JP6777990B2 - コーヒー飲料の製造方法およびコーヒー飲料の品質改善方法 - Google Patents

コーヒー飲料の製造方法およびコーヒー飲料の品質改善方法 Download PDF

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Description

本発明は、コーヒー飲料の製造方法およびコーヒー飲料の品質改善方法に関する。
コーヒーの品質は、一般に、コーヒー抽出液の作製方法の違いに応じて変化するとされている。近年においては、かかるコーヒー抽出液の作製方法に関し、コーヒーの呈味と、コーヒー豆に由来するコーヒー独特の香りとのバランスに優れたコーヒー抽出液を作製すべく、種々の検討がなされている。
たとえば、特許文献1には、ドリップ抽出して得られたドリップ抽出液と、コーヒー豆を熱水で浸漬して得られた浸漬抽出液と、を混合する手法を採用したコーヒー抽出液の作製技術が開示されている。
また、特許文献2には、温水で湿らせたコーヒー豆から、たとえば、エスプレッソのように水蒸気を用いて作製した水蒸気抽出液と、かかる水蒸気抽出液作製後のコーヒー豆残渣を用いてドリップ抽出して得られたドリップ抽出液と、を混合する手法を採用したコーヒー抽出液の作製技術が開示されている。
特開2005−40068号公報 特開2007−117080号公報
しかしながら、従来の手法により得られたコーヒー抽出液については、抽出ムラに起因した呈味のバラつきが作製毎に生じてしまう、コーヒー豆に由来する雑味成分による影響で後味がスッキリしない、コーヒー豆に由来するコーヒー独特の香り感が不十分である等の不都合が生じる場合があった。
そこで、本発明は、雑味による影響を低減させることができる程度に香味感を向上させたコーヒー抽出液を効率良く作製するコーヒー飲料の製造技術を提供する。
本発明者らは、雑味による影響を低減させることができる程度に香味感を向上させたコーヒー抽出液を効率良く作製すべく、鋭意検討した。その結果、熱水に対するコーヒー豆の接触状態と、上記コーヒー豆の蒸らし状態とのバランスを制御することが、設計指針として有効であることを見出した。
本発明によれば、コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、
前記コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、
前記第1の容器の内部、または前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配され、かつ前記コーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、
前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配されるとともに、前記第1の容器側の空間と前記第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いるコーヒー飲料の製造方法であって、
大気圧下で、前記第1の容器にコーヒー豆および熱水を導入し、前記コーヒー豆を前記熱水で浸漬することにより前記コーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、
大気圧下で、前記コーヒー抽出液を前記第2の容器に払い出しながら、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記第1の容器内に残存する前記コーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、
前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、
を含み、
前記第1の浸漬工程における前記バルブの開閉状態は、閉状態であり、
前記蒸らし工程における前記バルブの開閉状態は、開状態であり、
前記第2の浸漬工程における前記バルブの開閉状態は、閉状態または開状態であり、
前記第2の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度が60℃以上100℃以下である、コーヒー飲料の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、
前記コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、
前記第1の容器の内部、または前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配され、かつ前記コーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、
前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配されるとともに、前記第1の容器側の空間と前記第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いて作製したコーヒー飲料の品質改善方法であって、
大気圧下で、前記第1の容器にコーヒー豆および熱水を導入し、前記コーヒー豆を前記熱水で浸漬することにより前記コーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、
大気圧下で、前記コーヒー抽出液を前記第2の容器に払い出しながら、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記第1の容器内に残存する前記コーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、
前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、
を含み、
前記第1の浸漬工程における前記バルブの開閉状態を閉状態とし、前記蒸らし工程における前記バルブの開閉状態を開状態とし、前記第2の浸漬工程における前記バルブの開閉状態を閉状態または開状態とし、
