JP2009041117A - 多糖類ナノファイバー - Google Patents

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Abstract

【課題】多糖類が有する吸湿性や保水性などの諸特性を十分に発揮し得る多糖類ナノファイバーおよびこれから構成される繊維構造物を提供すること。
【解決手段】ヒアルロン酸誘導体やアルギン酸誘導体などの多糖類10質量部と、重量平均分子量60万〜650万の熱可塑性樹脂からなる曳糸性付与剤0.4〜1.2質量部とを含む組成物からなり、平均繊維径が1nm以上1000nm未満である多糖類ナノファイバー。
【選択図】図1

Description

本発明は、多糖類ナノファイバーに関し、さらに詳述すると、多糖類と所定範囲の重量平均分子量を有する曳糸性付与剤とを所定割合で含む組成物から得られた多糖類ナノファイバーに関する。
多糖類は安全性に優れているため、従来、衛生製品や創傷被覆材などに広く用いられている(例えば、特許文献1,2参照)。
また、最近では、多糖類の有する安全性や生体親和性等の諸特性に、ナノスケール材料の有する大きな比表面積等のサイズ効果を付与することで、機能性をより向上させた医用材料が注目されている。
例えば、特許文献3(特開2005−290610号公報)には、静電紡糸法によって得られた、多糖類を主原料とし、これに合成高分子を配合したナノファイバーおよびこれからなる不織布が開示されている。
また、非特許文献1には、ポリエチレンオキサイドとキトサンとを含む組成物を静電紡糸して得られたナノファイバーおよびこれからなる不織布が開示されている。
上記特許文献3に記載された多糖類ナノファイバーでは、多糖類の曳糸性を高めるための合成高分子が、多糖類10質量部に対して1.25〜15質量部と比較的多く配合されている。
したがって、これらの多糖類ナノファイバーでは、ナノスケール材料の有するサイズ効果を付与するという点においては十分であるものの、多糖類そのものが有する特性を発揮させるという点においては不十分である。
一方、非特許文献1に記載された多糖類組成物は、静電紡糸によってナノファイバーを形成し得るものの、かさ密度が非常に小さい綿状となって、かさ密度が大きく、形状保持性に優れ、取扱いの容易な不織布や、型の表面に堆積させてなる立体形状のナノファイバー繊維構造体として得ることが困難であった。
特開平6−264365号公報 特開平11−114049号公報 特開2005−290610号公報 ポリマー・ジャーナル(Polymer Journal),37(6)、391〜398頁、2005年
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、多糖類が有する吸湿性や保水性などの諸特性を十分に発揮し得る多糖類ナノファイバーおよびこの多糖類ナノファイバーを含んで構成される繊維構造物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、多糖類および所定範囲の重量平均分子量を有する曳糸性付与剤を所定割合で含む組成物が、静電紡糸法などにより容易にナノファイバーに紡糸できること、および上記組成物から得られたナノファイバーが、多糖類の備える吸湿性や保水性などの諸特性を十分に発揮し得ること、並びに上記組成物を紡糸して得られた多糖類ナノファイバーを含む繊維構造物が、かさ密度が比較的大きく、形状保持性に優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 多糖類10質量部と、曳糸性付与剤0.4〜1.2質量部とを含む組成物からなり、前記曳糸性付与剤が重量平均分子量60万〜650万の熱可塑性樹脂であり、平均繊維径が1nm以上1000nm未満であることを特徴とする多糖類ナノファイバー、
2. 前記多糖類が、88質量%以上含まれる1の多糖類ナノファイバー、
3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンオキサイドである1または2の多糖類ナノファイバー、
4. 前記多糖類が、アルギン酸、アルギン酸誘導体、ヒアルロン酸、およびヒアルロン酸誘導体から選ばれる1種または2種以上である1〜3のいずれかの多糖類ナノファイバー、
5. 前記多糖類が、アルギン酸カルシウムである1〜3のいずれかの多糖類ナノファイバー、
6. 前記多糖類が、カルボキシメチルセルロースである1〜3のいずれかの多糖類ナノファイバー、
7. 静電紡糸法で得られた1〜6のいずれかの多糖類ナノファイバー、
8. 1〜7のいずれかの多糖類ナノファイバーを含んで構成される繊維構造物、
9. 1〜7のいずれかの多糖類ナノファイバーのみからなる不織布
を提供する。
本発明の多糖類ナノファイバーは、多糖類および所定範囲の重量平均分子量を有する曳糸性付与剤を所定割合で含む組成物からなるものであるから、多糖類の備える吸湿性や保水性などの諸特性を十分に発揮することができる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る多糖類ナノファイバーは、多糖類10質量部と、曳糸性付与剤0.4〜1.2質量部とを含む組成物からなり、曳糸性付与剤が重量平均分子量60万〜650万の熱可塑性樹脂であり、平均繊維径が1nm以上1000nm未満であるのものである。
