JP6787754B2 - メラニン分解促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、メラニンの分解を促進するメラニン分解促進剤に関する。
皮膚や毛髪の色を決定する因子として様々なものが報告されているが、その中でも、表皮に存在するメラニンの量や質が、皮膚や毛髪の色に大きく寄与すると考えられている。すなわち、皮膚や毛髪の色の形成は、メラニン産生細胞(メラノサイト)中のメラノソームと呼ばれる細胞小器官中でつくられたメラニンが、表皮や毛包のケラチノサイトへと転送されて表皮や毛髪全体へと広がることに大きく影響を受けるとされる。
したがって、メラニン産生の抑制やメラニン分解の促進等により、ケラチノサイトにおけるメラニン量が低下すれば、皮膚や毛髪の色は明るくなる。
また、最近、本出願人は、ケラチノサイト内におけるメラニン動態にオートファジーが関与し、ケラチノサイトにおけるメラニン量とオートファジーの活性が相関することを見出している(特許文献1)。これによれば、オートファジーの活性を亢進することにより、ケラチノサイトにおけるメラニンの分解が促進され、皮膚や毛髪の明色化が可能であると考えられる。
皮膚においては、シミ、ソバカスの原因の一つとして、皮膚の紫外線暴露による刺激、ホルモンの異常又は遺伝的要素等によって皮膚内に存在するメラノサイトが活性化されメラニン産生が盛んになることが知られていることから、従来、メラニン産生を抑制したり、産生したメラニンを減少させたりする美白剤が開発されてきた。例えば、メラニンの生合成に関与するチロシナーゼの活性を阻害してメラニン産生を抑制し得る物質として、アスコルビン酸、アルブチン、コウジ酸、グルタチオン等が報告されている(非特許文献1)。
一方、16−メチルオクタデカン酸又はその塩は、毛髪の質の改善に用いられている分岐脂肪酸である(特許文献2)。しかしながら、16−メチルオクタデカン酸又はその塩にメラニン分解促進作用があることは全く知られていない。
国際公開第2013/162012号 特開2012−31128号公報
美白戦略(南江堂)IV.,美白剤の薬理と臨床,p95-116
本発明は、優れたメラニン分解促進作用及び細胞内メラニン量低減作用を有するメラニン分解促進剤、美白剤、シミ若しくはそばかすの予防又は改善剤、皮膚色素沈着の予防又は改善剤、細胞内メラニン低減剤を提供することに関する。
本発明者は、表皮角化細胞(ケラチノサイト)におけるメラニン分解活性を制御する物質について探索したところ、16−メチルオクタデカン酸又はその塩が、ケラチノサイトにおける優れたメラニン分解促進作用並びにケラチノサイト及びメラノサイトにおける優れた細胞内メラニン低減作用を有し、メラニン過剰生成に伴う皮膚の褐色化やシミ・ソバカス等の予防又は改善に有用であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の1)〜5)に係るものである。
1)16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とするメラニン分解促進剤。
2)16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする美白剤。
3)16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とするシミ若しくはソバカスの予防又は改善剤。
4)16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする皮膚色素沈着の予防又は改善剤。
5)16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする細胞内メラニン低減剤。
本発明によれば、ケラチノサイトにおけるメラニンの分解を促進し、また、ケラチノサイト及びメラノサイトの細胞内メラニンを低減し、皮膚の美白のための肌ケア、皮膚のシミ若しくはソバカスの予防又は改善、皮膚色素沈着の予防又は改善が可能となる。
16−メチルオクタデカン酸がケラチノサイト内のメラニン(メラノソーム)量に及ぼす影響。 16−メチルオクタデカン酸がメラノサイトのドーパオキシダーゼ活性に及ぼす影響。 16−メチルオクタデカン酸がメラノサイトの細胞内メラニン量に及ぼす影響。
本発明における16−メチルオクタデカン酸は、下記式で示される分岐脂肪酸である。
Figure 0006787754
16−メチルオクタデカン酸の塩としては、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩;リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩が挙げられる。
16−メチルオクタデカン酸又はその塩は、公知の方法により得た合成品を用いることもできるし、市販品を用いることもできる。
