JP6776819B2 - 方向性結合器 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性結合器に関する。
従来の方向性結合器として、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載の方向性結合器は、第1の端子〜第4の端子と、第1の端子と第2の端子との間に接続されている主線路と、第3の端子に接続され、且つ主線路と電磁気的に結合している第1の副線路と、第4の端子に接続され、且つ主線路と電磁気的に結合している第2の副線路と、第1の副線路と第2の副線路との間に接続されており、位相のずれを通過信号に対して生じさせる位相変換部と、を備えている。方向性結合器では、主線路、第1の副線路及び第2の副線路は、グランドに接続される一対のグランド層の間に配置されている。
特開2013−5076号公報
従来の方向性結合器のように、位相調整回路は、第1の副線路と第2の副線路との間に接続されている。位相調整回路は、一対のグランド層の対向方向において、一方のグランド層を第1の副線路及び第2の副線路との間に挟む位置に配置されている。そのため、第1の副線路及び第2の副線路と位相調整回路とを接続する接続線路は、例えば、グランド層に設けられた切欠部を通過して、第1の副線路及び第2の副線路に接続されている。この構成では、一対のグランド層の対向方向から見て、接続線路の一部とグランド層とが対向する構成となる(接続線路の一部がグランド層と対向しない構成となる)ため、接続線路にインピーダンスにずれが生じ得る。その結果、アイソレーション特性が悪化するおそれがある。
本発明は、アイソレーション特性の向上が図れる方向性結合器を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る方向性結合器は、複数の絶縁体層が積層されることにより形成された素体と、素体の外表面に配置された入力端子及び出力端子と、を備え、素体内には、入力端子と出力端子との間に接続された主線路と、主線路と電磁結合する第1副線路及び第2副線路と、複数の絶縁体層の積層方向において主線路、第1副線路及び第2副線路を間に挟む位置に対向して配置された一対のグランド層と、第1副線路と第2副線路との間に接続されると共に、積層方向において一方のグランド層を第1副線路及び第2副線路との間に挟む位置に設けられた位相調整回路と、第1副線路及び第2副線路と位相調整回路とを接続する接続線路と、が設けられており、接続線路は、積層方向から見て、一方のグランド層及び当該グランド層と同電位の導体の少なくも一方により囲まれている。
本発明の一側面に係る方向性結合器では、接続線路は、一方のグランド層の位置において、積層方向から見て、一方のグランド層及び当該グランド層と同電位の導体の少なくも一方により囲まれている。そのため、方向性結合器では、接続線路において、インピーダンスのずれが生じることを抑制できる。したがって、方向性結合器では、アイソレーション特性の向上が図れる。
一実施形態においては、導体は、積層方向において複数配置されていてもよい。この構成では、接続線路の延在方向において、複数の導体により接続線路を囲うことができる。これにより、接続線路においてインピーダンスのずれが生じることをより一層抑制できる。
一実施形態においては、一方のグランド層には、切欠部が設けられており、接続線路は、切欠部により画成される領域に設けられると共に、積層方向から見て、グランド層及び導体により囲まれていてもよい。この構成では、接続線路が切欠部により画成される領域に設けられ、グランド層及び導体により接続線路を囲う。そのため、接続線路を確実に囲うことができる。また、この構成では、接続線路が切欠部により画成される領域に設けられるため、接続線路が積層方向に延在する構成とすることができる。したがって、接続線路の構成の簡易化を図れる。
一実施形態においては、接続線路は、第1副線路と位相調整回路とを接続する第1線路と、第2副線路と位相調整回路とを接続する第2線路と、を有し、第1線路及び第2線路は、一方のグランド層及び当該グランド層と同電位の導体の少なくも一方により囲まれていてもよい。この構成では、第1線路及び第2線路においてインピーダンスのずれが生じることをより一層抑制できる。
本発明の一側面によれば、アイソレーション特性の向上が図れる。
