JP7336391B2 - オートテンショナ - Google Patents
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Description
前記軸部に相対回転不能に固定されるケーシングと、
前記軸部を介して前記ケーシングに対して回動自在に、偏心支持されたアームと、
前記軸部の軸線と平行な軸線を中心に回転可能に、前記アームの外周側に取り付けられ、かつ、ベルトに接触可能な外周面を有するプーリと、
前記軸部の外周側に配設され、前記アームを前記ケーシングに対して一方向に回動付勢するコイルばねと、
前記ケーシングと前記アームとに囲まれた空間であり、前記コイルばねを収容するばね収容室と、を備え、
前記ばね収容室は、前記プーリの外周面の、前記軸部の軸線方向の中心線を含む面に対し、前記エンジンブロックと反対側にオフセットされている、ことを特徴とするオートテンショナである。
また、エンジンブロックに固定されるオートテンショナは、軸部の軸線方向において、エンジンブロック、プーリの外周面の中心線を含む面、ばね収容室の順に配置される。そのため、オートテンショナを備えたベルトシステムにおいて、従来の、軸部の軸線方向において、エンジンブロック、ばね収容室、プーリの外周面の中心線を含む面の順に配置される構成と比較し、エンジンブロックとベルトライン(プーリの外周面の中心線上で接触するベルトの幅方向中心線)との間隔距離を十分に小さくすることができる(ベルトラインをエンジンブロックに十分に近づけることができる)。これにより、エンジンのコンパクト化や軽量化に対する市場要求に応えることができる。
なお、ケーシングは、軸部に相対回転不能に固定されている。これにより、コイルばね(付勢手段)が、アームをケーシングに対して一方向に回動付勢する動作を、確実なものにすることができる。
前記軸部には、軸線方向に貫通した孔が形成されており、
前記軸部の前記孔の、前記エンジンブロックとは反対側には、前記孔の径よりも径方向に拡がる、押さえ部材が連結され、
前記押さえ部材には、当該オートテンショナを前記エンジンブロックに組み付ける際に締結ボルトを挿通するためのボルト挿通孔が、前記軸部の軸線から偏心した位置に形成されている、ことを特徴としている。
上記構成の場合、軸部の軸線から偏心した位置に形成されるボルト挿通孔は、軸部とは別部材の押さえ部材に形成されている。そのため、軸部の軸線方向に貫通する孔の径は、挿入される締結ボルトの径よりも大きく形成することができる。これにより、軸部を十分に肉抜きすることができ、オートテンショナの軽量化ひいてはエンジンの軽量化に寄与することができる。
図1に示すように、カムシャフト駆動ベルトシステム1において、エンジンブロック99(図6参照)に組み付けられたオートテンショナ2と、駆動プーリ(1つ)と、従動プーリ(2つ)とに1本のタイミングベルト3が巻き掛けられている。タイミングベルト3は、自動車用エンジンのカムシャフトを駆動するかみ合い伝動ベルトであるため、アーム8をさほど大きく回動させない方がよいコンパクトな構造のオートテンショナ2が好適に用いられる。
図2~図7に示すように、本実施形態のオートテンショナ2は、エンジンブロック99に固定される軸部4と、軸部4に相対回転不能に固定されるケーシング7と、軸部4を介してケーシング7に対して回動自在に、偏心支持されたアーム8と、軸部4の軸Rと平行な軸R4を中心に回転可能に、アーム8の外周側に取り付けられ、かつ、タイミングベルト3に接触可能な外周面91を有するプーリ9と、軸部4の外周側に配設され、アーム8をケーシング7に対して一方向に回動付勢するコイルばね11と、ケーシング7とアーム8とに囲まれた空間であり、コイルばね11を収容するばね収容室111とを備えている。
軸部4は、図2に示すように、軸R方向に延びるオートテンショナ2の支柱(軸部4はエンジンブロック99に固定される)であり、軸部4の軸線である軸Rは、プーリ9の中心軸である軸R4に対して偏心している。これにより、プーリ9およびアーム8はタイミングベルト3の張力の増減に伴って軸Rを揺動中心として揺動する。軸部4の他端側には軸部4と一体的にフランジ43が形成されている。また、軸部4の外周面は、軸Rと平行に形成されている。
押さえ部材6は、軸部4とは別個に、軸部4の孔41の、エンジンブロック99と反対側である一端側に嵌め込まれている。なお、押さえ部材6は軸部4と一体に(相対回転不能に)形成されていてもよいが、この場合、エンジンブロック99への仮組み状態で、締結ボルト5を中心に軸部4をX方向に回転させて、所定のベルト初期張力をタイミングベルト3に付与する動作が困難になる場合があることから、本実施形態のように、押さえ部材6は、軸部4とは別個の構成にするのがよい。
