JP6776787B2 - 離型フィルム - Google Patents
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Description
しかし二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムには、その性質上、帯電しやすいという課題や、加熱時に基材自体に含まれるポリエステルの低分子量成分(環状三量体等のオリゴマー)が析出してくるという課題があり、工業上の使用において不具合を生じることがある。
より具体的には、2枚の離型フィルムで粘着剤層を挟み込んだ構成の芯なし粘着剤では、一方の離型フィルムを剥離して、他の部材に貼り合わせる。この時の剥離帯電により塵芥を粘着面に付着させて他の部材に貼り合わせると、粘着面と部材との間に塵芥を閉じ込めてしまい、再剥離が出来ず、欠陥を生じた製品となる。
そのため、二軸延伸ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムは、用途によっては十分に使用に耐える特性を有してはいなかった。
また本発明は、離型フィルムを用いた各種製品や部材に対して、帯電及びオリゴマー析出の双方の観点からの異物による欠陥の発生を抑制し、優れた外観をもつ製品を得ることを目的とする。
[1] 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材、第一下引き層、第二下引き層、離型層をこの順で積層されてなり、前記第二下引き層が加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有し、前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有する離型フィルム。
[2] 前記第一下引き層が下記(A)成分を含有する[1]に記載の離型フィルム。
(A):電子導電性化合物
[3] 前記第一下引き層が下記(B)成分を含有する[1]又は[2]に記載の離型フィルム。
(B):ポリアルキレンオキサイド(b1)、グリセリン(b2)、ポリグリセリン(b3)、及びグリセリン又はポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体
[4] 二軸延伸ポリエステルフィルムが多層構造を有し、第一下引き層に接する層が、オリゴマー含有量0.7重量%以下のポリエステルを80重量%以上含有する厚み2μm以上の層である[1]〜[3]のいずれかに記載の離型フィルム。
[5] [1]〜[4]の何れかに記載の離型フィルムと粘着剤層とを有する離型フィルム付き粘着剤。
このため、離型フィルムを用いた製品に対して、帯電及びオリゴマー析出の双方の観点からの異物による欠陥の発生を抑制し、優れた外観をもつ製品を得ることが出来るため、その工業的な利用価値は高い。
以下において「質量%」と「重量%」、及び「質量部」と「重量部」とは、それぞれ同義である。
本発明の離型フィルムは、基材、第一下引き層、第二下引き層、離型層をこの順で積層されてなり、この構成を有する限りにおいて他の任意の層を有していてもよい。以下に、各層について説明する。
本発明の離型フィルムにおける基材は、ポリエステルからなる。かかるポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカルボン酸またはそのエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのようなグリコールとを溶融重縮合させて製造されるポリエステルである。これらの酸成分とグリコール成分とからなるポリエステルは、通常行われている方法を任意に使用して製造することができる。
また添加剤をフィルム中に加える場合、単層フィルムに加えたり、多層フィルムの一部の層のみに加えたりすることも出来る。例えば、フィルムを3層構成とし、内層には粒子を加えず、一方もしくは両方の外層に粒子を加えることで、易滑性と透明性を、より両立することが出来る。
本発明における基材であるポリエステルフィルムのヘーズは15%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下である。ポリエステルフィルムのヘーズがこの範囲より大きいと、光学用途においては、外観上使用し難くなる場合がある。なお、上記のヘーズの好適な数値範囲は、基材であるポリエステルフィルム単独でのヘーズ値のみならず、当該基材に第一下引き層を設けた積層体、更に第二下引き層を設けた積層体、更に離型層を設けた積層体(本発明の離型フィルム)の何れのヘーズにおいても、同様の数値範囲を好適なものとする。
本発明では、前記の基材に対し、第一下引き層が積層されている。本発明における第一下引き層は限定されないが、下記(A)成分を含有することが好ましい。
(A):電子導電性化合物