本発明において、ナノファイバーを構成する多糖類としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルギン酸、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、キトサン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ペクチン、キシラン、リグニン、グルコマンナン、アラビアガム、トラガントガム、カラギーナン、アガロース、フコイダン、ラミナン、プルラン、デキストラン、カードラン、キサンタンガム、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらの多糖類は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でもアルギン酸、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、およびこれらの誘導体が好ましく、アルギン酸、ヒアルロン酸、およびこれらの誘導体がより好ましい。アルギン酸、ヒアルロン酸、およびこれらの誘導体を用いて得られた本発明のナノファイバーは、保湿性、保水性が非常に優れたものとなる。
アルギン酸は、その主構成分子としてD−マンニュロン酸およびL−グルロン酸を含む多糖類であり、水溶液中のカルシウム等と金属塩をつくりゲル化するため、非常に分解され難いことが知られている。
アルギン酸誘導体としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸亜鉛などのアルギン酸塩類、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸エステル類などが挙げられる。
中でもアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールが好ましい。
アルギン酸およびその誘導体の重量平均分子量は、数千のものもあれば数十万ものもあり、特に限定されるものではないが、1万〜50万が好ましく、さらには1万〜20万がより好ましい。
ヒアルロン酸の誘導体としては、上記アルギン酸と同様の塩類、エステル類が挙げられる。
ヒアルロン酸およびその誘導体の重量平均分子量は、2万〜300万が好ましい。
カルボキシメチルセルロースの誘導体としては、上記アルギン酸と同様の塩類、エステル類が挙げられる。
カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体の重量平均分子量は、5万〜100万が好ましい。
一方、曳糸性付与剤は、多糖類の曳糸性を向上させるものであり、本発明においては、重量平均分子量60万〜650万、好ましくは250万〜650万の熱可塑性樹脂を用いる。重量平均分子量が60万未満であると、十分な曳糸性向上効果が発揮されず、紡糸した際に多糖類が球状になり易く、目的とするナノファイバーを得ることが困難になる。また、静電紡糸等により、ナノファイバーを形成できた場合でも、得られた繊維構造物は、かさ密度が低い綿状となり、形状保持性が著しく悪くなる。
熱可塑性樹脂の種類としては、曳糸性付与剤として従来用いられているものから適宜選択して用いればよく、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、セルロース系高分子、ポリエチレンイミン、ポリアクリル、熱可塑性ポリウレタンなどを採用できる。これらは1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
中でも、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールが好ましく、特に、多糖類に高い曳糸性を付与し得るポリエチレンオキサイドが好適である。
本発明の多糖類ナノファイバーでは、多糖類10質量部に対して、曳糸性付与剤を0.4〜1.2質量部、好ましくは0.5〜1.2質量部配合する。曳糸性付与剤の配合量が、0.4質量部未満であると、ナノファイバーを安定的に紡糸できず、1.2質量部超であると、得られたナノファイバーにおいて、多糖類の有する吸湿性等の諸特性が十分に発揮されない。これは、ナノファイバーの表面を曳糸性付与剤が覆う形となり、その結果、ナノファイバーの有する吸湿性等の性能の発揮を妨げるためであると推測される。
本発明の多糖類ナノファイバー中の多糖類の割合は、多糖類の有する特性が発揮される限り任意であるが、多糖類の有する特性を十分に発揮させるためには、88質量%以上が好ましく、89質量%以上がより好ましい。なお、その上限は、多糖類と曳糸性付与剤とのみを含むナノファイバーにおいて、曳糸性付与剤が0.4質量部(多糖類約96.2質量%)のものである。
本発明の多糖類ナノファイバーの平均繊維径は、1nm以上1000nm未満であれば特に限定されるものではないが、ナノファイバーの表面積をより高めることを考慮すると、600nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましく、300nm以下がより一層好ましい。また、その下限は1nm以上であれば特に限定されるものではないが、10nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。
なお、本発明の多糖類ナノファイバーは、多糖類と曳糸性付与剤とのみからなるものでもよいが、各種の特性を付与する目的で従来公知の添加剤を、適宜な量で配合してもよい。