前記第2の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度を60℃以上100℃以下とする、コーヒー飲料の品質改善方法が提供される。
本発明によれば、雑味による影響を低減させることができる程度に香味感を向上させたコーヒー抽出液を効率良く作製するコーヒー飲料の製造技術を提供できる。
本実施形態に係るコーヒー飲料の製造方法に用いる抽出装置の一例を示す概略図である。 本実施形態に係るコーヒー飲料の製造方法の一例を示す概略図である。
<コーヒー飲料の製造方法>
本実施形態に係るコーヒー飲料の製造方法は(以下、本製造方法ともいう。)、コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、第1の容器の内部、または第1の容器と第2の容器との間の領域に配され、かつコーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、第1の容器と第2の容器との間の領域に配されるとともに、第1の容器側の空間と第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いる手法である。かかる製造方法は、第1の容器にコーヒー豆および熱水を導入し、上記コーヒー豆を上記熱水で浸漬することによりコーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、コーヒー抽出液を第2の容器に払い出しながら、第1の容器内のコーヒー豆を、第1の容器内に残存するコーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、第1の容器内のコーヒー豆を、熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、を含むものである。そして、本製造方法においては、上記第1の浸漬工程におけるバルブの開閉状態は閉状態であり、蒸らし工程におけるバルブの開閉状態は、開状態である。また、第2の浸漬工程におけるバルブの開閉状態は、閉状態または開状態である。そして、このような本製造方法によれば、雑味による影響を低減させることができる程度に香味感を向上させたコーヒー抽出液を効率良く作製することが可能となる。
本実施形態に係るコーヒー飲料とは、1977年に制定された「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」にも記載されているように、コーヒー豆を原料とした飲料及びこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物を加え容器に密封した飲料のことを指す。一方、「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によれば、2013年現在、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものについては、「乳飲料」として扱われることになる。本実施形態に係るコーヒー飲料については、コーヒー豆を原料とした飲料であるため、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものであったとしても、コーヒー飲料として扱うこととする。
従来の手法により得られたコーヒー抽出液については、抽出ムラに起因した呈味のバラつきが作製毎に生じてしまう、コーヒー豆に由来する雑味成分による影響で後味がすっきりしない、コーヒー豆に由来するコーヒー独特の香り感が不十分である等の不都合が生じる場合があった。
そこで、本発明者らは、従来のコーヒー抽出液において上述した不都合が生じる原因について鋭意検討した結果、従来の製造プロセスでは、コーヒー豆中に含まれている香味成分を存分に引き出せていない可能性があることを見出した。
本製造方法は、上述したように、コーヒー豆を熱水に浸漬させるタイミングと、コーヒー豆を蒸らすタイミングにくわえ、コーヒー豆を熱水に浸漬させる手法について創意工夫したものである。いわば、本製造方法は、熱水に対するコーヒー豆の接触状態と、上記コーヒー豆の蒸らし状態とのバランスを制御したものである。これにより、本製造方法によれば、従来の製造プロセスと比べて、コーヒー豆中に含まれている香味成分を存分に引き出すことが可能となる。
まず、本製造方法に使用する抽出装置の構成について、図1を参照して説明する。なお、図1は、本実施形態に係る抽出装置の一例を示す概略図である。
図1に示すように、本製造方法に使用する抽出装置は、コーヒー抽出液を作製する第1の容器10と、コーヒー抽出液を貯留する第2の容器20と、第1の容器10の内部、または第1の容器10と第2の容器20との間の領域に配され、かつコーヒー抽出液を濾過する濾過フィルター40と、第1の容器10と第2の容器20との間の領域に配されるとともに、第1の容器10側の空間と第2の容器20側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブ30と、を備えたものである。
ここで、本抽出装置に設置する濾過フィルター40は、金属製であることが望ましい。こうすることで、第1の容器10内を加圧状態にした際においても、濾過フィルター40が破損したり変形したりすることなく、コーヒー豆から抽出された成分を含む溶液をコーヒー抽出液として効率よくフィルター濾過することが可能となる。また、金属製の濾過フィルター40である場合、コーヒー豆に由来する油分や甘味成分が、当該濾過フィルター40に付着して濾別される可能性を低減することができる。すなわち、金属製の濾過フィルター40を用いることにより、コーヒー豆に由来する油分や甘味成分を存分に含有したコーヒー抽出液を調製することができるため、呈味という観点において好ましい。
また、濾過フィルター40の濾過粒度(目開き)は、好ましくは、0.1mm以上0.5mm以下であり、さらに好ましくは、0.1mm以上0.4mm以下である。こうすることで、コーヒー豆に由来する残存固形成分が雑味としてコーヒー抽出液に混入してしまうことを防ぐことができる。
