JP6786386B2 - 液体洗浄剤 - Google Patents

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Description

本発明は、液体洗浄剤に関する。
本願は、2014年5月30日に、日本に出願された特願2014−112319号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
家庭における衣料用洗剤として液体洗浄剤が多く用いられるようになってきている。衣料用洗剤には、衣料等(被洗物)に付着した種々の汚れに対する洗浄力を有していることが必要である。そして、液体洗浄剤には、従来、洗浄成分としてノニオン界面活性剤が主に用いられている。
近年、家庭で行われる洗濯においては、環境意識の高まりから、節水型の洗濯機の使用が主流になっている。節水型の洗濯機による洗濯では、浴比(衣料等の被洗物に対する洗濯液の割合)が低い傾向にある。低浴比で洗濯を行うと、洗浄中に除去された汚れが再度、被洗物に付着するという再汚染が生じやすい。
この再汚染を防止する方法としては、液体洗浄剤にアニオン界面活性剤を配合する方法が知られている。
また、液体洗浄剤には、高い洗浄効果を発揮する添加剤として酵素が配合されることがある。しかし、液体洗浄剤中で酵素は失活しやすい。このため、酵素活性を維持することは、粒状洗剤に比べて難しく、液体洗浄剤においては酵素の配合効果が充分に得られない、という問題がある。特に、再汚染防止を目的としてアニオン界面活性剤を用いる場合、アニオン界面活性剤によって酵素が変性されるため、酵素活性がより低下しやすい。
これに対し、液体洗浄剤中で酵素活性を維持するため、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤及びプロテアーゼに加えて、チアゾール系化合物及び含硫アミノ酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を併用する技術が開示されている(特許文献1参照)。
国際公開第2012/033222号
しかしながら、特許文献1に記載のチアゾール系化合物等を用いる技術では、特に界面活性剤濃度が高く、水の含有量が少ない組成(いわゆる濃縮タイプ)において、経時で酵素活性が維持されず、酵素の安定化が不充分である。
ところで、液体洗浄剤には、種々の汚れに対する洗浄力向上や、他の機能付与を目的として複数種類の酵素、例えばプロテアーゼとプロテアーゼ以外の酵素とが併用されることがある。
この場合にアニオン界面活性剤を用いると、プロテアーゼとプロテアーゼ以外の酵素とがいずれも、経時に従って、アニオン界面活性剤により変性されやすい。加えて、プロテアーゼ以外の酵素は、さらにプロテアーゼの作用を受けることで失活しやすい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、少なくとも2種の酵素を含有し、それらの酵素活性がいずれも高く維持され、かつ、再汚染防止効果を有する液体洗浄剤の提供、を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
すなわち、本発明の液体洗浄剤は、(A)成分:ノニオン界面活性剤と、(B)成分:アニオン界面活性剤と、(C)成分:プロテアーゼと、(D)成分:プロテアーゼ以外の酵素と、(E)成分:水を50質量%以下と、を含有し、(A)成分/(B)成分で表される質量比が1〜20であり、(C)成分/(D)成分で表される質量比が0.05〜20であることを特徴とする。
本発明の液体洗浄剤においては、前記(B)成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩であることが好ましい。
即ち、本発明は以下に関する。
[1](A)成分:ノニオン界面活性剤と、(B)成分:アニオン界面活性剤と、(C)成分:プロテアーゼと、(D)成分:プロテアーゼ以外の酵素と、(E)成分:水と、を含有し;
(E)成分の含有量が、液体洗浄剤の総質量に対して、50質量%以下であり;
(A)成分/(B)成分で表される質量比が1〜20であり、
(C)成分/(D)成分で表される質量比が0.05〜20である、液体洗浄剤。
[2] 前記(B)成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩である、[1]記載の液体洗浄剤。
本発明の液体洗浄剤は、少なくとも2種の酵素を含有し、それらの酵素活性がいずれも高く維持され、かつ、再汚染防止効果を有する。
本発明の液体洗浄剤は、(A)成分:ノニオン界面活性剤と、(B)成分:アニオン界面活性剤と、(C)成分:プロテアーゼと、(D)成分:プロテアーゼ以外の酵素と、(E)成分:水と、を含有する。
本発明の液体洗浄剤は、家庭用、工業用の用途として利用可能であり、なかでも家庭用として好適に利用可能であり、衣料用として特に好適である。
洗浄対象となる被洗物の種類は、家庭における洗濯で洗浄対象とされているものと同様のものが挙げられ、例えば衣料、布巾、タオル類、シーツ等の繊維製品等が例示される。
<(A)成分:ノニオン界面活性剤>
(A)成分としては、衣料用等の液体洗浄剤に通常用いられているノニオン界面活性剤を用いることができ、例えば、脂肪酸アルキルエステル、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルキルエステル又は高級アミン等のアルキレンオキシド付加体;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキルアミンオキシド、アルケニルアミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグルコシド等が挙げられる。
これらの中でも、脂肪酸アルキルエステル、高級アルコール、アルキルフェノール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルキルエステル又は高級アミン等のアルキレンオキシド付加体が好ましい。
好ましい(A)成分として、例えば、下記一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤(以下「(a1)成分」ともいう。)が挙げられる。
−X−[(EO)s/(PO)t]−(EO)u−R ・・・(a1)
[[式中、Rは、炭素数8〜22の炭化水素基であり;−X−は、−O−又は−C(=O)−O−であり;−X−が−O−である場合、Rは水素原子であり、sは3〜20の数であり、tは0〜6の数であり、uは0〜20の数であり;−X−が−C(=O)−O−である場合、Rはメチル基又はエチル基であり、sは6〜20の数であり、tは0〜6の数であり、uは0〜20の数であり;EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し;sは、EOの平均繰り返し数を表し、tは、POの平均繰り返し数を表し、uは、EOの平均繰り返し数を表し;[(EO)s/(PO)t]は、EOとPOとが配列順序を問わず、ブロック状に配列していても、ランダム状に配列していてもよいことを意味する。]
前記式(a1)中、Rの炭素数は、8〜22であり、10〜22が好ましく、10〜20がより好ましい。Rの炭素数が、前記の下限値以上であると、洗浄力が向上する。一方、Rの炭素数が、前記の上限値以下であると、液安定性が向上する。
における炭化水素基は、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基又はアルケニル基がより好ましい。ここでのアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。 Rとしては、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等の原料に由来するアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。
−X−が−O−である化合物の場合:
前記式(a1)中、−X−が−O−である場合、Rは水素原子である。すなわち、(a1)成分はアルコールアルコキシレートである。
−X−が−O−である場合のRの炭素数は、8〜22であり、10〜22が好ましく、10〜20がより好ましく、10〜18がさらに好ましく、12〜14が特に好ましい。
における炭化水素基は、洗浄力のさらなる向上を図る観点から、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が好ましい。
−X−が−O−である場合のsは、3〜20の数であり、5〜18の数が好ましく、6〜18の数がより好ましく、11〜18の数がさらに好ましい。また、sは8〜15であってもよい。なお、sは整数であってもよく、小数を含んでもよい。
sが、前記の下限値未満では、親水性が低くなり、系中の自由水が増加することにより、(C)成分及び(D)成分の安定性が悪化する傾向にある。sが、前記の上限値超では、親水性が高くなりすぎて、洗浄力が低下するおそれがある。即ち、sが、前記の下限以上では親水性が低くなりすぎず、系中の自由水が増加しすぎないため、(C)成分及び(D)成分の安定性が良好となる傾向にある。sが、前記の上限値以下では、親水性が高くなりすぎず、洗浄力は良好に維持される。
