以下、図面を参照して、本発明による各実施形態のロールスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、図1に示すロールスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方をスクリーンの吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をロールスクリーンの左側、及び、図示右方向をロールスクリーンの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示すロールスクリーンの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
〔第1実施形態〕
(ロールスクリーンの構成)
まず、本発明による第1実施形態のロールスクリーンを図面に従って説明する。図1及び図2に示す第1実施形態のロールスクリーンは、取付ブラケット1を介して窓枠等の取付面に取着されるフレーム2の両端に支持ブラケット3が取着され、その支持ブラケット3に2本の巻取軸4a,4bが回転可能に支持されている。
巻取軸4a,4bは、支持ブラケット3に上下方向に所定の間隔を隔てて支持されるとともに、前後方向に僅かにオフセットした状態で支持されている。
巻取軸4aには室外側の第1スクリーン5aの上端部が取着され、巻取軸4bには室内側の第2スクリーン5bの上端部が取着されている。そして、第1及び第2スクリーン5a,5bはそれぞれ巻取軸4a,4bから近接して重ね合わされるように垂下されている。
本例では、特に、図2に示すように、巻取軸4a,4bでは、それぞれその室外側から第1及び第2スクリーン5a,5bを支持する構成としている。
巻取軸4a,4b内には、それぞれ第1及び第2スクリーン5a,5bの巻上時の操作力を軽減するスプリングモーター41、及び各巻取軸4a,4bの回転トルクに所定の制動力を付与するブレーキユニット42等が収容されている。
そして、第1及び第2スクリーン5a,5bの下端部はウェイトバー6に取着され(図2参照)、そのウェイトバー6の両端は上方を開口したボトムカバー7に回動可能に支持されている。そして、第1及び第2スクリーン5a,5bはボトムカバー7内からその開口部へ経て上方へ案内されている。このようなウェイトバー6及びボトムカバー7は、錘部材として構成される。
第1及び第2スクリーン5a,5bは、光を透過する透光部8と、光を遮光する遮光部9が等間隔で上下方向に縞状に形成されている。そして、第1及び第2スクリーン5a,5bの透光部8が重なる状態では、その透光部8から外光を採り入れ可能であり、第1及び第2スクリーン5a,5bの透光部8と遮光部9が重なる状態では、外光を遮断可能となっている。
尚、第1及び第2スクリーン5a,5bに設けられる透光部8は高通気性とし、遮光部9は低通気性を持つよう構成することができる。従って、透光部8に対する遮光部9の重なり幅を調整することで、その通気性を調節することもできる。
図1に示す右方の支持ブラケット3には操作装置10が取着され、その操作装置10から無端状のボールチェーン11が垂下されている。そして、ボールチェーン11の操作により、巻取軸4a,4bを同方向に同一速度で回転させて、第1及び第2スクリーン5a,5bを一括して昇降可能となっている。
また、第1及び第2スクリーン5a,5bを昇降操作した後に、ボールチェーン11を逆方向に引くと、下方の巻取軸4bのみを所定角度に限り回転させて、第1及び第2スクリーン5a,5bを上下方向に相対移動操作可能となっている。
ボールチェーン11は、コネクタ12で連結されて無端状に形成されるとともに、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降範囲を規制する規制部材13a,13bが取着されている。
そして、第1及び第2スクリーン5a,5bが上限まで引き上げられたとき、規制部材13aは操作装置10のケース14の背面側に当接して、ボールチェーン11の同方向へのそれ以上の操作が阻止される。また、第1及び第2スクリーン5a,5bが下限まで下降したとき、規制部材13bはケース14の前面側に当接して、ボールチェーン11の同方向へのそれ以上の操作が阻止される。
コネクタ12は、ボールチェーン11のボールを係止するボール係止部と、そのボール係止部を連結する連結部とで構成され、あらかじめ設定された引張り力以上の力で引っ張られると、ボール係止部が連結部から外れるようになっている。
(操作装置)
