JP2021070710A - 樹脂粒子、および樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

樹脂粒子、および樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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信博 森岡
玉井 晃義
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梅津 秀之
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秀之 梅津
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Abstract

【課題】ソフトフォーカス性、滑り性、ソフトフィール性、海洋生分解性を有する樹脂粒子を得る。【解決手段】4−アミノブタン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、これらの構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、示唆走査熱量計を用いて20℃/分で昇温したときの結晶融解エンタルピーが80J/g以下である樹脂粒子。【選択図】なし

Description

本発明は、ソフトフォーカス性、滑り性、ソフトフィール性、海洋生分解性を有する樹脂粒子に関する。
ポリアミド粒子は、高い靭性や高い耐熱性といった特徴を活かし、粉体塗料や粉末造形など各種用途に使用されており、中でも内部に孔の存在しない中実なポリアミド粒子は、良好な滑り性を有しており、化粧品に使用されている。内部に孔の存在しない中実なポリアミド粒子の製造方法としては、ポリアミドの単量体をポリマーの存在下、得られるポリアミドの結晶化温度以上で重合しポリアミド微粒子を製造する方法などが提案されている(例えば特許文献1参照)。
一方、近年、海洋中のマイクロプラスチックが引き起こす可能性のある、生態系への影響が指摘されている。そのような状況の中、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される海洋生分解性プラスチックが注目を集めており、ポリアミド粒子においても、海洋生分解性を有することが望まれている。海洋生分解性を有するポリアミド粒子としては、海洋生分解性を有するポリアミド4粒子が用いられ、単量体を溶解しない飽和炭化水素中で重合する製造方法(例えば特許文献2参照)や、一度熱水に溶解させたのちに粒子化する多孔質形状の粒子が提案されている(例えば特許文献3、4参照)。
国際公開WO2018/207728号公報 特公昭37−6746号公報 特開2016−186068号公報 国際公開WO2018/150835号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術を用いて得られるポリアミド粒子は、表面が平滑な真球状であり、ポリアミド粒子を化粧品に使用する場合には、ソフトフォーカス性に劣るという課題があった。また、上記特許文献2に開示された技術を用いて得られるポリアミド粒子は、結晶性が高く、硬くて脆いため、化粧品等に配合した場合にはソフトフィール性が不足するという課題があった。また、上記特許文献3、4に開示された技術を用いて得られるポリアミド粒子は、多孔質形状の粒子であるために吸油量が多くなってしまい、また、強度も低いため、化粧品等に用いた場合には滑り性が不足する課題があった。
本発明では、これら従来技術の課題に鑑み、ソフトフォーカス性、滑り性、ソフトフィール性、海洋生分解性を有する樹脂粒子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
[1]4−アミノブタン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、該構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、示差走査熱量分析計を用いて20℃/分で昇温したときの結晶融解エンタルピーが30J/g以上80J/g以下である樹脂粒子。
[2]アマニ油吸油量が30mL/100g以上150mL/100g以下である、[1]に記載の樹脂粒子。
[3]圧壊強度が0.25GPa以上1.5GPa以下である、前記[1]または[2]に記載の樹脂粒子。
[4]樹脂粒子が架橋粒子である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂粒子。
[5]重合および架橋がされてポリマー(A)となる単量体を、該単量体に非相溶の溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒、架橋剤の存在下にて反応を行って樹脂粒子を得ることを特徴とする、樹脂粒子の製造方法。
[6]重合および架橋がされてポリマー(A)となる単量体を、該単量体に非相溶な溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒、架橋剤の存在下にて反応を行い、さらに、ポリマー(A)の結晶化温度以上で熱処理を行うことを特徴とする、樹脂粒子の製造方法。
本発明の樹脂粒子は、良好なソフトフォーカス性、滑り性、ソフトフィール性を示し、塗料、インク、トナー光拡散剤、艶消し剤、化粧品の添加剤および医療用担体などに好適に利用できる。更に海洋生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明の樹脂粒子とは、4−アミノブタン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、該繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、かかるポリマーをポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子である。
