JP6782608B2 - パーキングブレーキ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に搭載される電動パーキングブレーキを制御するために用いられるパーキングブレーキ制御装置に関する。
車両に標準的に搭載されているパーキングブレーキ機構は、一般的には駐車中に車両が動くのを防止する制動力を発生するために利用される。また、車両が上り坂で停止状態から発進する際に、運転者が意図しない車両の後退動作を防止するために必要な制動力を発生するためにも利用される。
また、近年では電気モータを駆動源とするアクチュエータを採用し、電気的な制御を可能にした電動パーキングブレーキ装置を搭載した車両が増えている。電動パーキングブレーキ装置の場合には、例えば運転者の簡単なボタン操作だけで、パーキングブレーキの制動状態と制動解除状態とを切り替えることができる。
また、例えば特許文献1および特許文献2に示されているように、車両の走行中に電動パーキングブレーキ装置を利用して、車両を減速するための制動力を発生させる技術が知られている。特許文献1においては、車両の減速度を監視して、高μ路、低μ路のそれぞれの道路に適したブレーキ性能を提供するための制御を示している。特許文献2においては、車両の直進時だけでなく、旋回時でもアンチロック制御に入るタイミングの判断を正確に行うための制御を示している。
特開2006−306299号公報 特開2008−149747号公報
ところで、例えば凍結した状態の道路のように低μ路(摩擦率が小さい道路)の路面において車両の走行に制動をかける場合には、車輪のロックが生じやすい。すなわち車輪の回転を止めるための制動力が車輪と路面との間の摩擦力よりも大きくなるため、車輪の回転が完全に停止した状態になる。その場合には、制動をかけた車両は車輪の同じ接地箇所と路面との間でスリップしながらこれらの間に生じる摩擦力によって徐々に減速し、ある程度の距離を走行してから停止する。
しかし、特に低μ路の路面で車輪のロックが生じると、車輪と路面との間の摩擦力が非常に小さくなるため、制動をかけてから車両が停止するまでの走行距離が非常に長くなる傾向がある。したがって、車両が停止するまでの走行距離を短縮することを目的として、車輪のロックを防止するためのアンチロックブレーキ制御を実施する。また、例えば特許文献1の図19に示されているように、低μ路では車輪のロックを回避することを優先するように制御を実施する場合もある。
しかしながら、上記のようなアンチロックブレーキ制御を実施する場合には、車輪のロックが生じないように制御するので、制動力が比較的小さくなり、減速勾配が緩やかになる。そして、特に低μ路の路面で制動をかけた場合には、アンチロックブレーキ制御を実施しない場合と比べて、車両が停止するまでの走行距離が大幅に長くなる場合もある。そのような現象は、制動をかけた時に発生している車両のエンジン等による駆動力と、制動力とが打ち消し合って、実質的な制動力が低下するために生じると考えられる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両が低μ路の路面等で制動をかけた場合に、油圧ブレーキ等に異常が発生している場合であっても、比較的短い制動距離で車両を停止することが可能なパーキングブレーキ制御装置を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係るパーキングブレーキ制御装置は、下記(1)〜()を特徴としている。
(1) パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成
前記パーキングブレーキにより制動される車輪のスリップ率を算出するスリップ率算出部を備え、
前記制御部は、前記車速が前記閾値より小さい第2の閾値以下の場合には、前記第2の閾値を超える場合よりも、前記車輪に対するスリップ率の許容度を高める、
ことを特徴とするパーキングブレーキ制御装置。
(2) パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成し、
前記制御部は、前記車速が前記閾値より小さい第2の閾値以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力を維持または増加させるように前記アクチュエータを制御する、
ことを特徴とするーキングブレーキ制御装置。
(3) 前記制御部は、前記車速が前記第2の閾値以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を時間の経過に伴って段階的に増大させると共に、前記目標値を変更してから少なくとも所定時間の間は前記目標値を一定に維持する、
ことを特徴とする上記()に記載のパーキングブレーキ制御装置。
(4) 前記制御部は、前記車速が前記第2の閾値を超える場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を時間の経過に伴って徐々に増大させると共に、前記車輪のスリップを検知した場合には、前記目標値を一時的に減少させる、
ことを特徴とする上記(1)乃至()のいずれかに記載のパーキングブレーキ制御装置。
(5) パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成し、
前記制御部は、前記動的減速制御を実施する場合に、前記車両の駆動源からの駆動力が車輪に印加される状態を検知すると、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成する、
ことを特徴とするーキングブレーキ制御装置。
(6) 油圧により作動し前記車両を制動させる油圧制動機構が前記車両に搭載されている場合に、
前記制御部は、前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知し、且つ前記油圧制動機構に不具合が発生している状態で、前記動的減速制御を実施する、
