JP6774859B2 - オートテンショナ - Google Patents

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Description

本発明は、ベルトの張力を自動的に適度に保つためのオートテンショナに関する。
例えば自動車エンジンの補機駆動ベルトシステムやカムシャフト駆動ベルトシステムにおいては、従来から、ベルトの張力を一定に保つための機構として、オートテンショナが採用されている。
このようなオートテンショナには、非対称なダンピング特性が要求される。すなわち、ベルトの張力が増加してベルトを緩ませる方向に可動部材(以下、アームという)が回動した場合に、アームの回動を大きく減衰させる。逆に、ベルト張力が低下してベルトを張る方向にアームが回動する場合には、アームの回動を減衰させずに、ベルト張力の減少に対して十分に追従させる。
このオートテンショナを補機駆動ベルトシステムに適用する場合は、エンジン燃焼に起因する回転変動等による摩擦伝動ベルトの滑りに起因してベルトの張力変動は比較的大きいため、アームを大きく回動させる必要がある。
これに対して、オートテンショナをカムシャフト駆動ベルトシステムに適用する場合は、ベルトシステムがかみ合い伝動であるがゆえに、エンジン燃焼に起因する回転変動やベルトの張力変動に関係なくなるため、アームをさほど大きく回動させない方がよい。そのため、例えば、ベルトの張力が増加した場合にベルトを緩ませる方向にアームが回動する際には、アームの回動を顕著に減衰させて、アームの回動を抑制させるのがよい。すなわち、カムシャフト駆動ベルトシステムに適用されるオートテンショナにあっては、クラッチ効果を顕著に発揮させるものがよい。
非対称なダンピング特性を有し、クラッチ効果を顕著に発揮させるオートテンショナとして、スプリングクラッチを備えるオートテンショナが好適であるとの着想を得た。このスプリングクラッチを用いるオートテンショナとしては、例えば特許文献1および特許文献2に開示されているものがある。
特許文献1には、外周面に所定幅の制動面を有する線材を巻回してなり、拡径方向の自己復元力により外周面がアーム又はベースの内周壁面に当接するスプリングクラッチを設け、そのスプリングクラッチの一端をベース部材に固定されたスプリングクラッチホルダに固定し、他端を自由端とする、オートテンショナが開示されている。
特許文献2には、同一平面内に円弧を描くドーナツ状とされ、所定幅を有する板バネであって、コイルばねに対して外周側から当接するスプリングクラッチを設け、このスプリングクラッチの周方向一端を固定端としてベースに固定し、その周方向他端を自由端とする、オートテンショナが開示されている。
特開2007−064254号公報 特開2009−024823号公報
特許文献1のオートテンショナにおいて、クラッチ効果を顕著に発揮させる場合、即ち、ベルトを緩ませる方向に回動したアームの回動を顕著に減衰させる場合には、スプリングクラッチがコイルばねと径方向外側に離間されてばね収容室内に配置される構成が好適である。しかし、この場合は、オートテンショナが径方向に大型化してしまう。
また、ベルトの装着を容易にするために、アームを固定部材(以下、ベースという)に対して方向を問わず回動自在にさせるためには、スプリングクラッチホルダをばね収容室と軸方向に離間させて配置される構成が好適である。しかし、この場合は、オートテンショナが軸方向に大型化してしまう。
つまり、特許文献1のオートテンショナでは、クラッチ効果を顕著に発揮させるために、径方向および軸方向に大型化してしまうという問題点がある。
特許文献2のオートテンショナは、クラッチ効果を顕著に発揮させる場合には好適な構成である。ただし、クラッチ効果を顕著に発揮させる場合、スプリングクラッチはその延在方向(周方向)に沿って引張されて縮径変形し、コイルばねとスプリングクラッチとの間の摺動抵抗が増大する。このとき、回動軸の軸受面には、スプリングクラッチの周方向の一端(固定端)がベースの筒部に固定され、周方向の他端が自由端であるがゆえに、径方向一方向(上記固定端側)への引張による偏荷重が余分に生じてしまう。
つまり、特許文献2のオートテンショナでは、クラッチ効果を顕著に発揮させるために、径方向および軸方向の大型化は招かないが、回動軸の軸受機能(摩耗や摺動抵抗の安定化等)の低下を招き易くなってしまうという問題点がある。
そこで本発明は、クラッチ効果を顕著に発揮させるものであって、比較的簡素かつコンパクトな構成で非対称なダンピング特性を有し、クラッチ効果が顕著に発揮されても回動軸の軸受機能の低下を招き難いオートテンショナを提供することを目的とする。
第1の発明のオートテンショナは、揺動軸が取り付けられるベースと、前記揺動軸を介して前記ベースに対して回動自在に支持されたアームと、前記アームに取り付けられ、ベルトに接触可能であるとともに、前記揺動軸と平行な軸線回りに回転自在に設けられるプーリと、前記揺動軸の回りに配設され、前記アームを前記ベースに対して一方向に回動付勢するコイルばねと、前記コイルばねの周囲に設けられたスプリングクラッチと、を備えるオートテショナにおいて、
前記コイルばねは、前記揺動軸に沿った軸方向に圧縮され、一端が前記アームに係止され、他端が前記ベースに係止されているとともに、前記ベルトを緩ませる方向に前記アームが回動したときに拡径するように設定されており、
前記スプリングクラッチは、周方向に離間されたスリットを有する断面C字状であるとともに、前記軸方向に延在する円筒形の板ばねであって、前記スプリングクラッチは、縮径方向の自己弾性復元力により前記コイルばねに対して外周側から接触しているとともに、前記円筒形の前記軸方向の端が前記ベースに対して相対回転不能に支持されていることを特徴とする。
ここで、前記円筒形の前記軸方向の端が前記ベースに対して相対回転不能に支持されていることとは、前記ベースに対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、前記コイルばねと前記スプリングクラッチとの係合面に前記アームの回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることである。