ケーシング7は、図2に示すように、軸部4とは別箇の部材であり、軸部4の軸Rと同軸状に設けている。ケーシング7は、径方向に対向するケーシング内筒部71およびケーシング外筒部72と、ケーシング内筒部71の一端側の縁及びケーシング外筒部72の一端側の縁に接続している環状の底部73とを有している。ケーシング内筒部71とケーシング外筒部72は、軸部4の軸Rと同軸状に設けられている。ケーシング7の底部73は径方向と平行な平坦面に形成されている。ケーシング内筒部71の内周面と軸部4の一端側の外周面とが接触していて、ケーシング7は、軸部4に対して相対回転不能に固定されている(本実施形態では、図5及び図7に示すように、軸部4の一端側の外周面に設けられたセレーション形状部44を、ケーシング7のケーシング内筒部71(内周面が、セレーション形状部44の外径よりも若干小さく形成されている)に圧入する、圧入方式により確実に固定されている)。これにより、コイルばね11が、アーム8をケーシング7に対して一方向に回動付勢する動作を確実なものにすることができる。また、ケーシング7の底部73の一端側の面と、押さえ部材6のフランジ部62の他端側の面とが接触している。ケーシング7は、軸部4がエンジンブロック99に固定されるまでの間は、締結ボルト5を中心に軸部4とともに回転(揺動)可能である。
アーム8は、図2に示すように、ケーシング7に偏心支持されていて、ケーシング7の他端側に配置されるボス部83と、ボス部83から前方に延びるアーム内筒部81と、アーム内筒部81と平行になるように、径方向外側に、アーム内筒部81と離れて形成されたアーム外筒部82と、ボス部83から径方向外側に向けて延びる環状の外延部84とを備えている。アーム8の外延部84は、転がり軸受10の外輪の外面付近まで延びている。アーム内筒部81とアーム外筒部82とは、ケーシング7におけるケーシング内筒部71とケーシング外筒部72と同様、軸部4と同軸状に設けられていることが好ましい。アーム8の外延部84は、径方向に平行な平坦面に形成されていることが好ましい。
図2に示すように、転がり軸受10は、アーム8とプーリ9との間に介設され、同心状に並んだ2つのリング状部材である内輪101と外輪102との間に複数個の玉の転動体105を収容する環状の保持室103を有するボールベアリングである。本実施形態では、転動体105が収容される保持室103にグリースが封入されるとともに、複数の玉の両側に環状のシール材(不図示)が配置される密閉形玉軸受を採用する。転がり軸受10の内輪101はアーム8のボス部83の外周面に密着固定され、外輪102はプーリ9の内周面に密着固定される。
コイルばね11は、図2に示すように、金属線を螺旋状に巻回して形成されていて、軸部4の軸R方向に圧縮されてばね収容室111に収容されている。
摺動部材12は、図2、図7に示すように、筒状摺動部121と板状摺動部122とが別体に形成されている。筒状摺動部121は、軸部4とアーム8のボス部83との間に配置されている。板状摺動部122は、軸部4のフランジ43の一端面と、アーム8のボス部83の他端面との間に配置されている。
締結ボルト5を、図2、3に示すように、軸部4の軸Rに対し偏心して配置することについて、オートテンショナ2のエンジンブロック99への組み付け及びタイミングベルト3の装着の説明の中で説明した後、オートテンショナ2の組み立て、及びオートテンショナ2の作動について説明する。
オートテンショナ2の各部品の寸法公差や部品間の距離の公差などのカムシャフト駆動ベルトシステム1に不可避の寸法公差(例えばタイミングベルト3の長さのバラツキ)に起因して、エンジンブロック99に対して同じ姿勢で組み付けても、装置によってタイミングベルト3に与える初期張力にばらつきが出てしまう。そこで、本実施形態のオートテンショナ2は、エンジンブロック99への組み付け時に所定のベルト初期張力をタイミングベルト3に付与できるように構成されている。前提となる構成について説明する。図2、図3に示すように、プーリ9の回転中心であるプーリ9の軸R4は軸部4の軸Rに対して偏心して配置され、締結ボルト5の軸R5は、軸部4の軸Rに対し偏心して配置されている。また、本実施形態のオートテンショナ2は、所定のベルト荷重がプーリ9の回転軸に作用し、所定の初期張力がタイミングベルト3に付与されて、正常にタイミングベルト3が装着された状態になっているときに、アーム8のインジケータ87の先端位置とケーシング7のインジケータ76の先端位置とが一致(つまり、合い印が一致)するように構成されている(図3参照)。なお、エンジンブロック99への組付け作業を行う前のオートテンショナ2におけるアーム8に備わるインジケータ87は、図3において、紙面左斜め下方に対し紙面下方の位置にある。例えば、紙面左斜め下方からX方向に例えば約45°の位置でもよい。
