JP6844486B2 - オーステナイト合金材の製造方法 - Google Patents
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SO3 → SO2+1/2O2(SO3の分解:≧850℃)
2HI → H2+I2(ヨウ化水素の分解:400℃)
SO2+I2+2H2O → 2HI+H2SO4(ブンゼン反応:200℃)
H2O → H2+1/2O2(全体反応)
質量%で、
C:0.001〜0.6%、
Si:0.01〜5.0%、
Mn:0.1〜10.0%、
P:0.08%以下、
S:0.05%以下、
Cr:15.0〜55.0%、
Ni:40.0〜70.0%、
N:0.001〜0.25%、
O:0.02%以下、
Mo:0%を超えて20.0%以下、
Cu:0.5〜7.5%、
Co:0〜5.0%、
W:0〜10.0%、
Ta:0〜6.0%、
Nb:0〜5.0%、
Ti:0〜1.0%、
B:0〜0.1%、
Zr:0〜0.1%、
Hf:0〜0.1%、
Al:0〜1.0%、
Mg:0〜0.1%、
Ca:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である化学組成を有する母材を、
硫黄化合物を含むガス雰囲気中で加熱する、
オーステナイト合金材の製造方法。
Cu:1.0〜5.0%、
を含有する、
上記(1)に記載のオーステナイト合金材の製造方法。
上記(1)または(2)に記載のオーステナイト合金材の製造方法。
上記(1)から(3)までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。
上記(1)から(4)までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。
上記(1)から(5)までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。
上記(6)に記載のオーステナイト合金材の製造方法。
上記(1)から(7)までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、Crと結合し結晶粒界にCr炭化物として析出し、合金の高温強度を高める効果を有する元素である。しかし過剰に含有させると、靭性が悪化する。また結晶粒界にCr欠乏層を形成し、耐粒界腐食性を損ねることがある。そのため、C含有量は0.001〜0.6%とする。C含有量は0.002%以上であるのが好ましい。また、C含有量は0.45%以下であるのが好ましく、0.3%以下であるのがより好ましい。
Siは、酸素との親和力が強いため、Crを主体とする皮膜を均一に形成させる作用を有する。しかし過剰に含有させると、溶接性が劣化し、組織も不安定になる。そのため、Si含有量は0.01〜5.0%とする。Si含有量は0.03%以上であるのが好ましい。また、Si含有量は3.0%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。
Mnは、脱酸および加工性改善の効果を有する元素である。また、Mnはオーステナイト生成元素であることから、高価なNiの一部を置換することも可能である。しかし過剰に含有させると、クロム酸化物皮膜を母材酸化によって形成する場合にその生成を阻害するだけでなく、母材の加工性および溶接性を劣化させるおそれがある。そのため、Mn含有量は0.1〜10.0%とする。Mn含有量は5.0%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。
S:0.05%以下
PおよびSは、結晶粒界に偏析し、熱間加工性を劣化させる。そのため、極力低減することが好ましい。しかしながら、過剰な低減はコスト高を招くため、P含有量は0.08%以下、S含有量は0.05%以下であれば許容される。P含有量は0.05%以下であるのが好ましく、0.04%以下であるのがより好ましい。また、S含有量は0.03%以下であるのが好ましく、0.015%以下であるのがより好ましい。
Crは、オーテナイト合金の耐食性を中心的に担う元素である。母材の酸化または腐食などによってCr2O3を生じ、触媒性と耐食性とを発揮する。しかし過剰に含有させると、管製造性および使用中の高温での組織安定性を低下させる。そのため、Cr含有量は15.0〜55.0%とする。Cr含有量は20.0%以上であるのが好ましく、22.0%以上であるのがより好ましい。また、加工性とともに組織安定性の劣化を防止するためには、Cr含有量は35.0%以下であるのが好ましく、33.0%以下であるのがより好ましい。
