JP6789736B2 - ニッケル触媒を用いた糖カルボン酸の製造方法 - Google Patents

ニッケル触媒を用いた糖カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、糖質の還元末端側のアルデヒド基が酸化された糖カルボン酸を製造する方法に関する。
マルチトールや還元水飴などの糖アルコールは、ラネーニッケル触媒の存在下で、原料となるマルトースや水飴に、水素を5〜10MPaとなるように圧入し、100〜120℃程度の条件下で、高圧高温反応による還元反応により得る方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
マルトビオン酸を初めとする糖カルボン酸を得る方法としては、例えば、パラジウム、白金、ビスマスなどを活性炭などに担持させた触媒の存在下で、マルトースと酸素とをアルカリ雰囲気下で接触酸化させることにより得る方法が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4)。
特公昭47−010977号 特開平09−132587号 特開昭57−059828号 特開2011−236215号
一方、これまでにラネーニッケル触媒を用いてマルトビオン酸などの糖カルボン酸製造に関する知見はない。
上述の特許文献1、2の糖アルコールの製造方法、特許文献3、4の糖カルボン酸の製造方法における酸化又は還元反応では、酸素又は水素を原料として供給が必要であり、特に糖アルコールの製造においては、高圧の水素ガスが必要となる。
このため上述の方法では、糖アルコールと糖カルボン酸を製造しようとした場合、酸素と水素の両方の供給設備が必要であることや、製造毎に触媒の種類も変更する必要であるため、同じ設備で製造を行おうとしても物理的で困難であった。
従って、本発明の目的は、酸素や水素の供給をせずとも、同じ設備で、且つ、糖アルコールと糖カルボン酸とを同時に効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ラネーニッケル触媒の存在下で、原料となるマルトースや水飴へ水酸化物を滴下し、中性〜アルカリ雰囲気下で加温・攪拌するだけで、糖質の酸化還元反応が行える簡便な製法を考案し、本発明を完成した。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 還元末端側がアルドースで構成される糖質溶液とラネーニッケル触媒とを含む液体をpH6.0以上になるように水酸化物により調整する調整工程と、
前記調整工程後の前記液体を30℃以上で加温させて酸化還元反応を行う酸化還元反応工程と、を有する糖カルボン酸の製造方法。
(2) 前記糖質に対して酸素及び/又は水素を供給する工程を有さない、(1)に記載の製造方法。
(3) 糖カルボン酸とともに糖アルコールが製造される、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)前記液体中のラネーニッケル(A)と原料糖質固形分(B)の比率(A/B)が、0.2以上である(1)から(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5)前記水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、又は水酸化マグネシウムである(1)から(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6)前記酸化還元反応が、反応温度30〜80℃、反応pH7.0〜12.0の条件で行われる、(1)から(5)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によると、食品、医薬や工業分野等において、酸素や水素の供給をせずとも、簡便な手法で糖アルコールと糖カルボン酸を同時に効率的に製造し、提供することができる。
実施例2に係る製造方法において、酸化還元反応前の糖質溶液と酸化還元反応後の糖質溶液のクロマトグラムである。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
本発明の糖カルボン酸の製造方法は、還元末端側がアルドースで構成される糖質とラネーニッケル触媒とを含む液体をpH6.0以上になるように水酸化物により調整する調整工程と、調整工程後の液体を30℃以上で加温させて酸化還元反応を行う酸化還元反応工程と、を有する。
