JP2017098538A - Mn−X系磁性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒径が20μm以下で高い磁気異方性、高い保磁力、高い飽和磁化またはこれらのうち二つ以上を組み合わせた特性を有するMn−X系磁性材料を提供する。【解決手段】粒径が20μm以下の粒子から構成される2元系または、3元系または、4元系または、5元系のMn-X系磁性材料(XはAl、Bi、Ga、Rhのうち少なくとも一種類の元素)であって、前記粒子は、各構成元素が一様に混ざり合っていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、National Science Foundationによって授与された助成第CMMI−1229049号の政府支援によって成された。
本発明は、一般に、磁性材料に関し、特に飽和磁化および保磁力の改善されたマンガン(Mn)系磁性材料に関するものである。
磁性材料は、磁気記録媒体、トンネル磁気抵抗素子、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ、微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro Mechanical Systems)など広範な分野のデバイスとして用いられている。近年においては、これらの微小デバイスのさらなる微細化、高性能化が要求されており、微小サイズの磁性材料の磁気特性の向上が望まれている。
微小サイズの磁性材料では、磁気特性が発現するメカニズムがバルクの磁性材料と異なることによって、磁気特性が大きく変化する場合がある。そのため、微小デバイス向けの磁性材料の開発では、バルクに近い飽和磁化、磁気異方性を持つ薄膜、もしくは微粒子を作製することが1つの目標とされている。
希土類元素を含む磁性材料は一般的に大きな磁気異方性を示すことが知られており、高性能磁性材料の一例はネオジム化合物(NdFe14B)を含む磁性材料である。(特許文献1参照)
しかしながら、希土類元素は高価であるとともに供給が不安定になるおそれがあるので、できる限り希土類元素の使用量を抑制したいという要請がある。そのため希土類元素を用いずに大きな磁気異方性を示す磁性材料として、Mn化合物の磁性材料の研究が進められている。(特許文献2参照)
微小サイズのMn化合物の磁性材料を作成する際、高い保磁力を得るために、直径50nm程度のMn化合物の磁性材料を幅50nm程度の非磁性材料で包みこみ、磁性材料同士を互いに離間する構造が提案されている。(非特許文献1参照)
特開2009−70857号公報 国際公開第2015/065507号パンフレット
JOURNAL OF APPLIED PHYSICS 115, 17A737 (2014)
しかし、Mn化合物の磁性材料を非磁性材料で包み込み、磁性材料同士を互いに離間する構造とした場合、Mn化合物の磁性材料の全体に対する体積比率が60%程度まで減少し、それに対応して全体の飽和磁化および磁気異方性がバルクに対して大きく低下するという問題があった。それゆえに、飽和磁化、保磁力および/または磁気異方性が高く、Mnを含む磁性材料が求められている。以下に示す磁性材料は上記の要求およびその他の要求に応えるものである。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、粒径が20μm以下で高い磁気異方性、高い保磁力、高い飽和磁化、またはこれらのうち二つ以上を組み合わせた特性を有するMn−X系磁性材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決する本発明は、粒径が20μm以下の粒子から構成される2元系または、3元系または、4元系または、5元系のMn−X(XはAl、Bi、Ga、Rhのうち少なくとも一種類の元素)系磁性材料であって、前記粒子は各構成元素が一様に混ざり合っていることを特徴とするMn-X系磁性材料である。
上記特徴の本発明によれば、各構成元素が一様に混ざり合っているため、非磁性材料となる領域が極めて少なくなり、磁性材料の全体に対する体積比率が上昇し、高い飽和磁化を得ることが可能となる。
なお、本発明において、「各構成元素が一様に混ざり合っている」とは、本発明の材料内の任意の点について、分解能5nm以上の優れた分解能でエネルギー分散X線分光法(EDS:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)分析を行った際に、各構成元素の強度比の場所ごとのばらつきが平均値のプラスマイナス20%以内におさまっていることを意味する。
なお、本発明における磁性材料は、単一の粒子の使用に限定されない。本発明における磁性材料の粒子を複数個用いることにより、より大きな磁化を得ることが可能である。また、本発明における磁性材料は、単一種類の粒子の使用に限定されない。本発明における磁性材料の粒子を複数種類用いることにより、より大きな磁化を得ることも可能である。
