JP6776787B2 - 離型フィルム - Google Patents

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Description

本発明は離型フィルムに関し、特に製造工程内での異物生成や異物付着が少ない離型フィルムに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムは透明性、寸法安定性、機械的特性、耐熱性、電気的特性などに優れており、これを基材とし、シリコーン樹脂などを主成分とする離型層を設けた離型フィルムは、多くの分野で使用されている。
しかし二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムには、その性質上、帯電しやすいという課題や、加熱時に基材自体に含まれるポリエステルの低分子量成分(環状三量体等のオリゴマー)が析出してくるという課題があり、工業上の使用において不具合を生じることがある。
例えば、離型フィルムは粘着剤層を介して他の部材と貼り合わされた後、剥離されるという使用法が一般的であるが、離型フィルムが帯電しやすいために、剥離の際に剥離帯電が生じる。この時の剥離帯電が、被着体である部材にダメージを与えたり、周囲の塵芥を引き付けて欠陥を生じたりすることがある。
より具体的には、2枚の離型フィルムで粘着剤層を挟み込んだ構成の芯なし粘着剤では、一方の離型フィルムを剥離して、他の部材に貼り合わせる。この時の剥離帯電により塵芥を粘着面に付着させて他の部材に貼り合わせると、粘着面と部材との間に塵芥を閉じ込めてしまい、再剥離が出来ず、欠陥を生じた製品となる。
また一方では、離型フィルムの使用される用途として、高温に曝されることが多くある。例えば、タッチパネルなどで使用されるITOスパッタリング層を設けた透明導電フィルムは、ITOの結晶化工程において150℃程度の熱が1時間以上かけられる。このような透明導電フィルムの貼り合わせを行うための粘着層と離型フィルムは、ITOの結晶化前に透明導電フィルムに積層され、ともに結晶化工程を経る場合がある。しかしポリエステルフィルムの問題として、このような高温に曝されると、フィルム中に含有されるオリゴマーがフィルム内部から析出してくる。このようにして析出したオリゴマーが粘着層に移行し、粘着層の内部で結晶化して異物となることで、やはり欠陥を生じた製品となる。
そのため、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムは、用途によっては十分に使用に耐える特性を有してはいなかった。
特開2007−45953号公報 特開2007−200823号公報 特開2012−150779号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その課題は、各種製品や部材を製造する際の、製造工程内での異物生成や異物付着が少ない離型フィルムを提供することにある。
また本発明は、離型フィルムを用いた各種製品や部材に対して、帯電及びオリゴマー析出の双方の観点からの異物による欠陥の発生を抑制し、優れた外観をもつ製品を得ることを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に関して鋭意検討を重ねた結果、ポリエステルフィルム基材、特定の下引き層及び離型層を有する構成とすることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[5]に存する。
[1] 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材、第一下引き層、第二下引き層、離型層をこの順で積層されてなり、前記第二下引き層が加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有し、前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有する離型フィルム。
[2] 前記第一下引き層が下記(A)成分を含有する[1]に記載の離型フィルム。
(A):電子導電性化合物
[3] 前記第一下引き層が下記(B)成分を含有する[1]又は[2]に記載の離型フィルム。
(B):ポリアルキレンオキサイド(b1)、グリセリン(b2)、ポリグリセリン(b3)、及びグリセリン又はポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体
[4] 二軸延伸ポリエステルフィルムが多層構造を有し、第一下引き層に接する層が、オリゴマー含有量0.7重量%以下のポリエステルを80重量%以上含有する厚み2μm以上の層である[1]〜[3]のいずれかに記載の離型フィルム。
[5] [1]〜[4]の何れかに記載の離型フィルムと粘着剤層とを有する離型フィルム付き粘着剤。
本発明の離型フィルムによれば、製造工程内での帯電による不具合が抑制される。また、本発明の離型フィルムによれば、高温の処理を行っても、フィルムからのオリゴマー析出が抑えられる。
このため、離型フィルムを用いた製品に対して、帯電及びオリゴマー析出の双方の観点からの異物による欠陥の発生を抑制し、優れた外観をもつ製品を得ることが出来るため、その工業的な利用価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
以下において「質量%」と「重量%」、及び「質量部」と「重量部」とは、それぞれ同義である。
本発明の離型フィルムは、基材、第一下引き層、第二下引き層、離型層をこの順で積層されてなり、この構成を有する限りにおいて他の任意の層を有していてもよい。以下に、各層について説明する。
[基材]