特に、(A)電子導電性化合物としては、チオフェン若しくはチオフェン誘導体からなる化合物が、他の陰イオン化合物によりドーピングされたもの、又は化合物(重合体)中に陰イオン基を持ち自己ドープされたものが、優れた導電性を示し好適である。ポリチオフェンとして、より具体的には、下記一般式(1)又は(2)の化合物を、ポリ陰イオンの存在下で重合して得られるものを例示できる。また、これらの共重合体でもよいし、混合物であってもよい。
本実施形態において、特に好ましい様態としては、上記式(2)の化合物においてnが2であり、ポリ陰イオンとしてポリスチレンスルホン酸を用いたものが挙げられる。
第一下引き層を塗布延伸法で設ける場合、通常、成分(A)はその剛直な性質から、延伸によって塗膜構造の断裂を生じ、帯電防止性能を失ってしまう場合がある。しかし成分(A)に成分(B)を組み合わせることで、延伸後にも帯電防止性能が失われないという効果を奏する。このため、第一下引き層をインラインコーティング(後述)にて設ける場合においては、特に好適である。
グリセリン(b2)及びポリグリセリン(b3)としては、下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
ポリグリセリン(b3)としては、上記式(3)の化合物において、nが2〜20のものが特に好ましい。また、グリセリン又はポリグリセリンへのアルキレンオキサイド付加物(b4)としては、上記式(3)の化合物においてnが2のものにエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドを付加した構造のものが特に好ましく、また、その付加数は、最終的な化合物(b4)としての重量平均分子量で300〜2000の範囲になるものが特に好ましい。
また、第一下引き層中に占める(A)電子導電性化合物の含有量の下限は、好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。(A)電子導電性化合物の含有量が前記の下限より低いと、帯電防止性能が不十分となったり、十分な帯電防止性能を持つための塗膜が極めて厚くなったりする。塗膜が厚くなると、外観・透明性の悪化や、フィルムのブロッキングを生じる傾向がある。
第一下引き層を設けるための塗布液中には、必要に応じて上記で述べた成分以外を含むことができる。すなわち、第一下引き層中に、上記で述べた成分以外を含むことができる。例えば、界面活性剤、その他のバインダー、粒子、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料、顔料等である。これらの添加剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて二種以上を併用してもよい。
なお第一下引き層の厚みは、第一下引き層を設けたフィルムをルテニウム化合物やオスミウム化合物等の重金属を用いて染色を行い、超薄切片法により塗布フィルムの断面を調整した後、透過型電子顕微鏡にて塗布フィルム断面の塗布層を複数個所観測し、その実測値を平均することで確認する事ができる。
なお、第一下引き層を形成する塗布剤の基材への塗布性、接着性を改良するため、塗布前に基材に化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理等を施してもよい。
塗布延伸法の場合、用いる塗布液は、取扱い上、作業環境上、安全上の理由から水溶液または水分散液であることが望ましいが、本発明の要旨を越えない範囲で、水を主たる媒体とした上で有機溶剤を含有していてもよい。
本発明における第二下引き層は、加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有する。加水分解性アルコキシシリケートとしては、一般式Si(OR1)4で示す構造が挙げられる。
ここでR1は、炭素数が1〜10の炭化水素基を表す。より具体的には、R1は炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。R1がエチル基であるエトキシシリケートは、加水分解のし易さおよびその後の縮合反応のし易さから好適である。なお4官能のR1が全て同一である必要はない。
また、必要に応じて第二下引き層中に、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、有機系高分子粒子、酸化防止剤、紫外線吸収剤発泡剤、染料等が含有されてもよい。
