JP6780795B2 - ポリアミド微粒子 - Google Patents

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Description

本発明は、表面が平滑で真球中実な生分解性を有するポリアミド微粒子に関する。
ポリアミド微粒子は、高靭性、柔軟性や高い耐熱性といった特徴を活かし、粉体塗料や粉末造形など各種用途に使用されており、中でも真球形状で内部に孔の存在しない中実かつ平滑表面なポリアミド微粒子は化粧品に使用されている。一方で、自然環境の負荷を低減できる観点から、生分解性を有するポリアミド微粒子が望まれており、多孔質形状の粒子は開示されているが、用途によっては、真球形状の粒子が望まれていた(特許文献1)。
特開2016−186068号公報
本発明では、表面が平滑で真球中実な生分解性を有するポリアミド微粒子を得ることを課題とする。
上記課題を解決するために本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、次の構成を有する。すなわち、
ポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)をポリマー(B)の存在下、重合しポリアミド微粒子を製造する方法であって、重合開始時にポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)とポリマー(B)が均一に溶解しており、重合後にポリアミド4またはポリアミド3の微粒子が析出する際、単量体(A)とポリマー(B)の溶解度パラメーター差の二乗が0〜25、かつポリアミドとポリマー(B)の溶解度パラメーター差の二乗が0〜20の範囲であるポリアミド微粒子の製造方法、である。
また、本発明のポリアミド微粒子は、次の構成を有する。すなわち、
ポリアミドがポリアミド4またはポリアミド3であり、数平均粒子径が0.1〜300μm、粒子径分布指数が3.0以下、真球度が90以上、アマニ油吸油量が100mL/100g以下であるポリアミド微粒子、である。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、得られるポリアミドの結晶化温度以上の温度で重合するのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、ポリアミドとポリマー(B)の溶解度パラメーター差の二乗が0〜16の範囲であるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、得られるポリアミドの結晶化温度未満の温度で重合するのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、ポリアミドとポリマー(B)の溶解度パラメーター差の二乗が0〜16の範囲であるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、単量体(A)とポリマー(B)の溶解度パラメーター差の二乗が0.3〜25、かつポリアミドとポリマー(B)の溶解度パラメーター差の二乗が0.3〜20の範囲であるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、ポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)の開始剤を用いるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、更にポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)とポリマー(B)の溶媒(C)の存在下でポリアミド4またはポリアミド3の微粒子を製造するのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、溶媒(C)が水であるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、ポリマー(B)が、極性基を有しない、または水酸基および水硫基から選ばれるいずれかを有するものであるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、ポリマー(B)が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、およびこれらのアルキルエーテル体からなる群より選ばれる1以上であるのが好ましい。
本発明のポリアミド微粒子の製造方法は、ポリマー(B)の重量平均分子量が、500〜500,000であるのが好ましい。
本発明の表面が平滑で真球中実な生分解性を有するポリアミド微粒子は、良好な滑り性を示し、塗料、接着剤、インク、トナー光拡散剤、液晶用スペーサー、艶消し剤、ポリマーアロイ用添加剤、各種触媒の担体、クロマトグラフィー担体、自動車部品、航空機部品、電子部品、化粧品の添加剤および医療用担体などに好適に利用できる。更に高い生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。
実施例1により得られたポリアミド微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例7により得られたポリアミド微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明の生分解性を有するポリアミドとは、ポリアミド4またはポリアミド3である。高い耐熱性を有する点からポリアミド4が好ましい。また、これらは本発明の範囲を損なわなければ、他の共重合体を含んでいても良い。
本発明の生分解性を有するポリアミド微粒子の数平均粒子径は、0.1〜300μmの範囲である。数平均粒子径が300μmを超えると、粒子から作製した塗膜表面が不均質になる。ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましく、30μm以下が特に好ましい。数平均粒子径が0.1μm未満であると、粒子同士の凝集が発生する。ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、0.3μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましく、2μm以上が特に好ましく、3μm以上が最も好ましい。