添加剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系化合物の光安定剤、セミカルバジド系化合物等の安定剤;硫酸バリウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等の無機微粒子;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリテトラフルオロエチレン、オルガノシロキサン等の粘着防止剤;顔料、光沢剤、染色増強剤、ガス変色防止剤、充填剤、安定剤、難燃剤、帯電防止剤、表面処理剤、つや消し剤、着色剤、防カビ剤、軟化剤、離型剤、発泡剤、増量剤、増核剤等が挙げられる。
本発明の多糖類ナノファイバーは、上述した多糖類および曳糸性付与剤を含む組成物を、静電紡糸法、スパンボンド法、メルトブロー法、フラッシュ紡糸法などの各種紡糸法により紡糸して得ることができる。
本発明においては、特に、1nm以上1000nm未満の範囲で比較的そろった繊維径に調製し得る静電紡糸法を用いることが好適である。また、この方法は、ナノファイバー層を直接繊維構造物層に積層させる場合に繊維構造物への熱の影響が少ないという利点もある。
静電紡糸法は、電界中で、帯電した静電紡糸用ドープ(樹脂溶液)を曳糸しつつ、その電荷の反発力によりドープを破裂させ、樹脂からなる極微細な繊維状物を形成する方法である。
静電紡糸を行う装置の基本的な構成は、静電紡糸用ドープを排出するノズルを兼用し、ドープに数千から数万ボルトの高電圧で印加する一方の電極と、その電極に対向する他方の電極とからなる。一方の電極から吐出あるいは振出されたドープは、対向する2つの電極間の電界中で高速ジェットおよびそれに引き続くジェットの折れ曲がりや膨張によってナノファイバーになり、他方の電極表面上に堆積し、ナノファイバー(不織布)が得られる。
本発明においては、静電紡糸用ドープに所定量の曳糸性付与剤が含まれるため、非線形流動のドープが弾性流動に変わり、ドープの曳糸性が向上する。そのため、静電紡糸において、多糖類を含むドープが途切れることなくノズルから吐出され易くなり、電極表面上に堆積して不織布が得られるという利点を有している。本発明で得られるナノファイバー不織布は0.03〜0.2g/cm3、好ましくは0.03〜0.15g/cm3の範囲のかさ密度を有する。
静電紡糸用ドープの調製に用いられる溶媒としては、多糖類および曳糸性付与剤をそれぞれ溶解し得るものであれば特に限定されるものではなく、例えば、水、アセトン、メタノール等が挙げられ、特に、水が好適である。なお、これらの溶媒は、1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
静電紡糸用ドープの調製法は特に限定されるものではなく、多糖類と曳糸性付与剤と溶媒とをそれぞれ任意の順序で混合する方法が挙げられるが、多糖類含有溶液と、曳糸性付与剤含有溶液とを別々に調製し、これらを混合する方法が最適である。これら2種類の溶液の混合方法は任意であり、多糖類含有溶液に曳糸性付与剤含有溶液を配合しても、その逆でもよいが、ハンドリング性などの点から、前者の方法が好適である。
多糖類含有溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、1〜30質量%程度とすることが好ましい。
一方、曳糸性付与剤含有溶液の濃度も、特に限定されるものではないが、0.1〜30質量%程度とすることが好ましい。0.1質量%未満では、多糖類含有溶液と混合した際の溶液粘度の低下が大きくなる場合がある。一方、30質量%超では、多糖類含有溶液の粘度が高くなり、均一な曳糸性付与剤含有溶液を得たり、均一な静電紡糸用ドープを調製したりすることが困難になる場合がある。
なお、曳糸性付与剤として、上述したポリエチレンオキサイドを用いる場合、その重量平均分子量が60万以上であると、良好な曳糸性向上効果が発揮されるため、静電紡糸用ドープを調製する際、ポリエチレンオキサイドの配合割合をより少なくできるという利点を有している。一方、重量平均分子量が650万超であると、粘度が高くなる等で、ポリエチレンオキサイド溶液を調製したり、均一なドープを調製したりすることが難しくなる場合がある。
紡糸して得られた多糖類ナノファイバー(不織布)は、多価の金属イオンを含有する金属塩水溶液で処理し、多糖類を架橋させてもよい。また、この手法を用いることで、アルギン酸ナトリウムなどの溶媒可溶な多糖類のナノファイバーから、アルギン酸カルシウム等の溶媒に不溶であり、静電紡糸等の処理が困難な多糖類のナノファイバーを塩交換により得ることもできる。
金属塩水溶液で処理するにあたっては、ナノファイバー(不織布)を金属塩水溶液に浸漬すると、ナノファイバーがゲル化して水を大量に担持することによって、不織布全体として形状が変化したり、強度が低下したりして取り扱いが困難になる場合があるため、金属塩水溶液を多糖類ナノファイバーに噴霧したり、塗布したりして処理することが好ましい。
なお、金属塩水溶液の濃度は、3〜10質量%程度とすることが好ましい。
金属塩水溶液中の金属イオンは、カルシウム、銅、アルミニウム、亜鉛、鉄等の2価以上の金属イオンである。中でもカルシウム、銅、亜鉛が好ましい。この金属イオンの形態としては、特に限定されないが、例えば塩化カルシウム、塩化銅、硫酸銅、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等を用いることができる。金属イオン種は単独でも2以上を混合して用いてもよい。
また、架橋したナノファイバー(不織布)の強度や、耐水性が保たれる範囲において、上述した2価以上の金属イオンとともに、銀イオンなどの1価の金属イオンを併用してもよい。
金属塩水溶液で処理したナノファイバー(不織布)は、風乾や加熱乾燥などの適宜な手法により乾燥すればよい。
