JP6785642B2 - 少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置 - Google Patents

少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置 Download PDF

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Description

この発明は、少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置に関する。
基板上に炭化珪素(SiC)をエピタキシャル成長させたエピタキシャルウェハ(炭化珪素半導体基板、以下、単に基板と略する)には、多くの結晶欠陥・転位が存在しており、これらが炭化珪素半導体装置の特性に悪影響を与えていると考えられている。特に、エピタキシャル成長させた層中の基底面転位(BPD:Basal Plane Dislocation)は、半導体装置をバイポーラ動作させた際に積層欠陥に拡張し、電流を流れにくくすることにより半導体装置のオン電圧を上昇させ「バイポーラ劣化」の発生につながる。
BPDは、基板に数百〜数千個/cm2の密度で存在する。その多くは、エピタキシャル成長中に、貫通刃状転位(TED:Threading Edge Dislocation)に変換されるが、BPDは、エピタキシャル成長後、基板に1〜100個/cm2の密度で残る。この場合、この基板から作製(製造)した炭化珪素半導体装置をバイポーラ動作させる際、過剰に電流を流すと、基板内のBPDが拡張し、三角・帯状の積層欠陥が発生する。
帯状積層欠陥、三角形状積層欠陥が発生する原因として、基板中での電子−ホールの再結合が挙げられる。この再結合を抑制するため、基板上のエピタキシャル成長(以下、エピ成長と略する)させたバッファ層を厚くすることにより、基板への過剰なホール注入を防ぐ技術がある(例えば、非特許文献1参照。)。
炭化珪素バイポーラ型半導体装置の第2導電型電荷注入層の表層に高ドーピング層を形成し、ドリフト層からの電子(または正孔)のうち該電界注入層において捕捉できなかった電子(または正孔)を該高ドーピング層にて捕捉し、積層欠陥の発生およびその面積拡大を抑制する技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−010120号公報
J.J.スマーケリス(J.J.Sumakeris)他、「バイポーラ型SiC半導体装置の順方向電圧安定化へのアプローチ(Approaches to Stabilizing the Forward Voltage of Bipolar SiC Devices)」、(米国)、マテリアルズサイエンスフォーラム(Materials Science Forum)、オンライン第457−460巻、2004年 p.1113−1116
しかしながら、厚いバッファ層の成膜は、エピ成長のスループット低下によるコスト増大、欠陥密度増加による歩留まり低下および基板の抵抗増大につながる。このため、基板と同程度以上の不純物濃度の窒素(N)に加えて、ライフタイムキラーとなる元素を同時添加(コドープ)して、少数キャリア寿命の短いバッファ層を成膜することが提案されている。
少数キャリア寿命が短いと、ホールのライフタイムが短くなるため、ホールを十分に減少させることができ、基板へのホールの到達を減少させ、基板中での電子−ホールの再結合を防ぐことができる。これにより、炭化珪素半導体基板(以下、積層欠陥抑制半導体基板と略する)は、バッファ層の厚みを抑制しつつ、大電流でバイポーラ動作させても、基板内の三角・帯状積層欠陥の発生を効果的に抑制することが可能になる。
図6は、積層欠陥抑制半導体基板の構成を示す断面図である。図6に示すように、積層欠陥抑制基板は、n型炭化珪素基板1の第1主面(おもて面)、例えば(0001)面(Si面)、にn+型炭化珪素バッファ層2が堆積されている。
n型炭化珪素基板1は、例えば窒素がドーピングされた炭化珪素単結晶基板である。n+型炭化珪素バッファ層2は、ライフタイムキラーとなる元素をコドープしたバッファ層(コドープエピ層)である。ライフタイムキラーとしては、例えば、ホウ素(B)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)等の少なくとも1種類以上が選択可能である。n+型炭化珪素バッファ層2の、n型炭化珪素基板1側に対して反対側の表面側は、n型耐圧維持層3が形成されている。n型耐圧維持層3は、n型炭化珪素基板1およびn+型炭化珪素バッファ層2より低不純物濃度で、例えば窒素がドーピングされているドリフト層である。
積層欠陥抑制半導体基板は、n+型炭化珪素バッファ層2内で電子−ホールの再結合を促進し、n型炭化珪素基板1に注入されるホール密度を抑えることで、三角・帯状積層欠陥の発生を効果的に抑制する。