ことを特徴とする上記(1)乃至(5)のいずれかに記載のパーキングブレーキ制御装置。
(7) 前記制御部は、前記油圧制動機構に不具合が発生していない場合には、前記動的減速制御において、前記油圧制動機構を用いて前記車両を制動させる、
ことを特徴とする上記()に記載のパーキングブレーキ制御装置。
(8) パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出部と、
前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成し、
前記制御部は、前記車速が前記閾値より小さい第2の閾値以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を前記車両が停止するまで一定に維持し、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力を、前記目標値に到達するまで増大させ、前記目標値に到達した後は一定に維持させるように、前記アクチュエータを制御する、
ことを特徴とするパーキングブレーキ制御装置。
上記(1)、(2)、(5)及び(8)の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、制御部は、パーキングブレーキを利用して動的減速制御を実施する際に、駆動制御信号により車両の駆動装置(エンジン等)の駆動力を低下させることができる。又は、動的減速制御を実施する際に、補助制動制御信号により補助制動力を発生させることができる。車両の駆動装置の駆動力を低下させることにより、パーキングブレーキの制動力が駆動力の影響で相殺されるのを防止できる。また、補助制動力を発生させることにより、車両に加わる全体の制動力が増大するので、車両の駆動装置が駆動力を発生している場合であっても、実質的な制動力が不足するのを避けることができる。したがって、車両が低μ路等を走行している場合に、制動の開始から車両の停止までの走行距離が長くなるのを防止できる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、所定以上の速度で車両が走行している状況で、油圧制動機構に不具合が発生し、且つ減速すべき状況になった場合には、油圧制動機構を使わなくても、動的減速制御によりパーキングブレーキを用いて制動力を発生できる。したがって、走行状態の車両に制動をかけて短い走行距離で停止させることができる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、動的減速制御を実施する場合に、油圧制動機構を優先的に利用するので、パーキングブレーキよりも高い制動能力が得られる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、車両の走行速度が十分に低い場合には、スリップ率の許容度を高めるので、パーキングブレーキのアクチュエータを頻繁に動かす必要がなくなる。この場合は、車両の運動エネルギーが十分に小さいので、車輪がロック気味であっても停止までの走行距離が長くなるような問題は生じにくく、停止までの走行距離を短くできる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、1サイクルの制動区間において、パーキングブレーキを動かすアクチュエータやそれを駆動する電気モータを反対方向に動かす必要がないので、制御が容易になり、無駄な動きが生じるのを避けることもできる。車両が低速域で走行している場合には、このような動的減速制御を実施しても、車輪がロックするのを回避しつつ、車両を減速させ停止させることができる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、パーキングブレーキのアクュエータやそれを駆動する電気モータを頻繁に動かす必要がなく、しかも特別なセンサも必要とせず、比較的単純な制御だけて動的減速制御を実現できる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、車両の走行速度に適した締結力で制動力を発生させることができ、しかも車輪がロックしそうな時にはパーキングブレーキの締結力を減らすことにより、車輪のスリップ率を小さくして実質的な摩擦力の減少を抑制することができる。これにより、制動を開始してから車両が停止するまでの走行距離が長くなるのを防止できる。
上記()の構成のパーキングブレーキ制御装置によれば、駆動力の影響によりパーキングブレーキの制動力が相殺されるような場合に、駆動制御信号または補助制動制御信号を利用することができ、制動を開始してから車両が停止するまでの走行距離が長くなるのを防止できる。
本発明のパーキングブレーキ制御装置によれば、車両が低μ路の路面等で制動をかけた場合に、油圧ブレーキ等に異常が発生している場合であっても、比較的短い制動距離で車両を停止することが可能になる。すなわち、制御部は、パーキングブレーキを利用して動的減速制御を実施する際に、駆動制御信号により車両の駆動装置(エンジン等)の駆動力を低下させることができる。又は、動的減速制御を実施する際に、補助制動制御信号により補助制動力を発生させることができる。車両の駆動装置の駆動力を低下させることにより、パーキングブレーキの制動力が駆動力の影響で相殺されるのを防止できる。また、補助制動力を発生させることにより、車両に加わる全体の制動力が増大するので、車両の駆動装置が駆動力を発生している場合であっても、実質的な制動力が不足するのを避けることができる。したがって、車両が低μ路等を走行している場合に、制動の開始から車両の停止までの走行距離が長くなるのを防止できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態のパーキングブレーキ制御装置を含む車載システムの主要な構成要素を示すブロック図である。 図2は、本発明の第1実施形態のパーキングブレーキ制御装置の動作の概要を示すフローチャートである。 