本発明の離型フィルムにおける基材は、ポリエステルからなる。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
例えば、芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとの間でエステル交換反応をさせるか、あるいは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接エステル化させるかして、実質的に芳香族ジカルボン酸のビスグリコールエステル、またはその低重合体を形成させ、次いでこれを減圧下、加熱して重縮合させる方法が採用される。その目的に応じ、脂肪族ジカルボン酸を共重合してもよい。
基材に用いるポリエステルとしては、代表的には、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート等が挙げられるが、その他に上記の酸成分やグリコール成分を共重合したポリエステルであってもよく、必要に応じて他の成分や添加剤を含有していてもよい。
本発明におけるポリエステルフィルムは、単層または多層構造である。多層構造の場合は、表層と内層、あるいは両表層や各層を目的に応じ異なるポリエステルとすることができる。
また添加剤をフィルム中に加える場合、単層フィルムに加えたり、多層フィルムの一部の層のみに加えたりすることも出来る。例えば、フィルムを3層構成とし、内層には粒子を加えず、一方もしくは両方の外層に粒子を加えることで、易滑性と透明性を、より両立することが出来る。
また、本発明におけるポリエステルフィルムは、オリゴマーの含有量が少ないポリエステルを用いることが好ましい。かかるオリゴマー含有量の少ないポリエステルの使用量としては、フィルムが単層構造である場合は、全ポリエステルの80重量%以上であると好適であり、フィルムが多層構造である場合は、下引き層に接する表層のうち80重量%以上であると好適である。オリゴマーの含有量の少ないポリエステルとは、具体的には環状三量体の含有量が0.7重量%以下であるようなポリエステルを指す。特に好ましくは、環状三量体の含有量が0.5重量%以下である。ポリエステルフィルムを高温で加熱した場合に、オリゴマーがフィルム表面に析出してくることを抑制するためには、環状三量体の含有量が0.7重量%以下であると良好な効果が得られる。また、単にオリゴマー含有量を少なくすれば、それに応じてポリエステルフィルムからの析出量が減るわけではなく、特にフィルム表面に粘着剤層などが設けられた状態で加熱する場合は、環状三量体の含有量が0.5重量%以下であると、析出量を大幅に低減させることが出来る。
また、多層構造のポリエステルフィルムの表層を、このようにオリゴマー含有量の少ないポリエステルとする場合は、表層の厚さは好ましくは2μm以上であり、より好ましくは5μm以上である。この厚みが厚いほどオリゴマーの析出が抑制されるが、上記範囲より薄い場合は、十分なオリゴマーの析出抑制効果が得られない場合がある。
本発明におけるポリエステルフィルムには、フィルムの走行性を確保したり、キズが入ることを防いだりする等の目的で粒子を含有させることができる。このような粒子としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化アルミニウム、酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子、さらに、ポリエステル製造工程時の析出粒子等を用いることができる。
用いる粒子の粒径や含有量はフィルムの用途や目的に応じて選択されるが、平均粒径(d50)が好ましくは0.01〜3μm、より好ましくは0.02〜2.5μm、さらに好ましくは0.03〜2μmの範囲である。粒子の平均粒径が3μmを超えるとフィルムの表面粗度が粗くなり過ぎたり、粒子がフィルム表面から脱落し易くなったりする。平均粒径が0.01μm未満では、表面粗度が小さ過ぎて、十分な易滑性や耐キズ付き性が得られない場合がある。
粒子の含有量は限定されないが、粒子を含有するポリエステル層に対し、通常0.0003〜1.0重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%である。粒子含有量が0.0003重量%未満の場合には、フィルムの易滑性や耐キズ付き性が不十分な場合があり、一方、1.0重量%を超えて添加する場合には、フィルムの透明性が不十分な場合がある。なおフィルムの透明性、平滑性などを特に確保したい場合には、実質的に粒子を含有しない構成とすることも出来る。また、適宜、各種安定剤、潤滑剤、帯電防止剤等をフィルム中に加えることもできる。
本発明における基材であるポリエステルフィルムの厚さは限定されないが、通常5〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmである。ポリエステルフィルムの厚さが前記の上限を超えると、フィルムの柔軟性が低く、加工適性が悪化したり、離型フィルムを剥離する作業に不具合を生じたりする場合がある。ポリエステルフィルムの厚さが前記の下限未満では、下引き層や離型層の積層化が困難となり、粘着剤層と貼り合わせる際にシワが入る場合がある。
本発明における基材であるポリエステルフィルムのヘーズは15%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。ポリエステルフィルムのヘーズがこの範囲より大きいと、光学用途においては、外観上使用し難くなる場合がある。なお、上記のヘーズの好適な数値範囲は、基材であるポリエステルフィルム単独でのヘーズ値のみならず、当該基材に第一下引き層を設けた積層体、更に第二下引き層を設けた積層体、更に離型層を設けた積層体(本発明の離型フィルム)の何れのヘーズにおいても、同様の数値範囲を好適なものとする。