ここで、コドープエピ層において、ライフタイムキラーとなる元素の密度を増やすと少数キャリア寿命が一定の間隔で短くなることが知られている。図7は、コドープ元素密度と少数キャリア寿命の関係を示すグラフである。図7において、縦軸は250℃における少数キャリア寿命の逆数であり、単位は/μsである。また、横軸はコドープした元素の密度であり、単位は/cm3である。図7は、窒素の密度が5×1018/cm3で、ライフタイムキラーとしてVをコドープした結果である。図7に示すように、少数キャリア寿命の逆数をy、コドープしたVの密度をxとすると、y=5.708×10-14x+7.343の関係があり、Vの密度を増やすと少数キャリア寿命が一定の間隔で短くなっている。
従来、少数キャリア寿命の評価は以下のTRPL(Time Resolved Photo Luminescence)法で行われている。図8は、従来の少数キャリア寿命評価方法であるTRPL法を示す図である。TRPL法は、まず、n型炭化珪素基板
1上のn+型炭化珪素バッファ層2にSiCのバンドギャップ(3.24eV)以上のエネルギーをもつ励起レーザー光を照射する。次に、コドープエピ層から輻射されるPL(Photo Luminescence)発光のうち、自由キャリアの再結合に起因するPL発光(中心波長387nm)をバンドパスフィルタ12によって選別し、光電子増倍管14で受信しながら、その発光量の時間減衰を測定する。その結果を例えば、演算装置15で計測する。
図9は、発光量の時間減衰から少数キャリア寿命の測定を示すグラフである。図9において、縦軸は光電子増倍管14がカウントした光子数であり、横軸はレーザー照射からの経過時間であり、単位はμsである。少数キャリア寿命は、熱平衡状態より増加した少数キャリアの数がe-1倍(eは自然対数の底)に減衰する時間であるため、図9から光子数がe-1倍になる時間幅(例えば、図9で示された実線の間)より評価することができる。
しかしながら、コドープした元素の密度を増やし、少数キャリア寿命が10ns以下と短くなると、減衰時間が非常に短くなってしまい、TRPL法では測定できなくなる。図10は、従来の少数キャリア寿命評価方法の限界を示すグラフである。図10において、縦軸はTRPL法で測定した少数キャリア寿命であり、単位はnsである。横軸は温度であり、単位は℃である。図10は、窒素の密度が5×1018/cm3で、ライフタイムキラーとしてVをコドープした結果である。図10において、◇は、Vがドープされない場合を示し、□はVを密度4×1013/cm3でコドープし、×はVを密度3×1014/cm3でコドープした場合である。図10に示すように、Vを密度3×1014/cm3でコドープした場合、温度50℃〜100℃では少数キャリア寿命が10ns以下となる。このため、Vの濃度が3×1014/cm3より大きくなると、TRPL法では少数キャリア寿命を測定できなくなる。
従来、このような短い少数キャリア寿命の評価は、図7に示す関係を利用して、コドープした元素の密度を評価することにより、少数キャリア寿命を推定することが行われている。しかしながら、コドープした元素の密度の評価にはSIMS(二次イオン質量分析:Secondary Ion Mass Spectrometry)法のような破壊評価が必要であるため、製品の現物評価ができないという問題がある。ここで、SIMS法とは、固体の表面にビーム状のイオンを照射し、そのイオンと固体表面の分子・原子レベルでの衝突によって発生するイオンを質量分析計で検出する表面計測法である。さらに、SIMS法は、超高真空下で測定しなければならないため、真空引き等の前準備が必要であり、評価に時間がかかるという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、少数キャリア寿命が短い場合にPL発光によって少数キャリア寿命を評価できる少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる少数キャリア
寿命評価方法は、次の特徴を有する。まず、少数キャリア寿命が評価済みの第2半導体膜にレーザーからレーザー光を照射する第1工程を行う。次に、前記第2半導体膜から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する第2工程行う。次に、測定した前記時間積分値と、評価済みの前記少数キャリア寿命とから、前記少数キャリア寿命と前記バンド端PL発光の時間積分値との関係を取得する第3工程行う。次に、前記第1工程から前記第3工程より後、第1半導体膜に、温度、励起レーザーパワーおよび光学系が前記第1工程の前記レーザーと同一のレーザーからレーザー光を照射する第4工程を行う。次に、前記第1半導体膜から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する第5工程を行う。次に、測定した前記時間積分値と前記関係とから、前記第1半導体膜の少数キャリア寿命を評価する第6工程を行う。また、測定精度をあげるために、第1半導体膜の時間積分値を測定前に、あらかじめ第2半導体膜のバンド端PL発光の時間積分値が一定値になるように、レーザー光源の強度を校正してもよい。
また、この発明にかかる少数キャリア寿命評価方法は、前記第工程は、前記第1半導体膜の断面の特定の領域にレーザー光を照射する工程であり、前記第工程は、前記特定の領域から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する工程であることを特徴とする。