本発明におけるポリアミド微粒子の粒子径分布を示す粒子径分布指数は、3.0以下である。粒子径分布指数が3.0を超えると、塗料や化粧品用途において流動性に劣り、塗膜表面の均質性が損なわれる。粒子径分布指数は2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましく、1.2以下が特に好ましい。また、その下限値は、理論上1である。
なお、ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子直径を特定し、その算術平均を求めることにより算出することが出来る。上記写真において、真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とする。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも1,000倍以上、好ましくは、5,000倍以上の倍率で測定する。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき、決定される。
なお、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
本発明のポリアミド微粒子は、真球中実な形状に加えて表面が平滑な形態であるため、化粧品や塗料に良好な滑り性や流動性を付与することが可能である。
ポリアミド微粒子の真球性を示す真球度は、90以上である。真球度が90に満たない場合には、化粧品や塗料の用途において、より滑らかな感触を与えることができない。真球度は、好ましくは92以上、より好ましくは95以上、さらに好ましくは97以上、特に好ましくは98以上である。またその上限値は、100である。
なお、ポリアミド微粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、その短径と長径から下記数式に従い、決定される。
なお、S:真球度、a:長径、b:短径、n:測定数30とする。
ポリアミド微粒子の中実性と表面の平滑性とは、ポリアミド微粒子がアマニ油を吸収する量で表すことが可能である。即ち、表面が平滑であるほど表面に孔の存在しない微粒子となり、アマニ油の吸収量を示すアマニ油吸油量が少なくなる。また、中実であるほど、例えば中空粒子のように、内部にアマニ油を担持できなくなるため、吸油量が少なくなる。本発明のポリアミド微粒子のアマニ油吸油量は、100mL/100g以下である。ポリアミド微粒子のアマニ油吸油量が100mL/100gを超えると、中空や多孔質粒子となり、化粧品や塗料に良好な流動性を与えることができない。ポリアミド微粒子のアマニ油吸油量は90mL/100g以下が好ましく、80mL/100g以下がより好ましく、70mL/100g以下がさらに好ましく、60mL/100g以下が特に好ましい。アマニ油吸油量の下限は0mL/100g以上である。
なお、アマニ油吸油量は、日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101(2004)「顔料試験方法 精製あまに油法」に準じて測定される。
また表面の平滑性は、ガス吸着によるBET比表面積によっても表すことが可能であり、表面が平滑であるほど、BET比表面積は小さくなる。具体的には、10m/g以下であることが好ましく、より好ましくは5m/g以下であり、さらに好ましくは3m/g以下であり、特に好ましくは1m/g以下であり、最も好ましくは0.5m/g以下である。
なおBET比表面積は、日本工業規格(JIS規格)JIS R 1626(1996)「気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準じて測定される。
更に粒子の中実性は、BET比表面積と数平均粒子径から算出される理論表面積の比を示す下記の式によって評価することもできる。即ち、上記の比が1に近いほど、粒子の最表面のみで吸着が起こり、表面平滑で中実な粒子であることを示し、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、2以下が最も好ましい。
なお、R:表面積の比、Di:粒子個々の粒子径、α:ポリアミドの密度、A:BET比表面積を示す。
生分解性とは、土壌や海中の微生物によって分解されることを示す。具体的には、JIS K 6955(2006)に従い、試験から2か月後に10%以上分解していることを示す。生分解性が高すぎると、製品として使用している期間が短くなるため、生分解性の下限としては、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上であり、生分解性の上限としては、100%以下が好ましく、90%以下がより好ましく、70%以下がさらに好ましい。
本発明の生分解性を有するポリアミド微粒子は、以下の製造方法によって調製できる。即ち、ポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)をポリマー(B)の存在下、単量体(A)を重合しポリアミド微粒子を製造する方法であって、重合開始時にポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)とポリマー(B)が均一に溶解しており、重合後にポリアミド微粒子が析出することで、従来の方法では困難であった、結晶化温度が高く融点が高いポリアミド4またはポリアミド3についても、真球、表面平滑、微細かつ粒度分布が狭いポリアミド微粒子が得られることを特徴とする。
重合開始時のポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)がポリマー(B)に均一に溶解しているかどうかは、反応槽が透明溶液であることを目視で確認すれば良い。重合開始時に懸濁液または2相に分離した状態であるとポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)が非相溶であることを示し、凝集物の生成や強撹拌等が必要になる。この場合、更に溶媒(C)を使用してポリアミドの単量体(A)とポリマー(B)を均一化した後に、重合を開始しても構わない。重合後にポリアミド微粒子が析出しているかどうかは、反応槽が懸濁液であることを目視で確認すれば良い。重合終了時点で均一溶液であると、ポリアミドとポリマー(B)が均一に相溶していることを示し、冷却すること等によって凝集物や多孔質の微粒子となる。
