止部64と、その他の係止部64との位置を揃えるべく、補助リブ60の係止部64は、補助リブ60の先端部の一部を延長させるようにして設けられた延出部65の先端部に設けられている。
その一方で、図8、図15に示すように、側壁断熱部材51(長辺側側壁断熱部材56、及び、短辺側側壁断熱部材59)には、係止部64と係止される被係止部66が設けられている。より具体的には、側壁断熱部材51には、補助リブ60の係止部64(延出部65)と対応する部位において、側壁断熱部材51の厚み方向に貫通する係止孔67が設けられている。図4、図26等に示すように、側壁断熱部材51の長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8への装着状態においては、延出部65が係止孔67に挿通されるように構成されている。
さらに、長辺側側壁断熱部材56に関しては、図8に示すように、長辺側側壁断熱部材56の内側面において、係止孔67、内壁部23、及び、長辺側下辺リブ13にそれぞれ隣接する位置に設けられた凹部(段差部)により被係止部66が構成されている。また、短辺側側壁断熱部材59に関しては、図15に示すように、短辺側側壁断熱部材59の内側面において、係止孔67、及び、短辺側下辺リブ33にそれぞれ隣接する位置に設けられた凹部(段差部)により被係止部66が構成されている。これにより、係止部64が、側壁断熱収容部53の深さの範囲内に設けられ、かつ、側壁断熱部材51の厚みが側壁断熱収容部53の深さとほぼ同じに構成されていても、係止部64と被係止部66とを確実に係止状態とすることが可能となっている。
また、図示は省略するが、長辺側側壁部7において、係止片24が設けられた内壁部23と、長辺側ベース板11との空間68(図10参照)には、側壁断熱部材51と同様に発泡ポリプロピレンにより構成された間隙断熱部材が装着されている。間隙断熱部材は、前記空間に通じる側方の開口部から圧入されることにより長辺側側壁部7に装着されている。
図18に示すように、底壁構成部3の底壁部4の上面には、格子状の底面リブ71が設けられている。また、各長辺側土台部5は、底壁構成部3の内周側に開口し、長辺側土台部5の厚み方向において土台対応部78を収容する土台断熱収容部72を備えている。さらに、各長辺側土台部5のうち、その長手方向において長辺側軸受部9に対応する部位、及び、長辺側土台部5の長手方向両側部は、土台断熱収容部72が設けられていない内壁残存部73として構成されている。本実施形態の各長辺側土台部5には、長辺側土台部5の長手方向において互いに所定距離を隔てつつ5箇所に長辺側軸受部9が設けられており、各内壁残存部73の間、及び、長辺側土台部5の両側部と、内壁残存部73との間において6箇所に土台断熱収容部72が設けられている。加えて、土台断熱収容部72のうち底壁構成部3の内周側を向く面には、内方に突出し、上下に延びる土台リブ74が設けられている。
また、図19に示すように、底壁構成部3の下面側には、折畳み容器1を床面に設置した場合に床面に当接して支持される内周支持部75と、組立状態にある折畳み容器1同士を図24のように積み重ねた(段積みした)場合に、下側の折畳み容器1の側壁部7、8の上辺部(長辺側上辺リブ17、短辺側上辺リブ38)に当接して支持される外周支持部76とが設けられている。外周支持部76は、底壁構成部3のうち上面側において長辺側土台部5、及び、短辺側土台部6が設けられている範囲に設けられ、外周支持部76よりも底壁構成部3の内周側の部位が内周支持部75として構成されている。このため、内周支持部75は、組立状態にある折畳み容器1を段積みした場合に、下側の折畳み容器1の側壁部7、8の内周側に挿入されるとともに、側壁部7、8の内面(長辺側上枠部12及び短辺側上枠部32の内側端縁等)に当接、又は、近接するように構成されている。
図17、図20、図21に示すように、底壁断熱部材52は、底壁部4の上面側に装着される底壁対応部77と、長辺側土台部5の内面側に装着される土台対応部78とを備え、底壁対応部77と、土台対応部78とが一体的に形成されている。
図21、図22に示すように、底壁対応部77の下面側には、底面リブ71が嵌入する底溝部79が設けられている。また、図20等に示すように、土台対応部78の外面側には、土台リブ74が嵌入する土台溝部80が設けられている。そして、図4等に示すように、底壁対応部77の底溝部79に底面リブ71を挿入させ、土台対応部78の土台溝部80に土台リブ74を挿入させるようにして、底壁対応部77を底壁部4の上方、かつ、長辺側土台部5及び短辺側土台部6で囲まれる領域に設置し、土台対応部78を土台断熱収容部72に収容させることで、底壁断熱部材52が底壁対応部77に装着されている。図4、図17、図26に示すように、長辺側土台部5の厚み方向における土台断熱収容部72の深さは、土台対応部78の厚みよりも深く構成されており、土台対応部78は、基本的に、内壁残存部73よりも底壁構成部3の内周側に突出しないように構成されている。
