JP6778474B2 - 摩砕装置 - Google Patents

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Description

本発明は、焙煎済みのコーヒー豆等の原料と水とを効率良く利用し、かつ高濃度のコーヒー抽出液を得ることが可能な摩砕装置に関する。
コーヒー飲料等は、原料のコーヒー豆を焙煎、粉砕した後、適当な温度に設定した水による抽出によってコーヒー抽出液として製造されている。良好な香味を有するコーヒー飲料を効率良く製造するためには、コーヒー豆中の香味成分をできるだけ高濃度でコーヒー抽出液中に溶出させるとともに、油分や渋味成分等、雑味の原因となる成分の過度な溶出を抑え、香味の低下を防ぐことが重要となる。
良好な香味を有する高濃度のコーヒー抽出液を得るための方法として、たとえば特許文献1には、液体中で、もしくは液体とともに焙煎したコーヒー豆を一定範囲内の粒径となるまで粉砕し、ドリップ式等によって抽出する方法が提案されている。
特許文献1では、液体中で、もしくは液体とともに焙煎、粉砕を行うため、焙煎、粉砕時の香味成分、特に揮発成分の散逸を防ぎ、良好な香味を有するコーヒー抽出液を得ることができる。しかし、抽出方法としてはドリップ式等一般的に用いられる方法を採用しているため、得られるコーヒー抽出液の濃度には限界がある。
そこで、特許文献2では、焙煎済みのコーヒー豆と抽出用液体とを共存させた状態で粉砕し、抽出用液体中でコーヒー豆の抽出を行なった後に、遠心分離によりコーヒー豆の抽出残さ(抽出粕)と抽出液とを分離するコーヒー飲料製造装置が開示されている。特許文献2では、コーヒー豆の抽出残さと抽出液とを確実に分離することにより、高濃度のコーヒー抽出液を得ることができる。
特開2000−333612号公報 特開2005−080698号公報
粉砕されていないコーヒー豆は比重が小さく、液面に浮きやすく、撹拌機により粉砕することが困難になるおそれがある。したがって、特許文献2に開示されているように、焙煎済みのコーヒー豆と抽出用液体とを共存させた状態で粉砕する場合、撹拌機のスクリューを押し込むか、あるいは粉砕されていないコーヒー豆を沈降させる必要が生じる。したがって、比較的大きなスクリューを取り付ける必要が生じるとともに、洗浄が容易ではないことから実用化が困難であるという問題点があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、効率良く原料のコーヒー豆を利用することによって、高濃度で良好な香味を有するコーヒー抽出液を得ることが可能な摩砕装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1発明に係る摩砕装置は、原料を摩砕する摩砕装置であって、原料及び液体を供給する供給部と、第1のロータと、該第1のロータの外側に位置し、第1の開口部が設けられた第1のステータと、該第1のステータを内部に有するケーシングとを有しており、前記ケーシング内を負圧とすることで前記供給部によって原料及び液体が供給され、前記第1のロータが回転することで前記第1の開口部を介して原料を摩砕する第1の摩砕部と、第2のロータと、該第2のロータの外側に位置する第2のステータとを有しており、前記第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが供給され、前記第2のロータが回転することで前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間を介して前記スラリーをさらに摩砕する第2の摩砕部とを備えることを特徴とする。
第1発明では、第1の摩砕部のケーシング内を負圧とすることで供給部によって原料及び液体が供給され、第1のロータが回転することで第1の開口部を介して原料が摩砕される。そして、第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが第2の摩砕部に供給され、第2のロータが回転することで第2のロータと第2のステータとの間の隙間を介してスラリーがさらに摩砕される。これにより、第1のロータと第1のステータとの隙間で摩砕と撹拌とを繰り返すとともに、第2のロータと第2のステータとの隙間でも摩砕と撹拌とを繰り返す。したがって、粒度の小さいスラリーを生成することが可能となる。
また、第2発明に係る摩砕装置は、第1発明において、前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間の間隔は、前記第1の開口部の大きさよりも小さいことが好ましい。
