JP6775937B2 - 電極材料、電極材料の製造方法、および電極材料を備えた蓄電デバイス - Google Patents

電極材料、電極材料の製造方法、および電極材料を備えた蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、電極活物質と炭素材料との複合体からなる電極材料、電極材料の製造方法、および電極材料を備えた蓄電デバイスに関する。
従来より、電気化学素子負極用のリチウム吸蔵、放出活物質として、グラファイトやハードカーボン等の炭素材料が負極に使用されている。しかし、これらの炭素材料を用いた負極の電位は、金属リチウムの電位に近い電位でリチウムを吸蔵する。そのため、低温環境下において負極上に金属リチウムが析出し、デンドライト結晶が成長するおそれがある。デンドライト結晶が成長すると、電極間における内部短絡や、電解液の還元等を引き起こすことが懸念されている。
そこで、近年では、金属リチウムの電位に対して1.5Vでリチウムを吸蔵・放出するチタン酸リチウムが注目されている。このようなチタン酸リチウムは、リチウムの析出や電解液の分解などの副反応が生じにくい。また、チタン酸リチウムは、リチウムイオンの挿入・離脱に伴う体積変化が少なく、容量劣化が起きにくいという特徴がある。
特開2007−160151号公報 特開2008−270795号公報
炭素材料に担持されたチタン酸リチウムは、旋回する反応器内で反応物にずり応力と遠心力を加えることにより得られる。反応物としては、例えば、チタン酸リチウムの出発原料であるチタンアルコキシドと酢酸リチウム、炭素材料であるカーボンナノチューブやケッチェンブラック、および酢酸等が使用される。
以上のようにして炭素材料と金属化合物の複合体を作製した場合、金属化合物単体に比べて高い出力特性を発揮することが可能になる。ただし、炭素材料は導電性補助剤であり、電極の容量に寄与する物質ではない。したがって、電極のエネルギー密度を向上することができる電極材料の開発が望まれていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その目的は、電極のエネルギー密度を向上することができる電極材料、電極材料の製造方法、および電極材料を備えた蓄電デバイスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を重ねた結果、TiO(B)/炭素材料の複合体を焼成によって炭素材料を焼失させる処理を施すことで、TiO(B)の金属粒子が、金属粒子の表面に付着した炭素材料を介して連結されている金属粒子群が得られることを見出した。この金属粒子群を用いることにより、電極のエネルギー密度を向上させた蓄電デバイスが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る電極材料は、TiO(B)の金属粒子と炭素材料と、を含み、記金属粒子の表面に付着した前記炭素材料を介して連結されている金属粒子群を含み、前記金属粒子群に含まれる前記炭素材料の割合は、1〜10重量%であること、を特徴とする。
以上のような電極材料を用いて形成された電極を含む蓄電デバイスも、本発明の一態様である。
また、本発明に係る電極材料の製造方法は、TiO(B)の前駆体源と炭素材料を複合化する前駆体複合化工程と、前記炭素源と複合化されたTiO(B)の前駆体を加熱処理により結晶化させ、TiO(B)と炭素材料の複合体を得る複合化工程と、TiO(B)と炭素材料の複合体を焼成し、属粒子群に含まれる前記炭素材料の割合を、1〜10重量%とする焼成工程と、を有すること、を特徴とする。
本発明によれば、電極のエネルギー密度を向上することができる電極材料、電極材料の製造方法、および電極材料を備えた蓄電デバイスを提供することができる。
本発明の電極材料を製造するための電気化学素子反応に用いる反応器の1例である。 TiO(B)/炭素材料の焼結体の製造工程を示すフローチャートである。 TiO(B)/KB複合体のTEM像(×400k)である。 実施例1、比較例1および参考例1の電極材料を用いてそれぞれ作製された電池セルのレート特性を示すグラフである。 実施例1および比較例1の電極材料を用いてそれぞれ作製された電池セルのレート特性を示すグラフである。 実施例1および比較例1の電極材料について、XRD(X線粉末回折法)により結晶構造解析を行った結果を示すスペクトルである。 実施例1のTiO(B)/KB焼結体について熱重量分析を行った結果を示すTg曲線である。 実施例1のTiO(B)/KB焼結体のTEM像(×300k)である。 実施例1のTiO(B)/KB焼結体のX線光電子分光法(XPS)による分析結果を示すスペクトルである。 実施例1、比較例1および参考例1の電極材料のTEM画像((a)×8k、(b)×5k、(c)×10k)である。 実施例1、比較例1および参考例1の電極材料のBJH細孔分布を示したグラフである。 実施例1および参考例1の電極材料のSEM画像((a)×30k、(b)×50k)である。 比較例1のTiO(B)/KB複合体を用いた電池セルの充放電特性を示すグラフである。 実施例1のTiO(B)/KB焼結体を用いた電池セルの充放電特性を示すグラフである。
