JP6777085B2 - ガラス原料造粒体の製造方法、溶融ガラスの製造方法、およびガラス物品の製造方法 - Google Patents

ガラス原料造粒体の製造方法、溶融ガラスの製造方法、およびガラス物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガラス原料造粒体の製造方法、該ガラス原料造粒体を用いた溶融ガラスの製造方法およびガラス物品の製造方法に関する。
ガラスの製造において、原料粉末を溶融炉に投入する際に原料粉末が飛散すると、ガラス組成の均質性が低下する問題や、原料が無駄になる問題等が生じることから、原料粉末を造粒して用いる方法が提案されている。
特許文献1には、ガラス組成として、SiOのほかに、白色化に寄与するPと、イオン交換による化学強化処理を行うのに好適なNaOを含有させた白色ガラスが記載されている。
特許文献1では原料粉末を溶融する方法で白色ガラスを製造しており、該原料粉末を造粒する方法は知られていない。
下記特許文献2には、予めケイ砂と苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を高温下で反応させることによって、メタケイ酸ナトリウムおよびジケイ酸ナトリウムのような水溶性のケイ酸塩を生成させ、該ケイ酸塩を結着剤として利用して造粒体を製造する方法が記載されている。しかしながら、リン酸化物を含むガラス原料を造粒する方法は記載されていない。
国際公開第2014/119623号 特公昭56−37176号公報
本発明は、ガラス組成として少なくともSiO、P、およびNaOを含むガラスの原料を好適に造粒できるようにしたガラス原料造粒体の製造方法、該ガラス原料造粒体を用いた溶融ガラスの製造方法およびガラス物品の製造方法を提供する。
本発明は以下の[1]〜[11]である。
[1] 少なくともシリカと、ナトリウム酸化物源と、マグネシウム酸化物源と、リン酸化物源を含有するガラス原料組成物を水の存在下で造粒してガラス原料造粒体を製造する方法であって、前記ガラス原料組成物は、当該ガラス原料組成物の全固形分量に対して水酸化マグネシウムを4.0〜8.4質量%含む、ガラス原料造粒体の製造方法。
[2] 前記リン酸化物源としてリン酸水溶液を用い、前記ガラス原料組成物の全固形分量に対するリン酸の含有量が4.7〜16.9質量%である、[1]に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
[3] 前記ガラス原料組成物の全固形分量に対する水酸化マグネシウムの含有量が4.1〜7.7質量%である[1]または[2]に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
[4] 前記ナトリウム酸化物源として炭酸ナトリウムおよび/または水酸化ナトリウムを用いる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
[5] 前記シリカの平均粒子径を表すD50が5〜350μmである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
[6] ガラス原料造粒体の平均粒子径を表すD50が300μm〜2mmである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
[7] 前記ガラス原料造粒体から得られるガラスの組成が酸化物基準のモル百分率表示で、SiOの含有量が50〜74%、Bの含有量が0〜8%、Alの含有量が1〜8%、MgOの含有量が3〜18%、CaOの含有量が0〜7%、SrOの含有量が0〜10%、BaOの含有量が0〜12%、ZrOの含有量が0〜5%、NaOの含有量が5〜15%、Pの含有量が2〜10%、その他の成分の合計が9%以下であり、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が1〜22%、MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROが5〜25%、CaO含有量とROの比CaO/ROが0.7以下である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法でガラス原料造粒体を製造する工程と、得られたガラス原料造粒体を加熱して溶融ガラスとするガラス溶融工程を有する、溶融ガラスの製造方法。
[9] 前記ガラス溶融工程が、溶融炉中の溶融ガラス液面上に造粒体を投入する工程を有する、[8]に記載の溶融ガラスの製造方法。
[10] 前記ガラス溶融工程が、前記造粒体を、気相雰囲気中で溶融させて溶融ガラス粒子とする工程と、前記溶融ガラス粒子を集積して溶融ガラスとする工程とを含む、[9]に記載の溶融ガラスの製造方法。
[11] [8]〜[10]のいずれか一項に記載の溶融ガラスの製造方法を用いてガラス物品を製造する方法であって、前記ガラス溶融工程と、得られた溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程とを有する、ガラス物品の製造方法。
本発明のガラス原料造粒体の製造方法によれば、ガラス組成として少なくともSiO、P、およびNaOを含むガラスの製造に好適な造粒体が得られる。
本発明の溶融ガラスの製造方法によれば、ガラス組成として少なくともSiO、P、およびNaOを含む溶融ガラスを、前記造粒体を用いて製造できる。
本発明のガラス物品の製造方法によれば、ガラス組成として少なくともSiO、P、およびNaOを含むガラス物品を、前記造粒体を用いて製造できる。
