JP6783972B1 - 表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、表示素子 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、液晶表示素子として、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、光熱併用硬化型のシール剤を用いた液晶表示素子が開示されている。
以下に本発明を詳述する。
本発明の表示素子用シール剤における、高温高湿環境に曝された場合でも優れた接着性を有するという効果は、本発明の表示素子用シール剤が液晶表示素子の配向膜上に配置される場合に特に顕著に発揮される。
また、上記ポリイミドに対する初期接着力の好ましい上限は特にないが、実質的な上限は5.0kgf/cmである。
なお、上記ポリイミドに対する初期接着力は、以下の方法により測定することができる。
即ち、長さ45mm、幅25mm、厚さ0.7mmのITO基板に100nm程度の膜厚でポリイミド溶液を塗布して処理することにより得られた2枚の基板(以下、「ポリイミド基板」ともいう)のうちの一方にシール剤を、基板貼り合わせ時の直径が3mmとなるように点打ちする。シール剤を点打ちしたポリイミド基板ともう一方のポリイミド基板とをシール剤を介して十字状に貼り合わせる。その後、メタルハライドランプ等を用いて100mW/cm2の光を30秒照射した後、120℃で1時間加熱してシール剤を硬化させ、試験片を得る。得られた試験片について、25℃の環境下で、上下に配したチャックにて5mm/secの条件で引張試験を行うことにより、ポリイミドに対する初期接着力を測定することができる。
なお、上記PCT24h後のポリイミドに対する接着力は、以下の方法により測定することができる。
即ち、まず、上述したポリイミドに対する初期接着力の測定方法と同様にして得られた試験片について、121℃、100%RH、2atmの環境下で24時間静置するPCTを行う。PCT24h後の試験片について、25℃の環境下で、上下に配したチャックにて5mm/secの条件で引張試験を行うことにより、PCT24h後のポリイミドに対する接着力を測定することができる。
上記硬化性樹脂は、エステル化合物を含み、上記硬化性樹脂中に含まれる硬化性樹脂成分について、該硬化性樹脂成分の分子量をM、該硬化性樹脂成分1分子中のエステル官能基数をNとしたとき、下記式(I)で表されるエステル官能基濃度の硬化性樹脂全体における重量平均値が20%以下であることが好ましい。硬化性樹脂成分の有するエステル官能基が多い場合、高温高湿環境下において加水分解が起こりやすくなるところ、上記エステル官能基濃度の硬化性樹脂全体における重量平均値を20%以下とすることにより、加水分解を低減することができ、上記PCT24h後のポリイミドに対する接着力を上述した範囲とすることが容易となる。
[数1]
エステル官能基濃度(%)=(44N÷M)×100 (I)
[数2]
みかけのエポキシ当量=(100×X)÷Y (II)
なお、上記エステル化合物及び上記エポキシ化合物は、同一の化合物、即ち、エステル官能基を有するエポキシ化合物であってもよい。
なお、上記柔軟骨格を有する硬化性樹脂を含有する場合、得られる表示素子用シール剤が硬化物の耐湿熱性に劣るものとなりやすくなる。そのため、上記エステル官能基濃度の硬化性樹脂全体における重量平均値と上記硬化性樹脂全体のみかけのエポキシ当量とをそれぞれ上述した範囲となるようにすることにより、耐湿熱性の悪化を抑制することができる。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
上記主鎖に不飽和結合を有する構造としては、例えば、主鎖に共役ジエンの重合による骨格を有する構造等が挙げられる。
上記共役ジエンの重合による骨格としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン骨格、ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、スチレン−ブタジエン骨格、ポリイソブチレン骨格、ポリクロロプレン骨格等が挙げられる。
なかでも、上記ゴム構造は、アクリロニトリル−ブタジエン骨格又はポリブタジエン骨格を有する構造が好ましい。
