JP4978923B2 - 停止判定装置及び電動パーキングブレーキ制御装置 - Google Patents
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Description
このような電動パーキングブレーキは、運転者が電気的なスイッチによって操作できるから、一般的な手動レバーや足踏ペダルによる操作に対して労力が低減される。
また、このような誤判定を防止するため、車速センサの検出限界速度以下となってから停止判定までの時間を長く設定すると、電動パーキングブレーキの制動が開始されるまでのタイムラグが大きくなってしまう。
本発明の課題は、車両の停止判定を適切に行うことができる停止判定装置及び電動パーキングブレーキ制御装置を提供することである。
請求項1の発明は、車両の停止を判定する停止判定装置において、車両の速度を検出する車速センサと、車両の加速度を検出する加速度センサと、前記車速センサの出力が検出限界出力以下となった際における前記車両のピッチング方向の挙動に起因する前記加速度センサの出力変動が所定の期間にわたって予め設定された閾値以下である場合に停止判定を成立させる停止判定部と、車両が所定の緩ブレーキモード条件を充足したか否かを判定する緩制動判定部とからなり、前記緩ブレーキモード条件が充足された場合に、非充足の場合に対して停止判定を成立させるまでの期間を長く設定することを特徴とする停止判定装置である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、前記制動制御部は、前記加速度センサの出力変動の収束後における前記加速度センサの出力に基づいて、前記パーキングブレーキの目標制動力を設定することを特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置である。
(1)車両のピッチング方向の挙動に起因する加速度センサの出力変動の収束に応じて停止を判定することによって、このようなピッチングは停車時に発生してその後短時間で減衰するから、停車後早期に確実な停止判定を行うことができる。
(2)加速度センサの出力変動が、所定の期間にわたって閾値以下である場合に停止判定を成立させることによって、簡単なロジックによって適切に停止判定を行うことができる。
(3)上述した停止判定の結果を用いてパーキングブレーキを駆動する電動アクチュエータを作動させることによって、停車前における誤作動や、停車から制動までのタイムラグが大きくなることを防止して、電動パーキングブレーキを適切に作動させることができる。
(4)加速度センサの出力変動が収束した後に、加速度センサの出力に基づいてパーキングブレーキの目標制動力を設定することによって、車両のピッチングの影響を排除して路面の傾斜を正確に検出し、制動力を適切に設定することができる。
図1は、実施例の電動パーキングブレーキ装置の機械的構成を示す図である。
図2は、電動パーキングブレーキ装置の回路構成を示すブロック図である。
アクチュエータユニット20は、例えばDCモータの回転力を減速ギア列によって減速してリードスクリュを回転させ、このリードスクリュにネジ結合されたイコライザによってパーキングブレーキケーブル21を牽引し又は弛緩させるものである。
プラス端子31は、コントローラ40等の各電装品に配線(ハーネス)を介して接続されている。このプラス端子31からコントローラ40に電力を供給する配線は、図2に示すように、イグニッション配線31a、常時接続配線31bが設けられている。イグニッション配線31aは、その中間部にイグニッションスイッチのオンオフと連動して導通、遮断が切換えられるイグニッションリレーIが挿入され、車両の走行用動力源であるエンジンのオン(ラン)時に通電されるものである。また、常時接続配線31bは、イグニッションスイッチの操作に関わらず、常時通電され、コントローラ40のECU41等における各種データの保持等に用いられるものである。
また、マイナス端子32は、車両の車体の金属部分に対して接地されている。
ECU41は、操作スイッチ50、車両側ユニット60からの入力に応じて、パーキングブレーキ10の制動要否を判断するとともに、傾斜路に停止する場合等に制動力を増加させる増し引き制御を行うCPUを備えている。ECU41は、統合コントローラ41a、停止判定部41b、加速度データ処理部41cを備えている。
停止判定部41bは、後述する車両の停止判定処理を行うものである。
加速度データ処理部41cは、Gセンサ43の出力を処理して停止判定部41に提供するとともに、Gセンサ43の出力に基づいて、路面の傾斜を推定するものである。
なお、本明細書において、車両の前後方向の加速度の極性は、減速側を正、加速側を負として説明する。
車速センサ61は、例えばホイールハブ部に備えられ、車輪とともに回転するトーンホイールの回転速度に応じた車速パルス信号を出力することによって、車両の走行速度(車体速度)の検出に用いられるものである。ここで、車速センサ61は、その検出下限速度が例えば約2km/h程度であり、これ以上の速度においては、車速に応じた車速パルス信号を発生する。
