JP2021070709A - 樹脂粒子、および樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ソフトフォーカス性、滑り性、保湿性、海洋生分解性を有する樹脂粒子を得る。【解決手段】4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、これらの構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、アマニ油吸油量が30mL/100g以上150mL/100g以下である樹脂粒子とする。【選択図】なし
Description
本発明は、ソフトフォーカス性、滑り性、保湿性、海洋生分解性を有する樹脂粒子に関する。
ポリアミド粒子は、高靭性や高い耐熱性といった特徴を活かし、粉体塗料や粉末造形など各種用途に使用されている。中でも内部に孔の存在しない中実なポリアミド粒子は、良好な滑り性を有しており、化粧品に多く使用されている。内部に孔の存在しない中実なポリアミド粒子の製造方法としては、ポリアミドの単量体をポリマーの存在下、得られるポリアミドの結晶化温度以上で重合しポリアミド微粒子を製造する方法などが提案されている(例えば特許文献1参照)。
一方、近年、海洋中のマイクロプラスチックが引き起こす可能性のある、生態系への影響が指摘されている。そのような状況の中、微生物の働きによって水と二酸化炭素に分解される海洋生分解性プラスチックが注目を集めており、ポリアミド粒子においても、海洋生分解性を有することが望まれている。海洋生分解性を有するポリアミド粒子としては、海洋生分解性を有するポリアミド4が用いられ、多孔質とされた粒子が提案されている(例えば特許文献2、3参照)。
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術を用いて得られるポリアミド粒子は、表面が平滑な真球状であり、化粧品に使用する場合には、ソフトフォーカス性に劣るという課題があった。また、上記特許文献2、3に開示された技術を用いて得られるポリアミド粒子は、多孔質形状の粒子であるがために、吸油量が多くなってしまい、化粧品等に用いた場合には滑り性が不足する課題があった。また、化粧品の用途では、更なる保湿性が求められる場合がある。
本発明では、これら従来技術の課題に鑑み、ソフトフォーカス性、滑り性、保湿性、海洋生分解性を有する樹脂粒子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、主として以下の構成を有する。
[1]4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、これらの構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、アマニ油吸油量が30mL/100g以上150mL/100g以下である樹脂粒子。
[2]樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、多価アルコールを0.01質量%以上10質量%以下含んでなる、上記[1]に記載の樹脂粒子。
[3]前記多価アルコールがポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[2]に記載の樹脂粒子。
[4]多価アルコールと溶媒の混合液中に、ポリマー(A)を添加し、ポリマー(A)の結晶化温度以上で溶解させてエマルジョンを形成する工程、該エマルジョンの形成の後、溶媒を排出させて粒子化を行う工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
[5]前記の溶媒が水である、前記[4]に記載の樹脂粒子の製造方法。
[1]4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、これらの構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、アマニ油吸油量が30mL/100g以上150mL/100g以下である樹脂粒子。
[2]樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、多価アルコールを0.01質量%以上10質量%以下含んでなる、上記[1]に記載の樹脂粒子。
[3]前記多価アルコールがポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記[2]に記載の樹脂粒子。
[4]多価アルコールと溶媒の混合液中に、ポリマー(A)を添加し、ポリマー(A)の結晶化温度以上で溶解させてエマルジョンを形成する工程、該エマルジョンの形成の後、溶媒を排出させて粒子化を行う工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
[5]前記の溶媒が水である、前記[4]に記載の樹脂粒子の製造方法。
本発明の樹脂粒子は、良好なソフトフォーカス性、滑り性、保湿性を示し、塗料、インク、トナー光拡散剤、艶消し剤、化粧品の添加剤および医療用担体などに好適に利用できる。更に海洋生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。
以下、本発明について詳細を説明する。
本発明の樹脂粒子は、4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、これらの繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、かかるポリマーをポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子である。
ここで、4−アミノブタン酸および3−アミノプロパン酸に由来する繰り返し単位はそれぞれ下記化学式に示すとおりである。なお、アルキレン鎖に存在する水素は本発明の目的を損なわない限りにおいて、低級アルキル基、低級アルコキシル基もしくは低級エステル基、すなわち炭素数5以下,好ましく2以下のアルキル基、アルコキシル基もしくはエステル基、または水酸基、カルボキシル基等の置換基に置換しうる。
上記繰り返し単位が全繰り返し単位の50モル%未満の場合、樹脂粒子の結晶性が低くなりすぎて、化粧品や塗料として用いたとき凝集物が発生しやすくなり、滑り性が低下する。上記繰り返し単位が占める割合は全繰り返し単位の70モル%以上が好ましく、90%以上が更に好ましい。
ポリマー(A)は、4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を与える単量体を用い、公知の重合方法を用いて製造することができる。例えば、4−アミノブタン酸や3−アミノプロピオン酸などのアミノ酸の重縮合反応の他、2−ピロリドンや2−アゼチジノンなどのラクタム類のアニオン開環重合などによって製造することができる。4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を与える単量体は、1種類であっても、2種類以上を併用してもよい。重合方法としては、低温での反応が可能で架橋反応や着色などを抑制できる点から、アニオン開環重合を用いることが好ましい。
