JP2007277754A - シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体からなる繊維および不織布、該繊維および不織布の製造方法 - Google Patents

シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体からなる繊維および不織布、該繊維および不織布の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体からなる繊維および不織布、該繊維および不織布の製造方法を提供する。
【解決手段】 シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなる繊維及び該繊維からなる不織布。本発明の繊維及び不織布はシクロデキストリンが結合しているので、シクロデキストリンの機能である物質の固定化や安定化、あるいは包接した物質を放出する機能を有し、さらに同様の素材を用いたシートやフィルム材料と比較して、シクロデキストリンの機能をより効率的に発現させることが可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなる繊維および不織布、該繊維および該繊維からなる不織布の製造方法に関する。
シクロデキストリンは種々の物質(例えば、香料、薬品、殺虫剤など)を包接し、これらの物質を固定化あるいは安定化させることができることが良く知られており、シクロデキストリンをポリマーに結合させる試みがある。特にポリエステル系重合体の末端にシクロデキストリンを結合させた材料は、シクロデキストリンの包接機能を有するポリマー材料として、医療材料用途、医薬品組成物用途などへの応用が検討されている(例えば、特許文献1)。
特表2005−503476号公報
本発明の目的は、シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体からなる繊維および不織布、該繊維および不織布の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体を繊維にし、さらに不織布にすることによりシクロデキストリンの機能を効率的に引き出すことができることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち、本願発明は、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなることを特徴とする繊維(請求項1)である。
また、繊維の直径が1nm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の繊維(請求項2)である。
また、シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、あるいはこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維(請求項3)である。
また、ポリエステル系重合体が、脂肪族ポリエステルである請求項1〜3いずれかに記載の繊維(請求項4)である。
また、ポリエステル系重合体の脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、これらの各成分の共重合体、あるいはこれらの混合物である請求項4に記載の繊維(請求項5)である。
また、さらに熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の繊維(請求項6)である。
また、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体99〜0.1重量%、熱可塑性樹脂1〜99.9重量%、からなることを特徴とする請求項6記載の繊維(請求項7)である。
また、熱可塑性樹脂が、脂肪族ポリエステル又は芳香族ポリエステルである請求項6または7に記載の繊維(請求項8)である。
また、熱可塑性樹脂の脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、これらの各成分の共重合体、あるいはこれらの混合物である請求項8に記載の繊維(請求項9)である。
また、請求項1〜9いずれかに記載の繊維からなる不織布(請求項10)である。
また、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体が水酸基の一部が脱プロトン化されているシクロデキストリン又はその誘導体をポリエステル系重合体に反応させて得られることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の繊維の製造方法(請求項11)である。
また、繊維が電気紡糸により製造されることを特徴とする請求項11に記載の繊維の製造方法。(請求項12)である
また、請求項11または12に記載の方法で得られた繊維からなる不織布の製造方法(請求項13)である。
本発明は、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなる繊維及び該繊維からなる不織布およびそれらの製造方法であり、フィルムやシート材料などと比較して、種々の物質の包接や放出といったシクロデキストリンの機能を効率良く発現させることができる。
本発明の繊維は、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなることを特徴とする。