この構成によると、ベルトの張力が増加し、ベルトを緩ませる方向(Y方向)にアームが回動する場合、コイルばねは、Y方向にねじり変形させられて拡径変形する。その際、コイルばねに対して把持力を有するスプリングクラッチとの係合面には、摩擦トルク(TL)が発生する。このコイルばねが拡径変形する際に発生する摩擦トルク(TL)は、係合面の相対的な摺動(スリップ)が小さい分、コイルばねが縮径変形する場合に発生する摩擦トルク(TS)より相対的に大きくなる。したがって、アームの回動を顕著に減衰させる減衰力を発生させ、クラッチ効果を顕著に発揮させることができる。
また、クラッチ効果が顕著に発揮されるような、コイルばねとスプリングクラッチとの間の摩擦トルクが増大する場合でも、スプリングクラッチの円筒形の軸方向の一端がベースに対して相対回転不能に支持されているため、スプリングクラッチがベースに径方向に偏りなく相対回転不能に支持されることになり、軸受面に対し径方向一方向への引張による偏荷重が余分に生じることがない。
さらに、コイルばねの周囲にスプリングクラッチを配設し、スプリングクラッチの円筒形の軸方向の一端がベースに対して相対回転不能に支持されているため、オートテンショナを径方向及び軸方向にコンパクトに構成できる。
第2の発明のオートテンショナは、第1の発明において、前記スプリングクラッチは、オートテンショナに外力が作用していない状態において、前記軸方向に関する一端は自由端であり、前記軸方向に関する他端が前記ベースに当接しかつ回り止めされている、ことを特徴とする。
この構成によると、スプリングクラッチがベースに径方向に偏りなく相対回転不能に支持されることが、より具体的に実現できる。
第3の発明のオートテンショナは、第1または第2の発明において、前記コイルばねの線断面は略四角形である、ことを特徴とする。
この構成によると、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばねとスプリングクラッチとの係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
第4の発明のオートテンショナは、第1または第2の発明において、前記コイルばねの線断面は略D字状であって、前記揺動軸の軸線に沿った断面において前記コイルばねの外周面に相当する部分が前記軸線と平行な直線状に形成されている、ことを特徴とする。
この構成によると、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばねとスプリングクラッチとの係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
第5の発明のオートテンショナは、第1〜第4のいずれかの発明において、前記スプリングクラッチは、前記コイルばねの前記一端を含む一端側領域の外周面を除き、前記コイルばねの外周面全体に接触している、ことを特徴とする。
この構成によると、スプリングクラッチに接触するコイルばねの有効巻き数が最大に維持されるので、アームの回動を抑制しようとする減衰力を増大させることができるとともに、上記第3または第4の発明の効果をより確実に発揮できる。
第6の発明のオートテンショナは、第1〜第5のいずれかの発明において、前記スプリングクラッチの外周面に前記ベースを接触させて、前記アームが前記ベースに対して前記一方向と逆方向に回動する範囲の上限を規制できる、ことを特徴とする。
この構成によると、スプリングクラッチの外周面とこれに対向するベースの内周面との間隙の大きさを適切に設定することにより、ベルトの緩み側張力が過度に増加した場合に、アームの回動を、オートテンショナの構造上故障原因となるコイルばねの拡径変形限界より手前の安全な範囲内(例えば95°)に留めることができる。これにより、オートテンショナ(特には、コイルばね)を保護できる。
第7の発明のオートテンショナは、第1〜第6のいずれかの発明において、前記コイルばねの内周面に前記アームを接触させて、前記アームが前記コイルばねに前記一方向に回動付勢される範囲の下限を規制できる、ことを特徴とする。
この構成によると、コイルばねの内周面とこれに対向するアームの外周面との間隙の大きさを適切に設定することにより、例えばオートテンショナのアッセンブリー時のアーム回動角度の下限(例えば35°)を、回動角度ゼロより大の適切な範囲内に留めることができる。このため、アームの回動角度の下限規制を備えない場合と比べて、アッセンブリー後のコイルばねの端部の係合状態をガタ付きのない安定な状態に維持できる。また、オートテンショナのエンジンブロックへの組付け作業、およびベルトのプーリへの巻き掛け作業の負荷を軽減できる。
第8の発明のオートテンショナは、第1〜第7のいずれかの発明において、前記アームは前記ベースに偏心支持されていると共に、前記プーリは前記アームの外周側に取り付けられている、ことを特徴とする。
この構成によると、ベルトの張力変動が比較的小さく、アームをさほど大きく回動させない方がよいカムシャフト駆動ベルトシステムに、本発明のオートテンショナが好適である。
本発明によると、比較的簡素かつコンパクトな構成で、非対称なダンピング特性を有し、クラッチ効果が顕著に発揮されても回動軸の軸受機能の低下を招き難いオートテンショナを提供できる。
つまり、本発明は、比較的部品点数が少なく組立容易で簡素な構成で、かつ径方向および軸方向に大型化してしまうことがない。
また、アームの揺動を、ベルトの張力が増加した場合にベルトを緩ませる方向では顕著に減衰させて、アームの回動を抑制させ、ベルトの張力が減少した場合にベルトを張る方向では減衰させずに、ベルト張力の減少に対して十分に追従させることができる。