図3は、本発明の第2実施形態のパーキングブレーキ制御装置の動作の概要を示すフローチャートである。 図4は、本発明の第3実施形態のパーキングブレーキ制御装置の動作の概要を示すフローチャートである。 図5は、制動時の車速の時系列変化および複数の速度領域の例を示すタイムチャートである。 図6は、制動時のスリップ率と摩擦力との関係の具体例を示すグラフである。 図7は、低速域制動時のパーキングブレーキのクランプ力の目標値および実際の値の時系列変化の具体例を示すタイムチャートである。 図8は、高速域制動時のパーキングブレーキのクランプ力の目標値および実際の値の時系列変化の具体例を示すタイムチャートである。 図9は、低速域制動時のパーキングブレーキのクランプ力の目標値および実際の値の時系列変化の具体例を示すタイムチャートである。 図10は、変形例におけるパーキングブレーキ制御装置の動作の概要を示すフローチャートである。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<パーキングブレーキ制御装置を含む車載システムの構成例>
本発明の実施形態のパーキングブレーキ制御装置10を含む車載システムの主要な構成要素を図1に示す。図1に示した車載システムは、様々な種類の車両に搭載して使用される。なお、細部の構成については搭載する車両の仕様、ブレーキの仕様等に応じて、様々な変更、追加、削減等が実施されてもよい。
図1に示した車載システムにおいて、パーキングブレーキ制御装置10は、パーキングブレーキ操作部11、パーキングブレーキ制御部12、アクチュエータ13、パーキングブレーキ機構14、および車輪速度センサ15−1〜15−4を備えている。
また、パーキングブレーキ制御部12は、駆動力システム21および制動力システム31と接続されている。駆動力システム21には、エンジンユニット22、自動変速機23、および変速レバー24が接続されている。制動力システム31には、油圧制動機構32および回生制動システム33が接続されている。
パーキングブレーキ操作部11は、運転者がパーキングブレーキを操作するために利用され、例えばパーキングブレーキを制動解除状態から制動状態に切り替えるためのスイッチと、パーキングブレーキの制動状態を解除するためのスイッチとで構成される。なお、運転中にパーキングブレーキを自動的に制御するシステムを車両に搭載する場合には、このシステムがパーキングブレーキ操作部11の代わりに電気信号SG1を生成することもできる。
パーキングブレーキ機構14は、車両の後輪2輪のドラムブレーキの各々の内部に組み込まれている。各車輪のパーキングブレーキ機構14と接続されたアクチュエータ13を動かすことにより、パーキングブレーキで車輪の回転に対して制動をかけたり、制動を解除することができる。また、パーキングブレーキ機構14の出力のクランプ力を調整してブレーキの摩擦力を制御することもできる。
実際には、アクチュエータ13に内蔵される電気モータを正転方向または逆転方向に駆動することにより、パーキングブレーキ機構14に制動をかける方向、すなわちクランプ力を増やす方向にアクチュエータ13を動かしたり、制動を解除する方向、すなわちクランプ力を減らす方向に動かすことができる。
車輪速度センサ15−1〜15−4の各々は、車両の4つの車輪の各々の回転速度を検出し、検出した回転速度を表す車輪速度信号16−1〜16−4を出力する。なお、通常は車両の車体の走行速度(車速)と、各車輪の回転速度とが所定の比例関係にあるが、例えばブレーキをかけた時に路面と各車輪との間でスリップが生じると、各車輪の回転速度が車速に比べて遅くなる。
また、車体の走行速度については、例えば次に示す(1)〜(3)のいずれかの方法で推定できる。
(1)車両の駆動力を表すエンジントルクやエンジン回転速度に基づいて計算により推定し、更に車輪速度と比較して補正する。
(2)4つの車輪の車輪速度信号16−1〜16−4を用いて計算により推定する。
(3)加速度センサ(図示せず)が検出した加速度に基づいて計算により推定する。
パーキングブレーキ制御部12は、マイクロコンピュータを主体とする電気回路により構成されている。パーキングブレーキ制御部12は、マイクロコンピュータに組み込まれているプログラムに従って後述する制御を実施し、状況に応じてパーキングブレーキおよびその他の装置を制御する。
駆動力システム21は、エンジンユニット22のエンジン回転速度を把握すると共に、図示しないアクセルペダルの踏み込み状態などに基づいてエンジンユニット22の状態を制御する。また、変速レバー24の選択状態や車速の変化に応じて、自動変速機23の状態を自動的に切り替える。
また、図1に示した駆動力システム21は、駆動系の現在の状況を表す情報を電気信号SG3としてパーキングブレーキ制御部12に出力することができる。また、駆動力システム21はパーキングブレーキ制御部12から出力される電気信号SG4の指示に従って、駆動力の制限や駆動力出力のカットなどの特別な制御を実施することができる。
制動力システム31は、油圧制動機構32および回生制動システム33と接続されている。油圧制動機構32は、図示しないブレーキペダルの踏み込み状態に応じて、車両の4つの車輪のそれぞれに制動をかけることができる。回生制動システム33は、車両を減速する際に、発電機を用いて車体の不要な運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収すると共に、この発電機の回転に必要な力により各車輪の回転に制動をかけることができる。また、制動力システム31は、油圧制動機構32および回生制動システム33の各々における動作状態や故障の有無などを把握することができる。
更に、図1に示した制動力システム31は、油圧制動機構32および回生制動システム33の状態を示す情報を電気信号SG5によりパーキングブレーキ制御部12に出力することができる。また、制動力システム31は、パーキングブレーキ制御部12が出力する電気信号SG6の指示に従って、油圧制動機構32や回生制動システム33が作動するように制御したり、制動力を増大させるように制御することができる。