また、この発明にかかる少数キャリア寿命評価方法は、前記第1半導体膜および前記第2半導体膜は、炭化珪素半導体膜であることを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる少数キャリア寿命評価装置は、次の特徴を有する。少数キャリア寿命評価装置は、第1半導体膜および少数キャリア寿命が評価済みの第2半導体膜にレーザー光を照射するレーザーと、前記第1半導体膜および前記第2半導体膜から輻射される輻射光のうちバンド端PL発光を通過するバンドパスフィルタと、前記バンド端PL発光を電気信号に変換する光電子増倍管と、を備える。また、少数キャリア寿命評価装置は、前記レーザーに前記レーザー光を照射させ、前記第2半導体膜から輻射される輻射光のうちバンド端PL発光を電気信号に変換した前記電気信号の時間積分値と、評価済みの前記少数キャリア寿命とから、前記少数キャリア寿命と前記バンド端PL発光の時間積分値との関係を取得し、前記レーザーに前記レーザー光を照射させ、前記第1半導体膜から輻射される輻射光のうちバンド端PL発光を電気信号に変換した前記電気信号の時間積分値を測定し、測定した前記時間積分値と前記関係とから、前記第1半導体膜の少数キャリア寿命を評価する制御部と、を備える。
上述した発明によれば、測定した値を時間積分してPL発光スペクトル強度を求め、少数キャリア寿命を評価する。このため、微弱でもPL発光が出ていれば、積算によって強度を上げて測定できるため、少数キャリア寿命の測定下限を、データのサンプリング間隔で決まってしまう従来のTRPL法と比較して広げることができる。具体的には、上述した発明は、10ns以下の少数キャリア寿命を評価することができる。
微弱なバンド端PL発光に対する感度を上げるために、望ましくは、レーザー波長を例えば330nm以下の短波長に限定してもよい。レーザー波長を短波長にすることで、レーザー光の炭化珪素半導体膜への侵入長が10μm以下に短くなり、測定時にバックグラウンドノイズとなるn型炭化珪素基板からのPL発光の影響を軽減することができる。また、本発明で用いているレーザーの代わりにUV(Ultra Violet)ランプ等の光源を利用することも可能であるが、その場合にも、光学フィルター等を用いて波長を短波長に限定するとよい。さらに望ましくは、測定対象と同種のn型炭化珪素基板についてバンド端PL発光を測定し、強度補正された値を差し引くことにより、n型炭化珪素基板からのPL発光の影響をキャンセルするとよい。
また、上述した発明によれば、PL発光により少数キャリア寿命の評価ができるため、SIMS法によりコドープした元素の密度を評価する方法と異なり、非破壊で簡便に少数キャリアを評価することができる。これにより、上述した発明によれば、ライフタイムキラーとなる元素をコドープしたバッファ層を備えた製品の少数キャリア寿命の現物検査が可能になる。
本発明にかかる少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置によれば、少数キャリア寿命が短い場合にPL発光によって少数キャリア寿命を評価できるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法を示す図である。 実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法のフローチャートである。 既知の少数キャリア寿命と取得したPL発光スペクトル強度の関係を示すグラフである。 コドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を示すグラフである。 実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価方法を示す図である。 積層欠陥抑制半導体基板の構成を示す断面図である。 コドープ元素密度と少数キャリア寿命の関係を示すグラフである。 従来の少数キャリア寿命評価方法であるTRPL法を示す図である。 発光量の時間減衰から少数キャリア寿命の測定を示すグラフである。 従来の少数キャリア寿命評価方法の限界を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1においては、n型炭化珪素基板1上にエピタキシャル成長させ、ライフタイムキラーとなる元素をコドープしたn+型炭化珪素バッファ層(第1半導体膜)2の少数キャリア寿命を評価する。図1は、実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法を示す図である。実施の形態1では、従来、バンド端PL発光の時間減衰によって評価していた少数キャリア寿命の評価方法を、PL発光スペクトル強度比によって評価する。ここで、バンド端発光とは、価電子帯の上端の正孔と伝導帯の底の電子が再結合することによる発光である。SiCの場合、バンド端発光は中心波長387nmの光となる。また、バンド端PL発光とは、レーザー等により電子を励起することにより発光されたバンド端発光である。