本発明における第二下引き層の塗布量は、乾燥後被膜の厚みとして、通常0.005〜1μm、好ましくは0.005〜0.5μmの範囲である。塗布量が前記の下限未満の場合には、塗布厚みの均一性が不十分な場合があり、熱処理後、塗布層表面から析出するオリゴマー量が多くなる場合がある。一方、前記の上限を超えて塗布する場合には、滑り性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において、第一下引き層の上に第二下引き層を形成する際の硬化条件に関しては限定されないが、通常100℃以上の熱処理を与え、好ましくは120〜200℃で3〜40秒間、さらに好ましくは120〜160℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行う。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。100℃以上で加熱処理されない場合、オリゴマーの析出量が多くなったり、塗布層の硬化が不十分なために離型層の剥離力の変動が大きくなったりして好ましくない傾向にある。
本発明では、上述のようにして得られた、二軸延伸ポリエステルフィルム上の第一下引き層、第二下引き層の上に更に硬化型シリコーン樹脂を含有する離型層を設ける。この離型層は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461;ダウ・コーニング・アジア(株)製DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210;東芝シリコーン(株)製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721;東レ・ダウ・コーニング(株)製SD7220、SD7226、SD7229等が挙げられる。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明における離型層の塗布量は、離型層形成後の乾燥被膜として、通常0.01〜1g/m2の範囲である。離型層の塗布量は、塗料の重量濃度と塗布面積、塗料の使用量から計算できる。塗布量がこれより少ない場合、均一な離型性を得ることが難しくなる場合があり、これより多い場合、ブロッキングなどの問題が生じてくる場合がある。
なお、離型層の厚みを前述のように透過型電子顕微鏡にて断面から確認し、比重で割ることで塗布量を求めることもできる。一般的に硬化性シリコーンの比重は0.9〜1.2程度が多い。厚み0.1μmの離型層の塗布量は、比重1の時0.1g/m2である。
また、第二下引き層の塗布と、離型層の塗布を行った後に、第二下引き層における重縮合反応と離型層における硬化反応とを同時に行うことも出来る。
なお、実施例および比較例における評価方法は下記のとおりである。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
ポリエステル原料を約200mg秤量し、クロロホルム/HFIP(ヘキサフルオロ−2−イソプロパノル)の比率3:2の混合溶媒2mlに溶解させた。溶解後、クロロホルム20mlを追加した後、メタノール10mlを少しずつ加えた。沈殿物を濾過により除去し、更に、沈殿物をクロロホルム/メタノールの比率2:1の混合溶媒で洗浄し、濾液・洗浄液を回収し、エバポレーターにより濃縮、その後、乾固させる。乾固物をDMF(ジメチルホルムアミド)25mlに溶解後、この溶液を液体クロマトグラフィー(島津製作所製「LC−7A」)に供給して、DMF中のオリゴマー量を求め、この値をポリエステル原料量で割って、含有オリゴマー量(重量%)とした。DMF中のオリゴマー量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。
なお、液体クロマトグラフの条件は下記のとおりとした。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2重量%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製「MCI GEL ODS 1HU」
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
包埋樹脂でフィルムを固定し断面をミクロトームで切断し、2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して試料を調整した。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)で観察し、塗布層の厚みを測定した。フィルムの計15箇所を測定し、数値の大きい方から3点と、小さい方から3点を除いた9点の平均を塗布層厚みとした。
得られた離型フィルムを、暗室下でハロゲンライトを用いて目視で塗布面の外観を評価し、以下の基準で判断した。
5:外観上の欠陥が全く無く優れる場合
4:ムラ状の外観欠陥が僅かに認められるが、外観が良好の場合
3:ムラ状の外観欠陥が認められ、外観が普通の場合
2:ムラ状の外観欠陥がやや多く認められ、外観がやや悪い場合
1:ムラ状の外観欠陥が多く認められ、外観が悪い場合
離型フィルムを23℃/50%RHの室内に30日間放置後、離型面を指先で数回摩擦し、離型面の具合を以下の評価基準にて判断し、密着性の目安とした。
○:フィルム表面に変化が見られず良好
×:フィルム表面に指で擦った痕が見られ、剥離力も変化している