後記実施例に示すように、16−メチルオクタデカン酸又はその塩は、ケラチノサイトにおけるメラニン(メラノソーム)の分解促進作用並びにケラチノサイト及びメラノサイトの細胞内メラニン低減作用を有する。これらの作用により、肌の美白効果、シミ若しくはソバカスの予防又は改善効果、或いは皮膚色素沈着の予防又は改善効果を得ることができる。
したがって、16−メチルオクタデカン酸又はその塩を、動物、好ましくはヒトに投与することでメラニン分解を促進し、メラニンを低減することにより、皮膚の美白、シミ若しくはソバカスの予防又は改善、或いは皮膚色素沈着の予防又は改善が可能となる。
すなわち、本発明の16−メチルオクタデカン酸又はその塩は、メラニン分解促進剤、美白剤、シミ若しくはソバカスの予防又は改善剤、皮膚色素沈着の予防又は改善剤、及び細胞内メラニン低減剤となり、メラニン分解促進のため、皮膚の美白のため、シミ若しくはソバカスを予防又は改善するため、或いは皮膚色素沈着を予防又は改善するために使用することができる。
本明細書において、本発明の16−メチルオクタデカン酸又はその塩のヒトへの使用は、治療的使用であってもよく、又は美容目的での使用を含む非治療的使用であってもよい。
「非治療的」とは、医療行為を含まない、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない、より具体的には医師、又は医療従事者もしくは医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。非治療的使用としては、美容的又は審美的な目的での皮膚美白のための本発明の化合物の使用、例えばエステティシャン、美容師等による使用等が挙げられる。
また、本明細書において、「改善」とは、症状又は状態の好転、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、あるいは症状又は状態の進行の逆転、防止又は遅延をいう。
また、本明細書において、「予防」とは、個体における症状の発症の防止又は遅延、あるいは個体の症状の発症の危険性を低下させることをいう。
また、本発明の16−メチルオクタデカン酸又はその塩は、メラニン分解促進剤、美白剤、シミ若しくはソバカスの予防又は改善剤、皮膚色素沈着の予防又は改善剤、或いは細胞内メラニン低減剤を製造するために使用することができる。
本発明のメラニン分解促進剤、美白剤、シミ若しくはソバカスの予防又は改善剤、皮膚色素沈着の予防又は改善剤、及び細胞内メラニン低減剤は、メラニン分解促進、美白、シミ若しくはソバカスの予防又は改善、皮膚色素沈着の予防又は改善、又は細胞内メラニン低減を目的とした、医薬品、医薬部外品若しくは化粧品であり得、又は当該医薬品、医薬部外品若しくは化粧品を製造するための原料又は素材であり得る。
上記医薬品又は医薬部外品は、投与形態は任意であり、経口投与、非経口投与の何れでもよい。経口投与のための剤型としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤のような固形製剤、ならびにエリキシル、シロップおよび懸濁液のような液体製剤が挙げられ、非経口投与のための剤型としては、注射、外用、経皮、経粘膜、経鼻、経腸、吸入、坐剤、貼付等の各製剤が挙げられる。好ましくは、当該医薬品又は医薬部外品は、外用剤の形態であるのが好ましく、具体的には、軟膏、クリーム、乳液、ローション、ジェル、エアゾール、パッチ、テープ、スプレー等の形態が挙げられる。
上記化粧品の形態としては、クリーム、乳液、ローション、懸濁液、ジェル、パウダー、パック、シート、パッチ、スティック、ケーキ等、化粧品に使用され得る任意の形態が挙げられ、特に限定されない。好ましくは、上記化粧品は皮膚美白用化粧料である。
上記医薬品、医薬部外品若しくは化粧品に係る製剤組成物は、それぞれ一般的な製造法により、本発明の化合物を、製剤上許容し得る担体、例えば、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料等と共に混合、分散した後、所望の形態に加工することによって得ることができる。また、これらの製剤組成物には、本発明の化合物の他、それぞれ医薬品、医薬部外品、化粧品等の製剤の種類に応じて、適宜、植物抽出物、殺菌剤、保湿剤、抗菌剤、清涼剤等の薬効成分を本発明の効果を妨害しない範囲で適宜配合することができる。また、美白効果を更に高めるべく、他の美白成分を適宜配合することもできる。
当該製剤組成物中の本発明の16−メチルオクタデカン酸又はその塩の含有量は、16−メチルオクタデカン酸換算で、一般的に好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、且つ好ましくは10質量%以下、より好ましく5質量%以下であり、また好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