少数キャリア寿命評価方法を実行する少数キャリア寿命評価装置は、レーザー光を照射するレーザー11と、特定の波長の光のみを通過させるバンドパスフィルタ12と、バンドパスフィルタ12を通過した光を収束させるレンズ等の光学系13と、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電子増倍管14と、測定結果から少数キャリア寿命を評価する制御部を有する演算装置15と、を備える。
レーザー11は、レーザー光がSiCのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ励起レーザーである。また、微弱なバンド端PL発光に対する感度を上げるために、レーザー11の波長は、例えば330nm以下の短波長が好ましい。例えば、レーザー光の波長が325nmであるHe(ヘリウム)−Cd(カドミウム)レーザーである。このレーザー光により、バンド端にキャリアを励起させる。また、レーザー11の代わりにUVランプ等の光源を利用することも可能である。この場合にも、UVランプからの光の中で長波長分をカットする光学フィルター等を用いて、UVランプからの光の波長を短波長に限定するとよい。
バンドパスフィルタ12は、n+型炭化珪素バッファ層2の励起されたキャリアが再結合する際に輻射する輻射光のうちバンド端のPL発光(中心波長387nm)をフィルタリングする。バンドパスフィルタ12は同等の機能を有する分光器であってもよい。
光電子増倍管14は、光電効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電管に、電流増幅機能を付加したものであり、PL発光の強度を測定する。また、光電子増倍管14は、光による明暗を電荷の量に光電変換し、それを順次読み出して電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサであってもよい。演算装置15は、光電子増倍管14が測定した値を時間積分してPL発光スペクトル強度(バンド端PL発光の時間積分値)を求め、この結果を、少数キャリア寿命が事前に評価済み(既知)のコドープエピ膜(第2半導体膜)のPL発光スペクトル強度との比から少数キャリア寿命を評価する。処理の詳細は、以下で説明する。
図2は、実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法のフローチャートである。図2のフローチャートは、例えば、少数キャリア寿命評価装置の演算装置15のCPU(Central Processing Unit)で実行される。
まず、少数キャリア寿命評価装置は、少数キャリア寿命が既知のコドープエピ膜のPL発光を時間積分してPL発光スペクトル強度を取得する(ステップS1)。例えば、従来のTRPL法で少数キャリア寿命を評価した、少数キャリア寿命20ns以上の少数キャリア寿命が既知のコドープエピ膜を用意する。このコドープエピ膜に対して、レーザー11でレーザー光を照射する。既知のコドープエピ膜から輻射される輻射光のうちバンド端のPL発光をバンドパスフィルタ12でフィルタリングして、光電子増倍管14が測定した値を時間積分してPL発光スペクトル強度を求める。図10に示すように、コドープした元素の密度が同じでも温度により少数キャリア寿命が異なるため、このコドープエピ膜のPL発光スペクトル強度は、複数の温度条件下で取得することが好ましい。
次に、少数キャリア寿命評価装置は、少数キャリア寿命とPL発光スペクトル強度との関係を取得する(ステップS2)。図3は、既知の少数キャリア寿命と取得したPL発光スペクトル強度の関係を示すグラフである。図3において、縦軸はTRPL法で測定した少数キャリア寿命であり、単位はnsである。横軸は、波長387nmでのPL発光スペクトル強度である。また、図3の○は、100℃の温度条件でコドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を取得した場合であり、図3の+は、150℃の温度条件でコドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を取得した場合である。また、図3の−は、200℃の温度条件でコドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を取得した場合であり、図3の□は、250℃の温度条件でコドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を取得した場合である。
図3において、TRPL法の評価下限より上(10nsより大きい)の点がステップS1で得られた結果である。この図3から、例えば、最小二乗法等を用いることにより、少数キャリア寿命評価装置は、各温度条件における少数キャリア寿命とPL発光スペクトル強度との関係を取得することができる。例えば、図3の直線31は、100℃の温度条件での少数キャリア寿命とPL発光スペクトル強度との関係を示す直線である。