[1.構成]
以下、本発明に係る電極材料および電極材料を用いた蓄電デバイスの実施形態について詳細に説明する。
(1)電極材料
電極材料は、ブロンズ型二酸化チタン(以下、TiO(B)と記載する)と導電性炭素材料を含む。電極材料は、TiO(B)の金属粒子が炭素材料を介して連結されている金属粒子群である。TiO(B)は、その表面周囲に付着した炭素材料に包まれたような状態で存在している。よって、TiO(B)の表面周囲に付着した炭素材料を介して、TiO(B)が連結されている状態である。そのため、金属粒子群においては、TiO(B)の金属粒子が炭素材料を介して近接した状態で隣接し、TiO(B)の金属粒子同士が凝集することが抑制されている。
TiO(B)は、Ti金属から得られる4核チタン錯体に添加剤を添加し、水熱合成を行うことにより得られる。4核チタン錯体を用いた場合、例えばケッチェンブラック等の炭素材料において、TiO(B)が炭素材料のグラフェン部に刺さるようにして担持された複合体が得られる。電極材料は、複合体を焼成することにより得られる焼結体であり、炭素材料の一部が焼失するとともに、TiO(B)の表面周囲に付着して残存している。そのため、残存した炭素材料により導電パスを形成させつつ、電極のエネルギー密度に寄与しない炭素材料が低減されることとなる。よって、電極の出力特性を維持しつつ、エネルギー密度を向上することができる。
TiO(B)の金属粒子は、ナノ粒子である。ナノ粒子は、一次粒子を指すが、一次粒子の凝集体である二次粒子が含まれていても良い。ナノ粒子の直径は、5〜20nmである。金属粒子は概ね(50%以上)が、粒子径5〜20nmであることが好ましい。隣接するTiO(B)の金属粒子間の距離は、1〜5nmである。金属粒子は概ね(50%以上)の粒子間距離が1〜5nmであることが好ましい。電極材料は細孔を有し、細孔分布は5nm〜20nmの範囲である。特に10〜20nmの範囲に細孔ピークを有していることが好ましい。このような細孔により、十分なリチウムイオン拡散経路を確保できる。電極材料に含まれる炭素材料の割合は、1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
炭素源として用いられる炭素材料としては、中空シェル構造のカーボンブラックであるケッチェンブラック、繊維構造のカーボンナノチューブ(CNT)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、無定形炭素、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、活性炭、メソポーラス炭素のうちの一種又は複数種類を混合して使用することができる。カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)及び多層カーボンナノチューブ(MWCNT)の何れでもよい。炭素材料が繊維構造を有する場合(例えば、CNT、カーボンナノファイバ(CNF)や気相成長カーボンファイバ(VGCF))、繊維構造の分散及び均質化を目的として超高圧分散処理を施したものを使用しても良い。その他、熱処理によって炭素材料となりうる有機物でもよい。例えば、多価アルコール(エチレングリコールなど)、ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなど)、糖類(グルコースなど)、アミノ酸(グルタミン酸など)などの有機物を用いることができる。
電極材料は粉末として得られ、この粉末をバインダと混錬して成型することで、電気エネルギーを貯蔵する電極となる。この電極は、リチウムを含有する電解液を用いる電気化学キャパシタや電池に用いることができる。
(2)蓄電デバイス
上記の電極材料は、正極及び負極にそれぞれ金属化合物を用いたリチウムイオン二次電池や、正極に活性炭、負極にリチウムイオンを可逆的に吸着/脱着可能な材料を用いたリチウムイオンキャパシタ等の蓄電デバイスに用いることができる。
電極の活物質層は、必要に応じてバインダを溶解した溶媒に、電極材料を分散させ、得られた分散物をドクターブレード法などによって集電体上に塗工し、乾燥することにより形成する。電極材料を、バインダと混合および混練した後シート状に成形し、これを集電体に接合することで形成しても良い。また、得られた分散物を所定形状に成形し、集電体上に圧着しても良い。
集電体としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、チタン、鋼、カーボン等の導電材料を使用することができる。特に、アルミニウムおよび銅を用いることが好ましい。高い熱伝導性と電子伝導性とを有しているからである。集電体の形状は、膜状、箔状、板状、網状、エキスパンドメタル状、円筒状などの任意の形状を採用することができる。