低抵抗率計(三菱化学社製 ロレスタGP MCP−T600)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で離型フィルムの試料を30分間調湿後、離型層面の表面固有抵抗を測定した。
試料の抵抗値が高く、上記の方法で測定が不可能な場合は、高抵抗測定器(日本ヒューレット・パッカード社製 HP4339Bおよび測定電極:HP16008B)を使用し、23℃,50%RHの測定雰囲気で離型フィルムの試料を30分間調湿後、離型層面の表面固有抵抗を測定した。
表面固有抵抗が1.0×1010Ω未満であれば、帯電防止性が良好である。
表面固有抵抗が1.0×108Ω未満であれば、帯電防止性が極めて優れている。
離型フィルム試料の離型層表面に粘着テープ(日東電工性No.31Bテープ、基材厚み25μm)を貼り付けた後、100℃の熱風循環式恒温槽にて1時間加熱し、恒温槽から取り出した後、23℃で30分放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離試験を行った。
剥離力が高い場合、離型フィルムとして使用する場合に、剥離工程でのエラーが起きたり、粘着剤に変形を生じたりする恐れがある。本試験においては、剥離力が20mN/cm以下であれば、十分に小さいと判断した。
離型フィルムの離型面に、アクリル系粘着剤 コーポニールN−2233(日本合成化学工業製)を乾燥後厚さ3μmになるように塗布し、粘着層を設けた。この粘着層を介し、離型フィルムをガラス板に貼り付けた後、160℃で2.5時間加熱した。その後、粘着層内に生じた異物を光学顕微鏡下で検査した。検査は、100mm×100mmの面積を試料の任意の箇所から12箇所選択し、5μm以上の大きさの異物個数をカウントした。全12箇所の検査範囲のうち、異物個数が最も多かった2箇所を除き、10箇所の検査範囲内での異物個数の合計から、以下の基準で判定した。
○:異物が見つからない
△:異物が1個以上、3個未満(実用上やや問題になる)
×:異物が3個以上(実用上問題になる)
上記粘着層光学欠陥検査1と同様の処理で160℃で2.5時間加熱した試験片から離型フィルムを剥離し、さらにガラス板に貼り付けて、2枚のガラス板で粘着層が挟まれた状態の試験片を作成した。次にこの試験片を60℃、95%RHの環境下で10日間エージング処理を行った。このエージング処理により、粘着層に溶解していたオリゴマーが結晶成長し、より異物として顕在化しやすくなる。この試験片の粘着層内に生じた異物を光学顕微鏡下で検査した。検査は、100mm×100mmの面積を試料の任意の箇所から12箇所選択し、5μm以上の大きさの異物個数をカウントした。全12箇所の検査範囲のうち、異物個数が最も多かった2箇所を除き、10箇所の検査範囲内での異物個数の合計から、以下の基準で判定した。
○:異物が見つからない
△:異物が1個以上、3個未満(実用上やや問題になる)
×:異物が3個以上(実用上問題になる)
<ポリエステル1>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加した後、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル1の極限粘度は0.63、オリゴマー(環状三量体)の含有量は0.97重量%であった。
ポリエステル1を、予め160℃で予備結晶化させた後、温度220℃の窒素雰囲気下で固相重合し、極限粘度0.75、オリゴマー(環状三量体)含有量0.46重量%のポリエステル2を得た。
ポリエステル1の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04重量部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径(d50)が1.6μmのシリカ粒子を0.3重量部、三酸化アンチモン0.04重量部を加えて、極限粘度0.65に相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル1の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル3を得た。得られたポリエステル3は、極限粘度0.65、オリゴマー(環状三量体)含有量0.91重量%であった。
(A1):ポリ(エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸)(H.C.スタルク社製 Baytron P AG)
(B1):前記式(3)でn=2であるポリグリセリン骨格へのポリエチレンオキサイド付加物(平均分子量350)
(B2):ポリビニルアルコール(けん化度88モル%、重合度500)
(E1):下記式(4)に示す、側鎖にポリエチレンオキサイドを有する構造のノニオン性界面活性剤。(m+n=10となるものを用いた)
(S1):加水分解性アルコキシシリケート(コルコート社製 コルコートN−103X)
(S2):エチル化メチロールメラミン(酸触媒含有)