次に、少数キャリア寿命評価装置は、少数キャリア寿命が未知のコドープエピ膜のPL発光を時間積分してPL発光スペクトル強度を取得する(ステップS3)。例えば、少数キャリア寿命を評価したいコドープエピ膜に対して、レーザー11でレーザー光を照射する。このコドープエピ膜から輻射される輻射光のうちバンド端のPL発光をバンドパスフィルタ12でフィルタリングして、光電子増倍管14が測定した値を時間積分してPL発光スペクトル強度を求める。条件(温度、励起レーザーパワー、光学系)が異なると、少数キャリア寿命とPL発光スペクトル強度との関係が異なるため、ステップS1とステップS3のPL発光スペクトル強度の取得は同じ条件で行う。
また、PL発光スペクトル強度の測定精度を上げるために、少数キャリア寿命が未知のコドープエピ膜のPL発光スペクトル強度の測定前に、あらかじめ少数キャリア寿命が既知のコドープエピ膜のバンド端PL発光の時間積分値が一定値になるように、レーザー11の光源の強度を校正してもよい。さらに、少数キャリア寿命が未知のコドープエピ膜が、当該コドープエピ膜と同種のn型炭化珪素基板1上に設けられている場合、n型炭化珪素基板1についてバンド端PL発光を測定することが好ましい。この場合、少数キャリア寿命が未知のコドープエピ膜のバンド端PL発光の測定値からn型炭化珪素基板1のバンド端PL発光の測定値を引くことにより、n型炭化珪素基板1からのPL発光の影響をキャンセルできる。
図4は、コドープエピ膜のPL発光スペクトル強度を示すグラフである。図4において、縦軸は、ステップS1、ステップS3で測定したPL発光スペクトル強度であり、横軸は、PL発光の波長である。図4は、窒素の密度が5×1018/cm3であるコドープエピ膜にVをコドープした結果である。図4において、T1は、Vがドープされない場合を示し、T2はVを密度4×1013/cm3でコドープし、T3はVを密度3×1014/cm3でコドープした場合を示す。
図4に示すように、少数キャリア寿命が短くなるほど、波長387nmを中心とするPL発光スペクトル強度は小さくなることが分かる。しかし、本発明の方法では、微弱でもPL発光が出ていれば、積算によって強度を上げてPL発光スペクトル強度を測定できる。例えば、図4のT3のTRPL法で評価できないレベルの短い少数キャリア寿命でもPL発光スペクトル強度を測定できる。このため、本発明の方法は、少数キャリア寿命の測定下限を広げることができる。
最後に、少数キャリア寿命評価装置は、上記関係を基にPL発光スペクトル強度から少数キャリア寿命を算出する(ステップS4)。例えば、ステップS1とステップS2において、100℃の温度条件での少数キャリア寿命とPL発光スペクトル強度との関係を示す直線31を取得したとする。ステップS3において、少数キャリア寿命が未知のコドープエピ膜に対して、100℃の温度条件で取得したPL発光スペクトル強度の値が、図3の点32の位置であるとする。この場合、点32から直線31上の点33を求め、点33から、このコドープエピ膜の少数キャリア寿命が、図3の点34の位置であると評価することができる。
以上のように、本フローチャートを実行することにより、少数キャリア寿命評価装置は、PL発光スペクトル強度を取得することにより、TRPL法で評価できないレベルの短い少数キャリア寿命を評価することができる。
以上、説明したように、実施の形態1によれば、測定した値を時間積分してPL発光スペクトル強度を求め、少数キャリア寿命を評価する。このため、微弱でもPL発光が出ていれば、積算によって強度を上げて測定できるため、少数キャリア寿命の測定下限を、データのサンプリング間隔で決まってしまう従来のTRPL法と比較して広げることができる。具体的には、実施の形態1は、10ns以下の少数キャリア寿命を評価することができる。
また、実施の形態1によれば、PL発光により少数キャリア寿命の評価ができるため、SIMS法によりコドープした元素の密度を評価する方法と異なり、非破壊で簡便に少数キャリアを評価することができる。これにより、実施の形態1によれば、ライフタイムキラーとなる元素をコドープしたバッファ層を備えた製品の少数キャリア寿命の現物検査が可能になる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価方法を説明する。図5は、実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価方法を示す図である。実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価方法が、実施の形態1にかかる少数キャリア寿命評価方法と異なるところは、素子の断面に現れたn+型炭化珪素バッファ層2の少数キャリア寿命を評価している点である。これは、少数キャリア寿命評価対象のn+型炭化珪素バッファ層2の上にn型耐圧維持層3が堆積されているため、n+型炭化珪素バッファ層2の表面にレーザー光を照射できないためである。なお、素子の断面とは、素子が形成された基板を切断、例えば、チップ状に切断(ダイシング)した際の切断面のことである。