さらに、本実施形態では、図3、図23に示すように、短辺側側壁部8の両側辺部に対応して設けられた4つの挿入突起41のうち、最も上側に配置され、短辺側側壁部8の側辺部の上端部近傍に設けられた挿入突起41は、短辺側側壁部8が寝かせ位置とされた状態において、5つの長辺側軸受部9のうち、真ん中の長辺側軸受部9の隣の長辺側軸受部9に対応する内壁残存部73と当接又は近接するようにして配置されている。
また、図21、図22に示すように、底壁対応部77と、土台対応部78との連結部分に関し、外周支持部76の上方に配置される土台対応部78の下面は、内周支持部75の上方に配置される底壁対応部77の下面よりも上方、かつ、底壁対応部77の上面よりも下方に位置しており、底壁対応部77の外周面と、土台対応部78の内面とが連結されている。さらに、底壁断熱部材52は、底壁対応部77の外周面を、土台対応部78の下方に対応する部位において、土台対応部78の内面よりも底壁構成部3の外周側に張出させるようにして設けられた下部張出部81(図22の散点模様を付した部位)を備えている。
これに対し、図26に示すように、底壁構成部3は、その上面側において下部張出部81を収容する張出収容部82を備えている。また、図19、図26に示すように、底壁構成部3は、張出収容部82を設けることにより、底壁構成部3の下面側において、内周支持部75から外周支持部76側に突出するようにして副次的に設けられた下部凸部83を備えている。
その一方で、上記のように、本実施形態では、図4、図5等に示すように、長辺側側壁部7の長辺側上枠部12の長辺側上辺リブ17に切欠き部19が設けられることによって、長辺側側壁部7の上辺部と内面との境界部(長辺側上辺リブ17の内方、かつ、長辺側上枠下段リブ18の上方)に凹部(以下、「許容凹部84」と称する)が形成されるような格好となっている。そして、図26に示すように、組立状態にある折畳み容器1を段積みした場合に、上側の折畳み容器1の下部凸部83が、下側の折畳み容器1の許容凹部84に収容されるように構成されている。
また、図17等に示すように、底壁構成部3の外周面のうち各短辺部の中央下部には、それぞれ凹状の持ち手部85が設けられている。さらに、図13等に示すように、各短辺側側壁部8の外面のうち上辺部中央には、介助凹部86が設けられている。図24、図25に示すように、組立状態にある折畳み容器1を段積みした場合には、上側の折畳み容器1の持ち手部85と、下側の折畳み容器1の介助凹部86とが上下に隣接するように構成されている。当該構成により、持ち手部85、及び、介助凹部86の上下幅をそれぞれ短くしても、持ち手部85と、介助凹部86とが連なって、指先を挿入可能な程度の隙間を確保することが可能となる。従って、持ち手部85、及び、介助凹部86を介して、上側の折畳み容器1の底壁構成部3の下面側に指を掛けて上側の折畳み容器1を持ち上げることが可能となる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側に側壁断熱部材51が装着されるとともに、底壁構成部3の上面側に底壁断熱部材52が装着されており、これらの断熱部材51、52が装着された状態のまま、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8を起立位置と寝かせ位置とに変位可能に構成されている。このため、非発泡のポリプロピレンで構成される容器本体2により、折畳み容器1の強度を確保するとともに、発泡ポリプロピレンで構成される側壁断熱部材51、及び、底壁断熱部材52により、折畳み容器1の断熱性・保温性を高めることができる。さらに、側壁部7、8を起立位置と寝かせ位置とに変位可能な折畳み容器1として構成されていることから、物品を収容していない非使用状態においては折畳み状態とすることで、非使用状態おける折畳み容器1の運搬・保管効率を飛躍的に向上させることができる。特に、断熱部材51、52を装着したまま側壁部7、8を寝かせ位置へと変位させることができるため、組立状態にある折畳み容器1を折畳み状態とする場合に、断熱部材51、52を取外すといった作業をしなくても済む。このため、折畳み容器1を組立てたり、折畳んだりする際の作業性の向上を図るとともに、折畳み容器1を折畳み状態で保管する際の折畳み容器1(断熱部材51、52)の管理を比較的容易なものとすることができる。