<第1実施形態のパーキングブレーキ制御装置の動作の概要>
本発明の第1実施形態のパーキングブレーキ制御装置10の動作の概要を図2に示す。すなわち、図1に示したパーキングブレーキ制御部12内のマイクロコンピュータが図2に示した制御を実施することにより、本実施形態に係る制動制御を車両の走行中に実現できる。
ステップS11では、パーキングブレーキ制御部12が電気信号SG1を監視することにより、パーキングブレーキ操作部11から所定の作動指令が入力されたか否かを識別する。作動指令が入力されると、次のステップS12に進む。
ステップS12では、パーキングブレーキ制御部12が現在の車体速度[km/h]を事前に定めた車速閾値V0と比較する。現在の車体速度が車速閾値V0以上であれば次のステップS13に進み、車速閾値V0未満の場合はステップS17に進む。
ステップS13では、油圧ブレーキの異常の有無をパーキングブレーキ制御部12が識別し、正常な場合はステップS18に進み、異常がある場合はステップS14に進む。実際には、パーキングブレーキ制御部12は油圧制動機構32の状態を表す情報を制動力システム31を経由して取得し、油圧系統の故障の有無やセンサの異常の有無をステップS13で把握する。
ステップS14では、パーキングブレーキ制御部12は、アクチュエータ13を介してパーキングブレーキ機構14の状態を動的に制御し、車両が減速するように適切な制動をかける。この場合には、例えば図8に示す動作例のように、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が変化し、後輪の2輪に制動がかかって車両が減速する。
ステップS15では、パーキングブレーキ制御部12は、駆動力システム21の系統で発生する駆動力が車輪に対して加わっているか否かを識別し、「駆動力あり」の場合はステップS16に進み、「駆動力なし」の場合はステップS14に戻る。
具体例としては、以下に示す(1)〜(3)のいずれか又は複数の状況を把握することにより、駆動力が車輪に対して加わっているか否かを識別できる。
(1)変速レバー24の選択状態が「Dレンジ」か否かを把握する。
(2)エンジンの回転状態に基づきエンジントルクがかかっているか否かを把握する。
(3)クラッチがつながっているか否かを把握する。
ステップS16では、パーキングブレーキ制御部12は、電気信号SG4により、駆動力システム21に対して駆動力の制限、又は駆動力のカットを要求する。この要求が入力された場合、駆動力システム21は、例えばエンジンユニット22の回転速度の目標値を下げるように制御する。又は、駆動力システム21は自動変速機23がニュートラルの状態になるように、あるいはクラッチを切るように制御する。
ステップS17では、パーキングブレーキ制御部12は通常の制御を実施する。すなわち、車体の移動速度が低速であるので、アクチュエータ13を所定方向に所定量だけ駆動してパーキングブレーキ機構14の制動力により車輪の回転を止める。
ステップS18では、油圧ブレーキが使用可能な状態であるので、パーキングブレーキ機構14は使用せず、油圧ブレーキを優先的に使用して車輪の回転に制動をかけ、車両を減速する。すなわち、油圧ブレーキで制動をかけるための指令を電気信号SG6を用いてパーキングブレーキ制御部12が出力する。この場合、制動力システム31は、最短距離で車両が停止できるように動的減速制御を実施する。例えば、車輪速度信号16−1〜16−4により各車輪の回転速度やスリップの状態を把握して、車輪のロックが発生しないように油圧制動機構32の油圧を最適に制御する。
車両の走行中にパーキングブレーキ機構14を用いて減速する必要が生じた場合には、エンジンユニット22等が発生する駆動力が、自動変速機23等を経由して各車輪に伝達されている可能性が高い。そして、パーキングブレーキ機構14により各車輪に加わる制動力がエンジンユニット22等の駆動力により抑制または相殺されて実質的な車輪の制動力が大幅に低下する。そのため、制動をかけてから車両が停止するまでの走行距離が長くなる可能性がある。
しかし、図1に示したパーキングブレーキ制御装置10においては、パーキングブレーキ制御部12が図2に示した処理PR1を実行することにより、制動をかけてから車両が停止するまでの走行距離が長くなるのを防止できる。すなわち、パーキングブレーキ制御部12が図2のステップS14で動的減速制御を実施する際に、「駆動力が車輪に印加されている」ことをステップS15で検知すると、ステップS16で駆動力システム21に対して駆動力の制限又はカットを要求するので、車輪に加わる実質的な制動力の低下が防止される。
<第2実施形態のパーキングブレーキ制御装置の動作の概要>
本発明の第2実施形態のパーキングブレーキ制御装置10の動作の概要を図3に示す。すなわち、図1に示したパーキングブレーキ制御部12内のマイクロコンピュータが図3に示した制御を実施することにより、車両の走行中に特別な制動制御を実現できる。
なお、図3中の各ステップS11〜S14、S17およびS18の処理は、既に説明した図2中の対応するステップの内容と同一である。図3に示す動作の中で図2と異なるステップについて以下に説明する。
ステップS15Bでは、パーキングブレーキ制御部12は、ステップS14の処理によりパーキングブレーキ機構14が発生している現在の制動力の大きさに不足が生じていないかを識別する。具体的には、パーキングブレーキ機構14における油圧の値を予め定めた閾値と比較することにより、制動力の不足の有無を識別できる。制動力が不足している場合は次のステップS16Bに進み、制動力が不足していない場合はステップS14に戻る。
ステップS16Bでは、パーキングブレーキ制御部12は、パーキングブレーキ機構14以外の制動装置がパーキングブレーキ機構14と同時に作動して全体の制動力を増強するように制御する。例えば、電気信号SG6により制動の指令を制動力システム31に送り、回生制動システム33が制動力を発生するように制御する。回生制動システム33以外の制動装置を利用してもよい。
