図1は、シンク10を備える厨房台100(いわゆる流し台)である。厨房台100は、屋内において床面から立ち上がる壁面に接することのない形で、床面上に設置される、いわゆるアイランドタイプの厨房台である。
なお、厨房台100は、壁面に接する厨房台であってもよい。例えば、厨房台100は、その奥行き方向10y(図2参照)の奥側が壁面と接するタイプでもよい。ただし、厨房台100は、設置されるシンク10を対面で作業できる形状、例えば上述のアイランドタイプや、厨房台100の左右方向10x(図2参照)の一方又は双方の端部が壁面と接するタイプ等とすることで、シンク10が対面作業性に優れたものとなる。
厨房台100は、上面100tに設けられるワークトップとしての天板11と、上面100tに設けられるシンク10と、上面100tに設けられる加熱機器2と、上面100tに設けられる水栓3と、天板11の下側に設けられる収納部4と、床面上で全体を支持する脚部5と、を備える。
天板11は、図5に示すように、所定の厚さを有する下地材11Bと、下地材11Bの露出表面(主には外周側面と上面)を覆う意匠部材11Aと、を有する。天板11は、加熱機器2、シンク10、水栓3を配置するために、板厚方向に貫通する孔部2H,10H,3H(図3参照)を有する。加熱機器2及び水栓3は、それら双方の孔部2H,3H内に貫通する形で配置される。一方で、シンク10は、意匠部材11Aと同じ金属製であり、意匠部材11Aと一体化された天板構造体1をなす。ここでの意匠部材11Aはステンレス製の板材である。シンク10は、孔部10H内に貫通する形で配置され、天板上面100tに開口10hを形成する凹形状をなす。具体的にいえば、図3に示すように、シンク10は、自身の開口10hを形成する四角形状の上端縁を、天板11の孔部10Hにおける四角形状の内周縁と一致させた上で溶接固定されることにより、天板11と一体化される。つまり、天板の11の孔部10Hにシンク10の開口10hが形成されるよう、シンク10と天板11とが一体に固定されている。
シンク10は、四角形状の開口10hと、その下方に位置する四角形状の底面10bと、その底面10bの各辺(四辺)から開口10hの各辺(四辺)へと立ち上がってシンク10内の四方を取り囲む内周壁面10aと、を有する。ここでの開口10h及び底面10bは、双方とも正方形状であり、それら双方において、互いに対応する各辺の延出方向及び延出長さが一致している。これにより、シンク10内には、四角柱状の凹空間が形成される。
ここでの開口10hは、正方形状の開口であり、開口10hの各辺は、厨房台上面100tの長手方向10x又は短手方向10yに延出し、かつ各長さが同じである。また、厨房台上面100tの短手方向10yにおいて、開口10hの長さがその上面100tの長さの80%以上となるよう形成されている。厨房台上面100tの短手方向10yにおいてシンク10を除いた残り20%未満の領域は、厨房台上面100tの短手方向10yの両端部、即ち、開口10hを挟む壁部の上端面101tである(図7参照)。このように、シンク10は、厨房台上面100tに対し短手方向に非常に広く開口する、従来に無いシンクである。実際の厨房台100に適用してみると、その開口10hは、上記短手方向の長さが600mm以上(例えば760mm)の大型の開口となる。
一方、シンク10の開口10hが正方形状であるということは、厨房台上面100tに対し長手方向10xにおいても非常に広く開口するシンクであるといえる。つまり、開口10hは、上記長手方向10xにおいても600mm以上(例えば760mm)の長さがある。このため、シンク10は、2人の作業者が上記長手方向10xに並んで作業することも可能であり、従来よりも使い勝手が良い。このように、シンク10は、従来よりも多人数作業に適したシンクであるといえる。
また、ここでのシンク10は、その開口10hが厨房台上面100tの短手方向10yの中間領域に存在する。このため、例えばシンク10の手前側と奥側との双方に作業者が立って作業する対面作業が可能であり、従来よりも使い勝手が良い。この点においても、シンク10は、従来よりも多人数作業に適したシンクであるといえる。なお、ここでいう中間領域とは、厨房台上面100tの短手方向10yにおける実際の中間位置に対し5%以下の位置ずれを含むものとする。
