JP6776984B2 - 永久磁石薄膜 - Google Patents

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Description

本発明は、永久磁石薄膜に関する。
正方晶R14B化合物を主相とするR−T−B系永久磁石(Rは一種以上の希土類元素、TはFeまたはFeおよびCoを必須とする一種以上の遷移金属元素、Bはホウ素)は優れた磁気特性を有することが知られており、1982年の発明(特許文献1)以来、代表的な高性能永久磁石である。特に、希土類元素RがNd、Pr、Dy、HoおよびTbから選択される一種以上であるR−T−B系永久磁石材料は異方性磁界Haが大きい永久磁石材料として広く用いられてきた。中でも希土類元素RをNdとしたNd−Fe−B系永久磁石は、飽和磁化Ms、残留磁化Mr、キュリー温度Tc、異方性磁界Haのバランスが良く、資源量、耐食性において他の希土類元素Rを用いたR−T−B系永久磁石よりも優れているために民生、産業、輸送機器などに広く用いられている。
近年、電子機器の小型・高性能化に伴い、民生、産業、輸送機器などに使用される永久磁石の小型化、薄型化が要求されている。しかし、主に粉末冶金法で製造されるR−T−B系永久磁石の小型化、薄型化には限界がある。そこで、成膜プロセスを用いたR−T−B系永久磁石薄膜の研究が活性化している。
最近では、厚さが0.50mmより小さいR−T−B系永久磁石薄膜を作製する方法として、スパッタリング等の物理的成膜法が提案されている。これは、R−T−B系永久磁石を真空又は減圧空間内で基板上に堆積させて熱処理を施すという方法であり、焼結法と比べて比較的簡単なプロセスでR−T−B系永久磁石薄膜を得ることができる。
特開昭59−46008号公報
Applied Physics Letters、90巻、092509頁、2007年
単一のR−T−B系主相粒子から、高い残留磁化を取り出すためには、この粒子における磁化容易軸方向、この粒子を磁化する方向、残留磁化を取り出す方向の3方向を、同一方向にする必要がある。R−T−B系主相粒子の集合体である永久磁石から、高い残留磁化を取り出すためには、上記条件に加え、主相粒子の磁化容易軸方向を配向させる必要がある。例えば、焼結によりR−T−B系永久磁石を作製する場合、非磁場中成形では等方性磁石を得ることができ、磁場中成形では配向磁石を得ることができる。
一方、R−T−B系永久磁石薄膜においては、薄膜の面直方向に主相粒子の磁化容易軸が配向しやすいという傾向がある。よって、薄膜の面直方向に残留磁化を取り出しやすい永久磁石薄膜を作製することは容易である。反面、薄膜の面内方向に残留磁化を取り出すことを目的とした永久磁石薄膜を作製したい場合に、R−T−B系主相粒子の磁化容易軸を薄膜の面内方向に配向させることは困難である。
非特許文献1では、R−T−B系主相粒子が面直方向に配向しないような熱処理を施し、等方性のR−T−B系永久磁石薄膜を作製することで、薄膜の面内方向に残留磁化を取り出しやすくしている。しかし、等方性のR−T−B系永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化は0.5T程度に留まっており、十分に高いとはいえない。
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであって、永久磁石薄膜の面内方向において高い残留磁化を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の永久磁石薄膜は
基板の表面に形成された磁性層からなる永久磁石薄膜であって、
前記基板の表面における算術平均粗さRaが0.50μm以上1000μm以下であり、
前記基板の表面における二乗平均平方根傾斜RΔqが0.50以上20以下であることを特徴とする。
本発明の永久磁石薄膜は、前記二乗平均平方根傾斜RΔqが0.50以上3.0以下であってもよい。
本発明の永久磁石薄膜は、前記基板の表面には複数の凸部が形成してあり、
前記凸部が前記基板の表面に沿って連続した形状であってもよい。
本発明の永久磁石薄膜は、前記凸部が前記基板の表面に沿って連続した直線形状となっており、かつ、各凸部の向きが一方向に揃っていてもよい。
本発明の永久磁石薄膜は、前記磁性層が主相粒子を有し、
前記主相粒子の磁化容易軸と前記基板の表面に垂直な面直方向とがなす角をθとする場合に、θの平均値が30°以上90°以下であってもよい。
前記永久磁石薄膜がR−T−B系永久磁石薄膜であって、
Rが一種以上の希土類元素、TがFeまたはFeおよびCoを必須とする一種以上の遷移金属元素、Bがホウ素であって、前記ホウ素の一部が炭素に置換されていてもよく、
R/Tが原子比率で0.18以上0.40以下であってもよい。