また、ベルトを緩ませる方向でアームの回動を顕著に減衰させた場合でも、スプリングクラッチの円筒形の軸方向の一端がベースに対して相対回転不能に支持され、スプリングクラッチがベースに径方向に偏りなく相対回転不能に支持されている構成であるので、軸受面に対し径方向一方向への引張による偏荷重を余分に生じさせることはなく、回動軸の軸受機能の低下を招き難い。
本発明のオートテンショナの断面図であって、図6のB−B線断面図である。 図1のD−D線断面図である。 図1のC−C線断面図である。 図5のA−A線断面図である。 図1のE−E線断面図である。 本発明のオートテンショナの正面図である。 本発明のオートテンショナの分解斜視図である。 実施形態2のコイルばねを示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、自動車用エンジンのカムシャフトを駆動するかみ合い伝動ベルト(即ち、タイミングベルト)の緩み側張力を一定に保つオートテンショナに本発明を適用した一例を示す。このようなカムシャフト駆動ベルトシステムにおいては、ベルトの張力変動が比較的小さく、アームをさほど大きく回動させないオートテンショナが好適に用いられる。
図1乃至図3に示すように、本実施形態のオートテンショナ100は、揺動軸6が取り付けられるベース1と、揺動軸6を介してベース1に対して回動自在に支持されたアーム2と、アーム2に取り付けられ、ベルトに接触可能であるとともに、揺動軸6と平行な軸線回りに回転自在に設けられるプーリ3と、揺動軸6の回りに配設され、アーム2をベース1に対して一方向に回動付勢するコイルばね4と、コイルばね4の周囲に設けられたスプリングクラッチ5と、を備えている。なお、図1中の左右方向を前後方向と定義する。また、図2中の反時計方向の回転をX方向と、時計方向の回転をY方向と定義する。
ベース(固定部材)1は、図示されないエンジンブロックに固定される取付け部分であり、アルミニウム合金鋳物等からなる金属部品で形成される。ベース1は、台座部11と、台座部11の外縁部から前方に延びる円筒部12と、台座部11の中央部に揺動軸6の軸心を中心として締結ボルトが挿通される挿通孔13と、後側面(背面)にエンジンブロックに対し位置決めするための突起14(図4参照)と、を備えている。ベース1の円筒部12の内周面は、アーム2の上限側回動規制壁面12aとして機能する。
ベース1の台座部11には、コイルばね4の後端面(他端面)41と周方向に対向する当接面11aと、スプリングクラッチ5がベース1に対して回り止めされる溝部11bが形成されている(図5参照)。
この溝部11bの深さは、スプリングクラッチ5後面の爪部51の突出し長さよりも大きければよいが、貫通していてもよい。この溝部11bの軸Rと直交する断面寸法は、周方向に関して上記爪部51の同断面寸法と略同じか若干大きく、径方向に関してはスプリングクラッチ5の厚さに加え、内側及び外側双方にスプリングクラッチ5の径方向の変形(拡径、縮径)に対応する所定の隙間を加えた溝に形成されている(図4参照)。
より具体的には、台座部11の前面(ばね収容室9と軸方向に対向する面)は、コイルばね4の他端側領域の後面の螺旋形状と合致させて、高さが周方向で変化する螺旋状の台座に形成した(図7参照)。
また、台座部11の前面には、スプリングクラッチ5の後面に突設された爪部51(対角2か所)と対向する位置(対角2か所)に溝部11bを設けた。なお、この溝部11bは貫通溝とした。対角2か所とは、コイルばね4の後端面41(他端面)と周方向に対向する当接面11a際と、その対角と、である(図5、図7参照)。
ベース1に取り付けられる揺動軸6は、アーム2の揺動の中心軸として前後方向(軸R方向)に延びる支柱である。揺動軸6の後面は、締結ボルト61を介して、ベース1の前面に当接されている。揺動軸6とベース1とが周方向に相対回転しない様、両者は回り止めされている。例えば、揺動軸6の後面における周方向対角2か所に凹部を形成させ、これに対向するベース1の前面に揺動軸6の凹部に係合するピン状の凸形状を突設させて、両者の回り止めとする(図7参照)。なお、揺動軸6の後面における周方向対角2か所に雌ネジ部を設け、ベース1の後面から両者をねじ止めしてもよい。
揺動軸6の中央部には、前後方向に延びる孔62が形成されており、この孔62に締結ボルト61が相対回転不能に挿入されている。この締結ボルト61は、エンジンブロックへオートテンショナを固定する締結用ボルトも兼ねる。揺動軸6は、ブッシュ(滑り軸受)7を介してアーム2(ベアリング8、プーリ3を含む)を軸Rを中心に回動可能に支持している。
このブッシュ7は、略円筒形状の軸受部材である。ブッシュ7は、金属製軸受(所謂メタル軸受)が好ましいが、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂製軸受でもよい。より具体的には、ブッシュ7の前端にフランジ71を形成させた。このフランジ71は、アーム2の前面と揺動軸6のフランジの後面とに挟まれて着座している。このブッシュ7は、揺動軸6の軸受機能(摩耗や摺動抵抗の安定化等)に加え、振動減衰作用も担う。
アーム2は、揺動軸6を介してベース1に回動自在に支持されており、アルミニウム合金鋳物等からなる金属部品で形成される。このアーム2は、ベース1の前方に配置される円盤部(回動部材、プーリ支持部)21と、円盤部21の中央部から後方に延びる内筒部22と、内筒部22と径方向外側に平行に離間されて形成された外筒部23と、を備えている(図4参照)。このアーム2の内筒部22の外周面は、アーム2の下限側回動規制壁面22aとして機能する。
この円盤部21におけるプーリ中心に対して偏心した位置に挿通孔24が形成されている。この挿通孔24に、ブッシュ(滑り軸受)7を介して揺動軸6が挿入されている。内筒部22と外筒部23とは、挿通孔24(および揺動軸6)と同軸心状に設けられている。
円盤部21の後面(ばね収容室9と軸方向に対向する面)に、コイルばね4の前端(一端)を保持(係止)する保持溝25を形成した。この保持溝25は、深さが周方向で変化する螺旋状の溝になっている。保持溝25の一端側には、コイルばね4の前端面(一端面)42と周方向に対向する当接面26を形成した。(図3、図4参照)
