JP4832795B2 - 電動パーキングブレーキ用制御装置 - Google Patents
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このような場合、前後の車輪速差や車輪速から減速度合いでロック回避を行なうダイナミックパーキングの制御方法では高い確率で走行路に適したブレーキ性能が喪失してしまうことになる。
前記コントロールケーブル8を運転者のオン操作によって引き作動を行なわしめる作動スイッチと、前記コントロールケーブル8を運転者のオン操作によって戻し作動を行なわしめる解除スイッチとを有する操作スイッチ11を備え、
前記操作スイッチ11の作動スイッチの運転者によるオン操作により、予め設定した車速以上の場合には前記コントロールケーブル8を引き作動して車輪に制動をかけるダイナミックパーキング制御を行なう第1の機能を備え、
前記操作スイッチ11の作動スイッチの運転者によるオン操作により、予め設定した車速以下の場合には前記コントロールケーブル8を引き作動して車両が停止するまで車輪に制動をかけるスタティックパーキング制御を行なう第2の機能を備え、
前記スタティックパーキング制御において前記操作スイッチ11の作動スイッチのオン信号により、イグニッションスイッチ21がオン状態の場合には予め設定した最適荷重に達するまで、あるいは前記イグニッションスイッチ21がオフ状態の場合では予め設定した最大荷重に達するまで前記電動モータ16を駆動して前記コントロールケーブル8を引き作動するマニュアル作動を行なう第3の機能を備え、
前記スタティックパーキング制御においてシフトポジションの位置がパーキングポジションで且つブレーキが踏まれていて、イグニッションスイッチ21がオン状態の場合には予め設定した最適荷重に達するまで、あるいは前記イグニッションスイッチ21がオフ状態の場合では予め設定した最大荷重に達するまで前記電動モータ16を駆動して前記コントロールケーブル8を引き作動するオート作動を行なう第4の機能を備え、
車両の停車時の傾斜角度や車両の減速度が検出可能な傾斜センサ43を有し、
車速、車輪速情報がない場合には、前記傾斜センサ43にて減速度を監視し、前記ダイナミックパーキング制御において前記減速度が予め設定した閾値より低い場合には前記電動モータ16を駆動して前記コントロールケーブル8の引き作動を行ない、減速度が前記閾値より高い場合には前記引き作動を停止させ、且つ、前記操作スイッチ11の作動スイッチまたは解除スイッチがオン状態である間に前記コントロールケーブル8の引き作動または戻し作動する速度である該コントロールケーブル8の引き速度を、前記マニュアル/オート作動の引き作動における最適荷重や最大荷重に対応した電動モータ16の電流値に達するまでの引き速度より減じる制御手段を備えていることを特徴としている。
この操作スイッチ11は、いわゆるアクチュエータ5をマニュアル操作をするためのものであり、また、接触端子13側を作動SW(作動スイッチ)と以後称し、接触端子14側を解除SW(解除スイッチ)と以後称する。
コントロールケーブル8の他端は上述したようにパーキングブレーキ4に接続されており、コントロールケーブル8を引き操作すると、パーキングブレーキ4のブレーキシューなどの摩擦部材がブレーキドラムまたはブレーキディスクに付勢されるようになっている。
図7(b)に示すように、操作スイッチ11から作動SWの作動信号が時刻t1で入力されて所定時間経過してオンが確定しても、作動許可条件が不成立のためオンが受け付けられない。時刻t2で再度、作動SWがオンされて入力して所定時間経過してオンが確定した場合、作動許可条件が成立しているため、オンが受け付けられる。
作動許可条件が成立している状態で、(c)に示すようにATポジションがPポジションとなって所定の時間が経過した後に、オンが確定し(時刻t1)、この時刻t1でブレーキスイッチ25がオンとなっているので、(g)に示すように電動モータ16が起動されて、正転駆動される。(f)に示すように、電動モータ16が駆動されて、コントロールケーブル8の引き作動による張力に応じて電流値が上昇していき、オート作動制御に移る。