本件発明は、主相粒子の磁化容易軸方向と薄膜の面内方向とのなす角度を小さくすることによって、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化を高くすることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る永久磁石薄膜の断面の模式図である。 本発明の一実施形態に係る基板の断面の模式図である。 磁性粒子と磁化容易軸の関係を表す模式図である。 磁化容易軸と面直方向とのなす角θを表す模式図である。 二乗平均平方根傾斜RΔqが小さい永久磁石薄膜の断面の模式図である。 二乗平均平方根傾斜RΔqが大きい永久磁石薄膜の断面の模式図である。 本発明の一実施形態に係る基板の模式図である。 本発明の一実施形態に係る永久磁石薄膜の模式図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本実施形態に係る永久磁石薄膜の種類には特に限定はない。例えば、R14B構造をもつ粒子を主相粒子とする磁性層を含むR−T−B系永久磁石薄膜であってもよい。Rは1種以上の希土類元素、TはFeまたはFeおよびCoを必須とする1種以上の遷移金属元素、Bはホウ素である。ホウ素の一部を炭素に置換してもよい。
前記Rは、高い異方性磁界を有する永久磁石薄膜を得ることを考慮すると、Nd、Pr、Dy、HoおよびTbから選択される1種以上であることが好ましい。さらに、残留磁化に加えて原料価格および耐食性を向上させる観点から、Ndが特に好ましい。
前記Tについて、本実施形態においては、T全体を100at%として、Coの含有量を10.0at%以下としてもよい。CoはFeと同様のR14B相を形成する。Coを含有することでキュリー温度を向上させやすくなり、粒界相の耐食性を向上させやすくなる。
前記Bについて、炭素の含有量は、炭素の含有量はホウ素と炭素との合計を100at%として10.0at%以下とすることが好ましい。
上記の磁性層は、AlおよびCuから選択される1種または2種を、磁性層全体を100at%として0.01at%以上1.2at%の範囲で含有することができる。この範囲でAlおよびCuから選択される1種または2種を含有させることにより、得られる永久磁石薄膜の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。
また、上記の磁性層は、上記以外の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。
上記の磁性層は、原料に由来する不純物、又は製造時に混入する不純物としての他の成分を含んでもよい。
R−T−B系永久磁石薄膜の磁性層におけるR/Tが原子比率で0.18以上0.40以下であることが好ましい。R/Tが原子比率で0.18以上であると、軟磁性を持ち残留磁化を低下させるα−Feなどの析出を防止しやすくなる。一方、R/Tが原子比率で0.40以下であると、R14B構造を持つ主相粒子の体積比率が増加しやすくなり、残留磁化を向上させやすくなる。
なお、R14B構造をもつ主相粒子の磁化容易軸は、R14B構造のc軸である。
本実施形態に係る永久磁石薄膜は、図1に示すように、基板1、凸部1bおよび磁性層2からなる。また、凸部1bは、基板1の表面1aに形成されている。
磁性層2は、主相粒子および粒界相から構成される。粒界相の構成には特に制限はないが、例えばRリッチ相および/またはRFe相を含む。また、磁性層2の厚さには特に制限はなく、例えば10nm以上200000nm以下とすることができる。
Rリッチ相は、例えば、R相、RO相、R相、または、R−T相から構成される。R−T相とは、RおよびTからなり、主にアモルファスからなる相のことである。R−T相はアモルファスからなる相であるため、結晶からなる相とは異なり、組成比が一定ではない。
基板1は、ポリイミド基板、PEEK基板、Al基板、Si基板、ガラス基板、石英基板等を用いることができる。好ましくは、ポリイミド基板またはAl基板を用いる。
ここで、凸部1bは、図2〜図4、図7および図8に示すように基板1と同一の材質からなっていてもよく、図1、図5および図6に示すように異なる材質からなっていてもよい。
凸部1bが基板1と同一の材質からなる場合については、例えば、基板1をペーパー仕上げ、サンドブラスト、研削、液体ホーニング、放電型彫、電解研磨等の加工方法で表面加工することにより、図2に示すように基板1の表面1aに凸部1bを形成することができる。
凸部1bが基板1とは異なる材質からなる場合については、例えば基板1にいわゆる下地層を形成することにより凸部1bを形成することができる。下地層の材質には特に制限はないが、例えば、ポリイミド、PEEK、Al、Si等を用いることができる。下地層を形成する方法にも特に制限はない。
一般的には表面粗さには様々な種類が存在し、それぞれ異なる特徴を有する。本明細書において、単に表面粗さといえば、算術平均粗さRaおよび二乗平均平方根傾斜RΔqの2種類の表面粗さを指すものとする。これらの表面粗さの測定方法には特に限定はない。通常用いられる粗さ測定装置によって測定可能であり、また、断面観察によっても測定可能である。