ここで、4−アミノブタン酸に由来する繰り返し単位は下記化学式に示すとおりである。なお、アルキレン鎖に存在する水素は本発明の目的を損なわない限りにおいて、低級アルキル基、アルコキシル基もしくはエステル基、すなわち炭素数5以下,好ましく2以下のアルキル基、アルコキシル基もしくはエステル基、または水酸基、カルボキシル基等の置換基に置換しうる。
Figure 2021070710
上記繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%未満の場合、樹脂粒子の結晶性が低くなりすぎて、化粧品や塗料として用いたときに凝集物が発生しやすくなり、滑り性が低下する。上記繰り返し単位が占める割合は全繰り返し単位の70モル%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。
ポリマー(A)は、4−アミノブタン酸に由来する繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位が50モル%未満共重合されていてもよい。共重合の方法としては、4−アミノブタン酸由来の構造を与える単量体を重合させる際に、他の単量体またはオリゴマーを添加して共重合する方法などが挙げられる。
4−アミノブタン酸に由来する繰り返し単位以外の構造単位を与える単量体としては、例えば、3−アミノプロパン酸、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノカプリン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、アラニン、グリシン、バリンなどのアミノ酸や、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリルラクタム、ω−デカノラクタム、ω−ウンデカンラクタム、ω−ラウロラクタム等などのラクタム類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
ポリマー(A)に含まれる、4−アミノブタン酸に由来する繰り返し単位のモル比は、例えば、NMR、FT−IR等の方法を単独あるいは組み合わせて用いて分析することで求めることができる。
本発明の樹脂粒子は、ポリマー(A)を主成分として構成されたものである。ここで、主成分とするとは、樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、50質量%以上であることをいう。本発明の樹脂粒子にあっては、樹脂粒子の結晶性の観点からはポリマー(A)の含有量は多いことが望ましく、樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、70質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上でとすることがさらに好ましい。用いうる他の成分としては、ポリマー(A)には該当しないポリマー、無機粒子などのフィラー、耐候剤や防腐剤等の添加剤が挙げられる。
本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、0.1μm以上100μm以下である。数平均粒子径が100μmを超えると、塗料や化粧品として用いたときに表面が不均質になり、滑り性が損なわれやすくなる。本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、50μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましい。数平均粒子径が0.1μm未満であると、粒子同士の凝集が発生し、滑り性が損なわれる。本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。
本発明の樹脂粒子の粒子径分布を示す粒子径分布指数は、1.0以上3.0以下である。粒子径分布指数が3.0を超えると、塗料や化粧品用途において滑り性が損なわれる。粒子径分布指数は2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。粒径が揃いすぎているとソフトフォーカス性が低下することから、粒子径分布指数は1.2以上が好ましい。
なお、粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個をサンプリングしての粒子直径を測定し、その算術平均を求めることにより求める。粒子が真円状でない場合、例えば楕円状のような場合は、最大径をその粒子の粒子径とする。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも1,000倍以上、好ましくは、5,000倍以上の倍率で観察して測定する。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき、決定される。
Figure 2021070710
なおここで、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数(100個)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数である。
本発明の樹脂粒子は、粒子の凹凸さを示す指標である円形度が、0.50以上0.98以下である。円形度が0.50未満の場合、表面形状が歪になりすぎ、塗料や化粧品用途において滑り性が損なわれる。円形度は0.70以上がより好ましい。 円形度が0.98以下であれば、粒子表面が極めて平滑であるため、入射光に対する反射が収束するため、ソフトフォーカス性が低下する。円形度は0.95以下が好ましく。0.90以下がさらに好ましい。
なお、粒子の円形度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、ある一つの方向から粒子を観察した際に観察される形状において該形状の外周の全長と面積から下記数式に従い、決定される。
Figure 2021070710
なおここで、C:円形度、L:外周の全長、A:面積、n:測定数(30個)である。
本発明の樹脂粒子は、真球度が、70以上90以下であることが好ましい。真球度が70以上であれば、化粧品や塗料に良好な滑り性をさらに付与することが可能である。真球度が90以下であれば場合、粒子に凹凸が形成されており、入射光に対する反射がランダムになるため、ソフトフォーカス性が向上する。