上記医薬品、医薬部外品、化粧品による16−メチルオクタデカン酸又はその塩の投与量は、本発明の効果を達成できる量であり得る。当該投与量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、成人(60kg)1人当たり1日、16−メチルオクタデカン酸換算で、例えば好ましくは0.001mg以上、より好ましくは0.01mg以上であり、且つ好ましくは1000mg以下、より好ましくは100mg以下である。また、好ましくは0.001〜1000mg、より好ましくは0.01〜100mgである。
また、当該製剤は、任意の摂取・投与計画に従って摂取・投与され得るが、1日1回〜数回に分け、数週間〜数カ月間継続して投与することが好ましい。
上記化粧品、医薬品又は医薬部外品の適用の対象としては、それを必要としていれば特に限定されないが、好ましくは、皮膚の美白を所望するヒト、シミ若しくはソバカスの予防又は改善を所望するヒト、皮膚色素沈着の予防又は改善を所望するヒトである。
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とするメラニン分解促進剤。
<2>16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする美白剤。
<3>16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とするシミ若しくはソバカスの予防又は改善剤。
<4>16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする皮膚色素沈着の予防又は改善剤。
<5>16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする細胞内メラニン低減剤。
<6>メラニン分解促進剤を製造するための、16−メチルオクタデカン酸又はその塩の使用。
<7>美白剤を製造するための、16−メチルオクタデカン酸又はその塩の使用。
<8>シミ若しくはソバカスの予防又は改善剤を製造するための、16−メチルオクタデカン酸又はその塩の使用。
<9>皮膚色素沈着の予防又は改善剤を製造するための、16−メチルオクタデカン酸又はその塩の使用。
<10>細胞内メラニン低減剤を製造するための、16−メチルオクタデカン酸又はその塩の使用。
<11>メラニン分解促進に使用するための16−メチルオクタデカン酸又はその塩。
<12>美白に使用するための16−メチルオクタデカン酸又はその塩。
<13>シミ若しくはソバカスの予防又は改善に使用するため16−メチルオクタデカン酸又はその塩。
<14>皮膚色素沈着の予防又は改善に使用するための16−メチルオクタデカン酸又はその塩。
<15>細胞内メラニン低減に使用するための16−メチルオクタデカン酸又はその塩。
<16>メラニン分解促進方法であって、それを必要とする対象に16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効量で投与又は摂取させることを含む、方法。
<17>美白方法であって、それを必要とする対象に16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効量で投与又は摂取させることを含む、方法。
<18>シミ若しくはソバカスを予防、改善、又は治療する方法であって、それを必要とする対象に16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効量で投与又は摂取させることを含む、方法。
<19>皮膚色素沈着を予防、改善、又は治療する方法であって、それを必要とする対象に16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効量で投与又は摂取させることを含む、方法。
<20>細胞内メラニン低減方法であって、それを必要とする対象に16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効量で投与又は摂取させることを含む、方法。
<21>上記<11>〜<15>において、上記使用は、好ましくは、美容的又は審美的な目的での皮膚美白のための非治療的な使用である。
<22>上記<16>〜<20>において、上記方法は、好ましくは、美容的又は審美的な目的での皮膚美白のための非治療的な方法である。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験物質の調製
16-メチルオクタデカン酸は、特開2008−255050号公報の実施例1に記載された方法により合成し、10mMとなるようにエタノール(EtOH)に溶解した。
実施例1:16−メチルオクタデカン酸が表皮角化細胞(ケラチノサイト)内におけるメラニン(メラノソーム)に及ぼす影響