プーリ3は、アーム2の円盤部21の外周側に取り付けられており、ベアリング(転がり軸受)8を介して円盤部21に回転自在に支持されている。プーリ3には、タイミングベルトが巻き掛けられる。タイミングベルトの張力の増減に伴って、プーリ3(およびアーム2)は、軸Rを揺動中心として揺動する。
ばね収容室9は、ベース1とアーム2との間に形成される。具体的には、アーム2の内筒部22と、アーム2の外筒部23およびこれに軸方向に対向するベース1の円筒部12と、アーム2の円盤部21およびこれに軸方向に対向するベース1の台座部11と、に囲まれた空間に形成される(図4参照)。このばね収容室9に、コイルばね4とスプリングクラッチ5とが収容される。
つぎに、実施形態1のコイルばね4を説明する。このコイルばね4は、略四角形断面の金属線を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)して形成された、ねじりコイルばねである。オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。線材の断面形状は、軸方向(前後方向)よりも径方向が長い略長方形が好ましい。径方向の断面長を軸方向の断面長よりも長くするのは、ばね線の径方向の断面長(線幅)が軸方向の断面長(線厚)と同等又は短い略四角形状の場合と比べ、断面特性からの断面係数(Z)が大きくなる。そのため、曲げ応力(最大値)を小さくすることができ、捩じりトルクに対する強度や耐力(曲げ剛性)が増加し、コイルばね4の拡径方向のねじり角度の限界値を増加させることができる。
また、コイルばねの一端及び他端は、螺旋形状に沿った形態のまま維持させた。これにより、製造負荷を抑制できる。
コイルばね4は、前述のように、一端がアーム2に係止され、他端がベース1に係止されている。そのため、アーム2をベース1に対して一方向に回動付勢することができる。ベルトを緩ませる方向にアーム2が回動したときに拡径するように設定されている。
コイルばね4は、軸方向(前後方向)に圧縮された状態でばね収容室9に収容されている。そのため、コイルばね4は、軸方向の自己弾性復元力によって、コイルばね4自身とともにスプリングクラッチ5の姿勢をも安定化できる。また、アーム2にガタが生じないようにできる。
コイルばね4の一端側領域は、径方向に関して保持溝25(アーム)の溝に沿った両側面に挟まれ、軸方向に関して深さが周方向で変化する螺旋状の保持溝25の溝底面に接触している(図3参照)。一方、コイルばね4の他端側領域は、高さが周方向で変化する螺旋状の台座部11の前面に接触している(図5参照)。具体的には、コイルばね4は、アッセンブリー時には、拡径方向にねじられた状態でア−ム2の内筒部22に装着され、コイルばね4の内周面が内筒部22の外周面(下限側回動規制壁面22a)に接触している。また、コイルばね4の前端面42(一端面)が円盤部21(アーム)の当接面26を周方向に押圧し、コイルばね4の後端面41(他端面)が台座部11(ベース)の当接面11aを周方向に押圧している。
コイルばね4の外周に配設されるスプリングクラッチ5は、周方向に離間されたスリット52を有する断面C字状であるとともに、軸方向に延在する円筒形の板ばねであって、縮径方向の自己弾性復元力を有する締まりばねである。クラッチ面(内周面)の周方向に関する長さは、断面C字状ゆえ、完全に閉じた内周面に略同じにてなる。
なお、径方向にも長さ方向(軸方向)にも、厚さは略一定でよい。また、オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。
軸方向の一端(以下、前端)は、自由端であって、それゆえ単に平坦な板状端面でよい。軸方向の他端(以下、後端)は、台座部11(ベース)に対する回り止めと台座部11への良好な据わりを得るため、以下に記載した構成に形成するとよい。具体的には、軸方向の他端面(以下、後面)は、コイルばね4の後端面41(他端面)から略一巻き目領域(以下、他端側領域)の後面の螺旋形状と合致する螺旋形状に形成した。また、後面には、爪部51が、自身のスリット52際とその対角との計2か所で、後側に突設させた。なお、爪部51の突設位置を、スリット52際を含む位置としたのは、スリット52際を含ませる方が、製造時の負荷を低減できるからである。
スプリングクラッチ5は、縮径方向の自己弾性復元力を有する締まりばねである。よって、スプリングクラッチ5の内周面は、周方向に関してコイルばね4の外周面の略全体に接触している。具体的には、スプリングクラッチ5の軸方向の幅(面長)は、コイルばね4の前端面(一端面)から略一巻き目領域(以下、一端側領域)の軸方向長さを除き、コイルばねの軸方向長さと略同じとした。スプリングクラッチ5は、コイルばね4の一端側領域には接触しておらず、自身の把持力を作用させていない。スプリングクラッチ5は、コイルばね4の後端面(他端面)から略一巻き目領域(他端側領域)にも接触しており、自身の把持力を作用させている。
スプリングクラッチ5の内周面は、縮径方向の自己弾性復元力により、線断面が略四角形のコイルばね4の外周面に面接触している。上記接触面の摩耗防止のため、対向面にグリース等の摩耗防止剤を介在させてもよい。また、含油性が向上するように、対向する両者またはどちらか一方の表面を微細な凹凸面としてもよい。
スプリングクラッチ5は、断面C字状であるとともに軸方向に延在する円筒形の板ばねである。その円筒形の軸方向の他端がベース1に対して相対回転不能に支持されている。すなわち、スプリングクラッチ5は、ベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持されている。
具体的には、スプリングクラッチ5後面の爪部51(対角2か所)と台座部11前面の溝部11b(対角2か所)とを係合させた(図5参照)。これにより、スプリングクラッチ5はベース1に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることができる。