なお、シンク10は、その開口10hが必ずしも厨房台上面100tの短手方向10yの中間領域に存在する必要はなく、短手方向10yの一方の側に偏った位置に設けられてもよい。
シンク10内の内周壁面10aは、図2に示すように、第一方向10xにおいて対面する第一の内壁面10a1(対向内壁面ともいう)の対と、第一方向10xと直交する第二方向10yで対面する第二の内壁面10a2(対向内壁面ともいう)の対と、を有する。また、図3に示すように、対をなす第一の内壁面10a1のそれぞれには、互いをまたぐようにして配置される所定機能を有するプレート9の端部を載置可能とする第一のスライドガイド部19Aが設けられる。他方、対をなす第二の内壁面10a2のそれぞれには、同じく互いをまたぐようにして配置されるプレート9の端部を載置可能とする第二のスライドガイド部19Bが設けられる。
第一のスライドガイド部19Aは、図6に示すように、載置されたそのプレート9を第二方向10yへスライド可能とするよう、対をなす第一の内壁面10a1のそれぞれにおいて、シンク深さ方向10z(即ち、上下方向)における位置が同じで、かつ第二方向10yに延出する形で形成される。第一のスライドガイド部19Aは、第一の内壁面10a1のそれぞれにおいて、第二方向10yの一端から他端にかけて形成されており、プレート9は、両端側の第二の内壁面10a2に当接する位置までスライド可能である。
第二のスライドガイド部19Bは、図8に示すように、載置されたそのプレート9を第一方向10xへスライド可能となるよう、対をなす第二の内壁面10a2のそれぞれにおいて、シンク深さ方向10z(即ち、上下方向)における位置が同じで、かつ第一方向10xに延出する形で形成される。第二のスライドガイド部19Bは、第二の内壁面10a2のそれぞれにおいて、第一方向10xの一端から他端にかけて形成されており、プレート9は、両端側の第一の内壁面10a1に当接する位置までスライド可能である。
第一のスライドガイド部19Aと第二のスライドガイド部19Bとは、シンク深さ方向10z(即ち、上下方向)において、互いの形成位置が異なるねじれの位置関係にある。互いがねじれの位置関係にあることにより、第一のスライドガイド部19Aと第二のスライドガイド部19Bとは、シンク深さ方向10z(即ち、上下方向)における互いの形成位置が同じとなって環状に形成されないようになっている。
なお、ここでの第一方向10xは、厨房台上面100tの長手方向(厨房台100の左右方向ともいう)10xと一致し、第二方向10yは、厨房台上面100tの短手方向(厨房台100の奥行き方向や作業者の対面方向ともいう)10yに一致する。
また、ここでは、第一のスライドガイド部19Aが第二のスライドガイド部19Bよりも上に位置する。さらにいえば、それらスライドガイド部19A,19Bの中で、第一のスライドガイド部19Aが最も上に位置するスライドガイド部であり、第二のスライドガイド部19Bはその一段下に設けられている。シンク10において、プレート9を使う作業では、基本的には図9A及び図9Bに示すように、プレート9がシンク10に向かう作業者の左右方向10xに長いことが望ましい。これは、プレート9を左右方向10xに長く置いた方が、作業面積が広く得られるとともに、左右方向10xに複数の作業者が並んで利用するときにも便利だからである。したがって、最も使いやすい最上段のスライドガイド部には、厨房台100の左右方向10xにまたがってプレート9を配置できる第一のスライドガイド部19Aが望ましい。また、第一のスライドガイド部19Aに配置されたプレート9は、図17に示すように、奥行き方向10yにスライド移動できる。このため、作業者は、手前側に寄せてプレート作業を行ってもよいし、奥に押しやってシンク作業を行ってもよい。シンク10は、従来よりも大型の開口10hを有するため奥行き方向にも長く、第一のスライドガイド部19Aに配置されたプレート9を奥に押しやれば、シンク10の作業領域を広く確保できる。
