JP2010246750A - 創傷治療材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】創傷部位との接着性に優れた創傷治療材料を提供する。
【解決手段】生分解性のポリマーより形成される繊維成型体であり、平均繊維径が0.5〜8μm、水に対する接触角が110度以上であり、水分の保持量が繊維成型体の重量の200%以下である繊維成型体が体表面と接触する面に配置されていることを特徴とする創傷治療材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、創傷治療材料に関する。さらに詳しくは、生分解性ポリマーからなり、特定の撥水性と水分含量を示す繊維成型体が配置された、臓器表面との接着性に優れた創傷治療材料に関する。
生分解性の高分子を成型加工した医療用具はこれまでいくつもの発明がなされており、特にポリ乳酸やポリグリコール酸、ポリカプロラクトンに代表される脂肪族ポリエステルやその共重合体は、さまざまな医療用具に用いられている。
これら脂肪族ポリエステルを繊維に加工した成型体は、縫合糸や生体吸収性シートなど様々な応用がなされている。エレクトロスピニング法(静電紡糸法、電界紡糸法ともいう)で作製されるナノファイバーは、従来の成型方法よりも繊維径の細い糸を簡便に作成できるメリットがあり、繊維成型体の表面積を大きくすることで細胞との接着性を高めることができるため、近年、細胞培養用の担体や再生医療のためのScaffoldなどへの応用が検討されている。
一般に、繊維成型体からなる医療材料は損傷部位や臓器表面との接着力が弱いため、創傷治療材料として用いるには、表皮においては粘着材を含んだシート材料による固定が行われる。また体内においては、縫合や留め具による固定、あるいは接着剤との併用など、繊維以外の材料を活用した処置が行われる。繊維材料そのものの接着性が改善され、縫合や固定化を必要としない材料が利用できるようになれば、手間を省き、作業が簡略化できるだけでなく、止め具や固定具などの医療材料を使うことなく、手術時間の短縮と使用する材料の低減を進めることができるため、メリットが大きい。
創傷部位と接触する部分に用いられる材料は、滲出液を吸収する目的で親水性の高い材料が多く用いられている。例示すると、酸化セルロースよりなる止血剤や、カルボキシメチルセルロースとヒアルロン酸よりなる癒着防止材を挙げることができる。これらは血液や滲出液を吸収して傷口表面でゲル化することにより患部にとどまるメカニズムを有する。しかしながら、医療の現場で多く用いられる繊維成型体において、臓器との接着性に優れた繊維成型体についてはこれまで十分な検討がなされていない。
医療用の繊維成型体における血液や体液の浸透性に関しては、検討を行った例がいくつか開示されている。
特許文献1には、繊維間隙からの漏血が少ない繊維性医用材料について開示されており、0.5デシテックス以下の極細繊維を、少なくともその流体接触側の面における繊維間隙の一部に有し、透水率と透血率の比が6以上という特定の値を有する医用材料が記載されている。
しかしながら、特許文献1は人工血管に用いるための血液浸透性の小さい(血液漏れの少ない)材料について開示がなされており、本発明で用いる臓器との接着に優れた繊維成型体については何ら記載も示唆もされていない。
特許文献2には、創傷部分に当てる液透過性繊維綿層と、当該液透過性繊維綿層上に重合する液吸収性繊維綿層とからなる、創傷部分に当てるためのパッドについて開示されている。しかしながら、本発明で用いられる繊維成型体の繊維構造や表面特性については何ら示唆されていない。
特許文献3には、表面毛細管繊維(SCF)を有する医療デバイスが開示されている。このSCF繊維は繊維表面に毛細管現象を組み込んだ構造を有し、患者の血液などの体内流動体と接触する部位に用いられるよう設計されている。
しかしながら、これらの繊維成型体は傷口表面や臓器表面との接着性が十分ではなく、手術後や傷口の処置後に受ける様々な外力から傷口を保護する効果においては改善の余地がある。
特許文献4には、疎水性溶媒に溶解可能なポリマーと複数の水酸基を有する有機化合物からなる空隙率の高い多孔質繊維について開示がなされており、該多孔質繊維は細胞培養の基材として有用であることが記載されている。
しかしながら該多孔質繊維は、培養した細胞に養分などを届けるために優れた構造の繊維を目的としており、繊維構造体の疎水性や保水率については何ら記載がなく、臓器接着性を改善する手段については示唆もされていない。
特開2005−124959号公報 特開2002−78730号公報 特表2006−528033号公報 国際公開WO2004/072336号明細書
本発明が解決しようとする課題は、生分解性高分子の繊維成型体よりなる医療デバイスの中でも、とりわけ、血液や体液など濡れた臓器表面と接触する部位において、臓器表面との接着性に優れた創傷治療材料を提供することである。
