JP6794693B2 - 誘導電動機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、誘導電動機ベクトル制御時の二次抵抗値の補償方法に係り、特に力行回生の4象限運転をする際の二次抵抗値の補償方法に関する。
誘導電動機のベクトル制御では、電動機実パラメータである一次抵抗Rs,二次抵抗Rr,一次漏れインダクタンスls,二次漏れインダクタンスlr,相互インダクタンスMが制御設定値である一次抵抗設定値Rsc,二次抵抗設定値Rrc,一次漏れインダクタンス設定値lsc,二次漏れインダクタンス設定値lrc,相互インダクタンス設定値Mcに誤差があると、ベクトル制御性能の悪化が生じる。
ベクトル制御性能が悪化した状態での誘導電動機の運転は、トルク制御を行う用途においてトルク誤差が生じるため好ましくない。特に、二次抵抗Rrの変動はすべり周波数型ベクトル制御を行う際に、ベクトル軸のずれ(軸ずれ)に直結するため望ましくない。しかし、二次抵抗Rrなどの実パラメータは運転温度等により変化するため、計測が困難である。
そこで、運転中の二次抵抗補償法が多数提案されている。しかし、補償方式として電流予測値と電流検出値の誤差である電流誤差を用いる場合に、回生運転で二次抵抗補償値が不安定となることが非特許文献1に示されている。実際の誘導電動機の運転では、力行回生の4象限で運転する場合もあるため、回生領域でも安定して二次抵抗補償を行う方式が必要となる。
下記先行技術文献は、回生時においても安定的な電動機駆動を実現することを目的とする技術である。
(特許文献1)
[課題]状態推定器に用いる定数を変化させることなく温度変動や定数設定誤差による制御劣化を抑制し、電動機の回生状態におけるベクトル状態を考慮し、回生時においても安定的な電動機駆動を実現できるようにする。
[解決手段]電流誤差の状態と回転子角速度および電流指令から、電圧指令を補正する。回転子角速度と電流指令(トルク電流指令相当)から力行か回生かを判別し、回生の場合は推定に用いている内積値に−1を乗じる。この値を基にインバータ電圧指令を補償することで、一次抵抗値に誤差が生じても安定した補償が可能である。また、力行回生の閾値は回転数とトルクやすべりから判定し、回生の場合には−1を乗じている。
(特許文献2)
[課題]モータパラメータの設定誤差に対しロバストな制御を実現する。
[解決手段]電圧指令をd軸電流誤差に基づき、一次電流ベクトルの方向または検出一次電流ベクトルの方向へ比例補償を行う。設定誤差やd軸電流誤差は負荷トルクの状態によって変動するが、負荷トルクの検出は困難であるため、d軸電流誤差を利用した比例項のみの補償としている。
したがって、電圧補正は完全な補正とならないので、別途d軸電流誤差を用いて二次磁束軸とd軸との誤差量も補正している。
WO2009/041157 特開2009−195106号公報
「誘導電動機パラメータ適応二次磁束オブザーバの提案とその安定性」久保田・松瀬,電気学会D部門論文誌,Vol.111,No3,p188(1991) 「適応二次磁束オブザーバを用いたベクトル制御誘導電動機系の安定性に関する一考察」杉本・丁,電気学会D部門論文誌,Vol.119,No10,p1212(1999)
前述した先行技術は両方式共に、誘導電動機を力行回生の4象限運転を行う際における設定誤差や温度変化による誘導電動機パラメータのずれを補償する方式である。特に一次抵抗を補償することで、低速域でも所望の制御精度を得ることができる方式となっている。
しかし、一般的なすべり周波数型ベクトル制御を行う場合には、すべり周波数をγδ軸電流検出値と誘導電動機の二次時定数τr(=Lr/Rr)から推定する。しかし、二次抵抗の実際の値(Rr)を計測することが困難であるため、実際には設定二次時定数τrc(=Lrc/Rrc)を用いることがほとんどである。
運転中に誘導電動機の温度変化等が生じる場合には、一次抵抗Rsの変動と合わせて、二次抵抗Rrも同様に変動する。そのような場合には、設定二次時定数τrcが二次時定数τrの真値と誤差を持ってしまい所望の制御性能を得られないことが予測される。