本発明のシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体、の「末端に結合した」とはシクロデキストリン又はその誘導体の水酸基あるいは置換基とポリエステル系重合体の重合端が直接あるいは各種スペーサーを介して化学的に結合していることを意味している。本発明のシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体としては、直鎖状ポリエステル系重合体の片末端にシクロデキストリン又はその誘導体が結合したもの又は両末端に結合したもの、分岐状ポリエステル系重合体のいくつかの末端にシクロデキストリン又はその誘導体が結合したもの、あるいは1つのシクロデキストリン又はその誘導体に複数のポリエステル系重合体末端が結合したものなど、を含む。
シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体の分子量は特に制限される訳ではないが、好ましい範囲をあえて言及すれば、数平均分子量(Mn)が1,500〜100,000、さらに好ましくは2,000〜80,000である。
本発明の繊維には、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体に加えて、さらに熱可塑性樹脂を含有することができる。熱可塑性樹脂を含有する場合には繊維強度が向上する傾向にある。
シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体と熱可塑性樹脂との混合割合には特に制限はなく、得られる繊維の強度や各種物性、あるいは繊維中のシクロデキストリン含有量などの観点から最適な組成比を選択できるが、好ましい範囲をあえて言及すれば、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体が99〜0.1重量%、熱可塑性樹脂が1〜99.9重量%である。
さらにはシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体が90〜0.2重量%、熱可塑性樹脂が10〜99.8重量%、特にはポリエステル系重合体が80〜0.5重量%、熱可塑性樹脂が20〜99.5重量%が好ましい。
シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体に熱可塑性樹脂を含有させる方法に特に限定はなく、事前に両者を混合した後で繊維を製造する方法、あるいは繊維を製造する際に同時に両者を混合させる方法等が可能である。
本発明の繊維の直径も特に限定されるものではないが、得られる繊維の強度や各種物性とのバランスなどによって選択される。ポリエステル系重合体に結合したシクロデキストリンの機能をより発現させるという観点から、好ましい繊維の直径は100μm未満であり、より好ましい直径は10μm未満、特に好ましい直径は1μm未満である。ここでいう繊維の直径とは、平均的な直径を意味し、直径に分布があっても構わない。
例えば直径1μm未満という場合には、全ての繊維の直径が1μm未満である必要はなく、繊維材料の平均直径が1μm未満であれば良く、直径が1μ未満の繊維材料と直径が1μm以上の繊維材料とを組み合わせて使用すること等も可能である。
繊維の直径の下限は、本来特に制限されるものではないが、繊維を細くしすぎると実用的な強度が得られなかったり、繊維の生産性が悪くなったりして好ましくない。従って、好ましい直径の範囲は1nm〜100μm、あるいは3nm〜10μm、さらに好ましくは5nm〜1μmを挙げることができる。
繊維の長さに制限はなく、繊維直径との関係(アスペクト比)や各種物性バランスなどから選択される。さらに繊維の断面形状も限定されることはなく、繊維強度や各種物性、所望の機能が発現されるような形状を選択することができ、繊維に微細な孔を多数有する多孔質なもの又は繊維内部が中空のものであっても良い。
本発明のシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなる繊維を製造する方法としては、特に限定されることなく、溶融紡糸、溶液紡糸、電気紡糸などを利用することができ、繊維の生産性、得られる繊維の直径、各種物性などの観点から選択することが可能である。細い繊維、具体的には繊維の直径が1μm未満の非常に細い繊維を製造する場合には電気紡糸により製造することが好ましい。
電気紡糸は、エレクトロスピニング法あるいはエレクトロスプレイデポジション法とも呼ばれ、ポリマー溶液や溶融液に高電圧を印加してポリマー噴流を生成させ、繊維を形成させる方法である。通常はポリマー溶液や溶融液側にプラスの高電圧を与え、アースやマイナスに帯電したターゲット表面に繊維を付着させるが、これに限定されるものではない。また印加する電圧やターゲットまでの距離(射出距離)なども所望の繊維が得られるように適宜選択することができる。
本発明で使用されるシクロデキストリン又はその誘導体としては、特に限定されないが、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、又はシクロデキストリンの水酸基のうち一部の水素原子が直鎖又は分岐のアルキル基、直鎖又は分岐のアルケニル基、直鎖又は分岐のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアリール基、アシル基、グリコシル基、マルトシル基、イミダゾリル基などで置換された誘導体、分岐シクロデキストリン、シクロデキストリンの2量体あるいは多量体、などがシクロデキストリンの誘導体として使用することができる。