血液や体液との親和性が高い材料としては、ガーゼや脱脂綿など親水性の高い材料が一般的に知られている。しかしながら、理由は不明であるが、ナノファイバーの成型体においては、親水性の高いナノファイバー繊維成型体は、臓器との接着性においては十分な効果を発揮しない。
発明者らは、親水性が低い特定の性状を有するナノファイバーの繊維成型体が、驚くべきことに臓器との接着性に優れた特性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、生分解性のポリマーより形成される繊維成型体であり、平均繊維径が0.5〜8μm、水に対する接触角が110度以上であり、水分の保持量が繊維成型体の重量の200%以下である繊維成型体が体表面と接触する面に配置されていることを特徴とする創傷治療材料である。
さらに、本発明は、静電紡糸法にて繊維成型体を得る工程、該繊維成型体に熱処置を行う工程、得られた繊維成型体に除電処理を行う工程、減圧下脱気する工程を含む、該繊維成型体を製造する方法である。
本発明の創傷治療材料は、臓器との接着性が改善されているため、傷口や創傷部位を含む臓器表面をカバーする特性に優れる。特に、血液や体液など濡れた臓器表面と接触する部位において、臓器表面との接着性に優れている。
本発明の創傷治療材料の鶏肉に対する変位応力測定法を示す図である。
本発明で用いられる繊維成型体は、生分解性のポリマーからなる。生分解性高分子としては、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリグリセロールセバシン酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル類、ポリトリメチレンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート類、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロースなどの多糖類誘導体、フィブロイン、ゼラチン、コラーゲンなどのたんぱく質類やこれらの誘導体が例示できる。
これらのうち好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネート、ならびにこれらの共重合体などの脂肪族ポリエステルが挙げられ、さらに好ましくはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトンが挙げられる。なかでもポリ乳酸が好ましい。
また、かかるポリマーの分子量は1×10〜5×10であり、好ましくは1×10〜1×10、より好ましくは5×10〜5×10である。ここで、ポリマーの末端構造やポリマーを重合する触媒は任意に選択できる。
本発明で用いられる繊維成型体においては、その目的を損なわない範囲で、他のポリマーや他の化合物を併用してもよい。例えば、ポリマー共重合、ポリマーブレンド、化合物混合である。
本発明で用いられる繊維成型体は、平均繊維径が0.5〜8μmである生分解性の繊維より形成される。平均繊維径が0.5μmより小さいと、血液や体液の浸透性が悪くなるため好ましくない。また、8μmよりも大きくなると、所望の接着性を有さず好ましくない。より好ましい平均繊維径は0.7〜7.5μmであり、さらに好ましくは、1.0〜7.0μmである。なお、繊維径とは繊維断面の直径を表す。しかし、ときには繊維断面の形状が楕円形や異形になることもありうる。この場合の繊維径とは、該楕円形の長軸方向の長さと短軸方向の長さの平均をその繊維径として算出する。また、繊維断面が円形でも楕円形でもないときには、円または楕円に近似して繊維径を算出する。
本発明で用いられる繊維成型体の水に対する接触角は、110度以上である。ここでいう水の接触角とは、液滴を繊維成型体の水平面上に置いた際、繊維表面と液体の表面との角度を測定して得られる液体の内側の角度をいう。好ましくは115〜140度、さらに好ましくは120〜130度である。これよりも角度が小さいと組織との接着性が上がらない。
また、本発明で用いられる繊維成型体の水分保持量は200%以下である。ここでいう水分保持量とは、繊維成型体を水中に置いた後、繊維成型体に含まれる水分量の、繊維成型体の乾燥重量を100%としたときに計算される割合をいう。例えば水分保持量が200%とは、繊維成型体の乾燥重量の2倍の重さの水分を含むことを意味する。水分含量は好ましくは10〜180%、さらに好ましくは20〜180%である。これよりも水分含量が多いと組織との接着性が上がらず好ましくない。
