JP6778663B2 - 防潮壁 - Google Patents

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Description

請求項に係る発明は、コンクリート製の堤の上部に透明板(透明な樹脂板またはガラス板)が配置された防潮壁(淡水用の防水壁を含む)に関するものである。
高潮や洪水等で浸水のおそれがある地域では、海や川に防潮壁を築いて水の浸入等を防止することが広く行われている。防潮壁は、一般的にはコンクリート等で形成されるが、コンクリートのみだと景観にすぐれないうえ、水位の上昇時等にも、防潮壁を通して海や河川等の様子を知ることができない。そこで、下記の特許文献1では、アクリル等の透明板を一部に使用する防潮壁が提案されている。
特許文献1には、図9(a)(b)(c)に示す防潮壁等が記載されている。その防潮壁1’では、コンクリート製の堤2’の上部に図(b)(c)のように溝形の枠体20’を埋め込み、その枠体20’の内側に透明板10’の縁部を挿入している。透明板10’は、枠体20’の内側に挿入することにより交換が容易になる。枠体20’と透明板10’との間には、たとえばネジによって長さを変更できる構造の拘束手段30’を配置し、それにより枠体20’と透明板10’とを固定している。
透明板10’は一般に四辺形状のもので、特許文献1では図9(a)のように、最上辺を除く3辺を上記の枠体20’内に挿入することにより、コンクリート製の堤2’の上部に取り付けている。同文献1にはまた、同様の枠体内に全周(4辺)を挿入した状態の透明板を、コンクリート製の堤の中ほど(全周をコンクリートに囲まれる位置)に設ける例も示されている。
特開2010−265744号公報
防潮壁に透明板を設けると、陸側から海や河川、湖沼等を眺めることができ、景観面できわめて好ましい。また、高潮や洪水等によって水位が上昇したとき防潮壁を通して海や河川等の様子を知ることができ、警戒のレベルを把握したり避難準備をしたりすることが容易であるなど、安全面でも有利である。そのため、特許文献1に記載の防潮壁は、景観の点でも安全性の点でも好ましいといえる。
しかし特許文献1の例は、主として、四辺形状の透明板を、最上辺を除く3辺または全周の4辺を、上記の枠体を介しコンクリート製の堤に支持させる形式のものである。そのため、既設の防潮壁において最上部に透明板のみを追加して設けることにより防潮壁を嵩上げする工事には、採用することが難しい。取り付けるそれぞれの透明板の左右側方または四方にコンクリートの壁(図9の例における符号2a’の部分)を設けることが前提だからである。
特許文献1には、透明板を枠体内に入れてコンクリートの堤の上面に載せ、枠体をアンカーボルトで留めるとともに支柱で支えることにより、堤の上部に透明板を連続的に並べて配置する例も示されている。しかし、アンカーボルトと支柱によって透明板を十分な強度で支持することは必ずしも容易でなく、相当のコストを要するため、現実的には防潮壁の嵩上げ工事に適していると言いがたい。
本件発明の目的は、コンクリート製の堤の上部に透明板が連続的に配置された防潮壁であって、新設の防潮壁、または既設のものを嵩上げした防潮壁として、低コストで容易に構成され得るものを提供することである。
発明による防潮壁(防水壁を含む。以下も同様)は、コンクリート製の堤の上部に、四辺形状の複数の透明板(樹脂板、ガラス板を含む。半透明のものも含む)が、それぞれ隣接する他の透明板と端部(左右側方の端部)を突き合わせて(したがって、隣接する透明板の間にコンクリート壁や支柱がない状態に)連続的に配置された防潮壁であって、他の二つの透明板の間に配置された透明板が、上記堤の上部に設けられた溝に下方縁部(透明板の最下辺にある外周縁とその近傍)のみを挿入し、その溝の内側に拘束されることにより支持されていることを特徴とする。
