JP6785937B2 - 親水性フィンおよび熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器に用いて好適な親水性フィンおよび熱交換器に関する。
エアコンディショナーの熱交換器は、通常、並列配置された複数のアルミニウムフィンと、該アルミニウムフィンを貫通する複数の銅管とを有し、各銅管はプラグにより拡管されて各アルミニウムフィンに密着固定されている。
しかし、近年、銅の価格高騰や、熱交換器の熱交換性能の向上への要求から、銅管の代わりに軽量性、加工性、熱伝導性に優れる上に低価格であるアルミニウムパイプもしくはアルミニウム扁平管の使用が検討されている。特に、熱交換性能の良好なアルミニウム扁平管をアルミニウムフィンにろう付け接合したろう付けタイプの熱交換器が注目されている。即ち、銅管をプラグにより拡管してアルミニウムフィンと密着させた構造では、銅管とアルミニウムフィンが機械的に接合した構造であるため、ろう付け構造の熱交換器に対比すると熱交換性能の向上に限界を有する問題があった。
エアコンディショナーの性能向上について検討すると、例えば、家庭用エアコンディショナーの性能は、暖房運転が律束するといわれている。また、上述のアルミニウムフィンとアルミニウム偏平管を用いた熱交換器は家庭用エアコンディショナーの室外機への適用が有望とされ、室外機は暖房運転時において蒸発器側となる。家庭用エアコンディショナーの室外機には凝集水や着霜が発生するので、性能向上のためにはフィンに生じた凝集水などの排水が重要となり、排水機能が性能向上の鍵となる。
また、アルミニウムフィンのフィン間隔を小さくして熱交換器の小型化、軽量化を図ると、表面張力によりフィンの隙間に凝集水や雨水を保水することとなり、熱交換性能に支障を来すので、フィンからの排水機能が小型化、軽量化の面でも性能向上の鍵となる。
アルミニウムフィンからの排水性を確保するためには、アルミニウムフィンの表面に親水基を備えた有機皮膜を塗布し、この有機皮膜を乾燥定着させて親水性皮膜を形成する技術を採用できる。
しかしながら、ろう付け構造の熱交換器は、ろう付け時に600℃前後の温度に加熱されるため、有機皮膜は焼失するか変質し、親水性を保つことができない。
従って、ろう付け構造の熱交換器において、有機皮膜を確実に形成するには、ろう付け後の熱交換器を親水性樹脂液に浸漬し、全体に親水性皮膜を形成する、いわゆるポストコートを行う必要があり(特許文献1参照)、このポストコートにより親水性皮膜を形成することができる。
特開2013−96631号公報
ところが、ポストコートによってフィンに親水性皮膜を形成するためには、ろう付け後の熱交換器1基ずつを親水性処理液に浸漬するバッチ処理が必要となるため、量産には大きな手間と時間がかかる上に、親水性樹脂液の無駄も多く、その廃液処理に手間がかかる問題がある。
これらの背景に鑑み、アルミニウムフィンがろう付後であっても親水性を発揮出来ることが重要と考え、フィン表面のフラックス残渣の状態について種々研究した結果、本願発明に到達した。
本願発明は、これらの背景に鑑み、アルミニウムフィンをアルミニウムチューブに対しろう付けする構造の熱交換器に用いて好適であり、排水性に優れた親水性フィンおよび該親水性フィンを備えた熱交換器を提供することを目的とする。
本発明の親水性フィンは、内部に冷媒流路を備えたアルミニウムチューブに対し、ろう材とフッ化物系フラックスを用いたろう付けにより接合されるアルミニウムフィンであって、ろう付け時に生じたフッ化物系フラックスの残渣粒子による表面被覆率と、200μm□の表面領域における前記フッ化物系フラックスの残渣粒子残留部分の面積拡大率が、以下の関係を有し、前記残渣粒子の形態が100倍または500倍の顕微鏡観察において花弁状の組織または鱗片状の組織あるいは花弁状の組織と鱗片状の組織の混合組織を有することを特徴とする。
前記面積拡大率が1.20以上1.30以下であり、かつ、前記表面被覆率が98.264%以上であるか、あるいは、前記面積拡大率が1.31以上2.52以下であり、かつ、前記表面被覆率が85.989%以上である。