この車両側ユニット60及び車速センサ61は、コントローラ40と協働して、本発明を適用した停止判定装置及び電動パーキングブレーキ制御装置を構成するものである。
一方、コントローラ40は、車両が走行状態から停止状態へ移行したと判断(停止判定)した場合には、パーキングブレーキ10の制動が必要と判断し、アクチュエータユニット20に駆動電力を供給してパーキングブレーキ10を解除状態から制動状態に移行させる。
図4は、本実施例の電動パーキングブレーキ装置を備えた車両の停止時における車速センサ出力及びGセンサ出力の履歴を示すグラフである。
以下、図3のステップ毎に順を追って説明する。
g_stockは、Gセンサ43の出力であるgセンサ値を、ECU41が一時的に保持したものであって、初期状態(ロジック開始時)においては0であるとともに、後に説明するように、timerのリセット時にそのときのgセンサ値によって更新される。
timerは、gセンサ値からg_stockを減じた値の絶対値が、予め設定された閾値であるg_limitよりも小さい状態の持続時間を示すタイマ値であって、ECU41に備えられたタイマ機能によってカウントアップされるものであり、初期状態においては0となっている。
判定終了フラグは、停止判定の成立有無を示すフラグであって、ECU41内に保持され、停止判定成立前においては0、成立後においては1に設定される。
ECU41は、判定終了フラグの状態を判断し、0である場合はステップS02に進み、1である場合はリターンする。
<ステップS02:車速Vso判断>
ECU41は、車速センサ61の出力に基づいて検出される現在の車速Vsoが0である場合(車速が車速センサの検出下限速度以下)はステップS03に進み、0よりも大きい場合はリターンする。
図5は、車両のピッチングを示す模式図であって、図5(a)は、車両の停止前における減速中の状態、図5(b),(c),(d)は、車両の停止直後におけるピッチング振動中の状態、図5(e)は、車両が完全に停止してピッチングが収束した状態を示している。
車両は、減速中においては、図5(a)に示すように、慣性力によってフロントサスペンションが圧縮され、エネルギが保存されたノーズダイブ状態となっている。
その後、車両は、図5(b)から図5(d)までの状態を繰り返すピッチング振動を示すが、その振幅は、サスペンションのダンパ等の作用によって徐々に減衰し、最終的には図5(e)に示すように収束する。
このようなピッチング振動中においては、Gセンサ43の出力は、図4に示すように、正負が繰り返し逆転する波形を示し、この振幅もピッチング振動の振幅と相関する。
ECU41は、gセンサ値からg_stockを減じた値が、−g_limit以下又はg_limit以上である場合は、上述したピッチングがまだ収束していないものとしてステップS06に進み、この値が、g_limitよりも小さくかつ−g_limitよりも大きい場合は、ピッチングが収束しているとして、ステップS04に進む。
ECU41は、車両が通常の前進走行中であるか否かに関する判定である前進判定が確定したか否かを判断する。ここで、前進判定は、例えば、車速センサ61の出力が所定の時間以上にわたって増加傾向を示し、かつ、Gセンサ43の出力が所定の時間にわたって加速Gを検出し続けた場合に確定する。
前進判定が確定した場合はステップS11に進み、確定しない場合はステップS05に進む。
ECU41は、停止時の車両の状態が所定の緩ブレーキモード条件を充足したか否かを判断する。例えば、ECU41は、停止時のGセンサ43の出力、車速センサ出力の履歴、図示しないブレーキペダルの踏力、図示しないブレーキマスタシリンダの液圧等に基づいて、車両が緩制動を行ったと判断した場合は、緩ブレーキモード条件が充足されたとしてステップS21に進み、その他の場合は、ステップS31に進む。ここで、ステップS31に進む場合においては、車両は、例えば渋滞時のように発進及び停止を例えば数秒間以内の短時間において繰り返す走行モードとなっている。
ECU41は、上述したg_stockの値を、現在のGセンサ43の出力であるgセンサ値とし、timerの値を0として、リターンする。
ECU41は、timer値を所定の閾値であるT1と比較し、timer≧T1の場合はステップS12に進み、その他の場合はステップS15に進む。
ここで、T1は、これよりも長時間にわたってgセンサ値からg_stockを減じた値の絶対値がg_limitよりも小さい状態を持続した場合に、ECU41の停止判定部41bが停止判定を成立させる条件となる時間である。
ECU41の加速度データ処理部41cは、現在のGセンサ43の出力であるgセンサ値が、所定の定数である−RECEPTよりも小さいか否かを判断し、小さい場合は車両が傾斜路に停車し、ヒルホールド機能による増し引きが必要としてステップS13に進み、その他の場合はステップS13をスキップしてステップS14に進む。
ECU41は、リレー42からアクチュエータユニット20に駆動電力を供給させて作動させ、パーキングブレーキ10を解除状態から制動状態へ移行させるとともに、その制動力を、平地用制動力よりも大きい傾斜路用制動力に設定してステップS14に進む。
ECU41は、判定終了フラグを1としてリターンする。
<ステップS15:timerカウントアップ>