本製造方法に使用する抽出装置は、上述したように、第1の容器10と第2の容器20との間の領域に配されるとともに、第1の容器10側の空間と第2の容器20側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブ30を備えている。こうすることで、第1の容器10内で調製したコーヒー抽出液を第2の容器20へ払い出す際の流量(以下、払出し流量ともいう。)を制御することが可能となる。
次に、本製造方法の詳細について、図2を参照して説明する。なお、図2は、本実施形態に係るコーヒー飲料の製造方法の一例を示す概略図である。
(第1の浸漬工程)
まず、上述したバルブ30を閉状態に設定し、第1の容器10内にコーヒー豆および熱水を導入する。このとき、導入したコーヒー豆全量が熱水に浸漬するように、上記熱水を第1の容器10内に導入することが好ましい。こうすることで、第1の容器10内に導入した全てのコーヒー豆に対して、熱水を効果的に接触させることができる。そのため、本製造方法によれば、第1の容器10内に導入したコーヒー豆全体からムラなく、当該コーヒー豆に由来する香味成分を抽出することが可能となる。具体的には、第1の容器10内に導入したコーヒー豆全体からムラなく、当該コーヒー豆に含まれている香味成分の内、少なくとも水に溶けやすい成分の大半を熱水中に抽出することが可能となる。
ここで、コーヒー飲料における雑味(渋みやエグみ等)は、たとえば、コーヒー豆中に含まれているタンニン等の成分に由来する呈味であるとされている。また、タンニンや繊維質等の雑味成分は、一般的に、水に対して溶けにくい成分として知られている。くわえて、コーヒー豆中に含まれている香味成分は、一般に、酸味成分、旨味・甘味成分、苦味成分、雑味成分の順に抽出されやすいとされている。
本製造方法における第1の浸漬工程において、コーヒー豆を熱水に浸漬させる浸漬時間は、好ましくは、5分以上30分以下であり、さらに好ましくは、10分以上20分以下である。こうすることで、コーヒー豆に含まれている香味成分の内、少なくとも水に溶けやすい成分については、存分に、コーヒー豆から熱水中に抽出することが可能となる。
また、第1の容器10へのコーヒー豆および熱水の導入順序は、第1の容器10内に対して両者を同時に導入してもよいし、熱水を導入してからコーヒー豆を導入してもよく、コーヒー豆を導入してから熱水を導入してもよいし、さらには、熱水、コーヒー豆および熱水の順で導入してもよい。中でも、コーヒー豆に由来する香味成分を効率よく抽出する観点から、図2(a)および(b)に示すように、コーヒー豆を導入してから熱水を導入することが好ましい。なお、第1の容器10内に導入したコーヒー豆は、濾過フィルター40上に層をなして堆積することになる。
本製造方法において使用するコーヒー豆の大きさは、平均粒子径d50が、好ましくは、0.2mm以上2.0mm以下であり、さらに好ましくは、0.3mm以上1.5mm以下である。なお、一般に、コーヒー豆の平均粒子径d50が250μm程度である場合、かかるコーヒー豆は微細挽き豆と称される。同様に、平均粒子径d50が500μm程度である場合、かかるコーヒー豆は細挽き豆と称される。平均粒子径d50が1mm程度である場合、かかるコーヒー豆は中挽き豆と称され、2mm程度である場合、粗挽き豆と称される。すなわち、本製造方法にて使用するコーヒー豆は、一般に、微細挽き豆、細挽き豆あるいは中挽き豆に分類されるものであることが好ましい。こうすることで、短時間でコーヒー豆に由来する香味成分を効率よく抽出することが可能となり、結果としてコーヒー飲料の製造効率をより一層向上させることができる。
ここで、本製造方法に使用することができるコーヒー豆は、生豆であっても焙煎豆であってもよい。また、使用可能なコーヒー豆の種類の具体例としては、メキシコ、グアテマラ、ブルーマウンテン、クリスタルマウンテン、コスタリカ、コロンビア、ベネズエラ、ブラジル・サントス、ハワイ・コナ、モカ、ケニア、キリマンジャロ、マンデリン、ロブスタ等が挙げられる。
本製造方法における第1の浸漬工程において使用する熱水の温度は、好ましくは、70℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは、90℃以上100℃以下である。こうすることで、コーヒー本来の香味感(フレーバー感)を損なうことなく短時間でコーヒー豆に由来する香味成分を効率よく抽出することが可能となる。
また、本製造方法における第1の浸漬工程において第1の容器10内に導入する熱水量は、好ましくは、コーヒー豆の3倍量以上10倍量以下であり、さらに好ましくは、3倍量以上5倍量以下である。こうすることで、第1の容器10内に導入したコーヒー豆全体を偏りなく熱水で湿らすことが可能となるため、結果として、かかるコーヒー豆から均一にコーヒー豆に由来する香味成分を短時間で効率よく抽出することが可能となる。
(蒸らし工程)
次に、図2(c)に示すように、上述したバルブ30を開状態に設定し、コーヒー抽出液を第2の容器20に払い出しながら、第1の容器10内のコーヒー豆を、第1の容器10内に残存するコーヒー抽出液で蒸らす。こうすることで、上述した第1の浸漬工程において調製したコーヒー抽出液を回収すると同時に、コーヒー豆中に含まれている炭酸ガスを放出することができる。これにより、後述する第2の浸漬工程において作製したコーヒー抽出液を第2の容器20に払い出す際に、コーヒー豆中に含まれている炭酸ガスに起因したフィルター目詰まりが生じることを抑制することができる。また、この工程においてコーヒー豆中に含まれている炭酸ガスを十分に放出しておくことにより、後述する第2の浸漬工程におけるコーヒー豆中に残存している香味成分の抽出効率が低減することを抑制できる。
本製造方法の蒸らし工程における、上記コーヒー豆の蒸らし時間は、好ましくは、5分以上15分以下である。こうすることで、コーヒー豆中に含まれている雑味成分に由来する影響が、最終的に得られるコーヒー抽出液において増長してしまうことを抑制することができる。さらに、蒸らし時間を制御した場合、コーヒー豆中に含まれている残留香味成分の内、水に溶けやすい成分を第1の容器10内に残存するコーヒー抽出液中に抽出することができるだけでなく、水に溶けにくい香味成分についてもコーヒー豆の表層に移動させることもできる。