予め設定した最適荷重に対応したモータ電流に達すると(時刻t1)、図10(c)に示すように、電動モータ16は停止され、電動モータ16が完全に停止するとモータ電流はゼロになる((b)参照)。また、(d)に示すように、パーキングブレーキランプ45は、ランプ駆動部41により点灯される。
電動モータ16が停止した状態でイグニッションスイッチ21が時刻t2でオフされると、電動モータ16が起動され、最大荷重まで電動モータ16が作動される。その後、電動モータ16が停止し、モータ電流もゼロとなり、電動モータ16が停止する時刻t3から所定の時間T2の経過後にパーキングブレーキランプ45が消灯する。
イグニッションスイッチ21がオンで、且つ解除SWがオンの場合には、ステップS23に移行し、電動モータ16が逆転駆動され、コントロールケーブル8は戻し作動される。これによりパーキングブレーキ4が操作スイッチ11のマニュアル操作により解除されることになる。
図14(c)の時刻t7で解除SWのオン信号が入力され、オンが確定しても、このオンの確定時の時刻t8において、イグニッションスイッチ21がオンしてからオンが確定していないため、オンは受け付けられない。
電動モータ16が逆転する場合は、制動をかける場合とは異なり、比較的少ないモータ電流値でもって駆動でき((f)参照)、アクチュエータ5のコントロールケーブル8のストローク量がゼロとなるまで、電動モータ16が駆動される。そして、該ストローク量が完全にゼロとなると、電動モータ16は停止し、同時にパーキングブレーキランプ45が点灯状態から消灯状態となる。これにより車両1を走行させることができる。
重力Gの変化により出力信号が変化するので、車両1が加速したり、減速したりした際のG変化も検出することになり、この特性を利用し、後述するように傾斜センサ43で車両1の減速度あるいは加速度を検出することができるようになっている。
図15において、「仰角」は上り坂を表し、「俯角」は下り坂を表している。また、勾配は0%(斜度0°)から30%(斜度16.7°)以上までの5%刻みの8段階に分けている。
また、下り坂において、ATポジションがDポジションのエンジンの回転数は、En0rpmで一定であり、Rポジションの場合にそれぞれパーキングブレーキ4の自動解除のしきい値となるエンジン回転数を勾配が大きくなるほど高くしている(En0rpmからEn7rpm)。
ステップS33において、ATポジションセンサ26からの信号がRポジションかDポジションかを判定し(図16(d)参照)、ステップS34においてRポジションまたはDポジションに応じて路面の勾配に応じたエンジンの回転数データを記憶部38から取り込む。今、例えば、車両1の進行方向がDポジションであって、勾配が25%とする。なお、傾斜センサ43からの路面の勾配データは車両1が停車した後に、サンプリングを行なって該勾配データが記憶部38に一旦記憶される。
ドライバーがアクセルペダルを踏み込んでいくにしたがい、図16(c)に示すように、エンジンの回転数が徐々に上昇していき、エンジンの回転数が路面の勾配に応じたトルク(ここでは、上記のEn7rpm)まで上がるまで判断する。つまり、坂道発進に必要なトルクまで上がったかを監視、判断する。
コントロールケーブル8の戻し作動に伴い、図16(e)に示すようにコントロールケーブル8のストローク量は作動完了位置から解除完了位置へと少なくなり、ストローク量がゼロとなる解除完了位置となった場合には、ステップS38に移行して電動モータ16が停止され、パーキングブレーキランプ45が消灯する(図16(f)(g)参照)。
なお、以下に説明する制御は、図5に示す制御装置30の車速判定部32、ロック判定部33、減速度判定部34、ダイナミックパーキング制御部35などにて主に行なわれる。
低μ路でのダイナミックパーキング制御においては、減速度が低くても後輪がロックし易いため、ロック回避を優先した制御を行なうものであり、高μ路に比べて減速度が低いため停止までの時間は長いものの、後輪をロックさせずに停止させることができる。
・車両が高μ路または低μ路のどちらを走行しているかを判定してそれぞれの制御を行なう。
・高μ路では後輪がロックする前に減速度が高くなりやすいため、減速度を確保する制御を優先する。
・低μ路では減速度が低く後輪がロックし易いため、ロックを回避する制御を優先する。
