JP2011168654A - 液体洗浄剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

液体洗浄剤組成物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れる液体洗浄剤組成物、及び酵素を安定に配合でき、その酵素活性を高い状態で維持可能な液体洗浄剤組成物の製造方法の提供。
【解決手段】ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)と、を少なくとも含有し、前記(D)成分が、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上であり、前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比が、(C)/(D)=0.33〜9であり、pHが6.0〜8.0であり、前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前混合した液体洗浄剤組成物である。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体洗浄剤組成物及びその製造方法に関する。
近年、地球環境に優しい製品の開発の重要性がいっそう増しており、液体洗浄剤組成物においては、少ない洗剤量で高い洗浄力を発現できる濃縮化が求められている。衣料用洗浄剤組成物においても同様であり、高い洗浄力を有し、かつ濃縮化できる界面活性剤の選定や、洗浄力を補うための酵素の役割が一段と重要になってきている。
液体洗浄剤組成物において、酵素存在系ではpHが中性であることが好ましい。そのためpHを一定に保つ緩衝作用を有する成分としてクエン酸等の多価カルボン酸が用いられている。
またクエン酸は、衣料品等の布地にカルシウムを介して結合している汚れから、カルシウムを奪うことで汚れを浮かし、洗浄剤組成物中の界面活性剤の洗浄力を補助する作用を有する。
しかし、酵素にはその構造内にカルシウムを有するものが存在し、そのような酵素存在系にクエン酸を添加するとクエン酸は酵素内のカルシウムとキレートを形成し、酵素からカルシウムを奪う。これにより酵素の立体構造が変化し、失活してしまう点で問題であった。
また、液体洗浄剤組成物中の界面活性剤濃縮化組成は、クエン酸の作用を助長するため、高濃度の界面活性剤と酵素とを両立させ、かつ酵素の保存安定性を維持することは困難であった。
これに対し、コンドロイチン硫酸又はその塩を含むタンパク質安定化剤は、pH4.5〜6.3におけるタンパク質の凝集を防止することができることが知られている(特許文献1参照)。
また、陽イオン性ポリマーと陰イオン性ポリマーとを含み、これらのポリマーの少なくとも一方がシリコーンポリマーであり、コアセルベート相を形成する布地処理組成物が、優れた布地ケアや衣類ケアを付与することができることが知られている(特許文献2参照)。
また、有機水溶性高分子化合物及び飽和脂肪酸で表明処理された水溶性無機化合物核粒子と、界面活性剤含有粒子と、酵素含有粒子とを含有する粒状洗剤組成物は、酵素安定性に優れることが知られている(特許文献3参照)。
しかし、これらの従来技術は、十分な酵素の保存安定性を満足するものではなかった。また、長期保存を想定して保存試験を実施した場合、性能を十分に発揮できないレベルにまで酵素活性が低下することがあった。特に、界面活性剤を高濃度で含有する液体洗浄剤では顕著であり、酵素活性が低下しやすい点で問題であった。
したがって、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れる液体洗浄剤組成物及びその製造方法の提供が求められているのが現状である。
特開2003−70424号公報 特表2006−504001号公報 特許第4058640号
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、第1に、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れる液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、第2に、酵素を安定に配合でき、その酵素活性を高い状態で維持可能な液体洗浄剤組成物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)と、を少なくとも含有し、前記(D)成分が、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上であり、前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比が、(C)/(D)=0.33〜9であり、pHが6.0〜8.0であり、前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前混合した液体洗浄剤組成物は、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れること、また、前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前混合する前記液体洗浄剤組成物の製造方法は、酵素を安定に配合でき、その酵素活性を高い状態で維持可能であることを知見し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)と、を少なくとも含有し、前記(D)成分が、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上であり、前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比が、(C)/(D)=0.33〜9であり、pHが6.0〜8.0であり、前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前混合したことを特徴とする液体洗浄剤組成物である。
<2> (D)成分が、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上である前記<1>に記載の液体洗浄剤組成物である。
<3> アニオン性界面活性剤((E)成分)を更に含有し、かつ、(A)成分の含有量と、前記(E)成分の含有量との質量比が、(A)/(E)=3.0〜21である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物である。
<4> 酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)とを事前に混合し、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する混合物Iを得る第1の混合工程と、ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)とを少なくとも混合し、pHを6.0〜8.0に調製して前記(A)成分及び前記(D)成分を少なくとも含有する混合物IIを得る第2の混合工程と、前記混合物Iと、前記混合物IIとを混合し、前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比が、(C)/(D)=0.33〜9である液体洗浄剤組成物を得る第3の混合工程と、を少なくとも有し、前記(D)成分が、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする液体洗浄剤組成物の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、第1に、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れる液体洗浄剤組成物を提供することができる。
また、本発明は、第2に、酵素を安定に配合でき、その酵素活性を高い状態で維持可能な液体洗浄剤組成物の製造方法を提供することができる。
図1は、試験例1において、酵素とコンドロイチン硫酸との複合体化を等温滴定熱量計(ITC)で測定した結果の一例を示す図である。 図2は、試験例2〜3において、クエン酸存在系における酵素の構造安定性を示差走査熱量測定(DSC)により測定した結果の一例を示す図である。