したがって、本実施形態のように、締結ボルト5をスタッドボルトにすれば、一般的な六角穴付きボルトを用いる場合と比べて、エンジンブロック99へのオートテンショナ2の組み付け精度を向上でき、ひいては、所定のベルト初期張力をより正確にタイミングベルト3に付与できる。
以上説明したオートテンショナ2は次のような工程で組み立てる。
まずは、転がり軸受10、プーリ9、摺動部材12の筒状摺動部121、及び、摺動部材12の板状摺動部122をアーム8に組み付ける。次に、摺動部材12の筒状摺動部121の内面と軸部4の外面が接触するように、アーム8を含む上記部材群を軸部4に組み付ける。次に、回り止め部材19の他端部を軸部4の他端面に形成された凹溝42に装着する。次に、コイルばね11の後端部をアーム8のアーム保持溝86に保持させるとともに、コイルばね11の前端部をケーシング7のケーシング保持溝74に保持させた状態で、ケーシング7を軸部4の一端側の端部(外周面)に圧入固定する。最後に、押さえ部材6を軸部4の孔41の一端側の端部(軸部4の内周面)に挿入する。その際(挿入完了時点で)、回り止め部材19の一端部は、押さえ部材6の第2ボス部632(外周面)に形成された環状溝64に装着される。
本実施形態では、コイルばね11が、軸部4の軸R方向に圧縮されている。そのため、摺動部材12における板状摺動部122が、アーム8の揺動を減衰させる機能を果たし、オートテンショナ2は、対称な減衰特性を持つ。この場合、ベルト張力が増加した場合と減少した場合で、板状摺動部122に生じる摩擦力の大きさは、略同じである。
ばね収容室111とプーリ9との配設関係を、本実施形態のように、ばね収容室111が、プーリ9の外周面91の、軸R方向の中心線Cを含む面Dに対して、エンジンブロック99とは反対側にオフセットして配置することによって、例えばベルト幅約15mmのタイミングベルト3を備えるカムシャフト駆動ベルトシステム1に本発明のオートテンショナ2(この場合、プーリの外周面91の幅は約20mm)を適用した場合、図6に示すように、ベルトラインからエンジンブロック99の一端面(支持面、軸部4の他端面)までの距離は、従来のオートテンショナ(図8)では約26mmであったのに対し、約14mmとなり、約46%(約12mm)も短縮できることがわかった。本構成によれば、オートテンショナ2本来のベルト張力調整機構を具備しつつ、従来のオートテンショナに対し、ベルトラインをエンジンブロック99に十分に近づけることができることがわかった。
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
2 オートテンショナ
3 タイミングベルト
4 軸部
5 締結ボルト
6 押さえ部材
7 ケーシング
8 アーム
9 プーリ
10 転がり軸受
11 コイルばね
12 摺動部材
41 孔
61 ボルト挿通孔
99 エンジンブロック
111 ばね収容室
R 軸部4の中心軸
R2 ボルト挿通孔61の中心軸
R3 孔41の中心軸
R4 プーリ9の中心軸
R5 締結ボルト5の中心軸
Claims (1)
- エンジンブロックに固定される軸部と、
前記軸部に相対回転不能に固定されるケーシングと、
前記軸部を介して前記ケーシングに対して回動自在に、偏心支持されたアームと、
前記軸部の軸線と平行な軸線を中心に回転可能に、前記アームの外周側に取り付けられ、かつ、ベルトに接触可能な外周面を有するプーリと、
前記軸部の外周側に配設され、前記アームを前記ケーシングに対して一方向に回動付勢するコイルばねと、
前記ケーシングと前記アームとに囲まれた空間であり、前記コイルばねを収容するばね収容室と、を備えたオートテンショナであって、
前記ばね収容室は、前記プーリの外周面の、前記軸部の軸線方向の中心線を含む面に対し、前記エンジンブロックと反対側にオフセットされており、
前記軸部には、軸線方向に貫通した孔が形成され、
前記軸部の前記孔の、前記エンジンブロックとは反対側には、前記孔の径よりも径方向に拡がる、押さえ部材が連結され、
前記押さえ部材には、当該オートテンショナを前記エンジンブロックに組み付ける際に締結ボルトを挿通するためのボルト挿通孔が、前記軸部の軸線から偏心した位置に形成されており、
前記押さえ部材の前記エンジンブロック側の端部は、前記プーリの外周面の、前記軸部の軸線方向の中心線を含む面よりも、前記エンジンブロックの反対側に位置するように形成されており、
前記軸部の前記孔と前記押さえ部材の前記エンジンブロック側の端部と前記締結ボルトとによって囲まれた肉抜き空間を有する、ことを特徴とするオートテンショナ。
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