台座部11の前面(ばね収容室9と軸方向に対向する面)は、前述のように、高さが周方向で変化する螺旋状の台座になっている。すなわち、スプリングクラッチ5の後面は、コイルばね4の後面と同様、台座の前面に当接している。これにより、コイルばね4とともにスプリングクラッチ5の据わりを良くして、両者の姿勢をより安定化できる。
スプリングクラッチ5の前面(軸Rと略直交する面)は自由端であり、円盤部21(アーム)の後面(具体的には、コイルばね保持溝25の深さがゼロである面)との間には、隙間が確保されている。これにより、スプリングクラッチ5の前面が円盤部21(アーム)の後面に接触し、アーム2の回動が不用意に抑制(規制)されるのが防止される。
つぎに、実施形態2に係るコイルばね104を、図8を用いて説明する。この図8は、図4に相当する断面図である。図4と異なる点は、コイルばね104の線断面の形状が略D字状に形成されている点である。なお、図4に典型的に示される、実施形態1に係るコイルばね4の線断面の形状は、略四角形に形成されている。
図8の線断面が略D字状に形成されたコイルばね104は、円形断面の金属線(ばね線)を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)した後、コイルばねの中心軸線に沿った断面においてコイルばねの外周面がこの軸線と平行な直線状に形成されるように軸線方向の長さ(面長)全体にわたって研磨仕上げがなされて、線断面が略D字状に形成されるねじりコイルばねである。
円形断面の金属線の外周面を研磨仕上げしたコイルばね104は、コイルばねの線断面が略四角形である場合と比べて、汎用な円形断面の線材を用いて加工できるので、製造負荷を抑制できる。
なお、図4の実施形態1の場合と同様に、図8の実施形態2のコイルばね104においても、オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたってコイルばね104の径が一定である。
また、コイルばね104の一端がアーム2に係止され、他端がベース1に係止される形態は、実施形態1のコイルばね4で説明したものと同様である。
また、コイルばね104の外周に配設されるスプリングクラッチ5も、実施形態1のコイルばね4で説明したものと同様である。
そのため、スプリングクラッチ5の内周面は、縮径方向の自己弾性復元力により、線断面が略D字状であって揺動軸の軸線(コイルばねの中心軸線)に沿った断面においてこの軸線と平行な直線状に形成されたコイルばね104の外周面に面接触している。
さらに、図4の実施形態1と同様に、コイルばね104の上記接触面の摩耗防止のため、対向面にグリース等の摩耗防止剤を介在させてもよい。また、含油性が向上するように、対向する両者またはどちらか一方の表面を微細な凹凸面としてもよい。
以下に、オートテンショナの作動を説明する。
伝動ベルトの張力の増減に伴って、アーム(およびプーリ)は、揺動軸の軸線Rを揺動中心として揺動する。
○伝動ベルト101の張力が増加しベルトを緩ませる方向(Y方向)にアーム2が回動する場合
ベルトから荷重を受けて、アーム2は、コイルばね4の周方向の付勢力に抗する方向に回動される。この場合は、アーム2の回動を大きく減衰させて、アーム2の回動を抑制させることが重要である。
以下に詳細に説明する。伝動ベルト101の張力が増加すると、ベルト張力の合力であるベルト荷重FBがプーリ3の回転軸に作用する(図6参照)。
このベルト荷重FBにより、プーリ3の回転軸から偏心された揺動軸6の軸線R回りにトルクTが発生し、アーム2は、コイルばね4の周方向の付勢力に抗して、Y方向に回動する。
なお、アーム2の回動トルクTは、T=FB×eである(ここで、eは、トルク半径:軸線Rからベルト荷重FBの力線までの最短距離である(図6参照)。)
軸線R回りに作用したトルクTによりアーム2の当接面26に力Faが伝達される(図3参照)。
コイルばね4は、その一端面でコイルばねの周方向の付勢力に抗する力Faを受けて、Y方向にねじり変形させられて拡径変形する(図3参照)。その際、コイルばね4に対し把持力を有するスプリングクラッチ5に外周側から押さえつけられつつ、スプリングクラッチ5がベース1に対し回り止めされていることにより、両者(コイルばね4及びスプリングクラッチ5)は、相対的な周方向の摺動摩擦を伴いながら拡径変形する。これにより、アーム2の回動により拡径変形するコイルばね4と、コイルばね4に対し把持力を有するスプリングクラッチ5との係合面には、摩擦トルク(TL)が発生する(図2参照)。
このコイルばね4が拡径変形する際に発生する摩擦トルク(ロックトルクともいう)(TL)(絶対値)は、係合面の相対的な摺動(スリップ)が小さい分、コイルばね4が縮径変形する際に発生する摩擦トルク(スリップトルク)(TS)(絶対値)よりも相対的に大きく、その作用する向きは、アーム2の回動方向とは逆向き(X方向)である。
伝動ベルト101の張力が増加した場合に、アーム2の回動トルクTに抗する減衰トルク(絶対値)は、コイルばね4の周方向の付勢力による減衰トルク(絶対値)をTCとすると、(TC(絶対値)+TL(絶対値))で表すことができる。
したがって、アームの回動を顕著に減衰させる減衰力を発生させることができる。
なお、アームの回動トルクT(絶対値)が上記(TC+TL)(絶対値)と等しい釣り合い関係となるとき、その回動角度でアーム2の回動は停止する。
○伝動ベルト101の張力が減少しベルトを張る方向(X方向)にアーム2が回動する場合
コイルばね4の周方向の付勢力を受け、アーム2は、回動付勢方向に回動される。この場合はアーム2の回動を減衰させずに、ベルト101の張力を増加(回復)させる方向にアーム2を回動させて、ベルト張力の減少に対して十分に追従させることが重要である。