本発明の多糖類ナノファイバーは、不織布、フェルト、紙、シート状物などの繊維から構成される繊維構造物として取り扱うことができる。この場合、公知の手法により、繊維径が1μm以上の繊維と混紡またはカバーリングしてもよい。
ナノファイバー繊維構造物の厚みは、1μm以上が好ましい。厚みが1μm未満であると、ハンドリング性および加工性が低下する場合があるので、厚みを出すために1μm以上の繊維との複合繊維構造物にしてもよい。
以上で説明した本発明の多糖類ナノファイバーおよびこれを含んで構成される繊維構造物は、創傷被覆材(例えば、潰瘍、瘢痕またはその他の術後損傷などの滲出性空洞といった体液の排出を伴う慢性損傷、湿潤性創傷、特に深部損傷のための包帯や衛生材料)、浄化フィルター(例えば、家庭用飲料水の浄化装置フィルター)、皮膚化粧料などに好適に使用できる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。なお、以下の各実施例、比較例における評価項目は下記手法にて実施した。
[1]平均繊維径
試料表面を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製「S−4800I」)により撮影倍率5000倍で撮影して得た写真から、無作為に20箇所を選んで繊維径を測定した。全ての繊維径の平均値(n=20)を求めて平均繊維径とした。
[2]不織布の厚み
デジタルシックネスゲージ((株)テクロック製「SMD−565」)を用いて、測定力1.5Nにより、無作為に試料上の5箇所を選んで厚みを測定した。全ての厚みの平均値(n=5)を求めて、不織布の厚みとした。
[3]不織布の目付
試料の質量を測定し、平方メートル当たりに換算した。
[4]見かけ比重
試料の上記目付け(g/m3)を上記厚み(μm )で除算して求めた。
[5]吸湿率
試料を40℃、90%RHの恒温恒湿器に10時間放置したときの質量(W1)と絶乾質量(W0)とを測定し、次式により算出した。
吸湿率(%)=[(W1)−(W0)/W0]×100
[6]水分蒸発速度による保湿性試験
2cm×2cmの試料に10μlの蒸留水を滴下後、1分ごとにその質量減少を10分間測定し、1分間当たりに減少する質量を求めた。
◎:水分蒸発速度0.4μg/min未満
○:水分蒸発速度0.4μg/min以上、0.45μg/min未満
△:水分蒸発速度0.45μg/min以上、0.5μg/min未満
×:水分蒸発速度0.5μg/min以上
[1]アルギン酸ナトリウムナノファイバー
[実施例1]
アルギン酸ナトリウム(IL−2、重量平均分子量3万、キミカ社製)10質量部を蒸留水115質量部に加え、室温で攪拌溶解して8質量%アルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。これとは別に、重量平均分子量60万〜80万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−45、明成化学工業(株)製)0.5質量部を蒸留水19.5質量部に加え、室温で攪拌溶解してポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。アルギン酸ナトリウム水溶液125質量部にポリエチレンオキサイド水溶液20質量部を添加混合して、紡糸用ドープを作製した。
このドープを内口径0.4mmの吐出口を有するシリンジに入れ、印加電圧50KV、室温下、大気圧、吐出口に対向するアルミニウム製の繊維状物質捕集電極までの距離15cmの条件で、静電紡糸してナノファイバー不織布を得た。
繊維状物質捕集電極上に堆積したナノファイバー不織布の平均繊維径は190nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例2]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを1質量部、これを溶解する蒸留水を19質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は200nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を図1に示す。
[実施例3]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを1.2質量部、これを溶解する蒸留水を18.8質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は220nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例4]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量200万〜250万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−75、明成化学工業(株)製)とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は210nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例5]