上述の親水性フィンであるならば、フッ化物系フラックスの残渣粒子が3mm角の範囲において被覆率10%以上でフィン表面を覆い、表面拡大率も高いので、ろう付けを要する熱交換器用とした場合であっても残渣粒子の分散による親水性を確保でき、排水性の良好なフィンを提供できる。このため、本発明のフィンをチューブに対しろう付けして得られる熱交換器は、フィンからの排水性に優れ、凝集水や雨水、結露水などがフィンの隙間に表面張力で残留することがなく、フィンにおける通風抵抗の増大を防止できるので、フィン間の隙間に水を保留することによる熱交換性能の低下を生じ難い熱交換器の提供に寄与する。
本発明の親水性フィンにおいて、面積拡大率が1.20以上1.30以下であり、かつ、表面被覆率が98.264%以上であるか、あるいは、面積拡大率が1.31以上2.52以下であり、かつ、表面被覆率が85.989%以上であるならば、残渣粒子は好適な親水性を発揮するので、排水性に優れたフィンを提供できる。
本発明の親水性フィンにおいて、前記残渣粒子が円相当径3〜10μmのフッ化物系フラックスの残渣粒子であることが好ましい。
本発明の親水性フィンにおいて、前記被覆率がレーザー顕微鏡にて200μm□の視野にて観察された値であることが好ましい。
本発明の親水性フィンにおいて、前記フッ化物系フラックスが、K1−3AlF4−6、Cs1−3AlF4−6、Cs0.021−2AlF4−5、AlF、KF、KZnF、KSiF、LiAlFのいずれか1種または2種以上からなることを特徴とする。
良好な排水性を発揮するための残渣粒子を構成するフッ化物系フラックスとして、上述のフッ化物系フラックスを適用することができる。
本発明の熱交換器は、先のいずれかに記載の親水性フィンが前記アルミニウムチューブにろう付けされてなる。
先の排水性に優れた親水性フィンをアルミニウムチューブにろう付けしてなる熱交換器であるならば、凝集水や結露水の排出性に優れ、凝集水や結露水、あるいは雨水や結霜の影響で熱交換特性が低下することのない熱交換器を提供できる。
本発明によれば、ろう付け時に用いたフッ化物系フラックスに由来するフッ化物系フラックス残渣による面積拡大率が1.20以上1.30以下であり、かつ、表面被覆率が98.264%以上であるか、あるいは、面積拡大率が1.31以上2.52以下であり、かつ、表面被覆率が85.989%以上の状態にフラックス残渣がフィンの表面に分散されているので、親水性、排水性に優れる。よって、この親水性フィンをアルミニウムチューブとろう付けして熱交換器を構成するならば、フィンの排水性に優れ、フィンに凝集水や結露水などが付着し難く、熱交換効率の優れた熱交換器を提供できる。
本発明に係るフィンをアルミニウムチューブにろう付けした熱交換器の一例を示す斜視図である。 図1に示す熱交換器において、チューブの長さ方向に直交する面に沿って横断面をとった断面図である。 本発明に係るフィンをアルミニウムチューブにろう付けした熱交換器においてチューブの縦断面を示す図。 本発明に係るフィンの表面に分散されているフッ化物系フラックスの残渣粒子を示す図。 本発明に係るフラックス残渣の一例を示すもので、(a)は鱗片状残渣の一例を示す表面写真、(b)は花弁状残渣の一例を示す表面写真。 図5に示す各残渣のレーザー顕微鏡による3D計測結果を示すもので、(a)は鱗片状残渣の計測結果を示す図、(b)は花弁状残渣の計測結果を示す図。
以下、添付図面に基づき、本発明の一実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明に係る親水性フィンとチューブをろう付けして構成した熱交換器の一例を示す斜視図である。
本実施形態の熱交換器11は、ルームエアコンディショナーやパッケージエアコンの室外機用の熱交換器、あるいは、HVAC(Heating Ventilating Air Conditioning)用の室外機、自動車用の熱交換器などの用途に使用されるオールアルミニウム熱交換器である。
熱交換器11は、左右に離間し平行に配置された一対のヘッダ管14と、一対のヘッダ管14の間に相互に間隔を保って平行に、かつ、ヘッダ管14に対してほぼ直角に接合された複数本のチューブ22と、チューブ22を構成する管体12の外面12bにろう付けされ、外気に熱を放散する複数枚のフィン13を備えている。