またグルコース等の単糖類単位が5以下又は9以上のシクロデキストリン類縁体もシクロデキストリンとして使用可能である。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用可能である。これらの中でもα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、あるいはこれらの混合物がコストなどの観点から好ましく使用される。
本発明のシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体のポリエステル系重合体としては、特に制限されるものではないが、製造の容易さ等の観点から脂肪族ポリエステルが好ましい。
本発明の繊維に含有可能な熱可塑性樹脂の種類は特に限定されるものではない。
具体的には例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体などのエチレン系共重合樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレンなどの塩素系樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレートなどのポリ(メタ)アクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、スチレン・メチルメタクリレート共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン系熱可塑性エラストマー類;ポリウレタン類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル類;ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグルコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)などの脂肪族ポリエステル類;ポリアミド類;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンエーテル;ポリサルホン;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン類;液晶性ポリマー;熱可塑性ポリイミド;ポリシロキサン系ポリマー類;フッ素含有重合体類;セルロース類、デンプン類、キチン、キトサンなどの多糖類に熱可塑性を付与したもの;ポリフェノール類などを挙げることができる。
また、これらの各成分を共重合体したものでも良い。
また上記の熱可塑性樹脂以外に、溶融する際に熱分解を伴うために通常の条件下では加熱成形が困難な樹脂、あるいは完全に溶融させることが困難な樹脂であっても、水や有機溶剤に可溶であれば、本発明の熱可塑性樹脂として使用することができる。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体との相溶性や繊維の各種物性との観点から、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、スチレン・アクリロニトリル共重合体、セルロース類が好ましく用いられる。さらに好ましくは、脂肪族ポリエステル又は芳香族ポリエステルであり、脂肪族ポリエステルが特に好ましい。
ポリエステル系重合体、熱可塑性樹脂としての脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリプロピオラクトン、ポリブチロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリカプロラクトンなどのポリラクトン類;ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)などのポリ(ヒドロキシアルカノエート)類;ポリ乳酸;ポリグリコール酸;ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする脂肪族ポリエステル類などが挙げられ、これらの各成分を共重合体したものでも良い。
これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、これらの各成分の共重合体、あるいはこれらの混合物が好ましい。
さらに好ましくは、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ乳酸繰り返し単位とポリグリコール酸繰り返し単位からなるポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)繰り返し単位とポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)繰り返し単位からなるポリ[(3−ヒドロキシブチレート)−コ−(3−ヒドロキシヘキサノエート)]、あるいはこれらの混合物である。
ポリエステル系重合体およびまたは熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステルである場合には、それらの脂肪族ポリエステルが同種であっても異なっていてもよい。
本発明で用いるシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体の製造方法としては、特に制限はなく、製造の容易さ、コスト、得られるシクロデキストリン含有ポリエステル系重合体の構造、などの観点から適宜選択されるものである。