次に、操作装置10の具体的構成を説明する。図1に示すように、操作装置10のケース14内にはプーリー15が回転可能に支持され、そのプーリー15にボールチェーン11が掛装されている。そして、ボールチェーン11の操作によりプーリー15が正逆方向に回転される。
そして、操作装置10は、図3に示す構造により、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作と、透光部8と遮光部9の重なり具合を調整する調光操作を可能とする機能を有している。
より具体的に、図3に示すように、操作装置10は、駆動歯車16、遊び付き伝達歯車ユニット17、伝達歯車21、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22、及び被動歯車31を備える。
操作装置10のケース14内の下方において駆動歯車16がケース14に回転可能に支持され、当該ケース14内の上方において被動歯車31がケース14に回転可能に支持されている。
駆動歯車16の中心軸は、巻取軸4bの中心軸と同軸上にあり、駆動歯車16は、巻取軸4bの右端部側に位置して相対回転不能に係合している。また、被動歯車31の中心軸は、巻取軸4aの中心軸と同軸上にあり、被動歯車31は、巻取軸4aの右端部側に位置して相対回転不能に係合している。
駆動歯車16と被動歯車31の歯数は同数であり、ボールチェーン11の操作に基づいて回転される駆動歯車16から、遊び付き伝達歯車ユニット17とカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22のいずれか一方を介して回転力が付与される。
このとき、詳細は後述するが、昇降操作の動作時においては駆動歯車16の回転に基づいて被動歯車31は駆動歯車16と同方向に同一速度で回転されるが、調光操作の動作時においては駆動歯車16の回転に基づいて被動歯車31は駆動歯車16と逆方向に同一速度で回転されるようになっている。そして、ボールチェーン11の操作に基づいて一方向へ回転される駆動歯車16により、調光操作から上昇操作へ(或いは調光操作から下降操作へ)連続的に被動歯車31の回転が切り替わるようになっている。
即ち、操作装置10のケース14内には、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作時に作動する第1伝達経路TR1と、第1及び第2スクリーン5a,5bの調光操作時に作動する第2伝達経路TR2が設けられている。つまり、第1伝達経路TR1は、昇降操作時に、駆動歯車16から遊び付き伝達歯車ユニット17を介して被動歯車31へ回転を伝達する。一方、第2伝達経路TR2は、調光操作時に、駆動歯車16から伝達歯車21及びカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22を介して被動歯車31へ回転を伝達する。
(第1伝達経路)
第1伝達経路TR1は、図4(a),(b),(c)にそれぞれ示すように、駆動歯車16、遊び付き伝達歯車ユニット17、及び被動歯車31がそれぞれ噛合されて構成される。
被動歯車31は、図4(a)に示すように、その中心軸孔311がケース14から延びる円柱軸により回転可能に支持されている。また、駆動歯車16は、図4(c)に示すように、ボールチェーン11を掛装可能とするプーリー15が一体に形成され、その中心軸孔161がケース14から延びる円柱軸により回転可能に支持されている。
そして、第1伝達経路TR1を構成するための遊び付き伝達歯車ユニット17は、図4(b)に示すように、伝達歯車18、中間カラー19、及び伝達歯車20から構成される。本例では、この2つの伝達歯車18,20の歯数は同数としている。
伝達歯車18は、駆動歯車16に噛み合うよう構成され、その中心軸孔181がケース14から延びる円柱軸により回転可能に支持されている。また、伝達歯車18の図示右方の面には筒部185が突出しており、この筒部185の内周面を構成する回転案内凹部182上には、径方向に扇状に突出する伝達片183が形成されている。
中間カラー19は、伝達歯車18の回転について遊び角θを持って伝達歯車20へと伝達するよう連結する部材であり、大径部193と小径部194の二段円筒状の外形を有して、その中心軸孔191がケース14から延びる当該円柱軸により伝達歯車18と同軸で回転可能に支持されている。また、大径部193における図示左方の面には軸方向に扇状に突出する伝達片192が形成されている。そして、小径部194における図示右方の面には軸方向に扇状に突出する伝達片195が形成されている。