なお、樹脂粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、その短径と長径から下記数式に従い、決定される。
Figure 2021070710
なお、S:真球度、a:長径、b:短径、n:測定数(30個)である。
本発明の樹脂粒子は、示差走査熱量分析計を用いて20℃/分で昇温した場合の結晶融解エンタルピーが30J/g以上80J/g以下の樹脂粒子である。結晶融解エンタルピーが80J/gより大きい場合、樹脂粒子の結晶性が高くなり過ぎて、樹脂粒子が脆くなり、塗料や化粧品として用いたときにソフトフィール性が低下する。結晶融解エンタルピーは、75J/g以下が好ましく、70J/g以下が更に好ましい。また、結晶融解エンタルピーが30J/g未満であれば、結晶性が低すぎて、塗料や化粧品として用いたときに凝集物が発生しやすくなり、滑り性が低下する。結晶融解エンタルピーは、40J/g以上が好ましく、50J/g以上が更に好ましい。
ここで、樹脂粒子の結晶融解エンタルピーは、示差走査熱量分析計を用いて、不活性ガス雰囲気下、30℃から昇温を開始し、樹脂粒子の融点を示す吸熱ピークから30℃高い温度まで20℃/分の速度で昇温し、ベースラインと、出現した吸熱ピークに囲まれた面積より算出される。
樹脂粒子の中実性は、樹脂粒子がアマニ油を吸収する量で表すことが可能である。即ち、中実であるほど内部にアマニ油を担持できなくなるため、吸油量が少なくなる。本発明の樹脂粒子のアマニ油吸油量は、30mL/100g以上150mL/100g以下であることが好ましい。アマニ油吸油量が30mL/100g以上の場合、表面に適度な凹凸が形成されており、ソフトフォーカス性が向上する。アマニ油吸油量は50mL/100g以上がより好ましい。一方、アマニ油吸油量が150mL/100g以下とすることで、化粧品や塗料として用いたときに滑り性を向上させることができる。アマニ油吸油量は120mL/100g以下が好ましく、90mL/100g以下がより好ましい。
なお、アマニ油吸油量は、日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101「顔料試験方法 精製あまに油法」に準じて測定される。
海洋生分解性とは、海水中の微生物によって分解されることを示す。具体的には、100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた23℃の海水中に2ヵ月後静置した後、試験前後の樹脂粒子の重量を測定し、試験後の重量保持率が85%以下であった場合、海洋生分解性を有するとする。海水中での分解速度が速いほど環境への負荷が低いことから、重量保持率は80%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。海洋生分解性は、用いられるポリマーの構造や樹脂粒子に対する海水の浸潤性などの要因に依存すると考えられるが、樹脂粒子を構成するポリマーとして、4−アミノブタン酸由来の構造を全繰り返し単位の50モル%以上のポリマーを主成分とし、また、アマニ油吸油量として30mL/100g以上とすることによって獲得することができる。
本発明の樹脂粒子は、圧壊強度が0.25GPa以上1.50GPa以下であることが好ましい。圧壊強度が0.25GPa以上であれば、樹脂粒子が脆くならず、化粧品や塗料として用いたときに滑り性が向上する。圧壊強度は0.30GPa以上とすることが好ましく、0.50GPa以上とすることが更に好ましい。一方、樹脂粒子の圧壊強度が1.50GPa以下であれば、樹脂粒子にソフトフィール性を付与することができる。圧壊強度は1.40GPa以下とすることが好ましく、1.30GPa以下とすることが更に好ましい。
なお、圧壊強度は、微小圧縮試験器機を用い、日本工業規格(JIS規格)JIS Z 8841「造粒物−強度試験方法」に準じて測定される。
本発明の樹脂粒子は、架橋粒子であることが好ましい。架橋粒子とすることで、樹脂粒子の結晶性を適度に低下させて、ソフトフィール性を付与できる。また、樹脂粒子製造時の粒子の合一を抑制できるため、粒子径分布を本発明の範囲にすることができ、化粧品や塗料として用いたときに滑り性が向上する。ここで、粒子が架橋粒子であるとは、樹脂粒子をヘキサフルオロイソプロパノールに23℃で12時間浸漬させ、試験後の樹脂粒子の重量保持率が50%以上であるものを以て、架橋粒子であるとする。
本発明の樹脂粒子が架橋粒子である場合、全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造を有する繰り返し単位のモル比は、例えば、以下の方法で求めることができる。すなわち、樹脂粒子0.06gを秤量し、臭化水素酸水溶液にて、150℃で3時間加熱分解を行う。続いて、水酸化ナトリウム水溶液を加えて系内をアルカリ性とした後、トルエン、クロロギ酸エチルを加えて振とう処理する。上澄み液を取り出し、ガスクロマトグラフでの分析を行う。4−アミノブタン酸の標品を用いて検量線を作成することで、全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造を有する繰り返し単位のモル比を求めることができる。また、ポリマー(A)以外の成分が含まれている場合は、別な分析方法で該成分の重量を求めておき、初期の樹脂粒子の重量から該成分の重量は控除して求めるか、ポリマー(A)の重量が0.06gとなるよう樹脂粒子を秤量して求める。
本発明の樹脂粒子は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。