発明の一例を、図1(a)(b)に示している。上記した「他の二つの透明板の間に配置された透明板」とは、図1(a)に示す透明板10をさし、連続的配置の起点にあたる図示両端の透明板11(下方縁部とともに側方の他の縁部をも堤の溝に挿入して固定されている)を除いたものである。
なお、樹脂製の透明板としては、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合樹脂、メタクリル酸メチルースチレン共重合樹脂、アクリロニトリルーブタジエン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂およびアクリル樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂等を使用できる。樹脂板に代えてガラス板(強化ガラス板等)を使用してもよい。樹脂板またはガラス板が複数枚積層されてできた透明板や、積層された板の間に強化用のメッシュ(網)がはさまれている板も、使用可能である。
上記の構成を有する防潮壁は、構造がシンプルであるため、短期間の工事によって低コストで構成される。とくに多数の透明板が連続して長い区間に配置される場合には、上記のように堤の溝に下方縁部のみを挿入し拘束されて支持される透明板の数が多いため、構造の簡単化によるメリットが大きい。また、透明板の間にコンクリート壁や支柱がないので、外観上とくに有利である。
透明板が連続する区間の外側にコンクリートの壁(図1(a)における符号2aの部分)を設けずに、既設のコンクリート壁の上部に透明板のみを連続して配置する嵩上げ工事において上記の構成を採用することも可能である。その場合、嵩上げ工事はとくに簡単化され低コストで施工される。
上記発明の防潮壁において、上記の溝の内側に、横断面形状が略U字状の(つまり上部が開いた溝形の)金属枠体がはめ込まれ、その枠体の内側に上記透明板の下方縁部が挿入されていて、上記透明板と上記枠体の内側面(の少なくとも一方)との隙間に、面間の寸法を増大させることにより上記透明板の縁部を当該隙間の内側に拘束する拘束手段が設けられているとよい。
そのようにした例を図3(a)に示す。「面間の寸法を増大させることにより上記透明板の縁部を当該隙間の内側に拘束する拘束手段」としては、図中に例示するネジ式のジャッキのようなもののほか、流体圧を使用するジャッキ類、くさび(ウェッジ)、または各種の膨張材料を使用することができる。
コンクリート製の堤に形成された溝の内側に透明板の下方縁部を直接に挿入するとすれば、平坦度が高くないコンクリート製の溝の内側に一部が強く接触することによって透明板が割れやすい状況になる。しかし、上記のように、溝の内側に略U字状の横断面をもつ金属枠体をはめ込み、その内側に透明板の下方縁部を挿入すると、透明板は、コンクリートと直接の接触をせず接触圧力が均一化するため損傷しがたくなる。また、上記のとおり拘束手段を設けるに関しても、拘束手段にはたらく力が直接にはコンクリートに作用しないため、局部的に面圧が高くなってコンクリートが破損するような事態が避けられる。
上記のように使用する金属枠体が、横断面形状がL字状の金属板を重ね合わせることにより略U字状の横断面形状にされたものであると、とくに好ましい。
上記で紹介した図3(a)例でも、横断面形状が略U字状の金属枠体20は、横断面形状がL字状の金属板21・22を重ね合わせることにより形成している。
上述のように、堤の溝に下方縁部のみを挿入することによって透明板を支持する場合、他の縁部をも同時に溝に挿入する場合等に比べると、強度面の配慮から、溝への縁部の挿入深さを大きくする必要がある。図3の例でも、透明板は、特許文献1に記載された図9の例に比べて深く挿入している。
挿入深さが大きい場合に、上記した略U字状の横断面をもつ金属枠体を使用するためには、当然ながら、深いU字状の窪みを金属枠体に形成する必要がある。しかし、強度面で有利であり低コストでもある鋼板等によってその金属枠体を形成するとなると、十分な深さの窪みをもつ金属枠体を、1枚の板からプレス加工等にて製造することは容易でなく、コストアップにつながる。