本発明のポリアミド4またはポリアミド3微粒子は、公知の重合方法を用いて製造することができる。すなわち、ポリアミド4またはポリアミド3の単量体(A)である4−アミノ酪酸や3−アミノプロピオン酸などのアミノ酸の重縮合反応や、ブタン2酸やプロパン2酸などのジカルボン酸とブタン−1,4−ジアミンやプロパン−1,3−ジアミンなどのジアミンとの重縮合反応、2−ピロリドンや2−アゼチジノンなどのラクタム類の開環重合などが用いられる。開環重合は、水による加水分解による開環重合とナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属、や水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムピロリドン、カリウムピロリドンなどのアルカリ金属の水酸化物、水素化物、塩、ブチルリチウム、ブチルマグネシウムなどの有機金属化合物の開始剤によるアニオン開環重合などによって製造される。アニオン開環重合の場合は、更に重合促進剤を加えることが収率の改善などの点から好ましく、公知の物を使用することが可能であり、例示するならば、N−アシル−カプロラクタム、N−アシル−ピロリドン、N−アシル−アゼジノンなどが挙げられる。真球で表面平滑なポリアミド微粒子が容易に得られるポリアミドの結晶化温度以上で架橋反応や着色などを抑制し重合が行える点から、単量体(A)にアミノ酸やジアミンやジカルボン酸を用いて重縮合反応を行うことが好ましい。一方で、単量体(A)がラクタムの場合は、理由は不明であるが、開始剤の効果で特に重合初期の結晶性が変化するためか、得られるポリアミドの結晶化温度未満で重合を行っても、真球中実、表面平滑なポリアミド微粒子が析出する。また得られるポリアミドの耐熱性が高い点から、単量体(A)はポリアミド4の単量体が好ましい。単量体(A)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の単量体を共重合させても構わなく、例示するなら3−アミノプロピオン酸や2−アミノプロピオン酸、アラニン、グリシン、バリンなどのアミノ酸などが、ポリアミド4を化粧品とした際に保湿性を付与できるため好ましい。またシリコーンやポリアルキレングリコール類などの柔軟な成分であれば、感触を調整できるため好ましい。
ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの重量平均分子量の範囲は、8,000〜3,000,000が好ましい。ポリマー(B)との相分離を誘起させる観点から、重量平均分子量は、10,000以上がより好ましく、さらに好ましくは15,000以上であり、特に好ましくは20,000以上である。本発明では、重合中の粘度がポリマー(B)に依存するため、ポリアミドの分子量増加による粘度上昇が抑制される。従って、ポリアミドの重合時間を延長し分子量を極めて高くできる利点がある。しかし重合時間が長すぎると、架橋物などポリアミドの副反応物やポリマー(B)の劣化などが発生するため、ポリアミドの重量平均分子量は2,000,000以下がより好ましく、1,000,000以下がさらに好ましい。
なおポリアミド微粒子を構成するポリアミドの重量平均分子量とは、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒にゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリメチルメタクリレートで換算した重量平均分子量をいう。
本発明におけるポリマー(B)とは、重合開始時点でポリアミドの単量体(A)に溶解するが、重合後にポリアミドとは相溶しないポリマーを示す。溶解とは、重合を開始する温度や圧力の条件下でポリマー(B)と単量体(A)が均一に溶解しているかどうかで判断する。ポリマー(B)とポリアミドとの非相溶は、重合後における温度や圧力の条件下で懸濁液または2相に分離しているかどうかで判断する。均一溶液や懸濁液、2相分離であるか否かの判断は、反応槽を目視で確認することで可能である。
さらに詳しく述べると、ポリマー(B)はポリアミドの単量体と非反応性であることが、均一な溶液からポリアミド微粒子を析出させる観点から好ましい。具体的には、ポリマー(B)がポリアミドのアミド基を形成するカルボキシル基やアミノ基と反応する極性基を有していない、またはカルボキシル基やアミノ基との反応性が低い極性基を有しているものであることが好ましい。カルボキシル基やアミノ基と反応する極性基としては、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。カルボキシル基やアミノ基との反応性の低い極性基としては、水酸基、水硫基などが挙げられるが、これらは架橋反応を抑制する観点から、ポリマー(B)中の極性基が4個以下であることが好ましく、3個以下がより好ましく、2個以下が最も好ましい。
またポリマー(B)は、生成するポリアミド微粒子を真球中実で表面平滑かつ微細にする観点、および単量体(A)への溶解性が高く、かつ粒度分布を狭くする観点から、ポリアミドと非相溶であると同時に親和性が高いほうが好ましい。換言すると単量体(A)/ポリマー(B)間やポリマー(B)/ポリアミド間の親和性は、各々の溶解度パラメーター(以下SP値と称する)をδ、δ、δPA(J1/2/cm3/2)とした際に、単量体(A)とポリマー(B)間は、その溶解度パラメーター差の二乗、即ち(δ−δ、ポリマー(B)とポリアミド間は、その溶解度パラメーター差の二乗、即ち(δPA−δで表すことが可能である。ゼロに近いほど親和性が高く、溶解や相溶し易くなるが、単量体(A)とポリアミドのδとδPAは異なるため、ポリアミドが凝集物となりにくく、ポリマー(B)が単量体(A)に溶解せず凝集物が生成するのを防ぐ観点から、(δ−δは0〜25の範囲を満たすことが好ましい。(δ−δの下限は0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、1以上が特に好ましい。(δ−δの上限は、16以下がより好ましく、12以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましく、7以下が最も好ましい。一方で、ポリマー(B)が均一に相溶してポリアミド微粒子が得られないことを防ぐ一方、非相溶となってポリアミドが不定形状で多孔質の粒子や凝集物となることを防ぐ観点から、(δPA−δは0〜20の範囲を満たすことが好ましい。(δPA−δの下限は0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましく、1以上が特に好ましい。(δPA−δの上限は、16以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、7以下が特に好ましく、4以下が最も好ましい。
