JP6790404B2 - 複合捲縮糸 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル系繊維の特徴、性能を生かした衣料用途に使用される織編物において衣服のマーケットニーズとして高質感と高機能性に対する高ストレッチ性能と防皺性に優れたテキスタイルに適用できる複合捲縮糸に関するものである。
衣料用途に使用される天然繊維、化学繊維において合成繊維のポリエステル系繊維は天然繊維の綿の生産量を追い越して年々増加している。綿は吸湿性能のため肌着から外衣に幅広い用途に使用されているが耕作面積に限界がある。一方、ポリエステル系繊維は短繊維、長繊維の品種が生産可能であり、また天然繊維の欠点を補完や性能付与による新分野や綿、麻、羊毛、絹やレーヨン等の化繊の質感を模倣する品種、さらには合繊独自の性能、機能を有する品種の開発と生産が行われている。ポリエステル系繊維の性能や機能性は、ポリマーの重合、紡糸、製糸における固有技術、要素技術による原糸、原綿の新しい品種開発と生産技術による新規品種の構築、これらの原糸や原綿を使用して新しい質感、性能、機能性など紡績、糸加工、製技術、染色加工等製編織加工及び縫技術による付加価値を付与することが行われている。
従来、ポリエステル系繊維の衣料用途におけるウールや綿・麻等の短繊維の紡績糸を使用する外衣分野におけるテキスタイルの高質感、性能、高機能性等のアプローチはポリエステルの短繊維より長繊維のフィラメントを製造する工程の方が要素技術により多様化可能性が多いため開発、展開が行われている。
特に近年のマーケットにおけるスーツ、ジャケット、ボトム(パンツ、スカート)等の外着用のアイテムにおいては、綿、麻やウール等の天然性の高質感とともに機能性要素のストレッチ性能とその回復性の良さと着用時の快適性、さらに着用による形態変化例えば皺が付きにくい、皺ついても取れやすい、あるいは上品な皺形状が保持されるといった多様性が求められている。
そのストレッチ性の多様性や回復性については、2種類のポリエステル系重合体をサイドバイサイド型あるいは芯鞘型コンジュゲート紡糸・製糸技術によるマルチフィラメントとそれらの加工、テキスタイルによりアプローチされており、2種類のポリマーとしてポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートを代表として複合、組み合わせで種々実施されている。
従来、高ストレッチ性が要求される衣料用テキスタイルは、ポリウレタン系弾性繊維を使用することによって問題になる堅牢度やシボ発現しにくく高品位でソフトなストレッチ性に優れた布帛をポリエステル系重合体のコンジュゲートマルチフィラメントの複合糸を使用することで解決することが提案されているが、単なる複合糸の構造的な課題があり、高質感や機能性の面で十分な効果は得られていない〈特許文献1参照〉。
また、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステルのサイドバイサイド型捲縮マルチフィラメントと非サイドバイサイド型捲縮マルチフィラメントの配列構造によってウール調のソフトなふくらみ感、適度な伸縮性を得ることが知られているが、高ストレッチ、バック性に課題があった〈特許文献2〉。
また一方、ポリエステル系弾性繊維がポリプロピレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維とポリエステル繊維の異収縮混繊糸により伸縮回復性が優れた織編物を得る提案がされているが十分な伸縮性と風合いの高質感が得られるものではなかった〈特許文献3〉。
さらに、2種類の潜在捲縮性異型ポリエステル系繊維の収縮率差と強撚糸条を用いた構造により、ポリウレタン系弾性糸条や仮撚加工糸条を使用せずに十分な伸縮性を得ることを目的に提案されているが、高ストレッチ性とソフトなふくらみ感のある高質感を得ることはむつかしい課題であった〈特許文献4〉。
さらに、2種類のポリマーがポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートのサイドバイサイド型コンジュゲートマルチフィラメントとポリウレタン系弾性繊維と合撚した糸条を複合紡績糸したときに伸縮性、伸縮回復性に優れることが提案されているが、長繊維テキスタイルの質感と性能を得るには不十分であった〈特許文献5〉。
さらに古くから2種類のポリエステル系重合体のポリエチレンテレフタレートポリマー同士のサイドバイサイド型コンジュゲートマルチフィラメント糸によるストレッチ性機能テキスタイルとして提案されており、改良技術としてそれらのマルチフィラメントの2糸条撚糸複合による効果訴求がされているが、ストレッチ性能としては不十分であった。〈特許文献6〉
特開2003−239151号公報 特許第385448号公報 特許第301535号公報 特開平6−322661号公報 特許第5222492号公報 特開2000−2267号公報
そこで本発明の目的は、従来技術では得られなかったポリエステル系マルチフィラメント繊維を使用した織編物であって、特に衣料用アウトウエアー分野に使用されるテキスタイルの着用時の快適性に寄与するストレッチ性、ふくらみ感、反発感に優れ、着用の審美性に寄与する皺の皺の付き難さに効果のある捲縮複合糸について提供することにある。
