JP6774859B2 - オートテンショナ - Google Patents
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Description
また、ベルトの装着を容易にするために、アームを固定部材(以下、ベースという)に対して方向を問わず回動自在にさせるためには、スプリングクラッチホルダをばね収容室と軸方向に離間させて配置される構成が好適である。しかし、この場合は、オートテンショナが軸方向に大型化してしまう。
つまり、特許文献1のオートテンショナでは、クラッチ効果を顕著に発揮させるために、径方向および軸方向に大型化してしまうという問題点がある。
つまり、特許文献2のオートテンショナでは、クラッチ効果を顕著に発揮させるために、径方向および軸方向の大型化は招かないが、回動軸の軸受機能(摩耗や摺動抵抗の安定化等)の低下を招き易くなってしまうという問題点がある。
前記コイルばねは、前記揺動軸に沿った軸方向に圧縮され、一端が前記アームに係止され、他端が前記ベースに係止されているとともに、前記ベルトを緩ませる方向に前記アームが回動したときに拡径するように設定されており、
前記スプリングクラッチは、周方向に離間されたスリットを有する断面C字状であるとともに、前記軸方向に延在する円筒形の板ばねであって、前記スプリングクラッチは、縮径方向の自己弾性復元力により前記コイルばねに対して外周側から接触しているとともに、前記円筒形の前記軸方向の端が前記ベースに対して相対回転不能に支持されていることを特徴とする。
ここで、前記円筒形の前記軸方向の端が前記ベースに対して相対回転不能に支持されていることとは、前記ベースに対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、前記コイルばねと前記スプリングクラッチとの係合面に前記アームの回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることである。
この構成によると、スプリングクラッチがベースに径方向に偏りなく相対回転不能に支持されることが、より具体的に実現できる。
この構成によると、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばねとスプリングクラッチとの係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
この構成によると、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばねとスプリングクラッチとの係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
この構成によると、スプリングクラッチに接触するコイルばねの有効巻き数が最大に維持されるので、アームの回動を抑制しようとする減衰力を増大させることができるとともに、上記第3または第4の発明の効果をより確実に発揮できる。
この構成によると、スプリングクラッチの外周面とこれに対向するベースの内周面との間隙の大きさを適切に設定することにより、ベルトの緩み側張力が過度に増加した場合に、アームの回動を、オートテンショナの構造上故障原因となるコイルばねの拡径変形限界より手前の安全な範囲内(例えば95°)に留めることができる。これにより、オートテンショナ(特には、コイルばね)を保護できる。
この構成によると、コイルばねの内周面とこれに対向するアームの外周面との間隙の大きさを適切に設定することにより、例えばオートテンショナのアッセンブリー時のアーム回動角度の下限(例えば35°)を、回動角度ゼロより大の適切な範囲内に留めることができる。このため、アームの回動角度の下限規制を備えない場合と比べて、アッセンブリー後のコイルばねの端部の係合状態をガタ付きのない安定な状態に維持できる。また、オートテンショナのエンジンブロックへの組付け作業、およびベルトのプーリへの巻き掛け作業の負荷を軽減できる。
この構成によると、ベルトの張力変動が比較的小さく、アームをさほど大きく回動させない方がよいカムシャフト駆動ベルトシステムに、本発明のオートテンショナが好適である。
つまり、本発明は、比較的部品点数が少なく組立容易で簡素な構成で、かつ径方向および軸方向に大型化してしまうことがない。
また、アームの揺動を、ベルトの張力が増加した場合にベルトを緩ませる方向では顕著に減衰させて、アームの回動を抑制させ、ベルトの張力が減少した場合にベルトを張る方向では減衰させずに、ベルト張力の減少に対して十分に追従させることができる。