なおSP値は、Properties of Polymers 4th Edition(D.W. Van Krevelen著、Elsevier Science社2009年発行)、Chapter7、P215記載のHoftyzer−Van Krevelenの凝集エネルギー密度とモル分子容から算出した値を示す。本方法で計算できない場合は、同章P195記載のFedorsの凝集エネルギー密度とモル分子容から算出した値を示す。また単量体(A)やポリマー(B)を2種以上使用する場合は、各々のSP値とモル分率の積を加算した値を示す。
このようなポリマー(B)の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール共重合とこれらの片末端、または両末端の水酸基をメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などで封鎖したアルキルエーテル体、オクチルフェニル基などで封鎖したアルキルフェニルエーテル体などが挙げられる。特に、ポリアミド単量体(A)との相溶性に優れ、得られるポリアミド微粒子の粒度分布が狭く真球中実で表面平滑になることから、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらのアルキルエーテル体からなる群より選ばれる1以上であることが好ましい。更にポリアミド単量体(A)を加水分解による開環重合や縮合重合を用い重合する場合は、加水分解に用いる水や溶媒として用いる水との相溶性にも優れ、結晶化温度以上の重合温度耐性を有する観点から、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体がさらに好ましく、ポリエチレングリコールが最も好ましい。単量体(A)をアニオン開環重合で重合する場合には、重合温度でポリマー(B)を溶液として扱える観点から、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコールが好ましく、ポリプロピレングリコールが最も好ましい。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で2種以上を同時に使用しても構わない。
更にポリマー(B)の分子量は、単量体(A)/ポリマー(B)間やポリマー(B)/ポリアミド間の親和性に影響するため、真球中実で表面平滑な粒子を得るには、高分子量であることが重要である。得られるポリアミド微粒子の粒子径、粒度分布を狭くできる一方、均一溶液の粘度が高くなり過ぎてポリアミドの重合反応速度が極端に遅くなることを防ぐ観点から、ポリマー(B)の重量平均分子量の好ましい上限は500,000であり、100,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましい。ポリマー(B)とポリアミドの相溶性が向上し過ぎすることによって、真球中実で表面平滑なポリアミド微粒子が形成され難くなることを防ぐ観点から、ポリマー(B)の重量平均分子量は、500以上が好ましく、1,000以上がより好ましく、2,000以上がさらに好ましい。
なお、ポリマー(B)の重量平均分子量とは、水を溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を示す。ポリマー(B)が水に溶解しない場合は、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリスチレンで換算した重量平均分子量を示す。
これら単量体(A)とポリマー(B)を混合し均一溶液を得た後に、単量体(A)を重合することでポリアミド微粒子を製造する。この際、均一な混合溶液中で単量体(A)がポリアミドに変換するに従いポリアミド微粒子が結晶化することなく均質に誘起されるため、重合後に真球、表面平滑、微細かつ粒度分布の狭いポリアミド微粒子が析出すると考えられる。
重合速度が適度で、重合と共に誘発される相分離が発生して粒子形成が円滑に起こる一方、粒子形成が重合の早期から発生するために凝集物等が多量に生成することを防ぐ観点から、重合を行う際の単量体(A)とポリマー(B)の配合時の質量比は、5/95〜80/20の範囲であることが好ましい。単量体(A)/ポリマー(B)の質量比下限は、10/90がより好ましく、20/80がさらに好ましく、30/70が特に好ましい。一方、単量体(A)/ポリマー(B)の質量比上限としては、70/30がより好ましく、60/40がさらに好ましく、50/50が特に好ましい。
ポリアミド4やポリアミド3の単量体(A)をポリアミドに重合する方法としては、公知の方法を使用することができる。
この際、単量体(A)がアミノ酸、ジカルボン酸とジアミン、またはそれらの塩の場合、重合方法として重縮合反応を使用できる。一方、これらの単量体(A)の場合、ポリマー(B)と均一に溶解しない組み合わせが存在する。そのような単量体(A)とポリマー(B)においては、更に単量体(A)とポリマー(B)の溶媒(C)を追加することで、ポリアミド微粒子を製造することが可能となる。
溶媒(C)は、単量体(A)とポリマー(B)を均一に溶解できれば特に限定されないが、単量体(A)とポリマー(B)を溶解し、且つ重縮合反応を進行させるために系外に排出する必要のある縮合水と同一である点から水が最も好ましい。
具体的には、単量体(A)に3−アミノ酪酸などのアミノ酸、または単量体(A)にブタン2酸とブタン−1,4−ジアミンなどのジカルボン酸とジアミンを使用する場合、ポリマー(B)としてポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、およびこれらのアルキルエーテル体、溶媒(C)として水を加えることで、重合を開始する温度で均一な溶液が形成される。その後、溶媒(C)の水と重縮合の進行によって発生する縮合水を反応槽外に排出することで、重合が進行しながらポリアミド微粒子を製造することが可能となる。この場合、アミノ酸、またはジカルボン酸とジアミンとポリマー(B)の総量を100質量部とすると、溶媒(C)として使用する水の量は10〜200質量部であることが好ましい。粒子径が粗大化するのを防ぐ観点から、水の使用量は150質量部以下がより好ましく、120質量部以下がさらに好ましい。一方、溶媒として機能するのを担保する観点から、水の使用量は20質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましい。
