JP6771655B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電動パワーステアリング装置に関するもので、特に、制御ユニットがモータのケース内に収容されて、モータと一体化されている電動パワーステアリング装置に関するものである。
電動パワーステアリング装置は、省スペース化及び軽量化のニーズから、従来、別体であったモータと制御ユニットとを一体化し、よりコンパクトな装置としている。モータと制御ユニットを一体化することによって、相互を接続する配線に必要なハーネスを削減できることからハーネスによる損失がなく効率が良くなる。また、配線から侵入するノイズの影響を小さくすることができるだけでなく、製品の組み立て工数を省くことができることからコストダウンになる。
しかし、制御ユニットは、電子機器によって構成されているため、粉塵の影響を受けないようにしなければならない。これに対して、モータは、機械的な構造体として、粉塵を発生させる可能性がある。そのため、この種の電動パワーステアリング装置では、モータのケースの一部に制御ユニットを設けて、モータに制御ユニットを組み込むように構成し、モータと制御ユニットとの間にロータハウジングを配置して、両者を分離するための壁を形成していた。具体的には、作業工程を短縮するために簡単な作業とすること及び省スペースのためにできるだけ単純な構造とすることが行われていた。すなわち、特許文献1に見られるように、モータのケースに接触するロータハウジングの周囲の面の複数個所にばね機構を設け、ロータハウジングをモータのケースに圧入し、前述のばね機構がモータのケースの内壁面に径方向の弾性力を作用させるようにしていた。
特開2016−136829号公報
特許文献1に開示された構造の電動パワーステアリング装置では、モータのハウジングにステータを圧入し、ロータハウジングも同様に圧入すると、モータのハウジングの変形を引き起こすため、ロータハウジングに設けた複数のばね機構の伸縮によって圧入力を分散させて変形を抑制していた。このばね機構によるロータハウジングとモータのケースの緩衝によって圧入によるハウジングの変形抑制の問題は解消されたが、新たな問題として、モータの軸心が均一にならないという問題が発生した。すなわち、複数のばね機構を使用した場合、それぞれのばね機構の変形代が均一になる可能性が低く、正確な軸心の確保は困難である。このため、振動や騒音の原因となる可能性がある。
この発明は、この新たな問題に着目し、この問題を解決するためになされたもので、その目的は、部品の圧入力によって生じるモータのケースに対する圧力を抑制するとともに、軸心の精度も確保できるようにした電動パワーステアリング装置を提供することにある。
この発明は、電動パワーステアリング装置において、ケース、前記ケースに収納されたモータ、前記ケースに収納された制御ユニット、及び前記モータと前記制御ユニットとを区分するフレームを備え、前記ケースの内壁面に設けられ前記フレームの角部が当接される段部と、前記フレームの外周と前記ケースの内周とが固着された接合部とによって前記フレームの動きを規制した電動パワーステアリング装置において、前記ケースの内壁面に接する前記フレームの外周面の前記角部より上側で前記接合部より下側に、前記フレーム削りカスを貯める溝を設けたことを特徴とするものである。
この発明によれば、モータのケースのステータの上部に配置し、軸受を中央に保持するフレームについては圧入力を抑制してケース内壁と当接する外周径を有し、この外周近傍に接合部を設けることによって、フレームの外周とケースの内周を強固に固着することにより、フレームの動きを規制するようにしたため、圧入力を抑えて、軸心の精度を確保できる。
実施の形態1における電動パワーステアリング装置の断面図である。 実施の形態1における部分断面図である。 実施の形態2における部分断面図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る電動パワーステアリング装置を図面に基づいて説明する。
この電動パワーステアリング装置では、制御ユニット1をモータ2の出力軸21に対して反対側に配置して一体化されている。モータ2は、多相巻線のモータで、ケース25に内蔵された出力軸21、ロータ22、ステータ23によって構成されている。ロータ22の周囲には永久磁石が複数対配置され、ステータ23には多相の巻線24がボビン24a、24bに巻装されて、配置されている。