さらに、本発明の磁性材料は、低温相(LTP:Low Temperature Phase)のMnBiを含む粒子から構成されることが好ましい。
上記特徴の本発明によれば、より広範な温度域において、大きな磁気異方性を利用することが可能である。
なお、本発明において、「低温相のMnBi」とは、平衡状態において340℃以下で安定相となるMn50Bi50を意味する。バルクのMn50Bi50の一軸磁気異方性定数は、室温で1.5×10erg/cc以上であり、室温から200℃までは温度と共に上昇することが報告されている。
さらに、本発明の磁性材料は、単磁区磁化挙動を示す粒子から構成されることが好ましい。
上記の特徴を有する本発明によれば、特定の方向に対して、大きな磁気異方性を利用することが可能である。
さらに、本発明の磁性材料は、粒子の厚みが400nm以上であることが好ましい。
上記の特徴を有する本発明によれば、より大きな磁化を利用することが可能である。
さらに、本発明の磁性材料は、0℃以上、127℃以下の温度範囲における一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以上、0℃以上、127℃以下の温度範囲における保磁力が13kOe以上、室温における飽和磁化が400emu/cc以上、またはこれらのうち二つ以上を組み合わせた特性を有することができる。なお、本明細書における「0.9×10erg/cc以上」とは、小数点2桁目を四捨五入した値が0.9×10以上であるという意味である。
本発明によれば、希土類元素を用いず、かつ、粒径が20μm以下でも高い飽和磁化、高い磁気異方性、および/または高い保磁力を有するMn−X系磁性材料の提供が可能となる。
実施例1の表面のSEM像である。 (a)は実施例1の断面のSTEM観察により得られるHAADF像である。(b)および(c)は実施例1の断面のEDS分析結果である。 実施例1の最大印加磁場を90kOeとした際のヒステリシスループを示す図である。 実施例1、2、3および比較例2の保磁力と温度の関係を示す図である。 実施例1、2、3および比較例2の飽和磁化と温度の関係を示す図である。 実施例1、2および比較例2の一軸磁気異方性定数と温度の関係を示す図である。 実施例2の表面のSEM像である。 (a)は実施例2の断面のSTEM観察により得られるHAADF像である。(b)および(c)は実施例2の断面のEDS分析結果である。 実施例3の表面のSEM像である。 (a)は実施例3の断面のSTEM観察により得られるHAADF像である。(b)および(c)は実施例3の断面のEDS分析結果である。 実施例4の表面の光学顕微鏡観察像である。 比較例1の表面の光学顕微鏡観察像である。 (a)は比較例2の断面のSTEM観察により得られるHAADF像である。(b)および(c)は比較例2の断面のEDS分析結果である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。さらに、本実施形態はその趣旨を逸脱しない限り、さまざまな変更が可能である。
希土類元素を含まない磁性材料の一例は、マンガン(Mn)系材料である。マンガンは希土類元素と比較して豊富に存在しており、原料価格および供給の点で、希土類元素より優れている。Mn−Al、Mn−Bi、Mn−Ga、Mn−Rhは室温で強磁性を示すことが知られている。Mn−Al、Mn−Bi、Mn−Gaは希土類元素を含まないにもかかわらず、大きな磁気異方性を示す。したがって、Mn系材料は磁石材料として期待できる。本実施形態におけるMn−X系磁性材料の好ましい組み合わせとしては、Mn−Al、Mn−Bi、Mn−Ga、Mn−Rhなどの2元系化合物、Mn−Al−Bi、Mn−Al−Ga、Mn−Al−Rh、Mn−Bi−Ga、Mn−Bi−Rh、Mn−Ga−Rhなどの3元系化合物、Mn−Al−Bi−Ga、Mn−Al−Bi−Rh、Mn−Al−Ga−Rh、Mn−Bi−Ga−Rhなどの4元系化合物、およびMn−Al−Bi−Ga−Rhなどの5元系化合物がある。なお、本発明の実施形態による磁性材料は、前述の元素以外の元素を含有していても良い。
本実施形態の磁性材料は、粒径が20μm以下の粒子によって構成されていること、および、各構成元素が一様に混ざり合っていることを特徴とする。例えば、粒径は20μm、15μm、10μm、5μmまたは1μmであってよく、前記した特定の値を粒径範囲の上限または下限とすることができる。他の例では、粒径の下限を1μmとすることができる。基板面に対して平行な面内における粒径を20μm以下とすることで、13.1kOe以上の保磁力と460emu/cc以上の飽和磁化を得ることができる。