この中間カラー19の大径部193は、伝達歯車18の回転案内凹部182によって回動可能に支持され、中間カラー19の伝達片192が伝達歯車18の伝達片183に対し同一の回動軌跡上に位置するようになっている。従って、図5(a)に示すように、伝達歯車18の伝達片183の回転が中間カラー19の伝達片192に対し遊び角θ1を持って回転伝達可能となっている。
伝達歯車20は、被動歯車31に噛み合うよう構成され、図示左方の2段状の各中心軸孔201,202と図示右方の中心軸孔203が連続的に形成されている。中心軸孔201は伝達歯車18における筒部185の外周壁を回動可能に支持し、中心軸孔202は中間カラー19の小径部194を回動可能に支持するようになっている。また、中心軸孔203はケース14から延びる当該円柱軸により伝達歯車18及び中間カラー19と同軸で回転可能に支持される。
また、伝達歯車20の中心軸孔202上には、中心軸孔203との境界位置で径方向に扇状に突出する伝達片204が形成されており、この伝達片204が中間カラー19の伝達片195に対し同一の回動軌跡上に位置するようになっている。従って、図5(b)に示すように、中間カラー19の伝達片195が伝達歯車20の伝達片204に対し遊び角θ2を持って回転伝達可能となっている。
つまり、遊び付き伝達歯車ユニット17は、伝達歯車18の回転について遊び角θ1とθ2の和でほぼ規定される遊び角θを持って伝達歯車20へと伝達され、θ>360度となる場合でも構成可能となっている。尚、遊び角θは、透光部8の上下幅と、巻取軸4a,4bの径と、各歯車の歯数によって決まる角度であり、第1及び第2スクリーン5a,5bにおける透光部8と遮光部9との重なり具合に関する調節範囲に依存している。そこで、必要とする遊び角θ<360度であれば、中間カラー19を、伝達歯車18か、又は伝達歯車20に一体化させた形態とすることも可能である。
このように形成される第1伝達経路TR1は、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作時に駆動歯車16の回転を遊び付き伝達歯車ユニット17を介して被動歯車31へ同方向に同一速度で回転伝達する経路であるが、調光操作時では、当該遊び角θ(即ち、空回り角度)により、駆動歯車16の回転が遊び付き伝達歯車ユニット17を介して被動歯車31へ伝達されないようになっている。
従って、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作時には、駆動歯車16の回転に基づいて巻取軸4bが回転され、駆動歯車16の回転に基づいて、遊び付き伝達歯車ユニット17により当該遊び角θ(即ち、空回り角度)を有して被動歯車31が回転すると、巻取軸4aが同一速度で同方向に回転するようになっている。
即ち、第1伝達経路TR1の観点からは、図2に示すように巻取軸4bを回転させる駆動歯車16が矢印A方向に回転するとき、図4(b)に示す遊び付き伝達歯車ユニット17にて伝達片183が伝達片192に当接し、更には伝達片195が伝達片204に当接するまでの角度範囲(遊び角θ)では、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達させないが、当該遊び角θを経ると駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達され、巻取軸4aが矢印A方向に回転するよう伝達される。
同様に、第1伝達経路TR1の観点からは、図2に示すように巻取軸4bを回転させる駆動歯車16が矢印B方向に回転するとき、図4(b)に示す遊び付き伝達歯車ユニット17にて伝達片183が伝達片192に当接し、更には伝達片195が伝達片204に当接するまでの角度範囲(遊び角θ)では、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達させないが、当該遊び角θを経ると駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達され、巻取軸4aが矢印B方向に回転するよう伝達される。
(第2伝達経路)
第2伝達経路TR2は、図6(a),(b),(c),(d)にそれぞれ示すように、駆動歯車16、伝達歯車21、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22、及び被動歯車31がそれぞれ噛合されて構成される。
図6(a)に示す被動歯車31、及び図6(d)に示す駆動歯車16は、それぞれ上述した図4(a)及び図4(d)を参照して説明したとおりである。