また、ベルトを緩ませる方向でアームの回動を顕著に減衰させた場合でも、スプリングクラッチの円筒形の軸方向の一端がベースに対して相対回転不能に支持され、スプリングクラッチがベースに径方向に偏りなく相対回転不能に支持されている構成であるので、軸受面に対し径方向一方向への引張による偏荷重を余分に生じさせることはなく、回動軸の軸受機能の低下を招き難い。
また、台座部11の前面には、スプリングクラッチ5の後面に突設された爪部51(対角2か所)と対向する位置(対角2か所)に溝部11bを設けた。なお、この溝部11bは貫通溝とした。対角2か所とは、コイルばね4の後端面41(他端面)と周方向に対向する当接面11a際と、その対角と、である(図5、図7参照)。
揺動軸6の中央部には、前後方向に延びる孔62が形成されており、この孔62に締結ボルト61が相対回転不能に挿入されている。この締結ボルト61は、エンジンブロックへオートテンショナを固定する締結用ボルトも兼ねる。揺動軸6は、ブッシュ(滑り軸受)7を介してアーム2(ベアリング8、プーリ3を含む)を軸Rを中心に回動可能に支持している。
円盤部21の後面(ばね収容室9と軸方向に対向する面)に、コイルばね4の前端(一端)を保持(係止)する保持溝25を形成した。この保持溝25は、深さが周方向で変化する螺旋状の溝になっている。保持溝25の一端側には、コイルばね4の前端面(一端面)42と周方向に対向する当接面26を形成した。(図3、図4参照)
また、コイルばねの一端及び他端は、螺旋形状に沿った形態のまま維持させた。これにより、製造負荷を抑制できる。
コイルばね4は、軸方向(前後方向)に圧縮された状態でばね収容室9に収容されている。そのため、コイルばね4は、軸方向の自己弾性復元力によって、コイルばね4自身とともにスプリングクラッチ5の姿勢をも安定化できる。また、アーム2にガタが生じないようにできる。
コイルばね4の一端側領域は、径方向に関して保持溝25(アーム)の溝に沿った両側面に挟まれ、軸方向に関して深さが周方向で変化する螺旋状の保持溝25の溝底面に接触している(図3参照)。一方、コイルばね4の他端側領域は、高さが周方向で変化する螺旋状の台座部11の前面に接触している(図5参照)。具体的には、コイルばね4は、アッセンブリー時には、拡径方向にねじられた状態でア−ム2の内筒部22に装着され、コイルばね4の内周面が内筒部22の外周面(下限側回動規制壁面22a)に接触している。また、コイルばね4の前端面42(一端面)が円盤部21(アーム)の当接面26を周方向に押圧し、コイルばね4の後端面41(他端面)が台座部11(ベース)の当接面11aを周方向に押圧している。
なお、径方向にも長さ方向(軸方向)にも、厚さは略一定でよい。また、オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。
軸方向の一端(以下、前端)は、自由端であって、それゆえ単に平坦な板状端面でよい。軸方向の他端(以下、後端)は、台座部11(ベース)に対する回り止めと台座部11への良好な据わりを得るため、以下に記載した構成に形成するとよい。具体的には、軸方向の他端面(以下、後面)は、コイルばね4の後端面41(他端面)から略一巻き目領域(以下、他端側領域)の後面の螺旋形状と合致する螺旋形状に形成した。また、後面には、爪部51が、自身のスリット52際とその対角との計2か所で、後側に突設させた。なお、爪部51の突設位置を、スリット52際を含む位置としたのは、スリット52際を含ませる方が、製造時の負荷を低減できるからである。
具体的には、スプリングクラッチ5後面の爪部51(対角2か所)と台座部11前面の溝部11b(対角2か所)とを係合させた(図5参照)。これにより、スプリングクラッチ5はベース1に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることができる。
台座部11の前面(ばね収容室9と軸方向に対向する面)は、前述のように、高さが周方向で変化する螺旋状の台座になっている。すなわち、スプリングクラッチ5の後面は、コイルばね4の後面と同様、台座の前面に当接している。これにより、コイルばね4とともにスプリングクラッチ5の据わりを良くして、両者の姿勢をより安定化できる。
図8の線断面が略D字状に形成されたコイルばね104は、円形断面の金属線(ばね線)を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)した後、コイルばねの中心軸線に沿った断面においてコイルばねの外周面がこの軸線と平行な直線状に形成されるように軸線方向の長さ(面長)全体にわたって研磨仕上げがなされて、線断面が略D字状に形成されるねじりコイルばねである。
円形断面の金属線の外周面を研磨仕上げしたコイルばね104は、コイルばねの線断面が略四角形である場合と比べて、汎用な円形断面の線材を用いて加工できるので、製造負荷を抑制できる。