本発明における基材に用いるポリエステルフィルムは、二軸延伸されている必要がある。基材として用いるポリエステルフィルムが二軸延伸されていないと、機械的強度や寸法安定性が不足し、離型フィルムを使用する製造工程内で不具合を生じてしまう。
本発明に用いるポリエステルフィルムの製膜方法としては、通常知られている製膜法を採用でき、特に制限はない。例えば、まず溶融押出によって得られたシートを、ロール延伸法により、70〜145℃で2〜6倍に延伸して、一軸延伸ポリエステルフィルムを得、次いで、テンター内で先の延伸方向とは直角方向に80〜160℃で2〜6倍に延伸し、さらに、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行うことで二軸延伸フィルムが得られる。さらにこの際、熱処理のゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
[第一下引き層]
本発明では、前記の基材に対し、第一下引き層が積層されている。本発明における第一下引き層は限定されないが、下記(A)成分を含有することが好ましい。
(A):電子導電性化合物
(A)電子導電性化合物は限定されないが、具体的には、電子導電性有機化合物、例えばポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリイソチアナフテン、及びポリチオフェン等が挙げられる。これらの中でポリチオフェン、すなわち、チオフェン若しくはチオフェン誘導体を単独又は共重合して得られる重合体が好ましい。
特に、(A)電子導電性化合物としては、チオフェン若しくはチオフェン誘導体からなる化合物が、他の陰イオン化合物によりドーピングされたもの、又は化合物(重合体)中に陰イオン基を持ち自己ドープされたものが、優れた導電性を示し好適である。ポリチオフェンとして、より具体的には、下記一般式(1)又は(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものを例示できる。また、これらの共重合体でもよいし、混合物であってもよい。
Figure 0006776787
(上記式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数が1〜20の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基を表す。)
Figure 0006776787
(上記式(2)中、nは1〜4の整数を表す。)
重合時に使用するポリ陰イオンとしては、有機酸、例えばポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、及びポリスチレンスルホン酸が例示される。またこれらの有機酸は、一部又は全てが中和されていてもよい。なお、かかる重合体の製造方法としては、例えば特開平7−90060号公報に示されるような方法が採用できる。
本実施形態において、特に好ましい様態としては、上記式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンとしてポリスチレンスルホン酸を用いたものが挙げられる。
また第一下引き層には、(B)成分として、ポリアルキレンオキサイド(b1)、グリセリン(b2)、ポリグリセリン(b3)、及びグリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体を含有していると、より好ましい。また、(B)成分として、(b1)〜(b4)の任意の混合物を用いてもよい。成分(B)は帯電防止の性能自体はほとんど有しない化合物であるが、成分(A)と併用することで、第一下引きの外観及び経時的な帯電防止性能の劣化抑制効果を向上させる傾向がある。
第一下引き層を塗布延伸法で設ける場合、通常、成分(A)はその剛直な性質から、延伸によって塗膜構造の断裂を生じ、帯電防止性能を失ってしまう場合がある。しかし成分(A)に成分(B)を組み合わせることで、延伸後にも帯電防止性能が失われないという効果を奏する。このため、第一下引き層をインラインコーティング(後述)にて設ける場合においては、特に好適である。
ポリアルキレンオキサイド(b1)又はその誘導体として好ましいものは、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド骨格を含んだ構造が挙げられる。アルキレンオキサイド構造中のアルキル鎖が長くなりすぎると、疎水性が強くなり、塗布液中での均一な分散性が悪化し、第一下引き層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはエチレンオキサイドである。
グリセリン(b2)及びポリグリセリン(b3)としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006776787
上記式(3)中のnが1の化合物がグリセリン(b2)であり、nが2以上の化合物はポリグリセリン(b3)である。本実施形態においては、式中のnは、1〜20の範囲が好ましく、より好ましくは2〜20の範囲である。また、nが異なるポリグリセリンの混合物であってもよい。グリセリン(b2)を用いた場合、得られる第一下引き層の透明性が若干劣る場合があるため、ポリグリセリン(b3)の方が好適である。
