JP6778070B2 - 耐水性繊維集合体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は耐水性繊維集合体及びその製造方法に関する。
近年の大量のプラスチックゴミが環境へ与える影響を少なくするために、生分解性プラスチックを使用することが検討されている。このような生分解性プラスチックの1つとして、水溶性多糖類がある。この水溶性多糖類は生分解性であることに加えて、生体適合性に優れるなど安全であるため、再生医療用の材料としても注目されている。
このような水溶性多糖類の形態として、表面積が広く、また取扱い易いように、繊維シートなどの繊維集合体としての利用が検討されている。例えば、特許文献1(特開2005−290610号公報)には、「静電紡糸法によって得られる多糖類を主原料とする繊維であって、直径が500nm以下である多糖類のナノスケールの繊維」が開示されているが、このような多糖類として、水溶性のものを使用した場合、水溶性であるが故に水に溶解しやすく、例えば、少しの汗や水分のついた手で触るだけで、また、高湿度環境下で溶解し、繊維形態を喪失し、その広い表面積を有効に利用できないものであった。なお、特許文献1には、強度を得るために架橋できることを開示しているが、架橋しても充分な耐水性を得ることができなかった。
特開2005−290610号公報
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、水に溶解しにくいため、取扱いの優れる耐水性繊維集合体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の耐水性繊維集合体は、水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合した耐水性繊維を含有する。
前記耐水性繊維集合体は、耐水性繊維集合体を温度25℃の水中に1時間浸漬した後における質量減少率が10%以下であるのが好ましい。
本発明の耐水性繊維集合体の製造方法は、水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを含む紡糸液を紡糸して前駆繊維を形成する工程、前駆繊維を含有する前駆繊維集合体を形成する工程、及び結合処理を実施し、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを結合させて、前駆繊維を耐水性繊維とする工程、を有する。
本発明の耐水性繊維集合体は、水溶性多糖類とポリマーのカルボキシル基とが結合した耐水性繊維を含んでいるため、水に溶解しにくく、取扱い性の優れるものである。
特に、温度25℃の水中に1時間浸漬した後における質量減少率が10%以下であると、耐水性に優れているため、取扱い性の優れる耐水性繊維集合体である。
本発明の耐水性繊維集合体の製造方法によれば、水溶性多糖類とポリマーのカルボキシル基とが結合した耐水性繊維を含む耐水性繊維集合体を製造することができる。
本発明の耐水性繊維集合体は、水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合した耐水性繊維を含有しており、本発明者らは、この耐水性繊維を含有していると、耐水性に優れ、取扱い性に優れていることを見出したのである。
本発明の耐水性繊維を構成する水溶性多糖類は、温度25℃の水に対する溶解度が0.5mass%以上の多糖類を意味する。つまり、温度25℃の水100gに溶ける質量が0.5g以上である多糖類を「水溶性多糖類」という。
より具体的には、水溶性多糖類として、プルラン、アミロース、デンプン、変性デンプン、変性セルロース(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルエチルセルロース)、キサンタンガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、ウェランガム、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、寒天(アガロース)、ヒアルロン酸、などを例示することができる。これらの中でもプルランは曳糸性が高く、繊維化しやすいため好適である。また、プルランは水への溶解性が高く、増粘効果が低く、水溶液の安定性が高いため、扱いやすいという特長もある。
本発明の耐水性繊維は上述のような水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合しているため、耐水性に優れている。つまり、水溶性多糖類の水酸基とポリマーのカルボキシル基又は無水酸基に由来するカルボキシル基とがエステル結合しており、耐水性に優れている。
前記カルボキシル基を含むポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができ、これら以外に、(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和カルボン酸、必要に応じて他の共重合可能なモノマーが共重合したアクリル系共重合体又はメタクリル系共重合体であることができる。