実施例2において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量200万〜250万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−75、明成化学工業(株)製)とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は200nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例6]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量550万〜650万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−300、明成化学工業(株)製)とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は210nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例7]
アルギン酸ナトリウム(I−5、重量平均分子量10万、キミカ社製)10質量部を蒸留水323質量部に加え、室温で攪拌溶解して3質量%アルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。これとは別に、重量平均分子量200万〜250万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−75、明成化学工業(株)製)1質量部を蒸留水39質量部に加え、室温で攪拌溶解してポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。アルギン酸ナトリウム水溶液333質量部にポリエチレンオキサイド水溶液40質量部を添加混合して、紡糸用ドープを作製した以外は、実施例1と同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、200nmであり、繊維径800nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布の厚みは、40μm、目付け2g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を図2に示す。
[比較例1]
実施例1において、ポリエチレンオキサイド水溶液を添加せずに8質量%アルギン酸ナトリウム水溶液そのものを紡糸用ドープとした。このドープを用いて実施例1と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
[比較例2]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを0.3質量部、これを溶解する蒸留水を19.7質量部とした以外は同様にして、紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例1と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
[比較例3]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを1.4質量部、これを溶解する蒸留水を18.6質量部とした以外は同様にして、紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例1と同様の条件で静電紡糸を行い、繊維径250nmのナノファイバー不織布を得た。
ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、60μm、目付3g/m2、かさ密度0.07g/cm3であった。
[比較例4]
実施例1において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量30万〜50万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−30、明成化学工業(株)製)とした以外は同様にして、繊維状物質捕集電極上に綿(わた)状のナノファイバーが堆積した。
得られたナノファイバーの平均繊維径は200nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布のかさ密度は0.01g/cm3で、捕集電極上から形状を損なわずに引き剥がすことができなかった。得られたナノファイバー堆積物の電子顕微鏡写真を図3に示す。
[比較例5]
実施例7において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量30万〜50万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−30、明成化学工業(株)製)とした以外は実施例1と同様の条件で静電紡糸を行ったが、粒子状物しか得られなかった。得られた粒子状物の電子顕微鏡写真を図4に示す。
[2]ヒアルロン酸ナトリウムナノファイバー
[実施例8]
ヒアルロン酸ナトリウム(FCH−200、重量平均分子量200万、紀文フードケミファ社製)10質量部を蒸留水490質量部に加え、室温で攪拌溶解して2質量%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液を調製した。これとは別に、重量平均分子量60万〜80万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−45、明成化学工業(株)製)0.5質量部を蒸留水9.5質量部に加え、室温で攪拌溶解してポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。ヒアルロン酸ナトリウム水溶液500質量部にポリエチレンオキサイド水溶液10質量部を添加混合して、紡糸用ドープを作製した。
