JP6780558B2 - Cr含有合金の腐食抑制方法 - Google Patents
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Description
SO3 → SO2+1/2O2(SO3の分解:≧850℃)
2HI → H2+I2(ヨウ化水素の分解:400℃)
SO2+I2+2H2O → 2HI+H2SO4(ブンゼン反応:200℃)
H2O → H2+1/2O2(全体反応)
前記反応器の外部から、前記反応器内にSO2を供給する、
Cr含有合金の腐食抑制方法。
上記(1)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(1)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(3)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(3)または(4)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(3)または(4)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(5)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(6)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(2)、(5)または(7)に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
上記(1)から(9)までのいずれかに記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
本発明の一実施形態に係る腐食抑制方法においては、SO2とSO3とを、混合ガスとして同時に反応器内に供給する。このような構成にすることによって、反応系が流通式の場合には触媒層の前の上流側、バッチ式の場合には反応初期であっても、SO3による腐食を抑制することが可能になる。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、Crと結合し結晶粒界にCr炭化物として析出し、合金の高温強度を高める効果を有する元素である。しかし過剰に含有させると、靭性が悪化する。また結晶粒界にCr欠乏層を形成し、耐粒界腐食性を損ねることがある。そのため、C含有量は0.001〜0.6%とする。C含有量は0.002%以上であるのが好ましい。また、C含有量は0.45%以下であるのが好ましく、0.3%以下であるのがより好ましい。
Siは、酸素との親和力が強いため、Crを主体とする皮膜を均一に形成させる作用を有する。しかし過剰に含有させると、溶接性が劣化し、組織も不安定になる。そのため、Si含有量は0.01〜5.0%とする。Si含有量は0.03%以上であるのが好ましい。また、Si含有量は3.0%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。
Mnは、脱酸および加工性改善の効果を有する元素である。また、Mnはオーステナイト生成元素であることから、高価なNiの一部を置換することも可能である。しかし過剰に含有させると、クロム酸化物皮膜を母材酸化によって形成する場合にその生成を阻害するだけでなく、母材の加工性および溶接性を劣化させるおそれがある。そのため、Mn含有量は0.1〜10.0%とする。Mn含有量は5.0%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。
S:0.05%以下
PおよびSは、結晶粒界に偏析し、熱間加工性を劣化させる。そのため、極力低減することが好ましい。しかしながら、過剰な低減はコスト高を招くため、P含有量は0.08%以下、S含有量は0.05%以下であれば許容される。P含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.04%以下であるのがより好ましい。また、S含有量は0.03%以下であるのが好ましく、0.015%以下であるのがより好ましい。
Crは、オーテナイト合金の耐食性を中心的に担う元素である。母材の酸化または腐食などによってCr2O3を生じ、触媒性と耐食性とを発揮する。しかし過剰に含有させると、管製造性および使用中の高温での組織安定性を低下させる。そのため、Cr含有量は15.0〜55.0%とする。Cr含有量は20.0%以上であるのが好ましく、22.0%以上であるのがより好ましい。また、加工性とともに組織安定性の劣化を防止するためには、Cr含有量は35.0%以下であるのが好ましく、33.0%以下であるのがより好ましい。
Niは、Cr含有量に応じて安定したオーステナイト組織を得るために必要な元素である。また、Cが鋼中に侵入した場合、侵入速度を低減する働きがある。しかし過剰に含有させると、コスト高につながるだけでなく製造性の悪化を招く。そのため、Ni含有量は8.0〜70.0%とする。Ni含有量は20.0%以上であるのが好ましい。また、Ni含有量は60.0%以下であるのが好ましく、50.0%以下であるのがより好ましい。
Nは、高温強度改善に有効な元素である。しかし過剰に含有させると、加工性を大きく阻害する。そのため、N含有量は0.001〜0.25%とする。N含有量は0.002%以上であるのが好ましく、0.2%以下であるのが好ましい。
Moは、固溶強化元素として高温強度向上に有効な元素であり、硫酸または塩酸を含む超強酸環境における耐食性を向上させる元素である。特に硫黄とはMoS皮膜を作り耐食性を増進することも考えられる。しかし過剰に含有させると、シグマ相の析出を促進するため、溶接性および加工性の劣化を招く。そのため、Mo含有量は0.1%を超えて20.0%以下とする。Mo含有量は3.0%超であるのが好ましく、10.0%以下であるのが好ましい。
O(酸素)は、不純物として存在する元素である。O含有量が0.02%を超えると、鋼中に酸化物系介在物が多量存在し、加工性が低下するだけでなく、鋼管表面疵の原因になる。そのため、O含有量は0.02%以下とする。
Cuは、オーステナイト相を安定にするとともに、高温強度向上に有効であり、またMoと同じく硫酸または塩酸を含む超強酸環境における耐食性を向上させる元素である。そのため、Cuを必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、著しく熱間加工性を低下させる。したがって、Cu含有量は5.0%以下とする。上記の効果を得るためには、Cu含有量は0.01%以上とするのが好ましい。Cu含有量は0.5%以上であるのが好ましく、3.5%以下であるのが好ましい。この範囲では、耐食性を発揮し、かつ、加工性も担保される。Cu含有量は1.0%以上であるのがより好ましく、3.0%以下であるのがより好ましい。
