JP6794264B2 - マグネシウム−リチウム合金、圧延材及び成型品 - Google Patents

マグネシウム−リチウム合金、圧延材及び成型品 Download PDF

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Description

本発明は、特に耐食性が改善されたマグネシウム−リチウム合金、その圧延材及び成型品に関する。
近年、構造用金属材料として、軽量なマグネシウム合金が注目されている。しかし、一般的なマグネシウム合金であるAZ31(Al3質量%、Zn1質量%、残部Mg)の圧延材は、冷間での加工性が低く、250℃程度でしかプレス加工できない。また、リチウムを含有するマグネシウム−リチウム合金は、マグネシウムの結晶構造はhcp構造(α相)であるが、リチウム含有量が6〜10.5質量%の場合、hcp構造とbcc構造(β相)の混相となり、さらにリチウム含有量が10.5質量%を超えるとβ相単相となる。α相のすべり系は限定されているが、β相は多くのすべり系を有するため、リチウム含有量を多くしていくと、α相とβ相の混相からβ相単相となり、それに従って冷間での加工性が向上する。こうしたマグネシウム−リチウム合金としては、LZ91(Li9質量%、Zn1質量%、残部Mg)やLA141(Li14質量%、Al1質量%、残部Mg)などが広く知られている。これらの合金は軽いのが特徴であるが、耐食性が良くないという問題があり、改善すべき課題がある。
特許文献1には、リチウムを10.5質量%以下含有し、鉄不純物濃度50ppm以下のマグネシウム−リチウム合金が優れた耐食性を示すことが開示されている。一方、リチウムの含有量が10.5質量%を超えたβ相単相のマグネシウム−リチウム合金では、耐食性が著しく劣化することが記載されている。具体的には、実施例においてリチウムを10.5質量%以下含有したマグネシウム−リチウム合金においては、不純物の鉄含量を低減することにより優れた耐食性が得られたにもかかわらず、リチウム含量を、β単相組織を形成しうる14質量%とした比較例6のマグネシウム−リチウム合金では、不純物の鉄量を少なくしても、同様な鉄不純物低減による効果が得られなかったことが記載されている。
非特許文献1には、リチウム13質量%とアルミニウム1、3又は5質量%とを含むマグネシウム−リチウム合金について、その加工や熱処理による機械特性、耐食性などへの影響について検討した結果が示されている。
具体的には、アルミニウム量が増大すると引張強度が増大する一方で比強度が若干低下すること、アルミニウム量が増大すると耐食性が改善されるが、リチウム−マグネシウム二元合金の耐食性より劣ることが記載されている。
特開2000−282165号公報
軽金属(1990)、vol.40、No.9、P659−665
上述のとおり、従来、冷間での加工性に優れたβ相単相を形成しうる量のリチウムを含み、優れた引張強度が期待できる量のアルミニウムを含むマグネシウム−リチウム合金において、実用に耐えうる程度の耐食性を付与しうる新たな技術の開発が望まれている。
本発明の課題は、優れた冷間加工性及び引張強度が期待でき、実用的な耐食性を示す軽量なマグネシウム−リチウム合金を提供することにある。
本発明の別の課題は、優れた引張強度が期待でき、実用的な耐食性を示す軽量な圧延材及び成型品を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、上記特許文献1に具体的に示された、不純物である鉄量低減による効果が期待できない、リチウムを10.5質量%超える量含有する、冷間加工性に優れたβ相単相を形成しうるリチウム−マグネシウム合金において、優れた引張強度が期待できるアルミニウム含有量とするとともに、所定範囲のマンガンを含有させることによって、耐食性が改善でき、不純物である鉄量低減による効果をも得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、10.50質量%を超え16.00質量%以下のLi、2.00質量%以上15.00質量%以下のAl、0.03質量%以上1.10質量%未満のMn、不純物及び残部のMgからなり、前記不純物が濃度15ppm以下のFeを含むマグネシウム−リチウム合金(以下、本発明のMg−Li合金と略すことがある)が提供される。