(液体洗浄剤組成物)
本発明の液体洗浄剤組成物は、ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)と、を少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
<(A)成分>
前記(A)成分であるノニオン性界面活性剤は、洗浄力を向上させる目的で配合される。
前記(A)成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(I)で表されるポリオキシアルキレン型ノニオン性界面活性剤が好ましい。
−X−(EO)(PO)−R ・・・一般式(I)
前記一般式(I)において、「R」は、直鎖又は分岐鎖の疎水基を表し、「−X−」は、官能基を表し、「EO」は、エチレンオキサイドを表し、「PO」は、プロピレンオキサイドを表し、「s」は、前記EOの平均付加モル数を表し、「t」は、前記POの平均付加モル数を表し、「R」は、水素原子及びアルキル基又はアルケニル基のいずれかを表す。
前記一般式(I)において、前記「R」で表される疎水基の炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8〜22であることが好ましく、10〜18であることがより好ましく、1級又は2級の高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド等を原料とするものなどが更に好ましい。
前記一般式(I)において、前記「−X−」で表される官能基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−O−、−COO−、−CONH−などが好ましい。
前記一般式(I)において、前記「R」がアルキル基又はアルケニル基である場合、その炭素数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜6であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。
前記一般式(I)において、前記「s」で表されるEOの平均付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3〜20であることが好ましく、5〜18であることがより好ましい。前記sが、3未満であると、前記(A)成分に由来する基材臭が増加することがあり、20を超えると、HLB値が高くなりすぎて皮脂洗浄に不利となるために洗浄機能が低下することがある。
前記一般式(I)において、前記「t」で表されるPOの平均付加モル数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜6であることが好ましく、0〜3であることがより好ましい。前記tが、6を超えると、液体洗浄剤組成物の高温下での保存安定性が低下することがある。
前記一般式(I)において、前記EO及び前記POの平均付加モル数分布は、前記(A)成分を製造する際の反応方法によって変動しやすく、例えば、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水性原料に付加させた際は、比較的広い分布となる傾向にある。
一方、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、酸化エチレンや酸化プロピレンを疎水基原料に付加させた際は、比較的狭い分布となる傾向にある。
前記一般式(I)において、「−X−」が−O−であり、「t」が0であり、「−R」が−Hである場合、前記(A)成分は、アルコールエトキシレートである。この場合において、「R」の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、10〜22であり、10〜20であることが好ましく、10〜18であることがより好ましい。
また、前記一般式(I)において、「−X−」が−COO−である場合、前記(A)成分は、脂肪酸エステル型ノニオン性界面活性剤である。この場合において、「R」の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、9〜21であり、11〜21が好ましい。「R」は、不飽和結合を有していてもよい。この場合において、「R」は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。
前記一般式(I)で表される前記(A)成分の具体例としては、商品名:Neodol(C12/C13)、商品名:Safol23(C12/C13)(共に、Sasol社製)等のアルコールに12モル相当又は15モル相当の酸化エチレンを付加したもの、商品名:CO−1214、商品名:CO−1270(共に、P&G株式会社製)等の天然アルコールに12モル相当又は15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(商品名:LMAO−90、ライオンケミカル株式会社製)、ブテンを3量化して得られる炭素数12のアルケンをオキソ法に供して得られる炭素数13のアルコールに7モル相当の酸化エチレンを付加したもの(商品名:Lutensol TO7、BASF社製)、ペンタノールをガーベット反応に供して得られる炭素数10のアルコールに7モル相当の酸化エチレンを付加したもの(商品名:Lutensol XL70、BASF社製)、ペンタノールをガーベット反応に供して得られる炭素数10のアルコールに6モル相当の酸化エチレンを付加したもの(商品名:Lutensol XA60、BASF社製)、炭素数12〜14の第2級アルコールに9モル相当又は15モル相当の酸化エチレンを付加したもの(商品名:ソフタノール90やソフタノール150、株式会社日本触媒製)などが挙げられる。また、ヤシ脂肪酸メチル(ラウリン酸/ミリスチン酸=8/2(質量比))に対してアルコキシル化触媒を用いて15モル相当の酸化エチレンを付加したものを用いてもよい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記液体洗浄剤組成物における前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜70質量%が好ましく、30質量%〜60質量%がより好ましく、40質量%〜55質量%が更に好ましい。前記(A)成分の含有量が、10質量%未満であると、洗浄力が低下することや保存安定性が悪くなることがあり、70質量%を超えると、保存安定性が悪くなることがある。
<(B)成分>
前記(B)成分である酵素は、洗浄剤用に開発された酵素製剤を示し、汚れ成分である蛋白質や脂質を除去する目的で配合される。
前記(B)成分の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記プロテアーゼ製剤の具体例としては、商品名で、Savinase 16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L(以上、ノボザイムズ社製)、Purafect L、Purafect OX,Properase L(以上、ジェネンコア社製)などが挙げられる。
前記アミラーゼ製剤の具体例としては、商品名で、Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L(以上、ノボザイムズ社製)、Maxamyl(ジェネンコア社製)、プルラナーゼアマノ(天野エンザイム株式会社製)、DB−250(生化学工業株式会社製)などが挙げられる。
前記リパーゼ製剤の具体例としては、商品名で、Lipex 100L、Lipolase 100L(以上、ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
前記セルラーゼ製剤の具体例としては、商品名で、Endolase 5000L、Celluzyme 0.4L、Carzyme 4500L(以上、ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
前記マンナナーゼ製剤の具体例としては、商品名で、Mannaway 4L(ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜2質量%が好ましく、0.01質量%〜0.8質量%がより好ましく、0.1質量%〜0.8質量%が更に好ましい。前記(B)成分の含有量が0.01質量%未満であると、洗浄力が低下することがある。前記(B)成分の含有量が2質量%を超えると、保存安定性が悪くなることがあり、また洗浄力が飽和し不経済である。