Niは、Cr含有量に応じて安定したオーステナイト組織を得るために必要な元素である。また、Cが鋼中に侵入した場合、侵入速度を低減する働きがある。しかし過剰に含有させると、コスト高につながるだけでなく製造性の悪化を招く。そのため、Ni含有量は40.0〜70.0%とする。Ni含有量は60.0%以下であるのが好ましい。
Nは、高温強度改善に有効な元素である。しかし過剰に含有させると、加工性を大きく阻害する。そのため、N含有量は0.001〜0.25%とする。N含有量は0.002%以上であるのが好ましく、0.20%以下であるのが好ましい。
O(酸素)は、不純物として存在する元素である。O含有量が0.02%を超えると、鋼中に酸化物系介在物が多量存在し、加工性が低下するだけでなく、鋼管表面疵の原因になる。そのため、O含有量は0.02%以下とする。
Moは、固溶強化元素として高温強度向上に有効な元素であり、硫酸または塩酸を含む超強酸環境における耐食性を向上させる元素である。特に硫黄とはMoS皮膜を作り耐食性を増進することも考えられる。しかし過剰に含有させると、シグマ相の析出を促進するため、溶接性および加工性の劣化を招く。そのため、Mo含有量は0%を超えて20.0%以下とする。Mo含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.5%以上であるのがより好ましく、3.0%超であるのがさらに好ましい。また、Mo含有量は15.0%以下であるのが好ましく、10.0%以下であるのがより好ましい。
Cuは、オーステナイト相を安定にするとともに、高温強度向上に有効であり、またMoと同じく硫酸または塩酸を含む超強酸環境における耐食性を向上させる元素である。また、熱処理によって母材表面に銅酸化物を含む皮膜を形成するためには、必須の元素である。しかし過剰に含有させると、著しく熱間加工性を低下させる。したがって、Cu含有量は0.5〜7.5%とする。Cu含有量は1.0%以上であるのが好ましく、2.0%以上であるのがより好ましい。また、Cu含有量は6.5%以下であるのが好ましく、5.0%以下であるのがより好ましい。
Coは、オーステナイト相を安定にするため、Niの一部を置換することができる。そのため、Coを必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、著しく熱間加工性を低下させる。したがって、Co含有量は5.0%以下とする。Co含有量は3.0%以下であるのが好ましい。上記の効果を得るためには、Co含有量は0.01%以上とするのが好ましい。
Ta:0〜6.0%
WおよびTaは、いずれも固溶強化元素として高温強度向上に有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、加工性を劣化させるだけでなく組織安定性を阻害する。したがって、W含有量は10.0%以下とし、Ta含有量は、6.0%以下とする。W含有量は8.0%以下であるのが好ましい。また、Ta含有量は2.5%以下であるのが好ましく、2.0%以下であるのがより好ましい。上記の効果を得るためには、WおよびTaの少なくとも一方の含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Ti:0〜1.0%
NbおよびTiは、極微量の添加であっても、高温強度、延性および靱性の改善に大きく寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、加工性および溶接性を劣化させる。したがって、Nb含有量は5.0%以下とし、Ti含有量は1.0%以下とする。上記の効果を得るためには、NbおよびTiの少なくとも一方の含有量を0.01%以上とするのが好ましい。
Zr:0〜0.1%
Hf:0〜0.1%
B、ZrおよびHfは、いずれも粒界を強化し、熱間加工性および高温強度特性を改善するのに有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、溶接性を劣化させる。したがって、B、ZrおよびHfの含有量は、いずれも0.1%以下とする。上記の効果を得るためには、B、ZrおよびHfから選択される1種以上の含有量を0.001%以上とするのが好ましい。
Mg:0〜0.1%
Ca:0〜0.1%
Al、MgおよびCaは、いずれも熱間加工性を改善するのに有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかし過剰に含有させると、溶接性を劣化させる。したがって、Al含有量は1.0%以下とし、MgおよびCaの含有量は、いずれも0.1%以下とする。Al含有量は0.6%以下であるのが好ましく、MgおよびCaの含有量は、いずれも0.06%以下であるのが好ましい。上記の効果を得るためには、Al:0.01%以上、Mg:0.0005%以上およびCa:0.0005%以上から選択される1種以上を含有させるのが好ましい。また、MgおよびCaの含有量は0.001%以上であるのがより好ましい。