以下に詳細に説明する。コイルばね4の周方向の付勢力を受け、アーム2は、回動付勢方向に回動される。伝動ベルト101の張力が減少した場合には、コイルばね4のねじり復元力が支配的となり、アーム2がX方向に回動する。
アーム2の回動により縮径変形するコイルばね4と、コイルばね4に対し把持力を有するスプリングクラッチ5との係合面には、摩擦トルク(TS)が発生する(図2参照)。しかし、コイルばね4が縮径変形する際に発生する摩擦トルク(スリップトルクともいう)(TS)(絶対値)は、係合面の相対的な摺動(スリップ)が大きい分、コイルばね4が拡径変形する際に発生する場合(ロックトルク)(TL)(絶対値)よりも相対的に小さく、その作用する向きは、アーム2の回動方向とは逆向きである(Y方向)。
したがって、伝動ベルト101の張力が減少した場合のアーム2の回動トルクT(絶対値)は、(TC(絶対値)−TS(絶対値))となるものの、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面には、アーム2がY方向に回動した場合に比べて小さい減衰トルクTS(絶対値)しか生じない。
したがって、アーム2はコイルばね4のねじり復元力を十分に受けることができ、アーム2の回動を減衰させずに、ベルト張力の減少に対して十分に追従させることができる。
〇スプリングクラッチのクラッチ効果について
スプリングクラッチをオートテンショナの構造に適用した場合のスプリングクラッチのクラッチ効果とは、コイルばねをクラッチ面に接触させることによって、摩擦トルクをクラッチ面に発生させて、ベースに対するアームの回動を規制できる効果のことである。
このクラッチ効果は、オートテンショナの機能的には、ベルトの張力が増加してベルトを緩ませる方向にアーム2が回動する際(構造的には、コイルばね4の回動付勢方向と逆の方向に回動する際)に発揮される。
このクラッチ効果は、クラッチ面に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)、即ち、スリップトルク(TS)(絶対値)に対するロックトルク(TL)(絶対値)の比率(TL/TS)(絶対値)を指標(代用特性)として捉えることができる。
つまり、クラッチ面が周方向に完全に閉じた内周壁面であるスプリングクラッチの場合の発生トルク比は、発生トルク比(TL/TS)=e^(2×π×μ×N)となる。ここで、μ:摩擦係数、N:コイルばねの有効巻き数、である。
この発生トルク比(TL/TS)(絶対値)が大きいほど、クラッチ効果が顕著であることを示す。
本実施形態の場合、係合面の摩擦係数やコイルばねの有効巻き数のみならずスプリングクラッチの断面特性や材料の弾性係数等の設計事項に依り一義的に定まり難い側面はあるが、クラッチ面に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)は、低く見積もっても1よりは大きい値(例えば概ね3)を示す、と考えられる。
実施形態1に係るコイルばね4として、ばね用オイルテンパー線(JISG3560に準拠)を用い、断面寸法は軸方向約2mm×径方向約3mmとした線材を用い、その有効巻き数(N)は4とした。
スプリングクラッチ5として、厚さは約2mmの薄板ばね鋼(炭素工具鋼:SK−5)を用い、スリットの幅(開口隙間)は、オートテンショナに外力が作用していない状態において、約1mmであるものを用いた。
これらを用いたオートテンショナにおいて、コイルばね4とスプリングクラッチ5との接触面(クラッチ面)に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)は、実測の結果、約3であった。
これにより、本実施形態のスプリングクラッチ5を備えるオートテンショナ100は、クラッチ効果が顕著に発揮されていることがわかる。
実施形態2に係るコイルばね104については、ばね用オイルテンパー線(JISG3560に準拠)を用い、コイルばね104の線断面形状を次の断面寸法からなる略D字状に形成させた。
コイルばね104の線断面寸法は、軸方向全長を約3mm、径方向全長を約2mm、コイルばね104の中心軸線に沿った断面においてこの軸線と平行な直線状に形成されたコイルばね4の外周面に相当する部分の軸線方向長さ(面長)を約2mmとした。コイルばね104の有効巻き数(N)は4とした。なお、スプリングクラッチ5は、上記と同じものを用いた。
これらを用いたオートテンショナにおいて、コイルばね4とスプリングクラッチ5との接触面(クラッチ面)に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)は、実測の結果、約3であった。
これにより、本実施形態のスプリングクラッチ5を備えるオートテンショナ100は、クラッチ効果が顕著に発揮されていることがわかる。
なお、コイルばね104の外径、コイルばね104の有効巻き数(N)、およびコイルばね104の線断面(略D字状)におけるコイルばね104の外周面に相当する部分の軸線方向長さ(面長)を、すべて、実施形態1(コイルばねの線断面が略四角形)と略同じにした場合は、コイルばね104とスプリングクラッチ5との接触面積は、実施形態1の場合と略同じになる。この場合は、実施形態1のオートテンショナと同程度に、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できる。
〇コンパクト化について
ばね収容室9を、アーム2の内筒部22と、アーム2の外筒部23およびこれに軸方向に対向するベース1の円筒部12と、アーム2の円盤部21およびこれに軸方向に対向するベース1の台座部11とに囲まれた空間に形成している。このばね収容室9の中で、コイルばね4は、一端がアーム2に係止され、他端がベース1に係止されている状態で収納される。スプリングクラッチ5は、その内周面が、周方向に関してコイルばね4の外周面の略全体に接触するように配設される。スプリングクラッチ5の後端面41は、台座部11に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることができる。