その点、上記のように、L字状の金属板(鋼板等)を重ね合わせることによって略U字状の横断面形状をもつ金属枠体を形成するなら、その製造は容易でありコスト面で有利である。重ね合わせたL字状の金属板同士を溶接したりボルトナット等で連結したりする必要はないため、接合のためのコストがさらに必要になるわけでもない。
上記の拘束手段が、上記透明板の下方縁部のうち水の側を向いた面と上記枠体の内側面(透明板よりも水の側にあって陸の側を向いた面)との間に設けられていると好ましい。
図3に示した例でも、透明板のうち水の側(図の右側)を向いた面と上記枠体の内側面との間に拘束手段30が配置されている。拘束手段の構造等(透明板との接触面積等)によっては、透明板と拘束手段との間に、金属等による硬質のライナー(図3の符号24)をはさんで接触圧力を分散させるとよい。また、透明板のうち陸の側を向いた面は、図3のように金属枠体の内側面に直接に接触させ、またはライナー等をはさんで金属枠体に押し付けるとよい。
上のようにすると、水位が上昇して透明板に水圧が作用したとき、透明板よりも水の側にある拘束手段に直接にはその力が作用しない。そのため、拘束手段がどのような形状・構造のものであっても、それに過大な力が集中することがなく、したがって、拘束手段が破壊したり、それに起因して透明板が脱落したり損傷したりすることが防止される。
上記の防潮壁において、上記の溝は、上記の堤と同一のコンクリートで形成された外溝部の内側に、別のコンクリートまたはモルタルで当該外溝部と上記金属枠体との隙間を埋めた充填部を有することにより形成されているのが好ましい。
図3の例において、上記の「充填部」は符号5の部分である。図では、堤と同一のコンクリートで形成された外溝部4の内側に、堤とは別のコンクリートまたはモルタルにてなる充填部5がある。外溝部4と充填部5とによってなる溝3の内側に金属枠体20が埋設されている。
コンクリート製の堤の上部に溝を形成し、その溝の内側に上記の金属枠体を直接はめ入れるとすると、溝と金属枠体とが広い面積で均一に接触することは期待できない。溝と金属枠体との寸法を正確に合わせることも、コンクリートの溝の内面を十分に平坦に形成することも難しいからである。両者の接触が均一でない状態だと、透明板が金属枠体とともに傾いたり、水圧を受けたとき局部的に高い応力が発生して透明板が破損したりすることが考えられる。
しかし、コンクリートで形成された上記外溝部の内側に別のコンクリートまたはモルタルが詰められた充填部があり、外溝部と金属枠体との隙間をその充填部が埋めた状態であるなら、そのような不都合を回避でき、透明板を適切な状態に拘束して固定することができる。なお、外溝部と金属枠体との隙間を充填部が埋めた上記の状態は、外溝部の内側に金属枠体を挿入する際、同時に外溝部と金属枠体との隙間にコンクリート等を打設充填すれば実現できる。
上記の拘束手段が、水膨張ゴムのシートであるのも好ましい。水膨張ゴムとは、水に接触すると膨張し、膨張した状態を維持するゴムである。たとえば、王子ゴム化成株式会社製の「アクアケル」(登録商標)や、CRK株式会社製の「ベストシールEW」を使用できる。
そのようなゴムを、拘束手段として透明板とともに金属枠体の内側に入れると、その金属枠体内に水を注入することにより当該ゴムが膨張し、金属枠体の溝の中に透明板を拘束し固定することができる。
堤の上部に設けられた上記の溝に挿入された上記透明板の下方縁部が、その溝の内側面と透明板との間に膨潤材(上記した水膨張ゴムも膨潤材の一つである)が充填されることにより、その溝の内側に拘束されているのもよい。この場合、上記の金属枠体は使用しない。モルタル等による上記の充填部を設ける必要もない。
上記膨潤材には先に示した水膨張ゴムも含まれ、例示した各種水膨張ゴムを使用することもできるが、ほかにも、日本リステン株式会社製のウレタン系シーラントである「リステンシールD−51」、または膨潤性の粘土「リステン粘土」(いずれも吸水して膨張する)等を膨潤材として使用できる。