ここで(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、エチレン性不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、或いはそれらの無水物やハーフエステルを挙げることができる。
更に、他の共重合可能なモノマーとして、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等を挙げることができる。
他方、無水酸基を含むポリマーは無水酸基を含むモノマーを共重合成分として含むポリマーであることができ、無水酸基を含むモノマーとして、無水マレイン酸、ジアクリル酸無水物、ジメタクリル酸無水物などを例示できる。より具体的な無水酸基を含むポリマーとして、例えば、スチレン/無水マレイン酸共重合体、オレフィン(例えば、イソブチレン、ブタジエン)/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸エステル/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体などの無水マレイン酸系共重合体;ジアクリル酸無水物/スチレン共重合体などのジアクリル酸無水物系共重合体;ジメタクリル酸無水物/スチレン共重合体などのジメタクリル酸無水物系共重合体;などを挙げることができる。
これらの中でも、無水酸基を含むポリマーは水溶性多糖類の水酸基との反応性が高いため好適である。特に、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーが水への溶解性が高く、扱いやすいため好適である。
本発明の耐水性繊維は水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーとを含むものであるが、水溶性多糖類の質量比率が高くなり、ポリマーの質量比率が低くなると、耐水性が低下する傾向があり、一方で、水溶性多糖類の質量比率が低くなり、ポリマーの質量比率が高くなると、生体適合性、生分解性など、水溶性多糖類が本来有する機能を発揮しにくくなる傾向があるため、質量比率は(水溶性多糖類):(ポリマー)=99〜40:1〜60であるのが好ましく、(水溶性多糖類):(ポリマー)=90〜50:10〜50であるのがより好ましく、(水溶性多糖類):(ポリマー)=80〜60:20〜40であるのが更に好ましい。
なお、これら水溶性多糖類、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーは1種類である必要はなく、少なくとも一方が2種類以上であっても良い。
本発明の耐水性繊維は基本的に、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合した繊維であるが、耐水性を損なわない範囲内で他の成分を含むことができる。この他の成分としては、例えば、糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、トレハロース、マルトースなど)、糖アルコール類(例えば、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、グリセロールなど)、アミノ酸(例えば、グリシン、フェニルアラニン、イソロイシンなど)、尿素系化合物(例えば、尿素、ヒドロキシ尿素、チオ尿素、メチル尿素など)を挙げることができる。なお、この他の成分量は耐水性を損なわなければ良く、他の成分によって異なるため、特に限定するものではないが、水溶性多糖類とカルボキシル基または無水酸機を含むポリマーの総質量に対して40mass%以下であるのが好ましい。
このような本発明の耐水性繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、耐水性繊維の繊維表面を有効に利用できるように、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましく、1μm以下であるのが更に好ましく、800nm以下であるのが更に好ましい。一方、平均繊維径の下限は特に限定するものではないが、強度的に優れ、取り扱い性に優れているように、1nm以上であるのが好ましく、20nm以上であるのがより好ましい。
本発明における「繊維径」は、耐水性繊維集合体の平面における電子顕微鏡写真から測定して得られる耐水性繊維の直径を意味し、「平均繊維径」は50箇所の繊維径の算術平均値をいう。
また、本発明の耐水性繊維の繊維長は特に限定するものではないが、耐水性繊維の脱落が生じにくく、また、機械的強度が優れているように、実質的に連続繊維であるのが好ましい。この「実質的に連続繊維」とは5,000倍の電子顕微鏡写真を撮影した場合に、耐水性繊維の端部を確認できないことを意味する。
