JP6784512B2 - 穂先竿 - Google Patents
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Description
但し、上記したように、ガラス繊維製の中実棒状体単独では、捩じり剛性が十分でない面があった。そこで、従来では、中実棒状体であるコア体の外側に外側層として、炭素繊維等のプリプレグシートを巻回したものがあった。
しかも、プリプレグシートを巻回することによって、穂先竿が重くなり、操作性の向上が要望されていた。
請求項1に係る発明の特徴構成は、コア体と前記コア体の外側に位置する外側層とを備える穂先竿であって、
前記コア体は、軸線に沿った方向に引き揃えたガラス製強化繊維群に含浸されたマトリックス樹脂でなる中実棒状体であり、
前記コア体は、竿の竿先側から竿元側に向かって徐々に大径化する円錐棒状体と、前記円錐棒状体の竿元側に連設され竿元側に向かって徐々に小径化する当接傾斜面と、前記当接傾斜面の竿元側に連設され竿元側に向かって延びる円柱状の円柱状部と、を備え、
前記外側層は、長手方向に沿って強化繊維を引き揃え、かつ、軸芯方向で一定の螺旋間隔を開けてその軸線方向に沿って螺旋状に巻回された細幅の外側層用の内側プリプレグテープと、長手方向に沿って強化繊維を引き揃え、かつ、軸芯方向で一定の螺旋間隔を開けてその軸線方向に沿って螺旋状に巻回された細幅の外側層用の外側プリプレグテープとが、それら外側層用の内外プリプレグテープの強化繊維が、径方向視において互いに交差するように巻回され、更に、前記内外プリプレグテープの前記軸線に対する巻き付けリード角を前記中実棒状体における元端側の大径部分において60°〜89°に設定しているX巻螺旋体であり、
前記内外プリプレグテープは、前記円錐棒状体の外周面に巻回されている点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、外側層用の内側プリプレグテープと外側層用の外側プリプレグテープとを螺旋状に巻回しながら交差させることによって、X字状を呈するように外側層を構成した。これによって、外側層のプリプレグテープの長手方向に配置されている炭素製強化繊維が中実棒状体の軸線に対して傾斜する姿勢で配置され、それらが、X字状に交差するように配置してあるので、左右いずれの捩じれが作用しても、これらの炭素製強化繊維が対抗力を発揮し、捩じれに対して対抗力の高い穂先竿を提供することができた。
つまり、プリプレグテープのテープ幅を3mmとしたものを巻回してテストを行ってみた。テストの方法は、固定治具に手元部を取付固定した状態で、先端部側を片持ち状に延出し、先端に錘を吊り下げて、穂先竿の挙動を監視した。
そして、必然的に、中実棒状体の先側部分に行く程、巻き付けリード角が図8(e)に示すように小さくなっており、強化繊維の引き揃え方向が軸線Xに沿う方向に近くなり、曲げに対する強度が高くなり、ガラス繊維製の中実棒状体の良さが生かせず、炭素繊維製のプリプレグによる曲げ剛性が高くなり、塑性の発生を見ていた。
このことによって、プリプレグテープの巻き付け状態をテープ幅3mmの場合に比べて、中実棒状体の全長に亘る範囲で略円周方向に沿った状態に近づけることができ、捩じり力に対する対抗力及び曲げに対する対抗力を小さくして、塑性の発生を抑制することができた。
しかも、巻付けリード角を60°〜89°に達しない角度に設定する方策によって、魚が掛かった場合に穂先竿に係る曲り等の竿の調子に対する影響を抑制し、かつ、軸芯方向に沿って配置されているガラス製の強化繊維に対して引張弾性率が大きく異なる炭素製の強化繊維を軸芯方向に略直交する方向に沿って配置することによって、穂先竿に曲げが作用した場合にも、プリプレグテープが中実棒状体より剥離するといった現象を抑制できた。