使用する膨潤材の体積膨張率が十分に大きければ、膨潤材が、コンクリートの溝の内側に密に接し、かつ、透明板の下方縁部にも密着することによって、当該透明板を拘束することができる。透明板の下方縁部に及ぼす圧力も概ね均一となり、局所的に大きな圧力が作用することもないので、好ましい状態に透明板を拘束できる。膨潤材が膨潤した際に透明板が傾くこと等があるなら、それを修正するためにくさび状の調整具等を併せて使用するとよい。
上記透明板がアクリル板であり、上記堤の上の突出高さが500mmまでであり、その厚さが50mm以上(望ましくは60mm以上)であり、上記溝の内側に下方縁部が70mm以上(望ましくは120mm以上)の深さまで挿入されているのがよい。
透明板の下方縁部のみを拘束する上記発明の防潮壁においては、水位が透明板の上部に達したときにもその透明板やコンクリートが破損しないことが求められる。上記発明に基づいてコンクリートの堤の上に突出高さが500mmまでのアクリル製透明板の防潮部分を設けるとき、発明者らの強度解析(図6〜図8を参照)によれば、透明板に関する寸法関係を上記のとおり設定すれば、透明板もコンクリートも破損することなく防潮機能を発揮すると考えられる。
発明の防潮壁は、構造がシンプルであるため、新設することにより、または既設の防潮壁に透明板部分を嵩上げすることにより、コンクリート製の堤の上部に透明板が連続的に配置されたものとして低コストで容易に構成される。透明板を含むことから、陸側から海や河川、湖沼等を眺めることができ、また透明板の間にコンクリート壁や支柱を含まないので、景観と安全性にとくにすぐれている。河川岸や海浜等の遊歩道用、海浜道路の防風・防しぶき用のものとしても適している。
上記透明板の下方縁部を上記堤の上部の溝に挿入し拘束するに関し、挿入の形態や付属物、溝の構成等を工夫すれば、コストを抑制できるほか、透明板やコンクリート(堤)等に作用する力を適切に分散させ均一化することができ、上記の拘束状態を好ましくするとともに、透明板やコンクリートを破損しがたい状態に保つことができる。
発明の一実施形態を示した図で、防潮壁1の正面図(図1(a))および横断面図(同(b))である。 上記防潮壁1の要部を示す平面図(図2(a))および正面図(同(b))である。 防潮壁1のコンクリート堤2における透明樹脂板10の支持状態を示す横断面図(図3(a))と、図2(b)におけるb−b断面図(図3(b))およびc−c断面図(図3(c))である。 防潮壁1で使用する金属枠体20を示す横断面図である。図4(a)(b)のそれぞれは、互いに異なる部位での横断面図であり、同(c)は、同(b)の金属枠体20に各種付属品を取り付けた状態の横断面図である。 図4(c)の状態にしてコンクリート堤2に埋設した金属枠体20と、その内側に下方縁部10aを挿入し拘束した状態の透明樹脂板10とを併せて示す水平断面図(図5(a))、およびb−bでの横断面図(同(b))である 上記防潮壁1における透明樹脂板10と、それに作用する水の荷重pとを示す模式図である。 図6のモデルに関して行ったFEM解析の結果である応力コンター図(図7(a))および変形図(同(b))である。 透明樹脂板10に曲げモーメントMが作用するときコンクリート堤2に生じる応力σを求めるためのモデル図である。 従来の(特許文献1に記載の)防潮壁を示す正面図(図9(a))、b−b断面図(同(b))およびc部詳細図(同(c)である。
図1〜図8に発明の一実施形態を示す。
まず図1は、防潮壁1の概要を示す正面図(図1(a))および横断面図(同(b))である。海岸または河岸に沿ってコンクリートの堤2が連続して形成され、その上部に樹脂製の透明板すなわち透明樹脂板10・11が設けられている。透明樹脂板10・11は四辺形状のアクリル板であり、隣接する透明樹脂板10・11に対し互いの端部を突き合わせて、岸に沿って側方へ連続的に配置されている。なお、図中、白抜き矢印は洪水等の際の水流の向きをさしており(他の図でも同様)、図1(b)では図示右側が水側、左側が陸側である。