第2発明では、第2のロータと第2のステータとの間の隙間の間隔は、第1の開口部の大きさよりも小さいので、吐出されるスラリーの粒度をより小さくすることが可能となる。
また、第3発明に係る摩砕装置は、第1又は第2発明において、前記第1のステータは、前記第1のロータの回転軸方向に延在し、かつ前記第1のロータの径方向に前記第1の開口部が設けられており、前記第2のロータと前記第2のステータとが対向する面には、それぞれ突起した歯が互いに干渉しないように設けられていることが好ましい。
第3発明では、第1のステータは、第1のロータの回転軸方向に延在し、かつ第1のロータの径方向に第1の開口部が設けられており、第2のロータと第2のステータとが対向する面には、それぞれ突起した歯が互いに干渉しないように設けられているので、より粒度の小さいスラリーを生成することが可能となる。
また、第4発明に係る摩砕装置は、第3発明において、前記第2のロータの前記歯と前記第2のステータの前記歯との間の間隔は、前記第1の開口部よりも小さいことが好ましい。
第4発明では、第2のロータの歯と第2のステータの歯との間の間隔は、第1の開口部よりも小さいのでより粒度の小さいスラリーを生成することが可能となる。
また、第5発明に係る摩砕装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記第1のステータは、前記第1の開口部よりも前記第1のロータの径方向の外側の位置に、前記第1の開口部よりも小さい第2の開口部が設けられていることが好ましい。
第5発明では、第1のステータは、第1の開口部よりも第1のロータの径方向の外側の位置に、第1の開口部よりも小さい第2の開口部が設けられているので、より吐出されるスラリーの粒度を小さくすることができ、高濃度で良好な香味を有するコーヒー抽出液を得ることが可能となる。
次に、上記目的を達成するために第6発明に係る摩砕装置は、原料及び液体を供給する供給部と、第1のロータと、該第1のロータの外側に位置し、第1の開口部が設けられた第1のステータとを有しており、前記供給部によって原料及び液体が供給され、前記第1のロータが回転することで前記第1の開口部を介して原料を摩砕する第1の摩砕部と、第2のロータと、該第2のロータの外側に位置する第2のステータとを有しており、前記第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが供給され、前記第2のロータが回転することで前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間を介して前記スラリーをさらに摩砕する第2の摩砕部とを備え、前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間の間隔は、前記第1の開口部の大きさよりも小さいことを特徴とする。
第6発明では、第1の摩砕部へ供給部によって原料及び液体が供給され、第1のロータが回転することで第1の開口部を介して原料が摩砕される。そして、第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが第2の摩砕部に供給され、第2のロータが回転することで第2のロータと第2のステータとの間の隙間を介してスラリーがさらに摩砕される。第2のロータと第2のステータとの間の隙間の間隔は、第1の開口部の大きさよりも小さいので、より粒度の小さいスラリーを生成することができ、高濃度のコーヒー抽出液を得ることが可能となる。
本発明によれば、第1の摩砕部のケーシング内を負圧とすることで供給部によって原料及び液体が供給され、第1のロータが回転することで第1の開口部を介して原料が摩砕される。そして、第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが第2の摩砕部に供給され、第2のロータが回転することで第2のロータと第2のステータとの間の隙間を介してスラリーがさらに摩砕される。第2のロータと第2のステータとの間の隙間の間隔は、第1の開口部の大きさよりも小さいので、より粒度の小さいスラリーを生成することができ、高濃度のコーヒー抽出液を得ることが可能となる。