なお、シンク10を挟み、奥行き方向10yで対面する2人の作業者が同じプレート9を使いたい場合には、図9Cに示すように、そのプレート9をそれら作業者の対面方向10yにまたがるよう第二のスライドガイド部19Bに配置すればよい。これにより、対面する双方の作業者がそのプレート9の両端側を使うことが可能となる。この場合、双方の作業者の左右方向10xの作業面積は狭くなるが、ここでのプレート9は1つだけではなく、様々な機能のものが複数あるため、他のプレート9を横に並べて配置すれば、左右方向10xの作業面積を確保できる。例えばカッティングプレート9を対面方向10yにまたがって配置し、その横に水切りプレート9を同じく対面方向10yにまたがって配置すれば、カッティングプレート9の両端側でカット作業を行い、カットした具材を水切りプレート9上に置くといった効率的な作業が可能となる。一方、奥行き方向10yで対面する2人の作業者が同じプレート9を左右方向10xに広く使いたい場合には、図9Bに示すように、プレート9を奥行き方向10yの手前側と奥側に配置すればよい。このとき、双方のプレート9を奥行き方向にスライド移動させることで、プレート9を交換することもできる。この点については後述する。
第二のスライドガイド部19Bは、図8に示す天板11の上面100tの位置(シンク10の開口10hの位置ともいえる)からシンク深さ方向10zの深さd1が100mm以上150mm以下となる位置に、プレート9の載置面19bを有する。これは、硬いものを切る際に、力が入りやすい高さである。ここでの第二のスライドガイド部19Bは、天板11の上面100tからシンク深さ方向10zに125mmの深さとなる位置に載置面19bを有する例が示されている。第二のスライドガイド部19B上に配置されたプレート9上では、硬い食材を切ることが容易となる。
また、ここでの第一のスライドガイド部19A及び第二のスライドガイド部19Bは、対応する内壁面10a1,10a2からシンク10内に向けて突出する段部(即ち、リブ)として形成されている。第一のスライドガイド部19A及び第二のスライドガイド部19Bは、プレート9が配置される平坦な載置面19bと、その載置面19bの突出先端側から鋭角に角度を変えて下方へと延出する平坦な下側傾斜面19cと、その載置面19bの突出基端側から直角に角度を変えて上方へと延出する平坦な上側立面19aと、を有する。
具体的にいえば、図5、図6及び図8に示すように、シンク10は、四角形状の底面10bを形成する平板状の底面板部13と、その底面板部13の四辺から立ち上がって内周壁面10aを形成する平板状の4つの側面板部12と、を有する。側面板部12は、下端部12Dと、傾斜部12Cと、載置部12Bと、上端部12Aと、が曲げ形状で形成されている。下端部12Dは、四角形状の底面10bを形成する底面板部13の各辺から折れ曲がる形で上方に立ち上がる平板状板部であり、下側立面19dを形成する。傾斜部12Cは、下端部12Dの上端から上方ほどシンク10内側に位置するよう傾斜する平板状板部であり、上述の下側傾斜面19cを形成する。載置部12Bは、傾斜部12Cの上端からシンク10外側向きに曲がって水平に延出する平板状板部であり、上述の載置面19bを形成する。上端部12Aは、載置部12Bのシンク10外側の端部から折れ曲がる形で上方に立ち上がる平板状板部であり、シンク10の開口10hまで延出して、上述の上側立面19aを形成する。ここでの第一及び第二のスライドガイド部19A,19Bは、傾斜部12Cと、載置部12Bと、上端部12Aと、により構成される。
なお、下端部12Dの方が上端部12Aよりもシンク10の外側に位置する。即ち、第一の内壁面10a1及び第二の内壁面10a2(図4及び図7参照)のそれぞれに設けられる第一のスライドガイド部19A及び第二のスライドガイド部19Bの開口10h側の上端部12Aの対向幅w1よりも、底面10b側の下端部12Dの対向幅w2の方が長くなっている。これにより、プレート9を斜めに傾けることで、そのプレート9を、図16Dに示すように、シンク10の底面10b上へと配置することも可能である。また、下段のスライドガイド部(ここでは第二のスライドガイド部19B)に配置されたプレート9を、同様に斜めに傾けることで、図16Cに示すように、シンク10の底面10b上へと配置することも可能である。これにより、プレート9を、シンク10の底面10bに配置した状態で使用できる。例えば、シンク10の底面10bに配置したプレートを水栓3の水を用いて洗う等、様々な使い方が可能になる。第一及び第二のスライドガイド部19A,19Bの下側傾斜面19cの傾斜形状は、プレート9を斜めに傾けてシンク10内の下方へと移動させるのに好適な形状である。