ステータ23に巻装されている巻線24の端部は、巻線24の上部近傍に配置されている環状ターミナル部27に接続され、その後、制御ユニット1に接続されている。また、出力軸21の両端部には、出力軸21を回転自在に保持するために第1の軸受け26aと第2の軸受け26bが設けられている。また、第1の軸受26aは、フレーム29の中央に配置され、このフレーム29は、モータ2と制御ユニット1との境界に設けられ、モータ2に対して、蓋の役割を果たしている。
一方、制御ユニット1は、モータ2と同軸状に配置され、カバー6に内蔵された制御基板4、さらに上端部には、第1のコネクタ5a及び第2のコネクタ5bが配置されている。制御基板4には多数の電子部品、CPU30、スイッチング素子31、コンデンサ33等が装着されている。第1のコネクタ5a及び第2のコネクタ5bから入力された電源及び情報信号は、端子を通り、中継部材5cを介して制御基板4、さらにはスイッチング素子31へ接続されている。モータ2の巻線24の端部から延出したコイル線28が上方へ伸びて、制御基板4のスイッチング素子31の出力端子と接続されているので、モータ2の巻線24に電流が供給されて出力軸21が回転するように作用する。フレーム29は、前記コイル線28から所定の絶縁距離だけ離れた位置に貫通する穴を有し、一部はスイッチング素子31他と近接している。このフレーム29は、スイッチング素子31の発熱を放熱させるヒートシンクとして使用される。特に、フレームをヒートシンクとして構成する場合には、電動パワーステアリング装置の中でも、熱の問題を解決するための必要な部品であり、これをフレーム29が受け持つことによって、装置全体を小形にする場合に効果的である。さらに、このフレーム29の中央には穴が空けられていて、その中には出力軸21が貫通し、その出力軸21の先端には磁石ロータ32bが設置されている。一方、制御基板4の、磁石ロータ32bに対向する部分にはセンサ32aが装着され、磁石ロータ32bの回転をセンサ32aが検出することにより出力軸21の回転角度、回転速度を検知できるように構成されている。すなわち、磁石ロータ32bとセンサ32aとによって出力軸21の先端に、回転センサ部が設けられていることになる。
モータ2のケース25に、ステ−タ23、ロータ22、出力軸21等のモータの主要な内容物が収納されている。この収納の際に、ステータ23他の内容物をケース25の内壁に圧入又は焼嵌めすることによってケース25の内壁とステータ23の外周は強固に固定されなければならない。そのため圧入によりケース25は、わずかに膨らみ、歪む可能性がある。一方、フレーム29が蓋の役目のみならず、第1の軸受26aを保持しており、出力軸21の軸心の精度に大きく影響する。そのためケース25の内壁面には、フレーム29の外周と当接して、フレーム29の角の部分を支えるように段部25aを有する凹部が形成されている。ケース25は、例えばアルミニウム製であり、段部25aは切削されて形成されている。
一方、フレーム29は、第1の軸受26aの軸心の精度を有して第1の軸受26aを保持するとともに、スイッチング素子31他において発生する熱を逃がすため、伝熱性に優れたアルミニウム材料が使用されている。このフレーム29の軸方向(図面の下方向)の動きは、ケース25の段部25aによって規制されているが、振動、熱衝撃等の使用環境で上方向と周方向に移動しない様に保持力を確保する必要がある。この保持力を確保するためにケース25の圧入力を高くすると組立時に凝着等が発生し、ケース25が変形することによって、フレーム29の位置精度が出ないことになり、また、ケース25に対してフレーム29が上方向に移動した場合には、回転センサとの隙間が変化し角度検出精度が低下する。さらに、フレーム29が周方向に移動するような場合には、フレーム29とコイル線28との絶縁距離が所定距離以下となって漏電等の問題が生じる。これらのフレーム29の位置ずれによる問題を解消するため、本実施例ではフレーム29の圧入による保持力を低くしても、フレーム29の上側の外周近傍の複数箇所にコーキング29aを施してフレーム29の外周とケース25の内周を強固に固着させ、上方向、周方向の移動も規制している。
なお、ここで、コーキングとは、材料の一部をつぶして二つ以上の部品を接合するという意味であって、コーキングを施すということは、その部分に接合部を設けることである。この実施の形態1では、ケース25とフレーム29の軸方向の位置決めが任意で固定出来る様に、ケース25の内側からコーキング29aを施す構造としている。