製造例2で得られた造粒体の写真である。 製造例5で得られた造粒体の写真である。 製造例7で得られた造粒体の写真である。 製造例8で得られた造粒体の写真である。 製造例11で得られた造粒体の写真である。 製造例12で得られた造粒体の写真である。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
ガラスの成分は、SiO、P、NaO等の酸化物で表す。ガラス全体に対する各成分の含有量(ガラス組成)は、ガラスの質量を100%として、酸化物基準のモル百分率で表す。
「ガラス原料」は、ガラスの構成成分となる原料であり、「ガラス原料組成物」は、ガラス原料を複数含む組成物である。ガラス原料としては、酸化物や複合酸化物、熱分解により酸化物となりうる化合物が挙げられる。熱分解により酸化物となりうる化合物としては、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物などが挙げられる。本明細書において「造粒体」は、ガラス原料組成物を造粒したものである。
本明細書においてガラス原料組成物の組成は、固形分換算の質量%で表示する。すなわち、ガラス原料組成物の固形分質量を100質量%として質量百分率で表示し、ガラス原料組成物が水溶液を含む場合には、当該水溶液中の固形分を含めた組成である。なお、固形分は結晶水を含む。
本明細書において、ガラス原料又はガラス原料組成物の「D50」は、積算分率における50%径で表される平均粒子径である。ガラス原料のD50は、レーザー回折法を用いて測定された体積基準の積算分率における50%径である。レーザー回折法による粒子径測定方法としては、JIS Z8825−1(2001)に記載の方法を用いる。
造粒体の「D50」は、篩などを利用して測定された質量累計50%のメディアン径である。
本明細書において数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「〜」は、同様の意味をもって使用される。
<ガラス原料組成物>
本発明ではガラス原料組成物を水の存在下で造粒してガラス原料造粒体を製造する。すなわち、ガラス原料組成物は、造粒に用いられる全固形分を含む組成物である。
ガラス原料組成物は、少なくともシリカと、ナトリウム酸化物源(以下、単にナトリウム源ともいう。)と、マグネシウム酸化物源(以下、単にマグネシウム源ともいう。)と、リン酸化物源を含有する。
[シリカ]
シリカとしては、ケイ砂、石英、クリストバライト、非晶質シリカが挙げられる。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。良質の原料を入手しやすい点でケイ砂が好ましい。これらは粉末状で用いられる。
ガラス原料組成物の全固形分量に対するシリカの含有量は、30〜60質量%が好ましく、35〜55質量%がより好ましく、40〜50質量%がさらに好ましい。シリカの含有量が上記範囲の下限値以上であると、造粒体が造粒機の壁面等に付着しにくいので取扱いやすい。シリカの含有量が上記範囲の上限値以下であると造粒体の強度が高くなりやすい。
シリカのD50は、5〜350μmが好ましい。シリカのD50が5μm以上であると扱いやすく、造粒しやすい。350μm以下であると均質な造粒体が得られやすい。
[ナトリウム源]
ナトリウム源は、溶融ガラスの製造工程中でNaOを形成する化合物である。
ナトリウム源としては、炭酸ナトリウム(ソーダ灰)、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが挙げられる。リン酸水素二ナトリウムは、リン酸化物源でもある。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
NaO等のアルカリ金属酸化物を含むガラスは、イオン交換処理して化学強化ガラスを製造するのに好適である。イオン交換処理による化学強化とは、具体的に、ガラス転移点以下の温度でイオン交換により、ガラス表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(典型的には、Liイオン、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(典型的には、Liイオンに対してはNaイオンまたはKイオンであり、Naイオンに対してはKイオン)に交換することによって、ガラス表面に圧縮応力層を形成し、ガラスの強度を高める方法である。
ナトリウム源として、特に炭酸ナトリウム(ソーダ灰)を用いると、造粒性が向上するとともに、造粒体の凝集が防止されやすい点で好ましい。炭酸ナトリウムのD50は、限定されないが、50〜400μmが好ましく、55〜120μmがより好ましい。炭酸ナトリウムのD50が上記範囲であると造粒しやすく、均質な造粒体が得られやすい。
ナトリウム源の合計量に対して、炭酸ナトリウムの割合は、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。
[マグネシウム源]
マグネシウム源は、溶融ガラスの製造工程中でMgOを形成する化合物である。
マグネシウム源としては、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム、リン酸マグネシウム八水和物が挙げられる。リン酸マグネシウム八水和物は、リン酸化物源でもある。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