また本発明によれば、10.50質量%を超え16.00質量%以下のLi、2.00質量%以上15.00質量%以下のAl、0.03質量%以上1.10質量%未満のMn、M元素、不純物及び残部のMgからなり、前記M元素が、0質量%を超え3.00質量%以下のCa、0質量%を超え3.00質量%以下のZn、0質量%を超え1.00質量%以下のSi、0質量%を超え1.00質量%以下のY、及び0質量%を超え5.00質量%以下の原子番号57〜71の希土類金属元素、からなる群より選択される少なくとも1種であり、前記不純物が濃度15ppm以下のFeを含むマグネシウム−リチウム合金(以下、本発明のMg−Li合金と略すことがある)が提供される。
更に本発明によれば、上記本発明のMg−Li合金からなる圧延材又は成型品が提供される。
本発明のMg−Li合金は、β相単相を形成しうる上記特定量のLiを含むので優れた冷間加工性が期待でき、また上記特定量のAlを含むので優れた引張強度が期待でき、更には、当該Alと上記Mnとの含有割合を特定範囲に制御し、且つ不純物としてのFe量を低減しているので、実用に耐えうる優れた耐食性を得ることができる。
本発明の圧延材又は成型品は、上記本発明のMg−Li合金からなるので、優れた引張強度が期待でき、実用に耐えうる耐食性を示し、且つ軽量であるので、携帯型のオーディオ機器、デジタルカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の筐体や、自動車部品等の様々な応用分野での使用が期待できる。
参考例1で調製した圧延材の中性塩水噴霧試験後の表面写真の写しである。 比較例1で調製した圧延材の中性塩水噴霧試験後の表面写真の写しである。 参考例1で調製した圧延材に表面陽極酸化処理を行なって調製した試験片の、中性塩水噴霧試験後の表面写真の写しである。 比較例1で調製した圧延材に表面陽極酸化処理を行なって調製した試験片の、中性塩水噴霧試験後の表面写真の写しである。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のMg−Li合金は、特定量の、Li、Al、Mn、不純物及び残部のMgからなるか、特定量の、Li、Al、Mn、M元素、不純物及び残部のMgからなる。
本発明のMg−Li合金においてLi含有量は、10.50質量%を超え16.00質量%以下である。Li含有量が10.50質量%以下では、α単相またはα−β共晶組織となり冷間加工性が悪くなる。Li含有量が16.00質量%を超えると、得られる合金の耐食性および強度が低下し、実用に耐えない。従来のMg−Li合金では、Liを上記範囲で含む場合、結晶構造はβ相単相であるが、本発明のMg−Li合金はAl含有量が多いため、主相であるβ相以外にアルミニウム金属間化合物相が析出している組織を有しており、軽量かつ加工性に優れる。
本発明のMg−Li合金においてAl含有量は、2.00質量%以上15.00質量%以下である。Al含有量が2.00質量%未満では、得られる合金の耐食性改善効果が小さい。Al含有量が15.00質量%を超えると、得られる合金の比重が大きくなり軽量さが失われる。
本発明のMg−Li合金においてMn量は、0.03質量%以上1.10質量%未満、好ましくは0.03質量%以上0.50質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以上0.30質量%以下である。MnはFeと金属間化合物を形成しやすく、得られる合金の耐食性改善効果に寄与する。加えて、上述の特許文献1においては得られないとされた、不純物としてのFe量減少に伴う耐食性改善効果が、Mnの特定量添加により得られる。よって、後述するFe不純物量を低減する構成と特定量のMnを含有させる構成とを組み合わせて採用することにより、本発明においてはより優れた耐食性が得られ易くなる。Mn含有量が0.03質量%未満では、所望の耐食性改善効果が得られず、またMn量が増加すると得られる合金の軽量さが失われる恐れがある。