(第2の浸漬工程)
次に、図2(d)および図2(e)に示すように、第1の容器10内に、上述した第1の浸漬工程で使用した熱水とは別に準備した他の熱水を導入する。このときのバルブ30の開閉状態は、開状態であっても、閉状態であってもよい。
具体的には、本製造方法に係る第2の浸漬工程は、第1の容器10内に上記他の熱水を導入し、該第1の容器10内のコーヒー豆をかかる他の熱水で浸漬させる工程と(図2(d))、上記第1の容器10内のコーヒー豆を他の熱水で浸漬させた状態を保持するように、バルブ30の開閉状態を調整する払出し流量制御工程と(図2(e))を含む。このように第2の浸漬工程においてバルブ30の開閉状態を調整することで、第1の容器10内のコーヒー豆を熱水で浸漬させつつ、第1の容器10内のコーヒー抽出液を第2の容器20に払い出すことが可能となる。
以下、本製造方法に係る第2の浸漬工程について詳細に説明する。
まず、図2(d)に示すように、バルブ30の開閉状態を閉状態に設定し、第1の容器10内に熱水を導入する。こうすることで、第1の容器10内に収容されているコーヒー豆を熱水で浸漬させることができる。れにより、上記蒸らし工程においてコーヒー豆の表層に移動させた当該コーヒー豆に含まれる残留香味成分の一部を熱水中に抽出させることができる。
本製造方法における第2の浸漬工程において使用する熱水の温度は、好ましくは、30℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは、60℃以上80℃以下である。こうすることで、コーヒー本来の香味感(フレーバー感)を損なうことなく短時間でコーヒー豆に由来する香味成分を効率よく抽出することが可能となる。
ここで、第2の浸漬工程において使用する熱水の温度は、上述した第1の浸漬工程において使用する熱水と同じ温度であっても、かかる熱水と比べて高温であっても構わない。しかし、第2の浸漬工程において使用する熱水の温度は、最終的に得られるコーヒー抽出液中において雑味成分による影響が増長されることを抑制する観点から、上述した第1の浸漬工程において使用する熱水と比べて低温であることが好ましい。
次に、図2(e)に示すように、バルブ30の開閉状態を開状態に設定する。このとき、バルブ30の開閉状態は、図2(c)に示した状態と比べて狭めた状態、すなわち、全開ではない半開状態とする。こうすることで、第2の容器20への払出し流量(払出し流量)を制御することができる。そのため、第1の容器10内における液面水位を制御することが可能となり、結果として、第1の容器10内に格納されているコーヒー豆を熱水で浸漬させながら、第2の容器20への払い出しを実施することができるようになる。これにより、コーヒー豆中に含まれている残留香味成分の内、雑味成分を除く水に溶けにくい香味成分を存分に熱水中に抽出させることが可能となる。また、第1の容器10内に格納されているコーヒー豆全体から均一に香味成分を抽出させることが可能となる。
ただし、上述した工程におけるバルブ30の開閉状態は、第1の容器10内への熱水導入量と、第1の容器10から第2の容器20への払出し流量とを同程度に制御できるのであれば、全開であってもよい。
そして、第2の浸漬工程におけるバルブ30の開閉状態は、当該バルブ30の開閉状態を全開にした際における第1の容器10から第2の容器20への最大払出し流量を1.0とした時、第1の容器10から第2の容器20への払出し流量が1.0以下となるように調整することが好ましい。また、第2の浸漬工程におけるバルブ30の開閉状態は、上記払出し流量が、一時的に、最大で0.2以下となるように調製してコーヒー豆を熱水で浸漬させた後、上述した浸漬状態を維持して抽出を行うために、0.8以上1.0以下となるように調製することがさらに好ましい。こうすることで、コーヒー豆中に含まれている残留香味成分の内、雑味成分を除く水に溶けにくい香味成分の抽出効率をより一層向上させることが可能になるだけでなく、コーヒー豆から抽出されたコーヒー豆に由来する香味成分を含む溶液を順次回収することが可能となる。
また、第2の浸漬工程におけるバルブ30の開閉状態は、本工程において第1の容器10内に導入する熱水の導入速度をXとし、第1の容器10から第2の容器20への払い出し速度をYとしたとき、Y/Xの値が、1以下となるように制御することが好ましい。また、第2の浸漬工程におけるバルブ30の開閉状態は、上記Y/Xの値が、一時的に、最大で0.2以下となるように制御してコーヒー豆を熱水で浸漬させた後、上述した浸漬状態を維持して抽出を行うために、0.8以上1.0以下となるように制御することがさらに好ましい。こうすることで、コーヒー豆中に含まれている残留香味成分の内、雑味成分を除く水に溶けにくい香味成分の抽出効率をより一層向上させることが可能になるだけでなく、コーヒー豆から抽出されたコーヒー豆に由来する香味成分を含む溶液を順次回収することが可能となる。
また、本製造方法における第2の浸漬工程において第1の容器10内に導入する第2の熱水量は、好ましくは、コーヒー豆の2倍量以上10倍量以下であり、さらに好ましくは、2倍量以上8.5倍量以下である。こうすることで、コーヒー豆から均一にコーヒー豆に由来する香味成分を存分に抽出することが可能となる。
本製造方法は、上述した手法により、雑味による影響を低減させることができる程度に香味感を向上させたコーヒー抽出液を作製するものである。
上述した方法により得られたコーヒー抽出液は、そのままの状態で容器に充填・密封してもよいし、かかるコーヒー抽出液の嗜好性を高める観点から、乳成分、甘味成分、香気成分、各種栄養成分、抽出物、着色剤、希釈剤等の食品添加物を添加してから容器に充填・密封してもよい。上記乳成分としては、生乳、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、部分脱脂乳、練乳、粉乳、発酵乳等が挙げられる。また、上記甘味成分としては、砂糖などの糖類、マルチトール、エリスリトールなどの糖アルコール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ステビア抽出物、ネオテーム、サッカリン、スクラロース等の高甘味度甘味料等が挙げられる。