「算術平均粗さRa」とは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向にy軸を取り、粗さ曲線を数式1で表した際に、数式2に示すように定義したものである。すなわち、粗さ曲線の中心線から粗さ曲線までの距離を平均化したものである。
Figure 0006776984
Figure 0006776984
「二乗平均平方根傾斜RΔq」とは、「算術平均粗さRa」と同様に粗さ曲線を数式1で表した際に、数式3のように定義したものである。すなわち傾斜の二乗平均の平方根を取ったものである。
Figure 0006776984
本明細書では、基板1および凸部1bを一体的に見た場合の表面粗さを「基板の表面における表面粗さ」とする。また、「基板の表面における算術平均粗さRa」、「基板の表面における二乗平均平方根傾斜RΔq」と表記することもある。
本実施形態に係る基板の表面における表面粗さは、算術平均粗さRaが0.50μm以上1000μm以下、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.50以上20以下である。好ましくは、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.50以上3.0以下である。上記の特徴を有する基板1および凸部1bの上に磁性層2を成膜することで、得られる永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化を向上させることができる。
本実施形態の永久磁石薄膜において、面内方向における残留磁化を向上させることができる理由は以下に示す理由であると考えている。
図3に示すように、本実施形態に係る磁性層2は、主相粒子2aを有する。主相粒子2aの形状には特に限定がない。また、例えば、主相粒子2aがR14B構造をもつ場合には、通常は最大径の方向にc軸が存在し、磁化容易軸方向4が存在する。
磁性層2に含まれる主相粒子2aの磁化容易軸方向4は、後述する等方化を施さなければ、図3に示すように、凸部1bのうち当該主相粒子2aが接する部分に垂直な方向に向きやすい傾向がある。ここで、図4に示すように磁化容易軸方向4と、基板1の表面1aに垂直な面直方向5とのなす角をθとする。本実施形態に係る永久磁石薄膜は、当該角度θを大きくすることにより、磁化容易軸を面内方向の成分と面直方向の成分とに分解した場合に面内方向の成分を大きくすることができる。そのため、面内方向における残留磁化が向上する。なお、図4では、主相粒子2aの表記を省略している。
本実施形態に係る永久磁石薄膜における角度θの平均値には特に制限はないが、30°以上90°以下であることが好ましく、36°以上90°以下であることがさらに好ましい。
磁性層2の形成方法には特に制限はないが、例えばスパッタリング、パルスレーザー堆積法(PLD:Pulsed Laser Deposition)などの方法により形成することができる。
磁性層2をスパッタリングにより成膜する場合、成膜温度(成膜時の基板温度)には特に制限はないが、400℃以上700℃以下とすることが好ましい。
成膜温度を400℃以上にすることで主相粒子2aが十分に形成され、面内方向における残留磁化を向上させることができる。一方、成膜温度を700℃以下とすることで、主相粒子が異常粒成長することを防止し、磁化容易軸方向が適切に制御することができる。
また、本実施形態に係る磁性層に対しては、成膜後に磁化容易軸方向を等方化させないようにすることが好ましい。例えば、成膜後に加熱を行うと、磁性層2の内部で主相粒子が成長し、基板の表面における表面粗さの影響を受けにくくなり、結果として磁化容易軸方向が等方化し、面内方向における残留磁化が向上しにくくなる。なお、磁化容易軸方向が等方化する場合には、角度θのバラツキが非常に大きくなる。
基板の表面における算術平均粗さRaが0.50μmより小さい場合には、非常に滑らかな基板の表面上に磁性層2を成膜することになるため、面内方向に磁化をかけた場合に主相粒子2aの磁化容易軸方向4が基板1の表面1aに垂直な面直方向5に向きやすくなる。したがって永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化が低下する。
図5に示すように、基板の表面における二乗平均平方根傾斜RΔqが小さく、0.50未満である場合には、主相粒子2が基板の表面粗さの影響を受けるものの、基板の表面が滑らかであるため、各主相粒子2の磁化容易軸方向4は、各主相粒子2が接する部分に垂直な方向に向きにくく、基板1の表面1aに垂直な面直方向に向いたままになりやすくなる。すなわち、θの平均値が小さくなりやすくなる。その結果、R−T−B系永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化が低下する。
図6に示すように、二乗平均平方根傾斜RΔqが大きい場合には、スパッタされた原子が大きな凸部1b同士の間に入り込みにくく、均一に磁性層2を形成しにくくなる。結果として、永久磁石薄膜の残留磁化が低下しやすくなる。