本発明のMg−Li合金において不純物としては、例えば、Fe、Ni、Cu等が挙げられ、得られる合金の強度や耐食性に影響しない程度の微量を含有していても良い。
本発明のMg−Li合金において不純物としてのFe濃度は、15ppm以下、好ましくは10ppm以下である。Fe濃度が15ppmを超えると耐食性が低下する。
本発明のMg−Li合金において不純物としてのNi濃度は、好ましくは15ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。Niを多く含むと、得られる合金の耐食性が低下するので好ましくない。Ni不純物濃度の低減による耐食性向上の効果は、上記Fe不純物低減による効果と同様に、Liを10.50質量%超える量含有する本発明のMg−Li合金でも得ることができる。
本発明のMg−Li合金において不純物としてのCu濃度は、好ましくは10ppm以下である。このような濃度に制御することにより、得られるMg‐Li合金の耐食性を更に向上させることができる。
本発明のMg−Li合金においてM元素は、Ca、Zn、Si、Y、及び原子番号57〜71の希土類金属元素(以下、単に希土類金属元素と称する)、からなる群より選択される少なくとも1種である。希土類元素としては好ましくはLa、Ce、Pr、Ndが挙げられる。
M元素としてのCa又はZnの含有量はそれぞれ0質量%を超え3.00質量%以下、Siの含有量は0質量%を超え1.00質量%以下、Yの含有量は0質量%を超え1.00質量%以下、希土類金属元素の含有量は0質量%を超え5.00質量%以下である。
M元素としてCaを所定量含有することで、得られる合金の耐食性がさらに向上する。これは、Caを含有するとMgとCaの化合物が形成され、それが再結晶化時に核生成の起点となり、微細な結晶粒を有する再結晶集合組織を形成するからである。即ち、Mg−Li合金の腐食は、結晶粒界で選択的に進行し、結晶微細化は腐食の進行を妨げることができ、このような微細な粒界形成により耐食性を向上させることができる。Ca含有量が3.00質量%を超えると、得られる合金の強度及び加工性が低下するおそれがある。
M元素としてZn又はYを含有させることにより、得られる合金の加工性を更に向上させることができる。Siを含有させることにより得られる合金の高温強度を更に向上させることができる。さらに、希土類元素を含有させると、得られる合金の伸び率が向上し、冷間での加工性が更に向上する。しかし、Zn含有量が3.00質量%を超えると、或いはSi含有量が1.00質量%を超えると、得られる合金の強度及び加工性が低下するおそれがある。またY含有量が1.00質量%を超えると、得られる合金の高温強度が低下するおそれがある。さらに希土類元素の含有量が5質量%を超えると、得られる合金の比重が大きくなる恐れがある。
本発明のMg−Li合金は、上述した元素以外に、任意成分として、Zr、Ti、及びBからなる群より選択される少なくとも1種を、課題である得られる合金の耐食性改善効果に大きな影響を与えない範囲で含有させることができる。例えば、Zrを含有させると、得られる合金の強度が更に向上し、Tiを含有させると、難燃性が向上する。これら任意成分の含有量は好ましくは0質量%以上5.00質量%以下である。任意成分の含有量が多いと比重が大きくなり、本発明のLi−Mg合金の軽量としての特色が損なわれるため、含有量はなるべく少なくすることが好ましい。
本発明のMg−Li合金は、腐食量が0.160mg/cm2/日以下であることが好ましい。腐食量は耐食性の優劣を判断するための一つの指標であり、値が小さいほど耐食性に優れる。
上記腐食量は、JIS Z 2371に規定される中性塩水噴霧試験法により測定することができる。具体的には、試験片の試験前後の単位面積あたりの重量減少量と経過日数(後述の実施例では72時間=3日間)により腐食量(mg/cm2/日)を算出した。
本発明のMg−Li合金は、その結晶粒が微細であるほど腐食進行を妨げる効果が大きく、耐食性が向上するので、平均結晶粒径は好ましくは40μm以下であり、特に好ましくは20μm以下である。