また、本製造方法により得られたコーヒー飲料を充填する容器は、飲料業界で公知の密封容器であれば、適宜選択して用いることができる。その具体例としては、ガラス、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)、アルミ、スチール等の単体もしくは複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器形状は、特に限定されるものではないが、たとえば、缶容器、ボトル容器等が挙げられる。
本製造方法によれば、雑味による影響を低減させることができる程度に香味感を向上させたコーヒー抽出液を短時間で効率よく作製することが可能である。また、本製造方法によれば、コーヒー豆に由来する各種香味成分が熱水へ抽出される順序を考慮して、バルブの開閉状態を制御しているため、当該コーヒー豆に由来する雑味成分が混入することを抑制することができる。さらに、本製造方法によれば、コーヒー豆に由来する各種香味成分が熱水へ抽出される順序を考慮して、コーヒー豆の浸漬状態と蒸らし状態とのタイミングを設定しているため、所望のコーヒー抽出液を短時間で作製することが可能となる。
また、本製造方法によれば、コーヒー本来の香味感を失うことない高品質のコーヒー抽出液を作製することができる。このように、本製造方法によれば、従来の方法と比べて、香味感を向上させたコーヒー飲料を得ることができる。
<コーヒー飲料の呈味改善方法>
本発明に係る容器詰めコーヒー飲料の呈味改善方法は、コーヒー抽出液を作製する第1の容器10と、コーヒー抽出液を貯留する第2の容器20と、第1の容器10の内部、または第1の容器10と第2の容器20との間の領域に配され、かつコーヒー抽出液を濾過する濾過フィルター40と、第1の容器10と第2の容器20との間の領域に配されるとともに、第1の容器10側の空間と第2の容器20側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブ30と、を備えた抽出装置を用いて作製したコーヒー飲料に関するものである。かかる呈味改善方法は、第1の容器10にコーヒー豆および熱水を導入し、上記コーヒー豆を上記熱水で浸漬することによりコーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、コーヒー抽出液を第2の容器20に払い出しながら、第1の容器10内のコーヒー豆を、第1の容器10内に残存するコーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、第1の容器10内のコーヒー豆を、熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、を含むものである。そして、本呈味改善方法においては、上記第1の浸漬工程におけるバルブ30の開閉状態を閉状態とし、蒸らし工程におけるバルブ30の開閉状態を開状態とし、第2の浸漬工程におけるバルブ30の開閉状態を閉状態または開状態とすることが重要である。こうすることで、香味成分をコーヒー豆から存分に抽出することが可能になるため、従来と比べて香味感を向上させたコーヒー飲料を実現することができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、
前記コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、
前記第1の容器の内部、または前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配され、かつ前記コーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、
前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配されるとともに、前記第1の容器側の空間と前記第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いるコーヒー飲料の製造方法であって、
前記第1の容器にコーヒー豆および熱水を導入し、前記コーヒー豆を前記熱水で浸漬することにより前記コーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、
前記コーヒー抽出液を前記第2の容器に払い出しながら、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記第1の容器内に残存する前記コーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、
前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、
を含み、
前記第1の浸漬工程における前記バルブの開閉状態は、閉状態であり、
前記蒸らし工程における前記バルブの開閉状態は、開状態であり、
前記第2の浸漬工程における前記バルブの開閉状態は、閉状態または開状態である、コーヒー飲料の製造方法。
<2>
前記第2の浸漬工程が、
前記第1の容器に前記他の熱水を導入し、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を前記他の熱水で浸漬させる工程と、
前記第1の容器内の前記コーヒー豆を前記他の熱水で浸漬させた状態を保持するように、前記バルブの開閉状態を調整する払出し流量制御工程と、
を含む、<1>に記載のコーヒー飲料の製造方法。
<3>
前記バルブの開閉状態を全開にした際における、前記第1の容器から前記第2の容器への最大払出し流量を1.0とした時、