なお、ステップS16Bで制動力システム31に対して制動力の増強を要求するのと同時に、図2のステップS16と同様に、駆動力システム21に対して駆動力の制限またはカットを要求してもよい。
車両の走行中にパーキングブレーキ機構14を用いて減速する必要が生じた場合には、エンジンユニット22等が発生する駆動力が、自動変速機23等を経由して各車輪に伝達されている可能性が高い。そして、パーキングブレーキ機構14により各車輪に加わる制動力がエンジンユニット22等の駆動力により抑制または相殺されて実質的な車輪の制動力が大幅に低下する。そのため、制動をかけてから車両が停止するまでの走行距離が長くなる可能性がある。
しかし、図1に示したパーキングブレーキ制御装置10においては、パーキングブレーキ制御部12が図3に示した処理PR2を実行することにより、制動をかけてから車両が停止するまでの走行距離が長くなるのを防止できる。すなわち、パーキングブレーキ制御部12が図3のステップS14で動的減速制御を実施する際に、「実質的な制動力の不足」をステップS15Bで検知すると、ステップS16Bで制動力システム31に対して制動力の増強を要求するので、全体の制動力が駆動力よりも十分に大きい状態を維持することができる。また、これと同時に駆動力システム21に対して駆動力の制限又はカットを要求することにより、実質的な制動力を更に増やすことができる。
<第3実施形態のパーキングブレーキ制御装置の動作の概要>
本発明の第3実施形態のパーキングブレーキ制御装置10の動作の概要を図4に示す。すなわち、図1に示したパーキングブレーキ制御部12内のマイクロコンピュータが図4に示した制御を実施することにより、車両の走行中に特別な制動制御を実現できる。
また、制動時の車速の時系列変化および複数の速度領域の例を図5に示す。図5において、縦軸は車体の走行速度(車速)を表し、横軸は時間を表す。また、図5に示した例では、走行状態の車両において、時刻t1でパーキングブレーキによる制動を開始し、時刻t2で車体の走行速度が閾値V1まで減速し、時刻t3で車両が停止した状況を想定している。
なお、図4中の各ステップS11〜S13、S17およびS18の処理は、既に説明した図2中の対応するステップの内容と同一である。図4に示す動作の中で図2と異なるステップについて以下に説明する。
ステップS21では、パーキングブレーキ制御部12は、アクチュエータ13を介してパーキングブレーキ機構14の状態を動的に制御し、車両が減速するように適切な制動をかける。この場合には、例えば図8に示す動作例のように、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が変化し、後輪の2輪に制動がかかって車両が減速する。
ステップS22では、パーキングブレーキ制御部12が、例えば現在の車体の走行速度Vを事前に定めた閾値V1(例えば10[km/h])と比較することにより、図5中に示した高車速制動領域AHおよび低車速制動領域ALのいずれであるのかを識別する。高車速制動領域AHの場合にはステップS21に戻り、低車速制動領域ALの場合には次のステップS23に進む。
なお、ステップS22における「低車速」の識別については、上記と異なる方法を用いることもできる。例えば、車体の減速度を平均化することにより得られる減速勾配値を、事前に定めた減速度の閾値(例えば0.2[G])と比較し、閾値以下になった時に「低車速制動領域AL」であると認識するように制御してもよい。
ステップS23では、パーキングブレーキ制御部12は、ステップS21の「動的減速制御」とは内容が少し異なる「低車速動的減速制御」を実行する。この「低車速動的減速制御」では、「動的減速制御」よりも低車速制動領域ALに適した内容の制御を実行する。そして、低車速制動領域ALでは、例えば図7に示す動作例のように、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が変化し、後輪の2輪に制動がかかって車両が減速する。
図1に示したパーキングブレーキ制御装置10においては、パーキングブレーキ制御部12が図4に示した処理PR3を実行することにより、制動をかけてから車両が停止するまでの走行距離が長くなるのを防止できる。すなわち、高車速制動領域AHで「動的減速制御」を実行し、低車速制動領域ALで「低車速動的減速制御」を実行することにより、車両が停止するまでの走行距離を短縮できる。
<「動的減速制御」、「低車速動的減速制御」の詳細>
<スリップ率に基づく制御>
制動時のスリップ(Slip)率と摩擦力との関係の具体例を図6に示す。図6において、横軸は制動をかけた車輪のスリップ率[%]を表し、縦軸は制動により発生する摩擦力[N]を表す。
パーキングブレーキ制御部12は、例えば次式により車輪のスリップ率Sを算出できる。
S=(Vv−Vw)/Vv
Vv:車体速度
Vw:車輪速度
図6に示した例では、スリップ率Sが0〜α1の範囲ではスリップ率の増大にほぼ比例して摩擦力が増大している。また、スリップ率Sがα2の時に摩擦力がピーク値になる。また、スリップ率Sがα3以上の領域では、スリップ率の増大に伴って摩擦力が減少している。
例えば、図4に示したステップS21の「動的減速制御」においては、各時点で検出したスリップ率Sがスリップ率許容領域RsAの範囲内になるように、パーキングブレーキ制御部12がパーキングブレーキ機構14のアクチュエータ13を制御する。また、図4に示したステップS23の「低車速動的減速制御」においては、各時点で検出したスリップ率Sがスリップ率許容領域RsBの範囲内になるように、パーキングブレーキ制御部12がパーキングブレーキ機構14のアクチュエータ13を制御する。
スリップ率許容領域RsAはスリップ率Sがα1〜α2の範囲であり、スリップ率許容領域RsBはスリップ率Sがα1〜α3の範囲である。例えば図6に示した例では、スリップ率α1、α2、およびα3が、それぞれ10[%]、20[%]、および30[%]程度の値になる場合を想定している。また、スリップ率α1、α2、α3の間には「α1<α2<α3」の関係がある。