本実施形態に係る永久磁石薄膜は、磁性層の上下に基板との反応防止、および酸化防止のための保護層があってもよい。保護層の材質としては、例えばMo、Taおよび樹脂等が利用できる。
また、本実施形態に係る永久磁石薄膜は、基板1の凸部1bが、基板1の表面1aに沿って連続した形状であることが好ましい。さらに、図7に示すように、基板1の凸部1bが、基板1の表面1aに沿って連続した直線形状となっており、かつ、凸部1bの向きが一方向に揃っていることが特に好ましい。
図7に示す基板1および凸部1bに磁性層2を形成すると、主相粒子の磁化容易軸方向の面内成分方向が前記直線の方向と垂直な方向となる。このため、各主相粒子の磁化容易軸方向の面内成分同士も略平行になる。そのため、本R−T−B系永久磁石薄膜は、薄膜の特定の面内方向において特に高い残留磁化を得られる効果がある。
例えば、図8において残留磁化の測定時に磁界をかける方向7の例として7a〜7dを示した。この中で、前記直線の方向と垂直に近い方向、すなわち7bの方向に磁界をかけて残留磁化を測定した場合には、特に高い残留磁化となる。一方、前記直線の方向と水平に近い方向、すなわち7dの方向に磁界をかけて残留磁化を測定した場合には、特に低い残留磁化となる。
以下、本実施形態に係る永久磁石薄膜の製造方法および当該方法により製造された永久磁石薄膜の好適な例について説明する。
永久磁石薄膜の製造方法のうち、基板上に磁性層を形成する方法としては、蒸着法、PLD法などがあるが、以下の記載では蒸着法におけるスパッタリングによる製造方法の一例について説明する。
本実施形態においては、磁性層を形成する前に基板の表面における表面粗さが適切になるように加工等する必要がある。所望の表面粗さを得るためには、主に2通りの方法がある。1つは基板に直接加工を施す方法であり、もう1つは基板に下地層を形成し、その下地層に対し加工を施す方法である。
基板に直接加工を行う場合について詳細に説明する。用意した基板に対し、所望の表面粗さを得るための機械的または化学的な加工を行う。具体的な加工方法としては、例えば、ペーパー仕上げ、サンドブラスト、研削、液体ホーニング、放電型彫、電解研磨等が挙げられる。ペーパー仕上げまたはサンドブラストを用いることが好ましい。
次に、磁性層のスパッタリングを行う際には、まずターゲット材を準備する。以下、R14B構造をもつ粒子を主相粒子とする磁性層を形成する場合について説明する。この場合、ターゲット材としては、R単元素ターゲット材、T単元素ターゲット材、およびB単元素ターゲット材を準備してもよい。また、目的とする磁性層に含まれる各種元素の合金からなる合金ターゲット材を準備してもよい。他の元素、例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等を磁性層に適宜含有させたい場合も同様に、合金ターゲット材を用いる方法または単元素ターゲット材を用いる方法にて含有させることができる。一方で、O、N等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、ターゲット材中の不純物含有量は極力低減することが好ましい。
ターゲット材は、保管中に表面から酸化してしまう。特に、R単元素ターゲット材は酸化の速度が速い。そのため、ターゲット材の使用前には、スパッタリングを十分に行い、ターゲット材の清浄表面を露出させておくことが好ましい。
スパッタリングを行う成膜装置には特に制限はないが、O、N等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、10−6Pa以下、より好ましくは10−8Pa以下となるまで真空槽内が排気されていることが望ましい。高い真空状態を保つため、成膜室と繋がった基材導入室を有することが望ましい。また、上述した通り、ターゲット材の使用前には、スパッタリングを十分に行い、ターゲット材の清浄表面を出しておく必要があるため、成膜装置は、基板とターゲット材の間に真空状態で操作可能な遮蔽機構を有することが望ましい。
スパッタリングの方法にも特に制限はないが、O、N等の不純物元素を極力低減するという目的で、より低Ar雰囲気でスパッタリングが可能となるマグネトロン・スパッタリング法を用いることが好ましい。ここで、特にFeおよび/またはCoを含むターゲット材の厚みを適切に選択することが好ましい。Feおよび/またはCoを含むターゲット材の厚みを適切に選択しない場合には、ターゲット材に含まれるFeおよび/またはCoがマグネトロン・スパッタリングの漏れ磁束を大きく低減させ、スパッタリングを困難にすることがあるためである。スパッタリングの電源は、DC、RFどちらでも使用可能であり、ターゲット材に応じて適宜選択できる。
R、TおよびBをスパッタリングすることで磁性層を作製する。主相粒子の磁化容易軸方向は、成膜条件によって制御することが可能である。
スパッタリング中は、基板を400℃以上700℃以下に加熱し、結晶化させることが好ましい。ただし、これはRがNd、TがFeの場合である。スパッタリング中の基板の最適な温度はRおよび/またはTの種類によって変化する。