前記払出し流量制御工程において、前記第1の容器から前記第2の容器への払出し流量が1.0以下となるように前記バルブの開閉状態を制御する、<2>に記載のコーヒー飲料の製造方法。
<4>
前記払出し流量制御工程における前記第1の容器への前記熱水の導入速度をXとし、前記払出し流量制御工程における前記第1の容器から前記第2の容器への払い出し速度をYとした時、Y/Xが1.0以下である、<2>または<3>に記載のコーヒー飲料の製造方法。
<5>
前記第1の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度が70℃以上100℃以下である、<1>乃至<4>いずれか一つに記載のコーヒー飲料の製造方法。
<6>
前記第2の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度が30℃以上100℃以下である、<1>乃至<5>いずれか一つに記載のコーヒー飲料の製造方法。
<7>
前記濾過フィルターの濾過粒度が0.1mm以上0.5mm以下である、<1>乃至<6>いずれか一つに記載のコーヒー飲料の製造方法。
<8>
前記第1の浸漬工程において、前記コーヒー豆を前記熱水に浸漬させる浸漬時間が、5分以上30分以下である、<1>乃至<7>いずれか一つに記載のコーヒー飲料の製造方法。
<9>
前記蒸らし工程における、前記コーヒー豆の蒸らし時間が、5分以上15分以下である、<1>乃至<8>いずれか一つに記載のコーヒー飲料の製造方法。
<10>
コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、
前記コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、
前記第1の容器の内部、または前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配され、かつ前記コーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、
前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配されるとともに、前記第1の容器側の空間と前記第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いて作製したコーヒー飲料の品質改善方法であって、
前記第1の容器にコーヒー豆および熱水を導入し、前記コーヒー豆を前記熱水で浸漬することにより前記コーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、
前記コーヒー抽出液を前記第2の容器に払い出しながら、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記第1の容器内に残存する前記コーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、
前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、
を含み、
前記第1の浸漬工程における前記バルブの開閉状態を閉状態とし、前記蒸らし工程における前記バルブの開閉状態を開状態とし、前記第2の浸漬工程における前記バルブの開閉状態を閉状態または開状態とする、コーヒー飲料の品質改善方法。

以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例>
まず、図1に示すように、メッシュの直径が70cmであり、かつ総面積が3850cmである目開き0.30mm(濾過粒度0.30mm)の濾過フィルター40を第1の容器10内に設置した。次に、バルブ30を閉状態に設定し、第1の容器10内に、98℃の熱水60Lと、中挽き60kgと、98℃の熱水240Lとをこの順で導入した。上記の工程に要した時間は約12分であり、この間、コーヒー豆は熱水で浸漬された状態である。次いで、バルブ30を全開状態にすることで、第1の容器10から第2の容器20へ得られた抽出液を排出するとともに、第1の容器10に格納したコーヒー豆を蒸らした。上記の工程に要した時間は10分である。
次いで、バルブ30の開閉状態を閉状態に設定し、第1の容器10内に68℃の熱水240Lを導入した。このとき、第1の容器10内のコーヒー豆は、約100Lの熱水を第1の容器10内に導入した時点で、熱水に浸漬した状態となった。そのため、第1の容器10内のコーヒー豆が熱水に浸漬したことを確認できた後、バルブ30の開閉状態を全開ではない開状態に設定した。具体的には、バルブ30の開閉状態が全開である場合における払出し流量を1とした時、第1の容器10から第2の容器20への払出し流量が1.0となるように、バルブ30の開閉状態を調整した。なお、これ以降の工程において、第1の容器10内に導入する熱水量は、上記240Lよりバルブ30の開閉状態が閉状態である時に導入した100Lを差し引いた140Lとなる。また、上述したようにバルブ30の開閉状態を調整した際における第1の容器10への熱水の導入速度Xと、第1の容器10から第2の容器20への払い出し速度Yとから算出されるY/Xの値は、1.0であった。
その後、第1の容器10内に導入した熱水のうち360Lが第2の容器20へ払い出された時点において、上記第2の容器20内に格納されている溶液をコーヒー抽出液として使用した。ここで、コーヒー抽出液を得るまでに要した時間は、約40分であった。
得られたコーヒー抽出液は、200cc入りの缶に充填・密封した後、121℃、10分相当の条件で加熱殺菌を行った。このようにして、実施例のコーヒー飲料を作製した。
<比較例1>
すべての工程においてバルブ30を全開状態に保持した点以外は、実施例と同様の方法で、比較例1のコーヒー飲料を作製した。また、比較例1のコーヒー飲料を作製するために用いたコーヒー抽出液を得るまでに要した時間は、約40分であった。
<比較例2>
バルブ30を閉めた状態でコーヒー豆を熱水で浸漬した後、浸漬状態をバルブ30を閉めた状態で10分間保持することにより上記コーヒー豆を蒸らした点以外は、実施例と同様の方法で、比較例2のコーヒー飲料を作製した。また、比較例2のコーヒー飲料を作製するために用いたコーヒー抽出液を得るまでに要した時間は、約40分であった。