本発明で用いられる繊維成型体は、平均見掛け密度が100〜250kg/mであることが好ましい。ここで、平均見掛け密度とは、作製した繊維成型体の面積、平均厚、質量から割り出した密度を意味する。より好ましくは110〜220Kg/m、さらに好ましくは120〜200Kg/mである。これよりも密度が小さいと血液や体液を吸収する能力が低くなり好ましくない。一方、これよりも密度が大きいと血液や体液の浸透性に問題があるため好ましくない。
一般に、繊維成型体の接触角や水分保持率は、繊維径、繊維密度、繊維表面の疎水性、繊維表面の形状によって影響を受ける。繊維径が細く繊維密度が高いと接触角は高くなり、水分含量は低い傾向を示す。また繊維表面をコーティングなどで親水性にすると、接触角が低下し、水分含量は上がる。繊維表面に微小な凹凸が多いと接触角が高くなる傾向を示す。
本発明の繊維成型体は、生分解性の脂肪族ポリエステルを原料とする場合、好ましくは親水性の添加剤を含むものがよい。具体的にはポリエチレングリコールなどのポリエーテル類、グリセリンやポリグリセリンなどの多価アルコール類、ゼラチンなどのタンパク類、ソルビタンアルキルエーテルなどの糖誘導体などが挙げられる。
これらの中でも最適な例として、脂肪族ポリエステル中、分子量200〜2000のポリエチレングリコールが100〜20000ppm、あるいはグリセリンが10〜2000ppm含まれるものを挙げることができる。
本発明で用いられる繊維成型体の製造方法は、特に制限はないが、好ましくは静電紡糸法が利用される。この方法は、ポリマーを溶媒に溶解させた溶液に高電圧を印加することで、電極上に繊維成型体を得る方法である。好ましくは、生分解性高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する工程と、該溶液に高電圧を印加する工程と、該溶液を噴出させる工程と、噴出させた溶液から溶媒を蒸発させて繊維成型体を形成させる工程とを含む。
はじめに、有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階について説明する。本発明の製造方法における溶液中の溶媒に対する生分解性高分子の濃度は1〜30重量%であることが好ましい。生分解性高分子の濃度が1重量%より小さいと、濃度が低すぎるため繊維成型体を形成することが困難となり好ましくない。また、30重量%より大きいと、得られる繊維成型体の繊維径が大きくなり好ましくない。より好ましい溶液中の溶媒に対する生分解性高分子の濃度は2〜20重量%である。
前記溶媒は一種を単独で用いてもよく、複数の溶媒を組み合わせてもよい。前記溶媒としては、生分解性高分子とを溶解可能で、かつ紡糸する段階で蒸発し、繊維を形成可能なものであれば特に限定されない。例えば、アセトン、クロロホルム、エタノール、2−プロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、水、ベンゼン、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、1−プロパノール、ジクロロメタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、フェノール、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、蟻酸、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルモルホリン−N−オキシド、1,3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、および上記溶媒の混合溶媒等が挙げられる。これらのうち、取扱い性や物性などから、ジクロロメタンやエタノールを用いることが好ましい。
次に、溶液に高電圧を印加する段階と、溶液を噴出させる段階と、噴出された溶液から溶媒を蒸発させて繊維成型体を形成させる段階について説明する。
本発明の製造方法においては、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させ、繊維成型体を形成させるために、溶液に高電圧を印加する必要がある。電圧を印加する方法については、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させ、繊維成型体が形成されるものであれば特に限定されないが、溶液に電極を挿入して電圧を印加する方法や、溶液噴出ノズルに対して電圧を印加する方法などがある。
また、溶液に電圧を印加する電極とは別に補助電極を設けることも可能である。印加電圧の値については、前記繊維成型体が形成されれば特に限定されないが、通常は5〜50kVの範囲である。印加電圧が5kVより小さい場合は、溶液が噴出されずに繊維成型体が形成されないため好ましくなく、印加電圧が50kVより大きい場合は、電極からアース電極に向かって放電が起きるため好ましくない。より好ましくは6〜30kVの範囲である。所望の電位は従来公知の任意の適切な方法で作ればよい。