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(Human Epidermal Keratinocytes,neonatal(HEKn) lightly;ケラチノサイト)はThermo Fisher Scientific社より購入した。メラノーマ細胞株MNT−1細胞は、Dr. Natali(University La Sapienza,Rome,Italy)より供与いただいた。ケラチノサイトは培地用増殖添加剤(Humedia−KG)(倉敷紡績)を添加した表皮角化細胞用増殖培地(Epilife)(Thermo Fisher Scientific)中で37℃、5Vol%COの条件下で培養した。MNT−1細胞の増殖用培地として、AIM−V培地とFetal Bovine Serum(FBS)をそれぞれ10%(v/v)含むRPMI1640培地(いずれもThermo Fisher Scientific)を使用し、37℃、5Vol%COの条件下で培養した。
(2)メラノソーム画分の調製
MNT−1細胞からメラノソーム画分を所定の方法(Murase et al. (2013) J Invest Dermatol,133:2416−2424.)により単離調製した。具体的には、175cmフラスコに培養しコンフルエントに達したMNT−1細胞を0.05% Trypsin/EDTA(Thermo Fisher Scientific)で回収し、Phosphate−Buffered Saline(DPBS、no calcium、no magnesium;Thermo Fisher Scientific)(以下、PBSと略記)にて洗浄した。続いて、2mLのLysis buffer(0.1M Tris−HCl、pH7.5、1% Igepal CA−630、0.01% SDS)を加えて穏やかに混合し、4℃にて1時間振盪攪拌した。この細胞溶解液を1.5mLマイクロチューブに分注し、1,000gにて10分間(4℃)遠心して、上清を回収した。本遠心操作を計2回繰り返し、得られた上清を続いて20,000gにて10分間(4℃)遠心した。最後にペレットをPBSで洗浄し、同条件で遠心操作を計2回繰り返して得られたペレットをメラノソーム画分(melanosome−rich fraction)とした。
(3)メラニン定量
ケラチノサイトを12−ウェルプレートに7×10cells/ウェル(1mL/ウェル)の細胞密度で播種し、3日後に175cmフラスコ1本分に培養したMNT−1細胞から得られたメラノソーム画分を1枚分のプレート(12−ウェル分)に対して均等量添加した。その翌日に培地を交換し、16−メチルオクタデカン酸を終濃度で1、3、5μMになるように添加し、37℃、5Vol%COの条件下で2日間培養した。コントロールとしては、同量のEtOHを添加した。なお、この時の試験用培地としては、Epilife(増殖添加剤(Humedia−KG)のうち、ハイドロコーチゾン、インスリン、ゲンタマイシン及びアンフォテリシンB含有、ヒト上皮細胞成長因子(hEGF;Human Epidermal Growth Factor)及びウシ脳下垂体抽出物(BPE;Bovine Pituitary Extract)不含)を使用した。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いて1.5mLマイクロチューブに細胞を回収した。各チューブに2M NaOHを150μL加えた後100℃、60分間の処理により細胞を溶解し、室温下において、21,640gで10分間の遠心処理により得られた上清の405nmの波長の吸光度を測定し、ウェル当たりのメラニン量を算出した。その結果、EtOHのみを添加したコントロールと比較して、16−メチルオクタデカン酸は細胞内のメラニン量を濃度依存的に減少させることがわかった(図1;棒グラフ)。また、Pierce BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific)を用いたBCA(ビシンコニン酸)法により、Bovine Serum Albumin(BSA)を標準物質として上清のタンパク量を測定した結果、16−メチルオクタデカン酸はウェル当たりのタンパク量には影響を与えないことを確認した(図1;折れ線グラフ)。
以上のことより、16−メチルオクタデカン酸がケラチノサイト内に取り込まれたメラニン(メラノソーム)の分解又は低減を促進することが示唆された。
実施例2:16−メチルオクタデカン酸がメラノサイトに及ぼす影響
(1)細胞培養
正常ヒト新生児包皮由来表皮メラニン細胞(Human Epidermal Melanocytes,neonatal,lightly pigmented donor(HEMn−LP);メラノサイト)、表皮メラニン細胞用増殖培地(Medium254)、その培地用増殖添加剤(HMGS)はThermo Fisher Scientific社より購入した。メラノサイトは、37℃、5Vol%COの条件下で培養した。
(2)16−メチルオクタデカン酸がメラノサイトのドーパオキシダーゼ活性に及ぼす影響