また、側壁部7、8の内面側に側壁断熱部材51を収容可能な側壁断熱収容部53が設けられている。特に、本実施形態では、側壁部7、8の厚み方向における側壁断熱収容部53の深さが、側壁断熱部材51の厚みよりも深く構成され、側壁部7、8の厚みの範囲内に、側壁断熱部材51の全体が収まるようになっている。このため、側壁部7、8と側壁断熱部材51とを含めた「折畳み容器1の側壁」の厚みを極力薄くすることができる。従って、折畳み容器1の側壁の厚みが厚くなることで、折畳み容器1の外寸が大きくなって、折畳み容器1の運搬・保管効率の低下を招いたり、或いは、折畳み容器1の内容積が小さくなって、物品の運搬・保管効率の低下を招いたりしてしまうといった事態を抑制することができる。
さらに、折畳み容器1の側壁の厚みが極力薄く構成されることにより、側壁部7、8に側壁断熱部材51を装着したままでも、側壁部7、8を比較的スムースに(底壁構成部3や別の側壁部7、8と干渉することなく)寝かせ位置へと変位させることができる上、折畳み状態とされた折畳み容器1の高さを極力低くすることができる。
加えて、側壁断熱収容部53が、側壁部7、8の内面よりも内方に突出しないことによって、折畳み容器1を折畳んだり組み立てたりする作業に際し、組立に際しては先に起立位置とされ、折畳みに際しては後から寝かせ位置とされる長辺側側壁部7の長辺側側壁断熱部材56が、起立位置と寝かせ位置との間を変位する短辺側側壁部8に接触してしまい、長辺側側壁断熱部材56が損傷したり、折畳み、及び、組立ての作業性の低下を招いたりしてしまうといった事態を抑制することができる。
また、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8のうち折畳み容器1の外周面を構成する長辺側ベース板11、及び、短辺側ベース板31は、無孔板状に構成されている。このため、例えば、長辺側側壁断熱収容部54、及び、短辺側側壁断熱収容部57において長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の厚み方向に貫通する孔部が設けられることで、折畳み容器1の側壁の断熱性が低下したり、前記孔部の内周や側壁断熱部材51の裏側に異物が堆積して衛生面が悪化したりするといった事態を回避することができる。
加えて、本実施形態の側壁部7、8は、当該側壁部7、8に厚みを形成するとともに、当該側壁部7、8の強度の向上を図るための各種リブが、長辺側ベース板11、及び、短辺側ベース板31の内面から内方に突出している。つまり、長辺側ベース板11から内方に突出する長辺側上枠下段リブ18、長辺側下辺リブ13、及び、一対の長辺側側辺リブ15により、長辺側側壁断熱収容部54の外周を画定する長辺側囲繞リブ55を構成することができ、短辺側ベース板31から内方に突出する短辺側上枠下段リブ39、短辺側下辺リブ33、及び、一対の短辺側側辺リブ35により、短辺側側壁断熱収容部57の外周を画定する短辺側囲繞リブ58を構成することができる。
さらに、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の内面側には、長辺側囲繞リブ55、及び、短辺側囲繞リブ58よりも突出長の短い補助リブ60が設けられている。これに対し、側壁断熱部材51には、補助リブ60が相対的に挿入される補助溝部61が設けられている。そして、側壁断熱部材51を側壁部7、8に装着することで、側壁断熱部材51が長辺側囲繞リブ55及び短辺側囲繞リブ58の内周側に嵌着され、補助溝部61に補助リブ60が挿入される。従って、長辺側囲繞リブ55、短辺側囲繞リブ58、及び、補助リブ60により、側壁断熱部材51の変位(折畳み容器1の内周側以外の方向への変位)をより確実に防止することができ、側壁断熱部材51をより確実に保持することができる。
また、補助リブ60の突出長が囲繞リブ55、58よりも短く構成されることにより、側壁断熱部材51を補助リブ60において分断させなくても済む。従って、各側壁部7、8に装着される側壁断熱部材51のピースの数を少なくする(本例では、1つのピースとなっている)ことができ、側壁断熱部材51の着脱に際しての作業性の向上等を図ることができる。