上記のようにして生分解性高分子溶液を噴出させると、直後に生分解性高分子を溶解させた溶媒が揮発して繊維成型体が形成される。通常の紡糸は大気下、室温で行われるが、揮発が不十分である場合には陰圧下で行うことや、高温の雰囲気下で行うことも可能である。また、紡糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、通常は0〜50℃の範囲である。
以上の方法で得られた繊維成型体は、所望により繊維成型体の電荷を消失させる処理(除電処理)を実施してもよい。繊維成型体の電荷を消失させる方法は特に限定を受けないが、好ましい方法としては、イオナイザーにより電荷を消失させる方法が挙げられる。イオナイザーとは、内蔵のイオン発生装置によりイオンを発生させ、前記イオンを帯電物に放出させることにより前記帯電物の電荷を消失させうる装置である。本発明の製造方法で用いられる好ましいイオン発生装置としては、内蔵の放電針に高電圧を印加させることによりイオンを発生する装置が挙げられる。
また、前記電荷消失によって繊維成型体を累積させる方法により繊維成型体を得てもよい。前記電荷消失によって繊維成型体を累積させる方法は、前記繊維成型体が累積される方法であれば特に限定を受けないが、通常の方法として、電荷消失により繊維成型体の静電力を失わせ、自重により落下、累積させる方法が挙げられる。また必要に応じて、静電力を消失させた繊維成型体を吸引してメッシュ上に累積させる方法、装置内の空気を対流させてメッシュ上に累積させる方法などを行ってもよい。
本発明で用いられる繊維成型体には、任意に薬剤を含ませることができる。揮発性溶媒に可溶であり、溶解によりその生理活性を損なわないものであれば、使用する薬剤に特に制限はない。かかる薬剤の具体例としては、タクロリムスもしくはその類縁体、スタチン系、またはタキサン系抗癌剤が例示できる。また、揮発性溶媒中において活性を維持することが可能であればタンパク質製剤、核酸医薬であってもよい。さらに、薬剤以外のもの、例えば金属、多糖、脂肪酸、リン脂質、界面活性剤を含んでいてもよい。
本発明の創傷治療材料は、上記繊維成型体が体表面(例えば臓器表面)に接する面に配置された材料であり、シート状の形態が好ましい。シート状の創傷治療材料を形成する繊維成型体もシート状であることが好ましい。シート状の繊維成型体のみからなる創傷治療材料も、本発明には含まれるが、繊維成型体の反対側の面(体表面と接しない面)や内部に、布状の支持体、フィルム状の支持体、金属製の支持体、プラスチックワイヤーなどの補強材で補強してもよい。該支持体と繊維成型体との接点には粘着材を配置してもよい。また通気性、通液性を確保するために多孔質な支持体を用いてもよい。さらに綿状構造物を重ねることや、綿状構造物をはさんでサンドイッチ構造にするなどの加工は、本発明の目的を損ねない範囲で任意に実施しうる。
体表面と接触する繊維成型体は、体表面の凹凸になじみやすい状態であることが好ましく、支持体との間に空間を形成させ、体表面との接着が行われるような構造にすることもできる。
ここで、臓器表面とは、外科的手術の必要性が生じた臓器の表面のことをいう。臓器の部位や種類などについては特に制限はないが、体表(外皮)以外の臓器であることが好ましく、具体的には胃、小腸、大腸、子宮、心臓、肺、筋肉、骨、靭帯などの器官の表面を挙げることができる。このとき、臓器の手術内容は特に限定されず、その表面の状態も特に限定されない。好ましくは連続的な出血のない状態である。
創傷治療材料は、柔軟性の高いものが望ましい。シート状の形状である場合の厚みは、手術時に取り扱いやすい厚みであり、好ましくは20μm〜3000μm、さらに好ましくは30〜1000μmである。また、管状の臓器を保護する目的で、創傷治療材料の一部に、フックなどの止め具を配置してもよい。
体内で用いられる本発明の創傷治療材料は、体内で分解、吸収される。したがって、とりわけ血液やリンパ液などの体液が漏出している部位と接触する用途に好ましく用いることができる。特に縫合や接着剤を用いることなく傷口をカバーする効果に優れているため、創傷治癒材料、シール材、保護膜などの医療用途に好ましく用いられる。また、血液や体液との親和性がよいので、とりわけ体内における止血材や、創傷部位のカバー材、被覆材料などに好ましく用いられる。
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
1.平均繊維径:
得られた繊維成型体を走査型電子顕微鏡(キーエンス株式会社製VE8800)により、倍率2000倍で撮影して得た写真から無作為に20箇所を選んで繊維の径を測定し、すべての繊維径の平均値を求めて、平均繊維径とした。n=20である。
2.平均厚:
高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL−50」を用いて測長力0.01Nによりn=10にて繊維成型体の膜厚を測定した平均値を算出した。
3.平均見掛け密度:
繊維成型体の質量、面積を計測し、上記方法により求めた平均厚をもとに平均見かけ密度を算出した。
4.接触角:
繊維成型体表面の接触角を測定した。測定は、Fibro社製PG−1型PocketGoniometerを用い、繊維成型体表面に2μlの液滴を形成し、その接触角を測定した。
[実施例1]
ポリ乳酸(LACTY9031、島津製作所)の10%ジクロロメタン溶液を調製し、ポリマーに対して0.5%のポリエチレングリコール600(和光純薬)を室温で加え、均一な溶液を得た。静電紡糸装置を用いて紡糸を行い、シート状の繊維成型体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、印加電圧は12kV、噴出ノズルから他方の電極までの距離は15cmであった。
得られた繊維成型体を構成する繊維の平均径は1.5μmであり、繊維成型体の厚さは82μm、平均見掛け密度190g/mであった。
得られた繊維成型体上に、水滴を1摘たらして液滴の変化を観察した。その結果、液滴は滴下後10分間、繊維成型体の内部に入り込むことはなく、疎水性の表面であることが確認された。また、繊維成型体の接触角を測定したところ、122度であった。
得られた繊維成型体を1cm×1cmの大きさに切り出し、水面上に置き、10分間放置した。繊維成型体は水中に沈むことはなく、気泡を保持したまま水面に浮いていた。10分後に繊維成型体を取り出して重量を測定し、水分の保持量を測定した結果、繊維成型体の乾燥重量の22%の水分を吸収していた。
[実施例2]
生体組織として鶏肉を用い、市販のムネ肉の平滑な部分を図1のように固定し、JIS Z0237:2000を参考にして、水平に引き剥がし、1mm変位したときの繊維成型体にかかる応力を測定した。実施例1で得られた繊維成型体の応力を測定したところ、1.6Nであった(測定回数4回の平均値)。
[比較例1]
ポリエチレングリコール600をポリマーに対して3.0%加えた以外は、実施例1と同様に繊維成型体を作成した。得られた繊維構造物を構成する繊維成型体の平均径は1.3μmであり、厚さは88μm、平均見掛け密度326g/mであった。また、得られた繊維成型体上に、水滴を1摘たらして液滴の変化を観察した。その結果、水滴は繊維成型体内部に浸透したため、親水性の表面であることが確認された。水滴が繊維成型体内部にしみこむため、接触角は測定できなかった。
得られた繊維成型体を1cm×1cmの大きさに切り出し、水面上に置き、10分間放置したところ、繊維成型体は水中に沈むことを確認した。10分後に取り出し、繊維成型体の重量を測定し、水分の保持量を測定した結果、繊維重量の287%の水分を吸収していた。
[比較例2]
実施例2で得られた繊維成型体の応力を測定したところ、1.0Nであった(測定回数4回の平均値)。
以上の結果、特定の繊維径を有し、水に対する接触角および水分の保持量が特定の繊維成型体は、臓器表面との接着力が改善され、吸着性に優れた繊維材料であることが示された。
本発明の創傷治癒材料は、臓器表面との接着性に優れており、例えば手術時に用いる医療材料として利用できる。
1 プラスチックケース
2 鶏肉
3 繊維成型体
4 鶏肉と接着している繊維成型体部分

Claims (7)

  1. 生分解性のポリマーより形成される繊維成型体であり、平均繊維径が0.5〜8μm、水に対する接触角が110度以上であり、水分の保持量が繊維成型体の重量の200%以下である繊維成型体が体表面と接触する面に配置されていることを特徴とする創傷治療材料。
  2. 生分解性のポリマーが脂肪族ポリエステルである請求項1に記載の創傷治療材料。
  3. 繊維成型体の平均見掛け密度が100〜250Kg/m以下である請求項1または2に記載の創傷治療材料。
  4. 体表面が、血液または体液で濡れている創傷面である請求項1〜3のいずれかに記載の創傷治療材料。
  5. グリセリンが10〜2000ppm繊維成型体に含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の創傷治療材料。
  6. 分子量200〜2000のポリエチレングリコールが100〜20000ppm繊維成型体に含まれる請求項1〜4のいずれかに記載の創傷治療材料。
  7. 静電紡糸法にて繊維成型体を得る工程、該繊維成型体に熱処置を行う工程、得られた繊維成型体に除電処理を行う工程、減圧下脱気する工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の創傷治療材料における繊維成型体を製造する方法。
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