ポリマー(A)は、4−アミノブタン酸および3−アミノプロパン酸に由来する繰り返し単位以外の他の繰り返し単位が50モル%未満共重合されていてもよい。共重合の方法としては、4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を与える単量体を重合させる際に、他の単量体またはオリゴマーを添加して共重合する方法、4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を与える単量体を重合した後に、他の単量体またはオリゴマーを反応させて共重合体とする方法などが挙げられる。
4−アミノブタン酸に由来する繰り返し単位および3−アミノプロパン酸に由来する繰り返し単位以外の構造単位を与える単量体としては、例えば、5−アミノペンタン酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノカプリン酸、10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、アラニン、グリシン、バリンなどのアミノ酸や、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、ω−カプリルラクタム、ω−デカノラクタム、ω−ウンデカンラクタム、ω−ラウロラクタム等などのラクタム類が挙げられる。これらは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
ポリマー(A)に含まれる、4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸に由来する繰り返し単位のモル比は、例えば、NMR、FT−IR等の方法を単独あるいは組み合わせて用いて分析することで求めることができる。
本発明の樹脂粒子を構成するポリマー(A)の重量平均分子量は、8,000以上1,000,000以下が好ましい。8,000以上とすることで、樹脂粒子の強度を向上させることができる。重量平均分子量は、10,000以上がより好ましく、20,000以上が更に好ましい。また1,000,000以下とすることで、架橋物などの副反応物の生成や劣化を抑制することができる。ポリマー(A)の重量平均分子量は500,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。
ポリマー(A)の重量平均分子量とは、ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒にゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリメチルメタクリレートで換算した重量平均分子量を示す。
本発明の樹脂粒子は、ポリマー(A)を主成分として構成されたものである。ここで、主成分とするとは、樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、50質量%以上であることをいう。本発明の樹脂粒子にあっては、樹脂粒子の結晶性の観点からはポリマー(A)の含有量は多いことが望ましく、樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、70質量%以上とすることが好ましく、90質量%以上でとすることがさらに好ましい。用いうる他の成分としては、ポリマー(A)には該当しないポリマー、無機粒子などのフィラー、耐候剤や防腐剤等の添加剤が挙げられる。一方で、後述するとおり、多価アルコールを用いることは好ましい態様である。
本発明の樹脂粒子は、好ましく、樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、多価アルコールを0.01質量部以上10質量部以下含む。0.01質量%以上とすることで、樹脂粒子を化粧品として用いた際の保湿性が向上する。一方、多価アルコールの含有量が10質量%以下であれば、樹脂粒子の可塑化が抑制され、化粧品や塗料における滑り性が向上するので、上限としては、5質量部以下がより好ましく、3質量%以下がより好ましい。
ここで、多価アルコールを含むとは、ポリマー(A)と多価アルコールとの混合物である場合の他、多価アルコールに由来する構造単位がポリマー(A)中に含まれている場合、すなわち、ポリマー(A)が4−アミノブタン酸に由来する構造単位または3−アミノプロパン酸に由来する構造単位と多価アルコールに由来する構造単位とを含む共重合体である場合、を含む。また、多価アルコールの含有量とは、樹脂粒子中にフリーの状態で存在する場合の含有量のほか、ポリマー(A)が4−アミノブタン酸に由来する構造単位または3−アミノプロパン酸に由来する構造単位と多価アルコールに由来する構造単位とを含む共重合体である場合には多価アルコールに由来する構造の含有量を含むものとして理解される。
多価アルコールの含有量は、例えば、NMR、FT−IR、GC−MS、液体クロマトグラフ等の方法を単独あるいは組み合わせて用いて分析することで求めることができる。
ここで、多価アルコールとは、分子内に2つ以上のアルコール性水酸基を有する化合物のことである。多価アルコールを含有することで、樹脂粒子に保湿性を付与することができる。また、樹脂粒子の親水性を向上させることによって、海水中での分解速度を向上させることができる。さらに、分子内に2つ以上の水酸基を有することで、ポリマー(A)と効率的に反応することができる。架橋反応を抑制する観点から、多価アルコール中の水酸基は一分子中4つ以下であることが好ましく、3つ以下がより好ましく、2つが最も好ましい。
また、後述のように、本発明の樹脂粒子を製造するには、ポリマー(A)の結晶化温度以上で溶解させ、ポリマー(A)と多価アルコールと溶媒とによるエマルジョンを形成させて粒子を製造することが好ましいところ、このため、多価アルコールは、ポリマー(A)に対して非相溶なものを用いることが好ましい。
このような多価アルコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリペンタメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール共重合が挙げられる。保湿性に優れる観点から、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを用いることが好ましく、ポリエチレングリコールを用いることがさらに好ましい。これらは、本発明を損なわない範囲で2種以上を併用しても構わない。