前記課題を解決するため本発明は以下の構成で実施する。すなわち、粘度が異なる少なくとも2成分のポリエステル系ポリマーがサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に接合したコンジュゲートマルチフィラメント繊維を少なくとも2種類を含み、長さ方向に収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸であって、その非収束部において上記2種類それぞれのコンジュゲートマルチフィラメント繊維の3次元コイル数比が1:1.5〜1:15で構成されることを特徴とする複合捲縮糸。
本発明の複合捲縮糸とその製造方法で得られる複合捲縮糸を使用することによって婦人・紳士衣料として着用されるアウトウエアー分野のアイテム、すなわち、ジャケット、スーツ、コートや特にボトムと称するパンツやスカートに使用されるテキスタイルは着用時の快適性に寄与する伸縮性を付与し、伸縮の回復性に優れ、特にポリウレタン弾性糸を複合することによって複合捲縮との構造により繊維間の拘束力を緩和してより大きな伸縮時の回復性に効果を発揮できる。また、着用時の審美性として皺の付きにくさ、いわゆる防皺性効果に寄与する効果を発揮する。さらに、原糸の複合構成によってテキスタイルの無地、杢調などテキスタイルの見た目の表現力をあわせて付与できる効果を有する。
本発明の実施例1で使用されるコンジュゲートマルチフィラメントの3次元捲縮発現コイル数(径)を異にする2品種の形態、繊維の形状を示す図面代用写真である。 本発明の実施例において得られる複合加工してなる単繊維発現捲縮コイルの構造形態を有する複合捲縮糸の繊維の形状を示す図面代用写真である。 本発明の複合捲縮糸の製造方法の一例を示すエアー交絡装置を備えた加工機のプロセス概略図である。
次に、本発明の複合捲縮糸およびその製造方法について詳細に説明する。
本発明の複合捲縮糸は、粘度が異なる少なくとも2成分のポリエステル系ポリマーがサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に接合したコンジュゲートマルチフィラメント繊維を少なくとも2種類を含み、長さ方向に収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸であって、その収束部および非収束部においてそれぞれのコンジュゲートマルチフィラメント繊維の3次元コイル数比が1:1.5〜1:15で構成される。
当該複合糸を構成するコンジュゲートマルチフィラメント繊維は、粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型複合紡糸によって得られるものであって、ポリマーの品種は、ポリエステル系の繊維形成性の代表的にはポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートあるはポリブチレンテレフタレートから選べることができる。これらの繊維に発現する3次元コイル状捲縮は、紡糸後の延伸と熱によって2成分のポリマー間の内部歪の差によって生じるといわれており、捲縮の発現顕在化はコンジュゲート繊維がリラックス状態で熱を受けた時に発現する潜在捲縮発現能力に加え、原糸のリラックスによる緊張緩和により発現する発現能力がある。熱処理により発現する潜在捲縮発現能力は当該コンジュゲートマルチフィラメント繊維を使用したテキスタイルでの効果を実現するため最も重要要件であり、従来はこの繊維の能力を活用してきた。
本発明の複合捲縮糸は3次元コイル数が異なるコンジュゲートマルチフィラメント繊維を少なくとも2種類を含む長さ方向に収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸とすることが重要である。収束部とは2種類のコンジュゲートマルチフィラメント繊維の単糸の一部分が交絡されている部分であり、非収束部とは交絡されていない部分のことで、収束部以外の部分である。
収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸とすることで、両者のコンジュゲートマルチフィラメント繊維の3次元コイル捲縮の特徴が最大限発揮されることを見出した。つまり、3次元コイル径が小さく3次元コイル数が多いコンジュゲートマルチフィラメント繊維が非収束部でストレッチ性、ふくらみ感に効果を発揮し、3次元コイル径が大きく3次元コイル数が少ないコンジュゲートマルチフィラメント繊維は収束部で反発感、防皺性に効果を発揮することができる。単に2種類のコンジュゲートマルチフィラメント繊維を撚り合わせた糸ではお互いの3次元コイル捲縮が干渉し、ストレッチ性や反発感が不足する。
また、それぞれのコンジュゲートマルチフィラメント繊維の3次元コイル数比が1:1.5〜1:15で構成されることで、ストレッチ性やふくらみ感、及び反発感や防皺性が両立することができる。
3次元コイル数比が1:1.5未満ではストレッチ性やふくらみ感、もしくは反発感や防皺性のどちらかの特徴を得ることできない。また、1:15を超えるとコイル捲縮差が大きすぎ、糸にタルミが発生しやすくなり、工程通過性が悪くなる。