加えて、補助リブ60は、側壁部7、8の上辺部、及び、左右の側辺部の近傍において、側壁部7、8の中央部、及び、側壁部7、8の下辺部の近傍よりも密に設けられている。このため、側壁部7、8の変形を効果的に抑制することができ、ひいては、側壁部7、8の変形に伴う側壁断熱部材51の脱落のおそれをより確実に防止することができる。
また、長辺側囲繞リブ55、短辺側囲繞リブ58、及び、補助リブ60は、長辺側ベース板11、及び、短辺側ベース板31の内面から内方に突出して設けられている。これにより、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の外面側に各種リブを設ける必要がなくなることから、長辺側側壁部7、及び、短辺側側壁部8の外面を略平坦面とすることができる。従って、側壁部7、8の外面側に異物が堆積することを抑止したり、側壁部7、8の外面側に設けられるリブが損傷するといった事態を回避したりすることができる。さらに、折畳み容器1の側壁の内面に関しても、側壁断熱部材51が装着されることによって、ほぼ平坦面とすることができ、物品の出し入れに際して物品が側壁部7、8の各種リブに引っ掛かることを防止したり、運搬に際して折畳み容器1が若干傾いた場合に物品を折畳み容器1の側壁で安定して支持したりすることができる。
また、本実施形態によれば、側壁部7、8に設けられた係止部64と、側壁断熱部材51に設けられた被係止部66とを係止させることで、側壁断熱部材51が側壁部7、8に取付けられている。このため、側壁部7、8に対し側壁断熱部材51を比較的容易に着脱させることができ、側壁断熱部材51の着脱作業性の向上を図ることができる。さらに、側壁断熱部材51を比較的容易に着脱させることができることにより、側壁部7、8のうち側壁断熱部材51が装着される部位、及び、側壁断熱部材51の清掃や、通気・乾燥させる等のメンテナンスや、側壁断熱部材51の交換等を比較的容易に行うことができ、衛生面の向上、及び、利便性の向上等を図ることができる。また、側壁断熱部材51の側壁部7、8への固定に接着剤等を用いる必要がないことから、折畳み容器1に食品を収容する場合に、食品を安全に運搬・保管することができる。
さらに、被係止部66は、側壁断熱部材51の内面側に凹部(段差部)を形成することにより構成され、係止部64は、側壁部7、8に装着された側壁断熱部材51の厚みの範囲内に収まるように構成されている。このため、係止部64が側壁断熱部材51の内面よりも折畳み容器1の内周側に突出し、折畳み容器1に収容された物品と接触してしまうといった事態を回避することができる。従って、収容された物品と、係止部64とが接触し、物品及び係止部64が損傷してしまうといった事態を防止することができる。
また、本実施形態によれば、底壁構成部3において、底壁部4の上面側に底壁断熱部材52(底壁対応部77)を装着するだけでなく、底壁部4から上方に突出する長辺側土台部5の内面側に対しても底壁断熱部材52(土台対応部78)を装着することとしている。このため、短辺側土台部6よりも上方に大きく突出する長辺側土台部5において断熱性が低下するといった事態を抑制することができ、折畳み容器1の保温性の向上を図ることができる。
さらに、底壁対応部77と、土台対応部78とが一体的に形成されていることから、例えば、別々で構成される場合に比べ、底壁構成部3に対する底壁断熱部材52の着脱作業性の向上を図ることができる。加えて、折畳み容器1の製造過程で容器本体2に装着される前の底壁断熱部材52を保管する際の管理を比較的容易なものとすることができる。
加えて、底壁対応部77の端部に対して上方に捲れるような力が作用した(例えば、収容されていた物品にくっついて持ち上がる等する)場合には、底壁対応部77と一体的に形成された土台対応部78が、当該土台対応部78の側方に位置する長辺側土台部5や、土台対応部78の上方に位置する長辺側側壁部7の下辺部に当接して支持される。これにより、底壁部4に対して底壁対応部77の上方への変位を規制する係止手段等を設けなくても、底壁対応部77の上方への変位を抑制することができる。また、例えば、底壁部4に対して底壁対応部77の上方への変位を規制する係止手段が設けられ、底壁対応部77に対して前記係止手段に係止される被係止手段が設けられる場合に、折畳み容器1に収容された物品と、前記係止手段とが直接的又は間接的に干渉して損傷したり、底壁断熱部材52の装着に際して、前記係止手段や底壁断熱部材52が損傷したりするといった事態を回避することができる。さらに、底壁構成部3を成形する金型の複雑化を抑制しつつ、底壁構成部3及び底壁断熱部材52の製造作業性の向上を図ることができる。