バインダとしては、例えばフッ素系ゴム,ジエン系ゴム,スチレン系ゴム等のゴム類、ポリテトラフルオロエチレン,ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、カルボキシメチルセルロース,ニトロセルロース等のセルロース、その他、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂,アクリル樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらのバインダは、単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。バインダの含有量は、混合材料の総量に対して1〜30質量%であるのが好ましい。1質量%以下であると活物質層の強度が十分でなく、30質量%以上であると電極の放電容量が低下する、内部抵抗が過大になるなどの不都合が生じる。
電極としては、一般的なリチウムイオン二次電池において使用されている黒鉛電極の他、公知の正極・負極用活物質を特に限定無く使用することができる。活物質の例としては、Fe、MnO、MnO、Mn、Mn、CoO、Co、NiO、Ni、TiO、TiO、SnO、SnO、SiO、RuO、WO、WO、ZnO等の酸化物、Sn、Si、Al、Zn等の金属、LiVO、LiVO、LiTi12などの複合酸化物、Li2.6Co0.4N、Ge、Zn、CuNなどの窒化物を挙げることができる。
活物質層は、必要に応じてバインダを溶解した溶媒に、上記活物質と導電剤とを分散させ、得られた分散物をドクターブレード法などによって集電体上に塗工し、乾燥することにより作製することができる。また、得られた分散物を所定形状に成形し、集電体上に圧着しても良い。導電剤としては、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛などの炭素粉末を使用することができる。
セパレータとしては、クラフト,マニラ麻,エスパルト,ヘンプ,レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ガラス繊維、ガラス混合紙、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド,半芳香族ポリアミド,全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂等があげられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。セパレータに保持される電解液は、非水系溶媒に電解質を溶解させた電解液が使用され、公知の非水系電解液を特に制限なく使用することができる。
非水系電解液の溶媒としては、電気化学的に安定なエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、スルホラン、3−メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル及びジメトキシエタン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド又はこれらの混合物を好適に使用することができる。
非水系電解液の溶質としては、有機電解液に溶解したときにリチウムイオンを生成する塩を、特に限定なく使用することができる。例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiN(CFSO、LiCFSO、LiC(SOCF、LiN(SO、LiAsF、LiSbF、又はこれらの混合物を好適に使用することができる。非水系電解液の溶質として、リチウムイオンを生成する塩に加えて、第4級アンモニウムカチオン又は第4級ホスホニウムカチオンを有する第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩を使用することができる。例えば、R1R2R3R4N+又はR1R2R3R4P+で表されるカチオン(ただし、R1、R2、R3、R4は炭素数1〜6のアルキル基を表す)と、PF 、BF 、ClO 、N(CFSO 、CFSO 、C(SOCF 、N(SO 、AsF 又はSbF からなるアニオンとからなる塩、又はこれらの混合物を好適に使用することができる。
なお、本発明の電極材料の用途として上述のリチウムイオン二次電池を例示したが、これに限らず、リチウムイオンキャパシタにも用いることもできる。この場合は、例えば本願発明の電極材料を負極電極に用い、正極としてリチウムイオンを可逆的に担持できる物質として例えば活性炭を用い、電解液等も上述のリチウムイオン二次電池用のものを使用してリチウムイオンキャパシタを構成することができる。
[2.電極材料の製造方法]
上記のような本実施形態の電極材料の製造方法は、以下の工程を含む。
(1)TiO(B)の前駆体と炭素源とを複合化する前駆体複合化工程。
(2)前記炭素源と複合化された前駆体を加熱処理により結晶化させ、TiO(B)と炭素材料の複合体を得る複合化工程。
(3)前記TiO(B)と炭素材料の複合体を焼成する焼成工程。
(1)前駆体複合化工程
前駆体複合化工程は、炭素源とTiO(B)の前駆体を混合し、または一方に担持させて、複合化させる工程である。TiO(B)の前駆体と炭素源とを複合化させる方法は、一例として、炭素源およびTiO(B)の前駆体をナノ粒子化しつつ、TiO(B)の前駆体を炭素源の官能基に吸着させる方法があげられる。