このコンジュゲートマルチフィラメント繊維に発現する3次元コイル構造捲縮発現は、ポリエステル系ポリマーのサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型構造においてポリマー品種差、粘度差等と複合紡糸におけるそれぞれポリマーの比率、および貼り合わせ形態、紡糸温度さらには延伸時の温度、張力等の要因や条件によって異なる。通常、コンジュゲートマルチフィラメント繊維の紡糸や延伸の条件は製糸性、工程通過性や潜在捲縮発現力等の品質重視で設定され、一般にテキスタイルを製造する織編物生産の準備工程においては、原糸の形態としてマルチフィラメント繊維がストレートで収束した形態の方が工程通過性良く歓迎される。それに対して当該捲縮発現性コンジュゲートマルチフィラメント繊維は、全くのストレート形状でなくマルチフィラメント繊維がカールした形態の傾向にある。
本発明における複合捲縮糸としてコンジュゲートマルチフィラメント繊維の原糸でのコイル状3次元捲縮発現は、上述のポリエステル系ポリマー、紡糸条件、延伸条件等で変化できる性能である。本発明に使用されるコンジュゲートマルチフィラメント繊維は、熱処理前のコンジュゲートマルチフィラメント繊維1種類の捲縮マルチフィラメント繊維(A)の単繊維発現捲縮コイル数、もう一方の捲縮マルチフィラメント繊維(B)の単繊維発現捲縮コイル数であって、捲縮マルチフィラメント繊維(A)は、高粘度サイドがポリエチレンテレフタレートと低粘度サイドがポリエチレンテレフタレートから成るコンジュゲートマルチフィラメントであり、かつ熱処理前の単繊維の発現捲縮コイル(径が大きく)数が少なく、他方、捲縮マルチフィラメント(B)は、高粘度サイドがポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートと低粘度サイドがポリエチレンテレフタレートから成るコンジュゲートマルチフィラメント繊維であって、単繊維の発現捲縮コイル(径が小さく)数の多いマルチフィラメント繊維が好ましく使用できる。
また、複合捲縮糸の好ましいコンジュゲートマルチフィラメント繊維(A)と(B)の構成比率は20:80〜80:20である。この構成にすることで、2糸条を複合する際の張力差が延伸あるいは弛緩条件においても使用するそれぞれの複合前の原糸の発現コイル特性を大きく変化しない条件で実施できる。
例えば、複合捲縮糸のトータル繊度が100dtexであり、2品種のコンジュゲートマルチフィラメント繊維単独で構成される場合、1品種が20〜80dtex:他品種が80〜20dtexである。また、コンジュゲートマルチフィラメント繊維と非コンジュゲートマルチフィラメント繊維を含む3品種のマルチフィラメント繊維から構成され、非コンジュゲートマルチフィラメント繊維が20dtexであればコンジュゲーマルチフィラメント繊維80dtexにおいて16〜64dtex:64〜16dtexの構成比率となる。この構成を超える比率では2糸条を複合する際にタルミが生じやすくなり、工程通過性が悪くなる。
また、複合捲縮糸のトータル繊度は、40〜900dtexが好ましい。40dtex未満では3次元コイル捲縮が発現しにくくなり好ましくない。900dtexを超えると、テキスタイルで硬い風合いとなり、好ましくない。外衣用途のテキスタイルにさらに好ましく使用される範囲としては80〜600dtexである。
複合捲縮糸の沸水処理における発現捲縮伸長率は、複合糸を構成するコンジュゲートマルチフィラメント繊維が熱水中で潜在3次元コイル状捲縮を発現させ、収縮により熱処理前より小さなコイル径となり、数の異なる捲縮が発現した構造となる。
また、本発明の複合捲縮糸の発現捲縮伸長率が15〜200%の性能を有することが高ストレッチ性を得られるので好ましい。
ただし、発現捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100
L0:コンジュゲートマルチフィラメント繊維をカセ取機でカセにとり1昼夜放置リラックスさせてコイル状捲縮を発現させた後、0.36×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
L1:L0を測定後,L0測定荷重を取り除き、0.9×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
この際、発現捲縮伸長率が15%未満のときはストレッチ性が不足するので好ましくない。また発現捲縮伸長率が200%を超えるときにはストレッチ性が高すぎ、ストレッチバックが低下し、生地にパッカリングが生じ易くなり好ましくない。
また、本発明の複合捲縮糸は沸水処理前に下記測定により、発現捲縮伸長率が15〜100%の性能を有することが、沸水処理で3次元コイル捲縮を最大限発現させることができ、好ましい。
ただし、発現捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100
L0:コンジュゲートマルチフィラメント繊維をカセ取機でカセにとり1昼夜放置リラックスさせてコイル状捲縮を発現させた後、0.36×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
L1:L0を測定後,L0測定荷重を取り除き、0.9×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
この発現捲縮伸長率は、加工する前のコンジュゲートマルチフィラメント糸が複合工程において受ける外力に打ち勝って3次元コイルの捲縮発現する能力を有することを示すもので当該原糸を熱処理することによって発現する捲縮の伸長率に比較して小さい応力であり、そのため測定荷重を変更している。