図1は、第1実施形態に係る積層型カプラの等価回路を示す図である。 図2は、積層型カプラを示す斜視図である。 図3は、素体の分解斜視図である。 図4は、素体内の構成を示す斜視図である。 図5は、導体層の一部を積層方向から見た図である。 図6は、素体内の構成を一方の端面側から見た図である。 図7は、素体内の構成を他方の端面側から見た図である。 図8は、導体層の一部を積層方向から見た図である。 図9は、導体層の一部を積層方向から見た図である。 図10は、アイソレーション特性を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、積層型カプラ(方向性結合器)1は、入力ポート(入力端子)2と、出力ポート(出力端子)3と、結合ポート4と、終端ポート5と、を備えている。積層型カプラ1は、入力ポート2と出力ポート3との間に接続される主線路6と、主線路6と電磁結合する第1副線路7及び第2副線路8と、第1副線路7と第2副線路8との間に接続された位相調整回路9と、を備えている。
主線路6は、第1副線路7と電磁結合する第1部分6Aと、第2副線路8と電磁結合する第2部分6Bと、を有している。第1部分6Aと第1副線路7とが結合する部分を、第1結合部10Aとする。第2部分6Bと第2副線路8とが結合する部分を、第2結合部10Bとする。第1副線路7は、第1端部7a及び第2端部7bを有している。第1端部7aは、結合ポート4に電気的に接続されている。第2副線路8は、第1端部8a及び第2端部8bを有している。第1端部8aは、終端ポート5に電気的に接続されている。
位相調整回路9は、第1副線路7と第2副線路8とを電気的に接続する第1経路9Aと、第1経路9AとグランドGとを接続する第2経路9Bと、を有している。第1経路9Aは、第1インダクタL1と、第2インダクタL2と、有している。第2経路9Bは、キャパシタC1を有している。
第1インダクタL1は、第1端部L1a及び第2端部L1bを有している。第2インダクタL2は、第1端部L2a及び第2端部L2bを有している。第1インダクタL1の第1端部L1aは、第1副線路7の第2端部7bに電気的に接続されている。第1インダクタL1の第2端部L1bは、第2インダクタL2の第2端部L2bに電気的に接続されている。第2インダクタL2の第1端部L2aは、第2副線路8の第2端部8bに電気的に接続されている。
積層型カプラ1では、入力ポート2から高周波信号が入力され、当該高周波信号が出力ポート3から出力される。結合ポート4は、入力ポート2に入力された高周波信号に応じた電力を有する結合信号が出力される。
入力ポート2と結合ポート4の間には、第1結合部10Aを経由する第1信号経路と、第2結合部10B及び位相調整回路9を経由する第2信号経路と、が形成される。入力ポート2に高周波信号が入力されたとき、結合ポート4から出力される結合信号は、第1信号経路を通過した信号と第2信号経路を通過した信号が合成されて得られる信号である。第1信号経路を通過した信号と第2信号経路を通過した信号との間には位相差が生じる。積層型カプラ1の結合度は、第1結合部10Aと第2結合部10Bのそれぞれ単独の結合度と、第1信号経路を通過した信号と第2信号経路を通過した信号の位相差とに依存する。
出力ポート3と結合ポート4の間には、第1結合部10Aを経由する第3の信号経路と、第2結合部10B及び位相調整回路9を経由する第4信号経路とが形成される。積層型カプラ1のアイソレーションは、第1結合部10Aと第2結合部10Bとのそれぞれ単独の結合度と、第3信号経路を通過した信号と第4信号経路を通過した信号の位相差とに依存する。第1結合部10A、第2結合部10B及び位相調整回路9は、高周波信号の周波数の変化に伴う積層型カプラ1の結合度の変化を抑制する機能を有する。
続いて、積層型カプラ1の構造について説明する。図2に示されるように、積層型カプラ1は、素体20と、第1端子電極21と、第2端子電極22と、第3端子電極23と、第4端子電極24と、第5端子電極25と、第6端子電極26と、を備えている。
素体20は、直方体形状を呈している。素体20は、その外表面として、互いに対向する一対の端面20a,20bと、一対の端面20a,20bの間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の主面20c,20dと、一対の主面20c,20dの間を連結するように延びており且つ互いに対向している一対の側面20e,20fと、を有している。主面20dは、例えば積層型カプラ1を図示しない他の電子機器(例えば、回路基板、又は、電子部品など)に実装する際、他の電子機器と対向する面として規定される。
各端面20a,20bの対向方向と、各主面20c,20dの対向方向と、各側面20e,20fの対向方向とは、互いに略直交している。なお、直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。