まず、TiO(B)の前駆体である、4核チタン錯体を以下の方法で形成する。Ti金属の粉末を、過酸化水素水とアンモニア水の混合溶液に添加し、常温で撹拌後、静置することによりペルオキソチタン酸錯体([Ti(OH)]-)とする。撹拌時間は1〜2時間である。
得られたペルオキソチタン酸錯体溶液に対して、錯形成剤を添加して錯体を安定化させる。錯形成剤はヒドロキシカルボン酸であるグリコール酸を用い、4核チタン錯体であるペルオキソグリコール酸チタン錯体を作製する。グリコール酸は、チタン1当量に対して1.5当量添加する。グリコール酸を添加したペルオキソチタン酸錯体溶液を蒸発乾固させることで、余分な過酸化水素水とアンモニアを除去し、乾固物を得る。蒸発乾固は、温度70〜90℃において、2〜5時間撹拌加熱することにより行う。得られた乾固物は、4核チタン錯体([Ti(C(C(O-)の粉体である。この粉体は、TiO(B)の前駆体であり、材料源と捉えることもできる。
次に、炭素源とTiO(B)の前駆体を複合化させるために、4核チタン錯体を溶媒に溶解後、炭素源と安定化剤を添加し、メカノケミカル処理を施す。4核チタン錯体と炭素源の重量比は、60:40〜90:10とすると良い。ただし、炭素源として有機物を用いる場合、4核チタン錯体と炭素源の重量比は、50:50〜90:10とすることができる。溶媒は水を用いるが、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いても良い。また、安定化剤としてはグリコール酸を用いる。安定化剤としてのグリコール酸は、チタン1当量に対して1〜3当量添加する。
メカノケミカル処理は、旋回する反応容器等を用いてずり応力や遠心力等の機械的エネルギーを与える処理である。メカノケミカル処理は、超遠心力処理(Ultra-Centrifugal force processing method:以下、UC処理という)等、ずり応力、遠心力、その他の機械的エネルギーを加えることができればよい。要するに、機械的エネルギーによって、炭素源の表面上にTiO(B)の前駆体を生成できればよい。メカノケミカル処理は、4核チタン錯体及び炭素源の微細化と高分散化処理を兼ねることもできる。
UC処理について図1を参照して説明する。図1に示す反応器は、開口部にせき板1−2を有する外筒1と、貫通孔2−1を有し旋回する内筒2からなる。この反応器の内筒2内部に反応物を投入し、内筒2を旋回することによってその遠心力で内筒2内部の反応物が内筒の貫通孔2−1を通って外筒の内壁1−3に移動する。この時反応物は内筒2の遠心力によって外筒の内壁1−3に衝突し、薄膜状となって内壁1−3の上部へずり上がる。この状態では反応物には内壁1−3との間のずり応力と内筒からの遠心力の双方が同時に加わり、薄膜状の反応物に大きな機械的エネルギーが加わることになる。この機械的なエネルギーが反応に必要な化学エネルギー、いわゆる活性化エネルギーに転化するものと思われる。これにより、短時間で反応が進行する。
この反応において、薄膜状であると反応物に加えられる機械的エネルギーは大きなものとなるため、薄膜の厚みは5mm以下、好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下である。なお、薄膜の厚みはせき板の幅、反応液の量によって設定することができる。この薄膜を生成するためには、1500N(kgms−2)以上の遠心力を発生されることが望ましい。好ましくは60000N(kgms−2)以上、さらに好ましくは270000N(kgms−2)以上である。
以上のような、UC処理により、4核チタン錯体が吸着された炭素源は生成される。すなわち、炭素源、4核チタン錯体、安定化剤、及び水を反応器の内筒の内部に投入する。そして、内筒を旋回して、これらを混合、分散すると共に加水分解、縮合反応を進行させ、化学反応を促進させる。反応終了と共に、4核チタン錯体と炭素源とを複合化させることができる。
(2)複合化工程
複合化工程は、炭素源と複合化されたTiO(B)の前駆体を加熱処理により結晶化させ、TiO(B)と炭素材料の複合体を得る工程である。TiO(B)の前駆体である4核チタン錯体を結晶化させる加熱処理としては、UC処理により得られた懸濁液について添加剤を添加し、水熱合成を行う方法がある。水熱合成は、高温高圧の水蒸気の存在下で結晶成長を行う手法である。添加剤としては、硫酸を用いる。硫酸は、チタン1当量に対して2.9当量添加する。
水熱合成は原料と、水などの溶媒をオートクレーブに装入し加圧下に加熱し、飽和蒸気中にて行なう。加圧・加熱することにより常温常圧下では水に溶けにくい物質を溶解させ、反応速度を増大させて、結晶の成長を促進することができる。オートクレーブに投入する溶媒として水以外にも、例えばアルコール類(エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等)などの有機溶媒や、これらの有機溶媒と水との混合溶液を用いることもできる。