前記液体洗浄剤組成物における残存酵素活性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましい。前記残存酵素活性が、80%未満であると、洗浄力が低下することがある。
前記残存酵素活性を測定する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体洗浄剤組成物の酵素活性と、調製直後に低温(例えば、4℃)で保存した液体洗浄剤組成物の酵素活性とを測定し、該低温保存した液体洗浄剤組成物を対照として、残存酵素活性を算出する方法などが挙げられる。
前記酵素活性を測定する方法としては、特に制限はなく、酵素の種類などに応じて公知の方法の中から適宜選択することができる。
<(C)成分>
前記(C)成分であるコンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれかは、前記(B)成分を安定化する目的で配合される。
前記(C)成分の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸カリウムなどのコンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(C)成分の調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サメ(フカヒレ)、クジラ、ウシ、ブタ、鳥等の動物軟骨などから、中性塩法、アルカリ法、酵素法、オートクレーブ法等の従来公知の方法により精製又は調製することができる。また、フカヒレを抽出して得られるフカヒレエキス等のようにコンドロイチン硫酸含量の高いものを用いることもできる。
前記(C)成分の具体例としては、商品名で、コンドロイチン硫酸20、コンドロイチン硫酸40(以上、株式会社東洋発酵製)、SCP、SCP(NB)、SCPスーパーファイン70、SNC−20N、SNC−40N、サケPG−20、サケPG、イカ−CS20(以上、株式会社マルハニチロ食品製)、豚コンドロイチン20FF、豚コンドロイチン40FF、豚コンドロイチン20HJ、コンドロイチン硫酸ナトリウム(以上、日本バイオコン株式会社製)、サメ由来コンドロイチン硫酸CP−55(バイオコープジャパン株式会社製)、SCS−20、SCS−40(以上、ヤエガキ発酵技研株式会社製)、マリンカーティリッジS、マリンカーティリッジ40S(以上、YSK焼津水産化学工業株式会社製)、MCコンドロイチン硫酸たんぱく複合体、SCSコンドロイチン硫酸Na(以上、株式会社日本バリアフリー製)、コンドロイチン硫酸Aナトリウム塩、コンドロイチン硫酸Bナトリウム塩、コンドロイチン硫酸Cナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム塩(以上、和光純薬工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸ナトリウム(純正化学株式会社製、CAS No.9082−07−9)、コンドロイチン硫酸C(サメ)などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜1質量%が好ましく、0.1質量%〜0.8質量%がより好ましく、0.3質量%〜0.4質量%が更に好ましい。
前記(C)成分の含有量が0.01質量%未満であると、前記(B)成分の安定化が不十分となり酵素活性が低下することや、洗浄力が低下することがある。前記(C)成分の含有量が1質量%を超えると、保存安定性が悪くなることがあり、また前記(B)成分の安定化作用が飽和し不経済である。
<(D)成分>
前記(D)成分である多価カルボン酸は、硬水中の汚れ落ちを阻害するカルシウム、マグネシウム、鉄等の硬度成分と結合する作用を有し、洗浄力を補助する目的で配合される。
前記(D)成分の種類としては、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上である。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(D)成分は、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩が好ましい。
前記液体洗浄剤組成物における前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.03質量%〜3質量%が好ましく、0.2質量%〜1質量%がより好ましい。前記(D)成分の含有量が、0.03質量%未満であると、洗浄補助作用が不十分となり洗浄力が低下することがあり、3質量%を超えると、前記(B)成分の安定性が悪くなり酵素活性が低下することや、保存安定性が悪くなることがある。
<(E)成分>
前記(E)成分であるアニオン性界面活性剤は、除去された汚れが衣料へ再汚染することを抑制する再汚染抑制の目的で配合される。
前記(E)成分の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、高級脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸塩又はアルケニルアミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型、アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(E)成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
前記直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、直鎖アルキル基の炭素数が、8〜16であることが好ましく、10〜14であることがより好ましい。
前記α−オレフィンスルホン酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が、10〜20であることが好ましい。
前記アルキル硫酸エステル塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が、10〜20であることが好ましい。
前記アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基を有し、平均1モル〜10モルのエチレンオキサイドを付加したもの(即ち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
前記アルカンスルホン酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が、10〜20、特に好ましくは14〜17のアルキル基を有する2級アルカンスルホン酸塩である。
前記α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数が、10〜20であることが好ましい。
これらの中でも、前記(E)成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などが特に好ましい。
前記液体洗浄剤組成物における前記(E)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3質量%〜11質量%が好ましく、3質量%〜5質量%がより好ましい。前記(E)成分の含有量が、3質量%未満であると、再汚染防止作用が低下することがあり、11質量%を超えると、酵素安定性、洗浄力、保存安定性、再汚染防止作用が低下することがある。
<(C)/(D)(質量比)>
前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比((C)/(D))としては、0.33〜9であるが、1〜1.5が好ましい。前記質量比が、0.33未満であると、前記(B)成分の安定性が不十分となり酵素活性が低下することや、保存安定性が悪くなることがあり、9を超えると、保存安定性が悪くなることがある。なお、前記質量比は、小数点第3位を四捨五入した値である。
<(A)/(E)(質量比)>