以上のように、繊細な引きに対しても適確に捉えやすいガラス繊維製のコア体を形成しながら、適度な剛性を維持し、かつ、竿の調子や曲り或いはプリプレグテープの剥離と言った種々の悪影響を抑制し、竿として重くならない穂先竿を提供することができた。
請求項2に係る発明の特徴構成は、前記内外プリプレグテープのテープ幅は、前記中実棒状体の細径部と略同様の幅であり、前記螺旋間隔は前記テープ幅の4倍から6倍に設定してある点にあり、その作用効果は次の通りである。
つまり、前記中実棒状体の細径部と略同様の幅であり、前記螺旋間隔は前記テープ幅の4倍から6倍に設定してあるので、中実棒状体の細径部であっても、プリプレグテープを巻き付ける作業が容易であり、かつ、大径部においても、十分な螺旋間隔をとっているので、捩じり強度を大きくし過ぎることはなく、かつ、重量増の懸念も抑制できる。
並継式の船竿Aについて説明する。図1及び図2に示すように、船竿Aは、竿先側の竿先竿Bと竿元側の元竿Cとを並継ぎ式に連結して構成してある。竿先竿Bには、竿先端のトップガイド及び中間ガイド等の釣り糸ガイド3が設けてあるとともに、図1に示すように、竿先竿Bは、長さL1の中実棒状体をコア体とする小径の穂先竿1とその小径の穂先竿1に連結固定される長さL2の中空状の大径の穂持竿2とからなる。元竿Cと大径の穂持竿2との連結は並継方式が採用されており、元竿Cの竿先端部Caを穂持竿2の竿尻端部2D内に差込嵌合して連結するべく構成してある。
ここでは、穂先竿1と穂持竿2とに外付けの釣り糸ガイド3を備えたもので説明する。
小径の穂先竿1は、中実棒状のコア体とそのコア体の外側に巻回されるプリプレグテープ13でなる外側層1Dとで構成してある。
当接傾斜面1Aを形成してある部分の軸芯長L3は、最大大径部aの直径の3倍位あり、かつ、円柱状部1Bの軸芯長L4は、L3の2倍から3倍の長さに設定されている。
ここで、強化繊維としては炭素繊維等も使用できるが、炭素繊維等に比して引張弾性率が低く柔軟性の高いガラス繊維を採用する。使用するガラス繊維の引張弾性率としては、5Ton/mm2〜15Ton/mm2が使用できる。
このように穂先竿に使用する部材を中実棒状としているのは、魚が掛かった場合に、竿が鋭敏に反応すべく構成する必要があるとともに、竿の先端に設けるものであるために、中実棒状の方が中空状のものに比べて軽量でありながら細径化できるからである。
以上のように形成した中実棒状の部材の外周面に対して竿元側程徐々に大径化する円錐状に研削加工を施すとともに、竿元端部に削り加工を施して、竿元側程小径化する当接傾斜面1Aとそのさらに竿元側に一定の径を有する円柱状部1Bとを形成する。
図3に示すように、竿軸線Xに対して角度θで傾斜する姿勢に引き揃えた炭素繊維(ガラス繊維)cに熱硬化性樹脂(熱可塑性樹脂)を含浸させて構成したプリプレグ5Aと前記プリプレグ5Aの強化繊維(ガラス繊維)cと竿軸線Xを挟んで対称に引き揃え配置された強化繊維(ガラス繊維)cに熱硬化性樹脂(熱可塑性樹脂)を含浸させて構成したプリプレグ5Bとを竿の軸線方向に沿った全長に相当する長さのメインパターン5を用意する。
以上のように形成したメインパターン5から中空状の穂持竿2を形成する。図3に示すように、二枚のプリプレグ5A、5Bを炭素繊維同士が交差する状態に重ねてマンドレル4に巻回する。
なお、センタレス研磨機等で所定の外面形状に加工する段階で、穂先竿1との連結部を形成する為に、図4(a)(b)に示すように、ドリルD等の適当な工具によって円筒状部2Aの入口に竿元側程小径化する傾斜内周面としての受止傾斜面2Bを形成してある。
ホットメルト接着剤は、熱可塑性の樹脂又はゴムを主成分とする不燃性の接着剤であり、加熱による溶融で流動化する一方で、温度が低下すると硬化して接着対象物を接着させる。このような接着剤としては、例えば、HM−650−2(セメダイン株式会社製、商品名)、Scotch−Weld3748(住友スリーエム株式会社製、商品名、Scotch−Weldは登録商標)、PES−111EE(東亞合成株式会社製、商品名)がある。