加熱温度は110〜250℃、加熱時間は1〜8時間とする。250℃以下という比較的低温で結晶化を行うため、粒径の小さなナノ粒子においても結晶を維持できると考えられる。密閉容器中で加熱することにより加圧も同時に行なわれる。オートクレーブの内圧は、1.1〜84.8気圧程度が好ましい。オートクレーブの内圧は温度によって決まるが、積極的に加圧してもよい。以上のような水熱合成により、4核チタン錯体が結晶化し、TiO(B)が炭素材料に担持された複合体が得られる。なお、炭素源として、熱処理によって炭素材料となりうる有機物を用いた場合は、このTiO(B)の前駆体の結晶化のための熱処理の際に、有機物が少なくとも部分的には炭化されてカーボン(炭素材料)が生成される。
(3)焼成工程
焼成工程は、TiO(B)と炭素材料の複合体を焼成し、炭素材料の一部を焼失させる工程である。なお、焼成工程に先立ち、複合化工程で得られたTiO(B)と炭素材料の複合体を遠心分離し、水熱合成後の残留物を除去すると良い。また、遠心分離後の複合体について、真空乾燥を行い水分を除去しても良い。また、電気炉において300℃程度での焼成を行うことで、安定化剤としてのグリコール酸など、残留物を除去しても良い。
焼成工程では、例えば400℃で12〜72時間焼成することで、炭素材料の一部を消失させる。焼成温度は、炭素が酸化し消失する温度である350℃以上かつ450℃以下、特にはTiO(B)がアナターゼ型に転移する温度である400℃以下とすることが好ましい。焼成は、電気炉により空気中で加熱することで行う。以上のような焼成工程では、炭素材料の一部が焼失するが、全ての炭素材料が消失することはない。特に、TiO(B)と炭素材料の境界面にある炭素材料が燃え残り、TiO(B)の表面周囲に炭素材料が残存して付着する。よって、1〜10重量%の炭素材料を含む、TiO(B)と炭素材料の複合体が得られる。
[3.作用効果]
本実施形態の電極材料が奏する作用効果は以下の通りである。
(1)本実施形態の電極材料は、TiO(B)の金属粒子と炭素材料と、を含み、金属粒子の表面に付着した炭素材料を介して連結されている金属粒子群を含む。
以上のような電極材料では、金属粒子の表面に付着した炭素材料がTiO(B)の金属粒子間に介在することにより、TiO(B)の金属粒子同士が凝集することが防止される。よって、優れた導電経路が確保され、リチウムイオンの拡散経路が保たれる。また、炭素材料は、金属粒子の表面に付着する程度存在するのみであり、TiO(B)/炭素材料の複合体のようにTiO(B)を担持する基材となるものではない。そのため、電極材料に含まれる炭素材料の量が低減される。炭素材料は電極の容量に寄与する物質ではないことから、炭素材料の量が低減された本実施形態の電極材料を用いて電極を作製することで、蓄電デバイスの電極のエネルギー密度を向上させることができる。
(2)前記金属粒子の直径は、5〜20nmである。
TiO(B)の金属粒子がナノ粒子の場合、炭素材料を単純に低減させた場合には凝集が生じやすく、導電性を保つことが難しい。しかし、本実施形態の電極材料では、TiO(B)の金属粒子の表面周囲に炭素材料が付着している。そのため、金属粒子がナノ粒子の場合であっても、凝集が防止され優れた導電性を維持することができる。そのため、容量密度が高いTiO(B)のナノ粒子の利点を十分に活用することが可能となる。
(3)前記金属粒子間の距離は、1〜5nmである。
上記の通り、本実施形態の電極材料は、炭素材料にTiO(B)が担持されている複合体とは異なり、表面に付着した炭素材料を介して金属粒子が連結されているものである。すなわち、炭素材料が低減されており、金属粒子は炭素材料を介して近接して連結されている。
(4)金属粒子群は細孔を有し、細孔分布が5〜20nmである。
本実施形態の電極材料の細孔分布は、リチウムイオンを供給するための電解液に対して、十分な通り道となる細孔分布である。よって、リチウムイオン拡散経路が確保され、高出力特性を発揮することができる。
(5)金属粒子群に含まれる炭素材料の割合は、1〜10重量%である。
表面に付着した炭素材料を介して金属粒子が連結されている本実施形態の電極材料では、含有される炭素材料の割合が1〜10重量%と極めて少ない範囲とすることで、電極材料1gあたりの容量密度が増加し、電極のエネルギー密度を向上させることができる。
(6)また、本実施形態の電極材料の製造方法は、TiO(B)の前駆体と炭素源とを複合化させる前駆体複合化工程と、前記炭素源と複合化されたTiO(B)の前駆体を加熱処理により結晶化させ、TiO(B)と炭素材料の複合体を得る複合化工程と、TiO(B)と炭素材料の複合体を焼成する焼成工程と、を有する。
TiO(B)と炭素材料の複合体を焼成することにより、電極材料に含まれる炭素材料の一部を焼失させ、金属粒子が、金属粒子の表面に付着した炭素材料を介して連結されている金属粒子群を得ることができる。
(7)TiO(B)の前駆体として、4核チタン錯体を形成する前駆体形成工程をさらに有する。
TiO(B)の前駆体として、4核チタン錯体を用いた場合、TiO(B)が炭素材料のグラフェン部に刺さるようにして担持された複合体が得られる。すなわち、複合体においては、TiO(B)同士が凝集せず、TiO(B)の表面周囲に炭素材料が存在している。この複合体を焼成することにより、TiO(B)の表面周囲の炭素材料が燃え残り、TiO(B)の表面周囲に付着する。