前記(A)成分の含有量と、前記(E)成分の含有量との質量比((A)/(E))としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0〜21が好ましく、5〜15がより好ましく、8〜11が更に好ましい。前記質量比が、3.0未満であると、前記(B)成分の安定性が不十分となり酵素活性が低下することがあり、21を超えると、再汚染防止作用が低下することがある。なお、前記質量比は、小数点第2位を四捨五入した値である。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水混和性有機溶媒;減粘剤及び可溶化剤の少なくともいずれか;アルカリや酸等のpH調製剤;酸化防止剤;防腐剤;保存安定性向上を目的として安息香酸又はその塩(防腐剤としての効果もある);酵素安定性向上を目的としてホウ酸、ホウ砂、ギ酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上;前記液体洗浄剤組成物において2質量%以下の塩化カルシウム、硫酸カルシウム等のカルシウム塩類;風合い向上を目的として、前記液体洗浄剤組成物において5質量%以下のジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン;白色衣類の白度向上を目的として、前記液体洗浄剤組成物において1質量%以下のジスチリルビフェニル型等の蛍光増白剤;移染防止剤;再汚染防止作用の向上を目的として、前記液体洗浄剤組成物において2質量%以下のポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース等の再汚染防止剤;パール剤;ソイルリリース剤など挙げられる。
また、前記液体洗浄剤組成物は、製品の付加価値の向上などを目的として、着香剤、着色剤、乳濁化剤、天然物等のエキスなどを含有してもよい。
−水混和性有機溶媒−
前記水混和性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、重量平均分子量約200のポリエチレングリコール、重量平均分子量約400のポリエチレングリコール、重量平均分子量約1,000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記水混和性有機溶剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜15質量%が好ましい。
−減粘剤、可溶化剤−
前記減粘剤及び可溶化剤の少なくともいずれかとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族スルホン酸又はその塩などが挙げられる。
前記減粘剤及び可溶化剤の少なくともいずれかの具体例としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換若しくは非置換ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩、置換若しくは非置換ナフタレンスルホン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記減粘剤及び可溶化剤の少なくともいずれかの含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜15質量%が好ましい。前記液体洗浄剤組成物における前記減粘剤及び可溶化剤の少なくともいずれかの含有量が、前記好ましい範囲内であると、前記液体洗浄剤組成物の液表面において、該液体洗浄剤組成物がゲル化することにより形成される皮膜の生成を抑制する作用を向上させることができる。
−アルカリ剤−
前記アルカリ剤として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記液体洗浄剤組成物における前記アルカリ剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜5質量%が好ましい。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、洗浄力と液安定性とが良好であることから、フェノール系酸化防止剤が好ましく、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等のモノフェノール系酸化防止剤;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール等のビスフェノール系酸化防止剤;dl−α−トコフェロール等の高分子型フェノール系酸化防止剤などがより好ましく、モノフェノール系酸化防止剤、高分子型酸化防止剤が更に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジブチルヒドロキシトルエン、dl−α−トコフェロールが特に好ましい。
前記液体洗浄剤組成物における前記酸化防止剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜2質量%が好ましい。
−防腐剤−
前記防腐剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、商品名:ケーソンCG(ローム・アンド・ハース社製)などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記防腐剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%〜1質量%が好ましい。
−着香剤−
前記着香剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2002−146399号公報の表11〜18に記載の香料組成物A、B、C、Dなどを使用することができる。
前記液体洗浄剤組成物における前記着香剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜1質量%が好ましい。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、商品名で、アシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、ターコイズP−GR等の汎用の色素や顔料などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記着色剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.00005質量%〜0.005質量%が好ましい。
−乳濁化剤−
前記乳濁化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレンエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルションなどが挙げられ、通常、固形分30質量%〜50質量%のエマルションが好適に用いられる。
前記乳濁化剤の具体例としては、ポリスチレンエマルション(商品名:サイビノールRPX−196 PE−3、固形分40質量%、サイデン化学株式会社製)などが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記乳濁化剤の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜0.5質量%が好ましい。
−エキス−
前記天然物等のエキスとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イヌエンジュ、ウワウルシ、エキナセア、コガネバナ、キハダ、オウレン、オールスパイス、オレガノ、エンジュ、カミツレ、スイカズラ、クララ、ケイガイ、ケイ、ゲッケイジュ、ホオノキ、ゴボウ、コンフリー、ジャショウ、ワレモコウ、シャクヤク、ショウガ、セイタカアワダチソウ、セイヨウニワトコ、セージ、ヤドリギ、ホソバオケラ、タイム、ハナスゲ、チョウジ、ウンシュウミカン、ティーツリー、バーベリー、ドクダミ、ナンテン、ニュウコウ、ヨロイグサ、シロガヤ、ボウフウ、オランダヒユ、ホップ、ホンシタン、マウンテングレープ、ムラサキタガヤサン、セイヨウヤマハッカ、ヒオウギ、ヤマジソ、ユーカリ、ラベンダー、ローズ、ローズマリー、バラン、スギ、ギレアドバルサムノキ、ハクセン、ホウキギ、ミチヤナギ、ジンギョウ、フウ、ツリガネニンジン、ヤマビシ、ヤブガラシ、カンゾウ、セイヨウオトギリソウ等の植物エキスなどが挙げられる。