ラクタム類とアミノ酸および/またはジカルボン酸やジアミンを2種以上混合して使用しても構わないが、この場合は水が、加水分解による開環重合や溶媒(C)として機能する。
これら重縮合反応の重合温度は、ポリアミドの重合が進行する範囲であれば特に制限が無いが、高い結晶化温度のポリアミドを真球かつ表面平滑な形状に制御できる観点から、重合温度を、得られるポリアミドの結晶化温度以上の温度とすることが好ましい。しかしながら、ポリアミド4は、融点と分解温度が近いため、結晶化温度が不明瞭である。そこで、得られるポリアミドの融点−100℃以上での重合が好ましく、−60℃以上での重合がより好ましく、得られるポリアミドの融点−40℃以上で重合するのがさらに好ましく、融点−20℃以上で重合するのが特に好ましく、融点と同温度で重合するのが最も好ましい。ポリマー(B)の劣化や分解を防ぐ観点から、重合温度は得られるポリアミドの融点+100℃以下が好ましく、+80℃以下がより好ましく、+50℃以下がさらに好ましく、+30℃以下が特に好ましい。
なお、ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの結晶化温度とは、DSC法を用いて、窒素雰囲気下、30℃からポリアミドの融点を示す吸熱ピークまで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却させる際に出現する発熱ピークの頂点を示す。また一旦冷却後、さらに20℃/分で昇温した際の吸熱ピークの頂点をポリアミド微粒子の融点とする。
単量体(A)が2−ピロリドンや2−アゼチジノンなどのラクタム類の場合、開始剤と重合促進剤を用いてアニオン開環重合を行うことが可能である。
アニオン開環重合を行う際における開始剤の使用量に関しては、本発明の効果を損なわない範囲であれば制限は無く、通常、ラクタム類100質量部に対して、0.1〜2質量部とするのが好ましく、重合促進剤は、ラクタム類100質量部に対して、0.1〜2質量部とするのが好ましい。
アニオン開環重合を行う際の重合温度としては、ポリアミドの重合が進行する範囲であれば特に制限が無いが、温度が高い方が真球中実で表面平滑になることから、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。アニオン開環重合を行う際の重合温度が、得られるポリアミドの融点と同温度になるなど高すぎる場合は、ラクタムや得られるポリアミドの開始剤に起因する分解を有効に防止する観点から、アニオン開環重合を行う際の好ましい重合温度は、得られるポリアミドの結晶化温度未満、より好ましくは210℃以下、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは100℃以下である。
重合時間としては、得ようとするポリアミド微粒子の分子量に応じて適宜調整可能であるが、重合が進行してポリアミド微粒子を得ることを担保する一方、3次元架橋物などのポリアミドの副反応や着色やポリマー(B)の劣化など進行を防ぐ観点から、通常0.1〜70時間の範囲であることが好ましい。重合時間の下限としては、0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。重合時間の上限としては、50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
本発明の効果を損なわない範囲で、重合促進剤を加えても構わない。促進剤としては、公知のものが使用でき、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物が挙げられる。これらは、2種類以上を使用しても構わない。添加量としては適宜選択できるが、単量体(A)100質量部に対して1質量部以下添加することが好ましい。
また他の添加剤を加えることも可能であり、例えばポリアミド微粒子の粒径制御のための界面活性剤、分散剤、ポリアミド微粒子の特性を改質するためや使用するポリマー(B)の安定性を向上するための酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。これらは2種以上を使用しても構わない。また単量体(A)やポリアミドを改質する目的と、ポリマー(B)を改質する目的で異なる物を2種以上使用しても構わない。添加量としては適宜選択できるが、単量体(A)とポリマー(B)の合計100質量部に対して1質量部以下添加することが好ましい。
本発明では、均一溶液からポリアミド微粒子が均質に誘起されるため、撹拌を実施しなくても微細な微粒子を製造できるが、より粒径の制御や粒度分布を均一にするため撹拌を行っても構わない。撹拌装置としては、撹拌翼や溶融混練機、ホモジナイザーなど公知の装置を使用することが可能であり、例えば撹拌翼の場合、プロペラ、パドル、フラット、タービン、コーン、アンカー、スクリュー、ヘリカル型などが挙げられる。撹拌速度は、ポリマー(B)の種類、分子量によるが、大型装置でも熱を均質に伝える一方、壁面へ液が付着して配合比などが変化することを防ぐ観点から、0〜2,000rpmの範囲であることが好ましい。撹拌速度の下限としては、より好ましくは10rpm以上、さらに好ましくは30rpm以上、特に好ましくは50rpm以上であり、撹拌速度の上限としては、1,600rpm以下がより好ましく、1,200rpm以下がさらに好ましく、800rpm以下が特に好ましい。
重合終了後のポリアミド微粒子とポリマー(B)の混合物からポリアミド微粒子を単離するには、重合終了時点の混合物をポリアミド微粒子の貧溶媒中に吐出した後に単離する方法、または反応槽中にポリアミド微粒子の貧溶媒を加えた後に単離する方法などが挙げられる。ポリアミド微粒子同士が溶融し、合着して粒子径分布が広くなることを防ぐ観点から、ポリアミド微粒子の融点以下、より好ましくは結晶化温度以下にまで冷却した後に、混合物をポリアミド微粒子の貧溶媒中に吐出し単離する方法、または反応槽にポリアミド微粒子の貧溶媒を加え単離する方法などが好ましく、反応槽にポリアミド微粒子の貧溶媒を加え単離する方法がより好ましい。単離方法としては、減圧や加圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、スプレードライなど公知の方法を適宜選択できる。