本発明の実施の形態1に係る連続抽出装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1に係る連続抽出装置の摩砕機の構成例を示す、ロータ(第1のロータ)の回転中心軸を含む面での断面図である。 本発明の実施の形態1に係る連続抽出装置の二次摩砕機の構成例を示す、ロータ(第2のロータ)の回転中心軸を含む面での断面図である。 本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムの構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムの再抽出タンク底部のロータ近傍の構成を示す平面図及びロータの回転中心軸を含む面での断面図である。 本発明の実施の形態2に係る再抽出タンクのステータの開口部の形状の例示図である。 本発明の実施の形態2に係る再抽出タンクのバッフルの構成を示す例示図である。 本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムの連続式摩砕機の構成例を示す、ロータ(第4のロータ)の回転中心軸を含む面での断面図である。 本発明の実施の形態3に係る連続抽出システムの構成を示す模式図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る連続抽出装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1では、摩砕機1に原料及び抽出用液体を供給して、摩砕と撹拌とを繰り返すことによりコーヒー抽出液を得る。
図1において、まず原料供給タンク21a、21bに、原料となる焙煎済みのコーヒー豆を供給し、それぞれ原料送り装置23a、23bを介して摩砕機1に供給する。原料の供給流量は、原料供給タンク21a、21bに取り付けられたロードセル22a、22bで測定された重量値の時間当たりの変化により計測する。
原料供給タンク21a、21bを2基設けているのは、原料を連続して一定の流量で摩砕機1へ供給するためである。例えば、原料供給タンク21aのみで原料を供給する場合、原料供給タンク21a内の原料がすべて供給されてから原料供給タンク21aへ原料を補充していたのでは、補充している時間中は原料を供給することができない。一方、摩砕機1へ原料を供給している途上で原料を補充する場合、原料供給タンク21aに取り付けられたロードセル22aによって供給流量を正しく把握することができない。
したがって、例えば原料供給タンク21aにより摩砕機1へ原料を供給しながら、原料供給タンク21bに原料を補充する。そして、原料供給タンク21aが空になった時点で原料供給タンク21bから原料を供給するように切り替える。原料供給タンク21bにより摩砕機1へ原料を供給しながら原料供給タンク21aに原料を補充する。これを繰り返すことで、原料を連続して摩砕機1へ供給することができる。
原料の供給流量は、原料送り装置23a、23bを駆動するモータに取り付けられたスピードコントローラ24a、24bにより制御される。原料送り装置23a、23bとしては、例えばロータリーバルブ、スクリューフィーダー等を用いることができる。ただし、原料を液中で摩砕することにより原料に含まれるアロマ成分を液中に封じ込める必要があることを鑑みれば、原料を送り出す時点で原料が砕かれることは好ましくない。したがって、原料送り装置23a、23bとしては、比較的原料を砕くことなく送り出すことができるスクリューフィーダーを用いることがより好ましい。
原料供給タンク21a、21bから焙煎済みのコーヒー豆が摩砕機1へ供給されると同時に、抽出用液体もコントロールバルブ5を介して摩砕機1へ供給される。抽出用液体の供給流量は、例えば質量流量計51で流量を測定しながら、コントロールバルブ5の開度調整により行う。すなわち、原料供給タンク21a、21b及びコントロールバルブ5で連続供給部が形成されている。
なお、本実施の形態1で原料として用いるコーヒー豆は特に種類等が限定されるものではなく、抽出液の使用目的に応じて、単種あるいは2種以上の豆を適宜ブレンドして用いても良い。また、コーヒー豆の焙煎条件は、用いるコーヒー豆の種類、所望の濃度、所望の香味等に応じて、最適な濃度、良好な香味を発揮する条件を適宜選択すれば良い。
抽出用液体としては、抽出液の使用目的に応じて水道水、イオン交換水やRO水等の純水、エタノール又はエタノール水溶液、牛乳等を用いることができる。抽出用液体の供給温度は、1〜145℃であることが好ましく、1〜60℃であることがより好ましい。これにより、アロマ成分の高温による劣化等を抑制することが可能となる。
また、抽出用液体として水を用いる場合、真空脱気等の通常用いられる方法によって水中の溶存酸素量を減らした脱酸素水を用いることが好ましい。脱酸素水としては、例えば溶存酸素量が50ppb程度であるもの等が挙げられる。脱酸素水を用いる場合、抽出用液体に対する香味成分の溶出が促進され、コーヒー豆中の香味成分をより良好に抽出することができる。香味成分の中で、特に揮発性の香味成分の溶出度が向上することは、良好な香味を有する抽出液を得るために効果的である。さらに、脱酸素水を用いることにより抽出液中の溶存酸素量を少なくすることができるため、香味成分の変質、劣化を防止できるという利点がある。