多価アルコールの重量平均分子量は、500以上500,000以下であることが好ましい。多価アルコールの重量平均分子量が500,000以下であれば、末端水酸基濃度が低くなりポリマー(A)との反応が極端に遅くなることを防ぐことができる。多価アルコールの重量平均分子量は100,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましい。多価アルコールの重量平均分子量が500以上であれば、多価アルコールとポリマー(A)との相溶性が向上し過ぎすることによってエマルジョンが形成され難くなることを防ぐことができので、上限としては、1000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。
なお、多価アルコールの重量平均分子量とは、水を溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を示す。多価アルコールが水に溶解しない場合は、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した値をポリスチレンで換算した重量平均分子量を示す。
本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、0.1μm以上100μm以下である。数平均粒子径が100μmを超えると、塗料や化粧品として用いたときに表面が不均質になり、滑り性が損なわれやすくなる。本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、50μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましい。数平均粒子径が0.1μm未満であると、粒子同士の凝集が発生し、滑り性が損なわれる。本発明の樹脂粒子の数平均粒子径は、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。
本発明の樹脂粒子の粒子径分布指数は、1.0以上3.0以下である。粒子径分布指数が3.0を超えると、塗料や化粧品用途において滑り性が損なわれる。粒子径分布指数は2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。粒径が揃いすぎているとソフトフォーカス性が低下することから、粒子径分布指数は1.2以上が好ましい。
なお、粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個をサンプリングしてその粒子直径を測定し、算術平均を求めることにより求める。粒子が真円状でない場合、例えば楕円状のような場合は、最大径をその粒子の粒子径とする。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも1,000倍以上、好ましくは、5,000倍以上の倍率で観察して測定する。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき、決定される。
なおここで、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数(100個)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数である。
本発明の樹脂粒子は、粒子の凹凸さを示す指標である円形度が、0.50以上0.98以下である。円形度が0.50未満の場合、表面形状が歪になりすぎ、塗料や化粧品用途において滑り性が損なわれる。円形度は0.70以上がより好ましい。 円形度が0.98以下であれば、粒子表面が極めて平滑であるため、入射光に対する反射が収束するため、ソフトフォーカス性が低下する。円形度は0.95以下が好ましく。0.90以下がさらに好ましい。
なお、粒子の円形度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、ある一つの方向から粒子を観察した際に観察される形状において該形状の外周の全長と面積から下記数式に従い、決定される。
なおここで、C:円形度、L:外周の全長、A:面積、n:測定数(30個)である。
本発明の樹脂粒子は、真球度が、70以上90以下であることが好ましい。真球度が70以上であれば、化粧品や塗料に良好な滑り性をさらに付与することが可能である。真球度が90以下であれば場合、粒子に凹凸が形成されており、入射光に対する反射がランダムになるため、ソフトフォーカス性が向上する。
なお、粒子の真球度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、その短径と長径から下記数式に従い、決定される。
なおここで、S:真球度、a:長径、b:短径、n:測定数(30個)である。
樹脂粒子の中実性は、樹脂粒子がアマニ油を吸収する量で表すことが可能である。即ち、中実であるほど内部にアマニ油を担持できなくなるため、吸油量が少なくなる。本発明の樹脂粒子のアマニ油吸油量は、30mL/100g以上150mL/100g以下である。アマニ油吸油量が30mL/100g未満の場合、表面が平滑になりすぎており、ソフトフォーカス性が低下する。アマニ油吸油量は50mL/100g以上がより好ましい。一方、アマニ油吸油量が150mL/100gを超えると、化粧品や塗料として用いたときに滑り性が低下する。アマニ油吸油量は120mL/100g以下が好ましく、90mL/100g以下がより好ましい。
なお、アマニ油吸油量は、日本工業規格(JIS規格)JIS K 5101「顔料試験方法 精製あまに油法」に準じて測定される。
海洋生分解性とは、海水中の微生物によって分解されることを示す。具体的には、100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた23℃の海水中に2ヵ月間静置した後、試験前後の樹脂粒子の重量を測定し、試験後の重量保持率が85%以下であった場合、海洋生分解性を有するとする。海水中での分解速度が速いほど環境への負荷が低いことから、重量保持率は80%以下が好ましく、75%以下がより好ましい。海洋生分解性は、用いられるポリマーの化学構造や樹脂粒子に対する海水の浸潤性などの要因に依存すると考えられるが、樹脂粒子を構成するポリマーとして、4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を全繰り返し単位の50モル%以上のポリマーを主成分とし、また、アマニ油吸油量として30mL/100g以上とすることによって獲得することができる。また、多価アルコールを含有することは海洋生分解性を高める上で有利である。
本発明の樹脂粒子は、例えば、以下の製造方法によって製造することができる。