本発明では、還元末端側がアルドースで構成される糖質とラネーニッケル触媒とを含む液体を、水酸化物によりpH6.0以上に調整した後、加温するだけで、糖カルボン酸や糖アルコールへの酸化還元反応が同時に生産することが可能であり、従来知られている糖質の酸化又は還元反応のように、酸素や水素の供給は不要である。
本発明の反応機構は以下のように推測される。
本発明では、還元末端側がアルドースで構成される糖質溶液についてラネーニッケル触媒存在下で、水酸化物を添加すると、原料糖質(A)のアルデヒドは、求核付加反応を開始し、ヒドロキシル化(−OH)が起こる。この反応で原料糖質(A)より脱離したヒドリド(H)が、別の原料糖質(B)のアルデヒドを攻撃し、水素化反応を起こす。これら一連の反応により、二分子の原料糖質が、カルボン酸とアルコールに不均化したものと考えられる。例えば、マルトース溶液を原料とした場合、ラネーニッケル触媒存在下で水酸化ナトリウム等の水酸化物を添加したアルカリ条件で加温・攪拌すると、脱水素反応が起こりマルトースからマルトビオン酸が生成する。脱水素反応過程で発生した水素が、別のマルトースに対して、還元反応を起こしマルチトールが生成する。この酸化還元反応により、マルトビオン酸とマルチトールが、例えば、1:1の比率で生成する。
(調整工程)
本発明は、還元末端側がアルドースで構成される糖質とラネーニッケル触媒とを含む液体(以下、本明細書において「液体」と略称する場合がある。)をpH6.0以上になるように水酸化物により調整する調整工程を有する。
本発明の製造原料として使用する糖質としては、還元末端側がアルドースで構成される糖質であれば、特に限定されないが、例えば重合度2〜100の澱粉分解物、その転移反応物、より具体的には、マルトデキストリン、粉飴、水飴、マルトヘキサオース、マルトテトラオース、マルトトリオース、マルトース、グルコース、イソマルトデキストリン、パノース、イソマルトトリオース、イソマルトース、ニゲロース、コージビオース、セルロース分解物、セロオリゴ糖、セロトリオース、セロビオース、メリビオース、ラクトース、キシロース、L−アラビノースなどが挙げられる。これらのうち、マルトース、ラクトース、セロビオースが好ましい。
調整工程において、液体中の原料糖質(還元末端側がアルドースで構成される糖質)濃度は、50(wt)%以下であれば、効率良く反応が進むが、精製工程での濃縮等を考慮すると30〜50(wt)%が好ましい。なお、本明細書において、「(wt)%」は、対象成分の含有量(質量)を意味し、ここでは、液体中における糖質の含有量を意味する。
触媒として使用するラネーニッケルは、従来、糖アルコールの製造用に市販されているスペックのものを使用できる。
液体中のラネーニッケル(A)と原料糖質固形分(B)の比率(A/B)は、0.2未満の場合、例えば、原料にマルトースを用いたには、異性化反応によりマルチュロースが生成し易く、酸化還元反応の収率が悪くなるため、0.2以上がさらに好ましく、0.5以上の比率とするのがより好ましい。
本発明の調整工程では、水酸化物により液体のpHを6.0以上に調整する。水酸化物を使用することにより、後述の酸化還元反応を進めることができる。液体中のpHは、中性〜アルカリ雰囲気下(pH7.0以上pH14.0以下)に調整するすることが好ましく、pH8.0〜10.0の範囲内に調整することがより好ましい。使用する水酸化物としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムを使用するのが好ましい。なお、糖カルボン酸の生成に伴い、反応液のpHが低下するため、後述の酸化還元工程において、必要に応じて、前記水酸化物を添加して、反応pHを6.0以上に調整してもよく、7.0〜12.0に調整するのがより好ましく、さらに好ましくはpH8.0〜10.0の範囲内に調整する。
本発明における調整工程において、還元末端側がアルドースで構成される糖質とラネーニッケル触媒とを含む液体は、還元末端側がアルドースで構成される糖質溶液にラネーニッケル触媒を添加して調製してもよく、ラネーニッケル触媒を含む液体に、還元末端側がアルドースで構成される糖質を添加してもよい。
(酸化還元工程)
本発明は、調整工程後の液体を30℃以上で加温させて酸化還元反応を行う酸化還元反応工程を有する。