なお、本明細書において上記「分子量」は、分子構造が特定される化合物については、構造式から求められる分子量であるが、重合度の分布が広い化合物及び変性部位が不特定な化合物については、重量平均分子量を用いて表す場合がある。また、上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記柔軟骨格を有する硬化性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記他の硬化性樹脂を含有する場合、上記硬化性樹脂100重量部中における上記柔軟骨格を有する硬化性樹脂の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は70重量部である。上記柔軟骨格を有する硬化性樹脂の含有量がこの範囲であることにより、上記ポリイミドに対する初期接着力を上述した範囲とすることがより容易となる。上記柔軟骨格を有する硬化性樹脂の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は50重量部である。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、例えば、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤や、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
なお、本明細書において上記「チオキサントン化合物」は、チオキサントニル基を有する化合物を意味し、上記「チオキサントニル基」は、9−オキソ−9H−チオキサンテン−イル基を意味する。
また、上記チオキサントン化合物は、1分子中に3つ以上のチオキサントニル基を有することが好ましい。上記チオキサントン化合物が1分子中に3つ以上のチオキサントニル基を有することにより、得られる表示素子用シール剤が長波長の光に対する深部硬化性により優れるものとなる。
なお、本明細書において上記「高分子アゾ化合物」とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイル基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で溶媒としてテトラヒドロフランを用いて測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ開始剤としては、例えば、V−65、V−501(いずれも富士フイルム和光純薬社製)等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH、MDH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH−J、アミキュアUDH等が挙げられる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等が挙げられる。
上記充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記シランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
上記チタンブラックは、1μmあたりの光学濃度(OD値)が、3以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。上記チタンブラックの遮光性は高ければ高いほどよく、上記チタンブラックのOD値に好ましい上限は特にないが、通常は5以下となる。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
上記三菱マテリアル社製のチタンブラックとしては、例えば、12S、13M、13M−C、13R−N、14M−C等が挙げられる。
上記赤穂化成社製のチタンブラックとしては、例えば、ティラックD等が挙げられる。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
本発明の表示素子用シール剤の硬化物又は本発明の上下導通材料の硬化物を有する表示素子もまた、本発明の1つである。
特に、本発明の表示素子用シール剤は、液晶滴下工法による液晶表示素子の製造に好適に用いることができる。本発明の表示素子として液晶表示素子を液晶滴下工法によって製造する方法としては、例えば、以下の方法等が挙げられる。
まず、基板に本発明の表示素子用シール剤をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布し、枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の表示素子用シール剤等が未硬化の状態で液晶の微小滴をシールパターンの枠内全面に滴下塗布し、すぐに別の基板を重ね合わせる工程を行う。その後、シールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1〜8及び比較例1〜5の表示素子用シール剤を調製した。遊星式撹拌機としては、あわとり練太郎(シンキー社製)を用いた。