素体20は、複数の絶縁体層27(27a〜27r)(図3参照)が積層されることによって構成されている。各絶縁体層27は、素体20の各主面20c,20dの対向方向に積層されている。すなわち、各絶縁体層27の積層方向は、素体20の各主面20c,20dの対向方向と一致している。以下、各主面20c,20dの対向方向を「積層方向」ともいう。各絶縁体層27は、略矩形形状を呈している。絶縁体層27aは、素体20の最上層であり、主面20cを構成している。絶縁体層27rは、素体20の最下層であり、主面20dを構成している。実際の素体20では、各絶縁体層27は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
各絶縁体層27は、例えば、誘電体材料(BaTiO系材料、Ba(Ti,Zr)O系材料、(Ba,Ca)TiO系材料、ガラス材料、又はアルミナ材料など)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体20では、各絶縁体層27は、層間の境界が視認できない程度に一体化されている。
第1端子電極21、第2端子電極22及び第3端子電極23は、素体20の側面20e側に配置されている。第1端子電極21、第2端子電極22及び第3端子電極23は、側面20eの一部を素体20の積層方向に沿って覆うように形成されていると共に、主面20cの一部と主面20dの一部とに形成されている。第1端子電極21は、端面20b側に位置し、第3端子電極23は、端面20a側に位置している。第2端子電極22は、第1端子電極21と第3端子電極23との間に位置している。
第4端子電極24、第5端子電極25及び第6端子電極26は、素体20の側面20f側に配置されている。第4端子電極24、第5端子電極25及び第6端子電極26は、側面20fの一部を素体20の積層方向に沿って覆うように形成されていると共に、主面20cの一部と主面20dの一部とに形成されている。第4端子電極24は、端面20b側に位置し、第6端子電極26は、端面20a側に位置している。第5端子電極25は、第4端子電極24と第6端子電極26との間に位置している。
各端子電極21〜26は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各端子電極21〜26は、導電性材料(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。各端子電極21〜26の表面にはめっき層が形成されている。めっき層は、例えば電気めっきにより形成される。めっき層は、Cuめっき層、Niめっき層、及びSnめっき層からなる層構造、又は、Niめっき層及びSnめっき層からなる層構造などを有する。
本実施形態では、第1端子電極21は、入力ポート2を構成している。第2端子電極22は、グランドGを構成している。第3端子電極23は、出力ポート3を構成している。第4端子電極24は、結合ポート4を構成している。第5端子電極25は、グランドGを構成している。第6端子電極26は、終端ポート5を構成している。
図3に示されるように、絶縁体層27b〜27i上には、導体層30、導体層31、導体層32、導体層33、導体層34、導体層35、導体層36、導体層36A及び導体層37がそれぞれ形成されている。導体層36及び導体層36Aは、同一の絶縁体層27h上に配置されている。導体層30〜37は、位相調整回路9を構成している。導体層30〜37は、例えば、Ag及びPdの少なくとも一方を導電性材料として含んで形成される。導体層30〜37は、導電性材料としてAg及びPdの少なくとも一方を含む導電ペーストの焼結体として構成される。以下の説明において、導体層は、同様に形成される。
導体層30、導体層32及び導体層34は、第1インダクタL1を構成している。導体層30、導体層32及び導体層34は、図4に示されるように、スルーホール導体H1,H2により、電気的に接続されている。導体層30の一端は、第1インダクタL1の第1端部L1aを構成している。導体層34の一端は、第1インダクタL1の第2端部L1bを構成している。
導体層31、導体層33及び導体層35は、第2インダクタL2を構成している。導体層31、導体層33及び導体層35は、スルーホール導体H3,H4により、電気的に接続されている。導体層35の一端は、第2インダクタL2の第2端部L2bを構成している。導体層31の一端は、第2インダクタL2の第1端部L2aを構成している。第1インダクタL1と第2インダクタL2とは、導体層36Aにより電気的に接続されている。導体層36Aは、スルーホール導体H5により、導体層37に電気的に接続されている。導体層36は、第2端子電極22及び第5端子電極25に電気的に接続されている。導体層36及び導体層37は、キャパシタC1を構成している。