本発明では、マグネシウム源として、少なくとも水酸化マグネシウムを用いる。ガラス原料組成物の全固形分量に対して水酸化マグネシウムを3.6〜8.4質量%含有させることにより良好な造粒性が得られ、造粒体を製造することができる。
水酸化マグネシウムが3.6質量%以上であると造粒性が向上し、造粒しやすくなるとともに、高強度の造粒体を得やすくなり好ましい。水酸化マグネシウムが8.4質量%以下であれば、造粒中の造粒体同士の凝集防止でき、造粒体の粒径制御が容易になる。また、造粒後の固化も生じにくくなり好ましい。
さらに造粒体の粒径をより均一にするためには、水酸化マグネシウムを4.1〜7.7質量%含有させることがより好ましい。
水酸化マグネシウムのD50は、限定されないが、1〜30μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。水酸化マグネシウムのD50が上記範囲であると造粒しやすく、均質な造粒体が得られやすい。
マグネシウム源として、水酸化マグネシウムの他に酸化マグネシウムを併用することも好ましい。
酸化マグネシウムのD50は、限定されないが、1〜30μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。酸化マグネシウムのD50が上記範囲であると造粒しやすく、均質な造粒体が得られやすい。
マグネシウム源の合計量に対して、水酸化マグネシウムの割合は、MgO換算で30〜95質量%が好ましく、45〜90質量%がより好ましい。
[リン酸化物源]
リン酸化物源は、溶融ガラスの製造工程中でPを形成する化合物である。Pを含むガラスは、ガラスの内部に微細な分相を形成して白色ガラスを製造する方法に好適である。分相とは、単一相のガラスが、二つ以上のガラス相に分かれることをいう。分相の界面で光を拡散反射、散乱するためガラスの外観が白色を呈する。Pは、かかる分相を促進する基本成分である。
リン酸化物源としては、リン酸(HPO)、リン酸マグネシウム八水和物、リン酸アルミニウム、リン酸水素二ナトリウムが挙げられる。
特に、水溶液状のリン酸(リン酸水溶液)を用いると、塩基性物質との反応性がよく造粒速度が速くなる。また、造粒の際に均一に分散し易く造粒体中のリン成分が均質になり易いため好ましい。さらに、リン酸水溶液は、安価であり経済的にも有利である。
上記のリン酸化物源として少なくともリン酸(HPO)水溶液を含むことが好ましい。リン酸化物源は、1種類だけでもよいが、リン酸水溶液の他に、他のリン酸化物源として、リン酸マグネシウム八水和物、リン酸アルミニウム、およびリン酸水素二ナトリウムなどの1種を使用してもよいし、または2種以上を併用してもよい。
リン酸水溶液を用いる場合、造粒用の原料固形分中のリン酸の含有量は、4.7〜16.9質量%が好ましい。該リン酸の含有量が4.7質量%以上であると、造粒性が向上し、高強度の造粒体を得やすくなる。一方、該リン酸の含有量が16.9質量%以下であると、造粒中の造粒体同士の凝集防止でき、造粒体の粒径制御が容易になる。また、造粒後の造粒体同士の結合による固化も生じにくくなり好ましい。また、リン酸の含有量が7.5〜8.4質量%であると造粒後の固化が著しく抑制されるのでさらに好ましい。
リン酸化物源の合計量に対して、リン酸の割合は、P換算で70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。
[アルミニウム源]
ガラス原料組成物にアルミニウム源を含有させてもよい。アルミニウム源は、溶融ガラスの製造工程中でAlを形成する化合物である。
アルミニウム源としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミウム、リン酸アルミニウム、長石等が挙げられる。リン酸アルミニウムは、リン酸化物源でもある。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
水酸化アルミウムのD50は、特に限定されないが、2〜100μmが好ましく、5〜60μmがより好ましい。
酸化アルミウムのD50は、特に限定されないが、2〜100μmが好ましく、5〜60μmがより好ましい。
リン酸アルミニウムのD50は、特に限定されないが、20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
アルミニウム源の合計量に対して、水酸化アルミニウムの割合は、Al換算で60〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。
[マグネシウム以外のアルカリ土類金属源]
ガラス原料組成物にマグネシウム以外のアルカリ土類金属源を含有させてもよい。
本発明においてマグネシウム以外のアルカリ土類金属とは、Ca、Ba、Srを指す。該アルカリ土類金属源は、溶融ガラスの製造工程中でCaO、BaO、SrOを形成する化合物である。該アルカリ土類金属源としては、該アルカリ土類金属の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、フッ化物、リン酸塩が挙げられる。これらは、1種でもよく2種以上を併用してもよい。アルカリ土類金属のリン酸塩は、リン酸化物源でもある。アルカリ土類金属源は、粉末が好ましい。アルカリ土類金属の硫酸塩、塩化物、フッ化物は、清澄剤として作用することがある。
また、ドロマイト等の複合炭酸塩や焼成ドロマイト等の複合酸化物も使用できる。