車速が予め設定されている速度、V1(km/h)以上の場合(ここで、該速度は、例えば8km/hである。しかし、数値は任意に設定可能である。)では速度が「高」としてステップS43に移行し、車速がV1(km/h)以下の場合では速度が「低」としてステップS45に移行する。ステップS45では上述したオート作動にてスタティックパーキング制御として停止制御が行なわれる。
また、ステップS43においてロックが回避されると判定された場合にはステップS44に移行して車両の減速度が判定される。減速度が低いと判定されるとステップS42に戻り、減速度が高いと判定された場合には、減速度の確保を優先した高μ路制御が行なわれる。この高μ路制御について後述するが、高μ路制御後はステップS42に戻る。
図20はロックの判定方法と低μ路制御のダイナミックパーキング制御方法を示したものであり、車速がV1(km/h)以上の時にドライバーが操作スイッチ11の作動SWを操作してパーキングブレーキ4の引き作動(引き操作)を開始してから停止するまでの過程を示している。
ロック回避閾値は、後車輪速が上記推定車体速の例えば98%になった時の値であり、ロック危険閾値は、後車輪速が上記推定車体速の例えば96%になった時の値としている。また、通常作動移行閾値は、ダイナミックパーキング作動から通常作動(スタティックパーキング作動)へ移行する車速閾値であり、この通常作動移行閾値は上記のV1(km/h)である。なお、車速や後輪の車輪速は、例えば、10msec毎にサンプリングを行なってデータを得ている。
そして、ドライバーの意思で一旦ダイナミックパーキング制御を停止しようとして、図21(b)に示すように、時刻t2でドライバーが操作スイッチ11の作動SWをオフ操作して所定の時間が経過した後にオフが確定すると、電動モータ16は逆転してコントロールケーブル8の解除(戻し作動)が行なわれる(図21(e)参照)。なお、パーキングブレーキランプ45は点滅している(図21(f)参照)。
図21に示す時刻t4でダイナミックパーキング制御が開始され、このダイナミックパーキング制御が行なわれてコントロールケーブル8が引き作動され、コントロールケーブル8により後輪に制動がかかることで後輪の減速度が大きくなる。減速度が大きくなると、図21(e)に示すように後輪のロック近傍に近づくためロックの危険性が大となり、これをロック判定部33で検出して、コントロールケーブル8の戻し作動の解除制御を行なう(図21のA部分参照)。
なお、引き作動、戻し作動などのダイナミックパーキング制御と電動モータ16の制御(正転と逆転)を行なってコントロールケーブル8の引き作動力を調節する低μ路制御が行なわれている期間は、図21(g)に示すようにパーキングブレーキランプ45は点滅している。
コントロールケーブル8の引き作動が完了して電動モータ16がオフされると同時にパーキングブレーキランプ45が点滅から点灯に移行する(図21(e)(f)参照)。
特に、低μ路制御では、前記電動モータ16をコントロールケーブル8の戻し作動である解除と、コントロールケーブル8の引き作動の順序で繰り返して制御を行なっているので、後輪をロックさせずにスムーズに停止させることができる。なお、これらの低μ路制御は、車速がV1(km/h)以下になるまで繰り返して行なわれる。
また、この引き作動を行なっていると、減速度が上がっていくため、減速度が判定閾値より上がる時刻t4で電動モータ16を停止させる(図22D部分参照)。
このように、高μ路制御では、予め設定した減速度の閾値より減速度が低い場合には前記電動モータ16を駆動し、減速度が閾値より高い場合には前記電動モータ16を停止させるようにしているので、減速度を優先した高μ路に適したブレーキ性能を提供することができる。なお、図22(b)に示すように、このオート作動に入る車速がV1(km/h)以下において、操作スイッチ11をオフ操作してオフが確定してもオート作動が継続して行なわれる。
また、低μ路では、減速度が低くても後輪がロックし易いため、ロック回避を優先した制御を行なっているので、後輪をロックさせずに停止することができる。さらに、高μ路では、減速度が高くなると後輪がロックするため減速度を優先する制御をしているので、後輪をロックさせずにすばやく停止させることができる。また、高μ路から低μ路へ移動した場合、低μ路から高μ路へ移動した場合にでもそれぞれ適したブレーキ性能を提供することができる。