まず、多価アルコールと溶媒の混合液中に、ポリマー(A)を添加し、ポリマー(A)の結晶化温度以上で溶解させてエマルジョンを形成させる。その後、溶媒を排出させることで樹脂粒子を製造することができる。このような方法を用いることで、従来の方法では困難であった、ソフトフォーカス性、滑り性、保湿性、海洋生分解性を有した樹脂粒子を得ることができる。なお、樹脂粒子の形成ができるのであれば、溶媒の排出時に多価アルコールの一部が排出されたとしても差し支えない。
上記の方法に拠れば、エマルジョンからの溶媒の排出に従い、徐々に多価アルコール中にポリマー(A)が析出するため、中実でかつ表面に凹凸が存在する樹脂粒子が得られると考えられる。
なお、採用する条件によっては前記の工程において、多価アルコールの一部がポリマー(A)の一部として化学結合する場合がある。
上記の製造方法で用いる溶媒は、ポリマー(A)を溶解させることができるものである。用いうる溶媒としては、ポリマー(A)を溶解させることができれば特に限定されないが、具体的な例としては、水、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム等の環状アミド等が挙げられる。樹脂粒子を製造する際に系外に排出しやすく、環境負荷が小さい点から水が最も好ましい。
具体的には、ポリ4−アミノブタン酸を使用してポリマー(A)が製造された場合、多価アルコールとしてポリエチレングリコール、溶媒として水を用い、多価アルコールと溶媒の混合液にポリマー(A)を添加し、ポリマー(A)の結晶化温度以上にすることで、ポリマー(A)/溶媒と多価アルコールのエマルションが形成される。その後、溶媒である水を系外に排出することで、樹脂粒子を製造することが可能となる。
中実ポリアミド粒子の製造方法としては、例えば国際公開WO2009/142231号公報や国際公開WO2018/207728号公報に記載の方法が挙げられるが。しかし、上記説明した製造方法は、ポリマー(A)の貧溶媒を接触させることにより樹脂粒子を析出させるのではなく、溶媒を揮発などの手段で系外への排出を行って樹脂粒子を析出させる点で国際公開WO2009/142231号公報に記載の製造方法とは異なる。また、重合開始時にポリアミドの単量体と多価アルコールとを均一に溶解させ、重合後にポリアミド微粒子を析出させる国際公開WO2018/207728号公報に記載の方法とは異なり、多価アルコールと溶媒の混合液にポリマー(A)を添加して溶解させて樹脂粒子を得ている。
ポリマー(A)と溶媒の配合時の質量比は、ポリマー(A)/溶媒として表すと、0.1/99.9以上30/70以下であることが好ましい。ポリマー(A)/溶媒の質量比の下限を0.1/99.9以上とすることで、多価アルコールと、ポリマー(A)および溶媒とを容易に相分離させることができる。前記の質量比は1/99以上がより好ましく、2/98以上がさらに好ましい。一方、ポリマー(A)/溶媒の質量比の上限としては、30/70とすることで、ポリアミド樹脂(A)を溶媒中に容易に溶解させることができる。前記の質量比は20/80以下がより好ましく、10/90以下がさらに好ましい。
また、ポリマー(A)/溶媒の総量を100質量部とすると、用いられる多価アルコールの量は10質量部以上200質量部以下であることが好ましい。多価アルコールの量が200質量部以下であれば、所望の粒径の粒子を得ることができ、また、化粧品や塗料として用いたときに滑り性が高い粒子を得ることができる。多価アルコールの量はポリマー(A)/溶媒の総量100質量部に対して150質量部以下とすることがより好ましく、120質量部以下とすることがさらに好ましい。一方、多価アルコールの量が10質量部以上であれば、粒子の合一を抑制することができ、粒子径分布指数を低くすることができる。多価アルコールの量はポリマー(A)/溶媒の総量100質量部に対して20質量部以上がより好ましく、40質量部以上がさらに好ましい。
ポリマー(A)の溶解温度および溶媒を排出させる温度は、溶媒の常圧における沸点以上であり、かつポリマー(A)が溶媒に溶解している温度であれば特に制限が無いが、ポリマー(A)を中実かつ多孔質でない形状に制御できる観点から、ポリマー(A)の結晶化温度以上の温度とすることが好ましい。
ここで、結晶化温度は、示差走査熱量計を用いて、不活性ガス雰囲気下、30℃からポリアミドの融点を示す吸熱ピークから30℃高い温度まで20℃/分の速度で昇温した後に1分間保持し、20℃/分の速度で30℃まで温度を冷却させる際に出現する発熱ピークのピーク頂点の温度とする。ただし、発熱ピークが2つ以上検出される場合には、ピーク強度の最も大きい発熱ピークのピーク頂点の温度を結晶化温度とする。
ポリマー(A)の溶解時間は、適宜調整可能であるが、0.1時間以上70時間以下の範囲であることが好ましい。ポリマー(A)の溶解時間が0.1時間以上であれば、ポリマー(A)が溶媒に溶解させる時間を十分に確保することができる。溶解時間は0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。ポリマー(A)の溶解時間70時間以下であれば、ポリマー(A)の劣化や着色、多価アルコールの劣化などを防ぐことができる。溶解時間は50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
溶媒を排出させる時間は、適宜調整可能であるが、0.1時間以上70時間の範囲であることが好ましい。溶媒を排出させる時間が0.1時間以上であれば、溶媒を排出させる時間を十分に確保でき、また、ポリマー(A)と多価アルコールとの反応を進行させることができる。溶媒を排出させる時間は0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。溶媒の排出時間が70時間以下であれば、ポリマー(A)の劣化や着色、多価アルコールの劣化などを防ぐことができる。溶媒の排出時間は50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
また、溶媒を排出後、さらにポリマー(A)と多価アルコールの懸濁液をポリマー(A)の結晶化温度以上で保持することも好ましい。保持時間は、適宜調整可能であるが、0.1時間以上70時間以下の範囲であることが好ましい。保持時間が0.1時間以上であれば、ポリアミド樹脂(A)と多価アルコールの反応を進行させることができる。0.2時間以上がより好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上が特に好ましい。保持時間が70時間以下であれば、ポリアミドの劣化や着色、多価アルコールの劣化など進行を防ぐことができる。50時間以下がより好ましく、25時間以下がさらに好ましく、10時間以下が特に好ましい。