その一例としては、まず、重合及び架橋がされてポリマー(A)となる単量体を、該単量体に非相溶の溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒、架橋剤の存在下にて反応を行って樹脂粒子を製造する。また、他の方法としては、重合及び架橋がされてポリマー(A)となる単量体を、該単量体に非相溶の溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒、架橋剤の存在下にて反応を行い、さらにポリマー(A)の結晶化温度以上で熱処理を行い、必要に応じて急冷を行って、樹脂粒子を製造する。なおここで、単量体とはオリゴマーあるいはプレポリマーである場合を含み、また、ポリマー(A)以外の成分を用いるときは溶媒中に含有せしめて粒子の製造を行うことができる。溶媒はポリマー(A)以外の成分に対しては相溶性のものであっても、非相溶性のものであっても構わないが、粒子中の含有量がコントロールしやすいことから非相溶であることが好ましい。
ポリマー(A)の結晶化温度以上で熱処理して急冷することは、樹脂粒子を膨潤せしめ、粒子の円形度をより好ましい範囲にできると共に、結晶化度を好ましい範囲に低下させることができ、その結果、樹脂粒子のソフトフィール性が向上する。熱処理温度は300℃以下が好ましく、300℃以下であれば、樹脂粒子の劣化や着色を防ぐことができる。熱処理温度は250℃以下が好ましく、200℃以下がさらに好ましい。
ここで、ポリマー(A)の結晶化温度は、示差走査熱量分析計を用いて、不活性ガス雰囲気下、30℃から昇温を開始し、ポリマー(A)の融点を示す吸熱ピークから30℃高い温度まで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却させる際に出現する発熱ピークのピーク頂点の温度とする。ただし、ポリマー(A)の発熱ピークとして、ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい側の発熱ピークのピーク頂点の温度をポリマー(A)の結晶化温度とする。
ポリマー(A)の結晶化温度以上での熱処理時間は、適宜調整可能であるが、0.1時間以上70時間の範囲であることが好ましい。熱処理時間が0.1時間以上であれば、ポリアミド粒子を膨潤させることができ、粒子の円形度をより好ましい範囲にできると共に、結晶化度を好ましい範囲に低下させることができるため、粒子のソフトフィール性が向上させることができる。熱処理時間は0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。熱処理時間が70時間以下であれば、ポリアミドの劣化や着色を防ぐことができる。熱処理時間は50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
本発明の樹脂粒子を得るにおいて、架橋しつつ粒子化することは、これによって重合中にて粒子の合一を抑制できるため、粒子径分布を本発明の範囲にすることが容易になり、化粧品や塗料として用いたときに滑り性が向上する。
重合及び架橋がされてポリマー(A)となる単量体に対して非相溶である溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、デカリン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、シクロヘキサン、デセン、イソパラフィン、流動パラフィン、ケロシン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素系溶媒を挙げることができる。これら溶媒は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
用いる溶媒の量は、予定する樹脂粒子の質量100質量部に対して、10質量部以上3000質量部以下が好ましい。10質量部以上とすることで、用いられる原材料を均一に分散させることができる。50質量部以上がより好ましく、100質量部以上が更に好ましい。また、3000質量部以下とすることで、数平均粒子径を本発明の範囲にすることができる。用いる溶媒の量は予定する樹脂粒子の質量に対して2500質量部以下がより好ましく、2000質量部以下が更に好ましい。
重合開始剤としては、ポリマー(A)を得るにおいて重合反応が開始されるものであれば特に制限は無く、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、具体的に、炭酸ガス、二酸化硫黄、N−アセチルピロリドンやN−アセチルε−カプロラクタム等のラクタム類のアシル化物、塩化アセチルや塩化ステアロイルなどのカルボン酸ハロゲン化物、無水酢酸や無水フタル酸などのカルボン酸無水物、カルボン酸メチルエステルなどのカルボン酸エステル、2,4−ジイソシアン酸トリレンなどのイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、1種類を用いても、2種類以上を併用してもよい。重合開始剤の添加量は、原材料となる単量体100モル%に対して、0.01モル%以上10モル%以下が好ましい。添加量が0.01モル%以上であれば、重合を進行させることができる。0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が更に好ましい。また、添加量を10モル%以下とすることで、高分子量の樹脂粒子を得ることができる。添加量は5モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましい。
反応触媒としては、ポリマー(A)を得るにおいて重合反応を進行させるものであれば特に制限は無く、例えば、アニオン重合において使用される公知の触媒を使用することができる。例えば、ナトリウムやカリウムなどのアルカリ金属およびこれらの金属の水素化物、ブチルリチウム、ブチルカリウム、およびブチルマグネシウムなどの有機金属化合物、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、およびカリウムt−ブトキシドなど金属アルコキシド、水酸化物、炭酸塩、酸化物、アルキル化合物又はアリール化合物などが挙げられる。これらの触媒は、1種類を用いても、2種類以上を併用してもよい。これらの触媒のうち、水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物、リチウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、およびカリウムt−ブトキシドなど金属アルコキシドなどが汎用される。反応触媒の添加量は、海洋生分解性樹脂粒子を構成する単量体100モル%に対して、0.01モル%以上10モル%以下が好ましい。添加量が0.01モル%以上であれば、重合の進行を速くすることができる。0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が更に好ましい。また、添加量を10モル%以下とすることで、高分子量の樹脂粒子を得ることができる。添加量は5モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましい。