前記液体洗浄剤組成物における前記エキスの含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%以下が好ましい。
<pH>
前記液体洗浄剤組成物のpHとしては、6.0〜8.0であるが、6.5〜7.5が好ましい。前記pHが、6.0未満又は8.0を超えると、前記(B)成分の安定性が不十分となり酵素活性が低下することがある。
<使用量、使用方法>
前記液体洗浄剤組成物の使用量としては、特に制限はなく、洗浄対象の汚れ度合い、洗浄対象の量、汚れの種類などに応じて適宜選択することができる。
前記液体洗浄剤組成物の使用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水で希釈して使用してもよく、前記液体洗浄剤組成物そのものを使用してもよい。また、前記液体洗浄剤組成物は、1種単独で使用してもよく、公知の洗浄剤組成物などと併用してもよい。このようにして得られる液体洗浄剤組成物は、衣料用の洗浄剤として好適に用いることができる。その際の使用方法としては通常の使用方法を採用でき、具体的には、前記液体洗浄剤組成物を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに前記液体洗浄剤組成物を直接塗布する方法、前記液体洗浄剤組成物を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、前記液体洗浄剤組成物を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。その際、前記液体洗浄剤組成物の使用量は、従来の液体洗浄剤組成物の使用量よりも少なくすることができる。
<用途>
前記液体洗浄剤組成物は、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れることから、布地、衣服などの洗浄に好適に利用可能である。
(液体洗浄剤組成物の製造方法)
本発明の製造方法は、本発明の前記液体洗浄剤組成物の製造に好適に用いることができ、第1の混合工程、第2の混合工程、及び第3の混合工程を少なくとも含む。
<第1の混合工程>
前記第1の混合工程は、前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前に混合し、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する混合物Iを得る工程である。
ここで、「事前に混合」とは、前記液体洗浄剤組成物における前記(B)成分及び前記(C)成分を、該(B)成分及び該(C)成分を除く他の成分(例えば、前記(A)成分、前記(D)成分など)と混合する前に予め混合しておくことをいう。これにより、前記(B)成分と前記(C)成分とが複合体を形成するため、前記(B)が、前記(A)成分や前記(D)成分などから保護され、前記(B)成分は変性することなく高い酵素活性を維持することができる。
前記第1の混合工程における混合方法、混合順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、所望の量の前記(C)成分を水に溶解させ、該(C)成分を含む水溶液に所望の量の前記(B)成分を添加し、攪拌する方法が好ましい。
<第2の混合工程>
前記第2の混合工程は、前記(A)成分と、前記(D)成分と、更に必要に応じて、前記(E)成分及びその他の成分とを混合し、pHを6.0〜8.0、好ましくは6.5〜7.5に調製して前記(A)成分及び前記(D)成分を少なくとも含有する混合物IIを得る工程である。
前記pHの調製には公知の酸又はアルカリを使用することができ、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、置換若しくは非置換ナフタレンスルホン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカリなど挙げられる。
前記pHは、pHメーターなどで測定することができ、例えば、製品名:HM−30G(東亜ディーケーケー株式会社製)などを用いることができる。
前記第2の工程における混合方法、混合順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<第3の混合工程>
前記第3の混合工程は、前記混合物Iと、前記混合物IIとを混合し、前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比((C)/(D))が、0.33〜9、好ましくは1〜1.5である前記液体洗浄剤組成物を得る工程である。前記混合物Iと、前記混合物IIとを混合した後、総量が100質量%になるように水を添加して調整することが好ましい。
前記第3の工程における混合方法、混合順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の製造方法においては、混合物Iとして、前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前混合することにより、前記(B)成分を安定化することができ、酵素活性を安定に保持した液体洗浄剤組成物を得ることができる。
<用途>
前記液体洗浄剤組成物の製造方法は、酵素を安定に配合でき、その酵素活性を高い状態で維持可能であるため、酵素を配合した液体洗浄剤組成物の製造方法として好適に利用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例、及び試験例に記載の成分量は全て純分換算である。
(試験例1:酵素とコンドロイチン硫酸との複合体化の分析)
コンドロイチン硫酸(商品名:コンドロイチン硫酸40、株式会社東洋発酵製)0.00135質量%水溶液にプロテアーゼ(商品名:Everlase 16L TypeEX、ノボザイムズ社製)10質量%水溶液を滴下し、反応熱を常法により等温滴定熱量計(Isothermal Titration Calorimeter:ITC)(製品名:VP−ITC、マイクロキャル社製)で測定した。
図1は、酵素滴下ごとにITCで測定したピークを積分し、縦軸に滴下ごとの酵素1モル当たりに換算した熱量(kcal/mol)を、横軸にセル中に存在するコンドロイチン硫酸に対する総酵素量のモル比をプロットした図である。図1における各プロット(■)は、各ピークに対応する実測値を表す。
プロットにより得られた適定曲線から得た平均結合定数は、4.62×10−1であり、結合のエンタルピー変化(反応熱)は、873.2cal/molであった。
この結果より、コンドロイチン硫酸と、酵素とは複合体化することがわかった。
(試験例2〜3:コンドロイチン硫酸による酵素の構造安定化)
表1に示す配合量(質量%)に従い、プロテアーゼ(商品名:Everlase 16L TypeEX、ノボザイムズ社製)と、コンドロイチン硫酸(商品名:コンドロイチン硫酸40、株式会社東洋発酵製)とを事前混合し、事前混合物を得た。また、前記事前混合物とは別に、表1に従いその他の成分であるエタノールと、クエン酸とを混合した後、水酸化ナトリウムを添加し、pH7.0に調整した。前記pH調整したその他の成分の混合物に、前記プロテアーゼを含む事前混合物を添加し、試験例2〜3の組成物を調製した。
これらの試験例2〜3の組成物について、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)(製品名:VP−DSC、マイクロキャル社製)を用い、1℃/分間の速度で20℃〜70℃まで昇温させ、酵素の結合乖離による熱量を測定した。結果を図2及び表1に示す。図2において、縦軸は比熱容量(Cp(cal/℃))を示し、横軸は温度(℃)を示す。また、比熱容量のピーク値における温度が酵素の構造崩壊温度(Tm)である。
この結果より、コンドロイチン硫酸は、酵素と複合体を形成し、構造安定性を高めることがわかった。
<(A)成分の製造>
以下の実施例1〜61及び比較例1〜9において、(A)成分であるノニオン性界面活性剤としては、以下の方法で製造した脂肪酸メチルエステルアルコキシレート、並びに、ポリオキシエチレン(EO15)アルキル(C12−14)エーテル(商品名:LMAO−90、ライオンケミカル株式会社製)及び高級2級アルコール(商品名:ソフタノール90、日本触媒株式会社製)を用いた。