反応温度は、本発明においてラネーニッケルが触媒として働く温度であれば良く、より具体的には30℃以上であれば特に限定されないが、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましく、55℃以上であることがより一層好ましい。また、90℃以上の高温条件では、原料糖質が異性化反応や分解反応が起こり易くなるため、90℃以下であることが好ましく、85℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより一層好ましい。そのため、これらの温度範囲内に加温等をして調整する。加温は、従来公知の方法により行うことができる。
酸化還元反応は、上述のとおり、反応pH7.0〜12.0の条件で行われることが好ましく、反応pH8.0〜10.0の条件で行われることがより好ましい。
酸化還元反応の時間は、反応pH、反応温度等の条件に応じて適宜決定してよく、例えば、酸化還元反応が、反応温度30〜80℃、反応pH7.0〜12.0の条件で行われる場合、反応時間を15分〜4時間行ってよい。また、撹拌を行う場合、撹拌速度は、50〜1000rpmの範囲内で行ってよい。
また、本発明の酸化還元反応工程において、ラネーニッケルや調整工程において滴下した水酸化物が均一に分散又は溶解するように攪拌することを含むことが好ましい。
酸化還元反応は、還元糖量の減少から確認することができ、例えばネルソン・ソモギ法による比色定量法を用いることが出来る。
また、HPLCにより原料糖質や糖カルボン酸や糖アルコールを分析することで確認することも可能である。例えば、マルトース水飴を原料に酸化還元反応を行った後、HPAED−PAD法(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)により、溶出:35℃、1.0ml/min、水酸化ナトリウム濃度:100mM、酢酸ナトリウム濃度:0分−0mM、5分−0mM、10分−40mM、30分−50mMの条件で測定すれば、マルトース、マルトビオン酸、マルチトールを定量することが可能である。
本発明の酸化還元反応では、水酸化物として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムを添加した場合、糖カルボン酸の生成物はナトリウム塩又はカルシウム塩の形態となる。反応液を遠心分離やフィルターろ過等によりラネーニッケル触媒を取り除いた後、カチオン交換樹脂又は電気透析により脱塩することで、糖カルボン酸の形態へ精製することが出来る。
本発明は、糖質に対して酸素及び/又は水素を供給する工程を有してもよく、有さなくてもよいが、有さずとも糖カルボン酸とともに糖アルコールを製造できる。この観点で、本発明は、糖質に対して酸素及び/又は水素を供給する工程を有さないことが好ましい。
本発明方法を使用して調製した糖カルボン酸は、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が酸化されたものであれば、特に限定されない。澱粉分解物又は転移反応物の重合度は、例えば、2〜100等であってもよい。より具体的には、糖カルボン酸は、より具体的には、マルトデキストリン酸化物、粉飴酸化物、水飴酸化物、マルトヘキサオン酸、マルトテトラオン酸、マルトトリオン酸、マルトビオン酸、グルコン酸、イソマルトデキストリン酸化物、パノース酸化物、イソマルトトリオン酸、イソマルトビオン酸、ニゲロビオン酸、コージビオン酸、酸化セルロース分解物、セロオリゴ糖酸化物、セロトリオン酸、セロビオン酸、メリビオン酸、ラクトビオン酸、キシロン酸、アラボイン酸などが挙げられる。これらのうち、糖カルボン酸は、遊離の酸であってもよく、ラクトンであってもよく、その塩類であってもよい。
本発明方法を使用して調製した糖アルコールは、重合度2以上の澱粉分解物又は転移反応物の還元末端側のアルデヒド基が還元されたものであれば、特に限定されない。澱粉分解物又は転移反応物の重合度は、例えば、2〜100等であってもよい。より具体的には、糖アルコールは、還元マルトデキストリン、還元粉飴、還元水飴、マルトヘキサイトール、マルトテトライトール、マルトトリイトール、マルチトール、ソルビトール、還元イソマルトデキストリン、還元パノース、イソマルトトリイトール、イソマルチトール、ニゲロイトール、コージビオイトール、還元セルロース分解物、還元セロオリゴ糖、セロトリイトール、セロビトール、メリビトール、ラクチトール、キシリトール、アラビトールなどが挙げられる。