ECU41は、上述したタイマ値であるtimerをカウントアップしてリターンする。
ECU41は、timer値を上述したT1とは異なる所定の閾値であるT2と比較し、timer≧T2の場合はステップS22に進み、その他の場合はステップS25に進む。
ここで、閾値T2は、車両が通常の停車時よりも減速度が小さい緩制動によって停車する際に、パーキングブレーキ10が早期に作動して引っかかり感がでることを防止するため、通常停車時における閾値T1よりも大きく(長時間)設定されている。
これらのステップS22からステップS25においては、上述したステップS12からステップS15と実質的に同じ処理が行われる。
ECU41は、timer値を上述したT1及びT2とは異なる所定の閾値であるT3と比較し、timer≧T3の場合はステップS32に進み、その他の場合はステップS35に進む。
ここで、閾値T3は、T1よりも大きく(長時間)、かつ、T2よりも小さく(短時間)設定されている。
これらのステップS32からステップS35においては、上述したステップS12からステップS15と実質的に同じ処理が行われる。
(1)車両のピッチングに起因するGセンサ43の出力変動の収束に応じて停止を判定することによって、このようなピッチングは停車時に発生してその後短時間で減衰するから、停車後早期に確実な停止判定を行うことができる。
(2)Gセンサ43の出力であるgセンサ値から従前のgセンサ値であるg_stockを減じた差分の絶対値が、所定の期間にわたってg_limit以下である場合に停止判定を成立させることによって、簡単なロジックによって適切に停止判定を行うことができる。
(3)上述した停止判定の結果を用いてパーキングブレーキ10を駆動するアクチュエータユニット20を作動させることによって、停車前における誤作動や、停車から制動までのタイムラグが大きくなることを防止して、パーキングブレーキ10を適切に作動させることができる。
(4)Gセンサ43の出力変動が収束した後に、その出力に基づいてパーキングブレーキ10の目標制動力を設定することによって、車両のピッチングの影響を排除して路面の傾斜を正確に検出し、制動力を適切に設定することができる。
(5)車両の停車時における減速度等の状態に応じて、タイマ値(timer)の閾値T1,T2,T3を変更しているから、走行状態の違いに応じて適切なタイミングで停止判定及びパーキングブレーキ10の作動を行うことができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)上述した実施例における停止判定装置は、電動パーキングブレーキの制御に用いられるものであったが、本発明の停止判定装置は、他の用途にも適用することができ、例えば、オートマティックトランスミッションの制御システム、クルーズコントロールシステム、エンジン制御システム(アイドルストップ)等にも適用することができる。
(2)電動パーキングブレーキ装置の構成は、実施例のものに限らず、適宜変更することができる。
例えば、実施例のパーキングブレーキは、フットブレーキ用のブレーキディスクの内径側に配置されたドラムを用いるものであるが、パーキングブレーキの形式は、他の形式のものであってもよく、例えば、フットブレーキ用のディスクブレーキ又はドラムブレーキとその摩擦材を共用化し、パーキングブレーキと一体化したものであってもよい。
また、実施例のパーキングブレーキは、ボディ側に固定された電動アクチュエータを用い、パーキングブレーキケーブルを介してパーキングブレーキを駆動するものであったが、本発明はこれに限らず、例えば電動アクチュエータをホイールハブ側に設けてパーキングブレーキと一体化したいわゆるビルトイン型の電動パーキングブレーキにも適用することができる。
20 アクチュエータユニット
30 パーキングブレーキケーブル
40 コントローラ
41 ECU
43 Gセンサ
50 操作スイッチ
60 車両側ユニット
61 車速センサ
Claims (3)
- 車両の停止を判定する停止判定装置において、
車両の速度を検出する車速センサと、
車両の加速度を検出する加速度センサと、
前記車速センサの出力が検出限界出力以下となった際における前記車両のピッチング方向の挙動に起因する前記加速度センサの出力変動が所定の期間にわたって予め設定された閾値以下である場合に停止判定を成立させる停止判定部と、
車両が所定の緩ブレーキモード条件を充足したか否かを判定する緩制動判定部とからなり、
前記緩ブレーキモード条件が充足された場合に、非充足の場合に対して停止判定を成立させるまでの期間を長く設定すること
を特徴とする停止判定装置。 - 請求項1に記載の停止判定装置と、
前記停止判定装置の出力に応じて、パーキングブレーキを駆動する電動アクチュエータを作動させる制動制御部と
を備える電動パーキングブレーキ制御装置。 - 請求項2に記載の電動パーキングブレーキ制御装置において、
前記制動制御部は、前記加速度センサの出力変動の収束後における前記加速度センサの出力に基づいて、前記パーキングブレーキの目標制動力を設定すること
を特徴とする電動パーキングブレーキ制御装置。
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