また、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)とは、一般式(3)で表される化合物のヒドロキシル基にアルキレンオキサイド又はその誘導体を付加重合した構造を有するものである。ここで、グリセリン若しくはポリグリセリン骨格のヒドロキシル基ごとに、付加されるアルキレンオキサイド又はその誘導体の構造は異なっていてもよい。また、少なくとも分子中一つのヒドロキシル基に付加されていればよく、全てのヒドロキシル基にアルキレンオキサイド又はその誘導体が付加されている必要はない。
また、グリセリン若しくはポリグリセリンに付加されるアルキレンオキサイド又はその誘導体として好ましいものは、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド骨格を含んだ構造である。アルキレンオキサイド構造を構成するアルキル鎖単位が長くなりすぎると疎水性が強くなり、塗布液中での均一な分散性が悪化し、第一下引き層の帯電防止性や透明性が悪化する傾向がある。特に好ましいものはエチレンオキサイドである。
本実施形態において、化合物(B)として特に好ましい様態としては、ポリグリセリン(b3)、及びグリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)が挙げられる。ポリアルキレンオキサイド(b1)やグリセリン(b2)を用いた場合は、得られる層の外観が僅かに劣る場合がある。
ポリグリセリン(b3)としては、上記式(3)の化合物において、nが2〜20のものが特に好ましい。また、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)としては、上記式(3)の化合物においてnが2のものにエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドを付加した構造のものが特に好ましく、また、その付加数は、最終的な化合物(b4)としての重量平均分子量で300〜2000の範囲になるものが特に好ましい。
また、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)において、グリセリン若しくはポリグリセリン骨格に対するアルキレンオキサイド又はその誘導体の共重合比率は特に限定されないが、分子量比で、グリセリン又はポリグリセリン部分を1とした時に、アルキレンオキサイド部分が20以下であることが好ましく、より好ましくは10以下であることが好ましい。グリセリン若しくはポリグリセリン骨格に対するアルキレンオキサイド又はその誘導体の比率が、この範囲より大きい場合には、通常のポリアルキレンオキサイドを用いた場合の特性に近くなり、上述のように、得られる層の外観に僅かに劣る場合がある。
第一下引き層中に占める(A)電子導電性化合物の含有量は限定されないが、上限は好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。(A)電子導電性化合物の含有量が前記の上限より高いと、塗膜の透明性が不十分となったり、帯電防止性能が不十分となったりする場合がある。
また、第一下引き層中に占める(A)電子導電性化合物の含有量の下限は、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。(A)電子導電性化合物の含有量が前記の下限より低いと、帯電防止性能が不十分となったり、十分な帯電防止性能を持つための塗膜が極めて厚くなったりする。塗膜が厚くなると、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキングを生じる傾向がある。
第一下引き層中に占める成分(B)の含有量は限定されないが、上限は好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。成分(B)の含有量が前記の上限より高いと、第一下引き層における経時的な帯電防止性能が低下する場合がある。また下限は好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上である。成分(B)の含有量が前記の下限より低いと、外観・透明性が悪化するおそれがある。
第一下引き層を設けるに当たっては、フィルム(基材)への塗布性を改良するため、塗布液中に界面活性剤を含むことができる。すなわち、第一下引き層中に界面活性剤を含むことができる。この界面活性剤としては、特にその構造中に(ポリ)アルキレンオキサイドや(ポリ)グリセリン、これらの誘導体を含むものを使用すると、得られる層の帯電防止性を阻害せず、より好ましい。
第一下引き層を設けるための塗布液中には、必要に応じて上記で述べた成分以外を含むことができる。すなわち、第一下引き層中に、上記で述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、その他のバインダー、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
また、第一下引き層の厚さは限定されないが、基材である二軸延伸ポリエステルフィルム上の皮膜厚さとして、好ましくは0.005〜1.5μm、より好ましくは0.008〜1.0μm、さらに好ましくは0.01〜0.5μmである。第一下引き層の厚さが前記の下限より薄い場合には、十分な帯電防止の性能が得られない場合があり、一方、第一下引き層の厚さが前記の上限を超えると、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキング、第二下引き層の強度低下を招くおそれがある。
なお第一下引き層の厚みは、第一下引き層を設けたフィルムをルテニウム化合物やオスミウム化合物等の重金属を用いて染色を行い、超薄切片法により塗布フィルムの断面を調整した後、透過型電子顕微鏡にて塗布フィルム断面の塗布層を複数個所観測し、その実測値を平均することで確認する事ができる。