本発明方法を使用して調製した糖カルボン酸/糖アルコール混合物は、飲食物や化粧品、医薬品、化成品等へ使用することが可能である。
実施例4及び6は参考例と読み替えるものとする。
(実施例1)
30(wt)%マルトース溶液(和光純薬製)150gに、水酸化ナトリウム(和光純薬製)2.73gを溶解させた後、ラネーニッケル触媒(川研ファインケミカル製)を30g添加した。この溶液を40℃に保持した後、マグネティックスターラーにて500rpmで攪拌し、酸化還元反応を行った。酸化還元反応の推移は、反応液の還元糖量をネルソン・ソモギ法で定量し、次式により変換率を算出した。
(反応開始前還元糖量−反応液還元糖量)/反応開始前還元糖量×100=変換率(%)
また、反応生成物の糖組成は、HPAED−PAD法(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)により、溶出:35℃、1.0ml/min、水酸化ナトリウム濃度:100mM、酢酸ナトリウム濃度:0分−0mM、5分−0mM、10分−40mM、30分−50mMの条件で分析した。
表1に酸化還元反応開始時から0時間、0.5時間、1時間、2時間経過時における変換率と反応pHを示す。表1に示すように、反応2時間で還元糖量は14.3%とまで減少し、85.7%が糖カルボン酸や糖アルコールへ変換された。この時の糖組成は、グルコース0.8(wt)%、マルトース6.4(wt)%、マルチトール42.0(wt)%、マルトビオン酸42.5(wt)%、マルチュロース8.2(wt)%だった。反応開始時のpHが11.83であったため、反応初期に異性化反応によりマルチュロースが生成したものの、マルチトールとマルトビオン酸はおよそ1:1の各40%程度が生成した。
Figure 0006789736
(実施例2)
マルトース含量70(wt)%の30%ハイマルトース水飴溶液(サンエイ糖化製)150gに、ラネーニッケル触媒(川研ファインケミカル製)を30g添加し60℃に保持した後、マグネティックスターラーにて500rpmで攪拌し、35(wt)%水酸化ナトリウム溶液をpH9.0に維持するように滴下しながら酸化還元反応を行った。酸化還元反応の推移は、反応液の還元糖量をネルソン・ソモギ法で定量し、次式により変換率を算出した。
(反応開始前還元糖量−反応液還元糖量)/反応開始前還元糖量×100=変換率(%)
また、反応生成物の糖組成は、HPAED−PAD法(パルスドアンペロメトリー検出器、CarboPac PA1カラム)により、溶出:35℃、1.0ml/min、水酸化ナトリウム濃度:100mM、酢酸ナトリウム濃度:0分−0mM、5分−0mM、10分−40mM、30分−50mMの条件で分析した。
表2に酸化還元反応開始時から0時間、0.5時間、1時間、2時間経過時における変換率と反応pHを示す。表2に示すように、反応pHを9.0に維持することで、酸化還元反応は効率的に進み、反応2時間で、還元糖量は2.8%まで減少し、原料糖質の97.2%が糖カルボン酸や糖アルコールへ変換された。図1に、酸化還元反応前の糖質溶液と酸化還元反応後の糖質溶液のクロマトグラムを示す。図1のクロマトグラムからも、糖アルコールであるマルチトールやマルトトリイトール、糖カルボン酸であるマルトビオン酸やマルトトリオン酸の生成が確認できた。
Figure 0006789736
(実施例3)
水飴中のマルトース含量70(wt)%の30(wt)%ハイマルトース水飴溶液(サンエイ糖化製)150gに、ラネーニッケル触媒(川研ファインケミカル製)を30g添加し60℃に保持した後、マグネティックスターラーにて500rpmで攪拌し、25(wt)%水酸化カルシウム溶液をpH8.5に維持するように滴下しながら酸化還元反応を行った。酸化還元反応の推移は、反応液の還元糖量をネルソン・ソモギ法で定量し、次式により変換率を算出した。
(反応開始前還元糖量−反応液還元糖量)/反応開始前還元糖量×100=変換率(%)
表3に酸化還元反応開始時から0時間、0.5時間、1時間、2時間経過時における変換率と反応pHを示す。表3に示すように、水酸化物を水酸化カルシウムとして添加しても、酸化還元反応は効率的に進み、反応2時間で、還元糖量は5%まで減少し、95%が糖カルボン酸や糖アルコールへ変換された。