なお、文章中の二次自己インダクタンスLrは漏れインダクタンスlr+相互インダクタンスMで求める。一次自己インダクタンスLsも同様にLs=ls+Mで求める。
以上示したように、誘導電動機の制御装置において、力行動作と回生動作のそれぞれについて、二次時定数推定値の誤差を低減し、安定したトルク制御を行うことが課題となる。
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、γ軸電流指令値とγ軸電流検出値との偏差,δ軸電流指令値とδ軸電流検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧指令値とδ軸電圧指令値とを出力する電流制御部と、前記γ軸電圧指令値と前記δ軸電圧指令値とを三相電圧指令値に変換する第1座標変換部と、前記三相電圧指令値に応じた電圧を出力するインバータと、前記インバータが出力した電圧により駆動する誘導電動機と、前記三相のインバータ出力電流を前記γ軸電流検出値,前記δ軸電流検出値に変換する第2座標変換部と、前記γ軸電流検出値と、前記δ軸電流検出値と、γ軸電流推定値と前記γ軸電流検出値との差分であるγ軸電流誤差と、δ軸電流推定値と前記δ軸電流検出値との差分であるδ軸電流誤差と、トルク指令値と回転数検出器との積が0以下の場合は0、0より大きい場合は1とする力行回生判別フラグと、に基づいて、二次時定数推定値を演算する二次時定数推定部と、前記二次時定数推定値に基づいて、すべり角周波数と電気角を演算するすべり演算・電気角演算部と、を備えたことを特徴とする。
また、その一態様として、前記二次時定数推定部において、以下の(9)式〜(12)式により、一次時定数推定値と前記二次時定数推定値を演算することを特徴とする。
Figure 0006794693
また、その一態様として、前記二次時定数推定部において、以下の(5)式〜(6)式により、γ軸電流誤差とδ軸電流誤差を演算することを特徴とする。
Figure 0006794693
Figure 0006794693
また、他の態様として、γ軸電流指令値とγ軸電流検出値との偏差,δ軸電流指令値とδ軸電流検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧指令値とδ軸電圧指令値とを出力する電流制御部と、前記γ軸電圧指令値と前記δ軸電圧指令値とを三相電圧指令値に変換する第1座標変換部と、前記三相電圧指令値に応じた電圧を出力するインバータと、前記インバータが出力した電圧により駆動する誘導電動機と、前記三相のインバータ出力電流を前記γ軸電流検出値,前記δ軸電流検出値に変換する第2座標変換部と、予め求めた、回転数検出値とトルク指令値に対する第1の安定範囲と第2の安定範囲と第3の安定範囲を格納し、回転数検出値とトルク指令値が第1の安定範囲内であれば切替フラグを1,第1の安定範囲外で第2の安定範囲内であれば切替フラグを2,第1と第2の安定範囲外で第3の安定範囲内であれば切替フラグを3として切替フラグを出力する時定数推定式切換判別部と、前記切替フラグが1の場合は(14)式、前記切替フラグが2の場合は(15)式、前記切替フラグが3の場合は(16)式を選択し、選択した演算式により、前記γ軸電流検出値と、前記δ軸電流検出値と、γ軸電流推定値と前記γ軸電流検出値との差分であるγ軸電流誤差と、δ軸電流推定値と前記δ軸電流検出値との差分であるδ軸電流誤差に基づいて、二次時定数推定値を演算する二次時定数推定部と、前記二次時定数推定値に基づいて、電気角を演算するすべり演算・電気角演算部と、を備えたことを特徴とする。
Figure 0006794693
Figure 0006794693