連続配置された複数の透明樹脂板10・11のうち、中ほどに位置する(つまり両側に他の透明樹脂板が配置された)透明樹脂板10は、上記の堤2の上部に形成された溝3に下方縁部10aを挿入し、そこで縁部10aを拘束されることのみにて固定されている。連続する区間の外側には、透明樹脂板10・11の上端の高さにまでコンクリートの壁2aがあるため、最も端に位置する透明樹脂板11については、下方縁部とともに左右いずれか側方の縁部をも溝3に挿入した状態で固定されている。
堤2の上部で透明樹脂板10・11が連続する形態の詳細を、図2(a)(b)および図3(b)(c)に示している。透明樹脂板10同士、または樹脂板10と11とが隣接する突き合わせの部分には、図3(c)のように間にスポンジゴム12をはさんだうえ、外側両面をつなぎのシール材13で覆っている。また、その突き合わせ部分の上端には、逆U字形状の横断面をもつ金属製のつなぎカバー14を被せている。
図3(a)に、透明樹脂板10(透明樹脂板11でも同様)と、その下方縁部10aが挿入された堤2上の溝3についての横断面図を示す。堤2のコンクリートの上部に、上端が開放された矩形断面の外溝部4が形成されていて、その内側にモルタルの充填部5があり、その充填部5に接するように、略U字形状をした炭素鋼板製の金属枠体20が埋め込まれている。溝3は、このように外溝部4と充填部5、および金属枠体20とによって形成されているといえる。外溝部4と充填部5との間、また充填部5と金属枠体20との間は、後述のとおり隙間なく接している。
そして金属枠体20の内側に、透明樹脂板10の下方縁部10aが挿入され拘束されている。当該拘束のためには、透明樹脂板10(の下方縁部10a)の陸側の面を金属枠体20に押し付けるとともに、水側の面には鋼板製のライナー24を当てたうえ、金属枠体20との間に拘束手段30を取り付けている。拘束手段30は、金属枠体20等の長さ方向に一定の間隔をおいて複数個取り付けている。
ここで使用した拘束手段30は、ネジ式のジャッキ用具のようなもので、ライナー24と金属枠体20とのそれぞれに互いに逆ネジのナット(雌ネジ部材)を溶接等で取り付けるとともに、互いに逆ネジの雄ネジを両側に有するボルトを上記双方のナットにはめたものである。上記のボルトをスパナ等で回転させると、二つのナットの間隔が広がるため、ライナー24により透明樹脂板10を金属枠体20の陸側に押し付けることとなり、透明樹脂板10を拘束することができる。
金属枠体20の詳細を図4に示す。上記の金属枠体20は、図4(a)に示すとおり、横断面形状がL字状の2枚の金属板21・22を底辺部分で重ね合わせることにより略U字状の横断面形状にしたものである。2枚の金属板21・22は溶接等で一体にしてもよいが、一体にしなくてもよい。
図4(b)は、金属枠体20について、同(a)とは異なる部位での横断面を示す図である。つまり、金属枠体20の金属板21・22には、長さ方向に間隔をおいて、図示のようにナット(雌ネジ部材)21a・21c・30aおよび22a・22cを溶接にてそれぞれ取り付けている。ナット30aは、上記した拘束手段30として使用する一部品である。
図4(c)の金属枠体20は、同(a)(b)のように構成したうえ、さらにボルトやライナー等を取り付けたものである。すなわち、上記のナット21a・21cおよび22a・22cに、それぞれボルト21b・21dおよび22b・22dを通し、また底辺部分の上に透明樹脂板10の設置用弾性シート23を置き、ナット30aに上記の拘束手段30を組み付けるとともにライナー24を取り付ける。ライナー24と金属板22との各内側面(透明樹脂板10と接する面)には低摩擦テープ25を貼り付ける。