抽出用液体の量と、原料であるコーヒー豆との重量比率は、原料1に対して抽出用液体が1〜30であることが好ましく、原料1に対して抽出用液体が2〜10であることがより好ましい。原料1に対して抽出用液体が3以上であれば、抽出用液体中にコーヒー豆を十分浸漬することができ、原料であるコーヒー豆を効率良く利用して高濃度のコーヒー抽出液を得ることができる。原料1に対して抽出用液体が30以下であれば、抽出用液体が多すぎることによるコーヒー抽出液の濃度の低下を防止できる。
図2は、本発明の実施の形態1に係る連続抽出装置の摩砕機1の構成例を示す、ロータ(第1のロータ)の回転中心軸を含む面での断面図である。図2に示すように、摩砕機1は、高速回転するロータ(第1のロータ)11と、ロータ11の外側に、開口部(第1の開口部)141、開口部(第2の開口部)142を有する固定されたステータ(第1のステータ)131、132とを備える。なお、ケーシング(筐体)12には、ステータ131、132が固着されており、内部に供給された原料であるコーヒー豆と抽出用液体とが貯留されている。
図2の例では、原料入口15から、ケーシング12の筒体10の内部が負圧になることにより原料であるコーヒー豆が吸い込まれる。具体的には、シャッター弁18を開放した時点で原料であるコーヒー豆が吸い込まれる。同時に抽出用液体が抽出用液体入口17から供給され、高速回転するロータ11へと誘導される。
原料入口15から吸い込まれたスラリーは、高速回転するロータ11の内歯191で砕かれつつ吐出される。そして、ステータ131の開口部(第1の開口部)141を通過することで再度摩砕され、さらにその外側の中歯192で砕かれつつ吐出される。そして、ステータ132の開口部(第2の開口部)142を通過する時点でさらに摩砕され、その外側の外歯193で砕かれつつスラリー出口16から吐出される。
ステータ132の開口部(第2の開口部)142の穴の径、あるいはスリット形状の幅は、ステータ131の開口部(第1の開口部)141の穴の径、あるいはスリット形状の幅よりも小さくする必要がある。より細かく摩砕することができないからである。
また、摩砕機1の開口部(第1の開口部)141、開口部(第2の開口部)142の穴の径、あるいはスリット形状の幅は1〜3mm程度であれば良い。例えば開口部(第1の開口部)141、開口部(第2の開口部)142の穴の径、あるいはスリット形状の幅は2mmの場合、最大粒子径が2mm以下となり、平均粒子径が0.5〜1mm程度となる。
摩砕機1の後に、図1に示すように、スラリー移送ポンプ4、二次摩砕機(他の摩砕機)3を連結しても良い。外部までスラリーを確実に送り出し吐出するためである。二次摩砕機3には、ロータ&ステータ隙間通過型連続式摩砕機を用いれば良い。
図3は、本発明の実施の形態1に係る連続抽出システムの二次摩砕機3の構成例を示す、ロータ(第2のロータ)の回転中心軸を含む面での断面図である。図3に示すように、二次摩砕機3は、高速回転するロータ(第2のロータ)31と、ロータ31の外側に固定されているステータ(第2のステータ)32、33とを備える。
図3の例では、ステータは前面ステータ32と斜面ステータ33とに分けられており、前面ステータ32には何本もの突起した歯321が設けられている。ロータ31の、前面ステータ32の歯321と対向する面には、何本もの突起した歯311が設けられており、互いに干渉しないように並べられている。すなわち、スラリー入口34から吸い込まれたスラリーは、歯321と歯311との間の隙間及びスリット溝35を通過して、スラリー出口36から吐出される。
また、斜面ステータ33とロータ31の斜面部とに、スリット溝35が刻まれており、それによりスラリーにせん断効果を与えて摩砕している。ロータ31の斜面部と斜面ステータ33との間の隙間は、少なくとも、歯321と歯311との間の隙間と同一、あるいは小さくすることが好ましい。摩砕機1から吐出されたスラリーを、さらに細かく摩砕することができるからである。
また、二次摩砕機3の前面ステータ32の歯321とロータ31の歯311との間の隙間及びスリット溝35の幅は、摩砕機1のロータ11とステータ131、132との間の隙間、あるいは開口部(第1の開口部)141、開口部(第2の開口部)142の幅(大きさ)よりも小さくする必要がある。摩砕機1から吐出されたスラリーをさらに細かく摩砕するためである。ただし、二次摩砕機3を通過する時点で強力な撹拌作用が加わるので、より細かく摩砕することができなくても抽出効率の向上に寄与することはできる。