−X−が−O−である場合のtは、0〜6の数であり、0〜3の数が好ましく、0〜2がより好ましい。なお、tは整数であってもよく、小数を含んでもよい。
tが前記の上限値超では、液安定性が低下するおそれがある。
−X−が−O−である場合のuは、0〜20の数であり、0〜18の数が好ましく、0〜14がより好ましい。なお、uは整数であってもよく、小数を含んでもよい。
uが前記の上限値超では、親水性が高くなりすぎて洗浄力が低下するおそれがある。
−X−が−C(=O)−O−である化合物の場合:
前記式(a1)中、−X−が−C(=O)−O−である場合、Rはメチル基又はエチル基である。すなわち、(a1)成分は脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートである。
−X−が−C(=O)−O−である場合のRの炭素数は、8〜22であり、10〜22が好ましく、10〜20がより好ましく、11〜13が特に好ましい。
における炭化水素基は、洗浄力のさらなる向上を図る観点から、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基が好ましい。
−X−が−C(=O)−O−である場合のsは、3〜20の数であり、6〜18の数が好ましく、10〜18の数がより好ましく、12〜18が特に好ましい。なお、sは整数であってもよく、小数を含んでもよい。
sが、前記の下限値未満では、親水性が低くなり、系中の自由水が増加することにより、(C)成分及び(D)成分の安定性が悪化する傾向にあり、前記の上限値超では、親水性が高くなりすぎて、洗浄力が低下するおそれがある。即ち、sが、前記の下限値以上では、親水性が低くなりすぎず、系中の自由水が増加しすぎないため、(C)成分及び(D)成分の安定性が良好となる傾向にあり、前記の上限値以下では、親水性が高くなりすぎず、洗浄力は良好に維持される。
−X−が−C(=O)−O−である場合のtは、0〜6の数であり、0〜3の数が好ましい。なお、tは整数であってもよく、小数を含んでもよい。
tが前記の上限値超では、液安定性が低下するおそれがある。
−X−が−C(=O)−O−である場合のuは、0〜20の数であり、0〜18の数が好ましい。なお、uは整数であってもよく、小数を含んでもよい。uが前記の上限値超では、液安定性が低下するおそれがある。
なお、本明細書における「平均繰り返し数」とは、使用するアルコール1モルに対して反応させるエチレンオキシド又はプロピレンオキシドのモル数から算出することができる。
前記式(a1)中、[(EO)s/(PO)t]は、EOとPOとの配列順序を問わず、また、EOとPOとが混在していてもよいことを意味する。即ち、EOとPOとがブロック状に配列していても、ランダム状に配列していてもよいことを意味する。
(a1)成分において、tが0でない場合、つまり(a1)成分がEOとPOとの両方を有する場合、EOとPOとは、ブロック状に付加されていてもよく、ランダム状に付加されていてもよい。
EOとPOとをブロック状に付加する方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入してさらにエチレンオキシドを導入する方法等が挙げられる。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
前記のエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布は、(a1)成分を製造する際の反応方法によって変動する。例えば、一般的なアルカリ触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを原料に付加させた際には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布が比較的広くなる。また、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを原料に付加させた際には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布が比較的狭くなる。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分としては、(a1)成分が好ましく、この中でも、前記アルコールアルコキシレート及び前記脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートからなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、前記アルコールアルコキシレートを含む成分がさらに好ましい。
前記式(a1)中、[(EO)s/(PO)t]における。
中でも、(A)成分として、前記式(a1)中のs及びtが共に0ではないEO/PO型ノニオン界面活性剤を用いる場合は、前記式(a1)中のRが2級炭化水素基であるノニオン界面活性剤(以下ソフタノール型ノニオン界面活性剤ということもある)と併用することが好ましい。前記EO/PO型ノニオン界面活性剤は液体洗剤中でゲル化を生じやすいため、嵩高い2級炭化水素基を有するノニオン界面活性剤と併用することで、ゲル化領域が小さくなり、製剤化しやすくなる。
また、(A)成分として、前記式(a1)中の−X−がOであるノニオン界面活性剤(Rが1級炭化水素基)を用いる場合においては、嵩高い2級炭化水素基を有する前記ソフタノール型ノニオン界面活性剤または前記式(a1)中の−X−がCOOであるノニオン界面活性剤(例えば、後述のMEEが挙げられる)と併用することが好ましい。前記式(a1)中の−X−がOであるノニオン界面活性剤(Rが1級炭化水素基)は、前記EO/PO型ノニオン界面活性剤と同様に液体洗剤中でゲル化を生じやすいため、嵩高い2級炭化水素基を有するノニオン界面活性剤または前記式(a1)中の−X−がCOOであるノニオン界面活性剤を用いることによりゲル化が抑制される。
EO/PO型ノニオン界面活性剤と前記ソフタール型ノニオン界面活性剤との配合比率は、10/0〜2/8が好ましく、9/1〜3/7がさらに好ましい。
前記式(a1)中の−X−がOであるノニオン界面活性剤(Rが1級炭化水素基)と、前記式(a1)中の−X−がCOOであるノニオン界面活性剤(例えばMEE)または前記ソフタール型ノニオン界面活性剤との配合比率は、1/9〜3/7が好ましく、2/8〜4/6がさらに好ましい。
液体洗浄剤中、(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総量に対して、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜70質量%がさらに好ましく、20〜60質量%がよりさらに好ましく、25〜50質量%が特に好ましく、25〜45質量%が最も好ましい。 (A)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であることにより、液体洗浄剤の洗浄力がより向上し、一方、前記の好ましい上限値以下であることにより、液体洗浄剤の液安定性がより高まる。
<(B)成分:アニオン界面活性剤>
(B)成分としては、従来、衣料用洗剤に用いられている公知の成分を用いることができ、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖状アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものがより好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩としては、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均1〜5モルのアルキレンオキシド(エチレンオキシド及びプロピレンオキシドからなる群から選択される少なくとも1つ)を付加したもの(即ち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩)が好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数10〜20のものが好ましく、炭素数14〜17のものがより好ましい。中でも、前記アルキル基が2級アルキル基であるもの(即ち、2級アルカンスルホン酸塩)がさらに好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、脂肪酸残基の炭素数が10〜20のものが好ましい。
(B)成分としては、上記で例示したアニオン界面活性剤以外のアニオン界面活性剤を用いてもよい。
上記で例示したもの以外のアニオン界面活性剤としては、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩又はアルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
(B)成分の塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分としては、上記の中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキルエーテル硫酸塩からなる群から選ばらえる少なくとも1種がより好ましく、アルキルエーテル硫酸塩がさらに好ましい。アルキルエーテル硫酸塩のなかでも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩が特に好ましい。