本発明では、粒径の制御や粒度分布を均一にするため、ポリマー(A)の溶解工程、溶媒排出工程、ポリマー(A)の結晶化温度以上での保持工程において撹拌を行うことが好ましい。撹拌装置としては、撹拌翼や溶融混練機、ホモジナイザーなど公知の装置を使用することが可能であり、例えば撹拌翼の場合、プロペラ、パドル、フラット、タービン、コーン、アンカー、スクリュー、ヘリカル型などが挙げられる。撹拌速度は、大型装置でも熱を均質に伝える一方、壁面へ液が付着して配合比などが変化することを防ぐ観点から、0rpm以上2,000rpm以下であることが好ましい。撹拌速度の下限としては、より好ましくは10rpm以上、さらに好ましくは30rpm以上、特に好ましくは50rpm以上であり、撹拌速度の上限としては、1,600rpm以下がより好ましく、1,200rpm以下がさらに好ましく、800rpm以下が特に好ましい。
樹脂粒子と多価アルコールの混合物から樹脂粒子を単離するには、重合終了時点の混合物をポリマー(A)の貧溶媒中に吐出した後に単離する方法、または反応槽中に樹脂粒子の貧溶媒を加えた後に単離する方法などが挙げられる。樹脂粒子同士が合着して粒子径分布が広くなることを防ぐ観点から、ポリマー(A)の融点以下、より好ましくは結晶化温度以下にまで冷却した後に、混合物をポリマー(A)の貧溶媒中に吐出し単離する方法、またはポリマー(A)の融点以下、より好ましくは結晶化温度以下にまで冷却した貧溶媒中に吐出する方法などが好ましい。
ポリマー(A)の貧溶媒としては、ポリマー(A)を溶解せず、多価アルコールを溶解する溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては適宜選択できるが、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。
本発明の樹脂粒子の洗浄、単離、乾燥は公知の方法で実施することが可能である。樹脂粒子への付着物や内包物を除去するための洗浄方法としては、リスラリー洗浄などを使用することができ、適宜加温しても構わない。洗浄で使用する溶媒としては、樹脂粒子を溶解せず、多価アルコールを溶解する溶媒であれば制限はないが、経済性の観点からメタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましく用いられる。単離は、減圧や加圧ろ過、デカンテーション、遠心分離、スプレードライなど適宜選択できる。乾燥は、樹脂粒子の融点以下で実施するのが好ましく、減圧しても構わない。風乾、熱風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥や凍結乾燥などが選択される。
本発明の樹脂粒子は、本発明の目的を損なわない範囲において、他の添加剤を含有していてもよい。具体例としては、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤などが挙げられる。含有量としては適宜選択できるが、樹脂粒子100質量%に対して1質量%以下含有していることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態をさらに具体的に説明する。しかし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるべきものではないことは明らかである。特性評価は下記の方法に従って行った。
[平均粒子径および粒子径分布指数]
粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子をサンプリングしてその直径を測定し、算術平均を求めることにより算出した。粒子が真円状でない場合、例えば楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子の粒子径とした。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき算出した。
粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に100個の粒子をサンプリングしてその直径を測定し、算術平均を求めることにより算出した。粒子が真円状でない場合、例えば楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子の粒子径とした。また粒子径分布指数は、上記で得られた粒子径の値を、下記数値変換式に基づき算出した。
なおここで、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数(100個)、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数である。
[円形度]
粒子の円形度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、ある一つの方向から粒子を観察した際に観察される形状において該形状の外周の全長と面積から下記数式に従い、決定した。
粒子の円形度は、走査型電子顕微鏡写真から無作為に30個の粒子を観察し、ある一つの方向から粒子を観察した際に観察される形状において該形状の外周の全長と面積から下記数式に従い、決定した。
なおここで、C:円形度、L:外周の全長、A:面積、n:測定数(30個)である。
[アマニ油吸油量]
日本工業規格(JIS規格)JISK5101“顔料試験方法 精製あまに油法”に準じ、粒子約100mgを時計皿に載せて精秤し、精製アマニ油(関東化学株式会社製)をビュレットで1滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで練りこんだ後に、試料の塊ができるまで滴下−練りこみを繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになった点を終点とし、滴下に使用した精製アマニ油の量と以て吸油量(mL/100g)とした。
日本工業規格(JIS規格)JISK5101“顔料試験方法 精製あまに油法”に準じ、粒子約100mgを時計皿に載せて精秤し、精製アマニ油(関東化学株式会社製)をビュレットで1滴ずつ徐々に加え、パレットナイフで練りこんだ後に、試料の塊ができるまで滴下−練りこみを繰り返し、ペーストが滑らかな硬さになった点を終点とし、滴下に使用した精製アマニ油の量と以て吸油量(mL/100g)とした。
[ポリマーの分子量]
ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリメチルメタクリレートによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、試料約3mgをヘキサフルオロイソプロパノール約3gに溶解し調製した。
装置:Waters e−Alliance GPC system
カラム:昭和電工株式会社製HFIP−806M×2
移動相:5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:1.0ml/分
温度:30℃
検出:示差屈折率計 。
ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリメチルメタクリレートによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。測定サンプルは、試料約3mgをヘキサフルオロイソプロパノール約3gに溶解し調製した。
装置:Waters e−Alliance GPC system
カラム:昭和電工株式会社製HFIP−806M×2
移動相:5mmol/Lトリフルオロ酢酸ナトリウム/ヘキサフルオロイソプロパノール
流速:1.0ml/分
温度:30℃
検出:示差屈折率計 。
[多価アルコールの含有量]
樹脂粒子を1H−NMR測定に供してポリマー(A)及び多価アルコールの化学構造を特定し、さらに、樹脂粒子中の多価アルコールの含有比率を求め、樹脂粒子の質量に占める多価アルコールの質量を求めた。1H−NMR測定は日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)を使用し、溶媒:重ヘキサフルオロイソプロパノール、観測周波数:OBFRQ399.65MHz、OBSET124.00KHz、OBFIN10500.00Hz、積算回数:256回の条件にて測定した。
樹脂粒子を1H−NMR測定に供してポリマー(A)及び多価アルコールの化学構造を特定し、さらに、樹脂粒子中の多価アルコールの含有比率を求め、樹脂粒子の質量に占める多価アルコールの質量を求めた。1H−NMR測定は日本電子(株)製核磁気共鳴装置(JNM−AL400)を使用し、溶媒:重ヘキサフルオロイソプロパノール、観測周波数:OBFRQ399.65MHz、OBSET124.00KHz、OBFIN10500.00Hz、積算回数:256回の条件にて測定した。
なお、樹脂粒子中に4−アミノブタン酸に由来する構造単位または3−アミノプロパン酸に由来する構造単位と多価アルコールに由来する構造単位とを含む共重合体の状態では存在していない多価アルコールについてはソックスレー抽出器によって抽出し、定性・定量分析を行って求めることも可能である。
[ソフトフォーカス性]
幅40mm×長さ40mm×厚さ2mmの黒色樹脂板の中心に、20mm×20mmにカットした両面テープを貼付し、粘着面に粒子を均一に付着させ、付着しなかった粒子を圧縮空気で除去した。続いて自動変角光度計(ゴニオフォトメーター GP200株式会社村上色彩技術研究所 製)を用い、樹脂板(樹脂粒子)の法線(0°)に対して−45°の投光角度で、ハロゲンランプを光源とした光を入射させ、反射光の反射角−90°〜+90°における光度分布を測定した。 反射光強度分布の測定により得られた反射角0°、+45°(正反射方向)における反射光強度データ(ピーク光度データ)から、下記式により反射光強度分布指数を求めた。
反射光強度分布指数=(反射角0°の反射光強度)/(反射角45°の反射光強度)
反射光強度分布指数が大きいほど、ソフトフォーカス性に優れる。
幅40mm×長さ40mm×厚さ2mmの黒色樹脂板の中心に、20mm×20mmにカットした両面テープを貼付し、粘着面に粒子を均一に付着させ、付着しなかった粒子を圧縮空気で除去した。続いて自動変角光度計(ゴニオフォトメーター GP200株式会社村上色彩技術研究所 製)を用い、樹脂板(樹脂粒子)の法線(0°)に対して−45°の投光角度で、ハロゲンランプを光源とした光を入射させ、反射光の反射角−90°〜+90°における光度分布を測定した。 反射光強度分布の測定により得られた反射角0°、+45°(正反射方向)における反射光強度データ(ピーク光度データ)から、下記式により反射光強度分布指数を求めた。
反射光強度分布指数=(反射角0°の反射光強度)/(反射角45°の反射光強度)
反射光強度分布指数が大きいほど、ソフトフォーカス性に優れる。
[触感]
樹脂粒子について、15名のパネラーによる官能評価を実施した。評価方法は、粒子少量(0.02g程度)を一方の手の甲に乗せ、もう一方の手の3本の指で粒子をこすり合わせ、「滑り性」、「保湿性(しっとり感)」の2項目について官能試験を行った。それぞれの項目につき、下記のとおり評点をつけたときの15人の合計点および標準偏差を求めた。各項目の合計点が高い方が、効果が優れている。また、標準偏差が小さい方が、評価のバラツキが小さく、優れている。
「滑り性」
4点:滑らかである
3点:やや滑らかである
2点:やや引っかかりがある
1点:引っかかりがある
「保湿性(しっとり感)」
4点:しっとりしている
3点:ややしっとりしている
2点:しっとり感がすくない
1点:しっとり感がない 。
樹脂粒子について、15名のパネラーによる官能評価を実施した。評価方法は、粒子少量(0.02g程度)を一方の手の甲に乗せ、もう一方の手の3本の指で粒子をこすり合わせ、「滑り性」、「保湿性(しっとり感)」の2項目について官能試験を行った。それぞれの項目につき、下記のとおり評点をつけたときの15人の合計点および標準偏差を求めた。各項目の合計点が高い方が、効果が優れている。また、標準偏差が小さい方が、評価のバラツキが小さく、優れている。
「滑り性」
4点:滑らかである
3点:やや滑らかである
2点:やや引っかかりがある
1点:引っかかりがある
「保湿性(しっとり感)」
4点:しっとりしている
3点:ややしっとりしている
2点:しっとり感がすくない
1点:しっとり感がない 。
[海洋生分解性]
目開き30μmのメッシュで異物を除去した海水100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた。
目開き30μmのメッシュで異物を除去した海水100mLに対し0.05gの塩化アンモニウムと、同0.01gのリン酸2カリウムを加えた。
この海水調製液に、粒子2.0gを加え、水温を23℃に保ち、2ヵ月間静置した。なお、海水は愛知県知多市の港湾部から採取し、1ヶ月に1度海水の入れ替えを実施した。試験後の粒子をメンブレンフィルターで濾集し、60℃で24時間真空乾燥した後の粒子の重量を測定し、重量保持率((試験後の粒子の重量)/(試験前の粒子の重量(2.0g))×100(%))を求めた。重量保持率が85%以下であった場合、海洋生分解性を有するとした。
参考例1(A−1)
50℃油浴中にて400mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)127.7g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)3.37gを加え、溶解させた。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム3.81gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後にエタノールで洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、ポリ4−アミノブタン酸A−1を得た。得られたA−1の重量平均分子量(Mw)は52,000であった。得られたポリマーの全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