Figure 0006789736
(実施例4)
マルトース含量70%の56%ハイマルトース水飴溶液(サンエイ糖化製)180gに、ラネーニッケル触媒(川研ファインケミカル製)を40g添加し80℃に保持した後、マグネティックスターラーにて500rpmで攪拌し、35%水酸化ナトリウム溶液をpH7.0に維持するように滴下しながら酸化還元反応を行った。酸化還元反応の推移は、反応液の還元糖量をネルソン・ソモギ法で定量し、次式により変換率を算出した。
(反応開始前還元糖量−反応液還元糖量)/反応開始前還元糖量×100=変換率(%)
表4に酸化還元反応開始時から0時間、0.5時間、1時間、2時間経過時における変換率と反応pHを示す。表4に示すように、反応pHを7.0とすることで、酸化還元反応効率は低下するも、反応2時間で6割程度は糖カルボン酸や糖アルコールへ変換された。
Figure 0006789736
(実施例5)
水飴中のマルトース含量70(wt)%の40(wt)%ハイマルトース水飴溶液(サンエイ糖化製)150gに、ラネーニッケル触媒(川研ファインケミカル製)を20g、30g、40gの3条件でそれぞれ添加し60℃に保持した後、マグネティックスターラーにて500rpmで攪拌し、35%水酸化ナトリウム溶液をpH9.0に維持するように滴下しながら酸化還元反応を行った。酸化還元反応の推移は、反応液の還元糖量をネルソン・ソモギ法で定量し、次式により変換率を算出した。
(反応開始前還元糖量−反応液還元糖量)/反応開始前還元糖量×100=変換率(%)
表5に酸化還元反応開始時から0時間、0.5時間、1時間、2時間経過時における変換率と反応pHを示す。表5に示すように、ラネーニッケル(A)と原料糖質固形分(B)の比率(A/B)を0.2とした場合では、反応2時間で94.5%が糖カルボン酸や糖アルコールへ変換され、A/Bを0.5以上とすることで、より変換効率が良くなり、97%以上が糖カルボン酸や糖アルコールへ変換された。
Figure 0006789736
(実施例6)
DE25の粉飴(商品名ニポデックス25,サンエイ糖化社製)108gを蒸留水へ溶解させ360g(30wt%)とした後、ラネーニッケル触媒(川研ファインケミカル製)を70g添加し70℃に保持した後、マグネティックスターラーにて500rpmで攪拌し、25(wt)%水酸化カルシウム溶液をpH8.5に維持するように滴下しながら酸化還元反応を行った。酸化還元反応の推移は、反応液の還元糖量をネルソン・ソモギ法で定量し、次式により変換率を算出した。
(反応開始前還元糖量−反応液還元糖量)/反応開始前還元糖量×100=変換率(%)
なお、DE(dextrose equivalent)とは、〔直接還元糖量(グルコースとして測定)/全固形分の質量〕×100の式で表せる値であり、このDE値は、澱粉の加水分解の程度(分解度)を示す指標である。
表6に酸化還元反応開始時から0時間、0.5時間、1時間、2時間経過時における変換率と反応pHを示す。澱粉分解物である粉飴を原料に用いた場合においても、効率良く酸化還元反応は進み、反応2時間で98.2%が糖カルボン酸や糖アルコールへ変換された。
Figure 0006789736

Claims (4)

  1. 還元末端側がアルドースで構成される糖質とラネーニッケル触媒とを含む液体をpH6.0以上になるように水酸化物により調整する調整工程と、
    前記調整工程後の前記液体を30℃以上で加温させて酸化還元反応を行う酸化還元反応工程と、を有し、
    前記糖質がマルトースであり、
    前記酸化還元反応が、反応温度30〜80℃、反応pH8.5〜12.0の条件で行われ、
    糖カルボン酸とともに糖アルコールが製造される、糖カルボン酸の製造方法。
  2. 前記糖質に対して酸素及び/又は水素を供給する工程を有さない、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記液体中のラネーニッケル(A)と原料糖質固形分(B)の比率(A/B)が、0.2以上である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、又は水酸化マグネシウムを含む請求項1からのいずれかに記載の製造方法。
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