酵素(中でも特に(D)成分)は、(B)成分の中でも直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩の作用によって変性しやすいが、本発明においては、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を含有していても、経時で酵素活性が維持される。
また、アルキルエーテル硫酸塩、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩を用いることで、他の(B)成分を用いる場合に比べて、液体洗浄剤中での特に(D)成分の変性が抑制される。これにより、(D)成分は(C)成分による作用を受けにくくなり、本願発明の液体洗浄剤では酵素活性が高く維持される。
液体洗浄剤中、(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総量に対して、1〜40質量%が好ましく、2〜35質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましく、8〜25質量%が特に好ましい。(B)成分の含有量の別の側面としては、液体洗浄剤の総量に対して、2.5〜25質量%であってもよい。
(B)成分の含有量が前記の好ましい範囲内であると、酵素の安定化及び再汚染防止効果のいずれも優れる。また、(B)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であることにより、再汚染防止効果がより得られやすい。一方、前記の好ましい上限値以下であることにより、(C)成分及び(D)成分の酵素活性がより維持されやすくなる。
本発明において、「(A)成分/(B)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤の総質量に対する、(B)成分の含有量(質量%)に対する、(A)成分の含有量(質量%)の割合を意味する。
かかる(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下「(A)/(B)質量比」と表記することがある。)は、1〜20であり、1〜15が好ましく、1.5〜10がより好ましい。(A)成分/(B)成分で表される質量比の別の側面としては、1.1〜19.8であってもよく、1.1〜5.3であってもよい。
前記の(A)/(B)質量比が、前記の範囲内であると、(B)成分の作用による酵素(中でも特に(D)成分)の変性が抑制される。また、前記の(A)/(B)質量比が、前記の下限値未満では、(C)成分及び(D)成分の酵素活性が低下するおそれがある。
一方、前記の上限値を超えると、再汚染防止効果が得られにくくなるおそれがある。
<(C)成分:プロテアーゼ>
本発明の液体洗浄剤においては、(C)成分を含有することで、タンパク質汚れに対する洗浄力が高まる。また、被洗物の臭い除去の効果も得られる。加えて、被洗物の洗浄中に、再汚染のバインダーとなるタンパク質汚れが分解されるため、ポリエステル等の化学繊維、又は綿への再汚染が抑制される。
一般に、プロテアーゼを含有する製剤(プロテアーゼ製剤)が市販されている。液体洗浄剤を調製する際、(C)成分は、通常、このプロテアーゼ製剤を用いて配合される。
プロテアーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる、セリンプロテアーゼを含有する製剤である商品名Savinase 16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L等が挙げられる。また、ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX、Properase L等も挙げられる。
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
プロテアーゼ製剤としては、上記の中でも、商品名Savinase 16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L、Everlase Ultra 16L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5Lが好ましく、Everlase 16L、Alcalase 2.5L、Coronase 48Lが特に好ましい。
(B)成分として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩を用いる場合、少なくとも2種の(C)成分を併用することが好ましい。これにより、酵素活性が維持されつつ、特に綿布への再汚染防止効果がより高くなる。
少なくとも2種の(C)成分を用いる場合、好ましい(C)成分の組合せとしては、コロナーゼとアルカラーゼとの組合せが挙げられる。
液体洗浄剤中の(C)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、酵素タンパク量として0.001〜0.2質量%程度が好ましく、0.005〜0.15質量%程度がより好ましく、0.01〜0.1質量%程度がさらに好ましい。
(C)成分における酵素タンパク量が、前記の好ましい下限値以上であることにより、(C)成分の配合効果が充分に得られる。一方、前記の好ましい上限値以下であることにより、保存中の(C)成分の析出が抑制され、液安定性が高まる。また、前記の好ましい上限値を超えても、性能が飽和に達し、経済的に不利となる。
尚、液体洗浄剤中の酵素タンパク量の定量は、LOWRY法により測定が可能である。
例えば、ナカライテクス株式会社製のプロテインアッセイLOWRYキットを用いた方法が挙げられる。
プロテアーゼ製剤を用いて(C)成分を配合する場合、プロテアーゼ製剤の配合量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜1.0質量%がさらに好ましく、0.1〜0.8質量%が特に好ましい。
<(D)成分:プロテアーゼ以外の酵素>
本発明の液体洗浄剤においては、(C)成分と(D)成分とを併有することで、各種の汚れに対する洗浄力が高まる。加えて、(B)成分による再汚染防止効果がさらに高まる。
(D)成分としては、従来、衣料用洗剤に用いられている公知の酵素を用いることができ、例えばアミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ等が挙げられる。
一般に、これらの酵素をそれぞれ含有する製剤(酵素製剤)が市販されている。液体洗浄剤を調製する際、(D)成分は、通常、それぞれの酵素製剤を用いて配合される。
アミラーゼを含有する製剤(アミラーゼ製剤)としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L;ジェネンコア社から入手できる商品名Maxamyl;天野製薬株式会社から入手できる商品名プルラナーゼアマノ;生化学工業株式会社から入手できる商品名DB−250等が挙げられる。
リパーゼを含有する製剤(リパーゼ製剤)としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100L等が挙げられる。
セルラーゼを含有する製剤(セルラーゼ製剤)としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Endolase 5000L、Celluzyme 0.4L、Carzyme Premium4500L等が挙げられる。
マンナナーゼを含有する製剤(マンナナーゼ製剤)としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L等が挙げられる。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)成分としては、上記の中でも、セルラーゼ及びリパーゼからなる群から選ばれる少なくとも1つの酵素が好ましい。
液体洗浄剤中の(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、酵素タンパク量として0.0005〜0.1質量%程度が好ましく、0.001〜0.05質量%程度がより好ましく、0.005〜0.03質量%程度がさらに好ましい。
(D)成分におけるタンパク量が、前記の好ましい下限値以上であることにより、(D)成分の配合効果が充分に得られる。一方、前記の好ましい上限値以下であることにより、保存中の(D)成分の析出が抑制され、液安定性が高まる。また、前記の好ましい上限値を超えても、性能が飽和に達し、経済的に不利となる。
酵素製剤を用いて(D)成分を配合する場合、酵素製剤の配合量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜2質量%が好ましく、0.05〜1.5質量%がより好ましく、0.1〜1.0質量%がさらに好ましく、0.1〜0.8質量%が特に好ましい。