本発明における粒径は、光学顕微鏡もしくは走査型電子顕微鏡(SEM)による表面観察を行い、所定数の粒子において各粒子の基板面に対して平行な面内に対する長径の長さの平均値とし、長径は各粒子に外接する「面積が最小となる長方形」の長辺の長さとする。所定数としては20個以上であることが好ましい。
本発明における粒子の厚みは、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)による段差測定を行い、所定数の粒子において各粒子の基板面に対する垂直方向厚みで最大となる厚みの平均値とする。所定数としては10個以上であることが好ましい。
本実施形態の磁性材料は、より広範な温度域において、大きな磁気異方性を利用することが可能である観点から、低温相のMnBiを含む粒子から構成されることが好ましい。
本実施形態の磁性材料は、特定の方向に対して、大きな磁気異方性を利用することが可能である観点から、単磁区磁化挙動を示す粒子から構成されることが好ましい。
なお、本発明において単磁区磁化挙動を示す粒子とは、粒子内に磁壁が存在せず、磁化回転のみによって、磁化過程が進行する粒子を示す。磁壁の有無に関しては、磁気力顕微鏡(MFM:Magnetic Force Microscope)やローレンツ電子顕微鏡(Lorentz electron microscopy)などによって、確認可能である。
本実施形態の磁性材料は、より大きな磁化を得られる観点から、粒子の厚みが400nm以上である粒子から構成されることが好ましい。
本発明の磁性材料は、より高性能の磁性材料が求められていることを鑑み、0℃以上、127℃以下の温度範囲において一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以上、0℃以上、127℃以下の温度範囲において保磁力が13kOe以上、室温における飽和磁化が400emu/cc以上、またはこれらのうち二つ以上を組み合わせた特性を有することが好ましく、上記の三つの特性を全て有することが特に好ましい。
(磁性材料の作製方法)
本発明の実施形態による磁性材料は、以下のように作製される。原料として、まずターゲット材を準備する。所望の組成を有するMn−X合金ターゲット材をターゲット材として使用する。ターゲット材の組成とスパッタリングで作製した膜の組成は、各元素のスパッタリング率が異なるためずれる場合があり、ターゲット材の組成を調整することが好ましい。あるいは、MnおよびXの単元素ターゲット材を準備し、適切な割合でスパッタリングすることもできる。また、合金ターゲットと単元素ターゲットを組み合わせて、適切な割合でスパッタリングすることもできる。酸素は磁性材料の保磁力を低下させるので、極力低減することが好ましい。ターゲット材中の酸素含有量を極力極力低減することが好ましい。
ターゲット材は、保管中に表面から酸化する。そのため、これらのターゲット材の使用前には、スパッタリングを十分に行い、ターゲット材の清浄表面を出しておくことが好ましい。
スパッタリングにて成膜を行う基板は、各種の金属、ガラス、シリコン、セラミックスなどのどれでも構成することができる。例えば、基板を溶融シリカで構成することができる。また、例えば、基板をMgOで構成することができる。
スパッタリングを行う成膜装置の真空槽は、例えば、酸素等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、好ましくは10−6Torr以下、より好ましくは10−8Torr以下となるまで排気される。ターゲット材の使用の前にはスパッタリングを十分に行い、ターゲット材の清浄表面を出しておく必要がある。そのため、成膜装置は、基板とターゲット材の間に真空状態で操作可能な遮蔽機構を有することが好ましい。スパッタリングの方法は、マグネトロン・スパッタリング法を用いることが可能である。磁性材料と雰囲気ガスとの反応による不純物の生成を防止するために、雰囲気ガスに用いる元素としてアルゴンなどの不活性元素を用いる。スパッタリング電源は、例えばDCまたはRFが使用可能であり、ターゲット材に応じて適宜選択できる。
上述したターゲット材および基板を用いて、成膜を行う。成膜方法の例としては、複数のターゲットを用いて同時に成膜する同時スパッタ法、各ターゲットを順番に用いて成膜する多層膜法、組成を調整した単一の合金ターゲットを用いて成膜する単層成膜法などを使用できる。
本磁性材料を作製する際に成膜する膜厚は、例えばスパッタリングのパワー、時間、および/またはアルゴン雰囲気圧力を調整することで任意の厚みに設定することができる。厚みの調整を行うには、あらかじめ成膜速度を測定しておく必要がある。成膜速度の測定は、例えば接触式段差計法、X線反射率法、および/または偏光解析法などが一般的に行われる。また、成膜速度および/または膜厚を観察するために成膜装置内に水晶振動子膜厚計等を備え付けて用いることも可能である。
