JP6785006B2 - チャイルドレジスタンス樹脂袋 - Google Patents
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少なくとも一層の合成樹脂フィルムを含む合成樹脂シートによって袋本体が構成された樹脂袋の分野においても、袋の収納物に対して十分な知識や能力を備える者(以下これらの者を総称して、大人と言う)が用いる袋について、袋の収納物に対して十分な知識や能力を備えない者(以下これらの者を総称して、子供と言う)が、不用意にアクセスすることによって生ずることがある事故の発生を抑制することが求められている。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るチャイルドレジスタンス樹脂袋を示すもので、この実施の形態に係るチャイルドレジスタンス樹脂袋は、袋本体11の内部に隠し袋21が配置されている。具体的には、袋本体11と隠し袋21を構成する4枚のシートの厚み方向(以下、前後方向と言う場合もある)において、袋本体11の内部の下側に隠し袋21が配置された二重袋として実施されている。
袋本体11はその上端に開口部15を備え、隠し袋21はその上端に内部開口25を備えるものであるが、内シート22の縦長さが短いため、内部開口25は袋本体11の内部に開口している。
シート製の袋を連続生産する場合には、ウェブ状のシートを複数枚重ねてそれらの長手方向に送りながら、所要の箇所をヒートシールや切断することによって生産するのが一般的であるが、上記の構成によってその実施の形態に係る袋体は一般的な連続生産装置を用いて製造することができる。具体的には、ウェブ状の2枚の内シート22同士を重ね合わせると共にチャック27を挿入し、内シート22の前後にウェブ状の2枚の外シート12(前外シート13と後外シート14)をそれぞれ配置して、これらを長手方向に間歇的又は連続的に送りながら袋サイドシール31と底シール32を施して1つの袋毎に切断するなどの所要の加工を施すことによって、連続生産を行うことができる。
以下、袋体の各構成についてより詳細に説明する。
まず外シート12は、この実施の形態に係るチャイルドレジスタンス樹脂袋の外側を構成するシートであり、この実施の形態にあっては、前外シート13と後外シート14の同じ大きさ形状の2枚のシートが用いられている。
内シート22は、2枚の外シート12の間に重ねられて配置されるシートであって、隠し袋21を構成するものである。
この例では、内シート22は外シート12と同じ横幅であるが、異なる形状や小さな横幅のものであっても構わない。内シート22の形態は、外シート12と同様、適宜に変更することができ、正方形のほか、三角形、五角形などの多角形や、円形や楕円形の他、種々の形状で実施することができるし、例えば外シート12は長方形であるのに対して、内シート22を正方形にするなど異なる形状で実施することを妨げるものではない。
袋本体11は、上述の外シート12によって構成されたものであり、その左右両側と底部が袋サイドシール31と底シール32によって閉じられ、その上部に開口部15を備える。開口部15は、開閉手段を備えないものであっても構わないし、合成樹脂製のチャックや粘着剤による開閉手段を備えたものであっても構わない。
隠し袋21は、上述の内シート22によって構成されたものであり、その左右両側と底部が袋サイドシール31と底シール32によって閉じられ、その上部に内部開口25を備える。内部開口25は、合成樹脂製のチャック27や粘着剤による開閉手段を備えたものとして実施することが適当である。チャック27は凹凸条の嵌合により開閉可能な樹脂製のものを適宜選択して採用することができ、チャックシール33によって内シート22にヒートシールされて取り付けられている。
隠し袋21は、少なくとも内部開口25を含む位置にて袋本体11と一体化されているもので、この実施の形態にあっては、前内シート23の上端辺が一体化シール34によって前外シート13にヒートシールされて一体化されている。
本発明は下記のチャイルドレジスタンス機能を高める構成のうち少なくとも一つを備えたものとして実施することが好ましい。