架橋剤としては、ポリアミドあるいはアミノ基もしくはカルボキシル基と反応可能な官能基を3つ以上有する化合物が挙げられる。例えば、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、ジアミノジフェニルアミンなどのアミノ基含有化合物、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどのイソシアネート基含有化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、イソシアヌル酸トリグリシジルなどのエポキシ基含有化合物、三塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、三塩化炭素、三臭化炭素、三ヨウ化炭素、トリベンジルクロライド、トリベンジルブロマイド、トリベンジルイオダイドなどのハロゲン化物が挙げられる。中でも、重合の助触媒としても作用することから、三塩化リン、三臭化リン、三ヨウ化リン、三塩化炭素、三臭化炭素、三ヨウ化炭素、トリベンジルクロライド、トリベンジルブロマイド、トリベンジルイオダイドなどのハロゲン化物が好ましく用いられる。架橋剤の添加量は、原材料となる単量体100モル%に対して、0.01モル%以上10モル%以下とすることが好ましい。添加量が0.01モル%以上であれば、樹脂粒子を架橋させることができ、結晶性を低下させて、ソフトフィール性を付与できる。0.05モル%以上がより好ましく、0.1モル%以上が更に好ましい。また、添加量を10モル%以下とすることで、架橋構造の過剰な形成を抑制し、樹脂粒子の硬化を抑制することができる。架橋剤の添加量は5モル%以下がより好ましく、3モル%以下が更に好ましい。
本発明の製造方法においては、他の添加剤の存在下で重合反応をおこなうことができる。例えば、界面活性剤が挙げられ、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤などの公知の界面活性剤を用いることができる。
重合温度としては、原材料となる単量体の重合が進行する温度であれば特に制限はないが、0℃以上100℃以下であることが好ましい。0℃以上であれば、重合度を高めることができる。20℃以上が好ましく、40℃以上がさらに好ましい。さらに、重合温度を100℃以下とすることで副反応を抑制しつつ重合させることができる。重合温度は80℃以下とすることが好ましく、60℃以下とすることがさらに好ましい。
重合時間は、適宜調整可能であるが、0.1時間以上70時間以下の範囲であることが好ましい。重合時間が0.1時間以上であれば、得られる樹脂粒子の分子量が増大し、樹脂粒子の強度を向上させることができるため、化粧品や塗料として用いたときに滑り性が向上する。重合時間は、0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。重合時間が70時間以下であれば、樹脂粒子の劣化や着色を防ぐことができる。重合時間は、50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
本発明では、樹脂粒子の粒径の制御や粒度分布を均一にするため重合工程および熱処理工程の各工程において、撹拌を行う必要がある。撹拌装置としては、撹拌翼や溶融混練機、ホモジナイザーなど公知の装置を使用することが可能であり、例えば撹拌翼の場合、プロペラ、パドル、フラット、タービン、コーン、アンカー、スクリュー、ヘリカル型などが挙げられる。撹拌速度は、生成されるポリマーの種類、分子量によるが、大型装置でも熱を均質に伝える一方、壁面へ液が付着して配合比などが変化することを防ぐ観点から、0rpmを超え2,000rpm以下であることが好ましい。撹拌速度の下限としては、より好ましくは30rpm以上、さらに好ましくは50rpm以上、特に好ましくは100rpm以上であり、撹拌速度の上限としては、1,600rpm以下がより好ましく、1,200rpm以下がさらに好ましく、800rpm以下が特に好ましい。
樹脂粒子を単離するには、重合終了時点の混合物を樹脂粒子の貧溶媒中に吐出した後に単離する方法、または反応槽中に樹脂粒子の貧溶媒を加えた後に単離する方法などが挙げられる。樹脂粒子同士が合着して粒子径分布が広くなることを防ぐ観点から、ポリマー(A)の融点以下、より好ましくは結晶化温度以下にまで冷却した後に、混合物を樹脂粒子の貧溶媒中に吐出し単離する方法、またはポリマー(A)の融点以下、より好ましくは結晶化温度以下にまで冷却した貧溶媒中に吐出する方法などが好ましい。
ポリマー(A)の貧溶媒としては適宜選択できるが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールなどのアルコール類が好ましい。
本発明の樹脂粒子の洗浄、単離、乾燥は公知の方法で実施することが可能である。樹脂粒子への付着物や内包物を除去するための洗浄方法としては、リスラリー洗浄などを使用することができ、適宜加温しても構わない。洗浄溶媒としては、樹脂粒子を溶解せず、溶媒、反応触媒、未反応の単量体および反応開始剤を溶解するものであれば制限はないが、経済性の観点からメタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノールが好ましく用いられる。単離は、減圧や加圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、スプレードライなど適宜選択できる。乾燥は、樹脂粒子の融点以下で実施するのが好ましく、減圧しても構わない。風乾、熱風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥や凍結乾燥などが選択される。