スパッタリング中は、基板温度を室温に保ち、成膜後に例えば焼鈍処理を行うことによって膜を結晶化させることが可能である。焼鈍処理中に、MnとBiとを結晶化させ、結晶化したMnBiの分断および凝集を進行させることが可能である。例えば、膜に対して400〜600℃の範囲で、適切な熱処理を行うことが可能である。一方、スパッタリング中に、基板を加熱し、成膜と結晶化とを同時に行うことも可能である。基板の加熱は、酸化を極力低減するため、例えば真空中もしくは不活性ガス中で行うことが好ましい。
作製されたMn−X系磁性材料の上部には、Mn−X系磁性材料の酸化を防ぐため、Cr、Mo、Ru、および/またはTaなどからなる保護膜を設けることができる。保護膜は、例えばMn−X系磁性材料の焼鈍処理後かつ大気解放前に成膜することが可能である。また、焼鈍処理前に保護膜を成膜することも可能である。
以下、本発明を実施例および比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に記載した内容により限定されるものではない。
以下に示す実施例は、開示された内容に基づく方法および結果を説明するために記載されるものである。これらの実施例は開示された内容を全ての面で含むわけではないが、代表的な方法、組成および結果を説明するものである。これらの実施例は、当業者からみて明らかに現在の発明と同等なものや明らかに現在の発明のバリエーションに当たるものを排除しているわけではない。
量や温度など多数の実験条件について実験精度を保証するよう努めはしたが、ある程度の誤差がある。特に記載が無ければ、「部」は重量部であり、「温度」は℃で表され、周囲の温度を指し、「圧力」は大気圧または大気圧近傍を指す。また、製造工程により製造される製品の純度および収率を最適化するために制御できる非常に多数の反応条件(例えば組成濃度、温度、圧力、およびその他の反応範囲や反応状態など)のバリエーションおよび組み合わせが存在する。そのような実験条件の最適化には、当業者が実施できる程度の試行錯誤が要求されるだろう。
(実施例1)
ターゲット材として、MnおよびBiの各単元素ターゲット材を使用した。成膜を行う基板には、基板表面の結晶方位が(110)のMgO単結晶基板を用いた。
製膜装置は10−8Torr以下まで排気可能であり、同一槽内に複数のスパッタリング機構および基板加熱機構を有する装置を用いた。この成膜装置内に前記ターゲット材および保護膜を形成するRuターゲット材を装着した。スパッタリングはDC電源を用いたマグネトロン・スパッタリング法によりアルゴン雰囲気で行った。
Mnの成膜速度が0.01nm/s、Biの成膜速度が0.06nm/sとなるようDC電源のパワーとアルゴン雰囲気圧力を調整した。成膜は、Bi3.2nm、Mn2.0nmを交互に10回ずつスパッタリングする多層膜法で行った。
MnBi多層膜の成膜後に、真空中で多層膜を450℃の焼鈍処理することでMnBiの結晶化を行った。焼鈍処理は、昇温30分、保持30分、降温5時間とした。室温まで冷却した後に、保護膜としてRuを成膜した。
作製した試料を、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて表面観察を行った結果、得られたSEM像を図1に示す。視野内には多数のMnBi島部が存在しており、視野内ほぼ全てのMnBi粒子が島状に分離していることがわかる。MnBi粒子の粒径は10μmであった。なお、本発明において、SEMもしくは光学顕微鏡による表面観察結果において、一視野における全体に対する分離している粒子の存在比率が9割を超えている状態を、島状に分離していると定義する。
次に、作製した試料の断面(図1の断面EDS分析用測定範囲)について走査透過型電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)を用いて観察した高角散乱環状暗視野(HAADF:High−angle Annular Dark Field)像を図2(a)に示す。そして、作製した試料の断面(図1の断面EDS分析用測定範囲)についてエネルギー分散X線分光法(EDS:Energy Dispersive X−ray Spectroscopy)により分析し、MnとBiの分布を測定した結果を図2(b)および(c)に示す。図2(a)からMnBi粒子の厚みが500nm以上となっていることがわかる。また、EDSの測定結果より、MnとBiの強度比の場所によるばらつきは平均値のプラスマイナス20%以内であり、それぞれの粒子内でMnとBiとが一様に混ざり合っていることがわかった。なお、図2(a)では、前記MnBi粒子を「MnBi」と表記し、前記MgO単結晶基板を「MgO基板」と表記している。図2(b)では、Mnの含有量が多い部分ほど白く表示される。Biの分布を測定した図2(c)では、Biの含有量が多い部分ほど白く表示される。