本発明に係る合金材の製造方法は、上記の化学組成を有する母材を、硫黄化合物を含むガス雰囲気中で加熱するものである。
本発明に係る方法によって製造されるオーステナイト合金材は、母材が有する表面のうちの少なくとも一部に、銅酸化物を含む皮膜を備える。銅酸化物は、銅を主体とする酸化物である。
本発明に係る方法によって製造されるオーステナイト合金材は、母材表面の少なくとも一部に上記の皮膜を備えるため、硫酸を含む硫黄酸化物の分解に触媒活性を有する。分解作用を有することによって、母材の耐食性が向上するとともに、ISプロセス等の硫黄酸化物の分解が含まれる化学プロセスには配管材料等として使用することで、プロセスとして分解効率の向上に寄与することができる。
皮膜分析用試験片については、皮膜の組成をXRDにより特定し、皮膜の厚さをXPSにより測定した。
石英管内に、耐食性試験用の試験片を置き、アルゴンガスを流しながら850℃に加熱した。次いで濃硫酸を350℃以上で熱分解させてSO3を発生させ、アルゴンガスと混ぜることで、石英管内に27%のSO3ガスを流通させた。1000時間経過後、試料の試験前後の重量の差により腐食減量を測定した。さらに、皮膜の形態の変化、ならびに、皮膜下の母材の粒界腐食および酸化有無を考慮して、合金材の耐食性を総合的に評価した。
上記と同じ石英管内に、触媒性試験用の試験片を置き、アルゴンガスを石英管内部に流しながら850℃まで加熱した。次いで前記のように濃硫酸の熱分解で得たSO3をアルゴンガスと混ぜながら石英管内に導入・流通させた。
Claims (8)
- 母材が有する表面のうちの少なくとも一部に、銅酸化物を含む皮膜を備えるオーステナイト合金材を製造する方法であって、
質量%で、
C:0.001〜0.6%、
Si:0.01〜5.0%、
Mn:0.1〜10.0%、
P:0.08%以下、
S:0.05%以下、
Cr:15.0〜55.0%、
Ni:40.0〜70.0%、
N:0.001〜0.25%、
O:0.02%以下、
Mo:0%を超えて20.0%以下、
Cu:0.5〜7.5%、
Co:0〜5.0%、
W:0〜10.0%、
Ta:0〜6.0%、
Nb:0〜5.0%、
Ti:0〜1.0%、
B:0〜0.1%、
Zr:0〜0.1%、
Hf:0〜0.1%、
Al:0〜1.0%、
Mg:0〜0.1%、
Ca:0〜0.1%、
残部:Feおよび不純物である化学組成を有する母材を、
硫黄化合物を含むガス雰囲気中で加熱する、
オーステナイト合金材の製造方法。 - 前記母材の化学組成が、質量%で、
Cu:1.0〜5.0%、
を含有する、
請求項1に記載のオーステナイト合金材の製造方法。 - 前記皮膜中に、さらに、Cr2O3が含まれる、
請求項1または請求項2に記載のオーステナイト合金材の製造方法。 - 前記銅酸化物が、CuおよびCrの複合酸化物を含む、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。 - 前記皮膜中に、さらに、金属硫化物が含まれる、
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。 - 前記ガス雰囲気中に含まれる前記硫黄化合物が、SO3である、
請求項1から請求項5までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。 - 前記ガス雰囲気中のSO3濃度が5〜100体積%である、
請求項6に記載のオーステナイト合金材の製造方法。 - 前記ガス雰囲気中での加熱温度が、750〜1000℃である、
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のオーステナイト合金材の製造方法。
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JP2017188316A JP6844486B2 (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | オーステナイト合金材の製造方法 |
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JP2017188316A JP6844486B2 (ja) | 2017-09-28 | 2017-09-28 | オーステナイト合金材の製造方法 |
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