以上、本実施形態に係る永久磁石薄膜の好適な製造方法を説明した。次いで、本実施形態の永久磁石薄膜について、基板の表面における表面粗さの測定方法、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の評価方法、磁性層の組成分析方法および永久磁石薄膜の断面の観察方法(角度θの平均値の測定方法)について説明する。
基板の表面における表面粗さの測定は、磁性層を作成する直前に行う。一般的に用いられている表面粗さ測定機を使用し、基板の表面における算術平均粗さRaと二乗平均平方根傾斜RΔqの2種類の表面粗さについて測定する。
各永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化は振動試料型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetrometer)を用いて、基板方向に平行な方向に±4Tの磁界を加えて測定する。
磁性層の組成分析は、残留磁化の評価後に誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES:Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)を用いて行う。また、磁性層の主相粒子が所望の結晶構造からなっていることは、X線回折法(XRD:X−ray Diffraction)を用いて解析することで確認できる。
永久磁石薄膜の垂直方向(基板の表面に垂直な面直方向)の断面観察は、収束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)にて試料を加工後、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)を用いて行う。主相粒子の原子像から磁化容易軸の方向が判別できる。例えば、主相粒子がR14B構造を持つ場合には、最大径方向であるc軸方向が磁化容易軸方向となる。そして、角度θを測定できる。また、STEMのローレンツ顕微鏡法(Lorentz−STEM:Lorentz−Scanning Transmission Electron Microscope)を利用し、磁壁を観察することでも磁化容易軸方向は判別でき、角度θを測定できる。なお、θの平均値はそれぞれ異なる主相粒子について、最低5個以上、好ましくは20個以上、θを測定し、平均することによって算出する。なお、θの平均値から±20°の範囲内にある主相粒子の数が30%未満である場合には、角度θの平均値に関わらず、当該永久磁石薄膜は等方性が高いと判断する。
なお、永久磁石薄膜の垂直方向の断面観察から、R−T−B系磁性層の直下の層と、R−T−B系磁性層との境界線を画像処理により抜き出すことで、基板の表面の算術平均粗さRaと二乗平均平方根傾斜RΔqとを求めることも可能である。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、基板としてポリイミド基板を準備した。次に、基板に対して表面加工を行うため、基板に対してペーパー仕上げを行い、多数の凸部を形成した。ペーパー仕上げは、粒度♯30のサンドペーパーを用いて、ペーパーベルト装置により合計280秒間行った。なお、凸部の向きがランダムな形状となるようにするため、20秒ごとにペーパー仕上げの方向を変化させ、表面加工方法の方向をランダムとした。
次に、ペーパー仕上げを行った基板の表面における表面粗さ(算術平均粗さRaおよび二乗平均平方根傾斜RΔq)を測定した。表面粗さの測定は表面粗さ測定装置(オリンパス株式会社:OLS4000)により行った。なお、基板上の任意の10点について表面粗さの測定を行い、平均することで基板の表面における表面粗さを算出した。
次に、ペーパー仕上げを行った基板を真空チャンバー内に導入した。そして、スパッタリングによりNd17.6Fe71.610.7の組成からなる磁性層を基板上に成膜することで永久磁石薄膜を製造した。スパッタリングは、複数の単元素ターゲット材を準備し、同時にスパッタリングする方法で行った。スパッタリング時の温度(基板温度)は400℃とした。また、磁性層の膜厚は500nmとした。磁性層を基板上に成膜したのちに、200℃に冷却した。その後、スパッタリングにより、保護膜としてMoを厚さ20nmで成膜した。その後、真空中にて室温まで冷却した後に真空チャンバーから取り出した。