金属枠体20に図4(c)のとおりボルト21b等を取り付けるのは、コンクリート堤2の溝3の中に適切に位置を定めて金属枠体20を埋設するためである。つまり、図5(b)のように、1)あらかじめ形成された外溝部4の内側に金属枠体20を挿入し、2)外溝部4の内側において、ボルト21b・21d・22b・22dを、それぞれの螺合するナットに対し適宜に回転させて突出量調整することにより、外溝部4内の適切な位置に金属枠体20を設置し、3)そのうえで、外溝部4の内側であって金属枠体20の外側に、充填部5のモルタルを流し込み、養生をして固化させる。そうすることにより、金属枠体20を適切な位置に埋め込むことができる。また、外溝部4と充填部5との間、および充填部5と金属枠体20との間を、隙間のないようにすることができる。
透明樹脂板10の下方縁部10aは、上記のように埋め込まれた金属枠体20内の、上記低摩擦テープ25の間に挿入する。その後、図5(a)のように間隔をおいて複数設けられた拘束手段30を操作することにより、当該下方縁部10aを拘束し固定する。そして図5(b)のように、拘束手段30の上方で、金属枠体20と透明樹脂板10との間をシール材26で塞いでおく。
なお、連続する区間の端に設ける透明樹脂板11については、下方縁部だけでなく側方の縁部についても同様に金属枠体20内に挿入して拘束手段により拘束し固定する。
以上によって、図1のように、コンクリート堤2の上部に連続して透明樹脂板10を配置した防潮壁1が構成できる。図1では、側方の縁部をも堤2で支持する透明樹脂板11を連続区間の端部に設けているが、それを設けない、したがって下方縁部だけを堤2の溝3に挿入して固定する透明樹脂板10ばかりが連続的に配置されたの防潮壁も、以上のものと同様に構成することができる。
透明樹脂板10の機械的強度についての検討事項を以下に示す。透明樹脂板10のそれぞれとして高さ(埋め込まれる下方縁部10aを除く高さ)が500mm、長さが2000mmのアクリル板を使用するものとし、有限要素法(FEM)による強度解析(節点数451、要素数400)を行った。アクリル板(透明樹脂板10)の厚さについては、36.5mmと46.5mmとの2ケースを検討した。
アクリル板の特性を表1に示す。
図6は、高潮等の際に水から透明樹脂板10に作用すると想定した台形状の分布荷重pを示している。境界条件としては、下端の1辺を固定したこととしている。
上記解析の結果を、図7および表2に示す。図7(a)(b)のそれぞれは、アクリル板の厚さを46.5mmとした場合の応力コンター図および変形図である。また、表2において「解析結果」に示した応力は、図7に示される最も応力の高い部分(アクリル板の下端部)での応力値を示している。
上記の結果から、アクリル板の厚さが36.5mmでは必要強度を満たさず、46.5mmであれば満たすことが分かる。多少の余裕をもたせて厚さは50mm、またはさらに裕度を付加して60mmとするのが好ましい。
堤2のコンクリート内への透明樹脂板10(アクリル板)の埋め込み深さについては、以下のように検討した。
図6のように水からの荷重pが透明樹脂板10に作用するとき、透明樹脂板10には、3.964kNm/mのモーメント(杭頭モーメント)Mが発生する。桟橋の杭頭モーメントに対する必要埋込長の計算は、杭(透明樹脂板10)の側方のコンクリートの幅(図8の寸法B)が十分に大きいとき、図8に示すモデルについて下記の計算(数1)を行うことにより求められる。
ここで、M=3.964kNm/m、D=1.00m(本設計では奥行き)、σ=5400kN/m2 であることから、
L=0.066m
すなわち透明樹脂板10の必要な埋め込み深さは約70mmと求められる。余裕をもたせて120mm程度にするのがよい。
以上の点から、アクリル製の透明樹脂板10(の下方縁部10a)をコンクリート堤2の溝3に挿入し、堤2の上に500mmの高さまで突出させる場合、アクリル板の厚さを50mm以上(望ましくは60mm以上)とし、溝3の内側に下方縁部10aを70mm以上(望ましくは120mm以上)の深さまで挿入するのが、強度の点で好ましいといえる。