なお、スラリー移送ポンプ4は、ロータリーポンプ等の容積式ポンプを用いることが好ましい。スラリー移送ポンプ4は、スピードコントローラ41を備えており、摩砕機1のケーシング12内から液があふれ出ないように制御することができる。
以上のように本実施の形態1によれば、摩砕機1のロータ11を高速回転させることで、摩砕機1のケーシング12内に連続的に供給された、焙煎済みのコーヒー豆及び抽出用液体について、ケーシング12内の液面レベルが所定範囲内に収束するよう連続的に摩砕と撹拌とを繰り返してスラリーを吐出する。ロータ11の高速回転により、液面に浮かびやすいコーヒー豆を下部へと引き込むことができ、確実に摩砕と撹拌とを繰り返すことにより、高濃度で良好な香味を有するコーヒー抽出液を高濃度で得ることが可能となる。また、タンク等に長時間保存されることがなく、小型でエキスの抽出効率を高くすることが可能となる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムは、実施の形態1に係る連続抽出装置を用いて構成されているので、同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。本実施の形態2では、遠心分離器で分離された抽出粕を用いて、再抽出する点で実施の形態1とは相違する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムの構成を示す模式図である。図4に示すように、本実施の形態2に係る連続抽出システムの構成は、実施の形態1に係る連続抽出装置の構成に加えて、吐出されたスラリーが、遠心分離機(第1の遠心分離機)6a、再抽出タンク7、連続式摩砕機82へと誘導されている。
第1の遠心分離機6aとしては、遠心分離機を用いており、二次摩砕機3から連続してスラリーが送り出されていることから、デカンターを用いることが好ましい。第1の遠心分離機6aにおける遠心力は、1500G以上であれば適用することが可能となる。ただし、微粉を効果的に除去し、抽出液の収率を高め、処理量に対する動力及び第1の遠心分離機6a内におけるスラリーの滞留時間の面も加味して考慮すると、遠心力は3000G程度であることがより好ましい。スラリーの滞留時間が長い場合、第1の遠心分離機6aにおけるスラリーの保持量も多くなり、立上時及び終了時に水と混ざりやすくなる。したがって、製品の歩留りに大きく影響すると考えられるからである。
第1の遠心分離機6aで抽出液と抽出粕とに分離され、分離された抽出液は、次の工程へと送り出される。分離された抽出粕は、第1の遠心分離機6aの直下に備えている再抽出タンク7へ供給される。同時に、抽出用液体も抽出用液体入口から再抽出タンク7へ供給される。抽出用液体の供給流量は一定に制御することが好ましく、コントロールバルブ61等で流量を制御することが好ましい。なお、抽出用液体の流量は、質量流量計62で計測することが好ましい。
再抽出タンク7は、鉛直方向(底面に対して垂直方向)を中心軸として回転することが可能なロータ(第3のロータ)75を備えている。ロータ75が回転することにより、液面70近傍に浮遊している原料であるコーヒー豆を再抽出タンク7の底部まで引き込むことができ、確実に摩砕と撹拌とを繰り返すことにより、高濃度で良好な香味を有するコーヒー抽出液を得ることができる。
ロータ75の回転数は、ロータ75の径の大きさにより相違する。ロータ75の径の大きさは、処理能力により決定されるが、ロータ75の周速は6〜40m/sの範囲であることが好ましい。摩砕粒度、撹拌の強さ、動力のバランスの観点からは、10〜30m/sの範囲であることがより好ましい。
ロータ75の形状は、特に限定されるものではなく、上述した周速を維持した上で、摩砕されていないコーヒー豆等を十分に引き込むことが可能な形状であれば良い。例えば、ディスパー翼等を用いることができる。
また、再抽出タンク7の底部に、ロータ75の外側に、開口部(第3の開口部)を有する固定されたステータ(第3のステータ)76を備えることが好ましい。図5は、本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムの再抽出タンク7底部のロータ75近傍の構成を示す平面図及びロータ75の回転中心軸を含む面での断面図である。図5(a)は、本実施の形態2に係る連続抽出システムの再抽出タンク7底部のロータ75近傍の構成を示す平面図を、図5(b)は、本実施の形態2に係る連続抽出システムの再抽出タンク7底部のロータ75近傍の構成を示す、ロータ75の回転中心軸を含む面での断面図を、それぞれ示している。
図5(a)に示すように、ロータ75の外周に沿って、ロータ75が回転することが可能に固定されたステータ76を設けてある。ステータ76の内側には、ロータ75の外側に設けられている歯と嵌合することができる歯が設けられている。