上記平均結晶粒径の測定は、合金断面組織の光学顕微鏡での観察像を用いて、線分法により行うことができる。光学顕微鏡での観察は、5%硝酸エタノールでエッチングした試料を用い、200倍で観察する。得られる観察像において、像を6等分する5本の600μmに相当する線分を引き、それを横切る粒界の数をそれぞれ測定する。線分の長さ600μmを測定した粒界の数で割った値をそれぞれの線分について算出し、その平均値を平均結晶粒径とする。
本発明のMg−Li合金の引張強度は、好ましくは160MPa以上である。引張強度の上限は特に制限されないが、冷間での加工性を低下させない程度の強度であればよい。このような引張強度は、現在工業化されているLA141やLZ91と同等もしくは上回る値である。
上記引張強度は、本発明のMg−Li合金からなる板材を製造し、任意に定めた方向から0°、45°、90°の3方向に1mm厚のJIS5号の試験片をそれぞれ3点切り出し、得られる試験片の引張強度を、25℃において、引張速度10mm/分で測定し、0°、45°、90°方向のそれぞれの平均値を算出し、それらの最大値を求めることにより測定することができる。
本発明のMg−Li合金の製造は、上述の組成及び物性を有するMg−Li合金が得られる方法であれば特に限定されず、以下の方法が好ましく挙げられる。
10.50質量%を超え16.00質量%以下のLi、2.00質量%以上15.00質量%以下のAl、0.03質量%以上1.10質量%未満のMn、不純物及び残部のMgからなり、不純物が濃度15ppm以下のFeを含む合金原料、もしくは10.50質量%を超え16.00質量%以下のLi、2.00質量%以上15.00質量%以下のAl、0.03質量%以上1.10質量%未満のMn、M元素、不純物及び残部のMgからなり、M元素が、0質量%を超え3.00質量%以下のCa、0質量%を超え3.00質量%以下のZn、0質量%を超え1.00質量%以下のSi、0質量%を超え1.00質量%以下のY、及び0質量%を超え5.00質量%以下の希土類金属元素、からなる群より選択される少なくとも1種であり、不純物が濃度15ppm以下のFeを含む合金原料を準備する工程(a)、及び 合金原料を溶融し、合金鋳塊(スラブ)に冷却固化する工程(b)を含む方法が挙げられる。
また、工程(b)により得られた合金鋳塊に対して、通常200℃〜300℃にて1〜24時間の条件で行う均質化熱処理する工程(b1)を行うこともできる。
更に、工程(b)又は工程(b1)で得られた合金鋳塊に対して、通常200℃〜400℃で行う熱間圧延する工程(b2)を行うこともできる。
工程(a)は、例えば、上記元素を含有する金属、母合金を既述の組成となるよう配合した合金原料を準備することにより行うことができる。
工程(b)において、溶融した合金原料を合金鋳塊に冷却固化するには、例えば、合金原料溶融物を鋳型に鋳込んで冷却固化させる方法、又は合金原料溶融物をストリップキャスティング法等の連続鋳造法により冷却固化させる方法が好ましく挙げられる。
工程(b)により得られる合金鋳塊の厚さは、通常10〜300mm程度とすることができる。
本発明の圧延材は、本発明のMg−Li合金からなり、耐食性に優れる。圧延材の厚みは通常0.01mm〜5mm程度である。
本発明の圧延材は、本発明のMg−Li合金、例えば、上記工程(b)、(b1)又は(b2)で得られた合金鋳塊を、好ましくは圧下率30%以上となるように冷間塑性加工し、次いで加熱処理する方法により製造することができる。
前記冷間塑性加工は、例えば、圧延、鍛造、押出し、引抜き等の公知の方法で行うことができ、この塑性加工により、合金にひずみを付与する。その際の熱処理温度は通常、室温〜300℃程度である。室温かなるべく低温で行うことが大きなひずみを付与する上で好ましい。
塑性加工における圧下率は、好ましくは40%以上、さらに好ましくは45%以上であり、最も好ましくは90%以上であり、その上限は特に限定されない。
次いで行う加熱処理は、上記塑性加工によりある程度以上のひずみが付与された合金を、再結晶化する焼きなましをする工程である。この加熱処理は、好ましくは150℃〜350℃未満で10分間〜12時間、もしくは250℃〜400℃で10秒間〜30分間の条件で、特に好ましくは180℃〜300℃で30分間〜4時間、もしくは250℃〜350℃で30秒間〜20分間の条件で行うことができる。このような条件以外の加熱処理では、得られる圧延材の強度が低下するおそれがあるが、耐食性へは特に影響はない。