そこで、車速、車輪速情報がなくても、EPKBコントローラ10に搭載された傾斜センサ43により減速度をモニタリングし、一定以上の減速度が確保できれば引き作動を停止し、且つコントロールケーブル8の引き速度を正常時より減じることで、手操作での作動/解除もコントロールし易くするようにしている。
すなわち、ステップS53においては、電動モータ16に印加する電圧(パルス出力)のデューティ比を変えることで(デューティ比を小さくすることで)、コントロールケーブル8の引き速度を正常より減じるようにしている。これにより引き速度が遅くなることで、ドライバーの操作スイッチ11での手操作による調整がし易くなる。つまり、作動/解除という少し引いて戻すという操作がし易くなる。このようにして、減速度を確保しつつ、ある程度のロック回避を実現することができる。
2、3 後輪
4 パーキングブレーキ
5 アクチュエータ
8 コントロールケーブル
10 電動パーキングブレーキコントローラ
11 操作スイッチ
16 電動モータ
30 制御装置
33 ロック判定部(ロック判定手段)
43 傾斜センサ
Claims (1)
- 車両の走行中に電動モータ(16)によりコントロールケーブル(8)を引き作動してパーキングブレーキ(4)を作動させる電動パーキングブレーキ装置において、
前記コントロールケーブル(8)を運転者のオン操作によって引き作動を行なわしめる作動スイッチと、前記コントロールケーブル(8)を運転者のオン操作によって戻し作動を行なわしめる解除スイッチとを有する操作スイッチ(11)を備え、
前記操作スイッチ(11)の作動スイッチの運転者によるオン操作により、予め設定した車速以上の場合には前記コントロールケーブル(8)を引き作動して車輪に制動をかけるダイナミックパーキング制御を行なう第1の機能を備え、
前記操作スイッチ(11)の作動スイッチの運転者によるオン操作により、予め設定した車速以下の場合には前記コントロールケーブル(8)を引き作動して車両が停止するまで車輪に制動をかけるスタティックパーキング制御を行なう第2の機能を備え、
前記スタティックパーキング制御において前記操作スイッチ(11)の作動スイッチのオン信号により、イグニッションスイッチ(21)がオン状態の場合には予め設定した最適荷重に達するまで、あるいは前記イグニッションスイッチ(21)がオフ状態の場合では予め設定した最大荷重に達するまで前記電動モータ(16)を駆動して前記コントロールケーブル(8)を引き作動するマニュアル作動を行なう第3の機能を備え、
前記スタティックパーキング制御においてシフトポジションの位置がパーキングポジションで且つブレーキが踏まれていて、イグニッションスイッチ(21)がオン状態の場合には予め設定した最適荷重に達するまで、あるいは前記イグニッションスイッチ(21)がオフ状態の場合では予め設定した最大荷重に達するまで前記電動モータ(16)を駆動して前記コントロールケーブル(8)を引き作動するオート作動を行なう第4の機能を備え、
車両の停車時の傾斜角度や車両の減速度が検出可能な傾斜センサ(43)を有し、
車速、車輪速情報がない場合には、前記傾斜センサ(43)にて減速度を監視し、前記ダイナミックパーキング制御において前記減速度が予め設定した閾値より低い場合には前記電動モータ(16)を駆動して前記コントロールケーブル(8)の引き作動を行ない、減速度が前記閾値より高い場合には前記引き作動を停止させ、且つ、前記操作スイッチ(11)の作動スイッチまたは解除スイッチがオン状態である間に前記コントロールケーブル(8)の引き作動または戻し作動する速度である該コントロールケーブル(8)の引き速度を、前記マニュアル/オート作動の引き作動における最適荷重や最大荷重に対応した電動モータ(16)の電流値に達するまでの引き速度より減じる制御手段を備えていることを特徴とする電動パーキングブレーキ用制御装置。
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