図5(a)及び(b)の例では、ロータ75は反時計回りに回転し、再抽出タンク7内のスラリーは、ロータ75の下部に備えられている、スラリーを開口部77へ誘導する開口部78に吸い込まれる。開口部78に吸い込まれたスラリーは、ステータ76の内側に設けられている歯により撹拌及び摩砕をされつつ、ステータ76の開口部77を通過して吐出される。
図6は、本発明の実施の形態2に係る再抽出タンク7のステータ76の開口部77の形状の例示図である。図6(a)の例では、開口部77として円形の穴が複数並べて形成されている。この場合、開口部77の穴の径の大きさに応じて、吐出されるスラリーの粒度が左右される。
図6(b)の例では、開口部77として、スリット形状であり、しかも櫛状の穴が複数並べて形成されている。この場合、開口部77のスリット形状の幅の大きさに応じて、吐出されるスラリーの粒度が左右される。もちろん櫛状ではなく、図6(c)に示すように、開口部77としてスリット形状であり、窓状の矩形の穴が複数並ぶように形成されていても良い。
つまり、ステータ76の開口部77の大きさにより、スラリーをどの程度まで細かく摩砕できるかを決定する。摩砕されるスラリーの粒度は、ステータ76の開口部77の穴の径、あるいは開口部77がスリット形状である場合にはスリット形状の幅よりも大きくはならない。開口部77の通過時に撹拌及び摩砕されるからである。
再抽出タンク7からスラリーが吐出された後、連続式摩砕機82にスラリーが投入される場合には、開口部77の穴の径、あるいはスリット形状の幅は3mm以上であっても良い。摩砕の必要性が低く、強く撹拌することができれば十分だからである。
なお、再抽出タンク7の底部にステータ76を固定する場合、溶接により固定することが好ましい。しかし、特にこれに限定されるものではなく、例えばボルト等で固定し、メンテナンス時に取り外し可能とし、開口部77の穴の径やスリット形状の幅を変更したステータ76に入れ替えることを可能にしても良い。
さらに、再抽出タンク7は、再抽出タンク7内の収容物の上下方向の対流を促進するバッフルを備えることが好ましい。本実施の形態2では、バッフルは整流板として機能すれば足り、多様な形態が考えられる。
図7は、本発明の実施の形態2に係る再抽出タンク7のバッフルの構成を示す例示図である。図7(a)に示すように、バッフル20は、整流板として再抽出タンク7の側壁に沿うように設ければ良い。もちろん、バッフル20の形状は、特にこれに限定されるものではなく、例えば図7(b)に示すように、再抽出タンク7の底面から突出した整流板としてバッフル20を設けても良いし、図7(c)に示すように、再抽出タンク7の側壁から少し離れた位置に環状のバッフル20を上部から吊り下げても良い。バッフル20の形状も特に限定されるものではなく、平板を用いても良いし、環状のパイプを用いても良い。また、後述する再抽出タンク7の上部からの回転軸及び回転軸に取り付けられている撹拌羽根と干渉することがない位置に備える必要がある。
また、再抽出タンク7は、鉛直方向を中心軸として回転することが可能な回転軸71を備え、回転軸71に撹拌用羽根72を取り付けてあることが好ましい。撹拌用羽根72は、特に原料(抽出粕)と抽出用液体との重量比率が、原料(抽出粕)1に対して抽出用液体4以下である場合、すなわち抽出用液体の量が少ない場合に設けることが好ましい。再抽出タンク7の底部に設けられたロータ75のみでは、再抽出タンク7内全体に対流を起こすことが困難になるからである。逆に抽出用液体の量が多い場合には、回転軸71を回転させずに、撹拌用羽根72を再抽出タンク7の底部に設けられたロータ75による対流を起こすバッフル20として機能させることが好ましい。
再抽出タンク7から吐出されたスラリー(二次スラリー)は、スラリー移送ポンプ8により連続して二次スラリーを摩砕する連続式摩砕機82へ送り出される。スラリー移送ポンプ8は、容積式ポンプであっても良いし、遠心式ポンプであっても良い。スラリー移送ポンプ8は、スピードコントローラ81を備えており、差圧発信機73で液面70の高さを検知しながら再抽出タンク7の液面70のレベルを一定に維持するよう制御できることが好ましい。
連続式摩砕機82は、ステータ開口通過型摩砕機を用いることが好ましいが、特にこれに限定されるものではなく、ロータ&ステータ隙間通過型摩砕機を用いても良い。特に、二次抽出であることから、摩砕の必要性は比較的低く、ロータとステータとの隙間の間隔が広い場合であっても、あるいはステータの開口部が大きい場合であっても、強く撹拌することができれば十分に有効である。