なお、図4の実施形態1の場合と同様に、図8の実施形態2のコイルばね104においても、オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたってコイルばね104の径が一定である。
また、コイルばね104の一端がアーム2に係止され、他端がベース1に係止される形態は、実施形態1のコイルばね4で説明したものと同様である。
そのため、スプリングクラッチ5の内周面は、縮径方向の自己弾性復元力により、線断面が略D字状であって揺動軸の軸線(コイルばねの中心軸線)に沿った断面においてこの軸線と平行な直線状に形成されたコイルばね104の外周面に面接触している。
さらに、図4の実施形態1と同様に、コイルばね104の上記接触面の摩耗防止のため、対向面にグリース等の摩耗防止剤を介在させてもよい。また、含油性が向上するように、対向する両者またはどちらか一方の表面を微細な凹凸面としてもよい。
伝動ベルトの張力の増減に伴って、アーム(およびプーリ)は、揺動軸の軸線Rを揺動中心として揺動する。
ベルトから荷重を受けて、アーム2は、コイルばね4の周方向の付勢力に抗する方向に回動される。この場合は、アーム2の回動を大きく減衰させて、アーム2の回動を抑制させることが重要である。
以下に詳細に説明する。伝動ベルト101の張力が増加すると、ベルト張力の合力であるベルト荷重FBがプーリ3の回転軸に作用する(図6参照)。
このベルト荷重FBにより、プーリ3の回転軸から偏心された揺動軸6の軸線R回りにトルクTが発生し、アーム2は、コイルばね4の周方向の付勢力に抗して、Y方向に回動する。
なお、アーム2の回動トルクTは、T=FB×eである(ここで、eは、トルク半径:軸線Rからベルト荷重FBの力線までの最短距離である(図6参照)。)
軸線R回りに作用したトルクTによりアーム2の当接面26に力Faが伝達される(図3参照)。
コイルばね4は、その一端面でコイルばねの周方向の付勢力に抗する力Faを受けて、Y方向にねじり変形させられて拡径変形する(図3参照)。その際、コイルばね4に対し把持力を有するスプリングクラッチ5に外周側から押さえつけられつつ、スプリングクラッチ5がベース1に対し回り止めされていることにより、両者(コイルばね4及びスプリングクラッチ5)は、相対的な周方向の摺動摩擦を伴いながら拡径変形する。これにより、アーム2の回動により拡径変形するコイルばね4と、コイルばね4に対し把持力を有するスプリングクラッチ5との係合面には、摩擦トルク(TL)が発生する(図2参照)。
このコイルばね4が拡径変形する際に発生する摩擦トルク(ロックトルクともいう)(TL)(絶対値)は、係合面の相対的な摺動(スリップ)が小さい分、コイルばね4が縮径変形する際に発生する摩擦トルク(スリップトルク)(TS)(絶対値)よりも相対的に大きく、その作用する向きは、アーム2の回動方向とは逆向き(X方向)である。
伝動ベルト101の張力が増加した場合に、アーム2の回動トルクTに抗する減衰トルク(絶対値)は、コイルばね4の周方向の付勢力による減衰トルク(絶対値)をTCとすると、(TC(絶対値)+TL(絶対値))で表すことができる。
したがって、アームの回動を顕著に減衰させる減衰力を発生させることができる。
なお、アームの回動トルクT(絶対値)が上記(TC+TL)(絶対値)と等しい釣り合い関係となるとき、その回動角度でアーム2の回動は停止する。
コイルばね4の周方向の付勢力を受け、アーム2は、回動付勢方向に回動される。この場合はアーム2の回動を減衰させずに、ベルト101の張力を増加(回復)させる方向にアーム2を回動させて、ベルト張力の減少に対して十分に追従させることが重要である。
以下に詳細に説明する。コイルばね4の周方向の付勢力を受け、アーム2は、回動付勢方向に回動される。伝動ベルト101の張力が減少した場合には、コイルばね4のねじり復元力が支配的となり、アーム2がX方向に回動する。
アーム2の回動により縮径変形するコイルばね4と、コイルばね4に対し把持力を有するスプリングクラッチ5との係合面には、摩擦トルク(TS)が発生する(図2参照)。しかし、コイルばね4が縮径変形する際に発生する摩擦トルク(スリップトルクともいう)(TS)(絶対値)は、係合面の相対的な摺動(スリップ)が大きい分、コイルばね4が拡径変形する際に発生する場合(ロックトルク)(TL)(絶対値)よりも相対的に小さく、その作用する向きは、アーム2の回動方向とは逆向きである(Y方向)。
したがって、伝動ベルト101の張力が減少した場合のアーム2の回動トルクT(絶対値)は、(TC(絶対値)−TS(絶対値))となるものの、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面には、アーム2がY方向に回動した場合に比べて小さい減衰トルクTS(絶対値)しか生じない。