したがって、図4に示した処理PR3において、ステップS21の「動的減速制御」からステップS23の「低車速動的減速制御」に切り替えることは、パーキングブレーキ制御部12が許容するスリップ率Sの範囲を領域RsAから領域RsBに拡張することを意味する。
実際には、スリップ率Sの範囲をスリップ率許容領域RsBに拡張することにより、車輪が多少ロック気味に制御されることになるが、低速域においては特別な弊害が生じることはなく、特に車両が低μ路を走行するような場合には、車両が停止するまでの走行距離を短縮する効果がある。
<クランプ力に基づく制御>
<「低車速動的減速制御」の場合>
低速域制動時のパーキングブレーキのクランプ力の目標値および実際の値の時系列変化の具体例を図7に示す。
図7に示した例では、パーキングブレーキ制御部12が時刻t0でパーキングブレーキの制動動作を開始する場合を想定している。この場合、パーキングブレーキ制御部12は時刻t0で制動用のクランプ力の制御上の目標値を0からβ1に増大するので、時刻t0の後でアクチュエータ13の電気モータが正転方向に駆動される。そして、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が目標値β1に到達する状態になると、パーキングブレーキ制御部12が電気モータの駆動を停止する。その時刻t1から一定時間T1の間は、クランプ力の目標値はそのまま維持する。
クランプ力が目標値β1に到達した時刻t1から一定時間T1が経過した時刻t2において、パーキングブレーキ制御部12は目標値をβ1からβ2にステップ状に増大方向に切り替える(β1<β2)。したがって、時刻t2の後でアクチュエータ13の電気モータが再び正転方向に駆動される。そして、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が目標値β2に到達する状態になると、パーキングブレーキ制御部12が電気モータの駆動を停止する。その時刻t3から一定時間T2の間は、クランプ力の目標値はそのまま維持する。
クランプ力が目標値β2に到達した時刻t3から一定時間T2が経過した時刻t4において、パーキングブレーキ制御部12は目標値をβ2からβ3にステップ状に増大方向に切り替える(β2<β3)。したがって、時刻t4の後でアクチュエータ13の電気モータが再び正転方向に駆動される。そして、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が目標値β3に到達する状態になると、パーキングブレーキ制御部12か電気モータの駆動を停止する。
したがって、図7に示したような制御をパーキングブレーキ制御部12が実施する場合には、アクチュエータ13の駆動方向を変更する必要もなく、アクチュエータ13を頻繁に動かす必要もない。図7の制御により、例えば図6に示した広いスリップ率許容領域RsBの範囲内で摩擦力が変化するような制御を実現できる。
<「動的減速制御」の場合>
高速域制動時のパーキングブレーキのクランプ力の目標値および実際の値の時系列変化の具体例を図8に示す。
図8に示した例では、パーキングブレーキ制御部12が時刻t10でパーキングブレーキの制動動作を開始する場合を想定している。この場合、パーキングブレーキ制御部12は時刻t10で制動用のクランプ力の制御上の目標値を0からβ1に増大し、その後は図7の動作例と同様に、時間の経過に伴いステップ状に目標値を増大する。
但し、例えば図8に示した各時刻t11、t12、t13等において、スリップ率が所定以上に増大したことを検知すると、一時的に目標値を下げる。その場合、パーキングブレーキ制御部12はアクチュエータ13の電気モータを逆転方向に駆動して、パーキングブレーキ機構14のクランプ力が低下するように制御する。そして、例えば一定時間が経過するか、あるいはスリップ率の低下を検知すると、パーキングブレーキ制御部12はクランプ力の目標値を元に戻す。したがって、「動的減速制御」の場合のパーキングブレーキ機構14のクランプ力は、図8に示すように、短い周期で上下に変動しながら、時間の経過に伴って増大する。図8の制御により、例えば図6に示した広いスリップ率許容領域RsAの範囲内で摩擦力が変化するような制御を実現できる。
<「低車速動的減速制御」の場合の変形例>
低速域制動時のパーキングブレーキのクランプ力の目標値および実際の値の時系列変化の具体例を図9に示す。
図9に示した例では、パーキングブレーキ制御部12が時刻t0でパーキングブレーキの制動動作を開始する場合を想定している。この場合、パーキングブレーキ制御部12は時刻t0で制動用のクランプ力の制御上の目標値を0からβ3に一気に増大するので、時刻t0の後でアクチュエータ13の電気モータが正転方向に駆動される。
したがって、図9に示すようにパーキングブレーキ機構14の実際のクランプ力は、時刻t1から時刻t2までほぼ一定の傾きで時間の経過に伴って増大する。そして、時刻t2でパーキングブレーキ機構14のクランプ力が目標値β3に到達する状態になると、パーキングブレーキ制御部12が電気モータの駆動を停止し、この状態を維持する。
「低車速動的減速制御」において、図9に示した例のように制御する場合には、車輪のロックが発生した場合であってもパーキングブレーキ制御部12は目標値を変更しないので、クランプ力は一定に維持される。したがって、車輪はロックされたままになるが、車体速度が非常に低いので、特に低μ路等においてはクランプ力を解除しない方が停止するまでの走行距離が短縮される可能性が高まる。
<変形例の動作>
変形例におけるパーキングブレーキ制御装置10の動作の概要を図10に示す。図10に示した動作は、変形例として図2、図3、および図4に示した動作を組み合わせた処理手順の例を示している。