基材に第一下引き層を設ける方法としては、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター等のような技術が挙げられる。
なお、第一下引き層を形成する塗布剤の基材への塗布性、接着性を改良するため、塗布前に基材に化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
本発明における第一下引き層は、製膜したフィルム(基材)に後から塗布層(第一下引き層)を設ける、いわゆるオフラインコーティングと、フィルム(基材)の製膜中に塗布層(第一下引き層)を設ける、いわゆるインラインコーティングの何れも採用することが出来る。中でも、インラインコーティング、特に塗布後に延伸を行う塗布延伸法により設けられることが好ましい。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから二軸延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸シート、その後に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルムの何れかにコーティングする。
特に塗布延伸法としては、一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、基材の製膜と塗布層塗設を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがある。また、二軸延伸される前のポリエステルフィルム上を、まず塗布層を構成する樹脂層で被覆し、その後フィルムと塗布層を同時に延伸することで、基材フィルムと塗布層が強固に密着することになる。一方で、塗布層が基材のフィルムと共に延伸されることになるため、塗布層が細かく割れることがある。塗布層の目的によっては、この細かい割れによって所望の性能が得られないことがあるため、使用される材料の組み合わせ等によって上記の製造方法から最適な方法を選択するとよい。
塗布延伸法の場合、用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、安全上の理由から水溶液または水分散液であることが望ましいが、本発明の要旨を越えない範囲で、水を主たる媒体とした上で有機溶剤を含有していてもよい。
[第二下引き層]
本発明における第二下引き層は、加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有する。加水分解性アルコキシシリケートとしては、一般式Si(ORで示す構造が挙げられる。
ここでRは、炭素数が1〜10の炭化水素基を表す。より具体的には、Rは炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rがエチル基であるエトキシシリケートは、加水分解のし易さおよびその後の縮合反応のし易さから好適である。なお4官能のRが全て同一である必要はない。
また第二下引き層としては、一般式Si(ORの構造を加水分解させた後、複数を重縮合させた構造も好適である。この重縮合は、塗布液の状態である程度進行させることも出来る。すなわち、予め塗布液の状態で重縮合を進行させて数量体としておき、塗工後の熱で数量体同士をさらに反応させることにより、塗工速度を速くしたり、短い乾燥炉でも所望の特性を得られたりする等の効果がある。
さらに第二下引き層の固着性、滑り性改良を目的として、第二下引き層中に無機系粒子を含有してもよく、無機系粒子の具体例としてはシリカ、アルミナ、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、バリウム塩等が挙げられる。
また、必要に応じて第二下引き層中に、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明の要旨を越えない範囲において、分散性改良、造膜性改良等を目的として、第二下引き層を設ける塗布液に使用する有機溶剤は一種類のみでもよく、適宜、二種類以上を使用してもよい。
本発明における第二下引き層の塗布量は、乾燥後被膜の厚みとして、通常0.005〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μmの範囲である。塗布量が前記の下限未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、前記の上限を超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
なお第二下引き層の厚みは、第二下引き層を設けたフィルムをルテニウム化合物やオスミウム化合物等の重金属を用いて染色を行い、超薄切片法により塗布フィルムの断面を調整した後、透過型電子顕微鏡にて塗布フィルム断面の塗布層を複数個所観測し、その実測値を平均することで確認する事ができる。
本発明において、第二下引き層を設ける方法は、例えば、原崎勇次著、槙書店、1979年発行、「コーティング方式」に示されるような塗布技術を用いることができる。具体的には、エアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター等のような技術が挙げられる。
本発明の離型フィルムにおける第二下引き層は、通常、加水分解性アルコキシシリケートのまま存在し続けるのではなく、硬化(重縮合)させることによって硬化層として存在する。