例えば、水酸基の一部が脱プロトン化されているシクロデキストリン又はその誘導体をポリエステル系重合体に反応させることを特徴とするシクロデキストリン含有ポリエステル系重合体の製造方法を用いると製造の容易さ、コストなどの観点から好ましい。
この製造方法によればシクロデキストリン含有ポリエステル系重合体とともに、シクロデキストリンを含まないポリエステル系重合体も副生する可能性があり、この場合、得られる生成物はシクロデキストリン含有ポリエステル系重合体とポリエステル系重合体の混合物(組成物)となる。
しかし本発明における熱可塑性樹脂は、シクロデキストリン含有ポリエステル系重合体の製造時に副生するシクロデキストリンが結合していないポリエステル系重合体を意味するのではなく、別途シクロデキストリンを含有しない熱可塑性樹脂を添加あるいはブレンドすることが好ましい。
上記製造方法においては、脱プロトン化されたシクロデキストリン又はその誘導体は、脱プロトン化されていないものと比較して反応性が高くなるので、シクロデキストリン又はその誘導体の水酸基の一部を脱プロトン化してポリエステル系重合体と反応させることが好ましい。脱プロトン化する水酸基は、シクロデキストリンに直接結合している水酸基でも良く、あるいはシクロデキストリンに結合した置換基に存在する水酸基でも良い。
シクロデキストリン又はその誘導体の水酸基を脱プロトン化するためには、塩基性化合物を使用することが好ましい。この製造方法によれば、ポリエステル系重合体が特別な反応性基を有する必要はなく、さらにあらかじめ活性化させておく必要もない。従って商業的に生産されているポリエステル系重合体をそのまま使用して、シクロデキストリンが結合したポリエステル系重合体を容易に得ることができる。
また上記製造方法では、脱プロトン化したシクロデキストリンがポリエステル鎖を切断してその切断された末端にシクロデキストリンが結合する反応経路を経るので、得られるシクロデキストリン含有ポリエステル系重合体の分子量は、シクロデキストリン又はその誘導体の使用量によって調整することが可能である。
シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体の製造方法として、シクロデキストリン又はその誘導体を開始点として環状エステル系化合物(例えば、ラクトン類、ラクチドなど)を重合させる方法を用いることもできる。
本発明の繊維は不織布にすることができる。不織布の製法としては、従来既知の方法を使用することができ、特に限定されることはないが、上述した電気紡糸法によれば、繊維を製造すると同時にターゲット上に不織布を形成させることができる。
本発明の繊維は、シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体、副生あるいは未反応のシクロデキストリンが結合していないポリエステル系重合体、および別途含有させる熱可塑性樹脂、以外の他の有機材料や無機材料とともに用いることができる。
上記他の有機材料又は無機材料としては、例えば、各種熱硬化性樹脂、可塑剤、滑剤、油剤、核剤、難燃剤、結着剤、薬効作用を有する薬剤、抗菌剤、香料、清涼剤、光学機能を有する有機又は無機化合物、染料、顔料、金属や半導体微粒子、有機又は無機フィラー、充填剤、安定剤、発泡剤、発泡助剤、無機塩、その他加工性改良剤等を挙げることができる。
本発明のシクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体、および該重合体と熱可塑性樹脂からなることを特徴とする繊維、さらにはその繊維から得られる不織布は繊維径が細いこともありシクロデキストリンを有効に利用できるので、包接する量が多くなる。また、シクロデキストリンが繊維分子に結合しているので、シクロデキストリンを熱可塑性樹脂に混合する場合と比べて、繊維化の過程や繊維化後の後加工の工程、不織布の使用中等でシクロデキストリンの脱離しにくい点でも用いたシクロデキストリンを有効に利用できる上、シクロデキストリンの脱離に伴う飛散および繊維表面へのシクロデキストリンのブリードアウトの発生が防止できる。
シクロデキストリンに包接する物質としては、包接させうる公知のものが適用できる。例えば薬理効果を目的とする場合には目的とする薬剤や抗菌剤を、昆虫を含む有害生物の排除や防御のためにはその生物に有効な有毒物や忌避剤を、そのほか脱臭剤、消臭剤、香料、農薬、肥料等得られる不織布の用途に応じて適宜種類と量を選択することができる。
所望の化合物を予め包接させておく外にも、物質を除去あるいは収集する目的で用いることができる。本発明の繊維は他の繊維とともに用いて織布となす事もできるし、また本発明の繊維を用いて不織布となす事もできる。
例えば、本発明の繊維及び該繊維からなる不織布は、エアフィルター、マスク、集塵フィルター、水浄化・水処理フィルター、液体フィルター、土壌フィルター等のフィルター材料、電池セパレーター、電極材、創傷被覆材、血管移植材、人工臓器、人工筋肉、医療材料被覆材、再生医療・細胞工学用スキャフォールド、ドラックデリバリー、バイオリアクター、サニタリーナプキンやオムツ用材料、美容材料、農業・土木用シート、各種ふき取り・研磨材等として使用できる。
以下、本発明を実施例で更に詳しく説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
・繊維の平均直径 : 得られた繊維材料を走査型電子顕微鏡で観察し、写真の視野中でピントがあった数本の繊維に注目してその代表的と思われる箇所各数カ所の幅を平均し、繊維断面は円形であると仮定して平均直径とした。
(合成例1)