また、その一態様として、γ軸電流指令値とγ軸電流検出値との偏差,δ軸電流指令値とδ軸電流検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧指令値とδ軸電圧指令値とを出力する電流制御部と、前記γ軸電圧指令値と前記δ軸電圧指令値とを三相電圧指令値に変換する第1座標変換部と、前記三相電圧指令値に応じた電圧を出力するインバータと、前記インバータが出力した電圧により駆動する誘導電動機と、前記三相のインバータ出力電流を前記γ軸電流検出値,前記δ軸電流検出値に変換する第2座標変換部と、予め求めた、すべり角周波数とトルク指令値に対する第1の安定範囲と第2の安定範囲と第3の安定範囲を格納し、すべり角周波数とトルク指令値が第1の安定範囲内であれば切替フラグを1,第1の安定範囲外で第2の安定範囲内であれば切替フラグを2,第1と第2の安定範囲外で第3の安定範囲内であれば切替フラグを3として、切替フラグを出力する時定数推定式切換判別部と、前記切替フラグが1の場合は(14)式、前記切替フラグが2の場合は(15)式、前記切替フラグが3の場合は(16)式を選択し、選択した演算式により、前記γ軸電流検出値と、前記δ軸電流検出値と、γ軸電流推定値と前記γ軸電流検出値との差分であるγ軸電流誤差と、δ軸電流推定値と前記δ軸電流検出値との差分であるδ軸電流誤差に基づいて、二次時定数推定値を演算する二次時定数推定部と、前記二次時定数推定値に基づいて、電気角を演算するすべり演算・電気角演算部と、を備えたことを特徴とする。
Figure 0006794693
Figure 0006794693
また、その一態様として、前記二次時定数推定部において、以下の(5)式〜(6)式により、γ軸電流誤差とδ軸電流誤差を演算することを特徴とする。
Figure 0006794693
Figure 0006794693
本発明によれば、誘導電動機の制御装置において、力行動作と回生動作のそれぞれについて、二次時定数推定値の誤差を低減し、安定したトルク制御を行うことが可能となる。
実施形態1における誘導電動機の制御装置を示すブロック図。 実施形態1における二次時定数推定部を示すブロック図。 実施形態1の制御処理を示すフローチャート。 実施形態1におけるトルク波形を示す図。 実施形態2における誘導電動機の制御装置を示すブロック図。 実施形態2におけるパラメータ推定器を示すブロック図。 (8)式で推定を行った場合の安定範囲を示す図。 (9)式で推定を行った場合の安定範囲を示す図。 (10)式で推定を行った場合の安定範囲を示す図。 従来と実施形態2におけるシミュレーション結果を示す図。
本願発明は、設定二次時定数τrcと二次時定数τrの真値との誤差を小さくすることによって、力行回生の4象限運転を安定に動作させることが可能な方式である。力行時の二次抵抗補償値は安定に取得可能であるが、回生時には不安定となる問題があることから、回生時には二次抵抗補償値の取得方法を切り替えるように構成している。回生時の二次抵抗補償は力行時の補償値も反映されるように構成したことで、回生時にも力行時と同等の効果を得ることができる。以下、本願発明の実施形態1〜3を図1〜図10に基づいて説明する。
[実施形態1]
本実施形態1における誘導電動機の制御装置について説明する。図1は本実施形態1における誘導電動機の制御装置を示すブロック図である。まず、電流指令演算部1において、γ軸磁束指令値φγrefとトルク指令値Trefに基づいて、例えば、以下の(1)式,(2)式によりγ軸電流指令値Iγrefとδ軸電流指令値Iδrefを演算する。
Figure 0006794693
減算器2は、γ軸電流指令値Iγrefとγ軸電流検出値Iγdetとの偏差であるγ軸電流偏差を計算する。γ軸電流偏差は電流制御部4へ出力する。同様に、減算器3は、δ軸電流指令値Iδrefとδ軸電流検出値Iδdetとの偏差であるδ軸電流偏差を計算する。δ軸電流偏差は電流制御部4へ出力する。
電流制御部4では、γ軸電流偏差とδ軸電流偏差に基づいて、例えば、PI制御により、γ軸電流偏差,δ軸電流偏差がゼロとなるγ軸電圧指令値Vγref,δ軸電圧指令値Vδrefを算出する。座標変換部5は、電流制御部4が出力したγ軸電圧指令値Vγrefとδ軸電圧指令値Vδrefを電気角基準位相θeに基づいて、三相電圧指令値であるu相電圧指令値vuref,v相電圧指令値vvref,w相電圧指令値vwrefに変換する。PWMインバータ6等の電力変換器は前記三相電圧指令値vuref,vvref,vwrefに応じた電圧を誘導電動機IMに出力して誘導電動機IMを運転する。
三相電流検出値iudet,ivdet,iwdetは座標変換部7においてγ軸電流検出値Iγdetとδ軸電流検出値Iδdetに変換される。