液体洗浄剤中の(C)成分と(D)成分との合計の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、酵素製剤の配合量として1.5質量%以下が好ましく、0.02〜1.0質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%がさらに好ましい。かかる(C)成分と(D)成分との合計の含有量が、前記の好ましい上限値以下であると、酵素の凝集がなく、外観安定性がより良好になる。
また、液体洗浄剤中の(C)成分と(D)成分との合計の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、酵素タンパク量として0.01〜0.15質量%が好ましく、0.02〜0.10質量%がより好ましい。
本発明において、「(B)成分/(D)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤に含まれる「(D)成分を含有する製剤(酵素製剤)」の配合量(質量%)に対する、(B)成分の含有量(質量%)の割合を意味する。
かかる(B)成分/(D)成分で表される質量比(以下「(B)/(D)質量比」と表記する。)は、5〜400が好ましく、10〜200がより好ましく、15〜85がさらに好ましく、20〜85が特に好ましい。また、(B)成分/(D)成分で表される質量比は別の側面として5〜85であってもよい。
前記の(B)/(D)質量比が、前記の範囲内であると、(B)成分の作用による(D)成分の変性が抑制され、酵素活性がより維持されやすくなる。また、前記の(B)/(D)質量比が、前記の好ましい下限値以上であると、再汚染防止効果がより得られやすい。一方、前記の好ましい上限値以下であると、(D)成分の酵素活性がより維持されやすい。
また、(B)成分と(D)成分との比率において、(D)成分の量をタンパク量換算で表すと、(B)成分/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比は、50〜4000が好ましく、100〜2000がより好ましい。
本発明において、「(C)成分/(D)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤に含まれる「(D)成分を含有する製剤(酵素製剤)」の配合量(質量%)に対する、「(C)成分を含有する製剤(プロテアーゼ製剤製剤)」の配合量(質量%)の割合を意味する。
かかる(C)成分/(D)成分で表される質量比(以下「(C)/(D)質量比」と表記する。)は、0.05〜20であり、0.1〜15が好ましく、0.2〜10がより好ましく、0.25〜5.0がさらに好ましく、0.25〜2.0が特に好ましい。
前記の(C)/(D)質量比が、前記の範囲内であれば、再汚染防止効果が得られやすくなる。また、前記の(C)/(D)質量比が、前記の好ましい下限値以上であると、再汚染防止効果がより高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であると、(C)成分による(D)成分の失活が抑制される。
また、(C)成分と(D)成分との比率において、(C)成分及び(D)成分のそれぞれの量をタンパク量換算で表すと、(C)成分(タンパク量換算)/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比は、0.05〜2が好ましく、0.1〜1.5がより好ましい。
(C)成分と(D)成分との組合せとしては、例えば、綿布への再汚染防止効果の点から、プロテアーゼとセルラーゼとの組合せが好ましく、ポリエステル(PE)布への再汚染防止効果の点から、プロテアーゼとリパーゼとの組合せが好ましい。
具体的には、コロナーゼとセルラーゼとの組合せ、コロナーゼとリパーゼとの組合せ、アルカラーゼとセルラーゼとの組合せ、エバラーゼとセルラーゼとの組合せ、コロナーゼとアルカラーゼとセルラーゼとの組合せ等が好適に挙げられる。
<(E)成分:水>
本発明の液体洗浄剤は、溶媒として水((E)成分)を含有する。
(E)成分には、例えば精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等を用いることができる。
液体洗浄剤中、(E)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、50質量%以下であり、10〜50質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜45質量%が特に好ましく、20〜40が最も好ましい。
(E)成分の含有量が前記の上限値以下であると、本発明の効果が顕著に現れる。加えて、洗浄性能を維持しつつ、(C)成分及び(D)成分の安定化が充分に図られる。
特に、(E)成分の含有量が20〜45質量%の範囲内であれば、(A)成分を高濃度で配合することが可能となり、濃縮タイプの液体洗浄剤を容易に調製できる。加えて、(C)成分及び(D)成分からなる群から選ばれる少なくとも1つの成分による液体洗浄剤の濁りや分離がより抑制される。
尚、前記の(E)成分の含有量は、液体洗浄剤中の全水分量を意味し、水単独で配合される量と、例えば原料(各成分)が水溶液として配合される際に持ち込まれる前記水溶液中の水の量と、の合計量を示す。
なお、(E)成分と後述する水混和性有機溶剤とを組み合わせることにより、液体洗浄剤の濁りや分離がより抑制される。(E)成分と水混和性溶媒の合計量は、液体洗浄剤の総質量に対して、20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外のその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、特に限定されず、通常、衣料用の液体洗浄剤に配合される成分が挙げられ、例えば(A)成分及び(B)成分以外の界面活性剤、水混和性有機溶媒、酵素安定化剤、減粘剤及び可溶化剤、アルカリ剤、金属イオン捕捉剤、酸化防止剤、防腐剤、風合い向上剤、蛍光増白剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、着香剤、着色剤、乳濁化剤、天然物等のエキス、香料、pH調整剤等を用いることができる。
本発明の液体洗浄剤においては、上記の(A)成分及び(B)成分以外の界面活性剤を用いてもよい。(A)成分及び(B)成分以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられる。
液体洗浄剤中、(A)成分と(B)成分とを含む界面活性剤の合計の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、25〜80質量%が好ましく、30〜75質量%がより好ましく、35〜70質量%がさらに好ましく、40〜65質量%が特に好ましく、50〜60質量%が最も好ましい。
液体洗浄剤中の界面活性剤の合計の含有量が、前記の下限値以上であると、本発明の効果がより現れやすい。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、特に低温での液体洗浄剤の粘度の増大が抑制される。
本発明の液体洗浄剤には、外観安定性の向上の点から、水以外の溶媒を用いてもよい。
水以外の溶媒としては、水混和性有機溶媒が挙げられる。
本発明において、「水混和性有機溶媒」とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解する有機溶剤をいう。
水混和性有機溶媒としては、例えばエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、平均分子量約1000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類等が挙げられる。
水混和性有機溶媒の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜15質量%が好ましい。
酵素安定化剤としては、例えば、ホウ砂、ホウ酸、ギ酸又はこれらの塩;塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類等が挙げられる。
酵素安定化剤の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して0〜2質量%が好ましい。
液体洗浄剤のpHは、必要に応じて、pH調整剤を添加することにより調整できる。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン等が挙げられ、外観安定性の面から、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミンが好ましい。pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の液体洗浄剤は、25℃におけるpHが4〜9であることが好ましく、pH6〜9であることがより好ましい。pHが前記の好ましい範囲にあると、液体洗浄剤の保存安定性がより良好に維持される。
本発明において、液体洗浄剤のpHは、特に断りのない限り、液体洗浄剤を25℃に調整し、pHメーター等により測定される値を示す。なお、本明細書に規定した範囲外のpH値であっても、25℃におけるpH値に補正したとき本明細書に規定した範囲のpH値であれば、それらは本発明の範囲に含まれる。