一対のヘッダ管14のうち一方には、ヘッダ管14を介しチューブ22に冷媒を供給するための供給管15が設けられている。また、他方のヘッダ管14には、チューブ22を経由した冷媒を回収するための回収管16が設けられている。チューブ22、フィン13、ヘッダ管14、供給管15、回収管16は、アルミニウム又はアルミニウム合金を主材料として構成されている。
図2は、チューブ22の部分断面をとった熱交換器11の断面図である。
図2に示すように、チューブ22を構成する偏平状の管体12の内部には幅方向に沿って並ぶ複数(本実施形態では6つ)の冷媒流路12aが形成されている。
また、図2に示すようにフィン13には、チューブ22の断面形状に対応する切り欠き部19が、複数(本実施形態では8つ)形成されている。切り欠き部19には、それぞれチューブ22が嵌合され、ろう付けされることで固定されている。
図3は、熱交換器11においてチューブ22の縦断面を示す図であり、図3はろう付け工程後の状態を示す。
フィン13は、複数枚並列配置されるとともに各切り欠き部19にチューブ22が挿通されている。複数のフィン13は、一定の間隔をおいて相互に平行に配置されている。フィン13は、切り欠き部19の周縁部にチューブ22の外面12bに沿って屈曲した屈曲部20を有している。屈曲部20は、例えばバーリング加工により形成できる。
チューブ22とフィン13は、一定間隔に並べたフィン13を串刺しするように、フィン13の切り欠き部19内にチューブ22を嵌合し、接続部分をろう付けすることにより固定されている。
本実施形態のフィン13は、切り欠き部19においてチューブ22を挿通させているが、切り欠き部19に代えて貫通孔を設け貫通孔にチューブ22を挿通される構成としても良い。
以下に熱交換器11の主な構成要素についてより詳細に説明する。
<フィン>
フィン13は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板状の基材3と、基材3の第1の面3a及び第2の面3bに設けられた親水性皮膜1とからなる。なお、フィン13を構成する基材3は、一例としてろう付け前の状態において、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板状の芯材の片面または両面にろう材をクラッド圧着したクラッド材からなる。
<基材>
基材3は、JIS1050系などの純アルミニウム系あるいはJIS3003系のアルミニウム合金を主体としたアルミニウム合金からなる。また、基材3は、JIS3003系のアルミニウム合金に質量%で0.5〜3.0%程度のZnを添加したアルミニウム合金からなるものであっても良い。さらに、基材3は、その表面に耐食性下地処理を施したものであっても良い。
<チューブ>
図3に示すように、ろう付け後のチューブ22は、管体12と、管体12の外面12b側に形成された犠牲防食層5Aを有している。管体12は、図2に示すようにその内部に複数の冷媒流路12aが形成された偏平多穴管である。熱交換器11において犠牲防食層5Aが形成されている位置には、フィン13とチューブ22を組み付けたろう付け前の熱交換器の状態ではろう材層が形成されていて、ろう付け時にこのろう材層は溶融されてチューブ22の外面12b側に犠牲防食層5Aが形成される。
管体12は、JIS1050系などの純アルミニウム系あるいはJIS3003系、JIS3102系、Al−Cu系のアルミニウム合金を主体とした合金からなり、上記アルミニウム合金を押出することにより作製されたものである。
<フラックス層>
ろう付け前のチューブ22の管体12表面およびフィン13の外表面、あるいは、フィン13とチューブ22を組み付けたろう付け前の熱交換器全体に、K1−3AlF4−6、Cs1−3AlF4−6、Cs0.021−2AlF4−5、AlF、KF、KZnF、KSiF、LiAlFのいずれか1種または2種以上からなるフラックス層が塗布されている。このフラックス層は、フィン13とチューブ22を組み付けたろう付け前の熱交換器の外表面全体にフラックスをスプレー塗布することにより形成される。
前記フラックス層はチューブ22とフィン13をろう付けする際、ろう付け温度の600℃程度に加熱されると溶融し、ろう付け後の冷却過程で結晶化し、残渣を形成する。