得られたコーヒー飲料について、以下に示す官能評価を行った。
(評価項目)
・官能評価試験1(香りの強さ):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験1に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:香りが非常に強い。
6点:香りがかなり強い。
5点:香りがやや強い。
4点:どちらでもない。
3点:香りがやや弱い。
2点:香りがかなり弱い。
1点:香りが非常に弱い。
・官能評価試験2(甘味の強さ):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験2に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:甘味が非常に強い。
6点:甘味がかなり強い。
5点:甘味がやや強い。
4点:どちらでもない。
3点:甘味がやや弱い。
2点:甘味がかなり弱い。
1点:甘味が非常に弱い。
・官能評価試験3(酸味の強さ):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験3に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:酸味が非常に強い。
6点:酸味がかなり強い。
5点:酸味がやや強い。
4点:どちらでもない。
3点:酸味がやや弱い。
2点:酸味がかなり弱い。
1点:酸味が非常に弱い。
・官能評価試験4(苦味の強さ):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験4に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:苦味が非常に強い。
6点:苦味がかなり強い。
5点:苦味がやや強い。
4点:どちらでもない。
3点:苦味がやや弱い。
2点:苦味がかなり弱い。
1点:苦味が非常に弱い。
・官能評価試験5(雑味の強さ):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験5に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:雑味が非常に強い。
6点:雑味がかなり強い。
5点:雑味がやや強い。
4点:どちらでもない。
3点:雑味がやや弱い。
2点:雑味がかなり弱い。
1点:雑味が非常に弱い。
・官能評価試験6(余韻がある):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験6に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:非常にそう思う。
6点:かなりそう思う。
5点:ややそう思う。
4点:どちらでもない。
3点:ややそう思わない。
2点:かなりそう思わない。
1点:非常にそう思わない。
・官能評価試験7(コクがある):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験7に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:非常にそう思う。
6点:かなりそう思う。
5点:ややそう思う。
4点:どちらでもない。
3点:ややそう思わない。
2点:かなりそう思わない。
1点:非常にそう思わない。
・官能評価試験8(後味がスッキリしている):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験8に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:非常にそう思う。
6点:かなりそう思う。
5点:ややそう思う。
4点:どちらでもない。
3点:ややそう思わない。
2点:かなりそう思わない。
1点:非常にそう思わない。
・官能評価試験9(おいしさ):実施例と各比較例のコーヒー飲料のそれぞれを、熟練した7名のパネラーが試飲した。各パネラーは、試飲したコーヒー飲料について、以下の評価基準に従って1〜7点の7段階評価を実施した。官能評価試験9に係る評価結果は、各パネラーによる評価点の平均点とした。
7点:非常においしい。
6点:かなりおいしい。
5点:ややおいしい。
4点:どちらでもない。
3点:ややおいしくない。
2点:かなりおいしくない。
1点:非常においしくない。
上記評価項目に関する官能評価結果を、実施例および比較例に係るコーヒー飲料を製造した際におけるバルブ30の開閉状態とともに、以下の表1に示す。
Figure 0006777990
実施例のコーヒー飲料は、雑味が強調されることのなく、香りと呈味がバランスよく強調されたものであった。一方、比較例1のコーヒー飲料は、雑味が強調されることはないものであったが、香味感の強調性に欠けるものであった。また、比較例2のコーヒー飲料は、コクのある味わい深いものであったが、香りが弱く、後味のスッキリさに欠け、雑味による影響で香りと呈味のバランスという点において、要求水準を満たすものではなかった。
10 第1の容器
20 第2の容器
30 バルブ
40 濾過フィルター

Claims (11)

  1. コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、
    前記コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、
    前記第1の容器の内部、または前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配され、かつ前記コーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、