本発明の液体洗浄剤は、定法により、水((E)成分)と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、所望によりその他の任意成分と、を同時に又は順次に混合することにより製造される。
以上説明した本発明の液体洗浄剤の1つの側面は、洗浄成分として(A)成分及び(B)成分と、少なくとも2種の酵素として(C)成分及び(D)成分と、前記液体洗浄剤の総質量に対して50質量%以下の水と、を含有する。
上述したように、界面活性剤濃度が高く、水の含有量が少ない組成(いわゆる濃縮タイプ)の液体洗浄剤は、従来、酵素活性が維持されず、酵素の安定化が不充分である。酵素は、通常、液体洗浄剤中で失活しやすく、また、再汚染防止を目的として配合されるアニオン界面活性剤((B)成分)の作用によって変性し、酵素活性が低下しやすい。さらに、少なくとも2種の酵素が含まれると、そのうちの一方がプロテアーゼ((C)成分)の場合、(C)成分以外の酵素((D)成分)は、(C)成分の作用を受けて酵素活性がさらに低くなりやすい。
本発明においては、(A)成分/(B)成分で表される質量比を1〜20としたことで、(B)成分の作用による酵素(中でも特に(D)成分)の変性が抑制され、酵素同士の作用も弱まるため、経時に対して酵素活性が維持される。
加えて、作用部位等の異なる少なくとも2種の酵素を組み合わせ、(C)成分/(D)成分で表される質量比を0.05〜20としたことで、又は、作用部位等の異なる少なくとも2種の酵素を組み合わせ、(C)成分(タンパク量換算)/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比を0.05〜2としたことで、被洗物から除去されて洗濯液中に放出された汚れが、作用部位が相違する2種以上の酵素によって効率良く分解される。これによって、被洗物への再付着がより起こりにくくなる。
以上の作用効果により、本発明の液体洗浄剤によれば、少なくとも2種の酵素の酵素活性がいずれも高く維持されつつ、再汚染防止効果が発揮される。
本発明の液体洗浄剤の使用方法としては、通常の液体洗浄剤の使用方法と同様であってよい。例えば、本発明の液体洗浄剤を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、洗濯物の汚れに本発明の液体洗浄剤を直接塗布する方法、本発明の液体洗浄剤を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤の使用方法の1つの側面は、水に本発明の液体洗浄剤を加えた溶液に被洗物を入れて洗浄する洗浄工程と;
前記洗浄後の被洗物を脱水した後、さらに水及び所望により柔軟剤を投入して、1回又は複数回すすぐ、すすぎ工程と:
前記すすいだ被洗物を脱水、乾燥させる乾燥工程と、を含む。
本発明の液体洗浄剤のその他の態様としては、
液体洗浄剤であって、
前記液体洗浄剤は、
(A)成分:下記一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤と、
(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン界面活性剤、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、及びペクチナーゼからなる群から選ばれる少なくとも1つの酵素と、
(E)成分:水と、
所望によりその他の成分と、を含み;
前記液体洗浄剤の総質量に対して
(E)成分の含有量が、50質量%以下であり;
(A)成分/(B)成分で表される質量比が1〜20であり、
(C)成分/(D)成分で表される質量比が0.05〜20である、
液体洗浄剤が挙げられる。
−X−[(EO)s/(PO)t]−(EO)u−R ・・・(a1)
[式中、Rは、炭素数8〜22の炭化水素基であり;−X−は、−O−又は−C(=O)−O−であり;−X−が−O−である場合、Rは水素原子であり、sは3〜20の数であり、tは0〜6の数であり、uは0〜20の数であり;−X−が−C(=O)−O−である場合、Rはメチル基又はエチル基であり、sは6〜20の数であり、tは0〜6の数であり、uは0〜20の数であり;EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し;sは、EOの平均繰り返し数を表し、tは、POの平均繰り返し数を表し、uは、EOの平均繰り返し数を表し;[(EO)s/(PO)t]とは配列順序を問わず、EOとPOとが混在していてもよいことを意味する。]
本発明の液体洗浄剤のさらにその他の態様としては、
液体洗浄剤であって、
前記液体洗浄剤は、
(A)成分:上記一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤と、
(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン界面活性剤、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、及びペクチナーゼからなる群から選ばれる少なくとも1つの酵素と、
(E)成分:水と、
所望によりその他の成分と、を含み;
前記液体洗浄剤の総質量に対して
(A)成分の含有量が、5〜80質量%であり、
(B)成分の含有量が1〜40質量%であり、
(C)成分の含有量が、酵素タンパク量として0.001〜0.2質量%、又はプロテアーゼ製剤として0.01〜2質量%であり、
(D)成分の含有量が、酵素タンパク量として0.0005〜0.1質量%、又は酵素製剤として0.01〜2質量%であり、
(E)成分の含有量が、50質量%以下であり、かつ
前記全成分の含有量の合計が100質量%を超えず;
(A)成分/(B)成分で表される質量比が1〜20であり、
(C)成分/(D)成分で表される質量比が0.05〜20である、
液体洗浄剤が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤のさらにその他の態様としては、
液体洗浄剤であって、
前記液体洗浄剤は、
(A)成分:上記一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤と、
(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、及びα−オレフィンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン界面活性剤、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、及びペクチナーゼからなる群から選ばれる少なくとも1つの酵素と、
(E)成分:水と、
所望によりその他の成分と、を含み;
前記液体洗浄剤の総質量に対して
(A)成分の含有量が、5〜80質量%であり、
(B)成分の含有量が1〜40質量%であり、
(C)成分の含有量が、酵素タンパク量として0.001〜0.2質量%、又はプロテアーゼ製剤として0.01〜2質量%であり、
(D)成分の含有量が、酵素タンパク量として0.0005〜0.1質量%、又は酵素製剤として0.01〜2質量%であり、
(E)成分の含有量が、50質量%以下であり、かつ
前記全成分の含有量の合計が100質量%を超えず;
(A)成分/(B)成分で表される質量比が1〜20であり、
(C)成分(酵素製剤)/(D)成分(酵素製剤)で表される質量比が0.05〜20、又は(C)成分(タンパク量換算)/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比が0.05〜2であり、
(B)成分/(D)成分(酵素製剤)で表される質量比が5〜400、又は(B)成分/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比が50〜4000である、
液体洗浄剤が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤のさらにその他の態様としては、
液体洗浄剤であって、
前記液体洗浄剤は、
(A)成分:上記一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤と、
(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、及びアルキルエーテル硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオン界面活性剤、より好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩と、
(C)成分:プロテアーゼと、
(D)成分:リパーゼ及びセルラーゼからなる群から選ばれる少なくとも1つの酵素と、
(E)成分:水と、
所望によりその他の成分と、を含み;
前記液体洗浄剤の総質量に対して
(A)成分の含有量が、25〜50質量%であり、
(B)成分の含有量が2.5〜20質量%であり、
(C)成分の含有量が、酵素タンパク量として0.001〜0.2質量%、又はプロテアーゼ製剤として0.2〜0.4質量%であり、
(D)成分の含有量が、酵素タンパク量として0.0005〜0.1質量%、又は酵素製剤として0.1〜0.8質量%であり、