(8)TiO(B)の前駆体と、炭素材料の重量比は、50:50〜90:10である。
炭素材料を10%以上含有させることにより、複合体においてTiO(B)同士が凝集せず、炭素材料により導電パスが形成される。この複合体を焼成することにより、金属粒子が、金属粒子の表面に付着した炭素材料を介して連結されている金属粒子群を得ることができる。
(9)前駆体複合化工程は、旋回する反応容器内で、炭素材料とTiO(B)の前駆体とを含む溶液にずり応力と遠心力を加えてメカノケミカル反応をさせる処理である。
メカノケミカル処理を用いることで、炭素材料およびTiO(B)の前駆体をナノ粒子化しつつ、炭素材料にTiO(B)の前駆体を担持させることができる。また、炭素材料において、TiO(B)の前駆体が均一に分散される。
(10)複合化工程は、250℃以下の温度で行われる。
複合化工程での加熱温度を300℃以下とすることで、炭素材料が酸化し消失することを防止できる。特に、250℃以下という比較的低温で結晶化を行うと、粒径の小さなナノ粒子においても結晶を維持できる。
(11)焼成工程は、350℃以上450℃以下の温度で行われる。
焼成工程での加熱温度を300℃以上とすることで、炭素材料の一部を酸化させ消失させることができる。また、450℃以下、特には400℃以下とすることで、TiO(B)が、容量の少ないアナターゼ型に転移することを防止できる。以上の温度範囲における加熱により、TiO(B)と炭素材料の境界面にある炭素材料が燃え残り、TiO(B)の表面周囲に炭素材料が残存して付着する。よって、1〜10重量%の炭素材料を含む、TiO(B)と炭素材料の複合体が得られる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(1)複合体および焼結体の作製
(a)TiO(B)/KB複合体
図2のフローチャートに示すように、まず、Ti金属と、Hを45.91g(30mass%)およびNHを11.90g(28mass%)を混合した後、常温で2時間攪拌し、[Ti(OH)]-を生成した。この混合溶液に、錯形成剤としてグリコール酸を1.333g添加し、80℃で4時間攪拌し[Ti(C(C(O-の結晶を得た。
次に、得られた結晶を水50mlに溶解した後ろ過し、炭素源としてのケッチェンブラック(KB)0.400gと安定化剤としてのグリコール酸2.666gを添加し、硫酸1803.3μL加えてpHを調整し、混合溶液を作製した。この混合溶液に対して、50m/sの回転速度で5分間のUC処理を行った。UC処理では、66000N(kgms−2)の遠心力を加えた。このUC処理により得られた懸濁液には、4核チタン錯体(TiO(B)の前駆体)と炭素源との複合体が含まれる。
この溶液を、PTFE製のオートクレーブに移し、飽和水蒸気中で200℃で2h水熱合成を行い、TiO(B)/KB(重量比70:30)複合体を得た。このときの圧力は15.3気圧であった。水熱合成により得られたTiO(B)/KB複合体に対して遠心分離後、真空乾燥を行い水分を除去した。さらに、300℃で4時間、電気炉焼成を行い残留物を除去した。
(b)TiO(B)/KB焼結体
上記(a)にて得られたTiO(B)/KB複合体を、電気炉にて400℃で48時間空気下焼成を行い、TiO(B)/KB焼結体を得た。
(TiO(B)/KB複合体のTEM像)
図3は、上記(a)にて得られたTiO(B)/KB(重量比70:30)複合体を観察したTEM像(×400k)である。図中、TiO(B)の結晶は、白抜きの斜線で強調されている。図3からも明らかな通り、複合体においてTiO(B)は、KB外側のグラフェン部分に刺さるようにして、つまりKBの表面に嵌まり込んで担持されていた。さらに、TiO(B)粒子同士が大きく凝集せずに、KB表面に分散されるようにして担持されて複合化されている。
(2)TiO(B)/KB焼結体の出力特性
次に、TiO(B)/KB焼結体の出力特性を確認するために、以下の電池セルを作製した。
(実施例1)
上記(b)のTiO(B)/KB焼結体の粉末と、導電性材料としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを混合した。混合割合は、(TiO(B)/KB焼結体)/AB/PVDF=80:10:10であった。この混合物を銅箔上に塗布したものを作用電極W.E.とした。前記電極上にセパレータと、Li金属からなる対極C.E.、および参照極としてLiフォイルを乗せた。また、電解液として、1MのLiBFのエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート1:1溶液を浸透させて、電池セルとした。
(比較例1)
実施例1のTiO(B)/KB焼結体の粉末の代わりに、上記(a)のTiO(B)/KB複合体の粉末を電極材料として用いた。この複合体の粉末と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、(TiO(B)/KB複合体)/PVDF=90:10の割合で混合した。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
(参考例1)