本発明の圧延材は、上述の冷間での加工性に優れた本発明のMg−Li合金を用いるので、割れや外観不良もなく、高い寸法精度が得られ、成型品等の生産効率を向上させることができる。例えば、携帯型のオーディオ機器、デジタルカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の筐体や、自動車部品の成型品に好ましく利用できる。
本発明の成型品は、本発明のMg−Li合金からなり、耐食性に優れる。
本発明の成型品は、本発明のMg−Li合金を、所望の成型品となるように、上記圧延処理等を行い、適宜、表面処理を行うことができる。該表面処理としては、マグネシウム系合金やマグネシウム−リチウム合金への公知の方法が適用できる。例えば、はじめに炭化水素、アルコール等の有機溶媒を用いる脱脂工程、表面の酸化皮膜の除去または粗面化を目的とした、ブラスト処理工程や酸、アルカリを用いたエッチング処理工程を、それぞれ必要に応じて行うことができる。次いで、化成処理工程あるいは陽極酸化処理工程を行うことができる。
化成処理工程は、例えば、クロメート処理、ノンクローメート処理等のJISに規格化された公知の方法により行うことができる。
陽極酸化処理工程は、例えば、電解液、皮膜形成安定化剤、電流密度、電圧、温度、時間等の電解条件を適宜決定して行うことができる。
化成処理工程又は陽極酸化工程に次いで、適宜、塗装処理工程を行うことができる。塗装処理工程は、電着塗装、スプレー塗装、浸漬塗装等の公知の方法により行うことができる。例えば、公知の有機系塗料、無機系塗料が用いられる。また、マグネシウム−リチウム合金に関しては、塗装処理工程の代わりに、陽極酸化工程に次いで、チタン合金等で行われているFPF(Finger Print Free)処理(ガラス質コーティング)を施すことにより、密着性が高く、高密度の優れた皮膜を形成することもできる。
また、上記表面処理の前後に適宜、熱処理の工程を行ってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれらに限定されない。
参考例
Li14.09質量%、Al8.67質量%、Mn0.23質量%、Ca0.86質量%、及び残部Mgからなる原材料を、加熱、溶解して合金溶融物とした。続いて、この溶融物を150mm×300mm×500mmの金型中に鋳込んで合金鋳塊を作製した。得られた合金鋳塊の組成をICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析により定量分析した。結果を表1に示す。
得られた合金鋳塊を300℃で、24時間熱処理を行い、表面切削し、厚さ130mmの圧延用スラブを作製した。このスラブを350℃にて圧延し、板厚4mmとし、次いで室温にて圧下率75%で板厚1mmまで圧延し、圧延物を得た。この圧延物を更に230℃で1時間焼きなまし熱処理し、圧延材を得た。得られた圧延材を用いて下記の中性塩水噴霧試験を行った。結果を表1に示す。また、下記中性塩水噴霧試験後の圧延材の表面写真を撮影した。その写しを図1に示す。更に、得られた圧延材に表面陽極酸化処理を行なって試験片を調製した。得られた試験片の中性塩水噴霧試験後の表面写真も撮影した。その写しを図3に示す。
中性塩水噴霧試験
JIS Z2371中性塩水噴霧試験に準じて、35±2℃に設定した試験槽に圧延材を入れ、5%食塩水50±5g/lを噴霧して、pH6.5〜7.2で、72時間経過した後、試験槽から取り出し、表面に付着している腐食生成物をクロム酸溶液にて除去して表面を水洗した。その後、試験前後の単位面積あたりの重量減少量と経過日数(本試験では72時間=3日間)により腐食量(mg/cm2/日)を算出した。
引張強度試験
得られた圧延材を用いて、上述した引張強度測定に準じて引張強度を測定した。引張強度が160MPa以上だったものを合格、160MPa未満だったものを不合格とした。
参考例2、5〜7、実施例3、4、8〜11及び比較例1〜6