(E)成分の含有量が、20〜40質量%であり、かつ
前記全成分の含有量の合計が100質量%を超えず;
(A)成分/(B)成分で表される質量比が1.1〜19.8であり、
(C)成分(酵素製剤)/(D)成分(酵素製剤)で表される質量比が0.25〜1.3、又は(C)成分(タンパク量換算)/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比が0.05〜2であり、
(B)成分/(D)成分(酵素製剤)で表される質量比が5〜85、又は(B)成分/(D)成分(タンパク量換算)で表される質量比が50〜4000である、
液体洗浄剤が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
各例の液体洗浄剤の組成を表1〜3に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
・(A)成分:ノニオン界面活性剤
A−1:ヤシ脂肪酸メチル(質量比でラウリン酸メチル/ミリスチン酸メチル=8/2の混合物)に、アルコキシル化触媒を用いて、15モル相当のエチレンオキシドを付加(平均付加モル数15)したノニオン界面活性剤(以下、MEEと略す場合がある)であり;上記一般式(a1)中、R=炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基、X=C(=O)−O、R=メチル基、s=15、t=0、u=0であり;下記合成方法により合成されたノニオン界面活性剤。
[MEEの合成方法]
特開2000−144179号公報に記載の合成方法に準じて合成した。
組成が2.5MgO・Al・wHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(キョーワード300(商品名)、協和化学工業株式会社製)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して、焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒を得た。前記焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gと、を4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。得られた反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5gと、を添加して混合した後、触媒を濾別してMEEを得た。
A−2:天然アルコール(質量比で炭素数12のアルコール/炭素数14のアルコール=7/3)に、8モル相当のエチレンオキシド(平均付加モル数8)、2モル相当のプロピレンオキシド(平均付加モル数2)、8モル相当のエチレンオキシド(平均付加モル数8)の順にブロック付加させて得られたノニオン界面活性剤であり;上記一般式(a1)中、R=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、X=O、R=水素原子、s=8、t=2、u=8であるノニオン界面活性剤。
A−3:天然アルコール(質量比で炭素数12のアルコール/炭素数14のアルコール=7/3)に、15モル相当のエチレンオキシドを付加(平均付加モル数15)したノニオン界面活性剤であり;上記一般式(a1)中、R=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、X=O、R=水素原子、s=15、t=0、u=0であり、下記合成方法により合成されたノニオン界面活性剤。
[A−3の合成方法]
プロクター・アンド・ギャンブル社製のCO−1214(商品名)861.2gと、30質量%NaOH水溶液2.0gと、を耐圧型反応容器内に仕込み、前記反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温し、反応液を得た。次いで、前記反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを前記反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。エチレンオキシドの添加終了後、反応物を温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。次に、前記反応物の温度を100℃以下まで冷却した後、前記反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、A−3を得た。
A−4:炭素数12の第2級アルコール及び炭素数14の第2級アルコールに、7モル相当のエチレンオキシドを付加(平均付加モル数7)したノニオン界面活性剤、商品名「ソフタノール70」、株式会社日本触媒製。上記一般式(a1)中、R=炭素数12の第2級アルキル基及び炭素数14の第2級のアルキル基、R=水素原子、s=7、t=0、u=0。
・(B)成分:アニオン界面活性剤
B−1:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、商品名「ライポンLH−200」、ライオン株式会社製。
B−2:ポリオキシプロパン−1,2−ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩(AEPS)。AEPSは以下の方法で合成した。
B−3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、エチレンオキシドの平均付加モル数が1.0。
B−4:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、エチレンオキシドの平均付加モル数が2.0。
[AEPSの合成方法]
撹拌装置、温度制御装置及び自動導入装置を備えたオートクレーブ内に、炭素数12の直鎖1級アルコール[東京化成工業株式会社製、商品名:1−ドデカノール(分子量186.33)、純度>99%]640gと、KOH1.0gと、を仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後、窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロパン−1,2−ジイルオキシド199gを仕込んだ。次いで、120℃にて付加反応・熟成を行った後、145℃に昇温し、エチレンオキシド303gを仕込んだ。次いで、145℃にて付加反応・熟成を行った後、80℃まで冷却し、4.0kPaで未反応のエチレンオキシドを除去した。未反応のエチレンオキシドを除去した後、酢酸1.0gをオートクレーブ内に加え、80℃で30分間撹拌した後、抜き出しを行い、プロピレンオキシドの平均付加モル数が1.0、エチレンオキシドの平均付加モル数が2.0であるアルコキシレートを得た。
得られたアルコキシレートを、SOガスを用いて下降薄膜式反応器により硫酸化した。得られた硫酸化物をモノエタノールアミンにて中和し、ポリオキシプロパン−1,2−ジイルアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩(AEPS)を含む組成物を得た。
・(C)成分:プロテアーゼ
C−1:コロナーゼ製剤、商品名「Coronase 48L」、ノボザイムズ社製。
C−2:アルカラーゼ製剤、商品名「Alcalase 2.5L」、ノボザイムズ社製。
C−3:エバラーゼ製剤、商品名「Everlase 16L」、ノボザイムズ社製。
・(D)成分:プロテアーゼ以外の酵素
D−1:セルラーゼ製剤、商品名「Carzyme Premium4500L」、ノボザイムズ社製。
D−2:リパーゼ製剤、商品名「Lipex 100L」、ノボザイムズ社製。
・(E)成分:水
E−1:蒸留水、関東化学株式会社製。
・任意成分
MEA:モノエタノールアミン(アルカリ剤)、商品名「モノエタノールアミン」、株式会社日本触媒製。
BHT:ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)、商品名「SUMILZER BHT−R」、住友化学株式会社製。
エタノール:水混和性有機溶媒、商品名「特定アルコール95度合成」、日本アルコール販売株式会社製。
ブチルカルビトール:水混和性有機溶媒、商品名「ブチルカルビトール」、三協化学株式会社製。
香料:着香剤、特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A。
色素:着色剤、商品名「緑色3号」、癸巳化成株式会社製。
pH調整剤:水酸化ナトリウム、鶴見曹達株式会社製。塩酸、関東化学株式会社製。
<液体洗浄剤の調製>
表1〜3に示す組成(配合成分、含有量(質量%))に従い、下記の製造方法により各例の液体洗浄剤をそれぞれ調製した。表に示す含有量は、配合成分の含有量(純分換算量)を示す。表中、空欄は、その配合成分が配合されていないことを意味する。
表中、pH調整剤の含有量を示す「適量」は、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜0.4質量%の範囲である。
「(A)/(B)質量比」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(B)成分の含有量(質量%)に対する、(A)成分の含有量(質量%)の割合を意味する。