前内シート23と後内シート24との高さは等しいものとして実施することもできるし、両者の高さを異なるものとして実施することもできるが、この実施の形態にあっては、前内シート23は、後内シート24に比して一体化シール34の上下幅だけ高いものとして実施されている。言い換えれば、一方の外シート12(この例では前外シート13)と接合一体化される一方の内シート22(この例では前内シート23)の上下長さは、外シート12と接合一体化されない他方の内シート22(この例では後内シート24)よりも、一体化シール34の上下幅だけ、長いものとして実施されている。これによって、一体化シール34の下端辺に沿って後内シート24の上端辺が配置されることになる。このように一体化シール34の下端辺とほぼ同じ位置に後内シート24の上端辺が配置されることによって、当該部分を指で触ったり開口部15から覗き込んだりした場合にあっても、後内シート24の上端辺の存在を気づき難いものとなる。即ち、一体化シール34をヒートシールによって形成することにより、シートの質感が他の部分と比べて異なったものとなるが、その部分に隣接して後内シート24の上端辺が配置されることにより、後内シート24の上端辺が外観上目立たなくなると共に手先の触感にあっても後内シート24の上端辺が引っかかってしまうことを抑制することができるものである。
また、図2に示すように、前内シート23と後内シート24の少なくともいずれかの袋内面に易密着領域28を設けることも好ましい。この易密着領域28は、後内シート24における後内シート24の上端辺を含む領域か、同領域に対向する前内シート23における領域を少なくとも含むことが好ましく、チャック27から上方の領域としてもよく、前内シート23又は後内シート24の全面としても構わない。易密着領域28は、シート同士を重ね合わせて指先で軽く押した後にシート同士を引き剥がすために要する力が、外シート12の袋外面同士を重ね合わせた場合に要する力よりも大きいことを言い、より望ましくは、ダミー部16側の粘着力(この例では後内シート24の袋外面と後外シート14の袋内面とを重ね合わせた場合要する力)よりも大きいものとする。
さらに図1の実施の形態にあっては、内シート22は、その縦長さが外シート12よりも、50〜65mm短いものが用いられている。これによって、隠し袋21の内部開口25は、袋本体11の内部であって、外シート12の開口部15よりも50〜65mm程度下方に配置される。その結果、子供が例えば指だけを開口部15から袋本体11内へ挿入しても、内シート22の上端やチャック27に直接触れることがなく、子供に隠し袋21の存在を気づかれてしまうことを抑制することができる。
外シート12の開口部15の横幅が5〜15cmの場合には、開口部15から覗き込んだ場合にも内部開口25が見にくいので、子供に見つかりにくい点で有利である。
また、一般に上端辺に沿ってチャックを設けた袋を開封する場合、左右の親指を袋の内側に入れて前後のシートをつまんで引き離すように引っ張ることにより、チャックの凹凸の嵌合を解除することが広く行われているが、チャック27が50mm以上の深い位置にあるとチャックの凹凸の嵌合解除の力をうまく加えることができないため、その開封が困難となり、子供による不用意な開封を抑制することができる。他方、65mmを超える深さとなると、大人でもチャックの凹凸の嵌合部分にうまく力を加えることが難しくなる場合があるため、隠し袋21の内部開口25は、外シート12の開口部15よりも50〜65mm程度、下方に配置されることが適当である。
隠し袋21の存在を気づくことを抑制する他の手段として、外シート12と内シート22の可視色を同じにすることを挙げることができる。より詳しくは、開口部15を開いた状態で見える隠し袋21の色(この例では後内シート24の外面、即ち、後内シート24におけるチャック27が取り付けられた面と反対の面の色)と、隠し袋21が一体化された外シート外シート12の色(この例では前外シート13の内面、即ち、前外シート13における隠し袋21が取り付けられた面の色)とは、少なくとも内部開口25の近傍において、同じ可視色とするものである。同じ可視色であるとは、完全に同一の色である場合の他に、ほぼ同じ色と感じられる色を含むものであり、具体的には、マンセル表色系における色相環において色相の差が60度以内であり且つ明度の差が3以内であること、マンセル表色系における色相の如何にかかわらず共に明度0〜2であること、マンセル表色系における色相の如何にかかわらず共に明度8〜10であることのうち、少なくともいずれか一つの条件を満たすことを言う。このように実質的に同じ色とすることによって、袋本体11と隠し袋21の見分けがつきにくくなり、隠し袋21の存在を気づくことを抑制することができる。