本発明において、第一下引き層の上に第二下引き層を形成する際の硬化条件に関しては限定されないが、通常100℃以上の熱処理を与え、好ましくは120〜200℃で3〜40秒間、さらに好ましくは120〜160℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行う。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。100℃以上で加熱処理されない場合、オリゴマーの析出量が多くなったり、塗布層の硬化が不十分なために離型層の剥離力の変動が大きくなったりして好ましくない傾向にある。
[離型層]
本発明では、上述のようにして得られた、二軸延伸ポリエステルフィルム上の第一下引き層、第二下引き層の上に更に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を設ける。この離型層は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等何れの硬化反応タイプでも用いることができる。
具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461;ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210;東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721;東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明において、第二下引き層の上に離型層を設ける方法としては、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明における離型層の塗布量は、離型層形成後の乾燥被膜として、通常0.01〜1g/mの範囲である。離型層の塗布量は、塗料の重量濃度と塗布面積、塗料の使用量から計算できる。塗布量がこれより少ない場合、均一な離型性を得ることが難しくなる場合があり、これより多い場合、ブロッキングなどの問題が生じてくる場合がある。
なお、離型層の厚みを前述のように透過型電子顕微鏡にて断面から確認し、比重で割ることで塗布量を求めることもできる。一般的に硬化性シリコーンの比重は0.9〜1.2程度が多い。厚み0.1μmの離型層の塗布量は、比重1の時0.1g/mである。
なお、第二下引き層および離型層の形成は、オフラインコーティング、インラインコーティングの何れも採用することが出来るが、通常はオフラインコーティングである。
また、第二下引き層の塗布と、離型層の塗布を行った後に、第二下引き層における重縮合反応と離型層における硬化反応とを同時に行うことも出来る。
本発明の離型フィルムを使用する態様は何ら限定されるものではないが、粘着剤層との積層体とすることにより、離型フィルム付き粘着剤(粘着シート)として使用することが、好ましい態様の一つである。また、粘着剤層の両面に離型フィルムを設けることも好ましい。ここで用いられる粘着剤層の材質、厚み等には何ら制限は無く、公知の粘着剤を適宜選択して用いることが出来る。
本発明の離型フィルムを用いた離型フィルム付き粘着剤(粘着シート)は、帯電及びオリゴマー析出の双方の観点からの異物による欠陥の発生を抑制することが可能であるため、各種電気・電子部品、OA機器、自動車部材、画像表示装置、精密部品等に好適に用いることが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における評価方法は下記のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定方法
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)ポリエステル原料に含有されるエステル環状三量体の含有量測定方法
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させた。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加えた。沈殿物を濾過により除去し、更に、沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製「LC−7A」)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とした。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMFに溶解し作成した。標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mlの範囲が好ましい。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2重量%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製「MCI GEL ODS 1HU」
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
(3)平均粒径(d50:μm)の測定方法
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(4)塗布層厚さ
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料を調整した。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)で観察し、塗布層の厚みを測定した。フィルムの計15箇所を測定し、数値の大きい方から3点と、小さい方から3点を除いた9点の平均を塗布層厚みとした。
(5)離型フィルムの外観
得られた離型フィルムを、暗室下でハロゲンライトを用いて目視で塗布面の外観を評価し、以下の基準で判断した。