この複合捲縮糸は、複合するコンジュゲートマルチフィラメント繊維や他の複合する原糸品種の組み合わせによって糸形状を異にするが、複合糸に撚りがない場合(追撚がない)伸長した時には一体となって引きそろった形態を示すが、張力を緩めるとコンジュゲートマルチフィラメント繊維の異なる3次元コイル数の捲縮発現し捲縮マルチフィラメント繊維が開繊し長さ方向に収束部と非収束部を繰り返す形態の捲縮構造糸である。一方、複合捲縮糸に撚糸で撚りを付与することにより、撚糸工程では張力によって複合原糸が引きそろえられ一体となった状態で撚によって収束されたほぼ単繊維のたるみもなく引きそろった撚糸となり、テキスタイルの製織編工程で問題ない形態になる。非収束部と収束部の構造は、撚糸数によって長さ方向の分布状態が変化するのでテキスタイル化において撚糸数の選定が重要となる。
次に、当該複合糸の好ましい様態につて記述する。
使用するコンジュゲートマルチフィラメント繊維について、発現捲縮の3次元コイル数は、ポリマー品種、紡糸の口金形状、延伸の諸条件を変更しても粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型の捲縮マルチフィラメント繊維においては、高粘度ポリマーにポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレート、低粘度ポリマーにポリエチレンテレフタレートを用いたコンジュゲートマルチフィラメント繊維の方が3次元コイル状捲縮の発現コイル径が小さくまた数が多く捲縮発現力が大きい傾向にあり、高粘度および低粘度両方のポリマーにポリエチレンテレフタレートを用いたコンジュゲートマルチフィラメント繊維は、3次元コイル状捲縮の発現コイル径が大きく、捲縮発現力が小さい傾向にある。したがって、複合捲縮糸における1種類の捲縮マルチフィラメント繊維(A)と、もう一方の捲縮マルチフィラメント繊維(B)の単繊維発現捲縮コイル数の3次元コイル数比が1:1.5以上を満たす要件に対応するコンジュゲートマルチフィラメント繊維の複合品種としては、捲縮マルチフィラメント繊維(A)がポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート、捲縮マルチフィラメント繊維(B)が高粘度および低粘度両方のポリマーにポリエチレンテレフタレートの組み合わせ、あるいは捲縮マルチフィラメント繊維(A)がポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートの組み合わせ、捲縮マルチフィラメント繊維(B)が高粘度および低粘度両方のポリマーにポリエチレンテレフタレートの組み合わせが2種類の3次元コイル状の発現コイル数の多い、あるいは少ない構造が好ましく寄与し、テキスタイルの製編織および染色工程において副次的効果があり望ましい。この副次的効果とはポリエステル系ポリマーの性質として高濃度アルカリに対する化学反応の性質を利用したアルカリ減量速度は、ポリトリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートは極めて遅く、減量効果による特徴が期待できない。一方ポリエチレンテレフタレートはアルカリに対する濃度、温度条件の変更において断然速度が速くテキスタイルに減量効果が大きい。すなわち、ポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートポリマーを使用したコンジュゲートマルチフィラメント繊維とポリエチレンテレフタレートポリマー100%を使用したコンジュゲートマルチフィラメント繊維の組み合わせは、ポリエチレンテレフタレートの減量によりテキスタイルの染色加工工程で捲縮発現による効果に加えて繊維間空隙効果による拘束力低下により、テキスタイル質感としてのふくらみ、反発感およびドレープ性、機能性としてストレッチ性、そのキックバック性さらには防皺性に効果が期待される。
さらに上述の2種以上のフィラメントから構成される複合捲縮糸としては、粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型の熱処理前に発現捲縮コイル径を異にする2種類のコンジュゲートマルチフィラメント繊維と、さらに他のフィラメント繊維を加えた集合体について説明する。
複合捲縮糸の構成要件としては、基本的には、発現捲縮マルチフィラメント3次元コイル状発現捲縮のコイル数が異なるマルチフィラメント繊維の複合によって熱水中での潜在捲縮発現構造により、テキスタイルでのストレッチ性や伸長回復性等の高機能性、さらには防皺性効果に寄与するが、そのほかにテキスタイルを使用したアイテムに高質感として触感や見た目の高級感として生地の表情や縫製品としての上品さ、仕立て映えなど当該技術による優位性が必要である。まず、コンジュゲートマルチフィラメント繊維に加えて効果のある他のマルチフィラメント品種としては、カチオン染料可染型マルチフィラメント繊維、極細マルチフィラメント繊維(直紡、海島等割繊型)、微細粒子添加マルチフィラメント繊維やポリウレタン弾性糸から選択できる。カチオン染料可染型マルチフィラメント繊維は、外衣用途のウールのテキスタイル分野で表情としての高質感として杢タイプのテキスタイルとして必須であり、ウールのクオリティを上回るためには必須である。