    前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配されるとともに、前記第1の容器側の空間と前記第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いるコーヒー飲料の製造方法であって、
    大気圧下で、前記第1の容器にコーヒー豆および熱水を上方から導入し、前記コーヒー豆を前記熱水で浸漬することにより前記コーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、
    大気圧下で、前記コーヒー抽出液を前記第2の容器に払い出しながら、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記第1の容器内に残存する前記コーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、
    前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、
    を含み、
    前記第1の浸漬工程における前記バルブの開閉状態は、閉状態であり、
    前記蒸らし工程における前記バルブの開閉状態は、開状態であり、
    前記第2の浸漬工程における前記バルブの開閉状態は、閉状態または開状態であり、
    前記第2の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度が60℃以上100℃以下である、コーヒー飲料の製造方法。
  2. 前記第2の浸漬工程が、
    前記第1の容器に前記他の熱水を導入し、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を前記他の熱水で浸漬させる工程と、
    前記第1の容器内の前記コーヒー豆を前記他の熱水で浸漬させた状態を保持するように、前記バルブの開閉状態を調整する払出し流量制御工程と、
    を含む、請求項1に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  3. 前記バルブの開閉状態を全開にした際における、前記第1の容器から前記第2の容器への最大払出し流量を1.0とした時、
    前記払出し流量制御工程において、前記第1の容器から前記第2の容器への払出し流量が1.0以下となるように前記バルブの開閉状態を制御する、請求項2に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  4. 前記払出し流量制御工程における前記第1の容器への前記熱水の導入速度をXとし、前記払出し流量制御工程における前記第1の容器から前記第2の容器への払い出し速度をYとした時、Y/Xが1.0以下である、請求項2または3に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  5. 前記第1の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度が70℃以上100℃以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  6. 前記第2の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度が30℃以上100℃以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  7. 前記濾過フィルターの濾過粒度が0.1mm以上0.5mm以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  8. 前記第1の浸漬工程において、前記コーヒー豆を前記熱水に浸漬させる浸漬時間が、5分以上30分以下である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  9. 前記蒸らし工程における、前記コーヒー豆の蒸らし時間が、5分以上15分以下である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  10. 前記第1の浸漬工程において前記第1の容器内に導入する熱水量は、コーヒー豆の3倍量以上10倍量以下である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  11. コーヒー抽出液を作製する第1の容器と、
    前記コーヒー抽出液を貯留する第2の容器と、
    前記第1の容器の内部、または前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配され、かつ前記コーヒー抽出液を濾過する濾過フィルターと、
    前記第1の容器と前記第2の容器との間の領域に配されるとともに、前記第1の容器側の空間と前記第2の容器側の空間とを区切り、かつ流路開閉機能を有したバルブと、を備えた抽出装置を用いて作製したコーヒー飲料の品質改善方法であって、
    大気圧下で、前記第1の容器にコーヒー豆および熱水を導入し、前記コーヒー豆を前記熱水で浸漬することにより前記コーヒー抽出液を調製する、第1の浸漬工程と、
    大気圧下で、前記コーヒー抽出液を前記第2の容器に払い出しながら、前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記第1の容器内に残存する前記コーヒー抽出液で蒸らす、蒸らし工程と、
    前記第1の容器内の前記コーヒー豆を、前記熱水とは別に準備した他の熱水で浸漬する、第2の浸漬工程と、
    を含み、
    前記第1の浸漬工程における前記バルブの開閉状態を閉状態とし、前記蒸らし工程における前記バルブの開閉状態を開状態とし、前記第2の浸漬工程における前記バルブの開閉状態を閉状態または開状態とし、
    前記第2の浸漬工程において、前記第1の容器に導入する前記熱水の温度を60℃以上100℃以下とする、コーヒー飲料の品質改善方法。
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