本実施形態1において、座標変換部5,7では、以下の(3)式,(4)式の回転行列と3相2相変換行列を用いて行っている。
Figure 0006794693
二次時定数推定部8には、γ軸電圧指令値Vγref,δ軸電圧指令値Vδref,γ軸電流検出値Iγdet,δ軸電流検出値Iδdet,回転数検出値ωdet,電気角(電気角演算値)ωe,トルク指令値Trefが入力される。
二次時定数推定部8の詳細を図2に示す。 二次時定数推定部8では、γ軸電圧指令値Vγref,δ軸電圧指令値Vδref,電気角ωe,回転数検出値ωdet,γ軸電流検出値Iγdet,δ軸電流検出値Iδdetと、後述する時定数推定部8dの出力である二次時定数推定値τrcest,一次時定数推定値τscest(Lsc/Rsc)を電流オブザーバ8aに入力する。電流オブザーバ8aでは、以下の(5)式によりγ軸電流推定値Iγestとδ軸電流推定値Iδestを計算する。
Figure 0006794693
電流誤差演算部8bでは、γ軸電流推定値Iγestとδ軸電流推定値Iδest、そして、γ軸電流検出値Iγdetとδ軸電流検出値Iδdetに基づいて、以下の(6)式により、γ軸電流検出値Iγdetとγ軸電流推定値Iγestとの差分、および、δ軸電流検出値Iδdetとδ軸電流推定値Iδestとの差分をとって、γ軸電流誤差eiγ,δ軸電流誤差eiδを演算する。
Figure 0006794693
また、力行回生判別部8cでは、トルク指令値Trefと回転数検出値ωdetに基づいて、以下の(7)式,(8)式により力行回生判別フラグFlagを演算する。
Figure 0006794693
時定数推定部8dは、γ軸電流誤差eiγ,δ軸電流誤差eiδ,力行回生判別フラグFlag,γ軸電流検出値Iγdet,δ軸電流検出値Iδdetに基づいて、以下の(9)式〜(12)式により一次時定数推定値τscestと二次時定数推定値τrcestを演算する。
Figure 0006794693
σ=1−Mc^2/(LsLr) Mc=相互インダクタンス
Ls=一次自己インダクタンス Lr:二次自己インダクタンス
図1に示すように、二次時定数推定部8で推定した二次時定数推定値τrcestとγ軸電流指令値Iγref,δ軸電流指令値Iδref,回転数検出値ωdetを、すべり演算・電気角演算部9に出力し、すべり演算・電気角演算部9において、(13)式により電気角ωeを求める。
Figure 0006794693
(13)式は誘導電動機IMでδ軸磁束指令値φδref=0とするベクトル制御で導出可能な一般的な式であるため説明は省略する。
積分器10において、(13)式で求めた電気角ωeにより電気角基準位相θeを求め、電気角基準位相θeを座標変換時の基準軸として利用する。
本実施形態1は、運転前の実際の二次抵抗Rrと二次抵抗設定値Rrcに誤差がある場合や、運転中の温度変化により実際の二次抵抗Rrと二次抵抗設定値Rrcに誤差が生じ、軸ずれが生じてしまう条件でも、運転中に逐次推定される二次時定数推定値τrcestを用いてすべり角周波数ωslipを推定することで軸ずれを防ぎ、所望の制御性能を得ることができる。
加えて、力行もしくは回生の運転状態によって二次時定数推定値τrcestの演算式を変えているため、従来制御では困難であった力行回生の4象限運転においても、その効果を得ることができる方式である。
本実施形態1の動作処理を図3のフローチャートに基づいて説明する。
S1:力行回生判別部8cにより、トルク指令値Trefと回転数検出値ωdetに基づいて(7)式,(8)式により力行回生判別フラグFlagを演算する。
S2:力行回生判別フラグFlagが0か1かを判定する。力行回生判別フラグFlag=0(力行)の場合S3へ移行し、力行回生判別フラグFlag=1(回生)の場合S4へ移行する。
S3:時定数推定部8dにおいて、力行回生判別フラグFlag=0の場合には、(11)式の演算を行う。
S4:時定数推定部8dにおいて、力行回生判別フラグFlag=1の場合には、(12)式の演算を行う。
S5:このとき、Flag=0の場合に用いる(9)式,(11)式では、新たな積分処理は行わず、前回値を保持する。