図10に示した各ステップS11〜S13、S17、およびS18の内容は、図2に示した同じ番号で示す各ステップと同一である。また、図10に示した各ステップS31、S32、およびS33は、それぞれ図4のステップS21、S22、およびS23と同一である。また、図10に示した各ステップS34およびS35は、それぞれ図2のステップS15(又はS15B)およびステップS16(又はS16B)に相当する。
したがって、パーキングブレーキ制御部12が図10に示した動作を実行する場合にも、図4に示した動作と同様に、車体速度が高車速制動領域AH、低車速制動領域ALのいずれかを識別した結果に応じて「動的減速制御」、および「停車側動的減速制御」を選択的に実行することができる。また、図2および図3に示した動作と同様に、車輪に駆動力が印加されている状態であったり、パーキングブレーキ機構14の制動力が不足する場合には、ステップS35を実行することができる。すなわち、パーキングブレーキ制御部12がステップS35で駆動力の制限またはカットを駆動力システム21に指示したり、制動力の増強を制動力システム31に指示することができる。
ここで、上述した本発明に係るパーキングブレーキ制御装置10の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[9]に簡潔に纏めて列記する。
[1] パーキングブレーキ(パーキングブレーキ機構14)のアクチュエータ(13)を制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
前記車両の車速を検出する車速検出部(車輪速度センサ15−1〜15−4)と、
前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部(パーキングブレーキ操作部11)と、
前記アクチュエータを制御する制御部(パーキングブレーキ制御部12)と、
を備え、
前記制御部は、
前記車速が閾値(V0)以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号(電気信号SG1)を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させる(ステップS14)とともに、
所定の条件(ステップS15,又はS15B)を満たしている場合には、前記車両の駆動装置(駆動力システム21)に駆動力を低下させるための駆動制御信号(電気信号SG4)、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置(制動力システム31)に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号(電気信号SG6)、の少なくとも一方を生成する、
ことを特徴とするパーキングブレーキ制御装置。
[2] 油圧により作動し前記車両を制動させる油圧制動機構(32)が前記車両に搭載されている場合に、
前記制御部は、前記車速が閾値(V0)以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知し、且つ前記油圧制動機構に不具合が発生している状態で、前記動的減速制御(ステップS14)を実施する、
ことを特徴とする上記[1]に記載のパーキングブレーキ制御装置。
[3] 前記制御部は、前記油圧制動機構に不具合が発生していない場合には、前記動的減速制御において、前記油圧制動機構を用いて前記車両を制動させる(ステップS18)、
ことを特徴とする上記[2]に記載のパーキングブレーキ制御装置。
[4] 前記パーキングブレーキにより制動される車輪のスリップ率を算出するスリップ率算出部(図示せず)を備え、
前記制御部は、前記車速が前記閾値(V0)より小さい第2の閾値(V1)以下の場合には、前記第2の閾値を超える場合よりも、前記車輪に対するスリップ率の許容度を高める(スリップ率許容領域RsBを選択)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載のパーキングブレーキ制御装置。
[5] 前記制御部は、前記車速が前記閾値(V0)より小さい第2の閾値(V1)以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力を維持または増加させる(図7参照)ように前記アクチュエータを制御する、
ことを特徴とする上記[1]乃至[4]のいずれかに記載のパーキングブレーキ制御装置。
[6] 前記制御部は、前記車速が前記第2の閾値(V1)以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を時間の経過に伴って段階的に増大させると共に、前記目標値を変更してから少なくとも所定時間の間は前記目標値を一定に維持する(図7参照)、
ことを特徴とする上記[5]に記載のパーキングブレーキ制御装置。
[7] 前記制御部は、前記車速が前記第2の閾値を超える場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を時間の経過に伴って徐々に増大させると共に、前記車輪のスリップを検知した場合には、前記目標値を一時的に減少させる(図8参照)、
ことを特徴とする上記[4]乃至[6]のいずれかに記載のパーキングブレーキ制御装置。
[8] 前記制御部は、前記動的減速制御を実施する場合に、前記車両の駆動源からの駆動力が車輪に印加される状態を検知すると(ステップS15)、前記車両の駆動装置(駆動力システム21)に駆動力を低下させるための駆動制御信号(電気信号SG4)、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置(制動力システム31)に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号(電気信号SG6)、の少なくとも一方を生成する、
ことを特徴とする上記[1]に記載のパーキングブレーキ制御装置。