50℃油浴中にて400mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)127.7g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)3.37gを加え、溶解させた。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム3.81gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後にエタノールで洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、ポリ4−アミノブタン酸A−1を得た。得られたA−1の重量平均分子量(Mw)は52,000であった。得られたポリマーの全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
参考例2(A−2)
50℃油浴中にて400mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)127.7g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)6.74gを加え、溶解させた。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム7.62gを加え、系内を窒素で置換した後、20分重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後にエタノールで洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、ポリ4−アミノブタン酸A−2を得た。得られたA−2の重量平均分子量(Mw)は7,600であった。得られたポリマーの全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
50℃油浴中にて400mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)127.7g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)6.74gを加え、溶解させた。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム7.62gを加え、系内を窒素で置換した後、20分重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後にエタノールで洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、ポリ4−アミノブタン酸A−2を得た。得られたA−2の重量平均分子量(Mw)は7,600であった。得られたポリマーの全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
参考例3(A−3)
50℃油浴中にて400mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)127.7g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)1.69gを加え、溶解させた。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム1.91gを加え、系内を窒素で置換した後、3時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後にエタノールで洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、A−3を得た。得られたA−3の重量平均分子量(Mw)は110,800であった。得られたポリマーの全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
50℃油浴中にて400mLのフラスコ中に2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)127.7g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)1.69gを加え、溶解させた。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム1.91gを加え、系内を窒素で置換した後、3時間重合し塊状物を得た。得られた塊状物を粉砕した後にエタノールで洗浄し、80℃で24時間真空乾燥することで、A−3を得た。得られたA−3の重量平均分子量(Mw)は110,800であった。得られたポリマーの全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[実施例1]
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、1.8kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[実施例2]
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、1.8kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[実施例2]
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例3]
3LのオートクレーブにA−2を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−2を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例4]
3LのオートクレーブにA−3を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−3を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例5]
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させ、0kg/cm2になると同時に窒素を1時間流しながら加熱を維持した。その後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させ、0kg/cm2になると同時に窒素を1時間流しながら加熱を維持した。その後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例6]