バリウム酸化物源としては、炭酸バリウム、硝酸バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウムが挙げられ、特に原料が入手しやすいことや環境面から炭酸バリウムが好ましい。
炭酸バリウムのD50は、特に限定されないが、2〜30μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。
バリウム酸化物源の合計量に対して、炭酸バリウムの割合は、BaO換算で70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好ましい。
[その他のガラス原料]
ガラス原料組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、ガラス原料として上記に挙げた化合物のほかに、公知のその他の化合物を含有することができる。
その他の化合物として、例えば、ホウ酸、酸化ホウ素等のホウ素源;酸化ジルコニウム、ジルコン、ケイ酸ジルコニウム等のジルコニウム源;硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムの硫黄源等が挙げられる。これらは、1種でもよく2種以上を併用してもよい。
強度が高く、均質な造粒体を得るためには、その他の化合物の含有量は、合計で20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
[ガラス原料組成物の組成]
ガラス原料組成物の組成は、ガラス溶融工程で揮散しやすい成分を除き、酸化物換算でほぼ目的とするガラス物品の組成と同じになるように調整される。
[ガラス組成]
上記したガラス原料組成物の造粒体から得られるガラスの組成として下記の組成(%はモル%である)が好ましい。下記の組成は、白色ガラスの組成として好適であり、特に化学強化処理するための白色ガラスの組成として好適である。
SiOを50〜74%、Bを0〜8%、Alを1〜8%、MgOを3〜18%、CaOを0〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜5%、NaOを5〜15%、Pを2〜10%含有し、
CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が1〜22%、
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROが5〜25%、
CaO含有量とROの比CaO/ROが0.7以下である。
上記以外の他の成分の合計は、9%以下であることが好ましく、6%以下がより好ましい。
SiOは、ガラスの網目構造を形成する基本的成分である。SiOの含有量が50%以上であると、ガラスとしての良好な耐候性、耐傷性、耐薬品性が得られやすい。好ましくは53%以上、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは57%以上である。一方、SiOの含有量が74%以下であると、ガラスの溶融温度が高すぎず、良好な耐スクラッチ性が得られやすい。好ましくは70%以下、より好ましくは68%以下、さらに好ましくは65%以下である。
は、必須成分ではないが、ガラスの溶融性の向上、ガラスの白色度の向上、熱膨張率の低下、耐候性の向上に寄与する。白色ガラスにおける白色度のむらが抑制されて、白色度の均質化が向上しやすい点で、Bの含有量は、8%以下が好ましく、7%以下が好ましく、さらに好ましくは6%以下である。ここで、白色度の向上や、白色度が高いというのは、ガラスの直線透過率が低いことを意味する(以下、同様)
Alは、ガラスの化学的耐久性を向上させる働きとともに、SiOと他の成分との分散安定性を著しく向上させ、ガラスの分相を均一にならしめる機能を付与させる効果があり、白色度の均質化向上のために、1%以上含有することが好ましい。より好ましくは2%以上であり、2.5%以上がさらに好ましく、3%以上が特に好ましい。Alの含有量が多すぎると、ガラスの溶解温度が高くなりすぎるとともに、分相が生じにくくなる。高い白色度が得られやすい点で、Alの含有量は、8%以下が好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下である。イオン交換により化学強化特性を向上させたい場合には3%以上が好ましい。
MgOは、P、NaOと相俟って分相を促進しやすくさせて白色度を向上させる働きをするが、MgOが多すぎると分相が起こりにくくなる。MgOの含有量は、18%以下が好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13.5%以下である。MgOの含有量の下限値は、白色度の向上効果が充分に得られやすい点で3%以上が好ましい。
CaO、SrOおよびBaOは、必須成分ではないが、白色度を大きくする効果を有する成分であり、高い白色度を得るためにいずれか1種以上を含有することが好ましい。
CaOを含有する場合、その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。また失透を防止するうえで、その含有量は、7%以下が好ましい。より好ましくは6%以下であり、より好ましくは5%以下である。ここで、失透とは、結晶の析出により透明性が失われる現象を意味する(以下、同様)。
SrOを含有する場合、その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上である。また、失透しないようにするため、その含有量は、10%以下が好ましい。より好ましくは8%以下である。