本発明の耐水性繊維集合体はこのような耐水性繊維を含むものであるが、耐水性、生体適合性、生分解性等に優れているように、耐水性繊維を50mass%以上含んでいるのが好ましく、70mass%以上含んでいるのがより好ましく、90mass%以上含んでいるのが更に好ましく、100mass%耐水性繊維からなるのが最も好ましい。
本発明の耐水性繊維集合体は耐水性繊維を含むものであるが、耐水性繊維以外の繊維としては、耐水性繊維集合体の耐水性、生体適合性、生分解性等を損なわない繊維であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、ポリ乳酸繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリグリコール酸繊維、ε―ポリカプロラクトン繊維、キチン繊維、キトサン繊維などを挙げることができる。
本発明の耐水性繊維集合体の形態としては、例えば、織物、編物、不織布のように、二次元的に集合したシート形態にあっても良いし、円柱状、角柱状、球状、円錐状のように、三次元的に集合した立体形態にあっても良い。
本発明の耐水性繊維集合体は耐水性が優れ、取り扱い性に優れるものであるが、具体的には、耐水性繊維集合体を温度25℃の水中に1時間浸漬した後における質量減少率が10%以下であるのが好ましい。この質量減少率が小さければ小さい程、耐水性に優れ、取り扱い性に優れていることを意味するため、前記質量減少率は9.8%以下であるのがより好ましく、9.6%以下であるのが更に好ましい。
この質量減少率は次の操作により得られる値である。
(1)5cm角以上の大きさの耐水性繊維集合体を、温度60℃の真空下(10kPa以下)に24時間静置し、乾燥する。
(2)真空乾燥した前記耐水性繊維集合体から5cm角の試料を採取した後、試料の質量(Mb)を測定する。
(3)前記試料を温度25℃の水(500mL)の中に、1時間浸漬する。
(4)1時間後、水中から試料を引き上げ、温度40℃に設定した温風乾燥機で6時間乾燥した後、試料の質量(Ma)を測定する。
(5)浸漬前後の試料の質量から、次の式により質量減少率(Mr、単位:%)を算出する。
Mr=[(Ma−Mb)/Mb]×100
本発明の耐水性繊維集合体がシート形態の場合、目付(JIS L1085に準じて10cm×10cmとして測定した値)は特に限定するものではないが、0.1〜200g/mであるのが好ましく、0.5〜100g/mであるのがより好ましく、1〜50g/mであるのが更に好ましい。
また、耐水性繊維集合体がシート形態の場合、厚さは特に限定するものではないが、5N荷重時の外側マイクロメーターを用いて測定した値で、0.5〜1000μmであるのが好ましく、2〜500μmであるのがより好ましく、4〜200μmであるのが更に好ましい。
このような本発明の耐水性繊維集合体は耐水性に優れており、取り扱い性に優れるものであるため、生体適合性、生分解性等の水溶性多糖類本来の性質を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、人工硬膜、貼付薬基材、止血材などの医療用途、保湿シートなどの化粧用途、作物保護シート、肥料シート、苗床ケースなどの農業用途、接着シートなどの接着剤用途、細胞培養シートなどの培養用途に、好適に使用することができる。
本発明の耐水性繊維集合体は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを用意する。前述の通り、水溶性多糖類として、プルランを用意するのが好ましい。また、ポリマーとして、無水酸基を含むポリマー(特に、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー)を用意するのが好ましい。
また、水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを溶解させることのできる溶媒を用意する。この溶媒は通常、水であるが、水である必要はない。例えば、アルコール類、その他の有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類など)を用いることもできる。また、これら溶媒の混合溶媒であっても良い。
次いで、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが溶解した紡糸液を調製する。これら原料の溶解した紡糸液の調製方法は特に限定するものではない。なお、紡糸液を調製する場合、水溶性多糖類とポリマーの質量比率が、(水溶性多糖類):(ポリマー)=99〜40:1〜60となるように配合して紡糸液を調製するのが好ましく、(水溶性多糖類):(ポリマー)=90〜50:10〜50となるように配合して紡糸液を調製するのがより好ましく、(水溶性多糖類):(ポリマー)=80〜60:20〜40となるように配合して紡糸液を調製するのが更に好ましい。