このため、チューブ22とフィン13の表面には、図4に示すようにフッ化物系フラックスが凝集してフッ化物系フラックスの結晶化された残渣粒子1aが島状に多数均一分散された親水性皮膜1が形成されている。
この親水性皮膜1は、フッ化物系フラックスの残渣粒子1aが3mm角の範囲を10%以上、より好ましくは70%以上覆う構造である。
図3においては親水性皮膜1を見やすくするために1層の膜状に描いているが、実際には図4に拡大して示すように複数のフッ化物系フラックスの残渣粒子1aが相互の間に間隔をあけて分散された構造とされている。なお、被覆率10%、70%は、表面観察を行い、3mm角の範囲を複数規定し各範囲で測定した被覆率とする。3mm角の範囲の被覆率を測定する場合、測定装置の測定範囲が1mm□の場合は、隣接する9箇所、合計3mm角の範囲を測定し、その平均をとって求めることができる。
被覆率を求める方法の一例として、EPMAにより試料の表面観察を行って、Alの元素マッピングを行い、Alカウント数しきい値を元に二値化してAl素地面積を算出した後、被覆率を求めることができる。Alカウント数しきい値は表面のSEM観察結果を見ながら、Al素地をおよそ抽出できるカウント数を求めて適用した。
面積拡大率は、レーザー顕微鏡にて約200μm□の視野にて試料観察を行い、「観察視野面積」に対する「表面積」の比(面積拡大率=表面積/観察視野面積)として求めることができる。面積拡大率を求める観察視野は、フラックス残渣上にて任意に選択することができる。レーザー顕微鏡では3D計測が可能なので、上記の関係により表面積(高さを考慮した面積)を求めることができる。
レーザー顕微鏡は、例えばKEYENCE社 LASER MICROSCOPE VK-X100(観察レンズ:×100)を用いることができる。
なお、レーザー顕微鏡で試料観察を行う前に、以下の前処理を行う必要がある。フラックス残渣は半透明であり、そのままではレーザー光を透過する。このため、フラックス残渣の観察前に、金蒸着にてフラックス残渣に着色し、着色後レーザー顕微鏡で観察した。
フッ化物系フラックスをろう付け温度に加熱した場合、加熱途中で樹脂分は蒸発するが、フッ化物系フラックスが結晶化して残留し、フィン13の外表面に残渣粒子1として分散する。
なお、図4に示すフィン13の表面において残渣粒子1が描かれていない領域については、残渣粒子が全くないわけではなく、3μm未満の微細な残渣粒子が多少存在していても電子顕微鏡観察でフィン13を構成するアルミニウム合金の素地を確認できる領域については残渣粒子1が無い領域として描いている。従って、円相当径3〜10μmのフッ化物系フラックスの残渣粒子1aがフィン13の表面を被覆している割合が10%以上、より好ましくは70%以上であれば本発明の範囲とする。
フィン13とチューブ22をろう付けする場合の雰囲気は、不活性ガス雰囲気中が望ましく、低酸素状態で行うことが好ましい。例えば、フィン13とチューブ22を熱交換器型に組み付け、フラックス塗布後に窒素ガスを満たしたろう付け用の加熱炉に搬送して600℃前後の温度に加熱してろう付けする場合、加熱炉に窒素ガスを満たし、加熱炉内の雰囲気を酸素濃度10ppm以下に調整することが好ましい。酸素濃度については低い方がろう付けの場合のろう付け性に優れる。残渣粒子1aによる被覆率を調整するにはフッ化物系フラックスの塗布量を調整することで実現できる。また、フッ化物系フラックスとしてKAlFを用いた場合の一例として、ろう付け時の酸素濃度を100ppm程度にするとフラックスの残渣形態は花弁状となる傾向があり、10ppm程度にするとフラックスの残渣形態は鱗片状になる傾向があり、50ppm程度では鱗片状と花弁状の混合形態となる傾向がある。即ち、フラックス残渣形態は、フラックス種、加熱条件に合わせて、適切な酸素濃度条件を選択し、制御することが好ましい。
図5(a)は、KAlFフラックス塗布量6g/m、酸素濃度10ppmの場合に得られた鱗片状残渣の一例を示し、図5(b)は、KAlFフラックス塗布量6g/m、酸素濃度100ppmの場合に得られた花弁状残渣の一例を示す。鱗片状残渣は薄い鱗片状のフラックスの結晶がフィン表面に多数残留物となった状態を示し、花弁状残渣は花弁状の多数の残留物が混在した状態を示す。