「(C)/(D)質量比」は、(C)成分/(D)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる「(D)成分を含有する製剤(酵素製剤)」の配合量(質量%)に対する、「(C)成分を含有する製剤(プロテアーゼ製剤製剤)」の配合量(質量%)の割合を意味する。
「(B)/(D)質量比」は、(B)成分/(D)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる「(D)成分を含有する製剤(酵素製剤)」の配合量(質量%)に対する、(B)成分の含有量(質量%)の割合を意味する。
(実施例1〜16、比較例1〜6)
各例の液体洗浄剤を下記の手順で調製した。
500mLビーカーに、水((E)成分)と、ブチルカルビトール又はエタノールと、を入れ、マグネットスターラー(MITAMURA KOGYO INC.製)で充分に撹拌した。
次いで、(A)成分を加えて撹拌し、その後、(B)成分を加えて撹拌した。
次いで、(C)成分と(D)成分とを加え、その後、全体量を100質量部として95質量部になるように水を入れ、充分に撹拌した。
次いで、残りの任意成分を加えて撹拌し、その後、pH(25℃)が7.0になるようにpH調整剤(水酸化ナトリウム及び/又は塩酸)を添加し、全体量が100質量部になるように水を加えて撹拌し、液体洗浄剤を得た。
液体洗浄剤のpH(25℃)は、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、25℃に調温した溶液に、前記pHメーターの電極を入れ、2分後の値を読み取ることにより測定した。ただし、実施例10〜14は、参考例である。
<液体洗浄剤の評価>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法により「液体洗浄剤における酵素の安定性」及び「再汚染防止効果」の評価をそれぞれ行った。その結果を表1〜3に併記した。
≪液体洗浄剤における酵素の安定性についての評価≫
液体洗浄剤のプロテアーゼ活性、セルラーゼ活性、及びリパーゼ活性をそれぞれ以下のようにして測定した。
[プロテアーゼ活性の測定]
調製後、35℃で4週間保存した液体洗浄剤(以下、35℃保存品という場合がある)及び4℃で4週間保存した液体洗浄剤(以下、4℃保存品という場合がある)について、下記の手順によりプロテアーゼ活性を測定した。
ミルクカゼイン(Casein、Bovine Milk、Carbohydrate and Fatty Acid Free/Calbiochem(登録商標))を1N水酸化ナトリウム(1mol/L水酸化ナトリウム溶液(1N)、関東化学株式会社製)に溶解し、pHを10.5とした。これを、0.05Mホウ酸(ホウ酸(特級)、関東化学株式会社製)水溶液で、ミルクカゼインの濃度が0.6質量%になるように希釈してプロテアーゼ基質とした。
各例の液体洗浄剤1gを、3°DH硬水(塩化カルシウム(特級、関東化学株式会社製)で硬度を調整)で25倍(質量比)に希釈した溶液をサンプル溶液とした。
サンプル溶液1gに、上記プロテアーゼ基質5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した後、37℃、30分間静置して酵素反応を進めた。その後、前記酵素反応後のサンプル溶液に、酵素反応停止剤のTCA(トリクロロ酢酸(特級)、関東化学株式会社製)の0.44M水溶液5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した。
その後、この溶液を20℃で、30分間静置し、析出物(未反応基質)を0.45μmフィルターで除去し、ろ液を回収した。
回収したろ液について、波長275nmにおける吸光度(以下、吸光度Aということがある)を、株式会社島津製作所製の紫外可視分光光度計UV−160を用いて測定した。吸光度Aが大きいほど、ろ液中に存在するチロシン(プロテアーゼがプロテアーゼ基質を分解することにより産生)の量が多かったことを示す。
目的成分以外の吸収の影響を除くため、別途、各サンプル溶液1gに、TCAの0.44M水溶液5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した。その後、プロテアーゼ基質5gを添加し、ボルテックスミキサーで10秒間撹拌した。次いで、析出物を0.45μmフィルターで除去し、ろ液を回収した。その後、回収したろ液について、波長275nmの吸光度(以下、吸光度Bということがある)を、UV−160を用いて測定した。
得られた吸光度A、吸光度Bに基づき、下式(1)により、プロテアーゼ活性残存率(%)を求めた。
尚、式(1)に代入した各試料の275nmにおける吸光度の値は、気泡等の散乱光を吸光度から除外するため、同時に測定した600nmの吸光度値を除した値である。
プロテアーゼ活性残存率(%)
={(35℃保存品の吸光度A)−(35℃保存品の吸光度B)}/{(4℃保存品の吸光度A)−(4℃保存品の吸光度B)}×100 ・・・(1)
そして、求めたプロテアーゼ活性残存率(%)を指標とした下記評価基準に従い、プロテアーゼの安定性を評価した。その結果を表1〜3に示す。
かかるプロテアーゼ活性残存率が高いほど、液体洗浄剤におけるプロテアーゼの安定性が良いことを意味する。
評価基準
A:プロテアーゼ活性残存率が80%以上。
B:プロテアーゼ活性残存率が70%以上80%未満。
C:プロテアーゼ活性残存率が60%以上70%未満。
D:プロテアーゼ活性残存率が60%未満。
[セルラーゼ活性の測定]
調製後、35℃で4週間保存した液体洗浄剤(35℃保存品)及び4℃で4週間保存した液体洗浄剤(4℃保存品)について、下記の手順によりセルラーゼ活性を測定し、標準酵素を用いた検量線から各液体洗浄剤の力価を求めた。
セルロースパウダーであるアビセル(Fluka社製、No.11365)20gに85質量%リン酸溶液600mLを加え、アイスバスで冷やしながらスターラーでゆっくり撹拌し、そこにアセトン400mLを加えて膨潤させた。得られた膨潤液をフィルターでろ過し、アセトン400mLで3回洗い流し、MilliQ水1000mLで7回洗い流した。これにMilliQ水2000mLを加え、これをセルラーゼ基質とした。
予め、前述の[プロテアーゼ活性の測定]と同様にして、サンプル溶液を調製した。
遠沈管にサンプル溶液2mLと、0.1Mリン酸バッファー2mLと、前記セルラーゼ基質2mLとを入れ、撹拌しながら50℃のウォーターバスに60分間つけて反応させた。その後、2質量%NaOH水溶液1mLを加えて反応を停止させた。これを遠心分離(4000rpm、10分間)し、上清を採取した。この上清4mLに発色試薬PAHBAH溶液2mLを加え、撹拌した。その後、この溶液を、100℃で8分間煮沸し、グルコース還元糖と発色試薬とを反応させた。その後、この溶液を、氷浴で冷やし、波長410nmにおける吸光度を測定した。
尚、発色試薬PAHBAH溶液は、PAHBAH(4−Hydroxybenzhydrazide、Sigma社製、No.H−9882)1.5gに、(+)−酒石酸カリウムナトリウム四水和物5.0gとBismuth(III)acetate0.193gとを添加し、2質量%NaOH水溶液で100mLにメスアップした溶液である。
別途、以下の手順で標準酵素溶液を調製し、検量線を作成した。
標準酵素(5700ECU/g)0.175gを、0.1Mリン酸バッファー1Lに溶解させ、母液とした。この母液を、0.1Mリン酸バッファーを用いて段階的に希釈し、0.1Mリン酸バッファーのみ、母液の250倍希釈溶液、50倍希釈溶液、25倍希釈溶液、12.5倍希釈溶液の5段階のスタンダード溶液をそれぞれ調製した。
これらのスタンダード溶液について、サンプル溶液と同様に処理し、波長410nmの吸光度を測定し、検量線を作成した。
得られた検量線からサンプル溶液の力価を求め、下式(2)により、セルラーゼ活性残存率(%)を求めた。
セルラーゼ活性残存率(%)
=(35℃保存品の力価)/(4℃保存品の力価)×100 ・・・(2)
そして、求めたセルラーゼ活性残存率(%)を指標とした下記評価基準に従い、プロテアーゼの安定性を評価した。その結果を表1〜3に示す。
かかるセルラーゼ活性残存率が高いほど、液体洗浄剤におけるセルラーゼの安定性が良いことを意味する。
評価基準
A:セルラーゼ活性残存率が80%以上。
B:セルラーゼ活性残存率が70%以上80%未満。
C:セルラーゼ活性残存率が60%以上70%未満。
D:セルラーゼ活性残存率が60%未満。
[リパーゼ活性の測定]
調製後、35℃で4週間保存した液体洗浄剤(35℃保存品)及び調製直後の液体洗浄剤(調製直後品)について、基質としてオリーブ油を用い、リパーゼ作用によって遊離した脂肪酸をアルカリ滴定で定量し、その数値からリパーゼ活性を求めた。酵素単位としては、37℃で基質オリーブ油から1分間に1μMの脂肪酸を遊離する酵素を1単位とした。具体的には、下記の手順によりリパーゼ活性を測定した。
予め、前述の[プロテアーゼ活性の測定]と同様にして、サンプル溶液を調製した。