導体層36には、切欠部36aが設けられている。導体層37には、切欠部37aが設けられている。切欠部36a及び切欠部37aのそれぞれが画成する領域には、後述するスルーホール導体H7及びスルーホール導体H9が設けられる。
図3に示されるように、絶縁体層27n上には、導体層47が形成されている。導体層47は、主線路6を構成している。導体層47の一端は、第1端子電極21(入力ポート2)に電気的に接続されている。導体層47の他端は、第3端子電極23(出力ポート3)に電気的に接続されている。
絶縁体層27m上には、導体層45及び導体層46が形成されている。絶縁体層27o上には、導体層48及び導体層49が形成されている。導体層45及び導体層48は、第1副線路7を構成している。導体層45及び導体層48は、図7に示されるように、スルーホール導体H6により電気的に接続されている。導体層45の一端は、図4に示されるように、スルーホール導体H7により、導体層34に電気的に接続されている。スルーホール導体H7は、第1副線路7と位相調整回路9とを接続する接続線路(第1線路)を構成する。スルーホール導体H7は、積層方向に延在している。導体層45の一端は、第1副線路7の第2端部7bを構成している。導体層48の一端は、第4端子電極24(結合ポート4)に電気的に接続されている。導体層48の一端は、第1副線路7の第1端部7aを構成している。
導体層46及び導体層49は、第2副線路8を構成している。導体層46及び導体層49は、スルーホール導体H8により電気的に接続されている。導体層46の一端は、図6に示されるように、スルーホール導体H9により、導体層31に電気的に接続されている。スルーホール導体H9は、第2副線路8と位相調整回路9とを接続する接続線路(第2線路)を構成する。スルーホール導体H9は、積層方向に延在している。導体層46の一端は、第2副線路8の第2端部8bを構成している。導体層49の一端は、第6端子電極26に電気的に接続されている。導体層49の一端は、第2副線路8の第1端部8aを構成している。
導体層45と導体層48、及び、導体層46と導体層49とは、積層方向において、導体層47を挟む位置に配置されている。図5に示されるように、導体層45と導体層48とは、積層方向において、その一部が導体層47と重なる位置に配置されている。導体層46と導体層49とは、積層方向において、その一部が導体層47の重なる位置に配置されている。導体層45及び導体層48と導体層47とが重なる部分は、第1結合部10Aを構成している。すなわち、導体層47において、導体層45及び導体層48と重なる部分は、第1部分6Aを構成している。導体層46及び導体層49と導体層47とが重なる部分は、第2結合部10Bを構成している。すなわち、導体層47において、導体層46及び導体層49と重なる部分は、第2部分6Bを構成している。
絶縁体層27j上には、導体層38が形成されている。絶縁体層27r上には、導体層54が形成されている。導体層38及び導体層54は、積層方向において、導体層45、導体層46、導体層47、導体層48及び導体層49を挟む位置に対向して配置されている。すなわち、導体層38及び導体層54は、積層方向において、主線路6、第1副線路7及び第2副線路8を挟む位置に対向して配置されている。導体層38及び導体層54のそれぞれは、第2端子電極22(グランドG)及び第5端子電極25(グランドG)に電気的に接続されている。導体層38及び導体層54は、グランド層を構成している。
導体層38には、切欠部38aが設けられている。切欠部38aにより画成される領域には、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9が設けられる。
図3に示されるように、絶縁体層27k上には、導体層39、導体層40及び導体層41が形成されている。また、絶縁体層27k上には、導体層55が形成されている。導体層55は、図4に示されるように、複数(ここでは4個)のスルーホール導体H10により、導体層38に電気的に接続されている。
図3に示されるように、絶縁体層27l上には、導体層42、導体層43及び導体層44が形成されている。導体層39と導体層42とは、絶縁体層27kを挟んで、積層方向において対向して配置されている。導体層39及び導体層42は、図4に示されるように、複数(ここでは2個)のスルーホール導体H11により、導体層38に電気的に接続されている。すなわち、導体層39及び導体層42は、グランドGに電気的に接続されている。