上述のチャイルドレジスタンス機能を高める構成は、その一つのみを採用することもできるし、2つ以上を併用することも可能である。
子供による不用意なアクセスを制限したい収納物(例えば、医薬品、たばこ、石けん、マニキュア液、マニキュア除光液、クリーム、ボタン型電池、ナフタリン、樟脳、硬貨、ピアスなどの装飾品、釘や針などの尖ったもの)を、隠し袋21内の収納部26(前内シート23と後内シート24の間の空間)に収納する。袋本体11内のダミー部16(後外シート14と後内シート24の間の空間)には何も収納しないか、子供による不用意なアクセスを制限しなくても良いものを収納する。子供はダミー部16の状態だけをみて、収納部26やその収納物には気づくことを抑制することができ、子供による誤飲や誤用を抑制することができる。
次に第2の実施の形態について図3を参照して説明するが、第1の実施の形態と同一の部分についてはその説明を省略する。第1の実施の形態にあっては、袋本体11と隠し袋21とはそれぞれ異なるシートによって構成したが、第2の実施の形態にあっては、隠し袋21について1枚の外シート(この例では前外シート13)と1枚の内シート22とによって構成する。言い換えれば、隠し袋21は、前内シート23全体が袋本体11の前外シート13と一体化されているものである。この例では、前外シート13と内シート22の間の空間が収納部26となり、内シート22と後外シート14の間の空間がダミー部16となる。
次に第3の実施の形態について図4を参照して説明するが、第1の実施の形態と同一の部分についてはその説明を省略する。この第3の実施の形態は第2の実施の形態にも適用することができる。
次に第4の実施の形態について図5を参照して説明するが、これは第3の実施の形態の課題を解決せんとするものであり、第3の実施の形態と同一の部分についてはその説明を省略する。第3の実施の形態は開封操作を容易にするために挿入部17を設けたものであるが、挿入部17を設けることによってチャイルドレジスタンス機能が低下する恐れもある。そこでこの実施の形態にあっては、袋本体11の外側に挿入部17を覆う不透明のカバーシート18を配置する。カバーシート18の横幅は他のシートと同じもので、袋サイドシール31などによって他のシートに接合される。カバーシート18の上辺と下辺のいずれか一方は外シート12に対して接合されておらず、カバーシート18と外シート12の間から指を挿入し、さらに挿入部17を経て、挿入した指でチャック27を摘まむことができるようにしたものである。これによって袋の外観では挿入部17が直接見えなくなるため、チャイルドレジスタンス機能の低下を抑制することができる。
12 外シート
13 前外シート
14 後外シート
15 開口部
16 ダミー部
17 挿入部
18 カバーシート
21 袋
22 内シート
23 前内シート
24 後内シート
25 内部開口
26 収納部
27 チャック
28 易密着領域
31 袋サイドシール
32 底シール
33 チャックシール
Claims (8)
- 厚み方向に重ねて配置された前後の外シートを備えた袋本体と、前記袋本体から収納物を出し入れする開口部を備え、少なくとも一層の合成樹脂フィルムを含む合成樹脂シートによって前記外シートが構成された樹脂袋において、
前記袋本体の内部に隠し袋を備え、
前記隠し袋は、前記外シートに対して厚み方向に重ねて配置された少なくとも1枚の内シートと、前記袋本体の内部にて開閉可能な内部開口とを備え、前記内部開口から前記隠し袋内の収納物を出し入れすることができると共に、少なくとも前記内部開口を含む位置にて前記袋本体と一体化されており、
前記隠し袋の前記内部開口は、凹凸条の嵌合により開閉可能な樹脂製のチャックを備え、