本発明の樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の添加剤を含有していてもよい。具体例としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。含有量としては適宜選択できるが、樹脂粒子の合計100質量%に対して1質量%以下含有していることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるべきものではないことは明らかである。特性評価は下記の方法に従って行った。
[平均粒子径および粒子径分布指数]
粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子をサンプリングして直径を測定し、算術平均を求めることにより算出した。粒子が真円状でない場合、例えば楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子の粒子径とした。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき算出した。
Figure 2021070710
なおここで、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数(100個)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数である。
[円形度]
粒子の円形度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、ある一つの方向から粒子を観察した際に観察される形状において該形状の外周の全長と面積から下記数式に従い、決定した。
Figure 2021070710
なおここで、C:円形度、L:外周の全長、A:面積、n:測定数(30個)である。
[ポリアミド粒子の結晶融解エンタルピー]
樹脂粒子約8mgを精秤し、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製DSCQ20)を用いて、窒素雰囲気下、30℃から樹脂粒子の融点を示す吸熱ピークから30℃高い温度まで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却した。昇温した際のベースラインと、出現した吸熱ピークに囲まれた面積より、結晶融解エンタルピーを算出した。
[アマニ油吸油量]
日本工業規格(JIS規格)JISK5101“顔料試験方法 精製あまに油法”に準じ、樹脂粒子約100mgを時計皿に載せて精秤し、精製アマニ油(関東化学株式会社製)をビュレットで1滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで練りこんだ後に、試料の塊ができるまで滴下−練りこみを繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになった点を終点とし、滴下に使用した精製アマニ油の量と以て吸油量(mL/100g)とした。
[圧壊強度]
日本工業規格(JIS規格)JIS Z 8841「造粒物−強度試験方法」に準じ、微小圧縮試験器機(MCT−W500株式会社島津製作所製)を用いて測定した。平面タイプφ500μmの上部加圧圧子を用い、負荷速度:207mN/secにて樹脂粒子を圧縮し、完全に破壊したときの最大荷重を樹脂粒子の圧壊強度とした。ただし、破壊するまでの最大指示値が記録されない場合で,明らかに圧縮過程で破壊が認められたときは、その破壊時点での荷重を圧壊強度とした。
[ソフトフォーカス性]
幅40mm×長さ40mm×厚さ2mmの黒色樹脂板の中心に、20mm×20mmにカットした両面テープを貼付し、粘着面に粒子を均一に付着させ、付着しなかった粒子を圧縮空気で除去した。続いて自動変角光度計(ゴニオフォトメーター GP200株式会社村上色彩技術研究所 製)を用い、樹脂板(樹脂粒子)の法線(0°)に対して−45°の投光角度で、ハロゲンランプを光源とした光を入射させ、反射光の反射角−90°〜+90°における光度分布を測定した。反射光強度分布の測定により得られた反射角0°、+45°(正反射方向)における反射光強度データ(ピーク光度データ)から、下記式により反射光強度分布指数を求めた。
反射光強度分布指数=(反射角0°の反射光強度)/(反射角45°の反射光強度)
反射光強度分布指数が大きいほど、ソフトフォーカス性に優れる。
[触感]
樹脂粒子について、15名のパネラーによる官能評価を実施した。評価方法は、粒子少量(0.02g程度)を一方の手の甲に乗せ、もう一方の手の3本の指で粒子をこすり合わせ、「滑り性」、「ソフトフィール性」の2項目について官能試験を行った。それぞれの項目につき、下記のとおり評点をつけたときの15人の合計点および標準偏差を求めた。各項目の合計点が高い方が、効果が優れている。また、標準偏差が小さい方が、評価のバラツキが小さく、優れている。
「滑り性」
4点:滑らかである
3点:やや滑らかである
2点:やや引っかかりがある
1点:引っかかりがある
「ソフトフィール性」
4点:適度な抵抗と弾力があり、ソフト感が感じられる
3点:十分なソフト感が感じられる
2点:やや硬い感触
1点:硬い感触 。
[海洋生分解性]
目開き30μmのメッシュで異物を除去した海水100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた。
この海水に、粒子2.0gを加え、水温を23℃に保ち、2ヵ月間静置した。なお、海水は愛知県知多市の港湾部から採取し、1ヶ月に1度海水の入れ替えを実施した。試験後の粒子をメンブレンフィルターで濾集し、60℃で24時間真空乾燥した後の粒子の重量を測定し、重量保持率((試験後の粒子の重量)/(試験前の粒子の重量(2.0g))×100(%))を求めた。重量保持率が85%以下であった場合、海洋生分解性を有するとした。