BaOを含有する場合、その含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは3%以上である。また、失透しないようにするため、その含有量は、12%以下が好ましい。より好ましくは10%以下、より好ましくは9%以下である。BaOは、白色化を促進する効果が他のアルカリ土類金属酸化物より大きい。
これら成分の含有量の合計CaO+SrO+BaOは、1〜22%であることが好ましい。高い白色度を得るために、これら成分の含有量の合計は、1%以上が好ましく、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。また、ガラスの安定性がよくなり、失透しないようにするため、該合計の含有量は、22%以下が好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下である。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROは、溶解温度が高くならないようにするため、また溶解粘性を下げるために、5%以上とするのが好ましい。より好ましくは10%以上、さらに好ましくは12%以上である。失透しないようにするために、その含有量の合計は、25%以下が好ましく、より好ましくは22%以下、さらに好ましくは20%以下である。
CaO含有量とROの比CaO/ROは、失透しないようにするために0.7以下が好ましく、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.5以下である。
ZrOは、必須ではないが、化学耐久性の向上に寄与する。白色度を低下させない点で、その含有量は、5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下である。イオン交換した際の圧縮応力を向上させるために、ZrOを含有する場合、その含有量は、0.5%以上であることが好ましい。
NaOの含有量は、ガラスの溶融性を良好に向上させるために5%以上が好ましい。好ましくは8%以上である。NaOの含有量は、耐候性を維持するため、また、白色度を維持するため、15%以下が好ましい。より好ましくは14%以下である。イオン交換処理による表面圧縮応力を高め、ガラスの強度を高めたい場合、NaOの含有量は6%以上が好ましい。より好ましくは7%以上、さらに好ましくは8%以上である。
は、分相によりガラスの白色化を著しく促進する基本成分であり、その含有量は2%以上が好ましく、より好ましくは3%以上である。揮散を抑制し、白色のムラを小さくし、ガラスの美観を高めるために、その含有量は、10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下である。
CaOを含有する場合、その含有量とP含有量の比CaO/Pは、失透を抑制するために1.5以下であることが好ましい。より好ましくは1.2以下である。
本発明によれば、ガラス原料組成物として、シリカに加えて、炭酸ナトリウムなどのナトリウム源と、リン酸水溶液などのリン酸化物源と、水酸化マグネシウムを用いることによって、良好な造粒性が得られ、ガラスの製造に好適な造粒体が得られる。例えば、炭酸ナトリウム、リン酸水溶液、水酸化マグネシウムが造粒中に反応することによって、リン酸水素2ナトリウム水和化合物、リン酸マグネシウム水和化合物、リン酸水素マグネシウム水和化合物が生成し、これらの生成物が造粒体中でバインダーとして機能し、造粒体の強度を発現するものと推定される。
[ガラス原料造粒体の粒子径]
造粒体の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、原料の飛散を防止する点では300μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましい。また速やかに溶融しやすい点では2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましい。
造粒体の大きさは、該造粒体を用いて溶融ガラスを製造する方法によって、上記の範囲内で好適な大きさを選択することが好ましい。
造粒体を、後述する気中溶融法によらない溶融法で溶融させる方法に用いる場合、造粒体の平均粒子径(D50)が1mm以上であると、溶融ガラス中における気泡の発生が抑えられやすい。
造粒体を気中溶融法で溶融させる場合、造粒体の平均粒子径(D50)は、1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましい。該造粒体の平均粒子径が1000μm以下であると、気中加熱装置内で溶融させる際に、造粒体内部まで充分にガラス化が進行するために好ましい。
<ガラス原料造粒体の製造方法>
本発明の造粒体の製造方法は、ガラス原料組成物を、水の存在下で造粒する造粒工程を有する。必要に応じて、さらに加熱して乾燥させる加熱乾燥工程を有することが好ましい。
ガラス原料組成物に水を供給する方法として、ガラス原料の一部を水溶液で添加する方法を用いてもよい。
造粒工程は、公知の造粒法を適宜用いて行うことができる。例えば転動造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、または圧縮成形して得られた成形体を解砕する方法が好適に用いられる。粒径が比較的小さい均質な造粒体を製造しやすい点で転動造粒法が好ましい。