実施例1のTiO(B)/KB焼結体の粉末の代わりに、カーボン(KB)を加えずに合成したTiO(B)単体の粉末と導電性材料としてのアセチレンブラック(AB)を用い、TiO(B)/AB/PVDF=70:15:15の割合で混合した。それ以外は、実施例1と同様に作製した。
図4は、実施例1、比較例1および参考例1の電池セルのレート特性(活物質当たり)を示すグラフである。図4に示すように、焼結体を用いた実施例1および複合体の粉末を用いた比較例1の電池セルは、0〜300℃の全てにおいて活物質あたりの容量が、TiO(B)単体の粉末を用いた参考例1の電池セルより高かった。このように、実施例1及び比較例1は、参考例1と比べて高容量および高出力特性を達成していることが確認された。なお、実施例1と比較例1は同等の特性であった。
図5は、実施例1および比較例1の電池セルのレート特性(電極当たり)を示すグラフである。図5から明らかな通り、焼結体の粉末を用いた実施例1の電池セルは、TiO(B)/KB複合体の粉末を用いた比較例1の電池セルと比較して、電極あたりの出力特性が向上していた。実施例1の電池セルは含まれる炭素材料の量が、活物質に対して少ない。炭素材料は電極の容量には寄与しないことから、電極1gあたりの容量は、焼結体を用いた実施例1の容量が比較例1を上回る。
(3)焼結体の構造解析
次に、上記(1)−(b)にて得られた焼結体の構造を評価するために、以下の評価を行った。
(a)焼結体の結晶構造
まず、上記(1)−(a)にて得られたTiO(B)/KB複合体と、(1)−(b)にて得られた焼結体について、XRDにより二酸化チタンの結晶構造を確認した。図6から明らかな通り、複合体のXRDスペクトルと比較して、焼結体のXRDスペクトルにおいては25度付近のピーク強度が増加していたものの、TiO(B)/KB複合体を、400℃で焼成して焼結体を得た場合、TiO(B)のアナターゼ型やルチル型への転移はほぼ認められないことが確認された。
(b)熱重量分析
上記(1)−(b)にて得られたTiO(B)/KB焼結体について、熱重量分析を行った。温度範囲は30〜800℃で、10℃/minで昇温させた。熱重量分析の結果を図7に示す。図7から明らかな通り、400℃の重量は、初期から4%程度減少していた。この重量減少は、焼結体に含まれていた水分が蒸発したものと考えられる。そして、カーボンの概ねの焼失開始温度である400℃から800℃に昇温すると、カーボンが焼き飛ばされ、焼結体の重量がさらに5%程度減少していた。つまり、焼結体中のカーボン(KB)は約5%残存していたことが分かった。
(c)焼結体のTEM像
図8は、上記(1)−(b)にて得られた焼結体を拡大観察したTEM像(×300k)である。図中白い矢印で示す通り、TiO(B)の粒子の1つ1つの表面に数nmの膜のようなものが観察される。これは、焼成処理により残存したKB由来の炭素材料がTiO(B)の表面周囲に付着しているものと考えられた。上記(1)で記載した通り、TiO(B)はKBに刺さるようにして担持されている。そのため、TiO(B)の粒子を被覆するように焼成処理によるKB由来の炭素材料が存在する。
焼成工程では、TiO(B)と炭素材料の境界面に存在するKBが燃え残り、TiO(B)の表面周囲に炭素材料が残存して付着していると考えられた。TiO(B)と炭素材料の境界面のKB由来の炭素材料が残存する理由としては、TiO(B)の表面の水クラスターが、炭素材料の炭化を助けていることが考えられた。これは、TiO(B)が親水性であることに加え、TiO(B)/KB複合体が水熱合成で得られていることから推測される1つの仮説である。
そこで、焼結体についてX線光電子分光(XPS)スペクトルを測定した結果を図9に示す。図9から明らかな通り、C1sに強いピークが確認されたため、KBがTiO(B)の表面に付着していることが確認された。したがって、TEM像にて観測された金属粒子群は、TiO(B)表面に付着したKBにより、TiO(B)の1つ1つが包まれたような状態となっていることが分かった。そのため、TiO(B)同士の凝集が抑制されていた。以上より、焼結体は、TiO(B)の金属粒子が炭素材料を介して連結されている金属粒子群であることが確認された。
次に、図10(a)は、実施例1の(1)−(b)にて得られた焼結体を観察したTEM像(×8k)である。図10(b)は、比較例1の(1)−(a)にて得られたTiO(B)/KB複合体を観察したTEM像(×10k)である。図10(c)は、参考例1のTiO(B)単体を観察したTEM像(×5k)である。図10(a)および(c)の比較から、実施例1の焼結体は、参考例1のTiO(B)の粒子と同程度に凝集していることが確認された。
また、図10(a)および(b)の比較から、実施例1の焼結体は、比較例1の複合体より密な状態となっていることが分かった。焼結体においては焼成処理によりKBが焼失していることから、複合体においてKB上に分散して担持されていたTiO(B)が、再度凝集していることが分かった。
(d)細孔分布測定