実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価装置では、レーザー光を断面に照射するため、レーザー11のレーザースポット径は小さい。例えば、直径φ1μm以下のレーザー光を照射できるものを用いる。実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価装置のその他の構成は実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。また、実施の形態2にかかる少数キャリア寿命評価方法のフローチャートも実施の形態1と同様であるため、説明は省略する。
ただし、少数キャリア寿命が短い場合でもレーザーで励起されたキャリアが、その寿命の間に広がることのできる距離(拡散長)を考慮する必要がある。このため、実施の形態2において、n+型炭化珪素バッファ層2の少数キャリア寿命のみを適切に評価するために、n+型炭化珪素バッファ層2の厚みは3μm以上必要である。つまり、n+型炭化珪素バッファ層2の厚みが3μmより小さいと、n+型炭化珪素バッファ層2を挟む、n型炭化珪素基板1やn型耐圧維持層3の少数キャリア寿命も評価してしまう。このため、少数キャリア寿命評価装置はn+型炭化珪素バッファ層2の少数キャリア寿命を正しく評価できなくなる。
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、10ns以下の少数キャリア寿命を評価することができる。また、実施の形態2では、コドープエピ膜上に、ドリフト層等が成膜された状態でも、コドープエピ膜の少数キャリア寿命を評価することができる。
また、上記実施の形態1および実施の形態2では、ライフタイムキラーとなる元素をコドープしたバッファ層の少数キャリア寿命を評価する例を示した。本発明は、バッファ層以外の少数キャリア寿命の評価にも適用可能である。さらに、上記実施の形態1および実施の形態2では、炭化珪素以外の半導体基板にも適用可能である。この際、レーザーは、この半導体のバンドギャップ以上のエネルギーをもつ励起レーザー光を照射可能なレーザーを用いる。また、バンドパスフィルタは、この半導体のバンド端のPL発光をフィルタリングするバンドパスフィルタを用いる。
以上において本発明では、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる少数キャリア寿命評価方法および少数キャリア寿命評価装置は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧半導体装置の基板の評価に有用である。
1 n型炭化珪素基板
2 n+型炭化珪素バッファ層
3 n型耐圧維持層
11 レーザー
12 バンドパスフィルタ
13 光学系
14 光電子増倍管
15 演算装置

Claims (4)

  1. 少数キャリア寿命が評価済みの第2半導体膜にレーザーからレーザー光を照射する第1工程と、
    前記第2半導体膜から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する第2工程と、
    測定した前記時間積分値と、評価済みの前記少数キャリア寿命とから、前記少数キャリア寿命と前記バンド端PL発光の時間積分値との関係を取得する第3工程と、
    前記第1工程から前記第3工程より後、第1半導体膜に、温度、励起レーザーパワーおよび光学系が前記第1工程の前記レーザーと同一のレーザーからレーザー光を照射する第4工程と、
    前記第1半導体膜から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する第5工程と、
    測定した前記時間積分値と前記関係とから、前記第1半導体膜の少数キャリア寿命を評価する第6工程と、
    を含むことを特徴とする少数キャリア寿命評価方法。
  2. 前記第4工程は、前記第1半導体膜の断面の特定の領域にレーザー光を照射する工程であり、
    前記第5工程は、前記特定の領域から輻射されたバンド端PL発光の時間積分値を測定する工程であることを特徴とする請求項1に記載の少数キャリア寿命評価方法。
  3. 前記第1半導体膜および前記第2半導体膜は、炭化珪素半導体膜であることを特徴とする請求項1または2に記載の少数キャリア寿命評価方法。
  4. 第1半導体膜および少数キャリア寿命が評価済みの第2半導体膜にレーザー光を照射すレーザーと、
    前記第1半導体膜および前記第2半導体膜から輻射される輻射光のうちバンド端PL発光を通過するバンドパスフィルタと、
    前記バンド端PL発光を電気信号に変換する光電子増倍管と、
    前記レーザーに前記レーザー光を照射させ、前記第2半導体膜から輻射される輻射光のうちバンド端PL発光を電気信号に変換した前記電気信号の時間積分値と、評価済みの前記少数キャリア寿命とから、前記少数キャリア寿命と前記バンド端PL発光の時間積分値との関係を取得し、
    前記レーザーに前記レーザー光を照射させ、前記第1半導体膜から輻射される輻射光のうちバンド端PL発光を電気信号に変換した前記電気信号の時間積分値を測定し、測定した前記時間積分値と前記関係とから、前記第1半導体膜の少数キャリア寿命を評価する制御部と、
    を備えることを特徴とする少数キャリア寿命評価装置。
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