[転動造粒法]
転動造粒法は、粉体に水や結合剤を加えた原料が入った容器を回転させることにより、粒子が壁面等を転動し、核となる粒子の周囲に他の粒子が付着して粒成長させる造粒法である。転動造粒の容器には、撹拌翼やチョッパーを設けることができる。撹拌翼やチョッパーにより成長し過ぎた造粒体が解砕されて、適切な大きさの造粒体が得られる。
転動造粒法としては、例えば、ガラス原料組成物のうちの粉体を転動造粒装置の容器内に入れ、容器を振動および/または回転させることにより原料粉末を混合撹拌させながら、該原料粉末に所定量の水を噴霧して造粒する方法が好ましい。
転動造粒装置の容器としては、皿状、円筒状、円錐状の回転容器や、振動型容器などを使用でき、特に限定されない。
転動造粒装置は、特に限定されないが、例えば、垂直方向に対して傾いた方向を回転軸として回転する容器と、容器内で回転軸を中心として容器と反対方向に回転する回転翼とを備えるものなどを用いることができる。このような転動造粒装置として、具体的には、アイリッヒ・インテンシブミキサ(商品名:日本アイリッヒ社製)などが挙げられる。
造粒装置へのガラス原料の投入順序は、特に限定されないが、リン酸水溶液を使用する場合、シリカなどの粉体原料を予備混合した後にリン酸水溶液および水を添加する方法が、局所的な凝集を防止できる点で好ましい。さらに、水酸化ナトリウムを使用する場合、シリカと水酸化アルミニウムを含む粉体を予備混合した後に、水酸化ナトリウム水溶液を添加する方法、または顆粒状の水酸化ナトリウムおよび水を添加する方法が、局所的な凝集を防止できる点で好ましい。
水の使用量は、多すぎると乾燥に長時間を要するが、少なすぎると造粒体の強度が不足するため、これらの不都合が生じないように設定することが好ましい。
例えば、ガラス原料組成物の固形分の合計100質量部に対して、造粒時に存在する水の量は、5〜25質量部が好ましく、6〜15質量部がより好ましい。
ガラス原料組成物の固形分に対する水の量は、不足すると強固な造粒体が得られ難く、過剰であると混合時に例えばミキサなどの装置の表面に付着しやすくなる。
造粒体の粒径は、撹拌の強度および撹拌時間によって制御できる。
転動造粒装置で造粒した後、得られた粒子を加熱乾燥させることが好ましい。公知の加熱乾燥方法で行うことができる。例えば、熱風乾燥機を用い、100℃〜200℃の温度で1時間〜12時間加熱する方法を使用できる。
<溶融ガラスの製造方法>
本発明の溶融ガラスの製造方法は、本発明で得られる造粒体を加熱して溶融ガラスとするガラス溶融工程(以下、溶融工程ともいう。)を有する。溶融工程は、るつぼ窯またはシーメンス型のガラス溶融炉等を用いて行ってもよく、電気溶融によって行ってもよい。いずれも公知の方法で実施できる。
[溶融工程]
溶融工程は、ガラス溶融炉内で既に溶融している溶融ガラスが存在する場合は、その液面上に造粒体を投入し、該造粒体が塊(バッチ山、batch pileともいう。)となったものをバーナー等によって加熱して、該塊の表面から融解を進行させ、徐々に溶融ガラスとする工程である。
または、溶融ガラス液面上に形成された原料層に造粒体を投入し、電気溶融等によって加熱された溶融ガラスと接する部分から融解を進行させ、徐々に溶融ガラスとする。
大型の装置を用いて大量のガラスを製造する場合などには、原料バッチとガラス板などを破砕して得られるカレットを混合して投入することが行われる。本発明により得られた造粒体は、強度が高いため、本発明により得られた造粒体からなる原料バッチとカレットを混合して投入する場合でも壊れにくいので好ましい。
[気中溶融法]
本発明の溶融ガラスの製造方法の一態様においては、本発明により得られた造粒体を気中溶融法によって溶融ガラス粒子とする工程と溶融ガラス粒子を集積して溶融ガラスとする工程を有することができる。
具体的には、まず造粒体を気中加熱装置の高温の気相雰囲気中に導入する。気中加熱装置は、公知のものを使用できる。本発明により得られた造粒体は、強度に優れるため、搬送時または導入時に、粒子同士や粒子と搬送路内壁等との衝突が生じても微粉発生が抑えられる。
次いで、気中加熱装置内で溶融した溶融ガラス粒子を集積してガラス融液を得て、ここから取り出した溶融ガラスを、次の成形工程に供する。溶融ガラス粒子を集積する方法としては、例えば、気相雰囲気中を自重で落下する溶融ガラス粒子を、気相雰囲気下部に設けた耐熱容器に受けて集積する方法が挙げられる。
<ガラス物品の製造方法>
本発明のガラス物品の製造方法は、本発明の溶融ガラスの製造方法を用いてガラス物品を製造する方法である。
まず、溶融工程で得た溶融ガラスを、成形工程で目的の形状に成形した後、必要に応じて徐冷工程にて徐冷する。その後、必要に応じて後加工工程において切断や研磨など、公知の方法で後加工を施すことによりガラス物品が得られる。
ガラス物品が板状である場合には、成形工程は、フロート法、ダウンドロー法、スリットダウンドロー法、フュージョン法、ロールアウト法、引き上げ法等の公知の方法で目的の形状に成形した後、必要に応じて徐冷することによりガラス物品が得られる。
白色のガラス物品を製造する場合は、徐冷工程の後、必要に応じて後加工工程を行い、ガラスを熱処理して分相させる分相工程を設ける。分相のための熱処理は、公知の方法を用いることができる。ガラスを分相するための熱処理の条件としては、典型的には、ガラス転移点または徐冷点より50〜400℃高い温度が好ましく、100℃〜300℃高い温度がより好ましい。ガラスを熱処理する時間は、1〜64時間が好ましく、2〜32時間がより好ましい。量産性の観点からは、24時間以下が好ましく、12時間以下がさらに好ましい。