<離型層組成物1>
(R1):硬化型シリコーン樹脂(LTC303E:東レ・ダウコーニング製)
(R2):硬化剤(SRX212:東レ・ダウコーニング製)
R1を50重量部、R2を1重量部、「メチルエチルケトン/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1/2/2)」を800重量部
(R3):硬化型シリコーン樹脂(KS−847H:信越化学工業製)
(R4):硬化剤(CAT−PL−50T:信越化学工業製)
R3を48重量部、R4を1重量部、「メチルエチルケトン/トルエン/n−ヘプタン混合溶媒(混合比率は1/2/2)」を820重量部
ポリエステル2とポリエステル3とを重量比で93/7でブレンドしたものをA層、ポリエステル1のみのものをB層の原料として、二台のベント式二軸押出機にそれぞれを供給し、285℃に加熱溶融し、A層を二分配して最外層(表層)、B層を中間層とする二種三層(A層/B層/A層)の層構成で共押出し、静電密着法を用いて表面温度40〜50℃の鏡面冷却ドラムに密着させながら冷却固化させて、厚み構成比がA層/B層/A層=2.5/33/2.5となる未延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成した。このフィルムを85℃の加熱ロール群を通過させながら長手方向に3.7倍延伸し、一軸配向フィルムとした。
得られた一軸配向フィルムの片面に、表1に示すとおりの塗布液を塗布した。次いでこのフィルムをテンター延伸機に導き、その熱を利用して塗布液の乾燥、熱処理を行いつつ、100℃で幅方向に4.0倍延伸し、さらに230℃で熱処理を施した後、幅方向に2%の弛緩処理を行った。こうして、厚みが38μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、厚さ0.04μmの第一下引き層を設けた積層ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの第一下引き層の上に、表1に示す通りの塗布液を塗布し、130℃、30秒間乾燥、熱処理し、乾燥後の塗布厚みが表1に示す通りの第二下引き層を設けた。
さらに第二下引き層の上に離型層組成物1を、乾燥後の塗布量が0.1g/m2になるように、リバースグラビアコート方式により塗布した後、150℃、30秒間乾燥、熱処理し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
離型層の塗料を離型層組成物2に変更した以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
ポリエステル1とポリエステル3とを重量比で90/10でブレンドしたものをA層の原料として用いた以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
第一下引き層の組成物を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
第二下引き層の成分と厚みを表1に示すように変更した以外は実施例2と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
第一下引き層を設けなかった以外は実施例2と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
第二下引き層を設けなかった以外は実施例1と同様にして、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの諸特性を評価した結果を表1に示す。
Claims (4)
- 二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材、第一下引き層、第二下引き層および離型層がこの順で積層されてなり、
前記第一下引き層が下記(A)成分を含有し、
前記第二下引き層が加水分解性アルコキシシリケート及び/又はその重縮合物を含有し、
前記離型層が硬化型シリコーン樹脂を含有する離型フィルム。
(A):電子導電性化合物 - 前記第一下引き層が下記(B)成分を含有する請求項1に記載の離型フィルム。
(B):ポリアルキレンオキサイド(b1)、グリセリン(b2)、ポリグリセリン(b3)、及びグリセリン又はポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物(b4)の群から選ばれる1種以上の化合物又はその誘導体 - 二軸延伸ポリエステルフィルムが多層構造を有し、第一下引き層に接する層が、オリゴマー含有量0.7重量%以下のポリエステルを80重量%以上含有する厚み2μm以上の層である請求項1又は2に記載の離型フィルム。
- 請求項1〜3の何れかに記載の離型フィルムと粘着剤層とを有する離型フィルム付き粘着剤。
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