極細マルチフィラメント繊維は、単子繊度1dtex以下の繊維でのソフトな風合いに必要であり、当該複合捲縮糸を使用したスエードタイプのテキスタイルでは高級感の付与には欠かせない。また、微粒子添加型マルチフィラメント繊維は礼服など黒の発色性が重視されるテキスタイルには欠かすことができない原糸である。さらには、ポリウレタン系弾性糸は、ポリエステルとの複合テキスタイルでは染色条件による脆化、組織構造による制約面からポリウレタン系弾性糸の高ストレッチ性が必要な用途で十分なストレッチ、バック性が十分出せていないテキスタイルにポリウレタン系弾性糸を2〜4倍に延伸した状態で比較的芯に配列される構造の複合捲縮糸を使用することによって好ましいストレッチ性効果を得ることができる。
当記載の複合捲縮糸は、織編物製造工程においてそのまま使用することができるが、撚糸工程において加撚することによって新しい質感や機能性をテキスタイルに付与できる。質感としては、テキスタイルのタッチや張、腰、反発の風合いであり、機能性としてはストレッチ性や防皺性の効果である。すなわち、粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型マルチフィラメント繊維が持つ熱処理前の異なる3次元捲縮コイル径および位相構造が撚りのピッチとの関係でテキスタイルが染色工程の熱収縮で捲縮発現し単繊維間に立体的異なる空隙構造を生じるものと推定される。この空隙構造は、染色工程にけるポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント繊維のアルカリ減量によりさらに効果が大きく寄与することになる。この付与する撚としては、テキスタイルの用途により異なるが、下記式で示される撚り係数αが10〜200である。
撚数T=α√D
ただし、
T:撚数(t/m)、
α:撚係数、
D:複合糸のトータル繊度(dtex
次に複合捲縮糸の製造方法について説明する。
まずは、複合捲縮糸のマルチフィラメント繊維の複合化に関し述べる。複合捲縮糸は2種類以上のフィラメント繊維から構成される複合糸であって、構成する基本原糸は粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型の熱処理前に発現捲縮コイル数を異にする2種類のコンジュゲートマルチフィラメント繊維の2品種である。さらに、当該基本の2品種に他のフィラメント原糸を複合した場合も本発明の要件に含まれる。
本発明の複合方法は構成する複数のフィラメントを引きそろえて複合糸にするには、発現捲縮の3次元コイル数が異なるマルチフィラメント繊維を複合糸の長さ方向において収束部と非収束部エアー配置する方法として交絡・混繊機やタスラン加工機を用いる方法を採用する。従来のパーンワインダーで合糸する方法あるいは合撚機を使用する方法では、本発明の3次元コイル数の複合構造を得ることはできない。複合捲縮糸を構成するフィラメント原糸をクリールに仕掛け、張力をコントロールしながら引き揃えてエアー加工ノズルに供給するが、インターレースノズルで加工する場合とタスランノズルで加工する場合、構成するフィラメント繊維の供給フィード率条件が大きく異なる。インターレース加工は、フィラメントが長さ方向に引き揃えられ圧空ノズルで単フィラメント通しを部分的に交絡させてずれにくくするのが目的で行われるので複合捲縮糸の長さ方向に緊張した時に単繊維の弛みはほぼない状態となる。本発明は、インターレース交絡本来の工程通過性を良くする目的とさらに複合糸の長さ方向に収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸であって、その非収束部および収束部においてそれぞれのコンジュゲートマルチフィラメント繊維の3次元コイル数比が1:1.5〜1:15の範囲で構成する構造を得るために実施する。その条件として、供給2糸条に0〜3%程度のフィード差を設定し実施する。複合捲縮構造を有する複合糸は、長さ方向においてそれぞれが有する2種類の3次元コイル数を異にするマルチフィラメント繊維が引き揃えられて混繊交絡した収束部と開繊部の異捲縮数によって生機の染色加工において熱収縮と潜在コイル捲縮の発現により、比較的捲縮発現コイル数が多い原糸が内層にコイル数の少ない方が外層に多層構造を形成することにより織物構造を変化させ質感と機能性効果付与を可能にする。
一方、タスランノズルによる加工は、複合捲縮糸を構成するマルチフィラメントそれぞれのフィード率を変更して加工することによってフィード率の小さい原糸が比較的芯側に位置し、フィード率の高い方が比較的に鞘側に位置する構造になる。このタスラン加工は圧縮空気を乱流化させるノズルにおいてフィード率をインターレース加工より大きくすることにより引き揃えて供給するフィラメント繊維の一部が開繊されてループ形状で交絡した複合構造となる。タスラン加工による複合糸の構造はインターレース加工に比較して非収束部および収束部の長い部分とコイル数の多いフィラメント繊維が開繊された形態の部分が多い複合糸となる。