5:外観上の欠陥が全く無く優れる場合
4:ムラ状の外観欠陥が僅かに認められるが、外観が良好の場合
3:ムラ状の外観欠陥が認められ、外観が普通の場合
2:ムラ状の外観欠陥がやや多く認められ、外観がやや悪い場合
1:ムラ状の外観欠陥が多く認められ、外観が悪い場合
(6)ラブオフテスト
離型フィルムを23℃/50%RHの室内に30日間放置後、離型面を指先で数回摩擦し、離型面の具合を以下の評価基準にて判断し、密着性の目安とした。
○:フィルム表面に変化が見られず良好
×:フィルム表面に指で擦った痕が見られ、剥離力も変化している
(7)表面固有抵抗(Ω)
低抵抗率計(三菱化学社製 ロレスタGP MCP−T600)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で離型フィルムの試料を30分間調湿後、離型層面の表面固有抵抗を測定した。
試料の抵抗値が高く、上記の方法で測定が不可能な場合は、高抵抗測定器(日本ヒューレット・パッカード社製 HP4339Bおよび測定電極:HP16008B)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で離型フィルムの試料を30分間調湿後、離型層面の表面固有抵抗を測定した。
表面固有抵抗が1.0×1010Ω未満であれば、帯電防止性が良好である。
表面固有抵抗が1.0×10Ω未満であれば、帯電防止性が極めて優れている。
(8)剥離力
離型フィルム試料の離型層表面に粘着テープ(日東電工性No.31Bテープ、基材厚み25μm)を貼り付けた後、100℃の熱風循環式恒温槽にて1時間加熱し、恒温槽から取り出した後、23℃で30分放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離試験を行った。
剥離力が高い場合、離型フィルムとして使用する場合に、剥離工程でのエラーが起きたり、粘着剤に変形を生じたりする恐れがある。本試験においては、剥離力が20mN/cm以下であれば、十分に小さいと判断した。
(9)粘着層光学欠陥検査1
離型フィルムの離型面に、アクリル系粘着剤 コーポニールN−2233(日本合成化学工業製)を乾燥後厚さ3μmになるように塗布し、粘着層を設けた。この粘着層を介し、離型フィルムをガラス板に貼り付けた後、160℃で2.5時間加熱した。その後、粘着層内に生じた異物を光学顕微鏡下で検査した。検査は、100mm×100mmの面積を試料の任意の箇所から12箇所選択し、5μm以上の大きさの異物個数をカウントした。全12箇所の検査範囲のうち、異物個数が最も多かった2箇所を除き、10箇所の検査範囲内での異物個数の合計から、以下の基準で判定した。
○:異物が見つからない
△:異物が1個以上、3個未満(実用上やや問題になる)
×:異物が3個以上(実用上問題になる)
(10)粘着層光学欠陥検査2
上記粘着層光学欠陥検査1と同様の処理で160℃で2.5時間加熱した試験片から離型フィルムを剥離し、さらにガラス板に貼り付けて、2枚のガラス板で粘着層が挟まれた状態の試験片を作成した。次にこの試験片を60℃、95%RHの環境下で10日間エージング処理を行った。このエージング処理により、粘着層に溶解していたオリゴマーが結晶成長し、より異物として顕在化しやすくなる。この試験片の粘着層内に生じた異物を光学顕微鏡下で検査した。検査は、100mm×100mmの面積を試料の任意の箇所から12箇所選択し、5μm以上の大きさの異物個数をカウントした。全12箇所の検査範囲のうち、異物個数が最も多かった2箇所を除き、10箇所の検査範囲内での異物個数の合計から、以下の基準で判定した。
○:異物が見つからない
△:異物が1個以上、3個未満(実用上やや問題になる)
×:異物が3個以上(実用上問題になる)
実施例および比較例で使用したポリエステルは、以下の通りである。
<ポリエステル1>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル1の極限粘度は0.63、オリゴマー(環状三量体)の含有量は0.97重量%であった。
<ポリエステル2>
ポリエステル1を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.75、オリゴマー(環状三量体)含有量0.46重量%のポリエステル2を得た。
<ポリエステル3>
ポリエステル1の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径(d50)が1.6μmのシリカ粒子を0.3重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル1の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル3を得た。得られたポリエステル3は、極限粘度0.65、オリゴマー(環状三量体)含有量0.91重量%であった。
第一下引き層を設けるための塗布液に含有する組成物は以下を用いた。
(A1):ポリ(エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(H.C.スタルク社製 Baytron P AG)
(B1):前記式(3)でn=2であるポリグリセリン骨格へのポリエチレンオキサイド付加物(平均分子量350)
(B2):ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)
(E1):下記式(4)に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤。(m+n=10となるものを用いた)
Figure 0006776787