すなわち、スプリングクラッチ5は、スプリングクラッチホルダのような部品を追加することなく、径方向の最小限の拡大で収容することができる。そのため、比較的部品点数が少なく組立容易で簡素な構成で、かつ径方向および軸方向に大型化してしまうことがない。
〇偏荷重防止について
スプリングクラッチ5は、断面C字状であるとともに軸方向に延在する円筒形の板ばねである。その円筒形の軸方向の他端だけがベース1に対して相対回転不能に支持されている。すなわち、スプリングクラッチ5は、ベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持されている。具体的には、スプリングクラッチ5後面の爪部51(対角2か所)と台座部11前面の溝部11b(対角2か所)とを係合させた(図5参照)。これにより、スプリングクラッチ5はベース1に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることができる。また、スプリングクラッチ5の後面は、コイルばね4の後面と同様、台座部11の前面に当接している。これにより、コイルばね4とともにスプリングクラッチ5の据わりを良くして、両者の姿勢をより安定化している。
これにより、ベルトを緩ませる方向でアーム2の回動を顕著に減衰させた場合でも、スプリングクラッチ5の円筒形の軸方向の一端がベース1に対して相対回転不能に支持され、スプリングクラッチ5がベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持される。したがって、軸受面に対し径方向一方向への引張による偏荷重を余分に生じさせることはなく、回動軸の軸受機能の低下を招き難い。
〇スプリングクラッチ5は、オートテンショナ101に外力が作用していない状態において、軸方向に関する一端は自由端であり、軸方向に関する他端がベース1に当接しかつ回り止めされている場合(第2の発明の構成)
具体的には、スプリングクラッチ5の後面は、コイルばね4の後面と同様、台座部11の前面に当接させる。スプリングクラッチ5後面の爪部51(対角2か所)と台座部11前面の溝部11b(対角2か所)とを係合させ、スプリングクラッチ5はベース1に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせる。
これにより、スプリングクラッチ5がベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持されることが、より具体的に実現できる。
〇コイルばね4の線断面は略四角形である場合(第3の発明の構成)
コイルばね4は、略四角形断面の金属線を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)して形成された、ねじりコイルばねである。オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。
そのため、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
〇コイルばね4の線断面は略D字状である場合(第4の発明の構成)
コイルばね4は、円形断面の金属線を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)した後、コイルばねの中心軸線に沿った断面においてコイルばねの外周面がこの軸線と平行な直線状に形成されるように、軸線方向の長さ(面長)全体にわたって研磨仕上げがなされて、線断面が略D字状に形成されたねじりコイルばねである。
オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。
そのため、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
〇スプリングクラッチ5は、コイルばね4の一端を含む一端側領域の外周面を除き、コイルばね4の外周面全体に接触している場合(第5の発明の構成)
具体的には、スプリングクラッチ5の軸方向の幅(面長)は、コイルばね4の前端面(一端面)から略一巻き目領域(以下、一端側領域)の軸方向長さを除き、コイルばねの軸方向長さと略同じとした。スプリングクラッチ5は、コイルばね4の一端側領域には接触しておらず、自身の把持力を作用させていない。スプリングクラッチ5は、コイルばね4の後端面(他端面)から略一巻き目領域(他端側領域)にも接触しており、自身の把持力を作用させている。
スプリングクラッチ5に接触するコイルばね4の有効巻き数が最大に維持されるので、アーム2の回動を抑制しようとする減衰力を増大させることができるとともに、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。
○アーム2がコイルばね4の回動付勢方向と逆の方向に回動する際に、上限側回動規制壁面12aを備える場合(第6の発明の構成)
アーム2の上限側回動規制壁面12aを備える場合は、ベース1の円筒部12の内周面が上限側回動規制壁面12aとなり、その内径が適切に決定される。この構成により、ベルトの緩み側張力が過度に増加した場合に、アームの回動を、オートテンショナの構造上故障原因となるコイルばね4の拡径変形限界より手前の安全な範囲内(例えば95°)に留めることができる。これにより、オートテンショナ100(特には、コイルばね4)を保護できる。
○アームがコイルばね4の回動付勢方向に回動する際に、下限側回動規制壁面22aを備える場合(第7の発明の構成)
アーム2の下限側回動規制壁面22aを備える場合は、アーム2の内筒部22の外周面が下限側回動規制壁面22aとなり、その外径が適切に決定される。この構成により、オートテンショナ100のアッセンブリー(製造・組立)段階でのアーム2の回動角度を例えば35°として、その角度にアーム2を保持できた。