導体層40と導体層43とは、絶縁体層27kを挟んで、積層方向において対向して配置されている。導体層40及び導体層43は、複数(ここでは2個)のスルーホール導体H12により、導体層38に電気的に接続されている。すなわち、導体層40及び導体層43は、グランドGに電気的に接続されている。導体層41と導体層44とは、絶縁体層27kを挟んで、積層方向において対向して配置されている。導体層41及び導体層44は、スルーホール導体H13により、導体層38に電気的に接続されている。すなわち、導体層41及び導体層44は、グランドGに電気的に接続されている。
導体層39及び導体層42は、積層方向において、導体層48と重なる位置に配置されている。具体的には、図5に示されるように、導体層39及び導体層42は、積層方向において導体層48が導体層47と重ならない部分と、積層方向において重なる位置に配置されている。導体層42は、絶縁体層27l〜27nを介して、導体層48と対向している。
導体層40及び導体層43は、積層方向において、導体層49と重なる位置に配置されている。具体的には、図5に示されるように、導体層40及び導体層43は、積層方向において導体層49が導体層47と重ならない部分と、積層方向において重なる位置に配置されている。導体層43は、絶縁体層27l〜27nを介して、導体層49と対向している。
導体層41及び導体層44は、積層方向において、導体層48及び導体層49と重なる位置に配置されている。具体的には、図5に示されるように、導体層41及び導体層44は、積層方向において導体層48及び導体層49が導体層47と重ならない部分と、積層方向において重なる位置に配置されている。導体層44は、絶縁体層27l〜27nを介して、導体層48及び導体層49と対向している。
絶縁体層27p上には、導体層50及び導体層51が形成されている。絶縁体層29q上には、導体層52及び導体層53が形成されている。導体層50と導体層52とは、絶縁体層27pを挟んで、積層方向において対向して配置されている。導体層50及び導体層52は、スルーホール導体H14により、導体層54に電気的に接続されている。すなわち、導体層50及び導体層52は、グランドGに電気的に接続されている。
導体層51と導体層53とは、絶縁体層27pを挟んで、積層方向において対向して配置されている。導体層51及び導体層53は、複数(ここでは3個)のスルーホール導体H15により、導体層54に電気的に接続されている。すなわち、導体層51及び導体層53は、グランドGに電気的に接続されている。
導体層50及び導体層52は、積層方向において、導体層45と重なる位置に配置されている。具体的には、図5に示されるように、導体層50及び導体層52は、積層方向において導体層45が導体層47と重ならない部分と、積層方向において重なる位置に配置されている。導体層50は、絶縁体層27m〜27oを介して、導体層45と対向している。
導体層51及び導体層53は、積層方向において、導体層46と重なる位置に配置されている。具体的には、図5に示されるように、導体層51及び導体層53は、積層方向において導体層46が導体層47と重ならない部分と、積層方向において重なる位置に配置されている。導体層51は、絶縁体層27m〜27oを介して、導体層46と対向している。
本実施形態では、位相調整回路9は、第1副線路7と第2副線路8との間に接続されると共に、積層方向において一方のグランド層(導体層38)を第1副線路7及び第2副線路8との間に挟む位置に設けられている。この構成において、図8に示されるように、第1副線路7と位相調整回路9とを接続するスルーホール導体H7、及び、第2副線路8と位相調整回路9とを接続するスルーホール導体H9は、積層方向から見て、導体層38及び導体層55により囲まれている。具体的には、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、導体層38の切欠部38aにより画成される領域に設けられている。導体層55は、スルーホール導体H10により導体層38に電気的に接続されており、導体層38と同電位である。導体層55は、積層方向において、導体層38と対向する位置(重なる位置)に配置されている。導体層55は、積層方向から見て、導体層38の切欠部38aの開口を跨ぐ位置に配置されている。