オリーブ油乳液4mLと、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)4mLと、を50mL容共栓三角フラスコに正確に測り採って充分に混合し、37℃の恒温水槽を用いて10分間予熱した。これに、サンプル溶液1mLを正確に加えて充分に混合した。サンプル溶液を加えてから正確に20分間後、アセトン・エタノール混合液(アセトン/エタノール=1/1(質量比))20mLを加えた。その後、これを、指示薬としてフェノールフタレイン溶液5滴を滴下し、0.05N水酸化ナトリウム液で滴定し、その滴定値をサンプル溶液滴定値とした。
別途、オリーブ油乳液5mLと、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)4mLと、を50mL容共栓三角フラスコに正確に測り採り、37℃の恒温水槽を用いて30分間予熱した。その後、前記アセトン・エタノール混合液20mLを加え、次いでサンプル溶液1mLを正確に加えた。その後、指示薬としてフェノールフタレイン溶液5滴を滴下し、0.05N水酸化ナトリウム液で滴定し、その滴定値を対照液滴定値とした。
0.05N水酸化ナトリウム液による滴定は、サンプル溶液が赤色になった時点を終了点とした。
得られたサンプル溶液滴定値及び対照液滴定値から、下式(3)により、リパーゼ力価(単位/g)を求めた。
リパーゼ力価(単位/g)={(サンプル溶液滴定値)−(対照液滴定値)}/{サンプル溶液1mg中のリパーゼ製剤(g)×2.5} ・・・(3)
次いで、求めたリパーゼ力価から、下式(4)により、リパーゼ活性残存率(%)を求めた。
リパーゼ活性残存率(%)=(35℃保存品のリパーゼ力価)/(調製直後品のリパーゼ力価)×100 ・・・(4)
そして、求めたリパーゼ活性残存率(%)を指標とした下記評価基準に従い、リパーゼの安定性を評価した。その結果を表1〜3に示す。
かかるリパーゼ活性残存率が高いほど、液体洗浄剤におけるリパーゼの安定性が良いことを意味する。
評価基準
A:リパーゼ活性残存率が80%以上。
B:リパーゼ活性残存率が70%以上80%未満。
C:リパーゼ活性残存率が60%以上70%未満。
D:リパーゼ活性残存率が60%未満。
[再汚染防止効果についての評価]
35℃で4週間の保存を行う前、及び前記保存を行った後の液体洗浄剤を用いて、以下に示す洗浄工程、すすぎ工程、乾燥工程をこの順序で3回繰り返す洗濯処理を行った。
洗浄工程:
被洗物として、下記の綿布、ポリエステル(PE)布、湿式人工汚染布及び肌シャツを用いた。
綿布:再汚染判定布として綿メリヤス(谷頭商店製)5cm×5cmを5枚。
ポリエステル(PE)布:再汚染判定布としてポリエステルトロピカル(谷頭商店製)5cm×5cmを5枚。
湿式人工汚染布:財団法人洗濯科学協会製の汚染布(オレイン酸28.3%、トリオレイン15.6%、コレステロールオレート12.2%、流動パラフィン2.5%、スクアレン2.5%、コレステロール1.6%、ゼラチン7.0%、泥29.8%、カーボンブラック0.5%(質量比)の組成の汚れが付着した布)を20枚。
肌シャツ:肌シャツ(LLサイズ、DVD社製)を細かく(3cm×3cm程度)裁断したもの。
Terg−o−tometer(UNITED STATES TESTING社製)内に、25℃の3°DH硬水900mLを入れ、ここに液体洗浄剤0.6gを加え、次いで、前記被洗物を入れた。その後、3°DH硬水を加えて浴比を20倍に調整し、120rpm、25℃で10分間洗浄した。
すすぎ工程:
洗浄後の被洗物を、1分間脱水した後、25℃の3°DH硬水900mLを入れ、120rpm、25℃で3分間すすいだ。この操作(脱水、すすぎ)を2回繰り返した。2回目には、25℃の3°DH硬水900mLに、所定量の柔軟剤を添加してすすぎを行った。柔軟剤には、部屋干しソフラン(ライオン株式会社製)を用いた。
乾燥工程:
すすいだ被洗物を1分間脱水した後、再汚染判定布(綿布、PE布)のみを取り出し、濾紙に挟み、アイロンで乾燥した。
反射率計(分光式色差計SE2000、日本電色工業株式会社製)を用い、洗濯処理前後の再汚染判定布の反射率(Z値)を測定し、下式よりΔZを求めた。
ΔZ=(洗濯処理前のZ値)−(洗濯処理後のZ値)
綿布、PE布のそれぞれの再汚染判定布におけるΔZについて、5枚の平均値を求めた。そして、この平均値を指標とした下記判定基準に従い、液体洗浄剤による綿布、PE布への再汚染防止効果を評価した。それらの結果を表1〜3に示す。
綿布における判定基準
A:△Zが5未満。
B:△Zが5以上7未満。
C:△Zが7以上9未満。
D:△Zが9以上。
PE布における判定基準
A:△Zが3未満。
B:△Zが3以上4未満。
C:△Zが4以上5未満。
D:△Zが5以上。
Figure 0006786386
Figure 0006786386
Figure 0006786386
表1〜3に示す評価結果から、本発明を適用した実施例1〜16の液体洗浄剤は、少なくとも2種の酵素を含有し、それらの酵素活性がいずれも高く維持され、かつ、再汚染防止効果を有すること、が確認できた。
本発明の液体洗浄剤は、少なくとも2種の酵素を含有し、それらの酵素活性がいずれも高く維持され、かつ、再汚染防止効果を有するので、産業上極めて有用である。

Claims (4)

  1. (A)成分:ノニオン界面活性剤と、(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキルエーテル硫酸塩及びアルケニルエーテル硫酸塩から選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤と、(C)成分:プロテアーゼと、(D)成分:アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ及びペクチナーゼから選ばれる1種以上の酵素と、(E)成分:水と、を含有し;
    前記(A)成分は、下記一般式(a1)で表されるポリオキシアルキレン型のノニオン界面活性剤を含み、
    −X−[(EO)s/(PO)t]−(EO)u−R ・・・(a1)
    [[式中、R は、炭素数8〜22の炭化水素基であり;−X−は、−O−又は−C(=O)−O−であり;−X−が−O−である場合、R は水素原子であり、sは15〜20の数であり、tは0〜6の数であり、uは0〜20の数であり;−X−が−C(=O)−O−である場合、R はメチル基又はエチル基であり、sは6〜20の数であり、tは0〜6の数であり、uは0〜20の数であり;EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し;sは、EOの平均繰り返し数を表し、tは、POの平均繰り返し数を表し、uは、EOの平均繰り返し数を表し;[(EO)s/(PO)t]は、EOとPOとが配列順序を問わず、ブロック状に配列していても、ランダム状に配列していてもよいことを意味する。]
    前記(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、20〜50質量%であり、前記(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、16〜35質量%であり、前記(E)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、10〜50質量%であり;
    前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が1.53.1であり、
    前記(C)成分/前記(D)成分で表される質量比が0.255.0であり、
    25℃におけるpHが6〜9である、
    液体洗浄剤(ただし、プロテアーゼ0.5質量%とアミラーゼ0.3質量%とを含有する液体洗浄剤、及び、リパーゼと下記式で表される第四アンモニウム界面活性剤1〜10質量%とを含有する液体洗浄剤を除く。)。
    Figure 0006786386
    [式中、RとRはそれぞれ独立に、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、ベンジル、及び−(CO)H(xは2〜5の値)からなる群から選ばれるものであり、Xはアニオンであり、また、(1)RとRはそれぞれC〜C14アルキルであるか、もしくは(2)RはC〜C18アルキルであり、Rは、C〜C10アルキル、C〜C10ヒドロキシアルキル、ベンジル、及び−(CO)H(xは2〜5の値)からなる群から選ばれるものである。]
  2. 前記(B)成分/前記(D)成分で表される質量比が5〜400である、請求項1に記載の液体洗浄剤。
  3. 前記(B)成分が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩である、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤。
  4. 前記(C)成分の含有量が、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜2質量%であり、
    前記(D)成分の含有量が、液体洗浄剤の総質量に対して、0.01〜2質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体洗浄剤。
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