[実施例1]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.054g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例2]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.108g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例3]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.007g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例4]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.054g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)90gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例5]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.054g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)60gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例6]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.054g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。その後、得られた懸濁液を180℃油浴中にて600rpmで1時間攪拌した。得られた懸濁液を室温のイソブタノールにて冷却し、その後イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[比較例1]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、三塩化リン(富士フイルム和光純薬株式会社製)0.054g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)30gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[比較例2]
3Lのオートクレーブにポリ4−アミノブタン酸40g、溶媒として水2000gを加え密封後、窒素で10kg/cmまで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cmに調整後、温度を190℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cmであった。その後、内温が30℃となるまで、60rpmで攪拌しつつ送風してオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[比較例3]
3Lのオートクレーブにポリ4−アミノブタン酸40g、溶媒として水2000gを加え密封後、窒素で10kg/cmまで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cmに調整後、温度を190℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cmであった。その後、内温が30℃となるまで、オートクレーブを自然冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、ポリアミド粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[比較例4]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム0.38gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、ポリアミド粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
各実施例および比較例において求めた測定結果および評価結果を表1、表2に示す。
Figure 2021070710
Figure 2021070710
本発明の樹脂粒子は、良好なソフトフォーカス性、滑り性、ソフトフィール性を示し、塗料、インク、トナー光拡散剤、艶消し剤、化粧品の添加剤および医療用担体などに好適に利用できる。更に海洋生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。

Claims (6)

  1. 4−アミノブタン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、該構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、示差走査熱量分析計を用いて20℃/分で昇温したときの結晶融解エンタルピーが80J/g以下である樹脂粒子。
  2. アマニ油吸油量が30mL/100g以上150mL/100g以下である、請求項1に記載の樹脂粒子。
  3. 圧壊強度が0.25GPa以上1.5GPa以下である、請求項1または2に記載の樹脂粒子。
  4. 樹脂粒子が架橋粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂粒子。
  5. 重合および架橋がされてポリマー(A)となる単量体を、該単量体に非相溶の溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒、架橋剤の存在下にて反応を行って樹脂粒子を得ることを特徴とする、樹脂粒子の製造方法。
  6. 重合及び架橋がされてポリマー(A)となる単量体を、該単量体に非相溶の溶媒に分散させ、重合開始剤、反応触媒、架橋剤の存在下にて反応を行い、さらに、ポリマー(A)の結晶化温度以上で熱処理を行うことを特徴とする、樹脂粒子の製造方法。
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