したがって、アーム2はコイルばね4のねじり復元力を十分に受けることができ、アーム2の回動を減衰させずに、ベルト張力の減少に対して十分に追従させることができる。
スプリングクラッチをオートテンショナの構造に適用した場合のスプリングクラッチのクラッチ効果とは、コイルばねをクラッチ面に接触させることによって、摩擦トルクをクラッチ面に発生させて、ベースに対するアームの回動を規制できる効果のことである。
このクラッチ効果は、オートテンショナの機能的には、ベルトの張力が増加してベルトを緩ませる方向にアーム2が回動する際(構造的には、コイルばね4の回動付勢方向と逆の方向に回動する際)に発揮される。
このクラッチ効果は、クラッチ面に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)、即ち、スリップトルク(TS)(絶対値)に対するロックトルク(TL)(絶対値)の比率(TL/TS)(絶対値)を指標(代用特性)として捉えることができる。
つまり、クラッチ面が周方向に完全に閉じた内周壁面であるスプリングクラッチの場合の発生トルク比は、発生トルク比(TL/TS)=e^(2×π×μ×N)となる。ここで、μ:摩擦係数、N:コイルばねの有効巻き数、である。
この発生トルク比(TL/TS)(絶対値)が大きいほど、クラッチ効果が顕著であることを示す。
本実施形態の場合、係合面の摩擦係数やコイルばねの有効巻き数のみならずスプリングクラッチの断面特性や材料の弾性係数等の設計事項に依り一義的に定まり難い側面はあるが、クラッチ面に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)は、低く見積もっても1よりは大きい値(例えば概ね3)を示す、と考えられる。
スプリングクラッチ5として、厚さは約2mmの薄板ばね鋼(炭素工具鋼:SK−5)を用い、スリットの幅(開口隙間)は、オートテンショナに外力が作用していない状態において、約1mmであるものを用いた。
これらを用いたオートテンショナにおいて、コイルばね4とスプリングクラッチ5との接触面(クラッチ面)に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)は、実測の結果、約3であった。
これにより、本実施形態のスプリングクラッチ5を備えるオートテンショナ100は、クラッチ効果が顕著に発揮されていることがわかる。
コイルばね104の線断面寸法は、軸方向全長を約3mm、径方向全長を約2mm、コイルばね104の中心軸線に沿った断面においてこの軸線と平行な直線状に形成されたコイルばね4の外周面に相当する部分の軸線方向長さ(面長)を約2mmとした。コイルばね104の有効巻き数(N)は4とした。なお、スプリングクラッチ5は、上記と同じものを用いた。
これらを用いたオートテンショナにおいて、コイルばね4とスプリングクラッチ5との接触面(クラッチ面)に作用する発生トルク比(TL/TS)(絶対値)は、実測の結果、約3であった。
これにより、本実施形態のスプリングクラッチ5を備えるオートテンショナ100は、クラッチ効果が顕著に発揮されていることがわかる。
なお、コイルばね104の外径、コイルばね104の有効巻き数(N)、およびコイルばね104の線断面(略D字状)におけるコイルばね104の外周面に相当する部分の軸線方向長さ(面長)を、すべて、実施形態1(コイルばねの線断面が略四角形)と略同じにした場合は、コイルばね104とスプリングクラッチ5との接触面積は、実施形態1の場合と略同じになる。この場合は、実施形態1のオートテンショナと同程度に、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できる。
ばね収容室9を、アーム2の内筒部22と、アーム2の外筒部23およびこれに軸方向に対向するベース1の円筒部12と、アーム2の円盤部21およびこれに軸方向に対向するベース1の台座部11とに囲まれた空間に形成している。このばね収容室9の中で、コイルばね4は、一端がアーム2に係止され、他端がベース1に係止されている状態で収納される。スプリングクラッチ5は、その内周面が、周方向に関してコイルばね4の外周面の略全体に接触するように配設される。スプリングクラッチ5の後端面41は、台座部11に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることができる。
すなわち、スプリングクラッチ5は、スプリングクラッチホルダのような部品を追加することなく、径方向の最小限の拡大で収容することができる。そのため、比較的部品点数が少なく組立容易で簡素な構成で、かつ径方向および軸方向に大型化してしまうことがない。