また、本実施形態では、図9に示されるように、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、積層方向から見て、導体層36を含んで、導体層36、導体層38及び導体層55により囲まれている。導体層36は、第2端子電極22及び第5端子電極25に電気的に接続されており、導体層38と同電位である。この構成により、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、積層方向において、複数の導体層により囲まれている。
以上説明したように、本実施形態に係る積層型カプラ1では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、積層方向から見て、導体層38及び導体層55により囲まれている。そのため、積層型カプラ1では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9において、インピーダンスのずれが生じることを抑制できる。したがって、積層型カプラ1では、アイソレーション特性の向上が図れる。
図10では、実線は、本実施形態に係る積層型カプラ1のアイソレーション特性を示している。すなわち、接続線路がグランド層に囲まれている構成でのアイソレーション特性を示している。破線は、比較例に係る積層型カプラのアイソレーション特性を示している。すなわち、接続線路がグランド層に囲まれていない構成でのアイソレーション特性を示している。図10では、横軸は周波数(Frequency)[GHz]、縦軸はアイソレーション(Isolation)[dB]を示している。
図10に示されるように、積層型カプラ1では、インピーダンスのずれを抑制することができるため、従来の積層型カプラに比べて、高周波においてアイソレーションを低下させることができる。したがって、積層型カプラ1では、アイソレーション特性の向上が図れる。
本実施形態に係る積層型カプラ1では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、導体層38及び導体層55に加えて、導体層36を含んで、積層方向から見て、囲まれている。導体層36、導体層38及び導体層55は、積層方向において、異なる位置に配置されている。このように、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9を積層方向において複数の導体層で囲むことにより、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9においてインピーダンスのずれが生じることをより一層抑制できる。
本実施形態に係る積層型カプラ1では、導体層38には、切欠部38aが設けられている。スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、切欠部38aにより画成される領域に設けられる。この構成では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9が切欠部38aにより画成される領域に設けられ、導体層38及び導体層55によりスルーホール導体H7及びスルーホール導体H9を囲う。そのため、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9を確実に囲うことができる。また、この構成では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9が切欠部38aにより画成される領域に設けられるため、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9が積層方向に延在する構成とすることができる。したがって、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9の構成の簡易化を図れる。
本実施形態に係る積層型カプラ1では、接続線路は、第1副線路7と位相調整回路9とを接続するスルーホール導体H7と、第2副線路8と位相調整回路9とを接続するスルーホール導体H9と、を有している。スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9は、積層方向から見て、導体層38及び導体層55により囲まれている。この構成では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9においてインピーダンスのずれが生じることをより一層抑制できる。したがって、アイソレーション特性の向上をより一層図ることができる。