ポリアミド微粒子の貧溶媒としては、ポリアミドを溶解せず、さらには単量体(A)やポリマー(B)を溶解する溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては適宜選択できるが、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類や水が好ましい。
ポリアミド微粒子の洗浄、単離、乾燥は公知の方法で実施することが可能である。ポリアミド微粒子への付着物や内包物を除去するための洗浄方法としては、リスラリー洗浄などを使用することができ、適宜加温しても構わない。洗浄で使用する溶媒としては、ポリアミド微粒子を溶解せず、単量体(A)やポリマー(B)を溶解する溶媒であれば制限はなく、経済性の観点からメタノール、エタノール、イソプロパノールや水が好ましく、水が最も好ましい。単離は、減圧や加圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、スプレードライなど適宜選択できる。乾燥は、ポリアミド微粒子の融点以下で実施するのが好ましく、減圧しても構わない。風乾、熱風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥や凍結乾燥などが選択される。
上記の方法によってポリアミド微粒子が製造されるが、特に本発明では、これまで困難であった結晶化温度の高いポリアミド微粒子を真球中実で表面平滑な形状で製造することが可能である。
以下本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)平均粒子径および粒子径分布指数
ポリアミド微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子直径を特定し、その算術平均を求めることにより算出した。上記写真において、真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とした。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき算出した。
なお、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
(2)真球度
ポリアミド微粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、その短径と長径から下記数式に従い算出した。
なお、S:真球度、a:長径、b:短径、n:測定数30とする。
(3)アマニ油吸油量
日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101(2004)「顔料試験方法 精製あまに油法」に準じ、ポリアミド微粒子約100mgを時計皿の上に精秤し、精製アマニ油(関東化学株式会社製)をビュレットで1滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで練りこんだ後に、試料の塊ができるまで滴下−練りこみを繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになった点を終点とし、滴下に使用した精製アマニ油の量から吸油量(mL/100g)を算出した。
(4)BET比表面積
日本工業規格(JIS規格)JIS R 1626(1996)「気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に従い、日本ベル製BELSORP−maxを用いて、ポリアミド微粒子約0.2gをガラスセルに入れ、80℃で約5時間減圧脱気した後に、液体窒素温度におけるクリプトンガス吸着等温線を測定し、BET法により算出した。
(5)ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの結晶化温度と融点
TAインスツルメント社製示差走査熱量計(DSCQ20)を用いて、窒素雰囲気下、30℃からポリアミドの融点を示す吸熱ピークまで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却させる際に出現する発熱ピークの頂点を結晶化温度とした。30℃から20℃/分で昇温した際の吸熱ピークを融点とした。測定に要したポリアミド微粒子は約8mgである。
(6)ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの分子量
ポリアミドの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリメチルメタクリレートによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、ポリアミド微粒子約3mgをヘキサフルオロイソプロパノール約3gに溶解し調製した。
装置:Waters e−Alliance GPC system
カラム:昭和電工株式会社製HFIP−806M×2
移動相:5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:1.0ml/min
温度:30℃
検出:示差屈折率計。
(7)ポリマー(B)の分子量
ポリマー(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレングリコールによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、ポリマー(B)約3mgを水約6gに溶解し調製した。
装置:株式会社島津製作所製 LC−10Aシリーズ
カラム:東ソー株式会社製TSKgelG3000PWXL
移動相:100mmol/L塩化ナトリウム水溶液
流速:0.8ml/min
温度:40℃
検出:示差屈折率計。
(8)生分解性の評価
JIS K 6955(2006)に従い、粒子100mgを土壌100g中に配合し、BOD測定から評価した。2か月後に10%以上の分解を示した場合、生分解性を有するとした。
[実施例1]