長さ45mm、幅25mm、厚さ0.7mmのITO基板に約100nmの膜厚でポリイミド溶液を塗布して処理することにより得られた2枚の基板(ポリイミド基板)のうちの一方に、得られた表示素子用シール剤を、基板貼り合わせ時の直径が3mmとなるように点打ちした。シール剤を点打ちしたポリイミド基板ともう一方のポリイミド基板とをシール剤を介して十字状に貼り合わせた。その後、メタルハライドランプにて3000mJ/cm2の紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって接着性試験片を得た。得られた接着性試験片について、25℃の環境下で、上下に配したチャックにて5mm/secの条件で引張試験を行うことにより、ポリイミドに対する初期接着力を測定した。ポリイミドに対する初期接着力の測定結果を表1、2に示した。
また、ポリイミドに対する初期接着力の測定方法と同様にして得られた試験片について、121℃、100%RH、2atmの環境下で24時間静置するPCTを行った。PCTには、オートクレーブ(ヤマト科学社製、「SP510F」)を用いた。PCT後の試験片について、25℃の環境下で、上下に配したチャックにて5mm/secの条件で引張試験を行うことにより、PCT24h後のポリイミドに対する接着力を測定した。ポリイミドに対する初期接着力に対するPCT24h後のポリイミドに対する接着力の割合を表1、2に示した。
実施例及び比較例で得られた各表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
ITO薄膜付きガラス基板にポリイミド樹脂をスピンコートで塗布し、80℃でプリベイクした後、230℃で焼成することにより、配向膜付き基板を作製した。ポリイミド樹脂としてはSE7492(日産化学社製)を用いた。
実施例及び比較例で得られた各表示素子用シール剤100重量部に対して、シリカスペーサーを1重量部加え、遊星式撹拌装置によって均一に分散させ、脱泡処理をして表示素子用シール剤中の泡を取り除いた後、ディスペンス用のシリンジに充填し、再び脱泡処理を行った。シリカスペーサーとしては、SI−H055(積水化学工業社製)を用い、ディスペンス用のシリンジとしては、PSY−10E(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。次いで、ディスペンサーを用いて、表示素子用シール剤を枠を描く様に配向膜付き基板の配向膜上に塗布した。ディスペンサーとしては、SHOTMASTER300(武蔵エンジニアリング社製)を用いた。続いて、TN液晶の微小滴を液晶滴下装置にて表示素子用シール剤の枠内に滴下塗布した。TN液晶を滴下塗布した配向膜付き基板に、表示素子用シール剤を介して別の配向膜付き基板を重ね、真空貼り合わせ装置にて5Paの減圧下にて2枚の基板を貼り合わせ、セルを得た。TN液晶としては、JC−5001LA(チッソ社製)を用いた。得られたセルにメタルハライドランプにて3000mJ/cm2の紫外線を照射した後、120℃で60分加熱することによって表示素子用シール剤を硬化させ、液晶表示素子を作製した。
得られた液晶表示素子を24時間、PCT条件(121℃、100%RH、2atm)に曝した。PCT条件に曝した後の液晶表示素子について顕微鏡観察を行い、基板の剥がれが確認されなかった場合を「○」、基板の剥がれが確認された場合を「×」として、耐湿熱性を評価した。
Claims (7)
- 硬化性樹脂と、重合開始剤及び/又は熱硬化剤とを含有する表示素子用シール剤であって、
硬化物の25℃におけるポリイミドに対する初期接着力が2.0kgf/cm以上であり、かつ、硬化物を121℃、100%RH、2atmの環境下で24時間静置した後の該硬化物の25℃におけるポリイミドに対する接着力が前記ポリイミドに対する初期接着力の60%以上であり、
前記硬化性樹脂は、エステル化合物を含み、
前記硬化性樹脂中に含まれる硬化性樹脂成分について、該硬化性樹脂成分の分子量をM、該硬化性樹脂成分1分子中のエステル官能基数をNとしたとき、下記式(I)で表されるエステル官能基濃度の硬化性樹脂全体における重量平均値が20%以下である表示素子用シール剤。
[数1]
エステル官能基濃度(%)=(44N÷M)×100 (I) - 前記表示素子用シール剤は、熱硬化剤を含有し、
前記硬化性樹脂は、エポキシ化合物を含み、
前記熱硬化剤の活性水素当量をX、前記硬化性樹脂100重量部に対する該熱硬化剤の含有量をY重量部としたとき、下記式(II)で表される硬化性樹脂全体のみかけのエポキシ当量が700以上である請求項1記載の表示素子用シール剤。
[数2]
みかけのエポキシ当量=(100×X)÷Y (II) - 前記硬化性樹脂は、重合性官能基と柔軟骨格とを有する化合物を含む請求項1又は2記載の表示素子用シール剤。
- 前記柔軟骨格は、ゴム構造である請求項3記載の表示素子用シール剤。
- 請求項1、2、3又は4記載の表示素子用シール剤の硬化物。
- 請求項1、2、3又は4記載の表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料。
- 請求項1、2、3若しくは4記載の表示素子用シール剤の硬化物又は請求項6記載の上下導通材料の硬化物を有する表示素子。
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