伝達歯車21は、図6(c)に示すように、平ギヤとして構成され、その中心軸孔211がケース14から延びる円柱軸により回転可能に支持されて、駆動歯車16と噛み合うようになっている。
そして、第2伝達経路TR2を構成するためのカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22は、図6(b)に示すように、一対の伝達歯車23,28の間にブレーキスプリング27等を有するカムクラッチ機構が設けられた構造を有している。尚、ブレーキスプリング27の各端部27a,27bは、それぞれ図3に示すケース14に設けられた係止部141,142にて係止される。
図7を参照して、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の構造について説明する。図7(a)に示すように、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22は、伝達歯車23、切替ドラム24、切替ボール25、切替ケース26、ブレーキスプリング27、及び伝達歯車28から構成される。本例では、この2つの伝達歯車23,28の各歯数は同数としており、図6(c)に示す伝達歯車21、並びに、図4(b)に示す伝達歯車18,20の各歯数に対しても同数としている。
伝達歯車23は、図6(c)に示す伝達歯車21に噛み合うよう構成され、その中心軸孔231がケース14から延びる円柱軸により回転可能に支持されている。また、伝達歯車23の図示右方の面には切替ギヤ232が突出しており、この切替ギヤ232の先端部に円凹部233が形成されている。
切替ドラム24は、略円筒状の外形を有し、その外周面には切替ボール25の略半球分の深さの切替溝部242が図7(b)に示す溝形状で形成され、この切替溝部242により切替ボール25を相対移動可能としている。また、切替ドラム24には、当該伝達歯車23を支持するためのケース14から延びる当該円柱軸を挿通し、且つ伝達歯車23の切替ギヤ232と常に噛合しながら、軸方向に相対移動可能(スライド可能)とするギヤ溝241が形成されている。ただし、ギヤ溝241は、図8及び図9を参照して後述するが、切替ドラム24の図示左方の面から軸方向に略中央位置程度の位置で形成されており、ギヤ溝241より図示右方ではより拡径した軸孔243が形成されている。
切替ケース26は、略筒状の外形を有し、その外周面263にはブレーキスプリング27が締め付けるように取着されている。そしてブレーキスプリング27の各端部27a,27bは、それぞれ図3に示すケース14に設けられた係止部141,142にて係止される。このため、切替ケース26は、ケース14に対して相対回転可能であるがブレーキスプリング27により所定の制動力が働いているため、このブレーキスプリング27による所定の制動力を超える回転力が切替ケース26に生じない限り、ケース14に対する切替ケース26の相対回転は阻止されるようになっている。
また、切替ケース26には、切替ドラム24の外周面を軸方向にスライド可能に支持する軸孔261が形成されている。また、この軸孔261上に切替ボール25の略半球分の深さの係止孔262が形成され、この係止孔262により切替ボール25を係止可能としている。
伝達歯車28は、図6(a)に示す被動歯車31に噛み合うよう構成され、その中心軸孔281がケース14から延びる当該円柱軸により伝達歯車23と同軸で回転可能に支持されている。また、伝達歯車28の図示左方の面には切替ギヤ282が突出しており、この切替ギヤ282の先端部に円凸部283が形成されている。伝達歯車28の円凸部283は、伝達歯車23の円凹部233と相対回転可能に係合して支持されるようになっている。伝達歯車23,28は、それぞれ円凹部233と円凸部283が形成されている点を除き、同一形状となっている。ただし、伝達歯車23,28は、いずれもケース14から延びる当該円柱軸により支持されるため、このような円凹部233と円凸部283を形成せずに完全に同一形状とすることもできる。
そして、切替ケース26の一側面(図示左方)にほぼ当接する位置で伝達歯車23の歯部を構成する面が位置して、切替ケース26の他側面(図示右方)にほぼ当接する位置で伝達歯車28の歯部を構成する面が位置するよう組み合わされる(後述する図8(b)又は図9(b)参照)。
ここで、図7(b)は、切替ドラム24の外表面の一周分の展開状態を示している。切替ドラム24の外表面には切替溝部242が形成され、切替溝部242は、大別して、切替角θ’を構成する調光用領域S2と、状態遷移領域を経て上昇用領域S1及び下降用領域S3が、〕状に連続して形成されている。