ここで、エアー加工機を用いて2種類の3次元コイル状捲縮発現原糸に加えて他の原糸を必要本数複合する方法について説明を加える。すなわち、エアー加工機に複数のローラー間で延伸と熱処理するヒーターを備えたスペックの加工機を使用することによってポリエステルフィラメント繊維のPOY、延伸糸、ナイロンフィラメント糸、レーヨンフィラメント糸、アセテートフィラメント糸などと複合加工することができる。特に好ましい複合加工としては、ポリエステル系ポリマーを使用したPOYを使用し、ノズルで交絡する前に、供給POYを延伸、熱処理して3次元コイル数(径)を異にする原糸と交絡することによって、高度な新しい質感、機能性が要求されるテキスタイルを得る生産技術として好ましく応用できる。使用するポリエステルPOYは、カチオン可染型や粒子添加型、極細繊維割繊型が好ましく、さらに好ましくは粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型の捲縮マルチフィラメントPOYを用いることによって従来の梳毛調長繊維使用テキスタイル分野で全く新しい質感と機能性を有する織編物提供を可能にする。さらに、粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型の熱処理前に発現捲縮コイル数を異にする2種類のコンジュゲートマルチフィラメント繊維を供給糸として糸加工機のフィードローラーの次に設置した2対のローラー間で延伸あるいは弛緩しつつヒーターで熱処理することにより3次元コイル数や径の大きさを制御する方法も採用可能である。
なお、図1(A)(B)は、本発明の実施例1で使用されるコンジュゲートマルチフィラメントの3次元捲縮発現コイル数(径)を異にする2品種の形態、繊維の形状を示す図面代用写真であり、(A)はコイル径が大きく、コイル数が少ないコンジュゲートマルチフィラメント、(B)はコイル径が小さく、コイル数が多いコンジュゲートマルチフィラメントである。
また、図2(A)(B)は、本発明の実施例において得られる複合加工してなる長さ方向に収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸であって、単繊維発現捲縮コイルの構造形態を有する複合捲縮糸の繊維の形状を示す図面代用写真であり、(A)はエアー交絡加工、いわゆるインターレース加工複合捲縮糸、(B)は流体乱流加工、いわゆるタスラン加工複合捲縮糸を示す。
また、図3は、本発明の複合捲縮糸の製造方法の一例を示すエアー交絡装置を備えた加工機のプロセス概略図である。
次に、本発明の複合捲縮糸およびその製造方法に関し、具体的に説明する。上述の実施形態および実施例に示す測定方法を示す。
(1)熱処理前の発現捲縮伸長率
発現捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100
ただし、
L0:コンジュゲートマルチフィラメント繊維をカセ取機で10回巻きカセにとり1昼夜放置リラックスさせてコイル状捲縮を発現させた後、0.36×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
L1:L0を測定後,L0測定荷重を取り除き、0.9×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
(2)沸水処理における発現捲縮伸長率
発現捲縮伸長率(%)=[(L0−L1)/L0]×100
ただし、
L0:コンジュゲートマルチフィラメントをカセ取機でカセにとり1昼夜放置カセをガーゼにフリーな状態で包み、98℃×15分で熱水処理しリラックスさせてコイル状捲縮を発現させた後、1昼夜風乾後、9×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
L1:L0を測定後,L0測定荷重を取り除き、22.5×10−3cN/dtexの荷重を吊るした時の30秒後のカセ長
(3)3次元捲縮コイル径
熱処理前の発現捲縮伸長率を測定用に作成したカセからランダムに10cm長さで原糸をガラス版にフリーにおいて貼り付け、キーエンス製マルチスコープで計測スケールを表示しコイル径を確認する。
(4)3次元コイル数比
熱処理前の発現捲縮伸長率を測定用に作成したカセからランダムに50cmの長さで複合捲縮糸を抜き出し、それぞれのコンジュゲートマルチフィラメントの開繊部のコイル数を数え、その比を3次元コイル数比とする。
(5)ヨコ打ち込み織物の評価
(a) ストレッチ性
JIS L1096(2010)の伸縮織物及び編物の伸縮性測定法B法(織物の定荷重法)の規定に準じて測定。織物の長さ方向に幅50mm、幅方向に長さ300mmのサンプルを3枚採取し、つかみ間隔200mmのスケールを表示し、両幅から糸を取り除いて1.5kgの荷重をかけて1分後の長さを測り、ストレッチ率を計算する。
(b) ふくらみ感
実施例で作成した織物のふくらみ感において、特に優れたなふくらみ感のあるタッチを有しているものを◎、良いふくらみ感のあるタッチを有しているものを○、少しふくらみ感が不足しているものを△、ふくらみ感がないものを×とし、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを結果とした。
(c) 反発感
実施例で作成した織物の反発感において、特に優れたな反発感を有しているものを◎、良い反発感を有しているものを○、少し反発感が不足しているものを△、反発感がないものを×とし、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを結果とした。
(d) 防しわ性