第二下引き層を設けるための塗布液に含有する組成物は以下を用いた。
(S1):加水分解性アルコキシシリケート(コルコート社製 コルコートN−103X)
(S2):エチル化メチロールメラミン(酸触媒含有)
離型層の組成物は以下を用いた。
<離型層組成物1>
(R1):硬化型シリコーン樹脂(LTC303E:東レ・ダウコーニング製)
(R2):硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製)
R1を50重量部、R2を1重量部、「メチルエチルケトン/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1/2/2)」を800重量部
<離型層組成物2>
(R3):硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学工業製)
(R4):硬化剤(CAT−PL−50T:信越化学工業製)
R3を48重量部、R4を1重量部、「メチルエチルケトン/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1/2/2)」を820重量部
[実施例1]
ポリエステル2とポリエステル3とを重量比で93/7でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して最外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A層/B層/A層)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA層/B層/A層=2.5/33/2.5となる未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。
得られた一軸配向フィルムの片面に、表1に示すとおりの塗布液を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布液の乾燥、熱処理を行いつつ、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行った。こうして、厚みが38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、厚さ0.04μmの第一下引き層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの第一下引き層の上に、表1に示す通りの塗布液を塗布し、130℃、30秒間乾燥、熱処理し、乾燥後の塗布厚みが表1に示す通りの第二下引き層を設けた。
さらに第二下引き層の上に離型層組成物1を、乾燥後の塗布量が0.1g/mになるように、リバースグラビアコート方式により塗布した後、150℃、30秒間乾燥、熱処理し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
離型層の塗料を離型層組成物2に変更した以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
ポリエステル1とポリエステル3とを重量比で90/10でブレンドしたものをA層の原料として用いた以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
第一下引き層の組成物を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
[比較例1]
第二下引き層の成分と厚みを表1に示すように変更した以外は実施例2と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
第一下引き層を設けなかった以外は実施例2と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
[比較例3]
第二下引き層を設けなかった以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
Figure 0006776787
本発明の離型フィルムは、特に各種工業製品等の製造工程内での異物生成や異物付着による欠陥を避ける必要がある用途に用いる離型フィルムとして、好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材、第一下引き層、第二下引き層および離型層この順で積層されてなり、
    前記第一下引き層が下記(A)成分を含有し、
    前記第二下引き層が加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有し、
    前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有する離型フィルム。
    (A):電子導電性化合物
  2. 前記第一下引き層が下記(B)成分を含有する請求項に記載の離型フィルム。
    (B):ポリアルキレンオキサイド(b1)、グリセリン(b2)、ポリグリセリン(b3)、及びグリセリン又はポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体
  3. 二軸延伸ポリエステルフィルムが多層構造を有し、第一下引き層に接する層が、オリゴマー含有量0.7重量%以下のポリエステルを80重量%以上含有する厚み2μm以上の層である請求項1又は2に記載の離型フィルム。
  4. 請求項1〜の何れかに記載の離型フィルムと粘着剤層とを有する離型フィルム付き粘着剤。
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