この切替角θ’は、切替ドラム24の外径にも依存するが、前述した第1伝達経路TR1における遊び角θの回転量に要する時間と、切替角θ’の回転量に要する時間とがほぼ一致するよう設定する。従って、切替角θ’についても、第1及び第2スクリーン5a,5bにおける透光部8と遮光部9との重なり具合に関する調節範囲に依存する。
即ち、切替ボール25が切替角θ’を構成する調光用領域S2上にあるとき、切替ケース26はブレーキスプリング27による制動力により非回転であり、切替ドラム24は切替ケース26内で伝達歯車28側へとスライドしている。すると、切替ドラム24のギヤ溝241が伝達歯車28の切替ギヤ282と噛み合い、伝達歯車23の回転が伝達歯車28へと伝達される。この間における第1伝達経路TR1では、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと非伝達となっている。これにより、図6(d)に示す駆動歯車16の回転が、図6(a)に示す被動歯車31へと逆方向に同一速度で回転伝達されて、巻取軸4a,4bを逆方向に同一速度で回転するようになり、第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻されて、第1及び第2スクリーン5a,5bの調光操作が可能となる。第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻されるため、ウェイトバー6及びボトムカバー7は上下動しない。尚、切替ボール25が切替角θ’を構成する調光用領域S2上にあるとき、第2スクリーン5bの巻き戻しを行うときも、第2スクリーン5bの巻き戻し量に応じて第1スクリーン5aが巻き取られるため、ウェイトバー6及びボトムカバー7は上下動しない。
一方、切替ボール25が上昇用領域S1(又は下降用領域S3)上になると、切替ドラム24は切替ケース26内で伝達歯車23側へとスライドし、切替ケース26はブレーキスプリング27による制動力に抗して回転する。すると、切替ドラム24のギヤ溝241が伝達歯車28の切替ギヤ282と噛み合わなくなり、伝達歯車23の回転が伝達歯車28に対し非伝達となる。これにより、図6(d)に示す駆動歯車16の回転が、被動歯車31へと回転伝達されず、この間における第1伝達経路TR1では、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと同方向に同一速度で回転伝達され、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作が可能となる。
より具体的に、第2伝達経路TR2を構成するためのカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22における調光操作時及び昇降動作時の動作に関して、それぞれ図8及び図9を参照して説明する。
〔調光操作時〕
図8(a)は、本発明に係る一実施例の操作装置10における調光操作時の動作例を示す側面図であり、図8(b)は、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22における調光操作時の概略動作とその拡大断面視を示す正面断面図である。
図8(a)に示すように、操作装置10のケース14内には、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作時に作動する第1伝達経路TR1と、第1及び第2スクリーン5a,5bの調光操作時に作動する第2伝達経路TR2が設けられている。
第1及び第2スクリーン5a,5bの調光操作の際には、第1伝達経路TR1では、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと非伝達となっている。
一方、第2伝達経路TR2では、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達される(図8(a)にて白抜き矢尻の矢印で示される回転伝達)。
このときのカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の動作を図8(b)に示している。切替ボール25は切替角θ’を構成する調光用領域S2上にあり、ブレーキスプリング27の各端部27a,27bは、それぞれケース14に設けられた係止部141,142にて係止されるため切替ケース26はブレーキスプリング27による制動力により非回転である。そして、切替ボール25は切替角θ’を構成する調光用領域S2上にあるとき、切替ドラム24は切替ケース26内で伝達歯車28側へとスライドする。