本実施形態に係る積層型カプラ1では、素体20内に、導体層39及び導体層42、導体層40及び導体層43、導体層41及び導体層44、導体層50及び導体層52、及び、導体層51及び導体層53が設けられている。これら導体層は、主線路6(導体層47)と第1副線路7(導体層45及び導体層48)及び第2副線路8(導体層46及び導体層49)とが積層方向で重ならない部分で且つグランド層(導体層38)との間の距離とグランド層(導体層54)との間の距離とが異なる部分と、積層方向において対向して配置されている。これら導体層は、上記部分と一方のグランド層との間の距離、又は、上記部分と他方のグランド層との間の距離が等しくなる位置に設けられている。これにより、積層型カプラ1では、主線路6と第1副線路7及び第2副線路8とが重ならない部分において、インピーダンスのずれが生じることを抑制できる。したがって、積層型カプラ1では、アイソレーション特性の向上が図れる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上記実施形態では、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9が導体層38及び導体層55により囲まれている形態を一例に説明した。しかし、スルーホール導体H7及びスルーホール導体H9のいずれか一方が導体層及び導体層55に囲まれる形態であってもよい。
上記実施形態では、素体20内に、導体層39及び導体層42、導体層40及び導体層43、導体層41及び導体層44、導体層50及び導体層52、及び、導体層51及び導体層53が設けられている形態を一例に説明した。しかし、導体層39及び導体層42、導体層40及び導体層43、導体層41及び導体層44、導体層50及び導体層52、及び、導体層51及び導体層53は、設けられていなくてもよい。アイソレーション特性の向上の観点からは、これら導体層が設けられていることが好ましい。
上記実施形態では、各端子電極21〜23が側面20e及び主面20c,20dに配置され、各端子電極24〜26が側面20f及び主面20c,20dに配置される形態を一例に説明した。しかし、各端子電極21〜26の形状(配置形態)はこれに限定されない。
1…積層型カプラ(方向性結合器)、2…入力ポート(入力端子)、3…出力ポート(出力端子)、6…主線路、7…第1副線路、8…第2副線路、20…素体、21…第1端子電極(入力端子)、23…第3端子電極(出力端子)、38,54…導体層(グランド層)、55…導体層(導体)、H7…スルーホール導体(接続線路、第1線路)、H9…スルーホール導体(接続線路、第2線路)。

Claims (4)

  1. 複数の絶縁体層が積層されることにより形成された素体と、
    前記素体の外表面に配置された入力端子及び出力端子と、を備え、
    前記素体内には、
    前記入力端子と前記出力端子との間に接続された主線路と、
    前記主線路と電磁結合する第1副線路及び第2副線路と、
    複数の前記絶縁体層の積層方向において前記主線路、前記第1副線路及び前記第2副線路を間に挟む位置に対向して配置された一対のグランド層と、
    前記第1副線路と前記第2副線路との間に接続されると共に、前記積層方向において一方の前記グランド層を前記第1副線路及び前記第2副線路との間に挟む位置に設けられた位相調整回路と、
    前記第1副線路及び前記第2副線路と前記位相調整回路とを接続する接続線路と、が設けられており、
    前記接続線路は、前記積層方向から見て、一方の前記グランド層及び当該グランド層と同電位の導体の少なくも一方により囲まれている、方向性結合器。
  2. 前記導体は、前記積層方向において複数配置されている、請求項1に記載の方向性結合器。
  3. 一方の前記グランド層には、切欠部が設けられており、
    前記接続線路は、前記切欠部により画成される領域に設けられると共に、前記積層方向から見て、前記グランド層及び前記導体により囲まれている、請求項1又は2に記載の方向性結合器。
  4. 前記接続線路は、前記第1副線路と前記位相調整回路とを接続する第1線路と、前記第2副線路と前記位相調整回路とを接続する第2線路と、を有し、
    前記第1線路及び前記第2線路は、一方の前記グランド層及び当該グランド層と同電位の導体の少なくも一方により囲まれている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方向性結合器。
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