次に、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化Mr//[T]を測定した。面内方向における残留磁化の測定は振動試料型磁力計(VSM)(株式会社玉川製作所:TM−VSM311483−HGC型)を用いて行った。具体的には、基板の表面に平行な方向に±4Tの磁界を加えて残留磁化を測定した。永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化は、基板の表面に垂直な面直方向を軸にして45°間隔で磁界を加える方向を回転させながら4回測定した。残留磁化の測定結果は表2に記載した。表2では、残留磁化の数値が大きい順に並び替えて記載している。残留磁化の最大値が0.55T以上である場合に、永久磁石薄膜の面内方向に良好な残留磁化を有する永久磁石薄膜であるとした。また、残留磁化の最大値が0.60T以上である場合に、さらに良好な残留磁化を有する永久磁石薄膜であるとした。残留磁化の最大値が0.70以上である場合により良好な残留磁化を有する永久磁石薄膜であるとし、残留磁化の最大値が0.80T以上である場合に、さらに良好な残留磁化を有する永久磁石薄膜であるとし、残留磁化の最大値が1.00T以上である場合に、最も良好な残留磁化を有する永久磁石薄膜であるとした。
磁気特性の測定後に、ICP−AES(島津製作所:ICPS−8100)にて永久磁石薄膜の磁性層の組成を確認した。そして、磁性層の組成と仕込み組成との差が±1at%以内であることを確認した。さらに、XRDにて永久磁石薄膜の磁性層の主相粒子がR14B構造であることを確認した。
次に、本永久磁石薄膜について、FIBを用いて試料を加工し、STEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ:走査透過電子顕微鏡 HD−2700)を用いて基板の表面に垂直な方向の断面観察を行った。磁性膜に含まれる主相粒子の原子像からc軸方向、すなわち磁化容易軸方向を判別した。次に、主相粒子の磁化容易軸方向と、面直方向とがなす角度θを算出した。任意に選択した20個の主相粒子について主相粒子の磁化容易軸方向と、面直方向とがなす角度θを測定し、θの平均値を算出した。ただし、各主相粒子の磁化容易軸方向と、面直方向とがなす角度θのばらつきが大きい場合には、算出されるθの平均値の大小に関わらず、当該永久磁石薄膜全体として、等方性が高いと考えられる。そこで、算出されたθの平均値に対して±20°の範囲内のθを有する主相粒子が20個中6個未満である場合には、当該永久磁石薄膜の等方性が高いと判断する。ただし、実際に等方性が高いと判断された実施例および比較例は存在しなかった。
[実施例2,2a,3,3a,3b]
仕込み組成を表1に示す組成に変化させた点以外は、実施例1と同様に永久磁石薄膜を作製した。結果を表2に示す。
[実施例4,4a,5,比較例3]
ペーパー仕上げに用いるサンドペーパーの粒度を表1に示す粒度に変化させた点以外は、実施例1と同様に永久磁石薄膜を作製した。結果を表2に示す。
[実施例6,6a,7,7a,7b、比較例4]
ペーパー仕上げの合計時間を表1に示す通りにする以外は、実施例1と同様に永久磁石薄膜を作製した。結果を表2に示す。なお、合計時間が20の倍数秒ではない場合には、最後のペーパー仕上げ時間を短縮して合計時間を表1に記載の時間とした。
[実施例8,9,10]
ペーパー仕上げの代わりにサンドブラストを行った点以外は、実施例1と同様に永久磁石薄膜を作製した。サンドブラストは、(新東工業株式会社:MY−30AP)により行った。サンドブラストにおける研磨材料は、ガラスビーズの#400(実施例8)、#80(実施例9)、および、#16(実施例10)を使用した。圧力0.6MPa程度の低圧ブラストで加工した後、純水洗浄を行った。結果を表2に示す。なお、サンドブラストを行う場合には、必然的に表面加工の方向がランダムとなり、凸部の向きがランダムとなる。
[実施例11,12]
基板をポリイミド基板からAl基板に変更した。スパッタリング時の基板温度も表1に示す通りに変更した。その他の条件は実施例1と同様として永久磁石薄膜を作製した。結果を表2に示す。
[実施例13]
仕込み組成のRをNdからPrに変更した点以外は、実施例1と同様として永久磁石薄膜を作製した。結果を表2に示す。
[実施例14]
ペーパー仕上げについて、実施例1のようにペーパー仕上げの方向を20秒ごとに方向を変え、表面加工の方向をランダムとするのではなく、280秒間、単一の方向にペーパー仕上げを行い、単一方向のみに表面加工を行った。その他の条件は実施例1と同様として永久磁石薄膜を作製した。結果を表2に示す。なお、基板の表面における表面粗さの測定の際には、前記単一の方向と直角になる方向で、任意の10点の表面粗さを測定し、平均した。実施例14を観察すると、上記の実施例1〜13および比較例と異なり、図8に示すように基板の表面に沿って連続した直線形状となっており、かつ、各凸部の向きが単一方向に揃っていた。
表1には、基板の種類、表面加工条件および磁性層スパッタリング条件を示した。表面加工条件は、加工方法、粒度、加工時間および加工方向について記した。スパッタリング条件は仕込み組成、R/Tおよび基板温度について記した。
表2には、基板の表面粗さ、主相粒子の磁化容易軸方向と永久磁石薄膜の面直方向とがなす角θの平均値[°]、および、面内方向における残留磁化Mr//[T]の測定結果を示した。
Figure 0006776984
Figure 0006776984