さらに、図16A及び図16Bに示すように、上段のスライドガイド部(ここでは第一のスライドガイド部19A)に配置されたプレート9は、持ち上げて上段のスライドガイド部から外し、シンク10の上方で90度回転させることで、上段のスライドガイド部よりも下方への移動が可能となり、例えば下段のスライドガイド部(ここでは第二のスライドガイド部19B)に配置することができる。
側面板部12は、上端部12Aがプレート9の板厚と同じ長さの第一の側面板部12X(図6参照)と、第一の側面板部12Xよりも上端部12Aが長く、傾斜部12C及び載置部12Bがより下側に位置し、下端部が短い第二の側面板部12Y(図8参照)と、を有する。第一の側面板部12Xは、第一方向10xに対面する形で2つ存在し、対面する内側壁面が上述の第一の内壁面10a1である。第二の側面板部12Yは、第二方向10yに対面する形で2つ存在し、対面する内側壁面が上述の第二の内壁面10a2である。なお、第一の側面板部12Xと第二の側面板部12Yとにおいて、傾斜部12C及び載置部12Bは、上下方向における形成位置は異なるものの、形状は同一である。
シンク10は、図10Aに示すような、底面板部13と、底面板部13から四方(即ち、各辺のある方向)に延出する4つの側面板部12(12X,12Y)と、を有した板材の曲げ加工により容易に製造できる。具体的にいえば、まずは図10B及び図10Cの上図及び中央図に示すように、曲げ加工により各側面板部12(12X,12Y)にリブをなすスライドガイド部19A,19Bを形成する。次に図10B及び図10Cの中央図及び下図に示すように、それら各側面板部12(12X,12Y)を底面板部13に対し立ち上がるように曲げる。次に、隣接する側面板部12同士(ここでは12Xと12Y)を溶接して接合する。この場合、図11に示すように、周方向に隣接する側面板部12同士(12X,12Y)においてスライドガイド部19A,19Bが同じ高さに無いので、それらスライドガイド部19A,19Bが重なることはない。それらスライドガイド部19A,19Bの端部を、隣接する側面板部12の両端側凹部19YA,19XBに対し合わせて溶接する。最後に、天板11をなす板材のシンク10用の孔部10Hに対し、四角形状の開口10hを形成する側面板部12の上端を溶接して接合する。これにより、上記シンク10が形成される。
シンク10の底面10bには、図2に示すように、外周側に偏った位置に排水口16が設けられている。これにより、底面10b上におけるプレート9の配置領域を広く確保できる。また、排水口16の上に覆い重なるようにプレート9を配置することもできる。これにより、底面10bそのものを広い作業スペースとして確保できる。ここでの排水口16は、厨房台100の奥行き方向10yの中央位置で、左右方向10xにおいて一方の外側に偏った位置に設けられる。なお、図示においては分かりにくいが、底面10bは、排水口16に向かって下る下り傾斜面をなしている。
水栓3は、シンク10の前記開口10hに対し、図2に示すように、左右方向10xにおける外側で、かつ奥行き方向10yにおける中間位置に配置されている。このため、対面作業をする際の双方の作業者にとって利用しやすい。また、ここでの水栓3は、左右方向10xにおける両外側にそれぞれ設けられている。このため、シンク10に対し左右方向10xに並んだ作業者にとっても利用しやすい。
収納部4は、ここでは引き出しである。図2に示すように、シンク10の下側には、厨房台100の奥行き方向10yの第一側(ここでは手前側)において当該第一側へと引き出す第一側引き出し41と、その奥行き方向10yの第一側とは逆の第二側(ここでは奥側)において当該第二側へと引き出す第二側引き出し42とが設けられている。ここでの第一側と第二側の引き出し41,42は、図2の破線が示すように、それぞれ厨房台100の奥行き方向10yの中間位置、あるいはその手前までの奥行き幅とされている。これにより、水栓3の厨房台100下の構造と干渉することのない形で、より広い収納面積を確保することができる。図2の破線は下段の引き出し4の配置を示している。
なお、収納部4は、引き出しに限られるものではなく、引き戸や開き扉を設けた収納等、他の収納部としてもよい。また、収納部4は、必ずしも奥行き方向10yの手前側と奥側との双方に設けなくともよい。例えば厨房台100がアイランドタイプではなく、奥行き方向奥側が壁面に面するタイプであれば、収納部4は、奥行き方向手前側のみに設ける。