実施例で作成した織物の反発感において、タテ・ヨコ30cmのサンプルで着用時を想定した荷重感覚で握って開いてテーブルに置き、しわの形状と生地を手で撫でてしわの取れやすさを官能判定した。しわがとれるものを◎、ほとんどのしわがとれるものを○、しわが少し目立つものを△、しわが目立つものを×とし、無作為に選んだ10人の評価の平均に近いものを結果とした。
(実施例1)
糸加工前の発現捲縮コイル数少のマルチフィラメント繊維(A)として、極限粘度0.52のポリエチレンテレフタレートポリマーから成る低粘度成分と、極限粘度0.75のポリエチレンテレフタレートから成る高粘度成分とを重量複合比(%)50:50で並列型に貼り合わせたコンジュゲート糸を延伸・熱処理部を持つダイレクトスピニング紡糸機で速度4、000m/secで巻取り、熱処理前の発現捲縮3次元コイル径が3mmの繊度56dtex、フィラメント数12本のセミダル丸断面マルチフィラメント糸を得た。(図1(A))もう一種の発現捲縮コイル数の多いマルチフィラメント繊維(B)として、極限粘度1.38のポリトリメチレンテレフタレートから成る高粘度成分と極限粘度が0.65のポリエチレンテレフタレートから成る低粘度成分とを重量複合比(%)50:50から成るこれより熱処理前の発現捲縮3次元コイル径が1mmの56dtex、フィラメント数24本のセミダルダルマ型断面マルチフィラメント糸を得た(図1(B))。得られた2種類のコンジュゲートマルチフィラメント繊維の複合加工をするにあたり熱処理前の発現捲縮率およびコイル径を測定した結果(A)は発現捲縮率が20.1%、コイル径が3mm、(B)は発現捲縮率が88.3%、コイル径が1mmであった。得られた2種類のマルチフィラメント糸(A)(B)を図3に示す糸加工設備のクリール1およびクリール3に仕掛け複合糸加工を実施した。フィラメント数1:1.5本の原糸(A)は、フィードローラー4〜9間でフィード率による張力を調整してもう一方の原糸(B)と引き揃えエアー交絡ノズル10にて圧空処理であるインターレース処理を施し、巻き取りロール12にて複合捲縮糸をチーズ13に巻き上げた。加工上がり複合糸を所定の方法にて特性を評価した。熱処理前発現捲縮伸長率は、69.8%で糸形態は図2(A)に示すように複合糸の長さ方向に収束部と非収束部を有し、3次元コイル数が少ない(A)とコイル数の多い(B)のコイル数比を1:2.5の範囲で異にする構造を有していた。この複合糸の沸水処理発現捲縮伸長率は122.8%を示した。得られた複合捲縮糸を村田機械(株)製撚糸機としてWT310型ダブルツイスターにてS撚1,000T/Mを付与し、65℃、40分の真空スチームセット機で撚り止めセットを行い、エアージェットルームで経糸に通常使用されているポリエステルDTYの56T−72セミダルフィラメント糸のヨコ糸に使用し2/1ツイル組織で製織した。続いて生機を染色加工工程に投入した。98℃拡布連続精練のあと130℃液流リラックス処理、180℃で中間セット、15%のアルカリ減量と分散染料での130℃染色を行い、捲縮発現を十分にする加工を実施し幅出しセット仕上げをした。得られた生地はストレッチ性に優れ、ふくらみ感、反発感、防しわ性にも特に優れていた。
(実施例3)
実施例1の糸加工において、糸加工前の発現捲縮コイル数が少ないマルチフィラメント繊維(A)ともう一種の発現捲縮コイル数の多いマルチフィラメント繊維(B)とさらに、カチオン可染型ポリエステルマルチフィラメントDTYの84dtex、36フィラメントの仮撚加工糸をクリール2に仕掛けフィードローラー4′〜9でフィード率による張力調整を行いインターレースノズル10に3糸条を引きそろえて供給し圧空処理を行い複合糸の長さ方向に3次元コイル数の異なる収束部と非収束部を持った複合捲縮糸とした。複合捲縮糸の熱処理前発現捲縮伸長率は実施例1に比較し低い値であるが60.1%であり、3次元コイル数比は1:2.4であった。またこの複合の沸水処理発現捲縮伸長率は、51.3%であった。複合糸は撚り数を750T/Mに変更し、染色加工を110℃カチオン染料で染色した以外は実施例1に準じて評価した。得られた生地は梳毛調の外観を有し、ストレッチ性、防しわ性の機能性に優れ、ふくらみ感、反発感の風合いも特に優れていた。
(実施例4)
実施例1の複合加工において、糸加工前の発現捲縮コイル数が少ないマルチフィラメント(A)の56dtex、フィラメント数12本のセミダル丸断面マルチフィラメント糸をクリール2に仕掛けフィードローラー4′から供給し、80℃の熱ピンローラーに接触させて予熱し、フィードローラー6とフィードローラー8の間に設置し150℃に加熱したヒーターに5%のオーバーフィード率で供給して当該マルチフィラメント繊維の発現3次元コイル数を多くした。もう一種の発現捲縮コイル数の多いマルチフィラメント繊維(B)の56dtex、フィラメント数24本のセミダルダルマ型断面マルチフィラメント糸をクリール1に仕掛けてフィードローラーから供給しローラー9で2本引き揃えてローラー9と11の間に設置したインターレースノズル10に供給し複合加工した。得られた複合捲縮糸は実施例1よりも異なる捲縮数の小さい径の3次元コイルが複合された収束部と非収束部から構成されるものであった。得られた複合捲縮糸の熱処理前発現捲縮伸長率が71.5%、3次元コイル数比は1:2、沸水処理発現捲縮伸長率が97%であった。複合糸は、実施例1に準じて評価した。得られた生地はストレッチ性、防しわ性の機能性に優れ、ふくらみ感、反発感の風合いも優れていた。