図6(a)は図5(a)に示す鱗片状残渣についてレーザー顕微鏡(KEYENCE社 LASER MICROSCOPE VK-X100(観察レンズ:×100))を用いて3D計測した結果を示し、図6(b)は図5(b)に示す花弁状残渣についてレーザー顕微鏡(KEYENCE社 LASER MICROSCOPE VK-X100(観察レンズ:×100))を用いて3D計測した結果を示す。
また、本実施形態において残渣粒子1aの存在によるフィン13の表面積拡大率の数値も重要であり、表面積拡大率が1.2以上であることがより好ましい。
以上説明のように、表面に円相当径3〜10μm程度のフッ化物系フラックスの残渣粒子1aが3mm角の範囲に10%以上、より好ましくは70%以上被覆されているフィン13であるならば、親水性に優れる。このため、図1に示すろう付け構造であってもフィン13を備えた熱交換器11であるならば、フィン13が短い間隔で複数隣接配置された構造であっても、フィン13の間に凝集水や結露水あるいは霜による水を保水する可能性が低く、熱交換性能が低下するおそれの少ない熱交換器11を提供できる。
<<サンプルの作製>>
0.3質量%〜0.5質量%Siと0.2質量%〜0.4質量%Mnを含有し、残部不可避不純物とAlからなるチューブ用アルミニウム合金を溶製し、この合金から横断面形状(肉厚0.26mm×幅17.0mm×全体厚1.5mm)であって、扁平状の熱交換器用アルミニウム合金の多穴管(6穴)を押出形成した。また、この多穴管の表面にZn溶射を行って亜鉛被覆した多穴管を用意した。
0.4質量%〜0.6質量%Siと1.0質量%〜2.0質量%Mnと0.5質量%〜3.0質量%Znを含有し、残部不可避不純物とAlとからなる基材を芯材とし、片面にろう材層(JIS4045合金層)を配置した。
次に、前記チューブ6本とフィン50枚から図1に示す熱交換器を組み立て、仮のミニコア試験体を構成し、ミニコア試験体表面に後述する塗布量で後述する種類のフラックスを塗布し、これらの試験体を窒素雰囲気の加熱炉内に600℃×3分保持する条件でろう付けを行った。加熱炉の窒素雰囲気は、酸素濃度10ppmの窒素雰囲気、酸素濃度50ppmの窒素雰囲気、酸素濃度100ppmの窒素雰囲気の3種のうち、いずれかの雰囲気に調整した。フィンにはチューブを収容可能なスリット状の溝部を6本設け、フィンを1〜2mm間隔で50枚積層した。
このろう付けにより、Zn溶射皮膜が形成されていたチューブの表面及び裏面に、犠牲防食層が形成されるとともに、親水性皮膜を備えたフィンがろう付けされたので、これらを熱交換器試験体とした。
また、熱交換器試験体のフィンの表裏面には、フラックス層が600℃に加熱溶融されたことでフッ化物系フラックスの残渣粒子が島状に分散した親水性皮膜が形成された。
この熱交換器試験体に対しそれぞれ後述する試験に供した。
前記ミニコア試験体を組み立てる際、フラックス塗布量を1g/m、2g/m、4g/m、6g/m、8g/m、10g/mにそれぞれ変量して複数の試験体を組み立て、それぞれ以下の試験に供した。また、用いたフラックスの種類は、後述する表に記載のように、KAlF、KAlF+5%LiF、CsFI(CsAlF)、CsFII(CsAlF+CsAlF)、KZnF、KSiFのいずれかを用いた。
<残渣粒子測定>
フィンの表裏面に形成されているフッ化物系フラックスの残渣粒子について、EPMAにより観察面のAlの元素マッピングを行い、Alカウント数しきい値を元に二値化してAl素地面積を算出した後、被覆率を求めた。Alカウント数しきい値はSEM観察結果を見ながら、Al素地をおよそ抽出できるカウント数を求めて適用した。
面積拡大率はレーザー顕微鏡にて約200μm□の視野にて観察を行い、観察視野面積と高さを考慮した面積との比を求めた。面積拡大率を求める観察視野は、フラックス残渣上にて任意に選択している。
<親水性評価>
600℃×3分のろう付け後、密封した5Lのビーカ中にフィンプレス加工油(RF520/NSルブリカンツ社製)とテストサンプル(40mm×50mm)を入れ、気化したフィンプレス加工油にてサンプルを汚染暴露した。密閉した5Lビーカを40℃のオーブンに挿入し、3週間後に取り出し、接触角の測定を実施した。
接触角の測定は、純水10μLを滴下して10sec後の接触角を測定し、親水性評価した。