プレート9は、ここでは所定機能を有するものが複数存在する。
第一プレート91は、図12A〜図12Dに示すように、対向する内壁面10a1−10a1,10a2−10a2間をまたがるように延出する第一プレート主部91A(以下、単にプレート主部91Aという)と、プレート主部91Aの両端側で下方に延出し、互いに対向する第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19B上に載置される外側載置部91Bと、を有した形状をなす。外側載置部91Bは、図15Bに示すように、互いに対向する第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bの載置面19bにおいて、シンク10の外側の領域をなす外側載置領域19b2上に載置される。
他方、第二プレート92は、図13A〜図13Dに示すように、対向する内壁面10a1−10a1,10a2−10a2間をまたがるように延出する第二プレート主部92A(以下、単にプレート主部92Aという)と、プレート主部92Aの両端をなすプレート端部92Bと、を有した形状をなす。それらプレート端部92Bは、図15Bに示すように、互いに対向する第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bの載置面19b上において、外側載置領域19b2よりも内側の領域をなす内側載置領域19b1に載置される内側載置部92Bである。
そして、第一プレート91と第二プレート92とが同一のスライドガイド部19A−19A,19B−19B上をスライドする。このとき、図15A及び図15Bに示すように、第一プレート91におけるプレート主部91Aの下側で、かつ外側載置部91Bに挟まれるプレート9の下側空間に対し、第二プレート92が収容可能である。これにより、シンク10の開口10hをプレート9で塞ぐ領域が減じられるから、底面10bへと通じるシンク10の開口領域を広く確保して作業することができる。また、図17に示すように、第二プレート92は、そのプレート9の下側空間を通過することも可能である。これにより、第一プレート91と第二プレート92とが同一のスライドガイド部19A−19A,19B−19B上に配置してある状態で、その並びを入れ替えたい場合に、プレート91,92を取り外さなくとも、互いをスライドさせるだけで、容易に入れ替えることができる。
また、図18の上図ように、シンク深さ方向10zの位置が異なるスライドガイド部19A,19Bのそれぞれにプレート9を配置し、それら2つのプレート9を交わるようにして使用することもできる。この場合、奥行き方向10yに長手方向を有するプレート9と、左右方向10xに長手方向を有するプレート9とが配置され、用途に応じて向きや高さの異なるプレート9を使い分ける作業が可能になるから、作業性に優れる。例えば、上段のスライドガイド部19A−19Aに、まな板としての第二プレート92を配置し、下段のスライドガイド部19B−19Bに第一プレートを置いた交差配置状態とすれば、上段の第二プレート92上でカットした野菜等を、下段の第一プレート91上に置いたボウルに落として入れる、といった効率的な作業ができる。また、この交差配置状態においては、シンク10の開口10h内に、底面10bに通じる開口が残るため、各段のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bに配置されたプレート9から、野菜の切りくず等を、底面10bに捨て落とすような作業も可能となる。
第一プレート91は、図15Bに示すように、互いに対向する第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bのいずれかに載置された場合に、そのスライドガイド部19A−19A,19B−19Bの対向方向外側から上側に立ち上がる対向する内壁面である上側立面19a,19aによってその対向方向の外側から挟まれる。つまり、第一プレート91は、シンク10において対向する上端部12A,12Aの間に挟まれる形で配置され、その対向方向の移動が規制された位置決め状態となる。さらにいえば、第一プレート91は、スライド移動時においても、それら上端部12A,12Aからその対向方向の移動を規制するガイドを受ける。