メラノサイトを1.5×10cells/ウェル(100μL/ウェル)の細胞密度で96−ウェルプレートに播種した。この時の試験用培地としては、Medium254(増殖添加剤(HMGS)のうち、ウシ胎児血清(FBS;Fetal Bovine Serum)、塩基性線維芽細胞成長因子(hFGF−B;Human Fibroblast growth factor−basic)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン及びウシ脳下垂体抽出物(BPE;Bovine Pituitary Extract)含有、ホルボール12−ミリスチン酸13−アセテート(PMA;phorbol 12−myristate 13−acetate)不含)を用いた。2日後、16−メチルオクタデカン酸を終濃度で0.5、1、3、5、10μMになるように添加し、37℃、5Vol%COの条件下で4日間培養した。コントロールとしては、同量のEtOHを添加した。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで3回洗浄して、抽出Buffer(0.1M Tris−HCl(pH:7.2)、1% NP−40、0.01% SDS)を20μL/ウェル、Assay Buffer(4%ジメチルホルムアミド、100mM Sodium phosphate−buffered(pH:7.1))を20μL/ウェル添加した。4℃にて2時間かけて細胞を可溶化し、ドーパオキシダーゼ活性の測定を行ったが、その活性測定は、MBTH法(Winder A. et al.,1991,Eur. J. Biochem. 198:317−326)を基本とした次に示す方法で行った。すなわち、可溶化した細胞溶液の各ウェルに、上記Assay Bufferを80μL、20.7mM MBTH(3−メチル−2−ベンゾチアゾリノン ヒドラゾン)水溶液を60μL、基質として5mM L−DOPA(L−ジヒドロキシフェニルアラニン)水溶液を40μL加え、37℃にて30分間反応させた後、505nmの波長の吸光度を測定した。
その結果、EtOHのみを添加したコントロールと比較して、16−メチルオクタデカン酸がメラニン生成のメカニズムに深く関与しているドーパオキシダーゼ活性を抑制することはなかった(図2)。
(3)16−メチルオクタデカン酸がメラノサイトの細胞内メラニン量に及ぼす影響
メラノサイトを2×10cells/ウェル(2mL/ウェル)の細胞密度で6−ウェルプレートに播種した。この時の試験用培地としては、Medium254(増殖添加剤(HMGS)のうち、ウシ胎児血清(FBS;Fetal Bovine Serum)、塩基性線維芽細胞成長因子(hFGF−B;Human Fibroblast growth factor−basic)、ハイドロコーチゾン、インスリン、トランスフェリン、ヘパリン及びウシ脳下垂体抽出物(BPE;Bovine Pituitary Extract)含有、ホルボール12−ミリスチン酸13−アセテート(PMA;phorbol 12−myristate 13−acetate)不含)を用いた。2日後、16−メチルオクタデカン酸を終濃度で0.5、1、3、5、10μMになるように添加し、37℃、5Vol%COの条件下で5日間培養した。コントロールとしては、同量のEtOHを添加した。なお、培地交換は3日に1度行った。培養終了後、細胞の培養プレートをPBSで洗浄し、セルスクレーパーを用いて1.5mLマイクロチューブに細胞を回収した。各チューブに2M NaOHを150μL加えた後100℃、60分間の処理により細胞を溶解し、室温下において、21,640gで10分間の遠心処理により得られた上清の405nmの波長の吸光度を測定し、メラニン量を算出した。その結果、EtOHのみを添加したコントロールと比較して、16−メチルオクタデカン酸は細胞内のメラニン量を濃度依存的に減少させることがわかった(図3)。なお、細胞内のメラニン量はBovine Serum Albumin(BSA)を標準物質としたBCA(ビシンコニン酸)法により測定したタンパク質量に対する相対値で示した。
以上のことより、16−メチルオクタデカン酸がメラニン合成能の抑制とは異なる作用により、メラノサイトの細胞内メラニン量を減少させることが示唆された。
これらの結果より、16−メチルオクタデカン酸は、表皮において皮膚色形成に関与するケラチノサイト及びメラノサイトのどちらにおいても、細胞内メラニン量を低減させるように作用することが示された。

Claims (5)

  1. 16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とするメラニン分解促進剤。
  2. 16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする美白剤。
  3. 16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とするシミ若しくはソバカスの予防又は改善剤。
  4. 16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする皮膚色素沈着の予防又は改善剤。
  5. 16−メチルオクタデカン酸又はその塩を有効成分とする細胞内メラニン低減剤。
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