通常であれば、凝集が起こると体積エネルギー密度の増加が期待できる。ただし、参考例1のTiO(B)単体のように、電解液の通る隙間がなくなるほどナノ結晶が凝集した場合、リチウムイオンの供給が滞り、出力特性が低下する可能性も考えられる。そこで、実施例1のTiO(B)/KB焼結体、比較例1のTiO(B)/KB複合体、および参考例1のTiO(B)単体について、窒素吸着法によりBJH細孔分布を測定した。
図11は、細孔分布の測定結果を示す。図11から明らかな通り、TEM像では凝集が確認された実施例1の焼結体は、100nm以下の範囲において、主に5〜20nmの範囲に細孔を有していた。特に10〜20の範囲に細孔ピークを有している。これは、参考例1のTiO(B)単体の細孔の数倍の大きさである。したがって、実施例1の焼結体は、リチウムイオンを供給するための電解液に対して、十分な通り道となる細孔を確保できていると考えられる。なお、比較例1の複合体の細孔ピークは、5nm以下であるが、KBとの混合体となり密な状態であるため、細孔ピークも小さくなるものと考えられる。この細孔ピークの小さい比較例1の複合体を焼成処理することで、複合体のKBが焼失し、KBの焼失部分が細孔となって存在し、実施例1の細孔ピークを備えた焼結体となるものと推測する。
(e)焼結体のSEM像
図12(a)は、参考例1のTiO(B)単体を観察したSEM像(×30k)である。図12(b)は、実施例1の(1)−(b)にて得られた焼結体を観察したSEM像(×50k)である。図12(a)(b)の上部のSEM像からも明らかな通り、実施例1および参考例1はいずれも数nmの一次粒子が集まって、数μmの二次粒子を形成していた。しかし、図12(a)(b)の下部のSEM像に示す通り粒子表面を拡大してみると、参考例1はナノ粒子が隙間なく凝集しているが、実施例1の焼結体では数μmの二次粒子の中に数十nmの隙間が均一に存在していることが確認できた。この数十nmの隙間は、上記の窒素吸着で得られた細孔分布と一致している。このような細孔が均一に存在していることで、実施例1の焼結体ではLiイオンの拡散経路が確保でき、単体と比べて高いLiイオン拡散性を示すと考えられる。
(4)充放電特性
図12は、比較例1の電池セルの充放電特性を示すグラフである。図13から明らかな通り、複合体の粉末を用いた比較例1の電池セルでは、TiO(B)の反応電位である1.5〜1.6V以外の電位でも、スロープ状の容量が確認された。一方、図14は、実施例1の電池セルの充放電特性を示すグラフである。図14から明らかな通り、焼結体の粉末を用いた実施例1の電池セルでは、TiO(B)の反応電位である1.5〜1.6Vにおいてプラトーを有していることから、反応電位において多くの容量が得られていることが確認された。
1…外筒
1−2…せき板
1−3…内壁
2…内筒
2−1…貫通孔

Claims (11)

  1. TiO(B)の金属粒子と炭素材料と、を含み、
    前記金属粒子の表面に付着した前記炭素材料を介して連結されている金属粒子群を含み、
    前記金属粒子群に含まれる前記炭素材料の割合は、1〜10重量%であること
    を特徴とする電極材料。
  2. 前記金属粒子の直径は、5〜20nmであることを特徴とする請求項1記載の電極材料。
  3. 前記金属粒子間の距離は、1〜5nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の電極材料。
  4. 前記金属粒子群は細孔を有し、細孔分布が5〜20nmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の電極材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の電極材料を用いて形成された電極を含む蓄電デバイス。
  6. TiO(B)の前駆体と炭素源とを複合化する前駆体複合化工程と、
    前記炭素源と複合化されたTiO(B)の前駆体を加熱処理により結晶化させ、TiO(B)と炭素材料の複合体を得る複合化工程と、
    前記TiO(B)と炭素材料の複合体を焼成し、属粒子群に含まれる前記炭素材料の割合を、1〜10重量%とする焼成工程と、を有すること、
    を特徴とする電極材料の製造方法。
  7. TiO(B)の前駆体として、4核チタン錯体を形成する前駆体形成工程をさらに有することを特徴とする請求項6記載の電極材料の製造方法。
  8. TiO(B)の前駆体と、炭素源の重量比は、50:50〜90:10であることを特徴とする請求項6又は7記載の電極材料の製造方法。
  9. 前記前駆体複合化工程は、
    旋回する反応容器内で、前記炭素材料と前記TiO(B)の前駆体とを含む溶液にずり応力と遠心力を加えてメカノケミカル反応をさせる処理であることを特徴とする請求項6〜8いずれか一項記載の電極材料の製造方法。
  10. 前記複合化工程は、250℃以下の温度での水熱合成によって行われることを特徴とする請求項6〜9いずれか一項記載の電極材料の製造方法。
  11. 前記焼成工程は、350℃以上450℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項6〜10いずれか一項記載の電極材料の製造方法。
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