代表してScotch−Weld3748について諸元を記載する。
(1) 主成分 ポリプロピレン(PP)
(2) 色 乳白色
(3) 接着可能時間 45秒
(4) 負荷耐熱温度 78℃
(5) 耐熱軟化点 145℃
(6) 引張り剪断接着強さ 2.4MPa
(7) 180℃剥離接着強さ 7.8kN/m
以上:出典 3Mカタログ
以上のような構成により、穂先竿1と穂持竿2は一本のロッドとして形成される。
中実棒状体は、前記したように、ガラス製の強化繊維群にエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂を含浸させて形成した強化繊維群を、ダイスを通して棒状に引き抜いて形成される。その引き抜いた棒状体をセンタレス研磨機等で外周面に所定のテーパ面等を付与して、図2及び図6に示すように、当接傾斜面1Aと円柱状部1Bと円錐棒状体1Cとを備えた先細の棒状体に形成されている。
図6に示すように、長手方向に沿って引き揃えた炭素繊維等の強化繊維に、マトリックス樹脂としてのエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させて細幅の外側層用のプリプレグテープ13を形成する。そのプリプレグテープ13を、図6(b)に示すように、コア体としての中実棒状体における円錐棒状体1Cの外周面に対して軸線方向に沿って螺旋状に巻回する。螺旋状に巻回する状態は、隣接する螺旋の間隔P1がプリプレグテープ13のテープ幅t1の5倍に設定した状態で離間して巻回する。
つまり、具体的には、テープ幅t 1 =1mmで螺旋間隔P1=5mmである。
なお、この巻き付けリード角Θの測定は、図7(d)で示すように、コア体の外周面で形成される稜線Yを基準として行っているが、コア体の軸線Xに対して稜線Yの傾斜角は殆ど無視できるオーダであるので、請求項の記載では、軸線Xを基準とした表記をとっている。
したがって、軸線Xに対して直交する方向からみると、内側プリプレグテープ13Aと外側プリプレグテープ13BがX字状に交差しているのが分かる。また、プリプレグテープ13の巻き付けリード角Θは軸線Xに対して35°〜75.1°の範囲である。この場合は、外側層用の内外プリプレグテープ13A、13Bは同一のプリプレグテープである。
強化繊維cの弾性率は20〜40トン/mm2で、中・高弾性率の強化繊維が採用されている。プリプレグテープの幅は1mmが採用され、厚みは0.1mm以下で出来れば、0.01mm〜0.05mmの間の値を採ることが望ましい。
なお、上記実施形態では、外側層1Dを形成するのに、外側層用の内側プリプレグテープ13Aを手元端まで巻き終えた後に、そして先端側から手元側に向けて、外側層用の内側プリプレグテープ13Aの上から外側層用の外側プリプレグテープ13BをX字状に手元端まで巻回する方法を採ったが、一つのプリプレグテープ13を往復させて行っても良い。
つまり、外側層用の内側プリプレグテープと外側層用の外側プリプレグテープとを螺旋状に巻回しながら交差させることによって、X字状を呈するように外側層を構成した。これによって、外側層のプリプレグテープの長手方向に配置されている炭素製強化繊維が軸線に対して傾斜する姿勢で配置され、それらが、X字状に交差するように配置してあるので、左右いずれの捩じれが作用しても、これらの炭素製強化繊維が対抗力を発揮し、捩じれに対して対抗力の高い穂先竿を提供することができた。
次に、作用効果の項でも少し触れたが、ここで、図6、7で示した本願発明の穂先竿1を発明する途中の過程で考え出した比較例について説明する。