なお、ガラスの溶融、均質化、成形、徐冷または形状加工等を行う工程において特段の分相させる処理を行うことなく、溶融、均質、成形、徐冷または形状加工のための熱処理によりガラスが分相されてもよい。この場合、ガラスを分相させる分相工程は、当該溶融等の工程に含まれるものとする。
ガラスが分相しているか否かは、SEM(scanning electron microscope、走査型電子顕微鏡)により判断することができる。すなわち、ガラスが分相している場合、SEMで観察すると、2つ以上の相に分かれていることが観察できる。
白色の化学強化されたガラス物品を製造する場合は、成形工程により目的の形状に加工した後、イオン交換処理を施す化学強化工程を設ける。なお、分相工程がある場合、化学強化工程は、分相工程の後に行なわれる。
イオン交換処理の方法としては、例えば加熱された硝酸カリウム(KNO)溶融塩にガラスを浸漬する等の公知の方法で、ガラス表層のNaイオンと溶融塩中のKイオンとをイオン交換する。
以下の例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
製造例1〜9は、実施例、製造例10〜12は、比較例である。
[ガラス組成]
ガラス原料造粒体から得ようとするガラスの組成として、表1に示す硝材A〜Eの5通りを用いた。表1のガラス組成は、酸化物基準のモル百分率表示(単位:モル%)である。
[ガラス原料]
硝材A〜Eにおいてそれぞれ用いられた原料を表2に示す。
Figure 0006777085
Figure 0006777085
<製造例1〜12:ガラス原料造粒体の製造>
[ガラス原料組成物の配合]
各例のガラス原料の配合を表3、4に示す。苛性ソーダ(水酸化ナトリウム水溶液)は、固形分の量をナトリウム源としてのNaOHの配合量とし、残りを水の配合量とした。リン酸水溶液も、固形分の量をリン酸化物源としてのリン酸(HPO)の配合量とし、残りを水の配合量とした。
表3、4に示す配合(固形分および水)および製造条件(造粒時間)でガラス原料造粒体を製造した。表5は、表3、4のガラス原料組成物の配合(単位:質量部)を全固形分量に対する質量百分率(単位:質量%)に換算したものである。
造粒機としては、アイリッヒ・インテンシブミキサ(製品名、日本アイリッヒ社製、型式:R02型、容量5L、ロータ:スター型)を用いた。
具体的には、造粒するガラス原料の全固形分量と水の合計量に対する水の割合が表に示す値となるように、液体原料以外に加水する水の量を算出し、該水と液体原料とを予め混合して混合液を調製する。
液体原料以外の原料を造粒機に投入し、パン回転数42rpm、ロータ回転数900rpmにて60秒間予備混合した。予備混合後、パン回転数42rpmを保持した状態で、水およびリン酸水溶液を投入した。その後、ロータ回転数を3000rpmにして、表に示す造粒時間で造粒した後、造粒機から取り出し、棚段式乾燥機にて加熱室の温度120℃の条件で15時間乾燥させ、ガラス原料造粒体を得た。
製造例2、5、7、8、11、12で得られた造粒体の写真を図1〜6に示す。各写真の左上に単位長さ1mmを表示した。
<評価>
[造粒体のD50(単位:μm)]
得られた造粒体について、自動篩分け測定器(セイシン企業社製、製品名;ロボットシフター、RPS−105)を用いて粒度分布および平均粒子径(D50)の測定を行った。なお、自動篩分け測定器で使用した8つの篩の目開きサイズは、106μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmである。このD50の測定結果を表3、4に示す。
[微粉率(単位:質量%)]
得られた造粒体の15gを、シェイカー(アズワン社製、製品名:AS−1N)で60分シェイクし(模擬破壊テスト)、その後自動篩分け測定器にて106μm未満の微粉の含有率(単位:質量%)、すなわち微粉率を測定した。結果を表3、4に示す。微粉率が低いほど造粒体の強度が高いことを意味する。
[造粒性]
表3、4に示す造粒時間で造粒しても、粒が成長せず、大半以上が粉状である場合を×(不良)、粒が成長して造粒体が得られた場合を○(良好)とする。
[造粒後の固化性]
前述の造粒によって得られた造粒体約2kgを密閉したビニール袋内に入れて、一時間保持後に開封し、造粒体同士が固着し分離不能に固化しているものを×(不良)、大半の造粒体が独立している、または、ビニール袋をゆする程度の衝撃で容易に分離可能な状態にあるものを○(良好)とした。
Figure 0006777085
表3中、製造例1においては固化が激しく起こりD50と微粉率の測定ができなかった。また、製造例10〜12においては所定の造粒体とならなかったのでD50と微粉率と固化性を測定しなかった。従って、これら製造例において「−」として示した。




Figure 0006777085
Figure 0006777085
表3、4、5の結果に示されるように、ガラス原料組成物の全固形分量に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量が3.6〜8.4質量%である製造例1〜9では、ガラス原料組成物の粒が成長して良好なガラス原料造粒体が得られた。一方で、水酸化マグネシウムが3.6質量%未満であると、造粒性が著しく低下し、造粒が困難であった。8.4質量%より多いと接着力が強くなりすぎるため急激に造粒体同士が凝集し、巨大な塊になりやすく、造粒体の粒径制御が事実上困難であった。