次に、作製した試料に対して、X線回折法により、結晶構造の特定を行った。基板に対応したピーク以外では、低温相のMnBiの結晶方位(002)および(004)に対応したピークのみが観察されたことから、作製した試料は低温相のMnBi相であることが確認できた。
次に、作製した試料を、最大印加磁場が90kOeである振動試料型磁力計(VSM:Vibrating sample magnetometer)を用いて基板面に対して垂直方向のヒステリシスループを測定した結果を図3に示す。保磁力は13.4kOe、飽和磁化は490emu/ccとなった。図3を用いて本発明における飽和磁化の定義を説明する。+90kOeにおける接線とY軸の接点を+Ms(H→0)、−90kOeにおける接線とY軸の接点を−Ms(H→0)とし、+Ms(H→0)と−Ms(H→0)の絶対値の平均値を飽和磁化とした。また、飽和磁化の計算に用いる体積に関しては、島状に分離する以前の、膜状態の体積を用いた。具体的には、表面積に対して、成膜された膜厚を乗算した値とした。
次に、同様に、4K〜400Kの温度域においても、振動試料型磁力計を用いて基板面に対して垂直方向のヒステリシスループを測定し、保磁力、飽和磁化、および一軸磁気異方性定数を計算した。保磁力と温度の関係を図4に、飽和磁化と温度の関係を図5に、一軸磁気異方性定数と温度の関係を図6に示す。報告されているバルクの値を図5および図6にそれぞれ併記する。図5にはX.Guo(1992)に報告されているバルクの値を、中に×印を付けた四角で記載する。図6にはT.Chen(1979)に報告されているバルクの値を黒く塗りつぶした四角で記載する。0℃以上、127℃以下の温度範囲において一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以上かつ保磁力が13kOe以上、そして室温における飽和磁化が400emu/cc以上であることがわかる。
(実施例2)
成膜を行う基板には、基板表面の結晶方位が(100)のMgO単結晶基板を用いた。それ以外の点は実施例1と同様とした。
作製した試料に対し、実施例1と同様の測定を行った。SEMによる表面観察結果を図7に、STEMによる測定結果を図8(a)に、EDSによる測定結果を図8(b)および(c)に示す。図7および図8(a)〜(c)からMnBiが島状に分離していることがわかる。粒径が10μmであり、粒子の厚みが700nm以上となっていることがわかった。また、EDSの測定結果より、MnとBiの強度比の場所によるばらつきは平均値のプラスマイナス20%以内であり、粒子内で一様に混ざり合っていることがわかった。作製した試料の結晶構造をX線回折で特定した結果、作製した試料は低温相のMnBi相であることが確認できた。基板面に対して垂直方向の保磁力、および飽和磁化を表1に示す。実施例1の結果も合わせて併記する。4K〜400Kにおける保磁力と温度の関係を図4に、飽和磁化と温度の関係を図5に、一軸磁気異方性定数と温度の関係を図6に併記する。0℃以上、127℃以下の温度範囲において一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以上かつ保磁力が13kOe以上、そして室温における飽和磁化が400emu/cc以上であることがわかる。なお、図8(a)では、前記MnBi粒子を「MnBi」と表記し、前記MgO単結晶基板を「MgO基板」と表記している。図8(b)では、Mnの含有量が多い部分ほど白く表示される。Biの分布を測定した図8(c)では、Biの含有量が多い部分ほど白く表示される。
Figure 2017098538
(実施例3)
成膜を行う基板には、溶融シリカガラス基板を用いた。それ以外の点は実施例1と同様とした。
作製した試料に対し、実施例1と同様の測定を行った。SEMによる表面観察結果を図9に、STEMによる測定結果を図10(a)に、EDSによる測定結果を図10(b)および(c)に示す。図9および図10(a)〜(c)より、MnBiが島状に分離していることがわかる。粒径は10μmであり、粒子の厚みが400nm以上となっていることがわかった。また、EDSの測定結果より、MnとBiの強度比の場所によるばらつきは平均値のプラスマイナス20%以内であり、粒子内で一様に混ざり合っていることがわかった。作製した試料の結晶構造をX線回折で特定した結果、作製した試料は低温相のMnBi相であることが確認できた。基板面に対して垂直方向の保磁力、および飽和磁化を表1に併記する。4K〜400Kにおける保磁力と温度の関係を図4に、飽和磁化と温度の関係を図5に併記する。0℃以上、127℃以下の温度範囲において保磁力が13kOe以上、そして室温における飽和磁化が400emu/cc以上であることがわかる。なお、図10(a)では、前記MnBi粒子を「MnBi」と表記し、前記溶融シリカガラス基板を「基板」と表記している。図8(b)では、Mnの含有量が多い部分ほど白く表示される。Biの分布を測定した図8(c)では、Biの含有量が多い部分ほど白く表示される。