以下の表1〜表3に、用いたフラックスの種類、塗布量、ろう付け後の残渣の形態を記載し、接触角、フラックス被覆率、面積拡大率の測定結果を記載する。
表1〜表3に接触角60゜以上を×、60゜未満40゜以上を△、40゜未満10゜以上を○、10゜未満を◎として示した。
表1に示す結果から、塗布量の調節によりフラックス被覆率を調節できるとともに、フラックス被覆率を10%以上とした試料について、良好な接触角を得ることができ、フラックス被覆率を70%以上とすることでより良好な接触角の親水性皮膜を得ることができている。
また、面積拡大率において、1.2以上とすることで、良好な接触角のフラックスの残渣による親水性皮膜を得ることができることもわかる。
従ってろう付け後のフラックス残渣を利用して好適な親水性皮膜を形成できることがわかる。
また、KAlF、KAlF+5%Li、CsFI(CsAlF)、CsFII(CsAlF+CsAlF)、KZnF、KSiFのいずれのフラックス種であっても同じ傾向を示した。
なお、ろう付け雰囲気の酸素濃度が10〜100ppmの範囲で残渣の形態は変わるが、いずれの酸素濃度においても、塗布量の調節により目的の接触角の親水性皮膜を得ることができた。
残渣の形態は、酸素濃度が低い10ppmでは鱗片状となる場合が多く、フラックス種によっては花弁状あるいは鱗片状+花弁状の組織となり、中間濃度の50ppmでは花弁状となる場合が多く、フラックス種によっては鱗片状+花弁状の組織となり、高濃度の100ppmでは花弁状となった。親水性については、花弁状の組織が最も優れ、鱗片状の組織がそれに続き、酸素濃度が中間濃度の場合に生成する鱗片状+花弁状の組織の場合は若干低下する傾向となった。面積拡大率が示す表面のミクロ凹凸については、親水性に影響があり、低酸素濃度の場合にミクロ凹凸が小さく、酸素濃度が高くなるにつれて中程度から大きくなる傾向となった。なお、鱗片状と花弁状の残渣の混合状態では表面は不均一となり易く、水の濡れ拡がりを阻害すると考えられる。
本発明のフィンは、ろう付けタイプのアールアルミニウム熱交換器に適用することができ、フィンからの排水性の良好な熱交換器を提供することができる。
1…親水性皮膜、1a…残渣粒子、3…基材、3a…第1の面、3b…第2の面、5A…犠牲防食層、11…熱交換器、12…管体、12a…冷媒流路、12b…外面、13…フィン、14…ヘッダ管、15…供給管、16…回収管、22…チューブ。

Claims (5)

  1. 内部に冷媒流路を備えたアルミニウムチューブに対し、ろう材とフッ化物系フラックスを用いたろう付けにより接合されるアルミニウムフィンであって、ろう付け時に生じたフッ化物系フラックスの残渣粒子による表面被覆率と、200μm□の表面領域における前記フッ化物系フラックスの残渣粒子残留部分の面積拡大率が、以下の関係を有し、前記残渣粒子の形態が100倍または500倍の顕微鏡観察において花弁状の組織または鱗片状の組織あるいは花弁状の組織と鱗片状の組織の混合組織を有することを特徴とする親水性フィン。
    前記面積拡大率が1.20以上1.30以下であり、かつ、前記表面被覆率が98.264%以上であるか、あるいは、前記面積拡大率が1.31以上2.52以下であり、かつ、前記表面被覆率が85.989%以上である。
  2. 前記残渣粒子が円相当径3〜10μmのフッ化物系フラックスの残渣粒子であることを特徴とする請求項1に記載の親水性フィン。
  3. 前記被覆率がレーザー顕微鏡にて200μm□の視野にて観察された値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の親水性フィン。
  4. 前記フッ化物系フラックスが、K1−3AlF4−6、Cs1−3AlF4−6、Cs0 . 021−2 AlF4−5、AlF、KF、KZnF、KSiF、LiAlFのいずれか1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の親水性フィン。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の親水性フィンが前記アルミニウムチューブにろう付けされてなる熱交換器。
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