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール200)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を20g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール200)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例7]
3LのオートクレーブにA−1を40g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を40g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[実施例8]
3LのオートクレーブにA−1を60g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を60g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[比較例1]
3LのオートクレーブにA−1を100g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を100g、ポリエチレングリコール(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリエチレングリコール20,000)1000g、溶媒として水1,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.0kg/cm2であった。その後、0.1kg/cm2・分の速度で放圧させて水を除去し、系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた。系内の圧力を0kg/cm2にまで低下させた後、内温が80℃となるまでオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を5L中のエタノール中に吐出して、エタノールに可溶成分を溶解させた。得られた懸濁液の濾過を行い、濾集物をエタノールで洗浄した。洗浄後に再度濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、99モル%であった。
[比較例2]
3LのオートクレーブにA−1を40g、溶媒として水2,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cm2であった。その後、内温が30℃となるまで、60rpmで攪拌しつつ送風してオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を40g、溶媒として水2,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cm2であった。その後、内温が30℃となるまで、60rpmで攪拌しつつ送風してオートクレーブを冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[比較例3]
3LのオートクレーブにA−1を40g、溶媒として水2,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cm2であった。その後、内温が30℃となるまで、オートクレーブを自然冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
3LのオートクレーブにA−1を40g、溶媒として水2,000gを加え密封後、窒素で10kg/cm2まで置換した。窒素を放出させながら系の圧力を0.1kg/cm2に調整後、温度を200℃まで昇温し、60rpmで2時間攪拌した。このとき、系内の圧力は9.3kg/cm2であった。その後、内温が30℃となるまで、オートクレーブを自然冷却した後、系中の懸濁液を吐出した。懸濁液の濾過を行い、得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
[比較例4]
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム3.81gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
300mLのセパラブルフラスコ中に、2−ピロリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)8.51g、カリウムt−ブトキシド(東京化成工業株式会社製)0.22g、流動パラフィン(富士フイルム和光純薬株式会社製)180gを加え、50℃油浴中にて600rpmで攪拌した。開始剤として1−アセチル−2−カプロラクタム3.81gを加え、系内を窒素で置換した後、1時間重合した。得られた懸濁液は、イソブタノールおよびエタノールで洗浄した。洗浄後に濾集して得られた濾集物を、60℃で24時間真空乾燥し、樹脂粒子を得た。樹脂粒子を構成するポリマー中の全繰り返し単位における、4−アミノブタン酸由来の構造のモル分率は、100モル%であった。
各実施例および比較例において求めた測定結果および評価結果を表1、表2に示す。なお、各実施例において粒子の真球度は70以上90以下の範囲に収まっていた。
本発明の樹脂粒子は、良好なソフトフォーカス性、滑り性、保湿性を示し、塗料、インク、トナー光拡散剤、艶消し剤、化粧品の添加剤および医療用担体などに好適に利用できる。更に海洋生分解性を有するため、使用後の廃棄が容易となり、環境負荷を低減できる。
Claims (5)
- 4−アミノブタン酸または3−アミノプロパン酸由来の構造を繰り返し単位として有しており、これらの構造が全繰り返し単位の50モル%以上であるポリマー(以下、ポリマー(A)と称する)を主成分として構成された樹脂粒子であって、該粒子の数平均粒子径が0.1μm以上100μm以下、粒子径分布指数が1.0以上3.0以下、円形度が0.50以上0.98以下、アマニ油吸油量が30mL/100g以上150mL/100g以下である樹脂粒子。
- 樹脂粒子の質量を100質量%としたとき、多価アルコールを0.01質量%以上10質量%以下含んでなる、請求項1に記載の樹脂粒子。
- 前記多価アルコールがポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の樹脂粒子。
- 多価アルコールと溶媒の混合液中に、ポリマー(A)を添加し、ポリマー(A)の結晶化温度以上で溶解させてエマルジョンを形成する工程、該エマルジョンの形成の後、溶媒を排出させて粒子化を行う工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。
- 前記の溶媒が水である、請求項4に記載の樹脂粒子の製造方法。
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