(実施例4)
焼鈍温度を420℃とした。それ以外の点は実施例3と同様とした。
作製した試料に対し、光学顕微鏡による表面観察を行った結果を図11に示す。MnBiが島状に分離していることがわかる。粒径は20μmであった。作製した試料の結晶構造をX線回折で特定した結果、作製した試料は低温相のMnBi相であることが確認できた。次に、実施例1と同様に振動試料方磁力系を用いた測定を行い、基板面に対して垂直方向の保磁力、および飽和磁化を測定した。測定した結果を表1に併記する。
(比較例1)
焼鈍温度を370℃とした。それ以外の点は実施例3と同様とした。
作製した試料に対し、光学顕微鏡による表面観察を行った結果を図12に示す。MnBiの分離が不十分であり、30〜50μmの大きさの粒子が連結していることがわかる。粒径は50μmとなっていた。次に、実施例1と同様に振動試料方磁力系を用いた測定を行い、基板面に対して垂直方向の保磁力、および飽和磁化を測定した。測定した結果を表1に併記する。
(比較例2)
焼鈍温度を550℃とし、Mnの成膜速度を0.02nm/s、Biの成膜速度を0.07nm/sとした。それ以外の点は実施例3と同様とした。
作製した試料に対し、断面のSTEMによる測定を行った結果を図13(a)に、EDSによる測定を行った結果を図13(b)および(c)に示す。MnBiは分離しておらず、厚さが均一な膜のまま存在している。全てが連結しているため、粒径は成膜面積に等しく、4.5mmとなっている。EDSの測定結果より、MnとBiの強度比の場所によるばらつきは平均値のプラスマイナス20%以上であり、粒子内で一様に混ざり合っていないことがわかった。作製した試料の結晶構造をX線回折で特定した結果、作製した試料はBiおよび低温相のMnBiから構成されていることが確認できた。次に、実施例1と同様に振動試料方磁力系を用いた測定を行った。基板面に対して垂直方向の保磁力、および飽和磁化を測定した。測定した結果を表1に併記する。4K〜400Kにおける保磁力と温度の関係を図4に、飽和磁化と温度の関係を図5に、一軸磁気異方性定数と温度の関係を図6に併記する。室温における飽和磁化が400emu/cc以下、かつ一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以下となっており、かつ、0℃における一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc未満となっており、飽和磁化および一軸磁気異方性定数がバルクに対して大きく低下していることがわかる。MnBiの体積比率が減少したことが原因と考えられる。なお、図13(b)では、Mnの含有量が多い部分ほど白く表示される。Biの分布を測定した図13(c)では、Biの含有量が多い部分ほど白く表示される。
表1の結果より、粒径が20μm以下の粒子によって構成され、各構成元素が一様に混ざり合っているMnBiでは、0℃以上、127℃以下の温度範囲において一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以上かつ保磁力が13kOe以上、そして室温における飽和磁化が400emu/cc以上となり、高い磁気異方性、高い保磁力、高い飽和磁化を同時に満たすことがわかった。
以上のように本発明によって、希土類元素を用いないMn系材料において、微小サイズ・高い磁気異方性、高い保磁力、高い飽和磁化を同時に満たす磁性材料を提供する。これにより、MEMS等の微小デバイスの省サイズ化、高性能化に貢献することが可能となる。

Claims (5)

  1. 粒径が20μm以下の粒子から構成される2元系または、3元系または、4元系または、5元系のMn-X系磁性材料(XはAl、Bi、Ga、Rhのうち少なくとも一種類の元素)であって、前記粒子は各構成元素が一様に混ざり合っていることを特徴とするMn−X系磁性材料。
  2. 前記粒子が低温相のMnBiを含む粒子から構成されることを特徴とする請求項1に記載の磁性材料。
  3. 前記粒子が単磁区磁化挙動を示す粒子から構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性材料。
  4. 前記粒子の厚みが400nm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の磁性材料。
  5. 0℃以上、127℃以下の温度範囲において一軸磁気異方性定数が0.9×10erg/cc以上かつ保磁力が13kOe以上、そして室温における飽和磁化が400emu/cc以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の磁性材料。
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