また、底面リブ71により、底壁構成部3の強度の向上を図ることができる。さらに、底壁断熱部材52の底壁対応部77において底面リブ71が挿入される底溝部79が設けられることにより、底壁構成部3に対する底壁断熱部材52の位置ずれ等をより確実に防止することができる。
また、底壁対応部77と、土台対応部78との連結部分において、底壁対応部77の外周面を土台対応部78の下方に張出させるようにして構成された下部張出部81を設けることにより、前記連結部分の強度を向上させることができ、特に、底壁断熱部材52の底壁構成部3への装着時や、底壁断熱部材52単体での保管時等において前記連結部分の損傷等を防止することができる。
さらに、底壁構成部3には、底壁断熱部材52の下部張出部81の設置を許容するための張出収容部82が設けられるとともに、底壁構成部3の下面側には、底壁構成部3の上面側に張出収容部82が設けられることによって副次的に形成された下部凸部83が設けられている。当該下部凸部83は、内周支持部75から外周支持部76側に突出するようにして設けられており、組立状態における折畳み容器1を段積みした場合に、上側の折畳み容器1の下部凸部83が、下側の折畳み容器1の長辺側側壁部7の上辺部と干渉することが懸念される。
この点、本実施形態では、長辺側側壁部7の上辺部において、組立状態における折畳み容器1の段積み時に、上側の折畳み容器1の下部凸部83を収容する許容凹部84(切欠き部19)が設けられている。従って、組立状態における折畳み容器1を確実に安定して段積みすることができる。
加えて、長辺側土台部5の厚み方向における土台断熱収容部72の深さは、土台対応部78の厚みよりも深く構成され、土台対応部78の全体が、長辺側土台部5の厚みの範囲内に収まるように構成されている。このため、折畳み容器1の折畳みや組立てに際し、変位する短辺側側壁部8が土台対応部78に接触するといった事態を抑制することができる。従って、折畳み容器1の折畳みや組立てに際しての作業性の向上を図るとともに、土台対応部78の損傷を抑制することができる。
また、例えば、折畳み状態にある折畳み容器1を組立て状態とする場合に、長辺側側壁部7を起立位置とさせてから、短辺側側壁部8を起立位置とさせることとなるが、長辺側側壁部7が完全に起立位置とされていない状態で、短辺側側壁部8を起立位置側に変位させる場合、短辺側側壁部8の側辺部の上端部、又は、その近傍部位(本実施形態では、一番上側の挿入突起41)が、長辺側側壁部7の内面側に装着された側壁断熱部材51(長辺側側壁断熱部材56)に接触してしまうことが懸念される。
この点、本実施形態によれば、寝かせ位置にある短辺側側壁部8の側辺部に設けられた挿入突起41のうち一番上側の挿入突起41(以下、「上側の挿入突起41」とも称する)と、長辺側土台部5の長辺側軸受部9の下方に位置する内壁残存部73とが、当接、又は、近接するように構成されている。当該構成により、寝かせ位置にある短辺側側壁部8を起立位置へと変位させる場合、短辺側側壁部8の「上側の挿入突起41」は、内壁残存部73、及び、長辺側軸受部9の側方を通過することになる。このため、例えば、長辺側側壁部7が完全に起立位置になく、若干、内側に傾倒した状態とされている場合に、短辺側側壁部8を起立位置側に変位させると、短辺側側壁部8の「上側の挿入突起41」は、(長辺側軸受部9に連結され、当該長辺側軸受部9から内方に突出するようにして傾いている)長辺側ヒンジ部14に接触することとなる。従って、短辺側側壁部8をそのまま起立位置側に変位させた場合、長辺側側壁部7は、長辺側ヒンジ部14において、短辺側側壁部8(上側の挿入突起41)により、起立位置側に押圧されるような格好となる。そして、短辺側側壁部8の「上側の挿入突起41」が、長辺側側壁部7の長辺側ヒンジ部14の側方を通過する段階では、長辺側側壁部7が完全に起立位置とされることとなる。結果として、折畳み容器1の組立て作業時に、短辺側側壁部8の側辺部の上端部、又は、「上側の挿入突起41」が長辺側側壁断熱部材56に接触するといった事態を回避することができ、長辺側側壁断熱部材56の損傷を防止するとともに、組立て作業性の向上を図ることができる。