第二プレート92は、上側プレート部92Cと、下側プレート部92Dと、を有する。上側プレート部92Cは、プレート主部92Aの上側部分と、その長手方向の両端をなす内側載置部92Bと、で構成される。他方、下側プレート部92Dは、プレート主部92Aの下側部分である。具体的にいえば、下側プレート部92Dは、上側プレート部92Cから下側に膨出した部位であって、内側載置部92Bの下側が切り欠かかれた形状をなす。第二プレート92は、第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bのいずれかに載置された場合に、そのスライドガイド部19A−19A又は19B−19Bに対し下側プレート部92Dが上記対向方向の外向きに当接する。つまり、第二プレート92は、シンク10において対向する内壁面10a1−10a1,10a2−10a2からその対向方向に突出するスライドガイド部19A−19A,19B−19B(具体的にいえば対向する傾斜部12C,12C及び載置部12B,12B)に挟まれる形で配置され、その対向方向の移動が規制された位置決め状態となる。さらにいえば、第二プレート92は、スライド移動時においても、スライドガイド部19A−19A,19B−19B(傾斜部12C,12C及び載置部12B,12B)からガイドを受ける。
第一プレート91において、図15Bに示すように、外側載置部91Bの外側端面91bは、プレート主部91Aの外側端面91aよりも外側に位置する。これにより、第一プレート91においてシンク10(即ち、上端部12A)と接触する接触部は、外側載置部91Bのみとなる。シンク10が金属製で、第一プレート91のプレート主部91Aも金属製、そして第一プレート91の外側載置部91Bを樹脂製等とすれば、プレート主部91Aのシンク10との金属同士の接触を避けることができ、接触音や摺動音の発生や擦れによる傷の発生を防ぐことができる。
第一プレート91には、図12Dに示すように、プレート主部91Aをなす金属製の板材の両端が下方に曲げられ、その曲げ部分の先端部91Wが別体をなす樹脂製の外側載置部91Bに形成されている溝部91Vに差し込まれた形で組み付けられている。これにより、確実に、外側載置部91Bの外側端面をプレート主部91Aの外側端面よりも外側に位置させることができる。
なお、ここでの第一プレート91は、図12A〜図12Dに示すように、その板厚方向に貫通する水切り孔91h(図12A参照)を複数有する水切りプレートである。なお、図中に示す水切り孔91hの大きさは実際の寸法とは異なる。
第二プレート92は、図13A〜図13Dに示すカッティングプレート、いわゆるまな板である。第二プレート92は、図13Dに示すように、上側プレート部92Cの上側部分及びプレート端部92Bが樹脂製の一体構造部92nをなす。樹脂製であることにより、まな板としての機能を確保するとともに、第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bに対する金属同士の接触を避けている。ただし、第二プレート92は、通常のまな板に比べて非常に長いため、その長手方向の補強のための金属製フレーム92mが、下側プレート部92Dの表面を構成する形で設けられている。そして、金属製フレーム92mの内側には、金属製フレーム92mよりも軽量な、さらにいえば一体構造部92nよりも軽量な内側充填部92hが配置されている。ここでの内側充填部92hは、補強材である。例えば、内側充填部92hは、第二プレート92の板厚方向に貫通する筒状部が、第二プレートの主面の長手方向及び短手方向に密集してなる金属製や樹脂製のハニカム構造部として設けることができる。これにより、第二プレート92は、軽量で、なおかつ板厚方向の荷重に対し強い構造となる。なお、樹脂製の一体構造部92nは、下面中央が凹む凹形状をなす。そして、その凹形状部分に対し、金属製フレーム92mの内側に内側充填部92hが配置された構造体が嵌め込まれて固定される形で、第二プレート部92が形成されている。