実施例1では、基板の表面における算術平均粗さRaおよび二乗平均平方根傾斜RΔqが所定の範囲内であった。その結果、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値が好適な値となった。これは、基板の表面における算術平均粗さRa、二乗平均平方根傾斜RΔqが適切な値であり、主相粒子の磁化容易軸方向が基板の面内方向に好適に傾いているためであると考えられる。
また、仕込み組成におけるR/T=0.19とした実施例2、および、R/T=0.18とした実施例2aでは、残留磁化の最大値は0.60T以上の好適な値となったが、仕込み組成におけるR/T=0.27とした実施例1の残留磁化の最大値より低かった。仕込み組成におけるR/T=0.39とした実施例3およびR/T=0.40とした実施例3aでは、残留磁化の最大値は0.61T以上となり好適な値となったが、実施例1の残留磁化の最大値より低かった。仕込み組成におけるR/T=0.41とした実施例3bでは、残留磁化の最大値は0.58Tとなり、0.55Tよりは高かったが0.60T未満となった。
仕込み組成におけるR/Tが小さいほど、軟磁性を持つα−Feなどが析出しやすく、残留磁化が低下しやすいと考えられる。また、仕込み組成におけるR/Tが大きいほど、磁性層における主相粒子の体積比率が低下しやすく、残留磁化が低下しやすいと考えられる。
また、ペーパー仕上げに用いられるサンドペーパーの粒度を変化させることで、基板の表面における表面粗さのうちの算術平均粗さRaを制御できたと考えられる。算術平均粗さRaが0.55μmである実施例4、および、算術平均粗さRaが0.50μmである実施例4aでは、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.60T以上の好適な値となったが、算術平均粗さRaが1.4μmである実施例1の残留磁化の最大値より低かった。算術平均粗さRaが0.42μmである比較例3では、残留磁化の最大値が急激に低下した。算術平均粗さRaが3.5μmである実施例5では、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化は実施例1と同等程度に高くなった。
算術平均粗さRaが小さいほど、滑らかな基板の表面上に磁性層が成膜されることになる。この場合には、基板の表面に平行な方向に磁界をかけたときに、主相粒子の磁化容易軸が永久磁石薄膜の面直方向に向きやすくなると考えられる。そのため、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値が低下したと考えられる。
また、基板加工時間を変化させることによって、基板の表面における表面の二乗平均平方根傾斜RΔqを制御できたと考えられる。基板の表面の二乗平均平方根傾斜RΔqが0.52である実施例6および0.50である実施例6aでは、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.60T以上の好適な値となったが、二乗平均平方根傾斜RΔqが0.78である実施例1における残留磁化の最大値より低かった。二乗平均平方根傾斜RΔqが0.36である比較例4では、残留磁化の最大値が急激に低下した。
基板の表面における二乗平均平方根傾斜RΔqが小さいほど、滑らかな基板の表面上に磁性層が成膜されることになる。この場合には、基板の表面に平行な方向に磁界をかけたときに、主相粒子の磁化容易軸が永久磁石薄膜の面直方向に向きやすくなると考えられる。そのため、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値が低下したと考えられる。
基板の表面の二乗平均平方根傾斜RΔqが2.7の実施例7、および、RΔqが3.0の実施例7aでは、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.60T以上の好適な値となったが、RΔqが0.78である実施例1における残留磁化の最大値より低かった。基板の表面の二乗平均平方根傾斜RΔqが3.3である実施例7bでは、残留磁化の最大値は0.58Tであり、0.55T以上であったが、0.60T未満となった。
基板の表面の二乗平均平方根傾斜RΔqが大きいほど、磁性膜が凸部の表面に均一に形成されにくくなり、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値が低下しやすくなると考えられる。
基板加工の方法として、ペーパー仕上げに代えてサンドブラストを採用した実施例8では、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.73Tであり、ペーパー仕上げを用いた実施例1と同等程度に優れた値になった。基板の表面の加工方法が異なっていても、基板の表面の算術平均粗さRaおよび二乗平均平方根傾斜RΔqが適切な値であり、主相粒子の磁化容易軸方向が永久磁石薄膜の面内方向に傾いているためであると考えられる。