ガラス製容器にβ−シクロデキストリン1.50g(1.33mmol)、水酸化リチウム30.7mg(1.28mmol)を入れ、ジメチルホルムアミド20mLを加えて、窒素雰囲気下、100℃で1時間加熱した後、25℃になるまで放冷した。この溶液を、ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシアH−400)15.0gをジメチルホルムアミド150mLに溶解させた溶液に加えて、25℃で1時間30分撹拌した後、少量の酢酸を添加し、大量の純水中へ投入した。
析出した白色固体を濾取し、減圧乾燥させて、シクロデキストリンが末端に結合したポリ乳酸(CDP)を得た。得られたCDPの分子量をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC、溶媒:クロロホルム)により測定したところ、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が16,700であった。またGPCで測定したMnから計算されるシクロデキストリン含有量は約7重量%であった。
(実施例1)
ポリ乳酸(三井化学株式会社製レイシアH400)0.5gと合成例1で製造したCDP0.5gを、塩化メチレン9.5mLとジメチルホルムアミド4.5mLの混合液に溶解させて均一なポリマー溶液を得た。カトーテック株式会社製エレクトロスピニング装置を用い、印加電圧18kVにて上記ポリマー溶液を紡糸して、アースされたターゲット材の表面に繊維を付着させた。
得られた繊維材料はほとんどが直径約0.07μm〜約0.19μmの繊維からなる不織布であった。この繊維材料の平均直径は約0.11μmであった。尚、この繊維材料中に含まれるシクロデキストリンの含有量は約4.5重量%である。
(比較例1)
ポリ乳酸0.47gと合成例1で製造したCDP0.53gを塩化メチレンに溶解させ、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にキャストした。塩化メチレンを充分に乾燥させた後、得られた約50μm厚みのキャストフィルムをPETフィルムから引き剥がした。このフィルム材料中に含まれるシクロデキストリン含有量は約4.8重量%である。
(比較例2)
ポリ乳酸0.5gと合成例1で製造したCDP0.5gの代わりに、ポリ乳酸1.0gのみを使用した以外は実施例1と同様にして、電気紡糸により繊維を作成した。
得られた繊維材料はほとんどが直径が約0.20μm〜約0.59μmの繊維からなる不織布が生成していた。この繊維材料の平均直径は約0.36μmであった。尚、この繊維材料中にはシクロデキストリンは含まれていない。
実施例1で製造したシクロデキストリンが末端に結合したポリエステル系重合体と熱可塑性樹脂(ポリ乳酸)からなる繊維材料と、比較例1で製造した同様の組成を有するフィルム材料とを比較すると、本発明の繊維材料は種々の物質を包接したり、あるいは一旦包接した物質を放出するといったシクロデキストリンの機能をより効率的に発現させることができる。比較例2では直径1μm未満の非常に細いポリ乳酸繊維からなる不織布を得たが、繊維材料中にシクロデキストリンを含有しておらず、シクロデキストリン由来の機能はない。

Claims (13)

  1. シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体からなることを特徴とする繊維。
  2. 繊維の直径が1nm〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の繊維。
  3. シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、あるいはこれらの混合物から選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維。
  4. ポリエステル系重合体が、脂肪族ポリエステルである請求項1〜3いずれかに記載の繊維。
  5. ポリエステル系重合体の脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、これらの各成分の共重合体、あるいはこれらの混合物である請求項4に記載の繊維。
  6. さらに熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の繊維。
  7. シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体99〜0.1重量%、熱可塑性樹脂1〜99.9重量%、からなることを特徴とする請求項6記載の繊維。
  8. 熱可塑性樹脂が、脂肪族ポリエステル又は芳香族ポリエステルである請求項6または7に記載の繊維。
  9. 熱可塑性樹脂の脂肪族ポリエステルが、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、これらの各成分の共重合体、あるいはこれらの混合物である請求項8に記載の繊維。
  10. 請求項1〜9いずれかに記載の繊維からなる不織布。
  11. シクロデキストリン又はその誘導体が末端に結合したポリエステル系重合体が水酸基の一部が脱プロトン化されているシクロデキストリン又はその誘導体をポリエステル系重合体に反応させて得られることを特徴とする請求項1〜9いずれかに記載の繊維の製造方法。
  12. 繊維が電気紡糸により製造されることを特徴とする請求項11に記載の繊維の製造方法。
  13. 請求項11または12に記載の方法で得られた繊維からなる不織布の製造方法。
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