また、第二プレート92は、図16Eに示すように、第一及び第二のスライドガイド部19A−19A,19B−19Bのいずれかに載置させる際に、対向するスライドガイド部の対向方向第一側に下側プレート部92Dの第一側の外側端部92Eを載置させ、かつその対向方向第一側のスライドガイド部から続く上端部12Aに上側プレート部92Cの第一側の外側端部(即ち、内側載置部92B)を当接させた状態とした場合に、上側プレート部92Cの第二側(即ち、上記第一側とは逆側)の外側端部(即ち、内側載置部92B)が、対向するスライドガイド部の対向方向第二側(上記対向方向第一側とは逆側)に載置する傾斜載置状態となる。つまり、第二プレート92は、対向するスライドガイド部上に、その対向方向に位置決めされない斜めに傾斜した形で配置されたとしても、シンク10下方に落ちるようなことがない形状となっている。
なお、第三プレート93として、図14A〜図14Dに示すシンクカバープレートがあってもよい。第三プレート93は、例えば図14Dに示すように、金属製の板材の四方を下方に折り曲げ、さらに内向きに折り曲げる形で(さらに言えばその先端をさらに内向きに折り返した形で)形成することができる。さらに、第一から第三のプレート91,92,93とは異なる第四プレートがあってもよい。
これら複数のプレート91,92を最上段に位置する第一のスライドガイド部19A上に並べて配置することで、図19Aに示すように、シンク10の開口10hに蓋をすることができる。また、これら複数のプレート91,92を1つ下の段に位置する第二のスライドガイド部19B上に並べて配置することで、シンク10の底面10bが見えないように蓋をすることもできる。また、複数のプレート91,92によってシンク10の開口10hを完全に蓋をするのではなく、図19Bに示すように、手を入れる程度の隙間10Wが残る形で、開口10hに蓋をしてもよい。隙間10Wが残ることで、開口10hに蓋をした状態にあるプレート91,92を持ち上げたり、スライドさせたりすることが容易となる。このため、双方のプレート91,92は、その短手方向の幅が開口10hの一辺の半分の長さ、もしくはそれ以下となるように形成されている。なお、3以上のプレート(例えばプレート91,92,93)でシンク10の開口10hに蓋をする構成でもよい。
また、ここでの第一プレート91は、図15Aのように第一のスライドガイド部19Aに配置された場合、その上面91tが天板11の上面100tと面一となるよう形成されている(図15B参照)。これにより、天板11の上面100tと、プレート9の上面とを、段差なく効率的に利用できる。なお、第三プレート93も、第一のスライドガイド部19Aに配置された場合に、その上面93t(図14B参照)が天板11の上面100tと面一となる。
上記実施例はあくまでも例示にすぎない。本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、追加及び省略等の種々の変更が可能である。
以下、他の実施例や変形例について説明する。ただし、上記実施例と同じ部分については同じ符号を付することで、説明を省略する。なお、上記実施例と下記実施例ないし下記変形例は、技術的な矛盾を生じない範囲において適宜組み合わせて実施できる。
上記実施例のシンク10では、シンク深さ方向10z(即ち、上下方向)において、第一のスライドガイド部19Aと第二のスライドガイド部19Bのそれぞれが1つずつ形成されているが、第一のスライドガイド部19Aと第二のスライドガイド部19Bのいずれか又は双方を複数形成してもよい。この場合、第一のスライドガイド部19Aと第二のスライドガイド部19Bとが交互に存在するようにすることで、曲げ加工及び溶接による製造が容易となる。また、この場合、全てのスライドガイド部19A,19Bの中で、第一のスライドガイド部19Aが最も上に位置することが望ましい。
上記実施例の厨房台100は、第一のスライドガイド部19Aと第二のスライドガイド部19Bを有するシンク10が1つ設けられている。このシンク10をメインシンク10Mとし、そのメインシンク10Mに対し厨房台100の奥行き方向10yに隣接するサブシンク10Sを設けてもよい。この場合、メインシンク10Mとサブシンク10Sとを仕切る仕切り壁部15のメインシンク10M側には、奥行き方向10yにおいて対向する第二のスライドガイド部19Bの一方が設けられるが、サブシンク10S側には、第二のスライドガイド部19Bが存在しない。即ち、サブシンク10Sにおいては、プレート9を厨房台100の奥行き方向10yにまたがって配置させることができない。