−脂肪酸メチルエステルアルコキシレート−
脂肪酸メチルエステルアルコキシレートは、C1123CO(OCHCH15OCHと、C1327CO(OCHCH15OCHとを8:2(質量比)で混合した混合物である。具体的には、特開2000−144179号公報に記載の実施例における製造例1に準じて製造した。
即ち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(商品名:キョーワード300、協和化学工業株式会社製)を、温度600℃にて1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5Nの水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを、4L容オートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。
次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度180℃、圧力0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキサイド1,052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
更に、反応液を温度80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土及び珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別し、脂肪酸メチルエステルアルコキシレートを得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量をコントロールすることにより、脂肪酸メチルエステルアルコキシレートのナロー率は33質量%であった。脂肪酸メチルエステルアルコキシレートのナロー率は、以下のようにして求めた。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記測定条件により、得られた脂肪酸メチルエステルアルコキシレートにおけるエチレンオキサイドの平均付加モル数が異なるエチレンオサイド付加体の分布を測定した。そして、脂肪酸メチルエステルアルコキシレートのナロー率(質量%)を下記一般式(II)に基づいて算出した。
[HPLCによるエチレンオキサイド付加体の分布の測定条件]
装置 :LC−6A(株式会社島津製作所製)
検出器 :SPD−10A(株式会社島津製作所製)
測定波長:220nm
カラム :Zorbax C8(デュポン社製)
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)
流速 :1mL/分間
温度 :20℃
前記一般式(II)において、「nmax」は、全体のアルキレンオキサイド付加体中に最も多く存在するアルキレンオキサイド付加体のアルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、「i」は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を表し、「Yi」は、全体のアルキレンオキサイド付加体中に存在するアルキレンオキサイドの付加モル数がiであるアルキレンオキサイド付加体の割合(質量%)を表す。
−ポリオキシエチレン(EO15)アルキル(C12−14)エーテル−
ポリオキシエチレン(EO15)アルキル(C12−14)エーテル(商品名:LMAO−90、ライオンケミカル株式会社製)は、天然アルコールCO−1270(P&G株式会社製)に対して15モル相当の酸化エチレンを付加したものであり、以下のようにして製造した。
即ち、天然アルコールCO−1270(P&G株式会社製)を224.4g及び30質量%水酸化ナトリウム水溶液2.0gを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次いで、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながらエチレンオキサイド(ガス状)760.4gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
エチレンオキサイドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間未反応のエチレンオキサイドを留去した。次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7.0になるように、70質量% p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、ポリオキシエチレン(EO15)アルキル(C12−14)エーテルを得た。
−高級2級アルコール−
高級2級アルコール(商品名:ソフタノール90、日本触媒株式会社製)は、炭素数12〜14の分岐鎖状のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、下記一般式(III)で表される、分岐鎖含有2級アルコ−ルの平均EO(エチレンオキサイド)9モルの付加物のノニオン性界面活性剤である。
(C2n+1)CH(C2m+1)O(EO)H ・・・一般式(III)
前記一般式(III)において、「m」及び「n」は、mとnとの和(m+n)が11〜13であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。「EO」は、エチレンオキサイドを表す。
(実施例1〜61)
実施例1〜61の液体洗浄剤組成物を以下の第1の混合工程、第2の混合工程、及び第3の混合工程により調製した。
なお、(C)成分として用いたコンドロイチン硫酸ナトリウム1〜13の原料については、表13に示すとおりである。
−第1の混合工程−
50mLのビーカーに、表2〜5及び7〜11に示す種類と配合量(質量%)の(C)成分を計量し、次いで(C)成分に対して8倍量(質量%)の水を添加した。マグネットスターラー(三田村理研工業株式会社製)を用い、長さ25mm、直径8mmのスターラーチップで20分間攪拌して溶解させた後、表2〜5及び7〜11に示す種類と配合量(質量%)の(B)成分を加え、更に攪拌することで、(B)成分及び(C)を事前混合し、混合物Iを得た。なお、(B)成分及び(C)成分は、それぞれ中性であるため、前記混合物Iは中性である。
−第2の混合工程−
別途、500mLのビーカーに、水を20.0質量%、任意成分としてエタノールを7.0質量%、モノエタノールアミンを1.0質量%と、表2〜5及び7〜11に示す種類と配合量(質量%)の(A)成分及び(D)成分と、実施例26〜61(表7〜11)においては更に(E)成分とを投入して攪拌し、これらの成分を溶解させた。次いで、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、溶液の温度25℃におけるpHが表2〜5及び7〜11に示すpHになるようにpH調整剤として水酸化ナトリウム又は塩酸を用いて調整し、混合物IIを得た。
−第3の混合工程−
混合物IIに、混合物Iを添加し、最終生成物である液体洗浄剤組成物の総量が100質量%になるように水を添加することで実施例1〜61の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例1)
実施例1〜61において、(A)成分を配合せず表6の組成に従ったこと以外は、実実施例1〜61と同様の方法で比較例1の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例2)
500mLのビーカーに、水を20.0質量%、任意成分としてエタノールを7.0質量%、モノエタノールアミンを1.0質量%と、表6に示す種類と配合量(質量%)の(A)成分及び(D)成分を投入して攪拌し、これらの成分を溶解させた。