図8に示すように、コア体の外周面にプリプレグテープ14を巻回する状態は同様である。つまり、内側プリプレグテープ14Aと外側プリプレグテープ14Bを螺旋状でかつ交差するように巻回する状態は同じである。ただ異なる点は、プリプレグテープ14の幅t2が3mmであり、かつ、螺旋間隔P2も15mmである。
つまり、図8(e)の表に示すように、中実棒状のコア体の先端細径部の直径d1=1mmにおいては、巻き付けリード角Θ4=11.8°であり、中実棒状のコア体の中間部の直径d 2 =3mmにおいては、巻き付けリード角Θ5=32.1°であり、中実棒状のコア体の元側部の直径d3=6mmにおいては、巻き付けリード角Θ6=51.5°である。
(1)内外プリプレグテープ13A、13Bのコア体に対する巻き付けリード角Θは、元端側の大径部分における外径とテープ幅とに密接に関係し、ここでは、図6(e)に示す75.1°に限定されるものではなく、60°〜89°の間の角度を採用し得る。
(2)テープ幅tに対して螺旋間隔Pを5倍に設定してあるが、細径部が密で大径部が疎に、又は、反対に細径部が疎で大径部が密になるように、種々に変更して使用可能である。
(3)釣り竿Aとして、複数本の竿体からなるものを提示したが、穂先から手元まで1本の竿体で構成するものに本発明を適用してもよい。
1A 当接傾斜面
1B 円柱状部
1C 円錐棒状体
1D 外側層
2 穂持竿
2A 円筒状部
2B 受止傾斜面
2D 竿尻端部
3 釣り糸ガイド
4 マンドレル
5 メインパターン
5A、5B プリプレグ
6 接着剤層
7 巻き付け用糸
8 クリアー塗装層
9 ブランクス
10 可動フード
11 リールシート
12 リアグリップ
13、14 外側層用のプリプレグテープ(外側層)
13A、14A 外側層用の内側プリプレグテープ
13B、14B 外側層用の外側プリプレグテープ
A 船竿
B 竿先竿
C 元竿
Ca 竿先端部
L1 穂先竿の長さ
L2 穂持竿の長さ
L3 軸芯長(当接傾斜面)
L4 軸芯長(円柱状部)
X 竿軸線
Y 稜線
a 最大大径部
b 振り分け寸法
c 炭素製の強化繊維
d1〜d3 巻き付け直径
g ガラス製の強化繊維
Θ 傾斜角(炭素繊維)
Θ1〜Θ6 巻き付けリード角
t1、t2 テープ幅
P1、P2 テープの巻き取り螺旋間隔
Claims (2)
- コア体と前記コア体の外側に位置する外側層とを備える穂先竿であって、
前記コア体は、軸線に沿った方向に引き揃えたガラス製強化繊維群に含浸されたマトリックス樹脂でなる中実棒状体であり、
前記コア体は、竿の竿先側から竿元側に向かって徐々に大径化する円錐棒状体と、前記円錐棒状体の竿元側に連設され竿元側に向かって徐々に小径化する当接傾斜面と、前記当接傾斜面の竿元側に連設され竿元側に向かって延びる円柱状の円柱状部と、を備え、
前記外側層は、長手方向に沿って強化繊維を引き揃え、かつ、軸芯方向で一定の螺旋間隔を開けてその軸線方向に沿って螺旋状に巻回された細幅の外側層用の内側プリプレグテープと、長手方向に沿って強化繊維を引き揃え、かつ、軸芯方向で一定の螺旋間隔を開けてその軸線方向に沿って螺旋状に巻回された細幅の外側層用の外側プリプレグテープとが、それら外側層用の内外プリプレグテープの強化繊維が、径方向視において互いに交差するように巻回され、更に、前記内外プリプレグテープの前記軸線に対する巻き付けリード角を前記中実棒状体における元端側の大径部分において60°〜89°に設定しているX巻螺旋体であり、
前記内外プリプレグテープは、前記円錐棒状体の外周面に巻回されている穂先竿。 - 前記内外プリプレグテープのテープ幅は、前記中実棒状体の細径部と略同様の幅であり、前記螺旋間隔は前記テープ幅の4倍から6倍に設定してある請求項1記載の穂先竿。
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