切替ドラム24において、ギヤ溝241は、図8(b)における拡大断面視で示すように、切替ドラム24の図示左方の面から軸方向に略中央位置程度の位置で形成されており、ギヤ溝241より図示右方ではより拡径した軸孔243が形成されている。
図8(b)に示す状態では、切替ドラム24のギヤ溝241が伝達歯車28の切替ギヤ282と噛み合い、伝達歯車23の回転が伝達歯車28へと伝達される。これにより、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと逆方向に同一速度で回転伝達されて、巻取軸4a,4bを逆方向に同一速度で回転するようになり、第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻されて、第1及び第2スクリーン5a,5bの調光操作が可能となる。第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻されるため、ウェイトバー6及びボトムカバー7は上下動しない。
〔昇降操作(上昇操作時)〕
図9(a)は、本発明に係る一実施例の操作装置10における上昇操作時の動作例を示す側面図であり、図9(b)は、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22における上昇操作時の概略動作とその拡大断面視を示す正面断面図である。
図9(a)に示すように、操作装置10のケース14内には、第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作時に作動する第1伝達経路TR1と、第1及び第2スクリーン5a,5bの調光操作時に作動する第2伝達経路TR2が設けられている。
第1及び第2スクリーン5a,5bの昇降操作(上昇操作)の際には、第1伝達経路TR1では、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達される(図9(a)にて白抜き矢尻の矢印で示される回転伝達)。
一方、第2伝達経路TR2では、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと非伝達となっている。
このときのカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の動作を図9(b)に示している。切替ボール25は上昇用領域S1上にあるとき、切替ドラム24は切替ケース26内で伝達歯車23側へとスライドし、切替ケース26はブレーキスプリング27による制動力に抗して回転する。
切替ドラム24において、ギヤ溝241は、図9(b)における拡大断面視で示すように、切替ドラム24の図示左方の面から軸方向に略中央位置程度の位置で形成されており、ギヤ溝241より図示右方ではより拡径した軸孔243が形成されている。
図9(b)に示す状態では、切替ドラム24のギヤ溝241が伝達歯車28の切替ギヤ282と噛み合わなくなり、伝達歯車23の回転が伝達歯車28に対し非伝達となる。これにより、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達されない。
一方、この間における第1伝達経路TR1では、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと同方向に同一速度で回転伝達されるため、第1及び第2スクリーン5a,5bの上昇操作が可能となる。
尚、切替ボール25は下降用領域S3上にある場合もほぼ同様な動作で、切替ドラム24のギヤ溝241が伝達歯車28の切替ギヤ282と噛み合わなくなり、伝達歯車23の回転が伝達歯車28に対し非伝達となる。これにより、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと回転伝達されず、第1伝達経路TR1では、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により、駆動歯車16の回転が被動歯車31へと同方向に同一速度で回転伝達されるため、第1及び第2スクリーン5a,5bの下降操作が可能となる。
このような動作により、第1及び第2スクリーン5a,5bを一括して昇降操作した後に、ボールチェーン11を逆方向に操作して、駆動歯車16を逆方向に回転させたとき、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用により被動歯車31へと回転伝達されるまでは、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の作用により巻取軸4aが巻取軸4bとは逆方向に回転されて調光操作が可能となる。このため、この巻取軸4aが巻取軸4bとは逆方向に回転されることによる調光操作により、第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻され、或いは第2スクリーン5bの巻き戻し量に応じて第1スクリーン5aが巻き取られるため、ウェイトバー6及びボトムカバー7は上下動しない。