S6:推定した二次時定数推定値τrcestを用いて、すべり角演算・電気角演算部9において、すべり角周波数ωslipの演算を行う。
実際の二次抵抗Rrと二次抵抗設定値Rrcに誤差がある条件で、力行(トルク指令値+50%)から回生(トルク指令値−50%)そして力行(トルク指令値+50%)と運転モードを切り替えた際のシミュレーション結果を図4に示す。図4の横軸は時間,縦軸はトルクである。なお、インダクタンス設定誤差はない条件でシミュレーションを行っている。
図4には比較のため、適応制御なしでの運転波形も併せて表示している。本実施形態1の適応制御は5秒から開始する条件である。
まず、適応制御なし(図4の「適応なし」)では,実際の二次抵抗Rrと二次抵抗設定値Rrcの誤差があるため、軸ずれが生じている。この影響でトルク出力値が指令値通りに出力できていない。それに対して、本実施形態1(図4の「提案」)では適応制御開始から二次抵抗値の誤差を補正するため軸ずれが小さくなりトルク出力値が指令値と一致していることが確認できる。
本実施形態1では、誘導電動機IMの力行動作と回生動作のそれぞれについて、二次時定数推定値τrcestの誤差を低減できる。したがって、誘導電動機IMの力行動作と回生動作を含む4象限運転で、力行動作時および回生動作時にそれぞれにおいて、安定したトルク制御を行うことが可能となる。
[実施形態2]
本実施形態2は、実施形態1では対応困難であった回生時のパラメータ変化にも対応可能であり、回生時により精度の高い制御の実現を可能とする発明である。
本実施形態2は、回生時に時定数推定部で単純に力行回生条件での推定式切り替えではなく、安定性判別結果に基づきその時々の運転状態から最適な時定数推定を行うことでパラメータ推定が不安定となることを防ぐ。この機能が実施形態1にはない内容である。
電流指令演算部1、減算器2,3,電流制御部4,座標変換部5,PWMインバータ6,座標変換部7,すべり演算・電気角演算部9,積分器10は実施形態1と同様である。また、実施形態1の電流オブザーバ8a,電流誤差演算部8bと、本実施形態2の電流オブザーバ11a,電流誤差演算部11cの動作は同じである。本実施形態2では、パラメータ推定器11bの時定数推定部11eで、γ軸電流誤差eiγ,δ軸電流誤差eiδ,γ軸電流検出値iγdet,δ軸電流検出値iδdetに基づいて、以下の(14)式で一次時定数推定値τscest,二次時定数推定値τrcestを推定する。
Figure 0006794693
(14)式で時定数推定を行った場合の適応制御を含めた安定範囲を図7に示す。図7は、一次時定数推定ゲインλs,二次時定数ゲインλrは同じ値としている。灰色が制御系の安定範囲であり、白色が不安定範囲である。図7に示すように(14)式で時定数推定を行った場合には回生運転領域のほぼ全てで不安定となってしまうため、推定則の切り替えが必要となる。
次に、(15)式,(16)式で時定数推定を行った場合の安定範囲をそれぞれ図8と図9に示す。
Figure 0006794693
(15)式と(16)式の推定則では一次時定数推定値τscestの推定を行わない。推定を行わないため、逐次推定はできないが、初期設定値のまま制御を行う。図8と図9より、図7で不安定な範囲を制御設定値を変更することで安定とすることが確認できる。
本実施形態2では図7〜図9の安定範囲を予め求めておき、図6の時定数推定式切替判別部11dに格納しておく。なお、安定範囲を求める手法は、非特許文献2に記載されている手法(非特許文献2内の(29)式,(30)式を用いてフィルビッツの安定判別法によって安定範囲を求める方法)を用いる。
次に、図6の時定数推定式切替判別部11dで、時定数推定式切替判別部11dに入力される回転数検出値ωdetとトルク指令値Trefが、図7〜図9の安定範囲内か否かの判定を行う。