図8は、本発明の実施の形態2に係る連続抽出システムの連続式摩砕機82の構成例を示す、ロータ(第4のロータ)の回転中心軸を含む面での断面図である。図8に示すように、ステータ開口通過型摩砕機である連続式摩砕機82は、高速回転するロータ(第4のロータ)83と、ロータ83の外側に、開口部(第4の開口部)85、86を有する固定されたステータ(第4のステータ)84(841、842)とを備える。
図8の例では、スラリー入口87から吸い込まれたスラリーは、高速回転するロータ83の内歯831で砕かれつつ吐出される。そして、ステータ841の開口部(穴)85を通過することで再度摩砕され、さらにその外側の中歯832で砕かれつつ吐出される。そして、ステータ842の開口部(穴)86を通過する時点でさらに摩砕され、その外側の外歯833で砕かれつつスラリー出口88から吐出される。
連続式摩砕機82のステータ841の開口部85の穴の径、あるいはスリット形状の幅は、再抽出タンク7のロータ75とステータ76との隙間、ステータ76の開口部77の大きさあるいはスリット形状の幅よりも小さくする必要がある。また、ステータ842の開口部86の穴の径、あるいはスリット形状の幅は、ステータ841の開口部85の穴の径、あるいはスリット形状の幅よりも小さくする必要がある。再抽出タンク7から吐出された二次スラリーをさらに細かく摩砕するためである。ただし、連続式摩砕機82を通過する時点で強力な撹拌作用が加わるので、より細かく摩砕することができなくても抽出効率の向上に寄与することはできる。
以上のように本実施の形態2によれば、吐出されたスラリーを、抽出粕と抽出液とに分離する第1の遠心分離機6aを備え、分離された抽出粕と抽出用液体とを再抽出タンク7へ供給して二次スラリーを生成し、吐出するので、摩砕機1だけで抽出するよりも高濃度のコーヒー抽出液を得ることが可能となる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る連続抽出システムは、実施の形態2に係る連続抽出システムを用いて構成されているので、同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付することで詳細な説明は省略する。本実施の形態3では、遠心分離器で再度分離された抽出液を抽出用液体として摩砕機1へ供給する点で実施の形態1及び2とは相違する。
図9は、本発明の実施の形態3に係る連続抽出システムの構成を示す模式図である。図9に示すように、本実施の形態3に係る連続抽出システムの構成は、実施の形態2に係る連続抽出システムの構成に加えて、吐出された二次スラリーが、遠心分離機(第2の遠心分離機)6b、抽出液タンク9へと誘導されている。
第2の遠心分離機6bとしては、遠心分離機を用いており、連続式摩砕機82から連続して二次スラリーが送り出されてくることから、デカンターを用いることが好ましい。第2の遠心分離機6bにおける遠心力は、1500G以上であれば適用することが可能となる。ただし、実施の形態2と同様、遠心力は3000G程度であることがより好ましい。
第2の遠心分離機6bで抽出液と抽出粕とに分離され、分離された抽出液は、一旦抽出液タンク9に収容され、流量を一定に制御した後に摩砕機1へと供給される。抽出液タンク9の液レベルは一定に制御する必要はなく、レベルの上下限を設定しておき、その範囲内に収束していることをレベル上下限指示計92で監視さえできれば良い。すなわち、連続運転途上に抽出液タンク9内が空になったり、抽出液タンク9から抽出液があふれ出たりするのを防止することさえできれば良い。
抽出液移送ポンプ91は、容積式ポンプであっても良いし、遠心式ポンプであっても良い。抽出液移送ポンプ91は、スピードコントローラを備えても良いし、あるいはコントロールバルブ5に接続して、送り出す抽出液の流量が一定になるよう制御できれば良い。
以上のように本実施の形態3によれば、吐出された二次スラリーを、抽出粕と抽出液とに分離する第2の遠心分離機6bを備えるので、抽出液を抽出用液体として再利用することが可能となる。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において上記実施の形態に種々の変更をすることが可能であることは言うまでもない。例えば、摩砕機の構成は、上述した実施の形態1乃至3に開示した構成に限定されるものではない。
また、再抽出タンク7の液面70のレベル制御は、レベル検知手段として、差圧発信機73、ロードセル、あるいはレベルの上限と下限を設定し、その範囲に収束するようにするだけならば、レベル上下限指示計92としてフロースイッチ、静電容量式レベルスイッチ等を適用すれば良い。ただし、液面70のレベルは一定になるように制御する方が好ましく、例えば差圧発信機73あるいはロードセルで検知することが好ましいことは言うまでもない。