また、紡糸液における水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーの全部の固形分濃度は、これらが溶解できる濃度であれば良く、特に限定するものではないが、安定した紡糸を行えるように、粘度が100〜100,000mPa・sであるような濃度であるのが好ましい。この粘度は粘度測定装置(Thermo Electron製)を用い、紡糸時と同じ温度で測定した、シェアレート100s−1の時の値をいう。
なお、紡糸液は水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマー以外に、耐水性繊維集合体の耐水性と取り扱い性を損なわない範囲内で、前述のような糖類などの他の成分、及び/又は各種機能性物質を含むことができる。機能性物質としては、例えば、難燃剤、導電剤、吸着剤、湿潤強紙剤、サイズ剤、膨潤剤、着色剤、撥水剤、粘着剤、接着剤、薬効成分などを挙げることができる。
次いで、前記紡糸液を紡糸して前駆繊維を形成する。この紡糸方法は従来公知の紡糸方法であることができ、例えば、湿式紡糸法、乾式紡糸法、フラッシュ紡糸法、遠心紡糸法、静電紡糸法、特開2009−287138号公報に開示されているような、ガスの剪断作用により紡糸する方法、或いは特開2011−32593号公報に開示されているような、電界の作用とガスの剪断力を併用して紡糸する方法などを挙げることができる。これらの中でも、静電紡糸法により前駆繊維を紡糸すると、平均繊維径が5μm以下で、繊維径が揃っており、しかも連続した前駆繊維を紡糸できるため好適である。
次いで、紡糸した前駆繊維を含有する前駆繊維集合体を形成する。この前駆繊維集合体の形成方法は特に限定するものではないが、前述の方法により紡糸した前駆繊維を直接、ドラム、コンベアなどの捕集体上に集積して前駆繊維集合体を形成することができる。また、紡糸した前駆繊維を切断して短繊維とした後、湿式法、又はカード機、エアレイなどの乾式法により前駆繊維集合体を形成することもできる。なお、紡糸した前駆繊維の平均繊維径が5μm以下と細い場合、短繊維とした後に前駆繊維集合体を形成するのが困難になる傾向があり、また、前駆繊維集合体の形成が煩雑になるため、紡糸した前駆繊維を直接、捕集体上に集積して、前駆繊維集合体を形成するのが好ましい。例えば、静電紡糸法により前駆繊維を紡糸すると、平均繊維径が5μm以下で、繊維径が揃っており、しかも連続した前駆繊維を紡糸できるが、短繊維とした後に前駆繊維集合体を形成するのが困難になる傾向があり、また、前駆繊維集合体の形成が煩雑になるため、静電紡糸法により紡糸した前駆繊維を直接、捕集体上に集積して、前駆繊維集合体を形成するのが好ましい。
なお、前駆繊維以外の繊維を含む前駆繊維集合体は、紡糸した前駆繊維を直接、捕集体上に集積して前駆繊維集合体を形成する場合には、飛翔中の前駆繊維の流れに対して繊維を供給して、又は、集積後に繊維を供給して作製することができる。また、前駆繊維を短繊維とした後に湿式法又は乾式法により前駆繊維集合体を形成する場合には、湿式法又は乾式法により前駆繊維集合体を形成する際に、原料繊維として混合して作製することができる。
そして、前駆繊維集合体に結合処理を実施し、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを結合させ、前駆繊維を耐水性繊維として、本発明の耐水性繊維集合体を製造することができる。
この結合処理は、水溶性多糖類の水酸基と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーのカルボキシル基のエステル結合により、前駆繊維を耐水性繊維とできる結合処理であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、熱処理、マイクロ波照射、紫外線照射、プラズマ照射、近赤外線照射、遠赤外線照射、電子線(放射線等)照射等を利用することができる。特に、残留溶媒の除去と反応を同時に進めることができるため、熱処理が好ましい。
好適である熱処理の場合、特に限定するものではないが、温度80〜230℃で熱処理するのが好ましい。80℃未満であると、水溶性多糖類の水酸基と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーのカルボキシル基のエステル結合が充分に進行しないと考えているためで、100℃以上であるのがより好ましく、120℃以上であるのが更に好ましい。一方で、230℃を超えると、水溶性多糖類、または、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが分解し、耐水性繊維集合体の強度が著しく低下する傾向があるため、230℃以下であるのが好ましく、190℃以下であるのがより好ましい。なお、上記温度は前駆繊維集合体表面における温度であり、熱源の温度は230℃以上であっても良い。