切替フラグFlag2は、例えば、運転領域が図7で安定となる範囲(すなわち、回転数検出値ωdetとトルク指令値Trefが灰色の範囲内)であれば切替フラグFlag2を1に、図7で安定となる範囲外で、かつ、図8で安定となる範囲であれば切替フラグFlag2を2に、図7,図8で安定となる範囲外で、かつ、図9で安定となる範囲であれば切替フラグFlag2を3とし、その切替フラグFlag2を基に時定数推定部11eでは推定式を切替えて、一時時定数推定値τscestと二次時定数推定値τrcestを演算して出力する。すなわち、切替フラグFlag2が1の場合は(14)式、切替フラグFlag2が2の場合は(15)式、切替フラグFlag2が3の場合は(16)式を選択して、一時時定数推定値τscestと二次時定数推定値τrcestを演算する。
以下の動作は、実施形態1と同様である。
本実施形態2で運転した場合と、切り替えを行わずに(14)式でのみ時定数推定を行い、回生領域まで運転した場合のシミュレーション結果を図10に示す。回転数(速度)を+10%とし、トルク指令値Trefを+10%→−10%→−40%と変化させた条件でのシミュレーション結果である。
図10のシミュレーションで示すように、従来法では回生領域(100s〜200s)で推定がうまくできないため、指令値(点線)に対してトルク誤差が生じている。
それに対し、本実施形態2では回生領域でも良好に推定することができていることが確認できる。
以上示したように、本実施形態2(図10の「提案」)では、誘導電動機IMの力行動作と回生動作のそれぞれについて、二次時定数推定値τrcestの誤差を低減できる。
したがって、誘導電動機IMの力行動作と回生動作を含む4象限運転で、力行動作時および回生動作時にそれぞれにおいて、安定したトルク制御を行えるようになる。
さらに、実施形態1と比較しても、より精度の高いトルク制御が実現できる。
[実施形態3]
本実施形態3の構成は、実施形態2と同様である。本実施形態3では、図6の時定数推定式切替判別部11dに、回転数検出値ωdetを入力せず、図5のすべり演算・電気角演算部9で演算したすべり角周波数ωslipを代わりに入力 し、すべり角周波数ωslip,トルク指令値Trefに基づいた判別を行う。その結果、実施形態2と同様の作用効果を奏する。なお、すべり角周波数ωslipの演算式は、(13)式に記載している。
実施形態3では、図7〜図9において、横軸をすべり角周波数ωslipとした安定範囲を予め求めておいて、図6の時定数推定式切替判別部11dに格納しておく。以下の動作は、実施形態2と同様である。
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
1…電流指令演算部
2,3…減算部
4…電流制御部
5,7…座標変換部
6…PWMインバータ
8…二次時定数推定部
9…すべり演算・電気角演算部
IM…誘導電動機

Claims (6)

  1. γ軸電流指令値とγ軸電流検出値との偏差,δ軸電流指令値とδ軸電流検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧指令値とδ軸電圧指令値とを出力する電流制御部と、
    前記γ軸電圧指令値と前記δ軸電圧指令値とを三相電圧指令値に変換する第1座標変換部と、
    前記三相電圧指令値に応じた電圧を出力するインバータと、
    前記インバータが出力した電圧により駆動する誘導電動機と、
    前記三相のインバータ出力電流を前記γ軸電流検出値,前記δ軸電流検出値に変換する第2座標変換部と、
    前記γ軸電流検出値と、前記δ軸電流検出値と、γ軸電流推定値と前記γ軸電流検出値との差分であるγ軸電流誤差と、δ軸電流推定値と前記δ軸電流検出値との差分であるδ軸電流誤差と、トルク指令値と回転数検出器との積が0以下の場合は0、0より大きい場合は1とする力行回生判別フラグと、に基づいて、二次時定数推定値を演算する二次時定数推定部と、
    前記二次時定数推定値に基づいて、すべり角周波数と電気角を演算するすべり演算・電気角演算部と、
    を備えたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
  2. 前記二次時定数推定部において、
    以下の(9)式〜(12)式により、一次時定数推定値と前記二次時定数推定値を演算することを特徴とする請求項1記載の誘導電動機の制御装置。
    Figure 0006794693
  3. 前記二次時定数推定部において、