例えば、図10(a)に示すように高さhの位置にあるボトムカバー7にて、第1及び第2スクリーン5a,5bにおける透光部8と遮光部9とが前後方向で重なる状態にあるとする。この状態で、図10(b)に示すように調光操作を行うと、遊び付き伝達歯車ユニット17の作用による駆動歯車16から被動歯車31への回転伝達は為されず、カムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の作用による駆動歯車16から被動歯車31への回転伝達が為され、巻取軸4aが巻取軸4bとは逆方向に回転された調光操作が可能となる。この巻取軸4aが巻取軸4bとは逆方向に回転されることによる調光操作により、第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻されるため、ボトムカバー7は高さhの位置からほとんど上下動しない。
ボールチェーン11の操作で、この図10(b)に示す調光操作から連続して上昇操作へと移行すると、図10(c)に示すように、第1及び第2スクリーン5a,5bにおける各透光部8(或いは各遮光部9)が前後方向でほぼ一致する状態でボトムカバー7は高さhの位置から上昇する。尚、調光操作から連続して下降操作へと移行するときも同様に動作するが、下降操作のときは、例えば図10(a)に示すように、ボトムカバー7の下限位置まで、第1及び第2スクリーン5a,5bにおける透光部8と遮光部9とが前後方向で重なる状態を維持して下降する。
このように構成した本実施形態のロールスクリーンは、ウェイトバー6及びボトムカバー7を上下動させることなく採光量の調節動作を行うことができる。
そして、本実施形態のロールスクリーンにおける調光動作は、ウェイトバー6及びボトムカバー7が下限位置であるか否かに関わらず同様に動作するため、ウェイトバー6及びボトムカバー7の任意位置での調光機能、或いは通気調整機能を持たせたロールスクリーンを実現できる。
特に、ボトムカバー7が下限位置にあるときに、採光量を調節可能な態様でボトムカバー7の下方からの光漏れを防止することや、通気量を調節可能な態様でボトムカバー7の下方からの気密性を高めることができる。
また、ウェイトバー6に対してボトムカバー7を相対移動可能とする構成よりも、ウェイトバー6及びボトムカバー7の小型化にも寄与することとなる。
特に、本実施形態では、前後二重の第1及び第2スクリーン5a,5bをより近接、或いは密着させる構成で、ウェイトバー6及びボトムカバー7を上下動させることなく採光量の調節動作を行うことができるため、第1及び第2スクリーン5a,5bにおける透光部8と遮光部9とが前後方向で重なる状態としたときに、その遮光性能をより高めることができる。
〔第2実施形態〕
次に、図11を参照して、第2実施形態のロールスクリーンについて説明する。尚、上述した第1実施形態のロールスクリーンと同様な構成要素には同一の参照番号を付している。第1及び第2スクリーン5a,5bにおける透光部8と遮光部9とが前後方向で重なる状態としたときに、その遮光性能を高めるよりも、前後二重の第1及び第2スクリーン5a,5b間に積極的に空気層を設けており、断熱作用を働かせるようにしている。ただし、透光部8と遮光部9は、断熱作用を働かせるために、いずれも低通気性とするのが望ましい。
即ち、図11(a)に示すように、本実施形態では、巻取軸4aではその室外側から第1スクリーン5aを支持し、巻取軸4bではその室内側から第2スクリーン5bを支持する構成とし、第1及び第2スクリーン5a,5bをそれぞれほぼ鉛直方方向へ垂下するようにしている。
ただし、本実施形態では、昇降操作時において、巻取軸4a,4bが逆方向に同一速度で回転可能に構成される。このため、例えば図11(b)に示すように、操作装置10のケース14内にて、図3に示す構造を有する操作装置10と比して、遊び付き伝達歯車ユニット17とカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の配置を互いに入れ替えたものとしている。