次いで、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、溶液の温度25℃におけるpHが7.0になるようにpH調整剤として水酸化ナトリウム又は塩酸を用いて調整した。その後、表6に示す種類と配合量(質量%)の(C)成分を加えて更に攪拌し、最終生成物である液体洗浄剤組成物の総量が100質量%になるように配合量を調整した水を添加することで比較例2の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例3)
比較例2において、(C)成分に代えて、(B)成分を配合したこと以外は、比較例2と同様の方法で比較例3の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例4)
実施例1〜61において、(D)成分を配合せず表6の組成に従ったこと以外は、実施例1〜61と同様の方法で比較例4の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例5、6)
実施例1〜61において、表6の組成に従ったこと以外は、実施例1〜61と同様の方法で比較例5及び6の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例7、8)
実施例1〜61において、表6の組成に従い、pHを表6に示すpHになるように調整したこと以外は、実施例1〜61と同様の方法で比較例7及び8の液体洗浄剤組成物を得た。
(比較例9)
500mLのビーカーに、水を20.0質量%、任意成分としてエタノールを7.0質量%、モノエタノールアミンを1.0質量%と、表6に示す種類と配合量(質量%)の(A)成分及び(D)成分を投入して攪拌し、これらの成分を溶解させた。
次いで、pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、溶液の温度25℃におけるpHが7.0になるようにpH調整剤として水酸化ナトリウム又は塩酸を用いて調整した。その後、表6に示す種類と配合量(質量%)の(B)成分及び(C)成分を、事前混合することなくそれぞれ加えて更に攪拌し、最終生成物である液体洗浄剤組成物の総量が100質量%になるように配合量を調整した水を添加することで比較例9の液体洗浄剤組成物を得た。
なお、表2〜11において、(C)成分の含有量と、(D)成分の含有量との質量比((C)/(D))は、小数点第3位を四捨五入した値であり、(A)成分の含有量と、(E)成分の含有量との質量比((A)/(E))は、小数点第2位を四捨五入した値である。
<評価方法>
実施例1〜32及び比較例1〜9の液体洗浄剤組成物について、温度35℃の恒温槽にて4週間保存後に、後述する評価方法により、残存酵素活性、保存安定性、及び再汚染性の評価を行った。皮脂洗浄量の評価は、各液体洗浄剤組成物の調製直後のものを使用した。
また、実施例33〜61の液体洗浄剤組成物については、残存酵素活性のみ評価した。
結果を表2〜11に示す。なお、残存酵素活性の評価は、温度4℃保存品を比較対照とした。
<<酵素残存活性の評価>>
−プロテアーゼ残存酵素活性の評価−
実施例1〜61及び比較例1〜9のうち、(B)成分としてプロテアーゼを配合した液体洗浄剤組成物を温度35℃の恒温槽中で4週間保存した後のプロテアーゼ残存酵素活性を、それぞれ以下のようにして評価した。
ミルクカゼイン(Casein、Bovine Milk、Carbohydrate and Fatty Acid Free、Calbiochem製)を1Nの水酸化ナトリウム(1mol/L水酸化ナトリウム溶液、関東化学株式会社製)に溶解し、pHを10.5に調整した後、0.05Mホウ酸(ホウ酸(特級)、関東化学株式会社製)水溶液でミルクカゼインの濃度が0.6質量%になるよう希釈し、プロテアーゼ基質とした。
温度35℃の恒温槽にて4週間保存後の各液体洗浄剤組成物1gを、塩化カルシウム(塩化カルシウム(特級)、関東化学株式会社製)3°DH硬水で25倍に希釈し、希釈液とした。該希釈液1gに、前記プロテアーゼ基質5gを添加し、ボルテックスで10秒間攪拌した後、温度37℃にて30分間静置し酵素反応を進めた。
その後、酵素反応停止剤として、TCA(トリクロロ酢酸(特級)、関東化学株式会社製)0.44M水溶液5gを添加し、ボルテックスで10秒間攪拌した後、温度20℃にて30分間静置し、析出した未反応基質を0.45μmフィルターで除去した。
フィルターで除去した後の液中に存在する酵素分解されたプロテアーゼ基質との濃度(以下、「吸光度A」と称することがある。)を、紫外可視分光光度計(製品名:UV−160、株式会社島津製作所製)を用い、測定波長275nmで定量した。
別途、目的成分以外の吸収の影響を除くため、プロテアーゼ基質を含まないサンプル溶液の275nmにおける吸光度(以下、「吸光度B」と称することがある。)を測定した。
比較対照として各液体洗浄剤組成物を温度4℃(低温)で4週間保存したサンプルについて同様の操作を行い、下記計算式(1)により高温保存に伴う酵素活性の残存率を算出した。
残存酵素活性(%)=[(吸光度A−吸光度B)/(吸光度C−吸光度B)]×100 ・・・計算式(1)
ここで、吸光度Cは、吸光度Aの定量において、温度35℃の恒温槽にて4週間保存後の各液体洗浄剤組成物を、温度4℃(低温)で4週間保存した各液体洗浄剤組成物に代えた以外は、吸光度Aの定量と同様の方法で定量した吸光度である。
なお、吸光度A〜Cの値は、気泡などの散乱光を吸光度から除外するため、同時に測定した600nmの吸光度の値を差し引いた値を用いた。
−セルラーゼ残存酵素活性の評価−
実施例1〜61及び比較例1〜9のうち、(B)成分としてセルラーゼを配合した液体洗浄剤組成物を温度35℃の恒温槽中で4週間保存した後のセルラーゼ残存酵素活性を、それぞれ以下のようにして評価した。
20mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に溶解した1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩溶液を480μL用意した。これに適当に希釈した酵素液20μL酵素液を加え、温度40℃で30分間反応させた。温度95℃にて15分間加熱して反応を停止させた後、3,5−ジニトロサリチル酸法により還元糖を紫外可視分光光度計(製品名:UV−160、株式会社島津製作所製)を用い、測定波長540nmで定量し、比色定量した。
酵素分解され産生した還元糖の定量値を「吸光度A」とした。また、別途、目的成分以外の吸収の影響を除くため、セルラーゼを含まないサンプル溶液の540nmにおける吸光度を測定し、吸光度Bとした。比較対照として各液体洗浄剤組成物を温度4℃(低温)で4週間保存したサンプルについて同様の操作を行い、比較対照の定量値を「吸光度C」とした。これらの吸光度A〜Cより、前記計算式(1)より、高温保存に伴う酵素活性の残存率を算出した。
−リパーゼ残存酵素活性の評価−
実施例1〜61及び比較例1〜9のうち、(B)成分としてリパーゼを配合した液体洗浄剤組成物を温度35℃の恒温槽中で4週間保存した後のリパーゼ残存酵素活性を、それぞれ以下のようにして評価した。
酵素液0.1mL、200mM トリス−塩酸を水酸化ナトリウムでpH調整した緩衝液(pH9.0)0.4mL、及びトリオレインエマルション0.5mLからなる混合液を共栓付き試験管中で温度37℃にて10分間加熱して反応させ、反応停止液として1N塩酸0.2mLを用いて反応を停止させた。
ここで、トリオレインエマルションとしては、ポリビニルアルコール(PVA)2質量%水溶液(商品名:ポバールPVA117/商品名:ポバールPVA205=9:1(質量比)、共に、株式会社クラレ製)10mLに2.5gのトリオレインを加え、氷冷しながら18,000rpmにて10分間ホモジナイズしたものを用いた。
反応停止後、n−ヘキサン2mL、イソプロピルアルコール2mL、及び蒸留水1mLを加え激しく攪拌し、静置後ヘキサン層をサンプリングし、TLC−FID法(Minagawaら、 Lipids, 1983, 18, 732参照)にてオレイン酸を定量した。
酵素分解され産生したオレイン酸の定量値を「A」とした。また、別途、リパーゼを含まないサンプル溶液を用いて同様の方法でTLC−FID法でオレイン酸を定量し、該定量値を「B」とした。比較対照として各液体洗浄剤組成物を温度4℃(低温)で4週間保存したサンプルについて同様の操作を行い、比較対照の定量値を「C」とした。これらの定量値A〜Cより、下記計算式(2)より、高温保存に伴う酵素活性の残存率を算出した。
残存酵素活性(%)=[(A−B)/(C−B)]×100 ・・・計算式(2)