Coは、オーステナイト相を安定にするため、Niの一部を置換することができる。そのため、Coを必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、著しく熱間加工性を低下させる。したがって、Co含有量は5.0%以下とする。Co含有量は3.0%以下であるのが好ましい。上記の効果を得るためには、Co含有量は0.01%以上とするのが好ましい。
Ta:0〜6.0%
WおよびTaは、いずれも固溶強化元素として高温強度向上に有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、加工性を劣化させるだけでなく組織安定性を阻害する。したがって、W含有量は10.0%以下とし、Ta含有量は、6.0%以下とする。W含有量は8.0%以下であるのが好ましい。また、Ta含有量は2.5%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。上記の効果を得るためには、WおよびTaの少なくとも一方の含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Ti:0〜1.0%
NbおよびTiは、極微量の添加であっても、高温強度、延性および靱性の改善に大きく寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、加工性および溶接性を劣化させる。したがって、Nb含有量は5.0%以下とし、Ti含有量は1.0%以下とする。上記の効果を得るためには、NbおよびTiの少なくとも一方の含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Mg:0〜0.1%
Ca:0〜0.1%
Al、MgおよびCaは、いずれも熱間加工性を改善するのに有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、溶接性を劣化させる。したがって、Al含有量は1.0%以下とし、MgおよびCaの含有量は、いずれも0.1%以下とする。Al含有量は0.6%以下であるのが好ましく、MgおよびCaの含有量は、いずれも0.06%以下であるのが好ましい。上記の効果を得るためには、Al:0.01%以上、Mg:0.0005%以上およびCa:0.0005%以上から選択される1種以上を含有させるのが好ましい。また、MgおよびCaの含有量は0.001%以上であるのがより好ましい。
上述のように、合金表面にクロム酸化物皮膜が形成されている場合には、当該皮膜がSO2の吸着サイトとしての機能を発揮し、SO3による腐食を抑制する効果が向上する。合金中に所定量以上のCrを含有する場合においては、SO3の腐食環境中で、Cr含有合金の表面にクロム酸化物皮膜が形成される。しかし、皮膜が形成される間も母材の腐食は進行する。さらに、皮膜中に硫黄が取りこまれると、皮膜のバリア性が低下するおそれがある。
耐食試験用の石英管に10mm×50mm×2mmに切断した試料を置き、アルゴンガスを流しながら850℃に加熱した。次いで濃硫酸を、マイクロポンプを用いて上流側から供給し、気化・分解させてSO3を発生させ、純アルゴンまたはSO2を含有したアルゴンガスを流しながら、9体積%のSO3を含むガスとして流通させた。100時間経過後、試料の試験前後の重量の差により腐食減量を測定した。さらに母材の腐食状況をEPMA、皮膜の形態の変化をXPSにより追跡することで、皮膜の耐食性を総合的に評価した。
上記耐食性の評価に用いた流通系評価装置のガス出口に設置した酸素濃度計でSO3の分解試験後の酸素(SO3→SO2+1/2O2)を測定し、SO3分解性を評価した。表2〜4に、各種条件での耐食試験の結果を示す。
表2を参照して、合金1を用いた場合、SO2を外部から供給していない試験No.5に比べて、SO2を供給した試験No.1〜4では、SO2の供給量の増加に伴って腐食減量は低下し、腐食が抑制されることが分かる。ただし、SO2の供給量の増加と共にSO3分解率は低下しており、特にSO3濃度(体積%)に対するSO2濃度(体積%)の比が、0.2を超えると分解率は10%を下回っていた。
Claims (10)
- 500〜1000℃の温度範囲において、SO3を分解する反応器の内面に用いられるCr含有合金の腐食を抑制する方法であって、
前記反応器の外部から、前記反応器内にSO2を供給する、
Cr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記SO2と前記SO3とを、混合ガスとして同時に前記反応器内に供給する、
請求項1に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記反応器内に前記SO3を供給する前に、前記SO2をSO2含有ガスとして供給し、前記SO2を前記反応器の内面に接触させる、
請求項1に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記SO2含有ガス中のSO2濃度が、体積%で、0.5〜100%である、
請求項3に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記SO3を、前記SO2との混合ガスとして供給する、
請求項3または請求項4に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記SO3の供給の前または同時に、前記SO2含有ガスの供給を停止する、
請求項3または請求項4に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記SO2含有ガスの供給を開始してから、前記混合ガスの供給を開始するまでの時間が、1分以上である、
請求項5に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記SO2含有ガスの供給を開始してから停止するまでの時間が、1分以上である、
請求項6に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記混合ガス中のSO3濃度(体積%)に対するSO2濃度(体積%)の比が、0.001〜0.2である、
請求項2、請求項5または請求項7に記載のCr含有合金の腐食抑制方法。 - 前記Cr含有合金が、表面にクロム酸化物皮膜を有する、
請求項1から請求項9までのいずれかに記載のCr含有合金の腐食抑制方法。
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