次に、図2の部分断面図によって詳細に説明する。図2は、モータ2の上部のみを拡大した断面図である。図2では、ケース25にステータ23が圧入され、図面上部に軸受26aを保持したフレーム29が挿入、配置されている状態を示している。なお、図1に示したフレーム29のスイッチング素子31の対向面は、省略して平板状で示されている。ケース25の上面内周には段部25aを有した凹部が設けられ、ここにフレーム29の外周の角部が収まるように配置されている。そして、フレーム29の直径は、ケース25の内周凹部の径より極僅かに小さく設定されている。これによりフレーム29をケース25に収納する際の圧入力は、ステータ23をケース25に圧入する力より小さくて済む。この段部25aによってフレーム29の軸方向の位置は規制されている。
また軸受26aの軸心は、フレーム29の中央に設けられた穴の中心と軸受26aの軸心を一致させるようにフレーム29の外周と穴とを配置して精度を確保している。そのためケース25の内周とフレーム29の外周は当接するような寸法関係で挿入されているので、両者に膨らみ、歪み等が発生しない。この圧入していない当接状態であるために両者の位置関係によって軸心の位置精度を確保している。またフレーム29の外周径とケース25の内周径は、大きさに差がない。つまりフレーム29とケース25との隙間は、ほとんどない。したがって、ゴミの移動を防止できる。
もしこのフレーム29もステータ23と同様に圧入した場合には、ケース25の特に上面端部が膨らみ、歪みの発生の可能性があり、制御ユニット1との嵌合精度に影響を及ぼすことになる。そのためフレーム29をケース25に取り付けるのは、圧入ではなく当接程度の接触としている。
ケース25に対してフレーム29が上方又は径方向に移動することが無いように、フレーム29の上側の外周近傍の複数箇所にコーキング29aを施してフレーム29の外周とケース25の内周を強固に固着させフレーム29の外周とケース25との相対的な移動を規制している。さらに、フレーム29の、ケース25の内壁面に接する外周面には、周囲を取り囲むように断面が小さい略半円状または任意の形状の溝29bが設けられている。
この溝29bは、ケース25とフレーム29との間隙において通過しようとするゴミを留めるために設けたものである。すなわち、微細な間隙をもって、ケース25にフレーム29を取付ける場合、フレーム29が伝熱性の良い材質(例えば、アルミニウム材料)を使用しているため、フレーム29をケース25に挿入する際に削り取られることがあり、この削りカス等の導電性異物をこの溝29bに貯めることによって、制御ユニット1側への異物の侵入を阻止するものである。この溝29bの深さ又は幅は、許容できるゴミ、クズの大きさより小さい方が望ましい。この溝29bの位置については、ケース25の段部25aに接触するとフレーム29の角部の上側(制御ユニット1側)でコーキング29aの位置よりも下側に設けることによって、フレーム29のコーキングで発生した変形が圧入面に与える影響を最小限に抑える事が可能となる。なお、溝29bは、1本ではなく複数本を環状に設けることによって、より異物の侵入を防ぐことができる。
図2においては、出力軸21の軸を中心として、左側には、ケース25の縁の上部25bとフレーム29とがほぼ同一の高さの構造の場合を示し、右側には、ケース25の縁の上部25cの高さがフレーム29よりも高い場合を示しているが、これは、フレーム29のコーキング29aに対して、ケース25の高さがフレーム29と同一の高さの場合であっても、ケース25の方が高い場合であっても影響がないことを示すために描いたもので、敢えてケース25の高さを左右で異ならせるものではない。
この実施の形態1においては、ケース25の内周とフレーム29の外周を圧入することなく、当接させる程度の密着度にして収納し、フレーム29の外周に複数箇所のコーキングを施したので、両者の軸心精度を確保することができている。また、溝29bを設けたので、フレーム29挿入時の導電性異物の制御ユニット側へ移動を抑制できる。さらに、ケース25とフレーム29の両者を同一材料によって構成することによって、両者の熱膨張及び収縮が一体的に行われることから、温度変化による変形を極力小さくすることができる。特に、電動パワーステアリングの場合には、モータ自体が発熱することに加えて、一体化した制御ユニットは熱の逃げ場がないという問題を抱えており、さらに、自動車の使用する環境が過酷な場合があるので、熱による問題を解決できることは、高集積化した電子回路の放熱性を維持する上でも必要な構成となる。
実施の形態2.