従って、本実施形態における昇降操作時では、駆動歯車16の回転に基づいて巻取軸4bが回転され、駆動歯車16の回転に基づいて、第1伝達経路TR1による遊び付き伝達歯車ユニット17を介して被動歯車31が回転すると、巻取軸4aが同一速度で逆方向に回転するようになっている。
一方、調光操作時では、駆動歯車16の回転に基づいて巻取軸4bが回転され、駆動歯車16の回転に基づいて、第2伝達経路TR2によるカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22を介して被動歯車31が回転すると、巻取軸4aが同一速度で同方向に回転するようになっている。
尚、第2実施形態では、第1実施形態と比較して、巻取軸4a,4bの回転方向に関する相対関係が反転しているのみであり、調光操作により、第2スクリーン5bの巻き取り量に応じて第1スクリーン5aが巻き戻され、或いは第2スクリーン5bの巻き戻し量に応じて第1スクリーン5aが巻き取られる点で同様である。このため、本実施形態においても、ウェイトバー6及びボトムカバー7をほとんど上下動させることなく、調光操作が可能である。
尚、図11にて例示する実施形態では、その基本構造の理解を高めるために、巻取軸4a,4bによりそれぞれ第1及び第2スクリーン5a,5bをほぼ鉛直方方向へ垂下して構成する例を説明している。
しかしながら、実用上では、巻取軸4bの下方で前後二重の第1及び第2スクリーン5a,5bをより近接させるよう、支持ブラケット3の下方に開口部を有する部材を設け、この開口部で前後二重の第1及び第2スクリーン5a,5bの垂下を案内するように構成する。更に、ボトムカバー7の構造は図2に示すように構成して、第1及び第2スクリーン5a,5bを上方へ案内するよう構成するのが好適である。
従って、前後二重の第1及び第2スクリーン5a,5b間に積極的に空気層を設ける際に、その第1及び第2スクリーン5a,5b間の距離は、随意、設定することができる。
図11に示す実施形態においては、前後二重の第1及び第2スクリーン5a,5b間に積極的に空気層を設けていることから、その遮光性能を高めるよりむしろ断熱作用を働かせるようにしているが、その他については上述した第1実施形態にて例示した利点を包含する。
(スクリーンの変形例)
上述した実施形態の例では、第1及び第2スクリーン5a,5bが、光を透過する透光部8と、光を遮光する遮光部9が等間隔で上下方向に縞状に形成されている例を説明したが、これに限定する必要はない。
例えば、図1に示すロールスクリーンにおける第1及び第2スクリーン5a,5bの変形例として、図12(a)に例示するように、第1及び第2スクリーン5a,5bが、ウェイトバー6が下限位置にあるときに第1及び第2スクリーン5a,5bの上下端部の所定領域のみ透光部8とし、その他の領域が遮光部9となるようにして採光量を調節可能とするロールスクリーンとすることができる。
また、図12(b)に例示するように、透光部8と遮光部9を市松状(或いは千鳥状)とした第1及び第2スクリーン5a,5bとすることができる。
また、図12(c)に例示するように、透光部8と遮光部9を斜平行に縞状とした第1及び第2スクリーン5a,5bとすることができる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、巻取軸4a,4bの回転操作のためにボールチェーンによる操作を例に説明したが、紐状の操作コードよる回転操作としてもよい。
また、上述した各実施形態の例では、第1伝達経路TR1における遊び角θの回転量に要する時間と、切替角θ’の回転量に要する時間とがほぼ一致するよう設定するとして説明したが、厳格さが要求されるものではない。但し、第1伝達経路TR1及び第2伝達経路TR2の切り替え伝達をよりスムーズにするために、遊び角θの回転量≧切替角θ’の回転量であることが好ましい。
また、上述した各実施形態の例では、第1伝達経路TR1と第2伝達経路TR2が操作装置10内で前後方向に分離して形成されている例を説明したが、操作装置10内で左右方向(巻取軸4a,4bの回転軸方向)に分離して形成するよう構成することも可能である。
更に、上述した各実施形態の例では、第1伝達経路TR1を構成するための遊び付き伝達歯車ユニット17と、第2伝達経路TR2を構成するためのカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22とを分離した部材として説明したが、第1伝達経路TR1と第2伝達経路TR2を一体的な切替機構として構成することもできる。例えば、1つの伝達経路となるように、遊び付き伝達歯車ユニット17の機能とカムクラッチ付き伝達歯車ユニット22の機能とを切り替える機構を設けることで実現される。