尚、例えば、折畳み容器1が折畳み状態にある場合に、或いは、寝かせ位置にある短辺側側壁部8を起立位置とする際に、短辺側側壁部8が一方の長辺側土台部5側に傾倒するようにして変位し得る場合には、短辺側側壁部8の側辺部の上端部、又は、その近傍部位が、底壁断熱部材52の土台対応部78に接触することが懸念される。この点、本実施形態では、当該短辺側側壁部8の傾倒変位を、寝かせ位置にある短辺側側壁部8の側辺部の上端部又はその近傍部位と当接可能に配置された内壁残存部73によって規制することができる。このため、折畳み容器1を組立状態とする際に、寝かせ位置から起立位置側に変位させようとした短辺側側壁部8の側辺部の上端部が、土台対応部78に対し突き刺さるようにして接触する(引っ掛かる)といった事態を防止することができる。また、折畳み状態の折畳み容器1を運搬する際に、折畳み容器1の振動等により、寝かせ位置とされた短辺側側壁部8の側辺部の上端部が土台対応部78に接触するといった事態を防止することができる。従って、折畳み容器1の組立て作業性の向上を図るとともに、土台対応部78の損傷を抑制することができる。
また、本実施形態では、起立位置とされた短辺側側壁部8が内側へ傾倒することを防止する構成(以下、「ロック機構」とも称する)が、長辺側側壁部7に設けられた係止片24及び係止突起25により構成されている。このため、例えば、短辺側側壁部8の外面側に対し、短辺側側壁部8の側辺部から出没するロックバーを具備するようなロック機構を設ける場合に比べ、ロック機構の簡素化、及び、コンパクト化を図ることができる。従って、短辺側側壁部8、及び、長辺側側壁部7のうち、ロック機構を設けるために使用される面積を極力低減させ、その代わりに、側壁断熱部材51が装着される面積を極力広く確保することができる。結果として、断熱性の飛躍的な向上を図ることができる。
さらに、係止片24は、長辺側ベース板11から所定距離内方に離間して長辺側ベース板11と略平行して延びる内壁部23に設けられた略コ字状のスリットで囲まれた部位により構成されている。このため、係止片24の構成の簡素化等を図ることができる。その一方で、内壁部23を貫通するスリットが形成されてしまうことにより、断熱性の低下を招くことが懸念される。これに対し、本実施形態では、内壁部23の外方には長辺側ベース板11が設けられており、スリットと、折畳み容器1の外側空間との間に、内壁部23と長辺側ベース板11とで囲まれる領域(部屋)を形成することができる。従って、折畳み容器1の内側空間と、折畳み容器1の外側空間とが、スリットを介して直接連通してしまうといった事態を回避することができ、断熱性の低下を抑制することができる。また、長辺側ベース板11により係止片24の保護を図ることができる。
特に、本実施形態では、係止片24が設けられた内壁部23と、長辺側ベース板11との空間68には、発泡ポリプロピレンにより構成される間隙断熱部材が装着されている。このため、内壁部23と長辺側ベース板11とで囲まれる領域の断熱性を飛躍的に向上させることができ、係止片24を設けることで、その周辺部における断熱性が低下するといった懸念を払拭することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では特に言及していないが、折畳み容器1は、図2に示すような折畳み状態においても段積みすることが可能に構成されている。折畳み状態にある折畳み容器1を段積みした場合、上側の折畳み容器1の外周支持部76(図19参照)が、下側の折畳み容器1の長辺側土台部5の上面に当接して支持されるとともに、上側の折畳み容器1の内周支持部75が、下側の折畳み容器1の一対の長辺側土台部5の間、かつ、寝かせ位置にある長辺側側壁部7の上方の空間に配置される。このとき、上側の折畳み容器1の下部凸部83が、下側の折畳み容器1の土台断熱収容部72に挿入されることとなる。
従って、底壁断熱部材52の土台対応部78が、土台断熱収容部72の上端部近傍にまで収容されるような構成としてしまうと、上記のような折畳み状態にある折畳み容器1の段積みが阻害されてしまうとともに、下側の折畳み容器1の土台対応部78が、上側の折畳み容器1の下部凸部83によって押し潰され、塑性変形等してしまうことが懸念される。
この点、図2、図17に示すように、底壁断熱部材52の土台対応部78の上辺部が、長辺側土台部5の上辺部(土台断熱収容部72の上端部)よりも下方に位置するように構成することで、上側の折畳み容器1の下部凸部83と、下側の折畳み容器1の土台対応部78との干渉を回避することが可能となる。
但し、土台断熱収容部72において土台対応部78の上方に隙間を形成してしまうと、図4、図26に示すように、折畳み容器1を組立状態とした場合に、土台対応部78(の上辺部)と、長辺側側壁部7(の下辺部)との間に隙間が形成され、当該隙間において断熱性が低下してしまうことが懸念される。