ガラス原料組成物の全固形分量に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量が3.6〜8.4質量%であり、かつリン酸(HPO)の含有量が4.7〜16.9質量%である製造例1〜9において良好な造粒性を有する造粒体が得られた。
一方、リン酸(HPO)の含有量が4.7〜16.9質量%の範囲であっても、水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量が3.6質量%未満である例10〜12では造粒が困難であった。
ガラス原料組成物の全固形分量に対して水酸化マグネシウム(Mg(OH))の含有量が4.1〜7.7質量%であり、かつ該全固形分量に対するリン酸化物(HPO)の含有量が7.5〜8.4質量%である製造例4〜8では、造粒後の固化も生じない、より良好な造粒体が得られた。また、造粒体の微粉率は、1%未満であり、十分な強度を持った造粒体が得られた。
本発明の製造方法により、少なくともSiO、P、およびNaOを含むガラスのガラス製造に用いられる好適なガラス原料造粒体を得ることができる。また、このガラス原料造粒体を溶融する際に、造粒体が崩壊して多くの微粉を生成することを防止するとともに、造粒体の固化も抑制することができる。したがって、本発明の製造方法で得られたガラス原料造粒体は、搬送が容易で高温気相雰囲気中に搬送または導入しても微粉が生成されにくく、気中溶融法によるガラス製造やその他のガラス溶解炉を用いるガラス製造において好適に用いることができる。
なお、2015年9月17日に出願された日本特許出願2015−183969号の明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。

Claims (11)

  1. 少なくともシリカと、ナトリウム酸化物源と、マグネシウム酸化物源と、リン酸化物源を含有するガラス原料組成物を水の存在下で造粒してガラス原料造粒体を製造する方法であって、
    前記ガラス原料組成物は、当該ガラス原料組成物の全固形分量に対して水酸化マグネシウムを4.0〜8.4質量%含む、ガラス原料造粒体の製造方法。
  2. 前記リン酸化物源としてリン酸水溶液を用い、前記ガラス原料組成物の全固形分量に対するリン酸の含有量が4.7〜16.9質量%である、請求項1に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
  3. 前記ガラス原料組成物の全固形分量に対する水酸化マグネシウムの含有量が4.1〜7.7質量%である、請求項1または2に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
  4. 前記ナトリウム酸化物源として炭酸ナトリウムおよび/または水酸化ナトリウムを用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
  5. 前記シリカの平均粒子径を表すD50が5〜350μmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
  6. ガラス原料造粒体の平均粒子径を表すD50が300μm〜2mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
  7. 前記ガラス原料造粒体から得られるガラスの組成が酸化物基準のモル百分率表示で、
    SiOの含有量が50〜74%、
    の含有量が0〜8%、
    Alの含有量が1〜8%、
    MgOの含有量が3〜18%、
    CaOの含有量が0〜7%、
    SrOの含有量が0〜10%、
    BaOの含有量が0〜12%、
    ZrOの含有量が0〜5%、
    NaOの含有量が5〜15%、
    の含有量が2〜10%、
    その他の成分の合計が9%以下であり、
    CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計が1〜22%、
    MgO、CaO、SrOおよびBaOの含有量の合計ROが5〜25%、
    CaO含有量とROの比CaO/ROが0.7以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス原料造粒体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法でガラス原料造粒体を製造する工程と、得られたガラス原料造粒体を加熱して溶融ガラスとするガラス溶融工程を有する、溶融ガラスの製造方法。
  9. 前記ガラス溶融工程が、溶融炉中の溶融ガラス液面上に造粒体を投入する工程を有する、請求項8に記載の溶融ガラスの製造方法。
  10. 前記ガラス溶融工程が、前記造粒体を、気相雰囲気中で溶融させて溶融ガラス粒子とする工程と、前記溶融ガラス粒子を集積して溶融ガラスとする工程とを含む、請求項9に記載の溶融ガラスの製造方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか一項に記載の溶融ガラスの製造方法を用いてガラス物品を製造する方法であって、
    前記ガラス溶融工程と、得られた溶融ガラスを成形する成形工程と、成形後のガラスを徐冷する徐冷工程とを有する、ガラス物品の製造方法。
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