サブシンク10Sは、図24A及び図24Bに示すように、メインシンク10Mの第一のスライドガイド部19A上に載置された第一プレート91(ここでは第三プレート93も)がサブシンク10Sまでスライドして配置可能となるよう、第一のスライドガイド部19Aから連続して続く第三のスライドガイド部19Cを有する。第三のスライドガイド部19Cは、ここでは、サブシンク10Sの奥行き方向10yの幅がプレート9の短手方向の幅よりも短いため、第一のスライドガイド部19Aとは異なる形状をなす。即ち、図22に示すように、互いの対向方向内向きに延出する載置部12Bの下側は垂直に立ち下がる内壁面として底面10bまで延出する下端部12Dが形成される。第三のスライドガイド部19Cは、上端部12Aと、載置部12Bと、下端部12Dと、からなる段部(リブ)として形成されている。
仕切り壁部15は、第一プレート91のメインシンク10M−サブシンク10S間のスライド移動を妨げない形状をなす。即ち、仕切り壁部15は、第一プレート91の第一のスライドガイド部19Aと第三のスライドガイド部19Cとの間でのスライド移動を妨げない高さで形成されている。この場合の仕切り壁部15は、少なくとも第一のスライドガイド部19A及び第三のスライドガイド部19C上に載置された第一プレート91のプレート主部91Aの下端よりも低い高さとする必要がある。ここでは、図22に示すように、仕切り壁部15の上端面が、第一のスライドガイド部19Aの載置面19b(図6参照)と同じ高さとされ、当該載置面19bから屈曲して続く面として形成されている。
なお、仕切り壁部15を、第二プレート92のメインシンク10M−サブシンク10S間のスライド移動も妨げない高さとしてもよい。この場合、仕切り壁部15は、少なくとも第一のスライドガイド部19A上にガイドされた状態で載置された第二プレート92の最下面(即ち、下側プレート部92Dの底面92d:図13D参照)よりも低い高さとする必要がある。これにより、第二プレート92は、仕切り壁部15に干渉することなく、メインシンク10M−サブシンク10S間をスライド移動可能となる。
ここでの仕切り壁部15は、図25に示すように、第二プレート92のメインシンク10M−サブシンク10S間のスライド移動を妨げる高さで形成され、第二プレート92は、メインシンク10Mにおいてのみ奥行き方向10yにスライド可能とされている。具体的にいえば、この第二プレート92のスライド移動において、第二プレート92の下側プレート部92Dが仕切り壁部15の上端に当接し、それより先へのスライド移動を妨げる。
なお、サブシンク10Sの奥行き方向幅は、図26及び図27のように、より長くしてもよい。例えば、プレート9の短手方向の幅よりも長くしてもよい。この場合、サブシンク10Sの底面にプレート9を配置できるようにするために、側面板部12は、既に述べた下端部12Dと、傾斜部12Cと、載置部12Bと、上端部12Aと、を有した形状とするとよい。また、既に述べた第三プレート93(図14A〜図14D参照)を、サブシンク10Sのみ蓋をする専用プレートとしてもよい。このとき、第一〜第三プレート91,92,93を縦並び(即ち、奥行き方向に並ぶ)に配置することで、メインシンク10Mとサブシンク10Sとの双方に蓋がされるようにしてもよい。なお、第一〜第三プレート91,92,93を縦並びに配置したときに、メインシンク10Mとサブシンク10Sとの双方が完全に蓋がされた状態にならなくともよく、例えば手を入れられる程度の隙間10Wが残されていてもよい。
ところで、スライドガイド部19Aは、図28及び図29に示すように、四角形状に開口するシンク10の全周にわたって形成された環状スライド部19Aとすることもできる。この場合、図30に示すように、環状スライドガイド部19Aにおいて、第一方向10xに対向する第一のスライドガイド部19A1に第一プレート91を載置し、その第一方向10xと交差する方向10yにて対向する第二のスライドガイド部19A2に第二プレート92を載置した場合、第二プレート92は、第二のスライドガイド部19A2上をスライドすることで、第一プレート91の下を通過可能となる。つまり、こうした第一プレート91の下側への第二プレート92の収納及び通過は、図17に示すように、第一プレート91の長手方向と第二プレート92の長手方向とが一致する場合だけでなく、第一プレート91の長手方向と第二プレート92の長手方向とが異なる方向(ここでは直交する方向)であっても可能となる。