<<皮脂洗浄力の評価>>
油化協布(未汚れ布)に人工汚垢を含浸させて作製した人工汚垢布(洗濯科学協会製)を、5cm×5cmに裁断したものを汚染布とした。
洗浄試験器として、Terg−O−tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。
洗濯液として、水900mLに対して、実施例1〜61及び比較例1〜9の液体洗浄剤組成物300μgをそれぞれ加え、30秒間撹拌して調製したものを用いた。
洗浄試験器に、前記洗濯液と、前記汚染布5枚と、前記未汚れ布5枚とを投入し、浴比30倍に合わせて、120rpm、20℃で10分間洗浄した。その後、二槽式洗濯機(三菱電機社製:製品名CW−C30A1−H1)に移し、1分間脱水後、水道水(20℃、4゜DH)30L中で3分間濯ぎ、風乾した。
なお、各液体洗浄剤組成物としては、配合直後のものを使用した。
皮脂洗浄力は、洗浄前後の未汚れ布、及び洗浄前後の汚染布のZ値をそれぞれ測色色差計(製品名:SE2000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定し、下記計算式(3)により洗浄率を算出した。
洗浄率(%)=(洗浄前の汚染布のZ値−洗浄後の汚染布のZ値)/(洗浄後の未汚れ布のZ値−洗浄前の未汚れ布のZ値)×100 ・・・計算式(3)
洗浄率は、10枚の平均値を下記基準基準で評価した。
[評価基準]
◎:洗浄率が70%以上
○:洗浄率が65%以上70%未満
△:洗浄率が60%以上65%未満
×:洗浄率が60%未満
<<保存安定性の評価>>
実施例1〜61及び比較例1〜9の液体洗浄剤組成物50mLをそれぞれガラス容器に充填し、温度35℃の条件下で4週間保管した後の液外観を以下の基準で目視判定した。
[評価基準]
◎:均一透明液体
○:わずかに濁って見える
×:分離、白濁、沈殿が認められる
<<再汚染防止作用の評価>>
−評価布の調製(前処理)−
二槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1−H、三菱電機株式会社製;以下同様)を用いて、B.V.D肌シャツ(株式会社フジボウアパレル製)1kgを、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン(EO15)アルキル(C12−14)エーテル、商品名:LMAO−90、ライオンケミカル株式会社製)の20質量%水溶液(洗剤の標準使用濃度)にて、温度40℃〜50℃の水道水で2回繰り返し洗濯を行った後、常温の水道水で充分すすぎ、室温で乾燥して評価布を作製した。
なお、上記の前処理は、浴比30倍にて、洗濯10分間と、注水すすぎ10分間の洗濯条件を2回繰り返した。
−使用試験の方法−
実施例1〜61及び比較例1〜9の液体洗浄剤組成物、並びに、前記前処理した評価布を20の家庭に配布し、通常の洗濯の際に各液体洗浄剤組成物を333ppmで用い、前記評価布を通常の洗濯物と一緒に洗濯した。通常の洗濯が20回繰り返された時点で、上記評価布を回収した。
再汚染防止作用の評価は、評価用の液体洗浄剤組成物1サンプルにつき20の家庭(例えば、液体洗浄剤組成物4サンプルならば、80の家庭)で行った。
−再汚染度ΔZの測定−
再汚染度ΔZの測定は、以下のようにして行った。
各家庭における使用試験の開始前の評価布を比較対照とした。この比較対照の評価布と、使用試験で回収した評価布について、測色色差計(製品名:1001−DP、レンズ直径30φ、日本電色工業株式会社製)を用いてZ値(反射率)を測定した。この際、蛍光剤の影響を遮断するフィルターを必ず着けるものとした。
Z値の測定は、評価布(肌シャツ)の前身ごろ4隅と、後見ごろ中央1箇所との合計5箇所を測定部位とし、それらの平均値を各評価布のZ値とした。これらのZ値から、計算式(4)によりΔZを算出した。
ΔZ=(比較対照の評価布のZ値)−(使用試験後の評価布のZ値) ・・・計算式(4)
評価用の液体洗浄剤組成物1サンプルにつき20の家庭から回収された評価布におけるΔZ値のうち、最大値と最小値を除いた、残り18のデータの平均値をその評価布の再汚染度ΔZとし、下記の評価基準に基づいて、再汚染防止作用を評価した。
[評価基準]
◎:再汚染度ΔZが6未満 :家庭で再汚染に気がつかないレベル
○:再汚染度ΔZが6以上9未満 :再汚染に気がつくものの、許容範囲のレベル
△:再汚染度ΔZが9以上12未満:再汚染に気がついて気になるレベル
×:再汚染度ΔZが12以上 :黒ずんでいることがはっきり分かるレベル
実施例1〜32より、ノニオン性界面活性剤と、酵素と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれかと、多価カルボン酸とを配合した液体洗浄剤組成物は、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高いことがわかった。また、前記液体洗浄剤組成物に、更にアニオン性界面活性剤を配合することにより、洗浄時の再汚染防止作用に優れることがわかった。
また、実施例33〜61より、コンドロイチン硫酸ナトリウムは、その由来に関わらず、酵素を安定化できることがわかった。
実施例1〜61及び比較例1〜9に使用した(A)成分、(B)成分、(D)成分、及び(E)成分の原料は、下記表12に、(C)成分の原料は下記表13に示すとおりである。
本発明の液体洗浄剤組成物は、酵素安定性が高く、少ない洗剤量でも高い洗浄力を発現でき、また組成物としての保存安定性が高く、更に洗浄時の再汚染防止作用に優れることから、布地、衣服などの洗浄に好適に利用可能である。
また、本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法は、酵素を安定に配合でき、その酵素活性を高い状態で維持可能であるため、酵素を配合した液体洗浄剤組成物の製造方法として好適に利用可能である。

Claims (4)

  1. ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)と、を少なくとも含有し、
    前記(D)成分が、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上であり、
    前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比が、(C)/(D)=0.33〜9であり、
    pHが6.0〜8.0であり、
    前記(B)成分と、前記(C)成分とを事前混合したことを特徴とする液体洗浄剤組成物。
  2. (D)成分が、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種以上である請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
  3. アニオン性界面活性剤((E)成分)を更に含有し、かつ、(A)成分の含有量と、前記(E)成分の含有量との質量比が、(A)/(E)=3.0〜21である請求項1から2のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
  4. 酵素((B)成分)と、コンドロイチン硫酸及びその塩の少なくともいずれか((C)成分)とを事前に混合し、前記(B)成分及び前記(C)成分を含有する混合物Iを得る第1の混合工程と、
    ノニオン性界面活性剤((A)成分)と、多価カルボン酸((D)成分)とを少なくとも混合し、pHを6.0〜8.0に調製して前記(A)成分及び前記(D)成分を少なくとも含有する混合物IIを得る第2の混合工程と、
    前記混合物Iと、前記混合物IIとを混合し、前記(C)成分の含有量と、前記(D)成分の含有量との質量比が、(C)/(D)=0.33〜9である液体洗浄剤組成物を得る第3の混合工程と、
    を少なくとも有し、
    前記(D)成分が、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、クエン酸、メチルグリシン二酢酸、及びこれらの塩のから選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする液体洗浄剤組成物の製造方法。
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