以下に示す原材料を用いた以外は、実施例1と同様に合金鋳塊及び圧延材を作製し、各評価を行った。結果を表1に示す。また、比較例1で調製した圧延材については、上記中性塩水噴霧試験後の表面写真を実施例1と同様に撮影した。その写しを図2に示す。更に、比較例1で調製した圧延材に表面陽極酸化処理を行なって試験片を調製した。得られた試験片の中性塩水噴霧試験後の表面写真も撮影した。その写しを図4に示す。
参考例2の原材料
Li15.51質量%、Al14.54質量%、Mn0.21質量%、Ca0.94質量%、及び残部Mg
実施例3の原材料
Li10.90質量%、Al6.55質量%、Mn0.24質量%、及び残部Mg
実施例4の原材料
Li13.97質量%、Al12.03質量%、Mn0.24質量%、Ca1.53質量%、Y0.071質量%及び残部Mg
参考例5の原材料
Li14.01質量%、Al7.01質量%、Mn0.28質量%、Si0.104質量%及び残部Mg
参考例6の原材料
Li10.60質量%、Al6.81質量%、Mn0.26質量%、Ca0.24質量%、Zn1.51質量%及び残部Mg
参考例7の原材料
Li13.53質量%、Al2.57質量%、Mn0.26質量%、Ca0.31質量%、及び残部Mg
実施例8の原材料
Li13.55質量%、Al8.87質量%、Mn1.01質量%、及び残部Mg
実施例9の原材料
Li14.21質量%、Al9.51質量%、Mn0.32質量%、Ca1.97質量%、Ce0.14質量%、及び残部Mg
実施例10の原材料
Li13.45質量%、Al6.23質量%、Mn0.18質量%、Ca1.03質量%、Nd0.06質量%、及び残部Mg
実施例11の原材料
Li12.27質量%、Al4.14質量%、Mn0.26質量%、Ca0.12質量%、Gd0.08質量%、及び残部Mg
比較例1の原材料
Li14.05質量%、Al8.78質量%、Mn0.28質量%、Ca0.94質量%、及び残部Mg
比較例2の原材料
Li13.09質量%、Al9.27質量%、Mn0.02質量%、及び残部Mg
比較例3の原材料
Li13.71質量%、Al6.31質量%、Mn1.10質量%、及び残部Mg
比較例4の原材料
Li14.39質量%、Al11.27質量%、Mn0.026質量%、Ca2.03質量%、及び残部Mg
比較例5の原材料
Li13.69質量%、Al1.07質量%、Mn0.037質量%、Ca0.27質量%、及び残部Mg
比較例6の原材料
Li14.05質量%、Al1.05質量%、Mn0.20質量%、Ca0.26質量%、及び残部Mg
表1から分かるように、実施例のMg−Li合金は、比較例のMg−Li合金に比べて腐食速度が極めて遅く、優れた耐食性を示している。

Claims (5)

  1. 10.50質量%を超え16.00質量%以下のLi、2.00質量%以上15.00質量%以下のAl、0.03質量%以上1.10質量%未満のMn、不純物及び残部のMgからなり、前記不純物が濃度15ppm以下のFe及び濃度15ppm以下のNiを含むマグネシウム−リチウム合金。
  2. 10.50質量%を超え16.00質量%以下のLi、2.00質量%以上15.00質量%以下のAl、0.03質量%以上1.10質量%未満のMn、M元素、不純物及び残部のMgからなり、前記M元素が、Caと、Y及び原子番号57〜71の希土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素とからなり、Caの含有量は0質量%を超え3.00質量%以下、Yの含有量は0質量%を超え1.00質量%以下、原子番号57〜71の希土類金属元素の含有量は0質量%を超え5.00質量%以下であり、前記不純物が濃度15ppm以下のFe及び濃度15ppm以下のNiを含むマグネシウム−リチウム合金。
  3. JISZ 2371(中性塩水噴霧試験)による72時間後の腐食量が0.160mg/cm2/日以下である請求項1又は2に記載の合金。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の合金からなる圧延材。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の合金からなる成型品。
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