(実施例5)
実施例3のコンジュゲートマルチフィラメント糸2本加工において、さらにテキスタイルでの風合い、外観等の新規効果を付与するためクリール2に紡糸速度3,000m/minで紡糸したカチオン可染型ポリエステルマルチフィラメント繊維の140dtex36フィラメントのPOYを仕掛け、3糸条構成の複合捲縮糸を作った。POYはフィードローラー4′と6の間に設置のホットピン5の温度80℃で予熱・低倍率延伸し、ローラー6と8との間に設置のヒーター7で170℃熱セットを行いローラー9で3糸条を引き揃えてローラー9と11の間に設置したタスランノズル10で3次元コイル発現原糸2品種とその他のマルチフィラメント糸1品種で複合捲縮糸を作った。複合捲縮糸の熱処理前発現捲縮伸長率は58%、3次元コイル数比は1:4.5、沸水処理発現捲縮伸長率は50%であった。複合糸は、撚り数を750T/Mに変更した以外は実施例1に準じて評価した。得られた生地は綿調外観を有し、防しわ性に特に優れ、ストレッチ性、ふくらみ感、反発感にも優れていた。
(比較例1)
実施例1に使用の発現捲縮コイル数の多いマルチフィラメント繊維(B)の極限粘度1.38のポリトリメチレンテレフタレートから成る高粘度成分と極限粘度が0.65のポリエチレンテレフタレートから成る低粘度成分とを重量複合比(%)50:50から成るこれより熱処理前の発現捲縮3次元コイル径が1mmの56dtex、フィラメント数24本のセミダルダルマ型断面マルチフィラメント糸を図3の糸加工機のクリール1及び3に仕掛け、フィードローラー4および4″でフィード率を設定しローラー9で引き揃えてローラー9と11の間に設置したインターレースノズル10で圧空処理を行い捲縮複合糸に加工した。複合捲縮糸の熱処理前発現捲縮伸長率は89%、3次元コイル数比は1:1.1、沸水処理発現捲縮伸長率は165%であった。複合糸は実施例1と同条件で評価実施した。得られた生地はストレッチ性は特に優れていたが、捲縮発現が均一であるためふくらみ感・防しわ性が不足し、反発感ない結果となった。
(比較例2)
実施例1と同様のマルチフィラメント繊維(A)とマルチフィラメント繊維(B)を用いて、合撚1000T/Mのみを実施した。得られた複合撚糸は実施例1と同条件で評価実施した。得られた生地は3次元コイル捲縮がほとんど発現できずストレッチ性は不足しており、ふくらみ感もなく、防しわ性、反発感も不足する結果となった。

Claims (6)

  1. 粘度が異なる少なくとも2成分のポリエステル系ポリマーがサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型に接合したコンジュゲートマルチフィラメント繊維を2類含む長さ方向に収束部と非収束部を繰り返すフィラメント糸であって、その非収束部において上記2種類それぞれのコンジュゲートマルチフィラメント繊維の3次元コイル数比が1:1.5〜1:15で構成されることを特徴とする複合捲縮糸。
  2. 粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型のコンジュゲートマルチフィラメント繊維の1本が粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーがポリエチレンテレフタレートからから成り、もう一本の方がポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートからなるコンジュゲートマルチフィラメント繊維であることを特徴とする請求項1に記載の複合捲縮糸。
  3. 3次元コイル数が少なるコンジュゲートマルチフィラメント繊維は高粘度サイドがポリエチレンテレフタレートと低粘度サイドがポリエチレンテレフタレートから成り、他方の3次元コイル数がなるコンジュゲートマルチフィラメント繊維は、高粘度サイドがポリトリメチレンテレフタレートあるいはポリブチレンテレフタレートと低粘度サイドがポリエチレンテレフタレートから成ることを特徴とする請求項1または2に記載の複合捲縮糸。
  4. 粘度の異なる2種類のポリエステル系ポリマーからなるサイドバイサイド型あるいは偏心芯鞘型のコンジュゲートマルチフィラメント繊維の熱処理前の単フィラメントの発現捲縮コイル数を異にする2種類のマルチフィラメント繊維含むフィラメントに加え、他のフィラメント繊維を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合捲縮糸。
  5. コンジュゲートマルチフィラメント繊維および/または他のフィラメント繊維がカチオン染料可染マルチフィラメント繊維を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合捲縮糸。
  6. 複合捲縮糸が下記式で示される撚り係数αが10〜200の範囲で撚糸されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合捲縮糸。
    撚数T=α√D
    ただし、
    T:撚数(t/m)、
    α:撚係数、
    D:複合糸のトータル繊度(dtex)
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