100mLのオートクレーブに4−アミノ酪酸(和光純薬工業株式会社製特級、SP値21.0計算)4g、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製1級ポリエチレングリコール20,000、SP値21.3)6g、溶媒として水10gを加え密封後、窒素で10kg/cmまで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cmに調整後、温度を240℃まで昇温させた。この際、系の圧力が10kg/cmに達した後、圧が10kg/cmを維持するよう水蒸気を微放圧させながら制御した。温度が240℃に達した後に、0.2kg/cm・分の速度で放圧させ重合を開始した。この時点で内溶液は均一透明であった。温度を255℃まで上昇させながら系内の圧力を0kg/cmにまで低下させ、0kg/cmになると同時に窒素を1時間流しながら加熱を維持し重合を完了させた。なお重合後は、内溶液が懸濁していた。窒素を再度10kg/cmまで充填後、室温まで冷却させた。得られた固形物に水を加え80℃に加熱し、溶解物を溶かした。得られたスラリー液のろ過を行い、ろ上物に水40gを加え、80℃で洗浄を行った。その後200μmの篩を通過させた凝集物を除いたスラリー液を、再度ろ過して単離したろ上物を80℃で12時間乾燥させ、粉末を2.8g得た。また、200μm超の凝集物は存在しなかった。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の265℃、結晶化温度は230℃であり、分子量は45,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球の微粒子形状であり、数平均粒子径は10.1μm、粒子径分布指数は1.31、真球度は97、アマニ油吸油量は65mL/100g、BET比表面積は0.75m/gであり、R=1.1で中実な形態である。生分解性の評価では1か月後に30%分解した。なおポリアミド4のSP値は、22.9である。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1、走査型電子顕微鏡写真の結果を図1に示す。
[実施例2]
分子量の異なるポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製1級ポリエチレングリコール6,000、分子量7,800)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、粉末を2.2g得た。また、200μm超の凝集物は存在しなかった。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の262℃、結晶化温度は235℃であり、分子量は23,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球の微粒子形状であり、数平均粒子径は20.5μm、粒子径分布指数は1.45、真球度は95、アマニ油吸油量は60mL/100gである。生分解性の評価では1か月後に35%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[比較例3]
分子量の異なるポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製1級ポリエチレングリコール1,000、分子量1,100)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、粉末を2.0g得た。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の264℃、結晶化温度は230℃であり、分子量は15,000であった。また走査型電子顕微鏡観
察からポリアミド4粉末は真球の微粒子形状であり、数平均粒子径は35.5μm、粒子径分布指数は1.75、真球度は91、アマニ油吸油量は62mL/100gである。生分解性の評価では1か月後に34%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[実施例4]
重合時の温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、粉末を2.3g得た。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の263℃、結晶化温度は230℃であり、分子量は30,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球の微粒子形状であり、数平均粒子径は8.4μm、粒子径分布指数は1.32、真球度は92、アマニ油吸油量は60mL/100gである。生分解性の評価では1か月後に32%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[実施例5]
重合時の温度を160℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法で重合を行い、粉末を2.4g得た。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の260℃、結晶化温度は232℃であり、分子量は20,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球の微粒子形状であり、数平均粒子径は13.2μm、粒子径分布指数は1.45、真球度は90、アマニ油吸油量は70mL/100gである。生分解性の評価では1か月後に30%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[比較例4]
100mLのオートクレーブに2−ピロリドン(和光純薬工業株式会社製特級、SP値22.5計算)4g、ポリエチレングリコール(和光純薬工業株式会社製1級ポリエチレングリコール20,000、分子量18,600、SP値21.3)6g、触媒として水素化ナトリウム0.1gを加え、窒素置換を行った後に、温度を210℃で1時間反応させた。室温まで冷却後、実施例1と同様の方法で粒子の洗浄、単離を行い、粉末を3.2gで得た。重合開始時点では均一溶液、重合後は懸濁溶液であった。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の265℃、結晶化温度は231℃であり、分子量は82,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球で表面平滑な微粒子形状であり、数平均粒子径は5.4μm、粒子径分布指数1.58、真球度は95、アマニ油吸油量は60mL/100gであり、生分解性の評価では1か月後に25%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[実施例7]
ポリエチレングリコールをポリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社1級3000、分子量5,200、SP値18.7)、水素化ナトリウムをカリウム−tert−ブトキシド、N−アシル−カプロラクタム0.1gの使用、温度を210℃から50℃に変更した以外は、実施例6と同様の方法で重合した。洗浄溶媒には、イソプロパノールを用い粉末を2.2g得た。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の260℃、結晶化温度は232℃であり、分子量は17,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球で表面平滑な微粒子形状であり、数平均粒子径は5.8μm、粒子径分布指数1.12、真球度は90、アマニ油吸油量は76mL/100gであり、生分解性の評価では1か月後28%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1、走査型電子顕微鏡写真の結果を図2に示す。
[比較例5]
分子量の異なるポリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社1級4000、分子量7,000、SP値18.7)に変更した以外は、実施例7と同様の方法で重合し、粉末を2.5g得た。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の260℃、結晶化温度は
233℃であり、分子量は23,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球で表面平滑な微粒子形状であり、数平均粒子径は5.2μm、粒子径分布指数1.13、真球度は90、アマニ油吸油量は75mL/100gであり、生分解性の評価では1か月後に30%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[比較例6]
分子量の異なるポリプロピレングリコール(和光純薬工業株式会社1級1000、分子量2,500、SP値18.7)に変更した以外は、実施例7と同様の方法で重合し、粉末を2.2g得た。得られた粉末の融点はポリアミド4と同様の262℃、結晶化温度は234℃であり、分子量は15,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド4粉末は真球で表面平滑な微粒子形状であり、数平均粒子径は25.8μm、粒子径分布指数1.82、真球度は90、アマニ油吸油量は72mL/100gであり、生分解性の評価では1か月後に27%分解した。また、得られたポリアミド4微粒子の特性を表1に示す。
[実施例10]
2−ピロリドンを2−アゼチジノン(和光純薬工業株式会社製特級、SP値21.9)に変更した以外は、実施例7と同様の方法で重合し、粉末を2.9g得た。得られた粉末の融点はポリアミド3と同様の320℃、結晶化温度は280℃であり、分子量は38,000であった。また走査型電子顕微鏡観察からポリアミド3粉末は真球で表面平滑な微粒子形状であり、数平均粒子径は20.1μm、粒子径分布指数1.54、真球度は92、アマニ油吸油量は70mL/100gであり、生分解性の評価では1か月後に45%分解した。なおポリアミド3のSP値は、26.1である。また、得られたポリアミド3微粒子の特性を表1に示す。
[比較例1]
ポリエチレングリコールをジメチルシリコーンオイル(信越化学工業株式会社製KF−96H、10,000cs、分子量88,400、SP値14.5)、洗浄時の水をトルエンに変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行った。重合開始時点で2相に分離しており、重合後はシリコーンとポリアミドの2相に粗大分離したままであった。トルエンを使用して洗浄を行ったが、200μm超のポリアミド凝集物が3.2g回収され、粒子は得られなかった。
[比較例2]
4−アミノ酪酸をε−カプロラクタムに変更した以外は実施例1と同様の方法で重合を行い、ポリアミド6粒子を得た。数平均粒子径は6.1μm、粒子径分布指数は1.23、真球度は92、アマニ油吸油量は60mL/100gであった。生分解性の試験を行ったところ、1か月後は分解していなかった。
本発明の表面が平滑で真球中実な生分解性を有するポリアミド微粒子は、良好な滑り性を示し、塗料、接着剤、インク、トナー光拡散剤、液晶用スペーサー、艶消し剤、ポリマーアロイ用添加剤、各種触媒の担体、クロマトグラフィー担体、自動車部品、航空機部品、電子部品、化粧品の添加剤および医療用担体などに好適に利用できる。更に高い生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。

Claims (7)

  1. ポリアミドがポリアミド4またはポリアミド3であり、数平均粒子径が0.1〜300μm、粒子径分布指数が1.0以上1.45以下、真球度が90以上、アマニ油吸油量が100mL/100g以下であるポリアミド微粒子。
  2. アマニ油吸油量が70mL/100g以下である請求項1に記載のポリアミド粒子。
  3. ポリアミド微粒子を構成するポリアミドがポリアミド4である請求項1または2のいずれかに記載のポリアミド粒子。
  4. JIS K 6955(2006)に準拠し測定したポリアミド粒子の生分解性が25%以上70%以下である請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド粒子。
  5. ポリアミド微粒子を構成するポリアミドの重量平均分子量が30000以上82000以下である請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド粒子。
  6. ポリアミド微粒子の真球度が95以上である請求項1〜のいずれかに記載のポリアミド粒子。
  7. 理論表面積の比が5以下である請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド粒子。
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