[9] 前記制御部は、前記動的減速制御を実施する場合に、前記パーキングブレーキの制動力が不足していることを検知すると(ステップS15B)、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号(電気信号SG4)、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号(電気信号SG6)、の少なくとも一方を生成する、
ことを特徴とする上記[1]に記載のパーキングブレーキ制御装置。
10 パーキングブレーキ制御装置
11 パーキングブレーキ操作部
12 パーキングブレーキ制御部
13 アクチュエータ
14 パーキングブレーキ機構
15−1,15−2,15−3,15−4 車輪速度センサ
16−1,16−2,16−3,16−4 車輪速度信号
21 駆動力システム
22 エンジンユニット
23 自動変速機
24 変速レバー
31 制動力システム
32 油圧制動機構
33 回生制動システム
SG1,SG2,SG3,SG4,SG5,SG6 電気信号
AH 高車速制動領域
AL 低車速制動領域
RsA,RsB スリップ率許容領域

Claims (8)

  1. パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
    所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成
    前記パーキングブレーキにより制動される車輪のスリップ率を算出するスリップ率算出部を備え、
    前記制御部は、前記車速が前記閾値より小さい第2の閾値以下の場合には、前記第2の閾値を超える場合よりも、前記車輪に対するスリップ率の許容度を高める、
    ことを特徴とするパーキングブレーキ制御装置。
  2. パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
    所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成し、
    前記制御部は、前記車速が前記閾値より小さい第2の閾値以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力を維持または増加させるように前記アクチュエータを制御する、
    ことを特徴とするーキングブレーキ制御装置。
  3. 前記制御部は、前記車速が前記第2の閾値以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を時間の経過に伴って段階的に増大させると共に、前記目標値を変更してから少なくとも所定時間の間は前記目標値を一定に維持する、
    ことを特徴とする請求項に記載のパーキングブレーキ制御装置。
  4. 前記制御部は、前記車速が前記第2の閾値を超える場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を時間の経過に伴って徐々に増大させると共に、前記車輪のスリップを検知した場合には、前記目標値を一時的に減少させる、
    ことを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のパーキングブレーキ制御装置。
  5. パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
    所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成し、
    前記制御部は、前記動的減速制御を実施する場合に、前記車両の駆動源からの駆動力が車輪に印加される状態を検知すると、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成する、
    ことを特徴とするーキングブレーキ制御装置。
  6. 油圧により作動し前記車両を制動させる油圧制動機構が前記車両に搭載されている場合に、
    前記制御部は、前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知し、且つ前記油圧制動機構に不具合が発生している状態で、前記動的減速制御を実施する、
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のパーキングブレーキ制御装置。
  7. 前記制御部は、前記油圧制動機構に不具合が発生していない場合には、前記動的減速制御において、前記油圧制動機構を用いて前記車両を制動させる、
    ことを特徴とする請求項に記載のパーキングブレーキ制御装置。
  8. パーキングブレーキのアクチュエータを制御して前記パーキングブレーキを作動させることにより車両を制動するパーキングブレーキ制御装置であって、
    前記車両の車速を検出する車速検出部と、
    前記パーキングブレーキの作動を指示する操作信号を検知する作動操作検出部と、
    前記アクチュエータを制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記車速が閾値以上であり、前記作動操作検出部が前記操作信号を検知した場合には、動的減速制御として、前記パーキングブレーキを作動させるとともに、
    所定の条件を満たしている場合には、前記車両の駆動装置に駆動力を低下させるための駆動制御信号、および前記パーキングブレーキ以外の前記車両の制動装置に補助制動力を発生させるための補助制動制御信号、の少なくとも一方を生成し、
    前記制御部は、前記車速が前記閾値より小さい第2の閾値以下の場合には、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力の目標値を前記車両が停止するまで一定に維持し、車輪に対する前記パーキングブレーキの締結力を、前記目標値に到達するまで増大させ、前記目標値に到達した後は一定に維持させるように、前記アクチュエータを制御する、
    ことを特徴とするパーキングブレーキ制御装置。
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