スプリングクラッチ5は、断面C字状であるとともに軸方向に延在する円筒形の板ばねである。その円筒形の軸方向の他端だけがベース1に対して相対回転不能に支持されている。すなわち、スプリングクラッチ5は、ベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持されている。具体的には、スプリングクラッチ5後面の爪部51(対角2か所)と台座部11前面の溝部11b(対角2か所)とを係合させた(図5参照)。これにより、スプリングクラッチ5はベース1に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせることができる。また、スプリングクラッチ5の後面は、コイルばね4の後面と同様、台座部11の前面に当接している。これにより、コイルばね4とともにスプリングクラッチ5の据わりを良くして、両者の姿勢をより安定化している。
これにより、ベルトを緩ませる方向でアーム2の回動を顕著に減衰させた場合でも、スプリングクラッチ5の円筒形の軸方向の一端がベース1に対して相対回転不能に支持され、スプリングクラッチ5がベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持される。したがって、軸受面に対し径方向一方向への引張による偏荷重を余分に生じさせることはなく、回動軸の軸受機能の低下を招き難い。
具体的には、スプリングクラッチ5の後面は、コイルばね4の後面と同様、台座部11の前面に当接させる。スプリングクラッチ5後面の爪部51(対角2か所)と台座部11前面の溝部11b(対角2か所)とを係合させ、スプリングクラッチ5はベース1に対して径方向に偏りなく回り止めされるとともに、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面にアーム2の回動に伴う周方向の相対的な摺動を生じさせる。
これにより、スプリングクラッチ5がベース1に径方向に偏りなく相対回転不能に支持されることが、より具体的に実現できる。
コイルばね4は、略四角形断面の金属線を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)して形成された、ねじりコイルばねである。オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。
そのため、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
コイルばね4は、円形断面の金属線を螺旋状に巻回(本実施形態では右巻きに巻回)した後、コイルばねの中心軸線に沿った断面においてコイルばねの外周面がこの軸線と平行な直線状に形成されるように、軸線方向の長さ(面長)全体にわたって研磨仕上げがなされて、線断面が略D字状に形成されたねじりコイルばねである。
オートテンショナ100に外力が作用していない状態において、全長にわたって径が一定である。
そのため、コイルばねの線断面が円形である場合に比べて、接触面積が増加する。そのため、コイルばね4とスプリングクラッチ5との係合面が周方向に線接触状態である場合と比べて、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。また、上記係合面での共振振動を抑制し得る。
具体的には、スプリングクラッチ5の軸方向の幅(面長)は、コイルばね4の前端面(一端面)から略一巻き目領域(以下、一端側領域)の軸方向長さを除き、コイルばねの軸方向長さと略同じとした。スプリングクラッチ5は、コイルばね4の一端側領域には接触しておらず、自身の把持力を作用させていない。スプリングクラッチ5は、コイルばね4の後端面(他端面)から略一巻き目領域(他端側領域)にも接触しており、自身の把持力を作用させている。
スプリングクラッチ5に接触するコイルばね4の有効巻き数が最大に維持されるので、アーム2の回動を抑制しようとする減衰力を増大させることができるとともに、双方又は一方の接触面の偏摩耗を防止できるとともに、長期に亘って減衰効果を発揮できる。
アーム2の上限側回動規制壁面12aを備える場合は、ベース1の円筒部12の内周面が上限側回動規制壁面12aとなり、その内径が適切に決定される。この構成により、ベルトの緩み側張力が過度に増加した場合に、アームの回動を、オートテンショナの構造上故障原因となるコイルばね4の拡径変形限界より手前の安全な範囲内(例えば95°)に留めることができる。これにより、オートテンショナ100(特には、コイルばね4)を保護できる。