実施例1と同様の条件で静電紡糸を行ってナノファイバー不織布を得た。得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、140nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付0.8g/m2、かさ密度0.04g/cm3であった。
[実施例9]
実施例8において、ポリエチレンオキサイドを1質量部、これを溶解する蒸留水を9質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、160nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付0.8g/m2、かさ密度0.04g/cm3であった。
[実施例10]
実施例8において、ポリエチレンオキサイドを1.2質量部、これを溶解する蒸留水を8.8質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、180nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付0.8g/m2、かさ密度0.04g/cm3であった。
[実施例11]
実施例8において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量550万〜650万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−300、明成化学工業(株)製)0.5質量部、これを溶解する蒸留水を99.5質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は300nmであり、繊維径1μm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、40μm、目付4g/m2、かさ密度0.1g/cm3であった。得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を図5に示す。
[比較例6]
実施例8において、ポリエチレンオキサイド水溶液を添加せずに2質量%ヒアルロン酸ナトリウム水溶液そのものを紡糸用ドープとした。このドープを用いて実施例8と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
[比較例7]
実施例8において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量30万〜50万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−30、明成化学工業(株)製)1質量部、これを溶解する蒸留水を9質量部とした以外は同様にして紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例8と同様の条件で静電紡糸を行った。捕集電極上にはナノファイバーはほとんどなく、粒子状物が堆積した。粒子状物の電子顕微鏡写真を図6に示す。
[比較例8]
実施例8において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量30万〜50万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−30、明成化学工業(株)製)3質量部、これを溶解する蒸留水を7質量部とした以外は同様にして紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例8と同様の条件で静電紡糸を行った。捕集電極上には粒子状物が混じったナノファイバーが堆積した。堆積した様子は比較例4と同様な綿(わた)状で、捕集電極上から形状を損なわずに引き剥がすことができなかった。得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を図7に示す。
[3]ヒアルロン酸ナノファイバー
[実施例12]
ヒアルロン酸(FCH−A、重量平均分子量3万、紀文フードケミファ社製)10質量部を蒸留水56.7質量部に加え、室温で攪拌溶解して15質量%ヒアルロン酸水溶液を調製した。これとは別に、重量平均分子量60万〜80万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−45、明成化学工業)0.5質量部を蒸留水9.5質量部に加え、室温で攪拌溶解してポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。ヒアルロン酸水溶液66.7質量部にポリエチレンオキサイド水溶液10質量部を添加混合して、紡糸用ドープを作製した。
実施例1と同様の条件で静電紡糸を行ってナノファイバー不織布を得た。得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、190nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付1g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例13]
実施例12において、ポリエチレンオキサイドを1質量部、これを溶解する蒸留水を9質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、200nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付0.8g/m2、かさ密度0.04g/cm3であった。得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を図8に示す。