低圧ブラストに使用するガラスビーズの粒度を変化させた点以外は同様の条件で実施例9および10の永久磁石薄膜を作製した。ガラスビーズの粒度を変化させることで基板の表面の算術平均粗さRaが大きくなったが、少なくともRa=33μmまでは、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は大きく変化しなかった。
基板をポリイミド基板からAl基板に変更した実施例11では、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.74Tであり、ポリイミド基板を用いた実施例1と同等程度に優れた値となった。異なる基板であっても、基板の表面における算術平均粗さRa、二乗平均平方根傾斜RΔqが適切な値である場合には、主相粒子の磁化容易軸方向が永久磁石薄膜の面内方向に傾いていると考えられる。
成膜温度を400℃から650℃に変更した点以外は実施例11と同条件とした実施例12では、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.74Tであり、実施例11と同等程度に優れた値となった。実施例12でも実施例11と同様に成膜時の基板温度が適正な範囲にあったため、主相粒子の磁化容易軸方向が永久磁石薄膜の面内方向に傾いていると考えられる。
仕込み組成のRをPrとする点以外は実施例1と同様にして実施例13の永久磁石薄膜を作製した。永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化の最大値は0.69Tであり、好ましい値となった。
実施例14では、単一方向のみにペーパー仕上げを行ったことで、図8に記載されているように、凸部が基板の表面に沿って連続した直線形状となり、かつ、各凸部の向きが一方向に揃っている形状となった。そして、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化は、他の実施例および比較例と異なり、磁界をかける方向により大きく変化した。そして、残留磁化の最大値が1.03Tとなり、特に高い残留磁化が得られた。主相粒子の磁化容易軸方向の薄膜面内成分方向は、該直線の方向と垂直をなす薄膜の面内方向になるため、磁化容易軸方向の薄膜面内成分同士も略平行になる。そのため、薄膜の特定の面内方向において特に高い残留磁化が得られたと考えられる。
[実施例21〜39,比較例23および24]
実施例21〜39,比較例23および24は、実施例14と同様に単一方向のみにペーパー仕上げを行い、その他の条件を適宜制御した実施例および比較例である。結果を表3および表4に記載する。
Figure 0006776984
Figure 0006776984
表3および表4より、実施例14と同様に単一方向のみにペーパー仕上げを行った各実施例は、永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化が磁界をかける方向により大きく変化した。そして、各実施例において、表1および表2の同等な条件の実施例と比較して、残留磁化の最大値が高い永久磁石薄膜が得られた。
本発明に係る永久磁石薄膜は、面内方向における残留磁化を高くすることができる。特に、MEMSデバイスの分野においては、厚さが0.50mmより小さい永久磁石薄膜を作製し、その永久磁石薄膜の面内方向における残留磁化を高くする必要があるため、利用可能性が高い。
1 基板
1a 基板の表面
1b 凸部
2 磁性層
2a (R−T−B系)主相粒子
4 磁化容易軸方向
5 面直方向
7 磁界をかける方向

Claims (6)

  1. 基板の表面に形成された磁性層からなる永久磁石薄膜であって、
    前記基板の表面における算術平均粗さRaが0.50μm以上1000μm以下であり、
    前記基板の表面における二乗平均平方根傾斜RΔqが0.50以上20以下であることを特徴とする永久磁石薄膜。
  2. 前記二乗平均平方根傾斜RΔqが0.50以上3.0以下である請求項1に記載の永久磁石薄膜。
  3. 前記基板の表面には複数の凸部が形成してあり、
    前記凸部が前記基板の表面に沿って連続した形状である請求項1または2に記載の永久磁石薄膜。
  4. 前記凸部が前記基板の表面に沿って連続した直線形状となっており、かつ、各凸部の向きが一方向に揃っている請求項3に記載の永久磁石薄膜。
  5. 前記磁性層が主相粒子を有し、
    前記主相粒子の磁化容易軸と前記基板の表面に垂直な面直方向とがなす角をθとする場合に、θの平均値が30°以上90°以下である請求項1〜4のいずれかに記載の永久磁石薄膜。
  6. 前記永久磁石薄膜がR−T−B系永久磁石薄膜であって、
    Rが一種以上の希土類元素、TがFeまたはFeおよびCoを必須とする一種以上の遷移金属元素、Bがホウ素であって、前記ホウ素の一部が炭素に置換されていてもよく、
    R/Tが原子比率で0.18以上0.40以下である請求項1〜5のいずれかに記載の永久磁石薄膜。
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