これに対し、例えば、図27〜図29に示すように、長辺側側壁部7の下辺部から下方に膨出し、長辺側側壁部7が起立位置とされた場合に、長辺側土台部5の土台断熱収容部72(長辺側土台部5の上辺部よりも下方かつ土台対応部78の上方の範囲)に挿入される隙間塞ぎ突部91を設けることとしてもよい。さらに、この場合、図27、図28、図30に示すように、側壁断熱部材51(長辺側側壁断熱部材56)には、隙間塞ぎ突部91の内側に挿入される膨出部92を設けることとする。このような構成を採用することで、折畳み容器1の組立状態において、底壁断熱部材52の土台対応部78と、側壁断熱部材51(膨出部92)とをより近接させることができ、底壁断熱部材52と、側壁断熱部材51との間の断熱部材が設けられていない部位からの熱損失が大きくなってしまうといった事態を抑制することができる。
(b)上記実施形態では特に言及していないが、折畳み容器1に蓋部材を被せて、折畳み容器1の上方の開口部を閉塞可能としてもよい。また、蓋部材は、平面視略矩形状の蓋本体と、蓋本体の下面側に装着される蓋断熱部材とを備えることとしてもよい。例えば、蓋本体は、組立状態にある折畳み容器1に被せた場合に、側壁部7、8の上辺部に当接して支持される蓋下面外周部と、組立状態にある折畳み容器1に被せた場合に、側壁部7、8の内周側に挿入されるとともに、側壁部7、8の内面に当接、又は、近接する蓋下面内周部とを備えることとしてもよい。また、蓋下面内周部において、蓋断熱部材を収容可能な蓋断熱収容部を設け、蓋部材を組立状態にある折畳み容器1に被せた場合に、蓋断熱部材の下面が、側壁部7、8の上辺部、さらには、側壁断熱部材51の上辺部よりも下方に位置するように構成してもよい。この場合、側壁断熱部材51と、蓋断熱部材とを極力近接させることができ、断熱部材が設けられていない部位からの熱損失が大きくなってしまうといった事態を抑制することができる。
尚、蓋下面内周部は、蓋断熱収容部の外周を画定する蓋囲繞部と、蓋囲繞部の内周側に設けられ、蓋囲繞部よりも下方への突出長の短い蓋補助リブと、凸状の蓋係止部とを備え、蓋断熱部材は、蓋補助リブが挿入される蓋溝部と、蓋係止部と係止される蓋被係止部とを備えていることとしてもよい。蓋囲繞部により蓋断熱部材の保護を図ることができ、例えば、折畳み容器1と蓋部材とが水平方向に位置ずれするような力が作用した場合に蓋断熱部材が損傷してしまうといった事態を防止することができる。また、蓋部材の着脱に際して、例えば、側壁断熱部材51と、蓋断熱部材とが摺接するような構成に比べ、作業性の向上を図るとともに、蓋断熱部材の損傷を抑制することができる。
また、蓋部材を被せた状態の折畳み容器1同士を段積み可能(蓋部材の上面側に対し、容器本体2の内周支持部75、及び、下部凸部83を収容可能な蓋凹部を設ける)に構成してもよいし、蓋部材同士を段積み可能としてもよいし、折畳み状態にある折畳み容器1に蓋部材を位置ずれなく重ねることができるように(蓋部材の下面側に対し、底壁構成部3の下部凸部83のように、土台断熱収容部72の上部に挿入される部位を設ける)構成してもよい。
尚、蓋部材の構成は特に限定されるものではなく、適宜設計可能である。さらに、蓋部材の外周面のうち、折畳み容器1に被せた状態において短辺側側壁部8の介助凹部86の上方に隣接する部位に対して持ち手凹部を設けることとしてもよい。この場合、介助凹部86及び持ち手凹部の上下幅をそれぞれ短くしても、介助凹部86と、持ち手凹部とが連なって、指先を挿入可能な程度の隙間を確保することが可能となる。従って、介助凹部86及び持ち手凹部を介して、蓋部材の下面側に指を掛けて蓋部材を持ち上げることが可能となる。
(c)上記実施形態では、一対の短辺側側壁部8が底壁構成部3の上方に寝かせ位置とされた後、当該寝かせ位置とされた一対の短辺側側壁部8の上方に対し一対の長辺側側壁部7を寝かせ位置することが可能に構成されているが、先に一対の長辺側側壁部7を底壁構成部3の上方に寝かせ位置とした後、一対の短辺側側壁部8を寝かせ位置とすることができるように構成してもよい。また、上記実施形態では、折畳み容器1の折畳み状態において、短辺側側壁部8同士が上下に重なったり、長辺側側壁部7同士が上下に重なったりすることのないように構成されているが、重なるように構成してもよい。