[実施例14]
実施例12において、ポリエチレンオキサイドを1.2質量部、これを溶解する蒸留水を8.8質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、210nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付0.8g/m2、かさ密度0.04g/cm3であった。
[実施例15]
実施例12において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量550万〜650万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−300、明成化学工業(株)製)0.5質量部、これを溶解する蒸留水を99.5質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、210nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付0.8g/m2、かさ密度0.04g/cm3であった。
[比較例9]
実施例12において、ポリエチレンオキサイド水溶液を添加せずに15質量%ヒアルロン酸水溶液そのものを紡糸用ドープとした。このドープを用いて実施例12と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
[比較例10]
実施例12において、ポリエチレンオキサイドを0.3質量部、これを溶解する蒸留水を9.7質量部とした以外は同様にして、紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例12と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
[比較例11]
実施例12において、ポリエチレンオキサイドを1.4質量部、これを溶解する蒸留水を8.6質量部とした以外は同様にして、紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例12と同様の条件で静電紡糸を行い、平均繊維径220nmのナノファイバー不織布を得た。
[比較例12]
実施例12において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量30万〜50万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−30、明成化学工業(株)製)とした以外は同様にして、紡糸用ドープを調製した。このドープを用いて実施例12と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
上記実施例12〜15および比較例9〜12で得られた不織布の保湿性試験結果を表2に示す。
[4]カルボキシメチルセルロースアンモニウムナノファイバー
[実施例16]
カルボキシメチルセルロースアンモニウム塩(DN−800、ダイセル化学工業(株)製)10質量部を蒸留水323.3質量部に加え、室温で攪拌溶解して3質量%カルボキシメチルセルロースアンモニウム水溶液を調製した。これとは別に、重量平均分子量60万〜80万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−45、明成化学工業(株)製)0.5質量部を蒸留水9.5質量部に加え、室温で攪拌溶解してポリエチレンオキサイド水溶液を調製した。カルボキシメチルセルロースアンモニウム水溶液333.3質量部にポリエチレンオキサイド水溶液10質量部を添加混合して、紡糸溶液を作製した。
実施例1と同様の条件で静電紡糸を行ってナノファイバー不織布を得た。得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、190nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付1g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例17]
実施例16において、ポリエチレンオキサイドを1質量部、これを溶解する蒸留水を9質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、200nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付1g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例18]
実施例16において、ポリエチレンオキサイドを1.2質量部、これを溶解する蒸留水を8.8質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、210nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付1g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[実施例19]
実施例16において、ポリエチレンオキサイドを重量平均分子量550万〜650万のポリエチレンオキサイド(アルコックスE−300、明成化学工業(株)製)0.5質量部、これを溶解する蒸留水を99.5質量部とした以外は同様にして、ナノファイバー不織布を得た。
得られたナノファイバー不織布の平均繊維径は、200nmであり、繊維径500nm以上の繊維は観察されなかった。また、ナノファイバー不織布は形状を損なうことなく捕集電極から引き剥がすことができ、その厚みは、20μm、目付1g/m2、かさ密度0.05g/cm3であった。