また、熱処理により結合して耐水性繊維とする場合、その時間は水溶性多糖類の水酸基と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーのカルボキシル基のエステル結合が充分に進行する時間であれば良く、特に限定するものではないが、30秒以上であるのが好ましく、1分以上であるのがより好ましく、10分以上であるのが更に好ましい。他方、あまり長時間加熱しても結合が進行しないため、60分以内であるのが好ましく、45分以内であるのがより好ましい。
なお、必要であれば、耐水性繊維集合体が各種用途に適合するように、各種後処理を実施することができる。例えば、カレンダー処理などを実施することができる。
以上は、前駆繊維集合体を形成した後に、水溶性多糖類の水酸基と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーのカルボキシル基のエステル結合により前駆繊維を耐水性繊維とする、耐水性繊維集合体の製造方法であるが、前駆繊維に結合処理を実施して耐水性繊維とした後に切断して短繊維とし、湿式法又は乾式法により耐水性繊維集合体を形成することもできる。なお、このような短繊維の耐水性繊維を用いて耐水性繊維集合体を形成する際に、耐水性繊維以外の繊維を混合すれば、耐水性繊維以外の繊維を含む耐水性繊維集合体を製造することができる。
なお、以上のような方法によると、シート形態の耐水性繊維集合体を製造しやすいが、三次元的に集合した立体形態の耐水性繊維集合体は、例えば、シート形態の耐水性繊維集合体を成形すること以外は同様にして製造することができる。また、前駆繊繊維を直接集積する場合には、その集積体として、所望の三次元形状を有するものを使用すること以外は同様にして製造することができる。更に、短繊維の前駆繊維を使用する場合には、所望の三次元形状を有する型枠に充填すること以外は同様にして製造することができる。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜3)
プルラン(林原工業製)を用い、濃度20mass%水溶液Aを調製した。
また、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー(メチルビニルエーテル1モル:無水マレイン酸1モル、分子量:22万、ALDRICH製)を用い、濃度20mass%水溶液Bを調製した。
次いで、水溶液Aと水溶液Bとを、固形分質量比で1:1(実施例1)、2:1(実施例2)、4:1(実施例3)の比率で混合して、それぞれ紡糸液(粘度:300〜1200mPa・s)を調製した。
続いて、次に示す静電紡糸条件で前駆連続繊維を紡糸し、直接、ドラム(捕集体)上に集積し、前駆連続繊維100%からなる不織布形態の前駆連続繊維集合体をそれぞれ作製した。
(静電紡糸条件)
ノズル内径:0.44mm
ノズル−ドラム間距離:8cm
ノズルからの吐出量:1cm/時間
印加電圧:10−20kV
紡糸環境温度:25℃
紡糸環境湿度:30%RH
そして、前駆連続繊維集合体に対して、温度180℃で、30分間の熱処理を行い、プルランとメチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーとを結合して耐水性連続繊維とし、耐水性連続繊維100%からなる不織布形態の耐水性連続繊維集合体をそれぞれ製造した。これら耐水性連続繊維集合体の物性は表1に示す通りであった。
Figure 0006778070
(比較例1)
水溶液Aを紡糸液としたこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態の前駆連続繊維集合体を作製した後、熱処理を実施して、プルラン連続繊維100%からなる不織布形態の連続繊維集合体を製造した。このプルラン連続繊維集合体の物性は表2に示す通りであった。
(比較例2)
プルラン(林原工業製)を用い、濃度20mass%水溶液Aを調製した。
また、グルタルアルデヒドを用い、濃度20mass%水溶液Cを調製した。
次いで、水溶液Aと水溶液Cとを、固形分質量比で4:1の比率で混合して、紡糸液(粘度:2400mPa・s)を調製した。
その後、実施例1と同様に、静電紡糸法により不織布形態の前駆連続繊維集合体を作製した後、熱処理を実施して、プルランとグルタルアルデヒドとが結合した連続繊維100%からなる不織布形態の連続繊維集合体を製造した。この連続繊維集合体の物性は表2に示す通りであった。
(比較例3)
プルラン(林原工業製)を用い、濃度20mass%水溶液Aを調製した。
次いで、プルランと無水マレイン酸の固形分質量比が4:1の比率となるように、水溶液Aに無水マレイン酸を混合して、紡糸液(粘度:1800mPa・s)を調製した。
その後、実施例1と同様に、静電紡糸法により不織布形態の前駆連続繊維集合体を作製した後、熱処理を実施して、プルランと無水マレイン酸とが結合した連続繊維100%からなる不織布形態の連続繊維集合体を製造した。この連続繊維集合体の物性は表2に示す通りであった。
Figure 0006778070
(比較例4)