    以下の(5)式〜(6)式により、γ軸電流誤差とδ軸電流誤差を演算することを特徴とする請求項1または2記載の誘導電動機の制御装置。
    Figure 0006794693
    Figure 0006794693
  4. γ軸電流指令値とγ軸電流検出値との偏差,δ軸電流指令値とδ軸電流検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧指令値とδ軸電圧指令値とを出力する電流制御部と、
    前記γ軸電圧指令値と前記δ軸電圧指令値とを三相電圧指令値に変換する第1座標変換部と、
    前記三相電圧指令値に応じた電圧を出力するインバータと、
    前記インバータが出力した電圧により駆動する誘導電動機と、
    前記三相のインバータ出力電流を前記γ軸電流検出値,前記δ軸電流検出値に変換する第2座標変換部と、
    予め求めた、回転数検出値とトルク指令値に対する第1の安定範囲と第2の安定範囲と第3の安定範囲を格納し、回転数検出値とトルク指令値が第1の安定範囲内であれば切替フラグを1,第1の安定範囲外で第2の安定範囲内であれば切替フラグを2,第1と第2の安定範囲外で第3の安定範囲内であれば切替フラグを3として切替フラグを出力する時定数推定式切換判別部と、
    前記切替フラグが1の場合は(14)式、前記切替フラグが2の場合は(15)式、前記切替フラグが3の場合は(16)式を選択し、選択した演算式により、前記γ軸電流検出値と、前記δ軸電流検出値と、γ軸電流推定値と前記γ軸電流検出値との差分であるγ軸電流誤差と、δ軸電流推定値と前記δ軸電流検出値との差分であるδ軸電流誤差に基づいて、二次時定数推定値を演算する二次時定数推定部と、
    前記二次時定数推定値に基づいて、電気角を演算するすべり演算・電気角演算部と、
    を備えたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
    Figure 0006794693
    Figure 0006794693
  5. γ軸電流指令値とγ軸電流検出値との偏差,δ軸電流指令値とδ軸電流検出値との偏差に基づいて、γ軸電圧指令値とδ軸電圧指令値とを出力する電流制御部と、
    前記γ軸電圧指令値と前記δ軸電圧指令値とを三相電圧指令値に変換する第1座標変換部と、
    前記三相電圧指令値に応じた電圧を出力するインバータと、
    前記インバータが出力した電圧により駆動する誘導電動機と、
    前記三相のインバータ出力電流を前記γ軸電流検出値,前記δ軸電流検出値に変換する第2座標変換部と、
    予め求めた、すべり角周波数とトルク指令値に対する第1の安定範囲と第2の安定範囲と第3の安定範囲を格納し、すべり角周波数とトルク指令値が第1の安定範囲内であれば切替フラグを1,第1の安定範囲外で第2の安定範囲内であれば切替フラグを2,第1と第2の安定範囲外で第3の安定範囲内であれば切替フラグを3として、切替フラグを出力する時定数推定式切換判別部と、
    前記切替フラグが1の場合は(14)式、前記切替フラグが2の場合は(15)式、前記切替フラグが3の場合は(16)式を選択し、選択した演算式により、前記γ軸電流検出値と、前記δ軸電流検出値と、γ軸電流推定値と前記γ軸電流検出値との差分であるγ軸電流誤差と、δ軸電流推定値と前記δ軸電流検出値との差分であるδ軸電流誤差に基づいて、二次時定数推定値を演算する二次時定数推定部と、
    前記二次時定数推定値に基づいて、電気角を演算するすべり演算・電気角演算部と、
    を備えたことを特徴とする誘導電動機の制御装置。
    Figure 0006794693
    Figure 0006794693
  6. 前記二次時定数推定部において、
    以下の(5)式〜(6)式により、γ軸電流誤差とδ軸電流誤差を演算することを特徴とする請求項4または5記載の誘導電動機の制御装置。
    Figure 0006794693
    Figure 0006794693
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