[比較例13]
実施例16において、ポリエチレンオキサイド水溶液を添加せずに3質量%カルボキシメチルセルロースアンモニウム水溶液そのものを紡糸用ドープとした。このドープを用いて実施例16と同様の条件で静電紡糸を行ったが、紡糸できなかった。
上記実施例1〜19、比較例1〜13における原料配合と、得られたナノファイバーの繊維径とを表1にまとめて示す。
[5]アルギン酸カルシウムファイバー
[実施例20〜25]
実施例1〜6で作製したアルギン酸ナトリウムのナノファイバー不織布0.3gに5質量%の塩化カルシウム水溶液3gを吹き付けてカルシウム置換を行った後、乾燥してアルギン酸カルシウム不織布0.45gを得た。実施例1の不織布から得られたアルギン酸カルシウム不織布の電子顕微鏡写真を図9に示す。
[比較例14]
比較例3で作製したアルギン酸ナトリウムのナノファイバー不織布から、実施例19と同様にしてアルギン酸カルシウム不織布を得た。
[比較例15]
綿不織布(平均繊維径:15μm、厚み:410μm、目付:45g/m2)を使用し、保湿性試験および吸湿性試験を行った。それぞれの結果を表2,3に示す。
[比較例16]
アルギン酸カルシウム不織布(平均繊維径:30μm、厚み:1200μm、目付:128g/m2、アルゴダーム(登録商標)、スミス・アンド・ネフューウンドマネジメント社製)を使用し、吸湿性の試験を行った。
上記実施例20〜25および比較例14〜16で得られた不織布の吸湿性試験結果を表3に示す。
表2に示されるように、実施例12〜15で作製した不織布では、それを構成するヒアルロン酸ナノファイバーにおけるヒアルロン酸10質量部に対するポリエチレンオキサイド量が所定範囲であるため、比較例11の不織布と比べて、水分蒸発速度が低く、ヒアルロン酸の有する保湿性が良好に発揮されていることがわかる。
また、曳糸性付与剤であるポリエチレンオキシサイド量が所定量未満である比較例10や、これを用いない比較例9では、ナノファイバーを紡糸できず。不織布が得られていないことがわかる。
表3に示されるように、実施例20〜25で作製した不織布では、それを構成するヒアルギン酸カルシウムナノファイバーにおけるアルギン酸カルシウム10質量部に対するポリエチレンオキサイド量が所定範囲であるため、比較例14の不織布と比べて、吸湿率が高く、アルギン酸カルシウムの有する吸湿性が良好に発揮されていることがわかる。
また、実施例20〜25で作製した不織布は、アルギン酸カルシウムマイクロファイバーから構成されている比較例16の不織布と比べ、極めて吸湿性に優れていることがわかる。
実施例2で得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例7で得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例4で得られた綿状に堆積したナノファイバーの電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例5で得られた粒子状物の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例11で得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例7で得られた粒子状物の電子顕微鏡写真を示す図である。 比較例8で得られた粒子状物が混じったナノファイバーの電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例13で得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を示す図である。 実施例20で得られたナノファイバー不織布の電子顕微鏡写真を示す図である。

Claims (9)

  1. 多糖類10質量部と、曳糸性付与剤0.4〜1.2質量部とを含む組成物からなり、
    前記曳糸性付与剤が重量平均分子量60万〜650万の熱可塑性樹脂であり、平均繊維径が1nm以上1000nm未満であることを特徴とする多糖類ナノファイバー。
  2. 前記多糖類が、88質量%以上含まれる請求項1記載の多糖類ナノファイバー。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレンオキサイドである請求項1または2記載の多糖類ナノファイバー。
  4. 前記多糖類が、アルギン酸、アルギン酸誘導体、ヒアルロン酸、およびヒアルロン酸誘導体から選ばれる1種または2種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載の多糖類ナノファイバー。
  5. 前記多糖類が、アルギン酸カルシウムである請求項1〜3のいずれか1項記載の多糖類ナノファイバー。
  6. 前記多糖類が、カルボキシメチルセルロースである請求項1〜3のいずれか1項記載の多糖類ナノファイバー。
  7. 静電紡糸法で得られた請求項1〜6のいずれか1項記載の多糖類ナノファイバー。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の多糖類ナノファイバーを含んで構成される繊維構造物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項記載の多糖類ナノファイバーのみからなる不織布。
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