プルラン(林原工業製)とデンプン(SIGMA−ALDRICH、CAS:9005−25−8)を用意し、プルランとデンプンとを質量比1:99で含む、濃度40mass%の水溶液Eを調製した。
そして、この水溶液Eを紡糸液としたこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態の前駆連続繊維集合体を作製した後、熱処理を実施して、プルランとデンプンからなる連続繊維100%からなる不織布形態の連続繊維集合体を製造した。この連続繊維集合体の物性は表3に示す通りであった。
(実施例4)
比較例4と同じ水溶液Eと、実施例1と同じ水溶液Bとを調製した。
次いで、水溶液Eと水溶液Bとを、固形分質量比で4:1の比率で混合して、紡糸液(粘度:400mPa・s)を調製した。
続いて、この紡糸液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態の前駆連続繊維集合体を作製した後、熱処理を実施して、プルラン、デンプン、及びメチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーとを結合して耐水性連続繊維とし、耐水性連続繊維100%からなる不織布形態の耐水性連続繊維集合体を製造した。この耐水性連続繊維集合体の物性は表3に示す通りであった。
(実施例5)
プルラン(林原工業製)とデンプン(SIGMA−ALDRICH、CAS:9005−25−8)を用意し、プルランとデンプンとを質量比10:90で含む、濃度40mass%の水溶液Fを調製した。
また、実施例1と同じ水溶液Bを調製した。
次いで、水溶液Fと水溶液Bとを、固形分質量比で4:1の比率で混合して、紡糸液(粘度:920mPa・s)を調製した。
続いて、この紡糸液を使用したこと以外は実施例1と同様にして、不織布形態の前駆連続繊維集合体を作製した後、熱処理を実施して、プルラン、デンプン、及びメチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーとを結合して耐水性連続繊維とし、耐水性連続繊維100%からなる不織布形態の耐水性連続繊維集合体を製造した。この耐水性連続繊維集合体の物性は表3に示す通りであった。
Figure 0006778070
実施例3と比較例1〜3の比較、及び実施例4と比較例4の比較から、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合した耐水性繊維を含有する耐水性繊維集合体は耐水性に優れ、取り扱い性に優れていることが分かった。
また、実施例1〜3の結果から、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーの質量比率が20%以上であると、耐水性が優れていることが分かった。
更に、実施例3〜5の結果から、水溶性多糖類の種類に関係なく、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが結合した耐水性繊維を含有する耐水性繊維集合体は耐水性に優れ、取り扱い性に優れていることが分かった。
なお、グルタルアルデヒド又は無水マレイン酸を添加した比較例2、3においては、紡糸性が悪く、長時間の紡糸が困難であったが、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを添加した紡糸液は、紡糸性を損なうことなく、前駆連続繊維を紡糸でき、結果として、耐水性繊維集合体を作製しやすいという効果もあった。
本発明の耐水性繊維集合体は耐水性に優れており、取り扱い性に優れるものであるため、生体適合性、生分解性等の水溶性多糖類本来の性質を必要とする用途に好適に使用することができる。例えば、人工硬膜、貼付薬基材、止血材などの医療用途、保湿シートなどの化粧用途、作物保護シート、肥料シート、苗床ケースなどの農業用途、接着シートなどの接着剤用途、細胞培養シートなどの培養用途に、好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーが、99〜50:1〜50の質量比率で結合した耐水性繊維を含有することを特徴とする耐水性繊維集合体。
  2. 耐水性繊維集合体を温度25℃の水中に1時間浸漬した後における質量減少率が10%以下であることを特徴とする、請求項1記載の耐水性繊維集合体。
  3. 水溶性多糖類と、カルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを、99〜50:1〜50の質量比率で含む紡糸液を紡糸して前駆繊維を形成する工程、前駆繊維を含有する前駆繊維集合体を形成する工程、及び結合処理を実施し、水溶性多糖類とカルボキシル基又は無水酸基を含むポリマーを結合させて、前駆繊維を耐水性繊維とする工程、を有することを特徴とする、耐水性繊維集合体の製造方法。
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