(d)上記実施形態では、側壁断熱部材51の厚みが、側壁断熱収容部53の深さとほぼ同じ(若干薄い)であり、側壁断熱部材51の厚み全体が側壁部7、8の厚みに収まるように構成されているが、側壁断熱部材51の厚みを側壁断熱収容部53の深さよりも厚くしたり、薄くしたりしてもよい。この場合にも、断熱性を極力向上させ、かつ、折畳み容器1の側壁の厚みを極力薄くすることができる。但し、側壁断熱部材51の厚みと、側壁断熱収容部53の深さとをほぼ同じとすることで、かかる作用効果がより一層奏される上、側壁断熱部材51の全体が側壁断熱収容部53の内側に収まることで、側壁断熱部材51の損傷をより一層抑制することができる。
(e)上記実施形態では、側壁部7、8に対し側壁断熱部材51が、係止部64と被係止部66とを係止させることにより取付けられているが、その他の方法で取付けることとしてもよい。例えば、側壁部7、8に設けられた係止手段と係止可能な被係止手段を備えた(例えば、傘状やバンド状の)取付部材を側壁部7、8に取付けることで、側壁部7、8と、取付部材との間に側壁断熱部材51が挟持固定されるように構成してもよい。また、接着剤を用いて、側壁部7、8と側壁断熱部材51とを固定してもよい。
加えて、上記実施形態では、側壁断熱部材51の内面側に凹部が形成されることにより被係止部66が設けられているが、凹部を省略することとしてもよい。この場合、係止部64が側壁断熱部材51を圧縮して側壁断熱部材51にめり込むような格好で係止されることとなる。尚、側壁部7、8の厚み方向において、係止部64の係止面が側壁断熱部材51の内面と同じ位置となるように構成することも可能であるが、係止部64が側壁断熱部材51の内面や側壁部7、8の内面よりも折畳み容器1の内周側に突出する場合、折畳み容器1に収容された物品と、係止部64とが接触して、物品及び係止部64が損傷するおそれが高まることから、係止部64は、側壁断熱部材51の厚みの範囲、かつ、側壁断熱収容部53の内側に収めることが望ましい。
尚、側壁断熱部材51には、補助リブ60と係止部64との間を連結する延出部65を挿通させるための係止孔67(開口)が設けられているが、係止孔67の代わりにスリットを設けることとしてもよい。この場合、スリットを押し広げるようにして延出部65が挿通され、係止部64が被係止部66に係止されることとなる。
(f)上記実施形態では、短辺側側壁部8の内倒れを防止するための構成(ロック機構)として、長辺側側壁部7に対し、係止片24、及び、係止突起25が設けられているが、ロック機構の構成は特に限定されるものではなく、適宜設計可能である。但し、ロック機構の設置に要する面積を極力小さくし、側壁断熱部材51を設置可能な面積を極力大きく確保することが望ましい。
また、係止片24が設けられた内壁部23と、長辺側ベース壁11との間の空間68に装着される間隙断熱部材に関し、係止片24が変位し得る部位に対応して凹部を設けることとしてもよいし、側壁断熱部材51、及び、底壁断熱部材52よりも柔らかい素材により構成してもよい。尚、間隙断熱部材を省略することも可能である。
(g)上記実施形態では、底壁構成部3において短辺側土台部6の底壁部4からの突出長が短いことから、短辺側土台部6には底壁断熱部材52が設けられていない構成とされているが、短辺側土台部6の突出長がより長く構成される場合(例えば、寝かせ位置にある短辺側側壁部8同士が上下に重ねられるような構成)には、短辺側土台部6にも土台断熱収容部72を設けて、底壁断熱部材52(土台対応部78)を装着することとしてもよい。
また、長辺側土台部5のうち長辺側軸受部9の下方部位に対しても、断熱部材を装着するように構成してもよい。例えば、内壁残存部73に凹部を設けるような格好で長辺側軸受部9の下方部位にも土台断熱収容部を設けるとともに、当該土台断熱収容部に収容される断熱部材を、上記実施形態の底壁対応部77、及び、土台対応部78の少なくとも一方に連結するようにして設けることとしてもよい。また、例えば、上記実施形態の内壁残存部73と、長辺側土台部5の外壁との間の空間に対し、底壁構成部3の下面側から別部材の断熱部材を挿入する等して、長辺側軸受部9の下方部位にも断熱部材を装着することとしてもよい。
尚、上記実施形態では、底壁構成部3の上面側に底壁断熱部材52が装着されているが、例えば、断熱部材の上に折畳み容器1を載置して運搬等を行うことを想定している場合において、底壁断熱部材52の装着されない折畳み容器1に具体化することも可能である。
(h)上記実施形態では、容器本体2はソリッドのポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。また、側壁断熱部材51、及び、底壁断熱部材52は、発泡ポリプロピレンにより構成されているが、発泡ポリエチレン、発泡スチロール、発泡ポリウレタン等その他の発泡樹脂材料により構成されることとしてもよい。