なお、堤2の上へのアクリル板の突出高さを増す場合には、アクリル板をさらに厚くするとともに、下方縁部10aの埋め込みをさらに深くする必要がある。発明者らの検討結果によると、突出高さを1000mmにする場合、アクリル板の厚さと埋め込み深さを320mmかそれ以上にするのが好ましい。
1 防潮壁
2 コンクリート堤
3 溝
4 外溝部
5 充填部
10・11 透明樹脂板(透明板)
10a 下方縁部
20 金属枠体
21・22 金属板
24 ライナー
30 拘束手段

Claims (8)

  1. コンクリート製の堤の上部に、四辺形状の複数の透明板が、それぞれ隣接する他の透明板と端部を突き合わせて連続的に配置された防潮壁であって、
    他の二つの透明板の間に配置された透明板が、上記堤の上部に設けられた溝に下方縁部のみを挿入し、その溝の内側に拘束されることによって支持されていること、
    上記の溝の内側に、横断面形状が略U字状の金属枠体がはめ込まれ、その金属枠体の内側に上記透明板の下方縁部が挿入されていること、
    上記の溝が、上記の堤と同一のコンクリートで形成された外溝部の内側に、別のコンクリートまたはモルタルで当該外溝部と上記金属枠体との隙間を埋めた充填部を有することにより形成されていること、
    上記の金属枠体が、上記外溝部の内側で位置決めをするための突出量調整が可能なボルトを複数本取り付けられたものであること
    を特徴とする防潮壁。
  2. 上記の金属枠体に複数個のナットが取り付けられていて、それらのナットに通されて上記のボルトが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の防潮壁。
  3. 横断面形状が略U字状の金属枠体における両側の外向き面に、上記複数個のナットが取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の防潮壁。
  4. 上記透明板の下方縁部を拘束するために、上記透明板と上記金属枠体の内側面との隙間に、面間の寸法を増大させることにより上記透明板の縁部を当該隙間の内側に拘束する拘束手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防潮壁。
  5. 上記の金属枠体が、横断面形状がL字状の金属板を重ね合わせられることにより略U字状の横断面形状にされたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防潮壁。
  6. 上記の拘束手段が、上記透明板の下方縁部のうち水の側を向いた面と上記枠体の内側面との間に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の防潮壁。
  7. 上記の拘束手段が、水膨張ゴムのシートであることを特徴とする請求項4または6に記載の防潮壁。
  8. コンクリート製の堤の上部に、四辺形状の複数の透明板が、それぞれ隣接する他の透明板と端部を突き合わせて連続的に配置され、他の二つの透明板の間に配置された透明板が、上記堤の上部に設けられた溝に下方縁部のみを挿入し、その溝の内側に拘束されることによって支持されている防潮壁の構成方法であって、
    上記堤の上部に外溝部を形成し、
    上記外溝部の内側に、横断面形状が略U字状の金属枠体であって突出量調整が可能なボルトを複数本取り付けられた金属枠体を挿入し、
    それらのボルトの突出量調整によって外溝部内での金属枠体の位置決めをしたうえ、
    外溝部の内側であって金属枠体の外側に、上記とは別のコンクリートまたはモルタルを流し込んで固化させ、
    固定された金属枠体の内側に、上記透明板の下方縁部を挿入して拘束する
    ことを特徴とする防潮壁の構成方法。
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