前記隠し袋の前記内部開口と前記袋本体の前記開口部との間の間隔が、50mm以上65mm以下であることを特徴とするチャイルドレジスタンス樹脂袋。 - 厚み方向に重ねて配置された前後の外シートを備えた袋本体と、前記袋本体から収納物を出し入れする開口部を備え、少なくとも一層の合成樹脂フィルムを含む合成樹脂シートによって前記外シートが構成された樹脂袋において、
前記袋本体の内部に隠し袋を備え、
前記隠し袋は、前記外シートに対して厚み方向に重ねて配置された少なくとも1枚の内シートと、前記袋本体の内部にて開閉可能な内部開口とを備え、前記内部開口から前記隠し袋内の収納物を出し入れすることができると共に、少なくとも前記内部開口を含む位置にて前記袋本体と一体化されており、
前記袋本体の前記外シートに挿入部を備え、前記挿入部は前記隠し袋の前記内部開口の近傍に位置しており、前記挿入部から前記袋本体内部に指を挿入して前記内部開口を開く操作を行うことができるように構成されたことを特徴とするチャイルドレジスタンス樹脂袋。 - 前記袋本体の外側に前記挿入部を覆う不透明のカバーシートを備えた特徴とする請求項2に記載のチャイルドレジスタンス樹脂袋。
- 厚み方向に重ねて配置された前外シートと後外シートを備えた袋本体と、前記袋本体から収納物を出し入れする開口部を備えた樹脂袋において、
前記袋本体の内部に隠し袋を備え、
前記隠し袋は、前記外シートに対して厚み方向に重ねて配置された少なくとも1枚の内シートと、前記袋本体の内部にて開閉可能な内部開口とを備え、前記内部開口から前記隠し袋内の収納物を出し入れすることができると共に、少なくとも前記内部開口を含む位置にて前記袋本体と一体化されており、
前記開口部と前記内部開口とは共に横方向に平行に伸びるものであり、
前記開口部と前記内部開口は、それぞれ、凹凸条の嵌合により開閉可能な樹脂製のチャックを備え、
前記外シートと前記内シートは、少なくとも一層の合成樹脂フィルムを含む不透明な合成樹脂シートによって構成されると共に、全て同じ横幅を備え、且つ、同じ袋サイドシールでシールされており、
前記隠し袋の前記内部開口の上端を含む領域のシート同士の密着性が、前記隠し袋と前記後外シートとの間の空間であるダミー部のシート同士の密着性よりも高くされたことを特徴とするチャイルドレジスタンス樹脂袋。 - 前記隠し袋は、前記外シートとは別の2枚の前記内シートによって構成されるものであるか、又は、1枚の前記外シートと前記1枚の内シートとによって構成されるものであることを特徴とする請求項1〜4の何かに記載のチャイルドレジスタンス樹脂袋。
- 厚み方向に重ねて配置された前外シートと後外シートを備えた袋本体と、前記袋本体から収納物を出し入れする開口部を備えた樹脂袋において、
前記袋本体の内部に隠し袋を備え、
前記隠し袋は、前記外シートに対して厚み方向に重ねて配置された少なくとも1枚の内シートと、前記袋本体の内部にて開閉可能な内部開口とを備え、前記内部開口から前記隠し袋内の収納物を出し入れすることができると共に、少なくとも前記内部開口を含む位置にて前記袋本体と一体化されており、
前記開口部と前記内部開口とは共に横方向に平行に伸びるものであり、
前記開口部と前記内部開口は、それぞれ、凹凸条の嵌合により開閉可能な樹脂製のチャックを備え、
前記外シートと前記内シートは、少なくとも一層の合成樹脂フィルムを含む不透明な合成樹脂シートによって構成されると共に、全て同じ横幅を備え、且つ、同じ袋サイドシールでシールされており、
前記隠し袋が前記外シートとは別の2枚の前内シートと後内シートとによって構成され、前記前内シートの上部と一方の前記外シートとが一体化シールによって一体化され、前記一体化シールの下端辺に沿って前記後内シートの上端辺が配置されたことを特徴とするチャイルドレジスタンス樹脂袋。 - 前記開口部を開いた状態で見える前記隠し袋の色と、前記隠し袋が一体化された前記外シートの色とは、少なくとも前記内部開口近傍において、同じ可視色であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のチャイルドレジスタンス樹脂袋。
- 前記隠し袋の前記内部開口と前記袋本体の前記開口部との間の前記間隔が50mm以上65mm以下であることを特徴とする請求項2〜7の何れかに記載のチャイルドレジスタンス樹脂袋。
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