実施の形態2について説明する。図3は、図2と同様に部分断面図である。図3において、実施の形態1と同一又は相当部分には各々同一符号を付している。図2との大きな差異は、回転センサ部である。つまり出力軸21の先端部には、第1の軸受26a、さらに、レゾルバ方式の回転センサであって、コア40aと、ロータ40bと、コア40aに巻装された検出巻線40cと、検出巻線40cへの励磁と検出波形出力用の信号ライン40dが制御ユニットへ伸びている様子を示している。
軸受26aと検出巻線40c、コア40aを保持するためにフレーム290がケース25の段部25aに挿入されている。ここで、フレーム290は、上部フレーム29e、下部フレーム29fの2層構造となっている。フレーム290の中間領域29cは上下部の両者の境界を示している。上部フレーム29eの外周近傍には複数箇所にコーキング29aが施されている。
この実施の形態2のように、フレーム290が2層構造となった場合、上部フレーム29eと下部フレーム29fの外周面のそれぞれに溝29bを設けることによって、上部フレーム29e及び下部フレーム29fのそれぞれの挿入時に発生する削りカス等の導電性異物を溝29bに貯めることができる。
なお、上部フレーム29eと下部フレーム29fはほぼ同径であり、上部フレーム29eは下部フレーム29fを介して軸方向の動きをケース25の段部25aによって規制されるため、上部フレーム29eにコーキング29aを施すことによって、上部フレーム29eも同様に軸方向及び円周方向に固定されることになる。また、上部フレーム29e及び下部フレーム29fとケース25の内壁面との当接状態は、同一でもよいが、コーキング29aを施され、ケース25と固定されるのは上部フレーム29eであるため、下部フレーム29fの方の当接状態が少ない状態(間隙が広い状態)であっても良い。すなわち、2層構造の第1のフレームに対して第2のフレームは略同径であって、制御ユニットに面する側の前記フレームにのみ前記接合部を設けたということになる。
2層構造のフレーム290とした場合は、回転センサ部の取付け加工、組付けが容易であるが、中間領域29cは一様に上部フレーム29e及び下部フレーム29fが当接するように密着性を確保する必要がある。また、フレーム290内に空間29gを設けることも可能で、フレーム自体の容積、重さを低減するために使用することができる。一方、一体化構造のフレームの場合は、回転センサ部の取付け加工と、軸受取付加工の両面の切削が必要となる。どちらの構造であっても、フレーム290の外周とケース25の内周との当接度合を緩めとし、フレームの固定を外周近傍に接合部を設けることによって軸心精度を確保できる効果がある。
以上、この発明の実施の形態を記述したが、この発明は実施の形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を行うことが可能であり、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることができ、また、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

Claims (8)

  1. ケース、前記ケースに収納されたモータ、前記ケースに収納された制御ユニット、及び前記モータと前記制御ユニットとを区分するフレームを備え、前記ケースの内壁面に設けられ前記フレームの角部が当接される段部と、前記フレームの外周と前記ケースの内周とが固着された接合部とによって前記フレームの動きを規制するようにした電動パワーステアリング装置において、前記ケースの内壁面に接する前記フレームの外周面の前記角部より上側で前記接合部より下側に、前記フレーム削りカスを貯める溝を設けたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記モータが前記ケースに挿入される圧力に対して、前記フレームの挿入力が小さいことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記フレームの中央に前記モータの出力軸を保持する軸受を有し、前記軸受の保持側と反対側の前記フレームの外周近傍の面に前記接合部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記フレームが前記制御ユニットの発熱を放熱させるヒートシンクであることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記フレームに前記制御ユニットと前記モータを接続する導体と絶縁距離を確保して貫通する穴を有する請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記フレームの中央部に穴が設けられ、前記モータの出力軸がこの穴を貫通して配置され、前記出力軸の先端部に回転を検出するための回転センサ部を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記フレームは、前記出力軸の軸受を保持する第1のフレームと前記回転センサ部に関する部位を保持する第2のフレームによる2層構造とされていることを特徴とする請求項記載の電動パワーステアリング装置。
  8. ケース、前記ケースに収納されたモータ、前記ケースに収納された制御ユニット、及び前記モータと前記制御ユニットとを区分するフレームを備え、前記ケースの内壁面に設けられ前記フレームの角部が当接される段部と、前記フレームの外周と前記ケースの内周とが固着された接合部とによって前記フレームの動きを規制しているものにおいて、前記フレームが、前記モータの出力軸の軸受けを保持する第1のフレームと、前記出力軸の回転を検出する回転センサ部を保持する第2のフレームとによる2層構造とされ、前記第1のフレームに対して前記第2のフレームは略同径であって、前記制御ユニットに面する側のフレームにのみ前記接合部が設けられていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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