例えば、アーム2の回動規制壁面22a(下限側、アーム回動角度:例えば35°)を設けた構成のオートテンショナ100をエンジンブロックへ組付ける場合は、アーム2の下限側回動規制壁面22aを設けない構成の場合(アーム2回動角度の下限値が0°、組付け時に0°から60°までアームの回動を要す)に比べて、コイルばね4の回動付勢力に抗してアームを回動させる作業負荷を軽減できる(35°から60°までアームを回動すれば済む、換言すると、0°から35°まで回動不要)。
例えば、ベルトの装着時において、アーム2の回動規制壁面22a(下限側、アーム回動角度:例えば35°)を設けた場合は、アーム2の下限側回動規制壁面22aを設けない構成の場合(アーム回動角度の下限値が0°)に比べて、ベルトから離れる方向にプーリを配置できるので、ベルトのプーリへの巻き掛け作業が容易になった。
前記アームは前記ベースに偏心支持されていると共に、前記プーリは前記アームの外周側に取り付けられている場合(第8の本発明の構成)
具体的には、プーリ3は、アーム2の円盤部21の外周側に取り付けられており、ベアリング(転がり軸受)8を介して円盤部21に回転自在に支持されている。
この構成によると、本実施形態のオートテンショナ100は、ベルトの張力変動が比較的小さく、アーム2をさほど大きく回動させない方がよいカムシャフト駆動ベルトシステムに好適である。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
即ち、上記実施形態では、スプリングクラッチ5の内周面が、コイルばね4の外周面に接触している形態は、コイルばね4の一端側領域の外周面を除きコイルばね4の略外周面全体に亘って接触している形態に限定されない。C字ばねの内周面は、周方向に関してコイルばね4の外周面の略全体に接触していればよく、軸方向に関しては、コイルばね4の一端側領域の外周面を除くコイルばね4の外周面の略全体に接触していなくてもよい。
また、クラッチ効果の指標となり得る、クラッチ面に作用する発生トルク比(TL/TS)は、係合面の摩擦係数やコイルばねの有効巻き数のみならずスプリングクラッチの断面特性や材料の弾性係数等の設計事項に依り一義的に定まり難い側面はあるが、最適なものに設定することができる。すなわち、本実施形態をベースに上記設計事項を種々変更することにより、ベルトシステムメーカからの要求に応じ、クラッチ効果を最適なものに導くことができる。
また、コイルばね4の一端と他端は、直線状に形成されていてもよい。また、折り曲げられていてもよい。
また、カムシャフト駆動ベルトシステムに用いられるタイミングベルトへの適用に限らず、自動車用エンジンの補機を駆動する伝動ベルトの緩み側張力を一定に保つオートテンショナに適用してもよい。
1 ベース
2 アーム
3 プーリ
4 コイルばね
5 スプリングクラッチ
6 揺動軸
11 台座部
12 円筒部
12a 上限側回動規制壁面
21 円盤部
22 内筒部
22a 下限側回動規制壁面
41 後端面
52 スリット
104 コイルばね

Claims (7)

  1. 揺動軸が取り付けられるベースと、
    前記揺動軸を介して前記ベースに対して回動自在に支持されたアームと、
    前記アームに取り付けられ、ベルトに接触可能であるとともに、前記揺動軸と平行な軸線回りに回転自在に設けられるプーリと、
    前記揺動軸の回りに配設され、前記アームを前記ベースに対して一方向に回動付勢するコイルばねと、
    前記コイルばねの周囲に設けられたスプリングクラッチと、を備えるオートテショナにおいて、
    前記コイルばねは、前記揺動軸に沿った軸方向に圧縮され、一端が前記アームに係止され、他端が前記ベースに係止されているとともに、前記ベルトを緩ませる方向に前記アームが回動したときに拡径するように設定されており、
    前記スプリングクラッチは、周方向に離間されたスリットを有する断面C字状であるとともに、前記軸方向に延在する円筒形の板ばねであって、
    前記スプリングクラッチは、縮径方向の自己弾性復元力により前記コイルばねに対して外周側から接触しているとともに、前記円筒形の前記軸方向の端が前記ベースに対して相対回転不能に支持されており、
    前記スプリングクラッチは、前記コイルばねの前記一端を含む一端側領域の外周面を除き、前記コイルばねの外周面全体に接触していることを特徴とするオートテンショナ。
  2. 前記スプリングクラッチは、オートテンショナに外力が作用していない状態において、
    前記軸方向に関する一端は自由端であり、前記軸方向に関する他端が前記ベースに当接しかつ回り止めされている、ことを特徴とする請求項1に記載のオートテンショナ。
  3. 前記コイルばねの線断面は略四角形である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のオートテンショナ。
  4. 前記コイルばねの線断面は略D字状であって、前記揺動軸の軸線に沿った断面において
    前記コイルばねの外周面に相当する部分が前記軸線と平行な直線状に形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のオートテンショナ。
  5. 前記スプリングクラッチの外周面に前記ベースを接触させて、前記アームが前記ベースに対して前記一方向と逆方向に回動する範囲の上限を規制できる、ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
  6. 前記コイルばねの内周面に前記アームを接触させて、前記アームが前記コイルばねに前記一方向に回動付勢される範囲の下限を規制できる、ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
  7. 前記アームは前記ベースに偏心支持されていると共に、前記プーリは前記アームの外周側に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
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