アーム2の下限側回動規制壁面22aを備える場合は、アーム2の内筒部22の外周面が下限側回動規制壁面22aとなり、その外径が適切に決定される。この構成により、オートテンショナ100のアッセンブリー(製造・組立)段階でのアーム2の回動角度を例えば35°として、その角度にアーム2を保持できた。
例えば、アーム2の回動規制壁面22a(下限側、アーム回動角度:例えば35°)を設けた構成のオートテンショナ100をエンジンブロックへ組付ける場合は、アーム2の下限側回動規制壁面22aを設けない構成の場合(アーム2回動角度の下限値が0°、組付け時に0°から60°までアームの回動を要す)に比べて、コイルばね4の回動付勢力に抗してアームを回動させる作業負荷を軽減できる(35°から60°までアームを回動すれば済む、換言すると、0°から35°まで回動不要)。
例えば、ベルトの装着時において、アーム2の回動規制壁面22a(下限側、アーム回動角度:例えば35°)を設けた場合は、アーム2の下限側回動規制壁面22aを設けない構成の場合(アーム回動角度の下限値が0°)に比べて、ベルトから離れる方向にプーリを配置できるので、ベルトのプーリへの巻き掛け作業が容易になった。
具体的には、プーリ3は、アーム2の円盤部21の外周側に取り付けられており、ベアリング(転がり軸受)8を介して円盤部21に回転自在に支持されている。
この構成によると、本実施形態のオートテンショナ100は、ベルトの張力変動が比較的小さく、アーム2をさほど大きく回動させない方がよいカムシャフト駆動ベルトシステムに好適である。
2 アーム
3 プーリ
4 コイルばね
5 スプリングクラッチ
6 揺動軸
11 台座部
12 円筒部
12a 上限側回動規制壁面
21 円盤部
22 内筒部
22a 下限側回動規制壁面
41 後端面
52 スリット
104 コイルばね
Claims (7)
- 揺動軸が取り付けられるベースと、
前記揺動軸を介して前記ベースに対して回動自在に支持されたアームと、
前記アームに取り付けられ、ベルトに接触可能であるとともに、前記揺動軸と平行な軸線回りに回転自在に設けられるプーリと、
前記揺動軸の回りに配設され、前記アームを前記ベースに対して一方向に回動付勢するコイルばねと、
前記コイルばねの周囲に設けられたスプリングクラッチと、を備えるオートテショナにおいて、
前記コイルばねは、前記揺動軸に沿った軸方向に圧縮され、一端が前記アームに係止され、他端が前記ベースに係止されているとともに、前記ベルトを緩ませる方向に前記アームが回動したときに拡径するように設定されており、
前記スプリングクラッチは、周方向に離間されたスリットを有する断面C字状であるとともに、前記軸方向に延在する円筒形の板ばねであって、
前記スプリングクラッチは、縮径方向の自己弾性復元力により前記コイルばねに対して外周側から接触しているとともに、前記円筒形の前記軸方向の端が前記ベースに対して相対回転不能に支持されており、
前記スプリングクラッチは、前記コイルばねの前記一端を含む一端側領域の外周面を除き、前記コイルばねの外周面全体に接触していることを特徴とするオートテンショナ。 - 前記スプリングクラッチは、オートテンショナに外力が作用していない状態において、
前記軸方向に関する一端は自由端であり、前記軸方向に関する他端が前記ベースに当接しかつ回り止めされている、ことを特徴とする請求項1に記載のオートテンショナ。 - 前記コイルばねの線断面は略四角形である、ことを特徴とする請求項1または2に記載のオートテンショナ。
- 前記コイルばねの線断面は略D字状であって、前記揺動軸の軸線に沿った断面において
前記コイルばねの外周面に相当する部分が前記軸線と平行な直線状に形成されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のオートテンショナ。 - 前記スプリングクラッチの外周面に前記ベースを接触させて、前記アームが前記ベースに対して前記一方向と逆方向に回動する範囲の上限を規制できる、ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
- 前記コイルばねの内周面に前記アームを接触させて、前記アームが前記コイルばねに前記一方向に回動付勢される範囲の下限を規制できる、ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
- 前記アームは前記ベースに偏心支持されていると共に、前記プーリは前記アームの外周側に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオートテンショナ。
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