1 摩砕機
3 二次摩砕機
5 コントロールバルブ
6a 第1の遠心分離機
6b 第2の遠心分離機
7 再抽出タンク
8 スラリー移送ポンプ
9 抽出液タンク
11 ロータ(第1のロータ)
12 ケーシング(筐体)
20 バッフル
31 ロータ(第2のロータ)
32 ステータ(第2のステータ)、前面ステータ
33 ステータ(第2のステータ)、斜面ステータ
71 回転軸
72 撹拌用羽根
75 ロータ(第3のロータ)
76 ステータ(第3のステータ)
77 開口部(第3の開口部)
82 連続式摩砕機
83 ロータ(第4のロータ)
84、841、842 ステータ(第4のステータ)
85、86 開口部(第4の開口部)
131、132 ステータ(第1のステータ)
141 開口部(第1の開口部)
142 開口部(第2の開口部)

Claims (6)

  1. 原料を摩砕する摩砕装置であって、
    原料及び液体を供給する供給部と、
    第1のロータと、1の開口部を有する固定された第1のステータと、該第1のステータを内部に有するケーシングとを有しており、前記ケーシング内を負圧とすることで前記供給部によって原料及び液体が供給され、前記第1のロータが高速回転することで前記第1の開口部を介して、原料と液体を共存させた状態で、摩砕と攪拌を繰り返す第1の摩砕部と、
    第2のロータと、該第2のロータの外側に位置する第2のステータとを有しており、前記第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが供給され、前記第2のロータが回転することで前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間を介して前記スラリーをさらに摩砕する第2の摩砕部と
    を備え、
    前記第1のロータは、複数の歯を備え、
    前記第1の開口部を有する固定された第1のステータは、前記複数の歯の間に配置されており、
    スラリーが前記第1の開口部を通過して吐出されることを特徴とする摩砕装置。
  2. 前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間の間隔は、前記第1の開口部の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の摩砕装置。
  3. 前記第1のステータは、前記第1のロータの回転軸方向に延在し、かつ前記第1のロータの径方向に前記第1の開口部が設けられており、
    前記第2のロータと前記第2のステータとが対向する面には、それぞれ突起した歯が互いに干渉しないように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩砕装置。
  4. 前記第2のロータの前記歯と前記第2のステータの前記歯との間の間隔は、前記第1の開口部よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の摩砕装置。
  5. 前記第1のステータは、前記第1の開口部よりも前記第1のロータの径方向の外側の位置に、前記第1の開口部よりも小さい第2の開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の摩砕装置。
  6. 原料及び液体を供給する供給部と、
    第1のロータと、1の開口部を有する固定された第1のステータとを有しており、前記供給部によって原料及び液体が供給され、前記第1のロータが高速回転することで前記第1の開口部を介して、原料と液体を共存させた状態で、摩砕と攪拌を繰り返す第1の摩砕部と、
    を備え、
    スラリーが前記第1の開口部を通過して吐出されることを特徴とし、
    第2のロータと、該第2のロータの外側に位置する第2のステータとを有しており、前記第1の摩砕部によって摩砕されて生成されたスラリーが供給され、前記第2のロータが回転することで前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間を介して前記スラリーをさらに摩砕する第2の摩砕部と
    を備え、
    前記第1のロータは、複数の歯を備え、
    前記第1の開口部を有する固定された第1のステータは、前記複数の歯の間に配置されており、
    前記第2のロータと前記第2のステータとの間の隙間の間隔は、前記第1の開口部の大きさよりも小さいことを特徴とする摩砕装置。
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